以下、本発明に係る圧入装置について圧入方法との関係で好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る圧入装置は、既述したように、バルブガイドとバルブシートをシリンダヘッドに圧入するための装置であり、エンジンのシリンダヘッドを製造する製造ラインの一部を構成している。概略的には、圧入装置は、設備コストの軽減を図るために、シリンダヘッドのバルブの配置空間全てにバルブガイドとバルブシートを圧入する1台のプレス機を備える。さらに、この圧入装置は、作業効率を向上するために、プレス機の1度の圧入動作によって、バルブガイドとバルブシートを同時に圧入可能な構成となっている。
なお、以下の説明において、圧入装置又はシリンダヘッドの方向を示す場合は、特に指示がない限り、図1の矢印XYZ方向を基準として説明する。すなわち、図1中における左右方向をX方向(右方向をX1方向、左方向をX2方向)、上下方向をY方向(上方向をY1方向、下方向をY2方向)、紙面垂直方向をZ方向(紙面手前方向をZ1方向、紙面奥方向をZ2方向)という。Z方向は、圧入装置やシリンダヘッドの上下方向でもある。
本発明の一実施形態に係る圧入装置10は、平面視(図1参照)で、シリンダヘッド12をX1方向に直線的に搬送する主搬送ライン14を備える。主搬送ライン14は、上流(X2)側から下流(X1)側に向かって、上流コンベア16、第1搬送装置18、中間コンベア20、第2搬送装置22及び下流コンベア24が順に配置されることにより構成される。
上流コンベア16、中間コンベア20及び下流コンベア24は、シリンダヘッド12をX1方向に搬送するための装置である。各コンベア16、20、24は、複数のローラ26と、図示しないローラ用モータとを有し、制御装置28の制御下に複数のローラ26を回転駆動することで、シリンダヘッド12をX1方向に搬送する。なお、各コンベア16、20、24の構成は、特に限定されるものではなく、例えば、ローラ用モータを設けずに、ローラ26上に供給されたシリンダヘッド12を作業員自身が押し進めてもよい。
上流コンベア16と中間コンベア20の間には、シリンダヘッド12の搬送を一旦停止する第1待機位置A1が設けられ、第1搬送装置18はこの第1待機位置A1に配備されている。同様に、中間コンベア20と下流コンベア24の間にも、シリンダヘッド12の搬送を一旦停止する第2待機位置B1が設けられ、第2搬送装置22はこの第2待機位置B1に配備されている。
第1及び第2搬送装置18、22は、主搬送ライン14と直交方向(Y方向)に移動自在に構成されている。第1搬送装置18は、第1待機位置A1から所定間隔離れた第1圧入位置A2までの範囲を移動し、第2搬送装置22は、第2待機位置B1から所定間隔離れた第2圧入位置B2までの範囲を移動する。
第1及び第2圧入位置A2、B2の主搬送ライン14と反対側位置には、X方向に長い架台30が設置されている。この架台30上には、その長手方向に沿うように直線的に延びるレール32が敷設されている。レール32には、バルブガイドGとバルブシートSをシリンダヘッド12に圧入する圧入部34を有した1台のプレス機36が配置される。すなわち、圧入部34は、第1圧入位置A2と第2圧入位置B2間をレール32に沿って移動自在となっており、第1圧入位置A2と第2圧入位置B2のそれぞれでバルブガイドG及びバルブシートSの圧入を行う。
また、制御装置28は、主搬送ライン14の近傍位置に設けられ、圧入装置10全体の動作を制御するように構成されている。例えば、制御装置28は、作業員により設定された内容に基づく運転の実施又は運転の中断等を切り換える。
ここで、本発明の理解を容易にするために、図2A及び図2Bを参照して、シリンダヘッド12の構成について、圧入されるバルブガイドG及びバルブシートSと共に説明する。
本実施形態に係るシリンダヘッド12は、直列3気筒のエンジンの上部側を構成し、図示しないシリンダブロックの3つのシリンダに対向する燃焼空間38を下面側に備える。シリンダヘッド12には、燃焼空間38への燃料ガスの流入を許容及び遮断する吸気バルブ(図示せず)、及び燃焼空間38から燃焼後のガスの排気を許容及び遮断する排気バルブ(図示せず)が装着される。このため、シリンダヘッド12の内部には、吸気バルブを配置するための吸気バルブ配置空間40(第1空間部)、及び排気バルブを配置するための排気バルブ配置空間42(第2空間部)が形成されている。
また、このシリンダヘッド12は、1つのシリンダに対し4つのバルブ(2つの吸気バルブと2つの排気バルブ)を配置する、所謂マルチバルブを採用している。このため、シリンダヘッド12は、平面視(図2A参照)で、Y1方向側に6つの吸気バルブ配置空間40を有し、且つY2方向側に6つの排気バルブ配置空間42を有する。
バルブ配置空間44(吸気バルブ配置空間40、排気バルブ配置空間42)は、燃料ガスの流通路46により、上部側のガイド収容部40a、42aと下部側のシート収容部40b、42bとに分割される。ガイド収容部40a、42aとシート収容部40b、42bの相互の軸線は、流通路46を挟んで同軸上に形成される。
