ジュース等の飲料を充填し、上部の開口部を蓋材で密封して使用するカップ状紙容器は、紙を基材とし両面にポリエチレン等の熱可塑性樹脂層を設けた積層材料を所定の形状に打ち抜いたブランクを、胴部に接合部を設けて成形した紙カップが一般的であった。
また、酸素や水蒸気等のガスに対するバリア性を必要とする場合、前記胴部の構成材料として、例えば、表側から、ポリエチレン/紙/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレン、またはポリエチレン/紙/ポリエチレン/金属酸化物蒸着層を有するプラスチックフィルム/ポリエチレンのような積層材料を用いて成形した紙カップを用いることが多かった。
紙カップの接合部のバリア性を確保するため、例えば、紙カップの胴部を構成する胴部材の接合部の両側端の端面を保護するための端面処理(エッジプロテクト)の方法として、図13(a)〜(c)に示すスカイブヘミングと呼ばれる方法も知られている。
この方法では紙基材(101)に熱可塑性樹脂(102)を積層した図13(a)に示すような積層シートからなる胴部材(100)の最外層端縁部を切削ミーリング方式あるいは切削ベルナイフ方式等により図13(b)に示すように胴部材(100)の厚みの約半分をスカイブ(切削)する。次に、スカイブした残りの半分を削除面が内側になるようにヘミング(折り返し)し、図13(c)に示すように熱可塑性樹脂によって紙端面を保護する。
紙端面のスカイブヘミング加工を行うためには、あらかじめ打ち抜いた胴部材ブランクを紙カップに成形する前に、特別の加工機械を用いて紙端面のスカイブヘミング加工を行うことが必要である。また、スカイブ端面を一直線上にそろえる必要があるために、カップ成形機でスカイブヘミング加工をすると同時にカップ成形をすることは困難であった。このようにスカイブヘミング加工は複雑な加工工程を経なければならず、さらに、用紙をスカイブ(切削)するため紙粉が発生し、紙粉の完全除去が困難であった。
スカイブヘミング加工はさらに、スカイブ深さの管理が難しく成形後にスカイブ部からの切れが発生する場合があり、サイドシール等が安定しないという問題もあった。加えて、スカイブヘミング加工でのスカイブ後の折り返し接着には糊を使用するため、糊の量や位置等の管理が難しかった。
スカイブヘミング加工を行わずに紙カップの胴部を構成する胴部材の接合部の両側端の端面を保護して端面処理を行いバリア性に優れた紙カップを作製する端面処理の方法として、紙基材の表面を覆う耐水耐油性の熱可塑性プラスチックフィルムの延設によって端面が覆われたブランクを用い、紙カップを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この紙基材の端面を保護した、バリア性を有する紙カップにおいては、胴部貼り合わせ部の内側の端縁は全体にわたって熱可塑性樹脂層が紙基材から延出して作製されている。このように、紙基材から延出した熱可塑性樹脂層のフィルムは、カップ成形する際に、不規則に成形されてしまい、本来の目的である紙基材の端面を被覆することが十分にできな
かった。また、紙カップとしての仕上がりが悪く、外観的に不具合が生じてしまう等の問題があった。のみならず、上記の熱可塑性樹脂層は耐水耐油性および蒸気バリア性とともに成型時のヒートシール性というシーラントとしての性質を併せ持つことが要求されるため機械的強度に関しては軽視されがちであった。
さらに、少なくとも内面に熱可塑性樹脂層が設けられた紙を基材とする積層シートを所定の形状に打ち抜き、一方の側端縁に外方に延出する樹脂部を、基材の端面に沿って、密着被覆させたブランクを、他方の側端縁の内側となるように重ね合わせ、密着することにより胴部貼り合わせ部を形成した紙容器が提案されている(特許文献2参照)。
この紙容器では、カップ状容器の場合、開口部に胴部材の上端縁部を巻き込んでフランジ部が形成されているため、フランジ部で、基材の紙の厚みによる段差部が生じる。そのため、フランジ部の上面に蓋材を重ね、そのまま加熱シールした場合、前記段差部により密封を確実に行うことができなかった。特に、フランジ部が扁平状態の場合、基材の厚みによる影響が大きかった。
また、蓋材による密封を確実に行うためには、フランジ部の上面の段差部を埋めるための別の樹脂等からなる充填部材を設け、段差部を解消するために前記段差部の位置の密封シールを部分的に行なわなければならなかった。
