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JP5777752B2 - 車間距離計測装置 - Google Patents
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Description

本発明は、車間距離計測装置に関し、特に、自装置の水平方向の軸ずれ量を推定する機能を備えた車間距離計測装置に関する。
従来の車間距離計測装置として、特許文献1では、空間に発射したレーザ光の物体反射光から障害物の有無等を判定するレーザレーダ装置において、受光部の受光視野を3つに分割し、受光された反射レーザ光の信号処理を3つの分割視野毎に独立して時系列的に行うことにより、先行車または周辺物体の方向(角度情報)を取得している。
このような従来の車間距離計測装置を利用したシステムとして、衝突被害軽減自動ブレーキシステム(以下、自動ブレーキシステムという)がある。このシステムは、先行車との衝突予測時間TTC(Time To Collision)、すなわち先行車との距離を相対速度で除した値が所定の値より小さくなった場合に、先行車と衝突する危険があると判断し、自動的にブレーキを作動して衝突を回避または軽減するものである。
近年、国土交通省は、非特許文献1において、衝突事故の多くを占めるドライバの不注意による追突事故を防ぐことを目的とし、自車両の速度が低速(30km/h以下)の時のみ作動し、乗用車の場合は衝突予測時間0.6秒以下となった場合に自動ブレーキを作動させる技術指針を示している。
なお、このような車間距離計測装置においては、水平方向の設置方向すなわち水平軸にずれが発生すると、例えば片側複数車線の道路において隣車線の車両を先行車と誤認識し、自動ブレーキを誤作動させる恐れがある。このため、自装置の水平軸のずれを検知し、運転者に通知する機能を備えていることが望ましい。
特許文献2では、車両に搭載される周辺監視装置の光軸ずれを検出する手法として、監視手段の位置を原点とし、車両の進行方向を第1の座標軸、これに直交する軸を第2の座標軸とする演算座標系を有し、物体の位置を演算座標系の位置に変換する座標変換手段を備え、レーザレーダで検知した複数の停止物の第1の座標成分および所定時間における複数の停止物の第2の座標成分の変化量に基づいて、監視手段の光軸のずれを検出する方法が示されている。
特開平5−150045号公報 特開平9−281239号公報
国自技第44号「自動車技術指針について」、別紙5−2「低速用前方障害物衝突軽減制動装置の技術指針」、国土交通省、2009年5月22日発行
上述のように、従来の車間距離計測装置においては、自動ブレーキシステムの誤動作を防止するために、自装置の水平軸ずれを検出することが求められる。しかしながら、先行車の角度情報に基づいて光軸のずれを検出する従来方法では、特許文献1のように、ビーム送信部、受信部、ビームを走査するスキャン機構等をそれぞれ複数備える必要があった。このため、機構が複雑となり、車間距離計測装置のコストが上昇するという問題があった。
一方、ビームを正面1方向のみとした車間距離計測装置の場合、送信部と受信部は各1つあれば良く、スキャン機構も不要のためコストを抑えることができる。しかし、従来のこのタイプの車間距離計測装置では、先行車または周辺物体の角度情報を計測することができないため、光軸ずれを検出することができなかった。特許文献2による光軸ずれ量の推定手法においても、停止物の位置情報として角度情報と距離が必要であった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、前方車両(先行車、隣車線の車両を含む)または周辺物体の角度情報を用いることなく自装置の水平方向の軸ずれ量を推定することができ、簡単な構成でコスト削減が可能な車間距離計測装置を得ることを目的とする。
本発明に係る車間距離計測装置は、自車両の前方に電波または光または超音波を繰り返し送信すると共に前方車両による反射波を受信することで前方車両を検知し、前方車両の距離と相対速度を算出する車間距離計測装置であって、自車両旋回半径を含む自車両情報を算出する自車両情報算出部と、今回計測時に検知した前方車両と前回計測時に検知した前方車両が同一か否か判断する追尾処理部と、自車両情報算出部および追尾処理部から取得した情報に基づいて自装置の水平方向の軸ずれ量を推定する軸ずれ推定部と、を備え、軸ずれ推定部は、追尾処理部から取得した前方車両の距離が該前方車両における最大距離であるか否かを判断し、最大距離である場合はこれを該前方車両における最大検知距離とすると共にその時の距離と自車両情報算出部から取得した自車両旋回半径に基づいて前方車両方向を算出し、さらに、各前方車両の最大検知距離とその時の前方車両方向のデータを蓄積して前方車両方向に対する最大検知距離の分布を求め、最大検知距離が最大となる前方車両方向から自装置の水平方向の軸ずれ量を推定するものである。