ガイド収容部40a、42aは、細長い孔に形成された空間であり、バルブガイドGが圧入される。バルブガイドGは、円筒状に形成され、ガイド収容部40a、42aの内径に一致する外径を有する。このバルブガイドGは、圧入装置10の圧入によりガイド収容部40a、42aに密着嵌合される。
一方、シート収容部40b、42bは、ガイド収容部40a、42aよりも大径且つ軸方向に短い孔に形成された空間であり、バルブシートSが圧入される。バルブシートSは、リング状に形成され、シート収容部40b、42bの内径に一致する外径を有する。このバルブシートSは、圧入装置10の圧入によりシート収容部40b、42bに密着嵌合される。
そして、吸気バルブ配置空間40の軸線O1と排気バルブ配置空間42の軸線O2は、側面断面視で、互い異なる方向(非平行)を向くように設定されている。具体的には、シリンダヘッド12のY方向略中央部(燃焼空間38)からZ方向に向かう仮想線Lに対し、吸気バルブ配置空間40の軸線O1がα度傾き、排気バルブ配置空間42の軸線O2が−α度傾いている。
このため、圧入装置10は、図1及び図3に示すように、バルブガイドGとバルブシートSを圧入する前に、シリンダヘッド12に専用の治具(第1治具48、第2治具50)をセットする構成となっている。第1治具48は、第1搬送装置18の載置部18aに設けられ、シリンダヘッド12の吸気バルブ配置空間40の軸線O1に沿うようにバルブガイドGとバルブシートSをそれぞれ配置するものである。第2治具50は、第2搬送装置22の載置部22aに設けられ、シリンダヘッド12の排気バルブ配置空間42の軸線O2に沿うようにバルブガイドGとバルブシートSをそれぞれ配置するものである。
すなわち、吸気バルブ配置空間40と排気バルブ配置空間42が異なる方向に形成されたシリンダヘッド12は、バルブガイドG及びバルブシートSを1つの専用の治具に同時にセットすることが困難となる。吸気バルブ配置空間40に対するバルブシートSの圧入部分と、排気バルブ配置空間42に対するバルブシートSの圧入部分とが相互に干渉するからである。また、作業者が、吸気バルブ配置空間40と排気バルブ配置空間42に圧入するバルブガイドGとバルブシートSを取り違えてセットする人為的ミス等も生じ易い。
そこで、本実施形態に係る圧入装置10は、先ず吸気バルブ配置空間40にバルブガイドG及びバルブシートSを圧入するために、第1待機位置A1において第1治具48をセットする。そして、次に排気バルブ配置空間42にバルブガイドG及びバルブシートSを圧入するために、第1待機位置A1から場所を変えて第2待機位置B1において第2治具50をセットする構成を採っている。
ここで、図1に戻り、圧入装置10によるバルブガイドG及びバルブシートSの圧入時のシリンダヘッド12の流れを簡単に説明する。シリンダヘッド12は、上流コンベア16に供給されると上流コンベア16に沿ってX1方向に案内され、第1搬送装置18の載置部18aが配置されている第1待機位置A1にて一時停止する。その後、シリンダヘッド12は、第1搬送装置18の動作に基づき第1治具48に固定保持されることで、バルブガイドG及びバルブシートSが吸気バルブ配置空間40の対向位置に配置される。
次に、シリンダヘッド12は、第1搬送装置18により第1待機位置A1から第1圧入位置A2に搬送される。そして、第1圧入位置A2においてプレス機36により、バルブガイドG及びバルブシートSが吸気バルブ配置空間40に圧入される。圧入後、シリンダヘッド12は、第1搬送装置18により第1待機位置A1に戻され、第1治具48の固定が解除される。
さらに、シリンダヘッド12は、中間コンベア20を介して、第2搬送装置22の載置部22aが配置されている第2待機位置B1に送り出される。作業員は、第1待機位置A1から第2待機位置B1に予め移動して、第2待機位置B1で第2治具50に対するバルブガイドG及びバルブシートSのセットを行っておく。第2待機位置B1に送り出されたシリンダヘッド12は、第2搬送装置22の動作下にこの第2治具50に固定保持されることで、バルブガイドG及びバルブシートSが排気バルブ配置空間42の対向位置に配置される。
その後は、上記と同様に、第2搬送装置22により第2待機位置B1から第2圧入位置B2に搬送され、第2圧入位置B2においてプレス機36により、バルブガイドG及びバルブシートSが排気バルブ配置空間42に圧入される。なお、プレス機36は、事前に第1圧入位置A2から第2圧入位置B2にスライド移動している。このプレス機36の動作については後述する。
圧入後、シリンダヘッド12は、第2搬送装置22により第2待機位置B1に戻され、第2治具50の固定が解除される。そして、シリンダヘッド12は、第2待機位置B1から下流コンベア24に送り出されて、下流コンベア24によりX1方向に搬送され次の工程に向かう。
次に、圧入装置10の第1及び第2搬送装置18、22の具体的な構成について説明していく。なお、第2治具50を含む第2搬送装置22の構成は、基本的に、第1搬送装置18とY方向対称の構造をとり得るため、その詳細な説明について省略するものとする。
第1搬送装置18の載置部18aは、図3、図4A及び図4Bに示すように、第1待機位置A1に搬送されたシリンダヘッド12を固定保持する構成となっている。このため、載置部18aは、ガイド治具52、搬送レール54、油圧装置56、案内部材58、シート治具60及び傾動台62を備える。