さらに、内面に熱可塑性樹脂層が設けられた紙を基材とする積層シートを所定の形状に打ち抜き、一方の側端縁に外方に延出する樹脂部を外面側に折り返した折り返し樹脂部を有するブランクを、他方の側端縁の内側となるように重ね合わせて基材に密着することにより胴部貼り合わせ部を形成した紙容器も提案されている(特許文献3参照)。
この紙容器では、貼り合わせ部における内面側基材端面は、熱可塑性樹脂層で被覆することにより保護されている。特許文献3にはまた、カップ状容器の場合、開口部に胴部材の上端縁部を巻き込んで形成されているフランジ部で、基材の紙の厚みによる段差部が生じないように、フランジ部の上面に蓋材を重ね、そのまま加熱シールしても密封が確実に行うことが出来るようにブランクの一部を切除するという解決策も用意されている。
容器に用いる紙の端面からの水分浸透による劣化を防止するための方法としては、端面をプラスチックフィルムで覆う方法以外にも紙自体の耐水性を改良することによってこの目的を達成する方法が提案されている。
特許文献4では、胴部と底部のブランク板が、少なくとも最外層の耐熱性熱接着性樹脂層と、中間層のコップ原紙およびガスバリア層と、最内層の耐熱性熱接着性樹脂層とを含む積層シートで形成され、且つ、該コップ原紙の米坪量が150〜400g/m2の範囲であって、該コップ原紙のステキヒト・サイズ度が400秒以上である原紙を使用する、レトルト殺菌処理可能な紙カップが提案されている。
ステキヒト・サイズ度が400秒を下回る場合はコップ原紙の耐水度が不足し、積層シート端縁部の端面は、外部に露出しているため、レトルト殺菌処理の加熱蒸気がこの部分からコップ原紙の内部に浸透し、ふやけ現象を発生すると共に、剛性の低下により容器の変形も認められるとされている。
ここでは、熱水が浸透しにくい紙を使用してはいるが、レトルト殺菌時に加わり得る高圧条件下で熱水の浸透を完全に防ぐのは困難である。また、水分浸透性の指標としてのステキヒト・サイズが通常の倍以上の秒数の原紙が必要となり、特殊な紙を使用する必要があるので経済性および加工技術面からの問題もある。
基材に用いる紙として、熱水浸漬時にも強度が低下し難い加工を施した紙を使用することによってレトルト殺菌時の熱水にも耐えるカップ状容器とする試みも提案されている。
特殊な紙を必要としない方法として、特許文献5には、耐熱性、耐水性、耐摩擦性および耐レトルト性に優れた塗膜物性が得られるα−メチルスチレンとメタクリル酸メチル、およびカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を必須成分とする水性アクリル樹脂を紙基材へ塗工して耐久性を付与することが提案されている。
さらに特許文献5には、含浸により紙基材の繊維構造物内部にポリイソシアネート化合物を導入し、繊維自体に被膜を形成して繊維の絡み合い部分に固着し水と尿素化合物を生成させることを併用することも提案されている。生成した尿素化合物は耐水性、耐熱性に優れるため、その含浸物である繊維構造物に極めて高い乾燥強度、湿潤強度、耐熱水性を付与することができるとされている。
この方法によれば、たとえばレトルト殺菌時に紙基材内部に熱水が浸透しても紙基材に極めて高い乾燥強度、湿潤強度、耐熱水性が付与されているためにふやけ現象を発生することがなく、剛性の低下により容器の変形が発生することがない。
しかしながら、高温高圧でのレトルト殺菌時に紙基材内部に浸透した熱水を蒸発させる過程で内部の水蒸気を外部に蒸散させるための水蒸気透過性が必要であるため、紙基材表面の印刷適性を確保するためのコート層の形成に限界があり美麗な容器とならない場合があった。
特許文献6には、トップ材とサイド材とボトム材を持ち、サイド材とトップ材を接着する部分を形成する際に、サイド材のトップ側およびボトム側の端部を容器内側にカーリングさせる工程において、サイド材端部を1周以上カーリングさせることによってサイド材端部のエッジを容器外部に露出させない構造とした紙容器が提案されており、胴部サイド材の重なる端面のみならずトップとボトムの胴部サイド材の端面も確実に封止して端面からの熱水等の浸透を防止する容器となっている。
以上のように、液体紙容器のバリア性を熱水レトルト処理に耐え得るまで強化するために特に紙基材の端面からの水分浸透を防止する多くの提案によって、従来困難であった紙容器の耐水性確保の課題は一定の前進をみている。
しかしながら、紙基材表面に設けられる熱可塑性樹脂層は耐水耐油性というバリア性とともに成型時のヒートシール性というシーラントとしての性質を併せ持つことが要求されるため機械的強度の不足に起因する問題に関しては軽視されがちという特許文献1について指摘した問題点は未だ解決されていない。