本発明によれば、前方車両の最大検知距離とその時の自車両旋回半径に基づいて前方車両方向を算出し、それらのデータを蓄積することにより自装置の水平方向の軸ずれ量を推定することが可能であり、簡単な構成でコスト削減が可能な車間距離計測装置が得られる。
本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置を用いた自動ブレーキシステムの構成を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸を正しく設置した時の直線路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸を正しく設置した時のカーブ路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸を正しく設置した時の最大検知距離と旋回曲率の関係を示す図である。 カーブ路における前方車両方向の算出方法を説明する図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸を正しく設置した時の最大検知距離と前方車両方向の関係を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸が右にずれた時の直線路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸が右にずれた時のカーブ路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸が右にずれた時の最大検知距離と前方車両方向の関係を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸を正しく設置した時の片側3車線の中央車線における直線路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸を正しく設置した時の片側3車線の中央車線におけるカーブ路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸を正しく設置した時の片側3車線の中央車線におけるカーブ路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において、水平軸を正しく設置し片側3車線の中央車線を走行した時の最大検知距離と前方車両方向の関係を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸が右にずれた時の片側3車線の中央車線における直線路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸が右にずれた時の片側3車線の中央車線におけるカーブ路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において水平軸が右にずれた時の片側3車線の中央車線におけるカーブ路での前方車両検知距離を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置において、水平軸が右にずれた状態で片側3車線の中央車線を走行した時の最大検知距離と前方車両方向の関係を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置の追尾処理部による処理の流れを説明する図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置の軸ずれ推定部による処理の流れを説明する図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置の軸ずれ推定部により作成された前方車両方向に対する最大検知距離の分布を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置の軸ずれ推定部による処理の流れを説明する図である。
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1に係る車間距離計測装置について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態1に係る車間距離計測装置を用いた自動ブレーキシステムの構成を示している。自動ブレーキシステムは、前方車両10Aとの距離と相対速度に基づいて衝突予測時間TTCを算出し、この衝突予測時間TTCが所定の値より小さくなった場合に前方車両10Aと衝突する危険があると判断し、自動的にブレーキを作動して衝突を回避または軽減するものである。