ガイド治具52は、第1治具48の一方を構成し、吸気バルブ配置空間40の対向位置にバルブガイドGを配置する機能を有する。ガイド治具52は、ガイド保持機構64、保持ブロック66、治具変位機構68及び可動台70を備える。
ガイド保持機構64は、バルブガイドGを圧入前に保持する部材である。このガイド保持機構64は、軸方向に所定長さを有する円筒状を呈し、シリンダヘッド12の吸気バルブ配置空間40の形成数及び形成位置に合わせて、保持ブロック66のX方向に6つ並設される。ガイド保持機構64は、吸気バルブ配置空間40の傾斜角度αと一致するように保持ブロック66に傾いてねじ止め固定される。そして、治具変位機構68により保持ブロック66がシリンダヘッド12側に変位すると、ガイド保持機構64の軸線が吸気バルブ配置空間40の軸線O1とちょうど重なるように作用する。
ガイド保持機構64の軸心部には、案内孔64aが貫通形成されている。案内孔64aは、バルブガイドGを一時的に保持すると共に、所定の押圧力の付与によりバルブガイドGを下端開口から送出させる。案内孔64aの上部寄り内面には、案内孔64aの内径を弾性的に狭める留部64bが設けられている。よって、バルブガイドGを案内孔64aの上端開口から挿入すると、バルブガイドGは留部64bにて一旦留められる。また、案内孔64aの下側途中位置から下端部までの内面は、上側よりも細径(バルブガイドGの外径に略一致する内径)の案内空間64cが形成されている。このため、案内孔64aの下端開口からバルブガイドGを送出する際に、圧入部34には強い押圧力の付与が要求されるが、この案内空間64cによりバルブガイドGの姿勢を確実に正して送出することが可能となる。
保持ブロック66は、ガイド保持機構64を傾けて保持する取付面66aを有している。また、保持ブロック66は、治具変位機構68の支柱68aを挿通する孔部を有し、治具変位機構68により可動台70と相対的にZ方向に変位自在となっている。
治具変位機構68は、可動台70から突出する支柱68a、保持ブロック66を上方に付勢するバネ68b、取付面66a上に設けられたカムローラ68c、及び第1搬送装置18の上方に固定されたカムレール68dにより構成される。カムローラ68cは、カムレール68dの対向位置に配置され、且つ保持ブロック66の上部で回転自在に軸支されている。カムレール68dは、図5に示すように、第1搬送装置18の搬送経路に沿って延び、第1圧入位置A2に向かって斜め下方に傾く傾斜面を有する。
すなわち、ガイド保持機構64及び保持ブロック66は、第1待機位置A1において、図3に示すようにバネ68bにより可動台70から離間する上側位置に待機している。そして、第1搬送装置18によるY1方向の移動に基づき、カムローラ68cがカムレール68dの傾斜面に沿って転がることにより、下方向に向かって変位する(図6Bも参照)。これにより、ガイド保持機構64の下端開口が、吸気バルブ配置空間40の対向位置に配置される。
図3に戻り、可動台70は、シリンダヘッド12よりも充分に大きな面積を有する平板状に形成されており、Y方向両側部が油圧装置56により支持されることでガイド治具52全体を上下に変位可能としている。可動台70は、シリンダヘッド12が第1待機位置A1に搬送されるまで上側位置に待機し、シリンダヘッド12が第1待機位置A1に配置された後、下側に変位してシリンダヘッド12を上方から押さえる。可動台70の下面には、シリンダヘッド12の位置決め孔12aに挿入される位置決めピン70aが設けられており、シリンダヘッド12を精度よく固定保持することが可能である。
載置部18aの搬送レール54は、可動台70と共に油圧装置56に接続されており、上下に変位可能となっている。すなわち、搬送レール54は、シリンダヘッド12のX1方向の搬送時に上側位置に配置されることで、シリンダヘッド12をシート治具60から離間させている。そして、シリンダヘッド12が第1待機位置A1に配置されると、下方向に変位してシート治具60上にシリンダヘッド12を載置する。
油圧装置56は、図示しない油圧供給部に接続されたシリンダにより上下動する可動柱56aを有し、制御装置28の制御下に可動台70及び搬送レール54を上下に変位させる。
案内部材58は、主搬送ライン14上の搬送時にシリンダヘッド12のヨー方向の姿勢変動を抑制するものであり、主搬送ライン14のY方向両側部に設けられる。案内部材58は、第1待機位置A1において、上流コンベア16及び中間コンベア20から分離して傾動台62に設けられることで、第1搬送装置18と共にY方向に移動可能となっている。特に、案内部材58は、シリンダヘッド12を傾ける際にシリンダヘッド12の側面を支持することで、シリンダヘッド12のずれを防止する。
シート治具60は、シリンダヘッド12が第1待機位置A1に搬送される前に、作業員によりバルブシートSがセットされて、第1待機位置A1に待機している。そして、シリンダヘッド12の搬送後に搬送レール54が下がることで、その上部にシリンダヘッド12が載置される。シート治具60は、バルブシートSを圧入前に保持するシート保持機構72と、シート保持機構72が固定される台座74と、台座74の両側部からY方向に突出する案内バー76とを備える。