紙基材表面に設けられた熱可塑性樹脂層の機械的強度が不足することよって引き起こされる問題のうちで深刻なのは成型時のダメージによる表面の傷であって、これによって生成したピンホールやクラック等の孔によって必要なバリア性が失われてしまい、特に熱水と圧力という条件の厳しい熱水レトルト工程に耐えられなくなることである。
紙カップの成型時のダメージのうちで典型的なのは容器底部を形成する工程において、筒状に形成した胴部材の底部を、金型上に載置した底部材(ボトム材)の外周周縁部(起立部)を巻き込むようにカールさせる(ボトムインカール)時に胴部材の底部外周に金型が当たることによって表面の熱可塑性樹脂層が削られて孔が出来、この孔からの熱水の浸透によってレトルト処理時に基材の紙が膨潤してしまう場合である。
さらに内側にカールさせた胴部材の底部を、底部材外周を挟む形で圧着するかしめ作業の工程でも、胴部材底部を内側から底部材起立部に押し付けながら回転するローレットまたは内側から膨張するエキスパンションの目によって熱可塑性樹脂層が切られて孔が出来
、この孔からの熱水の浸透によってレトルト処理時に基材の紙が膨潤してしまう場合もある。
胴部材をカールさせるときに起こる、表面の熱可塑性樹脂層が削られて孔が出来るという上記の問題に対しては、熱可塑性樹脂層を構成する層中に機械的強度の高いたとえば、延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等のプラスチックフィルムを用いることによってカップ成形時の孔の生成を防止する技術がいくつか提案されている。
たとえば、カップ状紙容器の胴部材の容器外面側に、シーラント層に挟まれた、耐熱性と耐摩擦性にすぐれたポリエチレンテレフタレート層またはナイロン層を設けることにより、カップ成型時の胴部材表面の孔傷の発生を防止して、熱水の浸透力に対する抵抗の強い、熱水式レトルト処理も可能なバリア性を保持できるカップ状紙容器が提案されている(特願2010−051476号)。
また、紙カップの胴部材の基材外面側に積層する耐熱性と耐摩耗性にすぐれたポリエチレンテレフタレート層またはナイロン層からなる耐熱耐磨耗性樹脂層をドライラミネート法により設けることにより、カップ成型時の成形性を保持しながらシーラント層の密着性を向上させた紙カップの作成方法が提案されている(特願2010−139226号)。
さらに、シーラント層として無延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂層の内面にポリプロピレン(PP)樹脂とポリエチレン(PE)樹脂の混合層を形成したものを用いて、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂又は酸変性中密度ポリエチレン樹脂により押出しラミネートすることで成形性を保持しながらシーラント層の密着性を向上させることが提案されている(特願2010−160524号)。
カップの胴部材に耐熱耐磨耗性樹脂層をドライラミネート法により設けることにより、カップ成型時の成形性を保持しながらシーラント層の密着性を向上させた以上の提案により熱水レトルト処理への耐性を向上させるいくつかの解決策が示されたが、バリア性の保持という点から見るとつぎのような問題を残していた。
紙基材表面に設けられる熱可塑性樹脂層のみではバリア性の程度が不足する場合に、金属や無機化合物の蒸着層をプラスチックフィルム上に設けた積層体をガスバリア層として用いることがよく行われる。
この場合の蒸着層は伸展性が少ないものが多く、一般に蒸着厚みが薄いこともあって上記のような成型工程において、破断して孔が明き易い性質を持っており、成型後も必要なバリア性を確保することは容易ではない。
図11及び図12を参照して容器底部を形成する工程の場合における上記の問題の一例を具体的に説明する。
通常紙カップの底部の成型においては、扇形に打ち抜いた胴部材(サイド材)の両側端を重ねて接着して円錐状となし、この底部に円形の底部材(ボトム材)の外周部を起立させたものを嵌め込んで環状脚部を形成することが行われる。
図11の(a)には両側端を接着して円錐状に形成された胴部材(18)をその下端部(19)を上にして円錐台上金型(C1)に嵌めこみ、その内側に起立部(21)を上側にした底部材(20)を上記金型(C1)の上に載置した様子を模式的に断面図で示してみた。