車間距離計測装置1は、自車両の前方に電波または光または超音波を繰り返し送信すると共に前方車両10Aによる反射波を受信することで前方車両10Aを検知する。本実施の形態1では、レーザ光を利用したレーザレーダであり、所定の周期でレーザ光を送信すると共に前方車両10Aによる反射波を受信し、その遅延時間に基づいて前方車両10Aの距離と相対速度を算出する。なお、車間距離計測装置1は、そのビーム検知領域内にあるものは前方車両10Aに限らず静止物体であっても検知し、自動ブレーキシステムを作動させるが、以下の説明では、主に前方車両10Aを検知する場合を例に挙げて説明する。
車間距離計測装置1は、図1に示すように、CPU2と、レーザ光を送光する送光部3と、前方車両10Aに反射されたれレーザ光を受光し電気信号に変換する受光部4と、受光部4が変換した電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器5を備えている。また、車間距離計測装置1は車内ネットワーク6に接続され、自車両に搭載された他の装置、例えばエンジン制御ユニット7やブレーキ制御ユニット8と、車内ネットワーク6を介して通信する。
エンジン制御ユニット7は、車間距離計測装置1から出力された減速度指示値により、エンジン出力を変化させる。ブレーキ制御ユニット8は、車間距離計測装置1から出力された減速度指示値によりブレーキ圧を制御してブレーキを作動させ、自車両の減速度を調整する。
CPU2は、送光制御部21、距離演算部22、追尾処理部23、自車両情報算出部24、制御対象判別部25、減速度演算部26、および軸ずれ推定部27を有しており、これらはCPU2のプログラムとして実現される。
送光制御部21は、送光部3の送光タイミング等を制御する。距離演算部22は、A/D変換器5で取得したデジタル信号列からピーク検知を行い、送光部3の送光タイミングからの遅延時間により前方車両10Aまでの距離を算出する。距離演算部22による演算結果は、メモリ(図示省略)に蓄積され、追尾処理部23による処理に使用される。
追尾処理部23は、今回計測時に検知した前方車両10Aと前回計測時に検知した前方車両10Aが同一か否か判断する。本実施の形態1では、所定の計測周期で前方車両10Aの検知を行い、検知した場合、その前方車両10Aが新規追尾物体であるか否かを判断する。具体的には、今回の計測周期で検知した前方車両と、前回の計測周期で検知した前方車両の距離を比較し、それらが同一か否かを判断する。同一と判断した場合には該前方車両の距離の時間変化から相対速度を算出する。なお、追尾処理部23の処理については、後に図18を用いて詳細に説明する。
自車両情報算出部24は、車内ネットワーク6を介して自車両の速度、加速度、ステアリング角、運転者によるブレーキ操作有無、およびスイッチ入力情報等の情報を取得し、それらに基づいて自車両情報を算出する。本実施の形態1では、自車両情報算出部24は、自車両情報として自車両旋回半径もしくは旋回曲率を算出し、軸ずれ推定部27に提供する。
制御対象判別部25は、追尾処理部23で算出された前方車両10Aまでの距離および相対速度と、自車両情報算出部24で得られた自車両情報から、検知した前方車両10Aが自動ブレーキの制御対象となるか否かを判定する。減速度演算部26は、制御対象判別部25で制御対象であると判定された前方車両10Aに対し、その距離と相対速度、および自車両情報等から減速度を算出する。演算結果は、車内ネットワーク6を介してエンジン制御ユニット7およびブレーキ制御ユニット8へ送信される。
軸ずれ推定部27は、追尾処理部23および自車両情報算出部24から取得した情報に基づいて、車間距離計測装置1の水平方向の軸ずれ量(以下、水平軸ずれ量という)を推定する。具体的な処理としては、追尾処理部23から取得した前方車両10Aの距離が該前方車両10Aにおける最大距離であるか否かを判断し、最大距離である場合はこれを該前方車両における最大検知距離とする。また、その時の距離と自車両情報算出部24から取得した自車両旋回半径に基づいて前方車両方向を算出する。なお、前方車両方向の算出方法については後述する。
さらに、各前方車両の最大検知距離とその時の前方車両方向のデータをデータベースに蓄積して前方車両方向に対する最大検知距離の分布を求め、最大検知距離が最大となる前方車両方向から自装置の水平軸ずれ量を推定する。具体的には、データベースに蓄積したデータを、最大検知距離を縦軸、前方車両方向を横軸とする座標軸にプロットし、これに基づいて前方車両方向に対する最大検知距離の分布を示すグラフを作成する。