シート保持機構72は、吸気バルブ配置空間40の傾斜角度αと一致するように台座74に傾いて支持されており、ガイド保持機構64と同様にX方向に6つ並設されている。シート保持機構72は、バルブシートSを保持する保持体72aと、保持体72aがねじ止めされる可動ロッド72bと、可動ロッド72bを下方向に付勢するバネ72cと、台座74に固定され可動ロッド72bを案内するガイド筒72dとを備える。
保持体72aは、シート収容部40bの内径よりも小さい外径を有する凸状に形成されており、側周面を囲うようにバルブシートSが装着される。可動ロッド72bは、保持体72aの中心部に上端部がねじ止めされ、台座74の上面から下面に貫通している。可動ロッド72bの下端部には、径方向外側に膨出した膨出部72eが形成されており、この膨出部72eはバネ72cの付勢力を受けることが可能となっている。これにより、保持体72aは、通常状態で、可動ロッド72bを介して台座74側に待機する。そして、保持体72a及び可動ロッド72bは、後述するプレス機36の圧入ブロック130により押し出されることにより、上方向に進出移動する。
台座74は、シリンダヘッド12を載置可能な広さを有する載置面74aを有し、この載置面74aには、保持体72aを待機させる切り欠き部74bが形成されている。切り欠き部74bには、シート保持機構72を傾けて取り付ける取付孔が設けられている。
第1治具48のガイド治具52とシート治具60は、基本的に以上のように構成される。これに対し、第2治具50は、排気バルブ配置空間42にバルブガイドG及びバルブシートSを圧入するために、ガイド保持機構64とシート保持機構72が、仮想線L(図2参照)を対称軸として第1治具48と逆の配置関係となっている。
一方、傾動台62は、この傾動台62よりも上部側に設けられた載置部18aの各構成(カムレール68dを除く)を一体的に支持する台である。この傾動台62は、第1搬送装置18の角度調整機構82により、上面の傾斜角度が調整可能となっており、これによりシート治具60に固定保持されたシリンダヘッド12を所定角度傾けた状態とする。
よって、次に、第1搬送装置18の傾動台62よりも下側の構成について、図5、図6A及び図6Bを参照して具体的に説明していく。第1搬送装置18は、上述したように、傾動台62の傾斜を調整し、且つ第1待機位置A1と第1圧入位置A2の間を往復動可能な構成となっている。これを実現するために、第1搬送装置18の傾動台62よりも下側は、固定台78、直動駆動機構80、角度調整機構82及び枠体84を含む構成となっている。
固定台78は、上流コンベア16と中間コンベア20の間においてY方向に長い形状に(すなわち第1待機位置A1から第1圧入位置A2間に渡って)形成されている。
直動駆動機構80は、固定台78上に固定された搬送用モータ86と、搬送用モータ86によって回転するスクリュー軸88と、スクリュー軸88の回転に基づき直線方向に変位するブラケット90とを備える。搬送用モータ86は、第1搬送装置18のY2側にあり、スクリュー軸88は、この搬送用モータ86からY1方向に延びて第1圧入位置A2に至っている。スクリュー軸88の外周面にはねじ溝が形成されている。ブラケット90は、スクリュー軸88が貫通挿入される孔部90aを有し、この孔部90aにはねじ溝上を転動する図示しないボールが設けられている。ブラケット90は、スクリュー軸88の回転に対しその姿勢を維持しつつボールが転動することで、回転力を直動駆動に変換する。これにより、直動駆動機構80は、ブラケット90に設けられた部材をスクリュー軸88に沿って一体的にスライド移動させる。
角度調整機構82はこのブラケット90に取り付けられ、傾動用シリンダ92、リンク部94、回転部96及び傾動規制部98を備える。傾動用シリンダ92は、一端部がブラケット90に揺動自在に取り付けられた支持筒92aと、この支持筒92aの軸方向に変位可能な可動筒92bとを有し、可動筒92bの一端部がリンク部94に連結されている。リンク部94は、可動筒92bの変位力を回転部96の回転力に変換して回転部96に伝達する。この回転部96は、枠体84に軸支されると共に傾動台62を固定保持している。
よって、傾動台62は、回転部96が回転すると回転部96の回転中心を基点にY1側が上方に変位するように傾動する。傾動規制部98は、傾動台62のY2方向下方側に設けられ、回転部96の回転により傾動した傾動台62を受ける当接部98aを有する。当接部98aは、傾動台62までの間隔が調節可能となっており、傾動台62の傾斜角度を適宜設定することができる。
枠体84は、ブラケット90のX方向両側部に取り付けられて上方に延び、X方向中間部且つ上下中間部に空洞84aを形成しつつ、傾動台62及び回転部96を支持している。空洞84aは、ブラケット90が第1圧入位置A2に移動した際に、プレス機36の下部アーム118を入り込ませてシリンダヘッド12の下側に配置させるためのものである。