次に胴部材下端部(19)を底部材の起立部を挟み込むように内側へカールさせるボトムインカールの様子を図11の(b)に示した。
ここでは、胴部材下端部(19)をその外側上部から底部材の起立部を越えて内側へ曲げるためにボトムインカール金型(C2)の内側が胴部材下端部の外側に加圧接触するので、しばしば胴部材の容器外側の熱可塑性樹脂層に含まれる金属や無機化合物蒸着層等のバリア性を確保する機能を有する層が傷つけられる、あるいは伸ばされてクラックを生じる、はなはだしくは破断するということが起こる。
ボトムインカールの次の環状脚部の圧着の代表的な例を図12に示した。
内側にカールした胴部材の下端部(19)を環状脚部の内側から底部材の起立部に圧接する方法としては、(a)のように環状脚部の内側に外側に向けて加圧しながら回転するローラー(ローレット)を挿入してローレット(C3)を回転させながら圧着する方法や、(b)のようにローレットの代わりにエキスパンション部材(C4)を環状脚部の中に挿入して広げることで圧着することが出来る。
この場合にも、胴部材下端部(19)の容器外側の面とローレットもしくはエキスパンション部材が加圧接触するために、胴部材の容器外側の熱可塑性樹脂層に含まれる金属や無機化合物蒸着層等のバリア性を確保する機能を有する層が傷つけられる、あるいは伸ばされてクラックを生じる、はなはだしくは破断するということが起こる。
紙カップのトップカールを形成する工程と超音波圧着によってトップフランジを形成する工程に於いても容器外側の面と圧着金型との接触が起こる場合には、同様に摩擦によって胴部材の熱可塑性樹脂層に含まれる金属や無機化合物蒸着層等のバリア性を確保する機能を有する層が傷つけられる、あるいは伸ばされてクラックを生じる、はなはだしくは破断するということが起こる。
このように、金属や無機化合物蒸着層等のバリア性を有する層は紙カップの成型工程中では胴部材の側端縁にはみだした熱可塑性樹脂層中にも含まれる場合があり、この熱可塑性樹脂層を折り曲げる工程でも同様の不具合が起こることがある(図10参照)。
本発明は、重ね合わせ部に位置する側端縁が、延出した熱可塑性樹脂層からなる樹脂部フィルムがはみだして形成されている胴部材を用いてバリア性に優れた容器を成形する際に発生する以上のような問題に鑑みてなされたもので、基材の紙端面のみならず紙表面の被覆の遮水性を含むバリア性を保持できる熱水レトルト処理可能な紙カップを提供することを課題とする。
本発明は、紙カップの胴部材の基材外面に積層された、バリア性にすぐれた樹脂層からなる保護層を、金属または無機化合物蒸着プラスチックフィルムからなるガスバリア層の紙基材側に設けることにより、トップカール、ボトムカール等の容器成型の際にガスバリア層の蒸着膜にクラックが入った場合でもクラックから浸透してくる水分を遮断すること
が出来、これにより、カップ成型時の胴部材表面の孔傷の発生を防止して、熱水の浸透力に対する抵抗の強い、熱水式レトルト処理も可能な耐水性を保持できる紙カップとしたものである。
本発明の請求項1の発明は、内面及び外面に熱可塑性樹脂層が設けられた、紙を基材とする積層シートから構成されたブランクの、一方の側端縁を他方の側端縁に重ね合わせた胴部貼り合わせ部を有する紙カップにおいて、紙基材の外面側に設けられた熱可塑性樹脂層は、金属または無機化合物蒸着プラスチックフィルムからなるガスバリア層と、ガスバリア層よりも紙基材側に設けられたエチレンービニルアルコール共重合体からなる保護樹脂層とを含んでいることを特徴とする紙カップである。
本発明の請求項2の発明は、前記外面側に設けられた熱可塑性樹脂層に含まれる保護樹脂層がガスバリア層の紙基材側の面に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の紙カップである。
本発明の請求項3の発明は、保護樹脂層の設けられたガスバリア層を含む熱可塑性樹脂層をポリプロピレン樹脂の押出しラミネートによって表面側がポリプロピレン樹脂である積層フィルムを介して紙基材に積層したことを特徴とする請求項2に記載の紙カップである。
本発明の請求項4の発明は、前記外面側に設けられた熱可塑性樹脂層に含まれる保護樹脂層が紙基材のガスバリア層側の面に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の紙カップである。