すなわち、水平軸ずれ量の推定を高精度で行うためには、データ数が多い方が望ましいことから、軸ずれ推定部27は、蓄積されたデータ数が所定数以上である時、または、作成したグラフの横軸を所定の幅で区切ったヒストグラムの各区間に所定数のデータが存在している時に、軸ずれ量の推定を行う。
なお、軸ずれ推定部27による水平軸ずれ量の推定値の精度を向上させるため、前方車両10Aによる反射波の受信強度が所定の範囲内にない場合、すなわち極端に遠くまで検知可能な前方車両や極端に検知し難い前方車両のデータは蓄積しないようにすることが望ましい。また、自車両が走行中の道路の車線数が片側2車線以上である場合には、データの蓄積を一時中断するようにしても良い。
また、軸ずれ推定部27は、推定した水平軸ずれ量が所定値以上であった場合、その旨を自車両の表示手段または音声手段(いずれも図示省略)を用いて運転者に通知することにより、運転者に水平軸の再調整を促すようにしている。さらに、自車両のブレーキ制御ユニット8に対して自動ブレーキ制御を中止する指示を出力し、自動ブレーキシステムの誤動作を防止する。
次に、軸ずれ推定部27による水平軸ずれ量の推定方法について、その原理を詳細に説明する。なお、以下の説明に用いる図2、図3、図7、図8、図10〜図12、および図14〜図16では、自車両10と同車線上の前方車両10A、および隣車線上の前方車両10B、10Cは、最大検知距離となる位置に表示している。前方車両10Aおよび隣車線上の前方車両10B、10Cが検知可能かどうかの判断は、車間距離計測装置1のビーム検知領域11の中に車両後部が半分以上入った時に検知可能としている。また、点線で表示している前方車両10Aもしくは隣車線の前方車両10B、10Cは、検知できないことを示している。
まず、車間距離計測装置1の水平軸が正しく設置され、ビームが車両正面に向いている状態で、片側1車線の道路を走行している時の前方車両の検知可能距離について、図2および図3を用いて説明する。図2は直線路、図3(a)は右カーブ、図3(b)は左カーブを走行中の場合をそれぞれ示している。
図2に示すように、直線の道路12を走行中の場合は、ビーム検知領域11との関係により、自車両10の正面に前方車両10Aが存在している時に検知可能距離が最も長くなる。一方、図3に示すように、道路12がカーブしている場合、前方車両10Aは横方向にずれた位置に存在することになり、検知可能距離は直線路の場合より短くなる。
これらのことから、前方車両10Aの検知可能距離すなわち最大検知距離と自車両10の旋回半径の逆数である曲率との関係は、図4のようになる。図4において、縦軸は検知距離(m)、縦軸は曲率(1/m)である。なお、図4では、左カーブを負の曲率、右カーブを正の曲率としている。
図4の横軸を前方車両方向とした場合を考える。図5に示すように、前方車両10Aは自車両10と同一円弧上を走行しているものとし、その旋回半径をR(曲率は1/R)、自車両10から前方車両10Aまでの距離をLとすると、前方車両方向θは下記の式1により算出することができる。
θ=sin−1((L/2)/R) (式1)
従って、前方車両10Aの最大検知距離と前方車両方向との関係は、図6のようになる。図6において、縦軸は検知距離(m)、横軸は前方車両方向θ(deg)である。
次に、車間距離計測装置1の水平軸がずれた場合について考える。図7および図8は、車間距離計測装置1の水平軸のずれによりビームが右方向に向いている状態で、片側1車線の道路を走行している時の前方車両検知距離を説明する図であり、図7は直線路、図8(a)は右カーブ、図8(b)は左カーブを走行中の場合をそれぞれ示している。
図7に示すように、車間距離計測装置1のビーム検知領域11が正面を向いていない状態では、直線の道路12を走行時の前方車両10Aの検知可能距離は、水平軸がずれていない時(図2)に比べて短くなる。
一方、図8(a)に示すように、水平軸がずれている方向と同方向に旋回している場合(ここでは右カーブ)、前方車両10Aの検知可能距離は直線路走行時(図7)より長くなる。また、図8(b)に示すように、水平軸がずれている方向と逆に旋回している場合(ここでは左カーブ)、検知可能距離は大幅に短くなる。
すなわち、水平軸がずれている場合の前方車両10Aの最大検知距離と前方車両方向との関係は、図9のようになる。図9に示すように、検知可能距離は、水平軸がずれている方向に偏り、ずれた方向の検知距離が最大となる。従って、検知可能距離が最大となる前方車両方向を求めることにより、水平軸ずれ量が求められる。