なお、第2搬送装置22の角度調整機構82は、シリンダヘッド12の排気バルブ配置空間42の軸線O2を垂直とするために、第1搬送装置18の角度調整機構82と逆に傾斜させる構成となっている。すなわち、傾動用シリンダ92、リンク部94がY2側に傾いて取り付けられており、傾動台62はY2側が上方に変位するように傾動する。
次に、プレス機36について図7A及び図7Bを参照して説明する。プレス機36は、上述したように、シリンダヘッド12に対し、バルブガイドG及びバルブシートSを同時に圧入する装置であり、本体部100、プレス機移動機構102、一対の圧入部34及び圧入部移動機構104を備える。
本体部100は、架台30上に搭載され、所定高さにおいて一対の圧入部34を支持可能なフレーム構造を呈している。一対の圧入部34は、本体部100の上部寄り且つY2側に設けられる。本体部100の下部には、圧入部34を安定的に支持するために、架台30のY方向幅に略一致する幅広な基台106が設けられている。この基台106には、プレス機36全体を架台30のレール32に沿って移動自在とするプレス機移動機構102が設置される。
架台30上のレール32は、3本のレール(Y方向両側の一対のガイドレール32a、Y方向中央部の駆動支持レール32b)により構成される。プレス機移動機構102は、レール32に沿ってプレス機36を移動して、第1圧入位置A2と第2圧入位置B2の各々に圧入部34を位置決めする。このため、プレス機移動機構102は、一対のガイド凹部108、車輪110及びサーボモータ112を備える。
一対のガイド凹部108は、一対のガイドレール32aに対向するように基台106のY方向両側に設けられている。プレス機36は、このガイド凹部108にガイドレール32aが入り込むことでX方向に直線的に案内される。
車輪110は、搬送レール54の上面に大きな摩擦力で接触し、サーボモータ112により回転駆動して搬送レール54上を転がる。サーボモータ112は、制御装置28に接続されており、制御装置28の制御下に車輪110を回転させる。架台30の所定位置には、図示しないセンサが設けられ、制御装置28はセンサの信号に基づきサーボモータ112の回転量や回転速度を制御する。これにより、圧入装置10は、本体部100が支持している一対の圧入部34を第1及び第2圧入位置A2、B2に高精度に位置決めすることができる。
一対の圧入部34は、側面視で上側から順に、上部アーム114、中間支持部116及び下部アーム118が連なる略C字形状に形成されている。一対の圧入部34は、連結バー119により相互の間隔が一定になるように連結されている。上部アーム114のY2方向端部寄りには、バルブガイドGを圧入するガイド圧入部120が設けられ、下部アーム118のY2方向端部寄りには、バルブシートSを圧入するシート圧入部122が設けられている。
ガイド圧入部120は、制御装置28に接続されたガイド圧入用駆動源124と、ガイド圧入用駆動源124により上下に進退移動する圧入ロッド126(圧入部材)とを備える。ガイド圧入用駆動源124は、例えばサーボモータにより構成される。圧入ロッド126は、バルブガイドGの外径と同じ外径を有する柱状に形成されており、ガイド圧入用駆動源124の駆動に基づき進退する。圧入ロッド126の進出時には、先端面がバルブガイドGの端部に接触することになり、さらに進出することでバルブガイドGを圧入する。
一方、シート圧入部122は、制御装置28に接続されたシート圧入用駆動源128と、シート圧入用駆動源128により進退移動する圧入ブロック130(圧入部材)とを備える。シート圧入用駆動源128も、例えばサーボモータにより構成される。圧入ブロック130は、圧入ロッド126と対向する位置で、シート圧入用駆動源128の駆動に基づき上下に進退する。この圧入ブロック130の上面は、比較的大きな押出面に形成されることで、圧入装置10の圧入動作時にかかる下方向の圧力を確実に受けることができる。
上部アーム114及び下部アーム118が連なる中間支持部116は、圧入部移動機構104を介して本体部100に取り付けられる。すなわち、一対の圧入部34は、6つの吸気バルブ配置空間40と6つの排気バルブ配置空間42に圧入を行うために、圧入部移動機構104により本体部100と相対的にX方向に変位する。
圧入部移動機構104は、本体部100に取り付けられた圧入部用駆動源132と、圧入部用駆動源132の駆動力を中間支持部116に伝達する駆動伝達部134と、一対の圧入部34の変位をガイドする案内棒136と備える。例えば、圧入部移動機構104は、サーボモータにより構成され、駆動伝達部134はサーボモータのスクリュー軸と、中間支持部116に固定されスクリュー軸に沿って直動するスライダとにより構成される。圧入部移動機構104は、第1圧入位置A2において一対の圧入部34を移動して、圧入ロッド126及び圧入ブロック130を所定の吸気バルブ配置空間40に対向させる。同様に、第2圧入位置B2において一対の圧入部34を移動して、圧入ロッド126及び圧入ブロック130を所定の排気バルブ配置空間42に対向させる。