本発明の請求項5の発明は、前記ブランクの重ね合わせ部の内側に位置する側端縁は、前記紙基材の側端縁から延出する樹脂部を、基材の外面側に折り返した折り返し樹脂部を有し、前記ブランクの重ね合わせ部の外側に位置する側端縁は、前記紙基材の側端縁から延出する樹脂部を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の紙カップである。
本発明の請求項6の発明は、前記ブランクの重ね合わせ部の外側に位置する側端縁から延出する樹脂部が、紙基材の外面側または内面側に折り返した折り返し樹脂部を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の紙カップである。
本発明の請求項7の発明は、前記ブランクの重ね合わせ部の外側に位置する側端縁から延出する樹脂部が、前記重ね合わせ部の内側のブランクに重ねて圧着していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の紙カップである。
本発明の請求項8の発明は、前記内側及びまたは外側に位置する側端縁から延出する樹脂部は、側端縁の全長に設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の紙カップである。
本発明の請求項1に係る発明によれば、内面及び外面に熱可塑性樹脂層が設けられた、紙を基材とする積層シートから構成されたブランクの、一方の側端縁を他方の側端縁に重
ね合わせた胴部貼り合わせ部を有する紙カップにおいて、片面に設けられた熱可塑性樹脂層は、金属または無機化合物蒸着プラスチックフィルムからなるガスバリア層と、ガスバリア層よりも紙基材側に設けられたエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン(Ny)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)のいずれかからなる保護樹脂層とを含んでいることによって、保存時や輸送時の外部からの摩擦や衝撃に対する耐久性に優れている紙カップとすることが出来る。
のみならず、容器底部の成型の際にボトムインカール金型の内側が胴部材下端部の外側に加圧接触する時に起こるガスバリア層のクラック等の傷つきや、環状脚部の圧着の際に胴部材下端部の外側の面とローレットもしくはエキスパンション部材が加圧接触する時に起こるガスバリア層のクラック等の傷つきによるバリア性の劣化に対しても、保護樹脂層の追随によりバリア性の確保と傷やピンホールに起因する紙基材層への熱水の浸透防止が可能になる。紙カップ頂部の成型の際にも同様の防止効果が期待できる。
本発明の請求項2に係る発明によれば、前記片面に設けられた熱可塑性樹脂層に含まれる保護樹脂層がガスバリア層の紙基材側の面に設けられていることによって、成型工程中でガスバリア層にかかる応力を緩和してクラックの発生をガスバリア層の全面に渉って防止する効果がある。それとともに発生したクラックからの水分等の浸透をクラックから最も近い位置でせき止めて紙内部への侵入による紙基材の劣化を効果的に防止することが可能となる。
本発明の請求項3に係る発明によれば、保護樹脂層の設けられたガスバリア層を含む熱可塑性樹脂層がポリプロピレン樹脂の押出しラミネートによって表面側がポリプロピレン樹脂である積層フィルムを介して紙基材に積層されていることによって、押出しラミネート法により紙基材層に積層されている場合における製造時の積層のための熱圧により起こる以下の問題を効果的に回避してシーラント層としての熱溶融性と必要な耐熱性を持つポリプロピレン樹脂を効果的に使用することが出来る。
基材となる紙に、保護樹脂層を積層する方法として押出しラミネート法をもちいた場合には、外側のシーラント層に用いる樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)の融点よりも低い融点の樹脂(例えばポリエチレン樹脂)を基材と例えばポリエチレンテレフタレート層の間に熱溶融させて層状に形成する必要がある。
このような構成の積層体を用いてカップ状に成型を行う場合には、ブランクス端部において外側のシーラント層を熱溶融させて内側表面に溶着することが必要であるが、この時の加熱によって紙基材とポリエチレンテレフタレート層の間にある融点の低いポリエチレン樹脂が溶融して加熱された紙基材から発生する水分の蒸発によって発泡して空気層が出来ると、浮いた熱可塑性樹脂層が強く加熱され、密封性を破壊するピンホール等の孔が発生しやすくなるということが起こる。