また、片側2車線または3車線の道路を走行している場合には、隣車線の車両の影響を考慮する必要がある。図10〜図12を用いて、車間距離計測装置1の水平軸が正しく設置され、ビームが車両正面に向いている状態で、片側3車線の道路の中央車線を走行している時の前方車両検知距離について説明する。図10は直線路、図11は左カーブ、図12は右カーブを走行中の場合をそれぞれ示し、図11および図12において、(a)が最もカーブの曲率が大きく、(c)は最も小さい。
図10に示すように、直線の道路13を走行中の場合は、ビーム検知領域11との関係により、自車両10の正面に前方車両10Aが存在している時に検知可能距離が最も長くなる。一方、図11および図12に示すように、道路13がカーブしている場合、前方車両10Aは横方向にずれた位置に存在することになり、検知可能距離は直線路の場合より短くなる。また、カーブの曲率が大きく、前方車両方向が大きくなるほど検知可能な距離は短くなる。
さらに、片側3車線の道路13がカーブしている場合、自車両10と同じ中央車線を走行している前方車両10Aのみならず、隣車線を走行している前方車両10Bまたは前方車両10Cもビーム検知領域11に入り検知されることがある。
従って、車間距離計測装置1の水平軸が正しく設置され、片側3車線の道路の中央車線を走行している場合の最大検知距離と前方車両方向との関係は、図13のようになる。自車両10と同車線上の前方車両10Aのみを考慮した場合(図6)と比較して、カーブ路において隣車線の前方車両10B、10Cの影響を受けるため、最大検知距離が長くなる。ただし、基本的には片側1車線の場合と同様に、直線路での最大検知距離が一番大きく、左右対称になる。
次に、図14〜図16を用いて、車間距離計測装置1の水平軸のずれによりビームが右方向に向いている状態で、片側3車線の道路の中央車線を走行している時の前方車両検知距離について説明する。図14は直線路、図15は左カーブ、図16は右カーブを走行中の場合をそれぞれ示し、図15および図16において、(a)が最もカーブの曲率が大きく、(c)は最も小さい。
図14に示すように、車間距離計測装置1のビーム検知領域11が正面を向いていない状態では、直線の道路13を走行時の前方車両10Aの検知可能距離は、水平軸がずれていない時(図10)に比べて短くなる。また、前方車両10Aに加え、ビームがずれている方向(ここでは右)の隣車線の前方車両10Cも検知される。この隣車線の前方車両10Cは、水平軸がずれていない時には検知されないものである。
一方、図15に示すように、水平軸がずれている方向と逆に旋回している場合(ここでは左カーブ)、検知可能距離は大幅に短くなり、その傾向はカーブの曲率が大きいほど顕著である。また、図16に示すように、水平軸がずれている方向と同方向に旋回している場合(ここでは右カーブ)、前方車両10Aの検知可能距離は直線路走行時(図14)より長くなる。
従って、車間距離計測装置1の水平軸が右方向にずれて設置され、片側3車線の道路の中央車線を走行している場合の最大検知距離と前方車両方向との関係は、図17のようになる。水平軸がずれている場合も、自車両10と同車線上の前方車両10Aのみを考慮した場合(図9)と比較して、各前方車両方向での最大検知距離が長くなる。基本的には片側1車線の場合と同様に、最大検知距離は、水平軸がずれている方向に偏り、ずれた方向の検知距離が最大となる。
以上のように、隣車線の前方車両10B、10Cまで考慮した場合でも、検知可能距離が最大となる前方車両方向を求めることにより、水平軸ずれ量を推定することが可能である。ただし、自車両と同車線上の前方車両10Aのみを考慮した場合に比べて、ずれ量の推定値の精度が低くなる可能性がある。このため、片側1車線の道路を走行中にデータを蓄積するようにし、片側2車線以上の道路を走行中は、データの蓄積を一時中断するようにしても良い。
次に、車間距離計測装置1の追尾処理部23による処理の流れについて、図18のフローチャートを用いて説明する。追尾処理は、車間距離計測装置1のCPU2で実行される処理であり、計測周期毎に呼び出される。
まず、ステップ1(S1)において、距離演算部22により今回計測周期において前方物体(前方車両)を検知したか否かを判定する。今回前方物体を検知していない場合(NO)、ステップ2(S2)に進み、追尾物体なしとして処理を終了する。
S1において、今回前方物体を検知し距離を取得した場合(YES)、ステップ3(S3)に進み、前回追尾物体ありか否かを確認する。S3において前回追尾物体なしの場合(NO)、ステップ4(S4)へ進む。S4では、今回の前方物体は新たに現れたものとし、新規追尾物体としてメモリに記憶する。ここでは、追尾物体の距離は今回前方物体の距離とし、相対速度は0とする。
一方、S3において前回追尾物体ありの場合(YES)、ステップ5(S5)へ進む。S5では、前回追尾物体の距離と相対速度から下記の式2により、今回の予想距離を算出する。なお、式2においてLは今回の予想距離、Ln−1は前回追尾物体の距離、Vn−1は前回追尾物体の相対速度(km/h)、Tは計測周期を示している。