次に、圧入部34よりバルブガイドGとバルブシートSを同時に圧入する際の動作について、図8A〜図9Bを参照して具体的にする。シリンダヘッド12は、圧入動作前に作業員により、バルブガイドGがガイド治具52にセットされ、バルブシートSがシート治具60にセットされる。バルブガイドGは、吸気バルブ配置空間40の軸線O1に沿うようにガイド保持機構64の留部64bに留められて保持され、バルブシートSは、吸気バルブ配置空間40の軸線O1に沿うように保持体72aに保持されている。
そして、圧入装置10は、図8Aに示すように、圧入動作前に、上述した第1搬送装置18によりシリンダヘッド12を固定保持し傾斜状態とすることで、吸気バルブ配置空間40の軸線O1をZ方向(上下方向)に一致させる。このため、シリンダヘッド12及び圧入部34を位置決めした第1圧入位置A2では、吸気バルブ配置空間40の軸線O1が、圧入ロッド126と圧入ブロック130の(進出方向の)軸線に一致した状態となる。換言すれば、第1治具48は、シリンダヘッド12と圧入部34の軸線がZ方向に揃うように姿勢を維持している。
その後、図8Bに示すように、圧入装置10は、圧入ロッド126を下方向に進出してバルブガイドGを押し出す。これにより、バルブガイドGは、留部64bから押し出されて下方向に変位し、案内空間64cの上端部に落下する。案内空間64cは、バルブガイドGの外径に一致していることで、バルブガイドGを適度な摩擦力で保持する。
次に、図9Aに示すように、圧入装置10は、圧入ブロック130を上方向に進出して可動ロッド72bを押し出す。これにより、可動ロッド72bの上端部に設けられた保持体72aがシート収容部40b、42b内に進出移動して、保持体72aに保持されたバルブシートSがシート収容部40b、42bに圧入される。この際、圧入ロッド126は、ガイド保持機構64の案内孔64aに進入しており、吸気バルブ配置空間40がぶれないように支持することができる。
そして、バルブシートSの圧入後に、図9Bに示すように、圧入ロッド126をさらに下方向に進出することでバルブガイドGをガイド収容部40a、42aに圧入する。バルブガイドGは、その姿勢が案内空間64cにより案内されるため、ガイド収容部40a、42aに対し精度よく圧入される。また、バルブガイドGの圧入時に下方向にかかる圧力は、シート収容部40b、42bに進入しているバルブシートS及び保持体72aによって良好に受けることができる。
これにより、1つの吸気バルブ配置空間40に対するバルブガイドG及びバルブシートSの圧入が完了する。その後、圧入ロッド126及び圧入ブロック130をシリンダヘッド12からそれぞれ後退させ、次の吸気バルブ配置空間40に対する圧入動作を行うため、圧入部移動機構104を駆動して圧入部34をX方向に移動する。圧入装置10は、シリンダヘッド12の6つの吸気バルブ配置空間40全てにバルブガイドG及びバルブシートSを圧入するまで、上記の動作を繰り返す。
なお、プレス機36は、圧入作業を迅速に行うために、圧入部34を一対設けた構成としている。一対の圧入部34(第1圧入部34a、第2圧入部34b)は、シリンダヘッド12の吸気バルブ配置空間40及び排気バルブ配置空間42の形成箇所に応じて相互の間隔が調整されている。以下、本実施形態に係るシリンダヘッド12の6つの吸気バルブ配置空間40のX2側からX1側に向かって順に符号A〜Fを付し、その圧入手順を説明する。図10Aに示すように、圧入部34は、第1圧入部34aが吸気バルブ配置空間40Aに対向する位置で、第2圧入部34bが吸気バルブ配置空間40Eに対向する位置に配置されるように構成されている。
プレス機36の圧入作業では、先ず第2圧入部34bを吸気バルブ配置空間40Cに対向させて圧入を行い(図10B参照)、次に第2圧入部34bを吸気バルブ配置空間40Dに対向させて圧入を行う(図10C参照)。この際、第1圧入部34aは、第2圧入部34bに対し一定間隔離れて支持されていることで、シリンダヘッド12のX2方向側に位置している。
その後、第1及び第2圧入部34a、34bを一体的に移動して、第1圧入部34aを吸気バルブ配置空間40Aに対向させて圧入を行うと同時に、第2圧入部34bを吸気バルブ配置空間40Eに対向させて圧入を行う(図10D参照)。最後に、第1圧入部34aを吸気バルブ配置空間40Bに対向させて圧入を行うと同時に、第2圧入部34bを吸気バルブ配置空間40Fに対向させて圧入を行う(図10E参照)。これにより、圧入装置10は、シリンダヘッド12の6つの吸気バルブ配置空間40A〜40F全てにバルブガイドG及びバルブシートSを短時間に圧入することができる(図10F参照)。
本実施形態に係る圧入装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にこの圧入装置10を用いたバルブガイドGとバルブシートSの圧入方法について説明する。
圧入装置10は、圧入動作前に、第1待機位置A1に第1搬送装置18を予め待機し、第2待機位置B1に第2搬送装置22を予め待機した状態としている。この際、図4Aに示すように、油圧装置56により、可動台70と搬送レール54が上方に押し上げられ、ガイド治具52が上側位置に退避し、載置面74aが搬送レール54よりも下側に位置している。すなわち、第1及び第2待機位置A1、B1には、シリンダヘッド12を受け入れ可能な空間が構築されている。そして、第1及び第2搬送装置18、22の各搬送レール54が各コンベア16、20、24の搬送高さと一致した状態となっている。