カップ成型時の貼り合わせにおける以上のような不良発生を防止するためには、保護樹脂層と紙基材層を含む熱可塑性樹脂層の層構成として、接着にポリプロピレン樹脂の押出しラミネート法を用いることが有用である。
ただし、ポリプロピレン樹脂は紙基材にはそのままでは接着性が悪いのであらかじめ紙基材表面にドライラミネートしたポリエチレンテレフタレートフィルム等を介してポリプロピレン樹脂を積層することが望ましい。
本発明の請求項4に係る発明によれば、前記片面に設けられた熱可塑性樹脂層に含まれる保護樹脂層が紙基材のガスバリア層側の面に設けられていることによって、押出しラミネート法により紙基材層に積層されている場合における製造時の積層のための熱圧により
起こる上記の問題を効果的に回避することが出来る。
カップ成型時の貼り合わせにおける前記のような不良発生を防止するためには、保護樹脂層と紙基材層を積層する方法として、接着にイソシアネート系の接着剤を用いたドライラミネート法を採用することが有用である。イソシアネート系の接着剤を用いたドライラミネート法においてはラミネート後の硬化した接着剤層が実質的に熱溶融しない状態であるために、上記のような貼り合わせ時の発泡や孔傷等の不良発生を防止することが出来る。
その結果、バリア性の確保と熱可塑性樹脂層の傷やピンホールに起因する紙基材層への熱水の浸透防止がより確実に可能になる。
このような紙基材層への熱水の浸透防止を安定して確実に行うことは熱水を使用したレトルト殺菌を含む工程に於いて特に重要である。
本発明の請求項5に係る発明によれば、前記保護樹脂層に用いられるナイロン樹脂がポリメタキシリレンアジパミドであることによってバリア性の確保と熱可塑性樹脂層の傷やピンホールに起因する紙基材層への熱水の浸透防止がさらに確実になる。
保護樹脂層としては、レトルト耐性の優れたエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)、バリア性の優れたナイロン(Ny)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が挙げられ、これらの中から適宜選択して使用することができるが、特にナイロン樹脂のなかでもバリア性の優れたMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)の延伸フィルムが望ましい。
本発明の請求項6に係る発明によれば、前記ブランクの重ね合わせ部の内側に位置する側端縁は、前記紙基材の側端縁から延出する樹脂部を、紙基材の外面側に折り返した折り返し樹脂部を有し、前記ブランクの重ね合わせ部の外側に位置する側端縁は、前記紙基材の側端縁から延出する樹脂部を有することで、貼り合わせ部における外面側基材端面が重ね合わされている状態で胴部貼り合わせ部に段差部が生じ、外観上不都合なだけでなく、重ね合わせ時のシワ等により外部からの水分の浸透が起こりやすいという問題をなくすことが出来る。
本発明の請求項7に係る発明によれば、前記ブランクの重ね合わせ部の外側に位置する側端縁から延出する樹脂部が、紙基材の外面側または内面側に折り返した折り返し樹脂部を有することにより、紙基材端部の封止が確実に行えるだけでなく、胴部貼り合わせ部の樹脂量が確保でき、さらに、ガスバリア層を含む熱可塑性樹脂層の場合、前記ガスバリア層の端面が露出しない紙カップが得られる。
本発明の請求項8に係る発明によれば、前記ブランクの重ね合わせ部の外側に位置する側端縁から延出する樹脂部が、前記重ね合わせ部の内側のブランクに沿って密着していることによって紙基材端部の封止が確実に行えるだけでなく、胴部貼り合わせ部の樹脂量が確保できる紙カップが得られる。
本発明の請求項9に係る発明によれば、前記内側及びまたは外側に位置する側端縁から延出する樹脂部は、側端縁の全長に設けることで、フランジ部以外の胴部貼り合わせ部の密封性の優れた紙カップが得られる。
本発明のバリア性と耐熱性を有する紙カップの実施形態例を必要に応じて図面を参照して以下に詳細に説明する。
本発明の紙カップの胴部材ブランクの簡単な断面説明図を図2に示した。説明に直接関係のない部分は省略した。
本発明の紙カップは内面及び外面に熱可塑性樹脂層が設けられた、紙を基材とする積層シートから構成されたブランクの、一方の側端縁を他方の側端縁に重ね合わせた胴部貼り合わせ部を有する紙カップにおいて、片面に設けられた熱可塑性樹脂層は、金属または無機化合物蒸着プラスチックフィルムからなるガスバリア層と、ガスバリア層よりも紙基材側に設けられた保護樹脂層とを含んでいる紙カップである。