=Ln−1+Vn−1×T (式2)
S5に続いて、ステップ6(S6)では、今回の前方物体の計測距離と、S5で算出した今回の予想距離との差を求め、その絶対値を予め設定された所定値と比較する。比較した結果、差の絶対値が所定値以下の場合(YES)、前回追尾物体と同一物体であると判断としてステップ7(S7)へ進む。S6において、所定値を超える場合(NO)は、前回追尾物体と今回前方物体は別の物体として、S4に進み、今回前方物体を新規追尾物体としてメモリに記憶する。
S7では、今回前方物体を追尾物体であるとし、距離と相対速度を更新してメモリに記憶する。なお、S7では、距離は今回の前方物体の距離とし、相対速度は上記式2の変形により、今回の前方物体の距離と前回の追尾物体の距離との差分を計測周期で除して算出しているが、必要に応じてデジタルフィルタをかけても良い。
次に、車間距離計測装置1の軸ずれ推定部27による処理の流れについて、図19のフローチャートを用いて説明する。軸ずれ推定処理は、車間距離計測装置1のCPU2で実行される処理であり、計測周期毎に呼び出される。
まず、ステップ101(S101)において、前回追尾物体登録フラグをオフに初期化する。次に、ステップ102(S102)において、今回の追尾物体があるか否かを確認し、ない場合(NO)はステップ103(S103)へ進む。S103では、前回追尾物体があるか否かを確認し、ある場合(YES)はステップ104(S104)へ進み、前回追尾物体登録フラグをオンにしてステップ111(S111)へ進む。S103において前回追尾物体が無い場合(NO)は、何もせずにS111へ進む。
また、S102において、今回の追尾物体がある場合(YES)、ステップ105(S105)へ進み、今回の追尾物体が新規追尾物体であるか否かを確認する。新規追尾物体の場合(YES)、ステップ106(S106)へ進み、前回追尾物体があったか否かを確認する。前回追尾物体があった場合(YES)、ステップ107(S107)に進み、前回追尾物体登録フラグをオンにして、ステップ109(S109)へ進む。S106において、前回追尾物体がなかった場合(NO)は、何もせずにS109へ進む。
一方、S105において、新規追尾物体でない場合(NO)、ステップ108(S108)に進み、前回追尾物体の過去最大距離と、今回の追尾物体の距離を比較する。今回の追尾物体の距離の方が大きい場合(YES)、ステップ109(S109)に進む。S109では、今回の追尾物体の距離を、過去最大距離としてデータベースに記憶する。さらに、その時の前方車両方向を上記式1により算出し、過去最大距離と共に記憶する。
また、S108において、前回追尾物体の過去最大距離の方が大きい場合(NO)、ステップ110(S110)に進む。S110では、前回追尾物体の過去最大距離とその時の前方車両方向を、今回の追尾物体の過去最大距離とその時の前方車両方向としてデータベースに記憶する。
次に、ステップ111(S111)において、前回追尾物体登録フラグがオンであるか否かを確認し、オンの場合(YES)ステップ112(S112)へ進む。S112では、前回の追尾物体の過去最大距離とその時の前方車両方向をデータベースに追加する。追尾が継続している間はその追尾物体は同じ物体であると考えられるので、追尾が終了した時点で、それまでの最大距離をデータベースに記憶する。
以上の処理により、軸ずれ推定部27による水平軸ずれ量の推定に必要なデータが、データベースに蓄積される。なお、軸ずれ推定部27が前方車両10Aの最大検知距離を選択する方法として、自車両10に接近する前方車両10Aの場合は、該前方車両10Aを最初に検知した時の距離を最大検知距離とし、自車両10から離れていく前方車両10Aの場合は、該前方車両10Aが検知できなくなる直前の距離を最大検知距離とすることができる。
図19に示す処理によりデータベースに蓄積されたデータを、横軸を前方車両方向、縦軸を過去最大距離としてプロットすることにより、図20が得られる。図20では、各種誤差を含むデータ(白丸)が分散して分布しているが、これらのデータから図中点線で示すグラフを推定することにより、水平軸ずれ量を求めることができる。
軸ずれ推定部27において、データベースに蓄積されたデータから水平軸ずれ量を推定する処理の流れを、図21のフローチャートを用いて説明する。本処理も計測周期毎に呼び出される。
まず、ステップ201(S201)において、データベースに十分なデータが蓄積されたか否かを判定する。判定の基準としては、蓄積されたデータ数や、図20の横軸を所定の幅で区切ってヒストグラムを作成した時の各区間に存在するデータ数等が用いられる。十分なデータが蓄積されていない場合(NO)は、水平軸ずれ量を高精度で推定することができないため処理をせず終了する。