圧入装置10の圧入方法では、先ず作業員が、第1治具48に対しバルブガイドG及びバルブシートSをセットする(ステップS1:初期部品セット工程)。具体的には、ガイド治具52のガイド保持機構64の案内孔64aにバルブガイドGを挿入し、またシート治具60のシート保持機構72の保持体72aにバルブシートSを装着する。
そして、図1に示すように、シリンダヘッド12が上流コンベア16に供給されると、上流コンベア16を駆動してシリンダヘッド12をX1方向に搬送する(ステップS2:第1ワーク搬送工程)。シリンダヘッド12は、上流コンベア16に設けられた案内部材58によりヨー動作等が規制され第1待機位置A1に直線的に案内される。そして、シリンダヘッド12は、第1待機位置A1の搬送レール54に載置されることで、その移動が停止する。
次に、圧入装置10は、図3に示すように、油圧装置56を駆動して可動台70と搬送レール54を下方向に変位し、ガイド治具52とシート治具60の間にシリンダヘッド12を固定する(ステップS3:第1固定工程)。具体的には、油圧装置56によって搬送レール54が下側に移動することで、シート治具60の台座74にシリンダヘッド12を載置する。一方、可動台70は、油圧装置56によって搬送レール54よりも大きく下側に移動してシリンダヘッド12の上部を押さえる。その結果、可動台70と台座74の間でシリンダヘッド12を挟み込み、シリンダヘッド12を強固に固定することができる。シリンダヘッド12の固定状態では、シート保持機構72の一部がシリンダヘッド12の燃焼空間38内に入り込み、吸気バルブ配置空間40の軸線O1とシート保持機構72の軸線が同軸となる。
シリンダヘッド12の固定後、圧入装置10は、図6Aに示すように、角度調整機構82を駆動して、吸気バルブ配置空間40の軸線O1が垂直になるまでシリンダヘッド12を傾斜する(ステップS4:第1傾斜工程)。角度調整機構82は、傾動台62を傾けることにより、傾動台62の上部に設けたガイド治具52、シート治具60、油圧装置56及び案内部材58等を一体的に傾ける。
次に、第1搬送装置18は、図6Bに示すように、直動駆動機構80の搬送用モータ86を駆動して載置部18aをY1方向にスライド移動して、シリンダヘッド12を第1圧入位置A2に搬送する(ステップS5:第1搬送工程)。載置部18aのスライド移動時には、カムローラ68cがカムレール68dに接触して転がることになり、ガイド保持機構64及び保持ブロック66がカムレール68dの傾斜面に沿って可動台70に近接していく。これにより、第1圧入位置A2では、ガイド保持機構64の下端部がシリンダヘッド12の吸気バルブ配置空間40に対向し、ガイド保持機構64の軸線が吸気バルブ配置空間40の軸線O1と同軸となる。
その後、圧入装置10は、プレス機36の圧入部34により、シリンダヘッド12の吸気バルブ配置空間40にバルブガイドG及びバルブシートSを圧入する(ステップS6:第1圧入工程)。図8A〜図9Bに示すように、バルブガイドG及びバルブシートSの圧入は、プレス機36の圧入ロッド126と圧入ブロック130を進出することにより実施される。バルブガイドG及びバルブシートSの圧入は、6つの吸気バルブ配置空間40全てに対し実施する。
また第1圧入工程中において、作業員は、第2待機位置B1に移動し、排気バルブ配置空間42に圧入するバルブガイドG及びバルブシートSを第2治具50にセットする(ステップS7:第1セット工程)。バルブガイドG及びバルブシートSのセット方法は、初期部品セット工程と同様である。なお第1セット工程は、第1圧入工程中に限定されず、例えば、第1固定工程から後述する第1固定解除工程の間で作業員が適当なタイミングで行ってよい。
第1圧入工程後、圧入装置10は、図1に示すように、シリンダヘッド12を第1圧入位置A2から第1待機位置A1に戻す(ステップS8:第1搬送復帰工程)。すなわち、第1搬送装置18の搬送用モータ86を駆動して載置部18aをY2方向にスライドすることにより、シリンダヘッド12を第1待機位置A1に移動させる。第1圧入位置A2において可動台70に近接していたガイド保持機構64及び保持ブロック66は、第1待機位置A1への移動にともない可動台70から離間する。
第1搬送復帰工程後、第1搬送装置18は、角度調整機構82を駆動して傾動台62を水平に戻すことでシリンダヘッド12の姿勢も水平にする(ステップS9:第1傾斜復帰工程)。さらに、油圧装置56を駆動することにより、可動台70及び搬送レール54を上方向に移動して、シリンダヘッド12の固定を解除する(ステップS10:第1固定解除工程)。
その後、第1待機位置A1にあるシリンダヘッド12を、中間コンベア20を介して第2待機位置B1に搬送する(ステップS11:第2ワーク搬送工程)。第2待機位置B1では、排気バルブ配置空間42にバルブガイドGとバルブシートSを圧入するため、上述したステップS3〜S10と略同様のステップを実施する。