この保護樹脂層は図2(a)に示すように熱可塑性樹脂層を構成する前記ガスバリア層の内面(紙基材側の面)に配置されていることによってガスバリア層の表面を保護する強度と同時にカップ成形時のガスバリア層の伸縮による蒸着膜のクラックを通した水分透過を抑制するためのバリア性とを全面に備えている。
また、この保護樹脂層は図2(b)に示すようにガスバリア層側の紙基材の表面に配置されていても良い。この場合は胴部材ブランク両側端での延接樹脂部での効果が抑制される可能性はあるが、保護樹脂層の紙基材との積層をドライラミネートで行うことによってカップ成形時の安定性を向上させるという効果がある。
以下の説明ではおもに保護樹脂層が紙基材の表面に配置されている場合の例を取り上げ、保護樹脂層がガスバリア層の表面に配置されている場合については必要に応じて説明する。
紙基材層(1)は通常のカップ原紙として用いられるものであればよく、特に限定はしないが、印刷適性と紙力を有し、成形性に優れ、且つ表面強度が強いカップ紙の坪量100〜500g/m2程度のものが好んで用いられる
容器外側の熱可塑性樹脂層(41)を構成するシーラント層及び容器内側の熱可塑性樹脂層(40)を構成するシーラント層はヒートシール性を有する樹脂、たとえば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が通常用いられる。
代表的なのはポリプロピレン樹脂であるが、レトルト処理等の耐熱性が要求されない場合には低密度ポリエチレン樹脂や中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンなどの低融点樹脂を組み合わせて使用することも出来る。シーラント層の膜厚は通常10μmから60μmであり、エクストルーダー等の熱溶融押出しやドライラミネート等公知の方法によって設けることが出来る。
ガスバリア層(2a)としては、アルミニウムなどの金属、またはシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウムなどの無機酸化物の蒸着層を延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムなどの延伸ポリエステル樹脂フィルムや、延伸ナイロン樹脂フィルムなどの延伸ポリアミド樹脂フィルムに設けた蒸着フィルムを用いることが出来る。
本発明の紙カップに用いる保護樹脂層(41b)としては、使用時及び工程中での熱と摩擦により傷やピンホール等の欠陥を生じない程度の必要な機械的特性を持った材料が使用できるが、成型性やシーラント層との接着性等の加工適性および蒸着層にクラックが入った場合のバリア性の保持を考慮すると、レトルト耐性の優れたエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、バリア性の優れたナイロン(Ny)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂が挙げられる。
ナイロン樹脂のなかでもバリア性の優れたMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)樹脂の延伸フィルムが最適である。
保護樹脂層(41b)の厚さは6μm未満であると必要な特性を確保することが困難になり、30μmよりも大きいと成型時の加工性が悪くなってしまうので、厚さは6μm以上30μm以下であることが望ましい。
上記保護樹脂層(41b)と紙基材層(1)はイソシアネート系接着剤を用いた通常のドライラミネート法により接着することが出来、接着剤の架橋硬化後はこの接着層は加熱により溶融することはない。イソシアネート系の接着剤の構成成分としては保護樹脂層(41b)と紙基材層(1)との接着適性を考慮して適宜選択できる。
図1は本発明の紙カップの製造工程を簡単に示す説明図である。
図1に示すように、胴部材(18)を、両側端縁上部にそれぞれ切欠き部(31)(32)を設けた胴部材ブランク(10)の、一方の端縁(11)をもう一方の端縁(12)に重ね合わせて胴部貼り合わせ部(15)を形成させて円筒形状とする。
また、底部材(20)は、円形状で、下向きに起立させた周縁部(21)を有する。そして、前記胴部材(18)の下部内面に、底部材(20)の周縁部(21)の外面を接合させる。