S201において、十分なデータが蓄積されている場合(YES)、ステップ202(S202)へ進み、検知距離が最大となる前方車両方向を算出し、その結果を水平軸方向とする。検知距離が最大となる前方車両方向の算出方法としては、全データ中から距離最大となる前方車両方向を選ぶ方法の他、前方車両方向を距離で加重平均する方法、適当な近似曲線を当てはめて距離最大となる前方車両方向を算出する方法等がある。
次に、ステップ203(S203)において、S202で推定した水平軸方向が所定範囲内であるか否かを確認する。所定範囲内の場合(YES)、水平軸のずれは発生していないと判断し、処理を終了する。所定範囲を超えていた場合(NO)、水平軸のずれが発生していると判断し、ステップ204(S204)へ進み、自動ブレーキ制御の中止指示を出力する。また、車内の表示手段に軸ずれが発生したことを表示し、運転者に通知する。
以上のように、本実施の形態1に係る車間距離計測装置1によれば、前方車両の最大検知距離とその時の自車両旋回半径に基づいて前方車両方向を算出し、それらのデータを蓄積しグラフ化することにより水平軸ずれ量を推定するようにしたので、前方車両の角度情報を取得するための複雑な機構を必要とせず、ビームを正面1方向のみとした簡単な構成で水平軸ずれを検知することができ、コスト削減が可能である。また、本実施の形態1に係る車間距離計測装置1を備えることにより、自動ブレーキシステムの誤動作を防止することが可能である。
なお、本実施の形態1では、前方車両を検知する手段として、レーザ光を利用したレーザレーダを用いたが、これに限定されるものではなく、ミリ波やマイクロ波を利用したレーダを用いても良いし、超音波を利用したソナーを用いても良い。本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
本発明は、自動ブレーキシステムに用いられる車間距離計測装置として利用することができる。
1 車間距離計測装置、2 CPU、3 送光部、4 受光部、5 A/D変換器、
6 車内ネットワーク、7 エンジン制御ユニット、8 ブレーキ制御ユニット、
10 自車両、10A 前方車両、10B、10C 隣車線の前方車両、11 ビーム検知領域、12、13 道路、21 送光制御部、22 距離演算部、23 追尾処理部、
24 自車両情報算出部、25 制御対象判別部、26 減速度演算部、
27 軸ずれ推定部。

Claims (4)

  1. 自車両の前方に電波または光または超音波を繰り返し送信すると共に前方車両による反射波を受信することで前方車両を検知し、前方車両の距離と相対速度を算出する車間距離計測装置であって、
    自車両旋回半径を含む自車両情報を算出する自車両情報算出部と、
    今回計測時に検知した前方車両と前回計測時に検知した前方車両が同一か否か判断する追尾処理部と、
    前記自車両情報算出部および前記追尾処理部から取得した情報に基づいて自装置の水平方向の軸ずれ量を推定する軸ずれ推定部と、を備え、
    前記軸ずれ推定部は、前記追尾処理部から取得した前方車両の距離が該前方車両における最大距離であるか否かを判断し、最大距離である場合はこれを該前方車両における最大検知距離とすると共にその時の距離と前記自車両情報算出部から取得した自車両旋回半径に基づいて前方車両方向を算出し、さらに、各前方車両の最大検知距離とその時の前方車両方向のデータを蓄積して前方車両方向に対する最大検知距離の分布を求め、最大検知距離が最大となる前方車両方向から自装置の水平方向の軸ずれ量を推定することを特徴とする車間距離計測装置。
  2. 前記軸ずれ推定部は、自車両に接近する前方車両の場合は、該前方車両を最初に検知した時の距離を最大検知距離とし、自車両から離れていく前方車両の場合は、該前方車両が検知できなくなる直前の距離を最大検知距離とすることを特徴とする請求項1記載の車間距離計測装置。
  3. 前記軸ずれ推定部は、前方車両による反射波の受信強度が所定の範囲内にない場合には、該前方車両のデータを蓄積しないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車間距離計測装置。
  4. 前記軸ずれ推定部は、自車両が走行中の道路の車線数が片側2車線以上である時には、データの蓄積を一時中断することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車間距離計測装置。
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