すなわち、圧入装置10は、第2治具50を介して第2搬送装置22にシリンダヘッド12を固定する(ステップS12:第2固定工程)。その後、第2搬送装置22の角度調整機構82によりシリンダヘッド12の傾きを調整する(ステップS13:第2傾斜工程)。この第2傾斜工程では、シリンダヘッド12の排気バルブ配置空間42の軸線O2が垂直となるように、第2搬送装置22が第1搬送装置18と逆方向にシリンダヘッド12を傾ける。
そして、本実施形態に係る圧入装置10は、プレス機36のスライド移動を、ステップS13の開始をトリガーとして実施する構成となっている。すなわちステップS14において、圧入装置10は、プレス機36のプレス機移動機構102を駆動することにより、第1圧入位置A2に位置している圧入部34を第2圧入位置B2に直線的に移動する(圧入部移動工程)。この際、プレス機36は、レール32に沿って案内されることで、第2圧入位置B2に容易にスライド移動する。
一方、第2搬送装置22は、第2傾斜工程後に、シリンダヘッド12を第2圧入位置B2に搬送する(ステップS15:第2搬送工程)。そして、ステップS13で第2圧入位置B2に位置決めされた圧入部34が、排気バルブ配置空間42に対しバルブガイドGとバルブシートSを圧入する(ステップS16:第2圧入工程)。バルブガイドG及びバルブシートSの圧入は、6つの排気バルブ配置空間42全てに対し実施する。これにより、シリンダヘッド12は、吸気バルブ配置空間40及び排気バルブ配置空間42の全てにバルブガイドG及びバルブシートSが圧入される。
また、第2圧入工程中において、作業員は、第1待機位置A1に移動し、吸気バルブ配置空間40に圧入するバルブガイドG及びバルブシートSを第1治具48にセットする(ステップS17:第2セット工程)。このように圧入部34が動作している際にバルブガイドG及びバルブシートSを他の治具にセットするようにすれば、作業員の作業時間を有効活用することができるので、シリンダヘッド12の生産性向上を図ることができる。なお、第2セット工程は、第1セット工程と同様に、第2圧入工程中に限定されず、例えば、第2固定工程から後述する第2固定解除工程の間で作業員が適当なタイミングで行ってよい。
第2圧入工程後は、第2圧入位置B2から第2待機位置B1にシリンダヘッド12を復帰させる(ステップS18:第2搬送復帰工程)。そして、シリンダヘッド12の傾きを水平に戻すと共に(ステップS19:第2傾斜復帰工程)、シリンダヘッド12の固定を解除する(ステップS20:第2固定解除工程)。最後に、第2待機位置B1にあるシリンダヘッド12を下流コンベア24に送り出す(ステップS21:第3搬送工程)。これにより、圧入装置10は、シリンダヘッド12に対するバルブガイドGとバルブシートSの圧入を完了する。
なお、圧入部移動工程の実施タイミングは、上記のステップS13のタイミング以外で実施してもよい。圧入部移動工程は、特にステップS8〜ステップS13の工程中に実施すれば、圧入装置10の動作を効率的に行うことができる。
以上のように、本実施形態に係る圧入装置10及び圧入方法によれば、第1圧入位置A2と第2圧入位置B2間を直線的に延在するレール32に沿って圧入部34が移動することで、位置決めを効率的且つ精度よく行うことができる。すなわち、圧入部34は、第1圧入位置A2において吸気バルブ配置空間40に圧入動作を行った後、X1方向のスライド移動のみで、第2圧入位置B2に配置される。圧入部34が第2圧入位置B2から第1圧入位置A2に移動する場合もX2方向のスライド移動のみで、位置決めが可能となる。
ここで、例えば、圧入部を多関節型のロボットハンド等により構成した場合は、圧入部の位置決めが難しくなり、圧入品質がばらつく可能性が高まる。これに対し、本実施形態に係る圧入装置10は、プレス機36がレール32上を移動すするので、圧入部34の位置決めにかかるエネルギが大幅に低減し、また圧入部34の位置決めが簡単化する。さらに、直線状のレール32は、プレス機36の移動距離を最短とすることができる。その結果、圧入部34とシリンダヘッド12の位置決め精度が向上すると共に、位置決めにかかる時間を短縮することができる。
また、圧入装置10は、圧入部34が吸気バルブ配置空間40と排気バルブ配置空間42の両方にバルブガイドG及びバルブシートSを圧入することにより、装置全体の稼働率を向上することができる。この場合、圧入部34の校正等を一度行うことで、吸気バルブ配置空間40と排気バルブ配置空間42に対する圧入精度を統一することが可能となる。よって、圧入後の品質が安定すると共に、校正の時間及びコストを低減することができる。
また、第1固定工程では、第1治具48を介して第1搬送装置18にシリンダヘッド12を固定することにより、バルブガイドG及びバルブシートSを吸気バルブ配置空間40に簡単に対向させることができる。これにより、圧入部34による圧入をスムーズに促すことができる。また第2固定工程でも同様の効果が得られる。
さらに、第1傾斜工程(又は第2傾斜工程)を実施することにより、吸気バルブ配置空間40と排気バルブ配置空間42が非平行のシリンダヘッド12でも、圧入部34側を傾ける必要がなくなる。よって、圧入部34を有するプレス機36の構造をより簡素化することができ、プレス機36の故障頻度やコストを低減することができる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。