さらにボトムインカール金型の内面に沿って周縁部(21)を覆うように、前記胴部材(18)の下端縁部を外側から内方に折り曲げ、底部材の周縁部(21)内面に接合させて、ローレットまたはエキスパンダで圧着することにより環状脚部(22)を形成させる一方、胴部材の上部周縁を外方に、1周以上巻き込み、フランジ部(16)を形成させて紙カップとする。
内容物収納後の状態は図示しないが、蓋材によって密閉する工程を経る場合にはフランジ(16)の上面を超音波加熱により平面化しながらシールを行う場合がある。この場合にも保護樹脂層によって蒸着層のクラックから生じるバリア性の低下を抑制する本発明の効果は有用である。
なお、このような構造は、テーパー状の紙カップに限定されず、円筒状のカップ状紙容器であっても同様である。さらには、内容物および外部環境からの水分の浸透等に対する紙基材接合部のエッジプロテクトを要求される紙容器であっても以下の接合部の構造の基本は同じである。
本発明の紙カップは、図2に示すように紙基材層(1)とガスバリア層(2a)との間にレトルト耐性の優れたエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂層、バリア性の優れたナイロン(Ny)樹脂層、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂層のいずれかの樹脂層を形成してなるものであるから、カップ成形工程においてガスバリア層(2a)の蒸着層にクラックが発生してバリア性が低下することに対する抵抗性に優れている容器とすることが出来る。
さらに、図11及び図12を用いて説明したように、紙カップ底部の成型の際にボトムインカール金型(C2)の内側が胴部材下端部(19)の外側に加圧接触するために起こる、熱可塑性樹脂層の傷つきやクラックによるバリア性の低下や、環状脚部(22)の圧着の際に胴部材下端部(19)の容器外側の面とローレット(C3)もしくはエキスパンション(C4)部材が加圧接触するために起こる熱可塑性樹脂層の傷つきやクラックによるバリア性の低下を防止できるので、バリア性の確保と熱可塑性樹脂層の傷やピンホールに起因する熱水の浸透を効果的に防止することが可能になる。
図3は本発明の紙カップの胴部貼り合わせ部の一例を示す断面説明図であり、(a)は胴部貼り合わせ部の内側となるブランクの断面説明図、(b)は胴部貼り合わせ部の外側となるブランクの断面説明図であり、(c)は貼り合わせ後の貼り合わせ部の断面説明図である。
図4は胴部貼り合わせ部の他の一例を示す断面説明図であり、(a)は胴部貼り合わせ部の内側となるブランクの断面説明図、(b)は胴部貼り合わせ部の外側となるブランクの断面説明図であり、(c)は貼り合わせ後の貼り合わせ部の断面説明図である。
図3に示した例の胴部材ブランク(10)は、胴部貼り合わせ部(15)において容器内面側に位置する一方の端縁(11)が、紙基材(1)内面側の熱可塑性樹脂層(40)と紙基材(1)外面側の熱可塑性樹脂層(41)が、紙基材(1)の側端縁より外方に延出した樹脂部(4a)を、紙基材(1)の近傍で、紙基材(1)の外面側に折り返した折り返し樹脂部(4b)を備えた構成とする。
また、胴部貼り合わせ部(15)において容器外面側に位置するもう一方の端縁(12)が、紙基材(1)内面側の熱可塑性樹脂層(40)と、保護樹脂層(図示せず)とガスバリア層(図示せず)を積層した紙基材(1)外面側の熱可塑性樹脂層(41)が、紙基材(1)の側端縁より外方に延出した樹脂部(4c)を、基材(1)の近傍で、紙基材(1)の外面側に折り返した折り返し樹脂部(4d)を備えた構成とする。
このように、樹脂部(4b)は、樹脂部(4a)を紙基材(1)の外面側に折り返した構成とすることで、胴部貼り合わせ部(15)における樹脂量が確保でき、貼り合わせ部内面の密封性が良好となる。
また、樹脂部(4d)は、樹脂部(4c)を紙基材(1)の外面側に折り返した構成とすることで、胴部貼り合わせ部(15)における樹脂量が確保でき、貼り合わせ部外面の密封性が良好となる。この樹脂部(4a)の端部と樹脂部(4c)の端部との間は空隙であってももちろん重なっていても構わない。
もしくは、図示していないが樹脂部(4d)は、樹脂部(4c)を基材(1)の内面側
に折り返した構成とすることも可能である。
さらに、胴部貼り合わせ部の外部に対するエッジプロテクトの必要性の程度によっては、図4に示したように胴部貼り合わせ部(15)において容器外面側に位置する紙基材のもう一方の端縁(12)が、紙基材内面側の熱可塑性樹脂層(40)と紙基材外面側の熱可塑性樹脂層(41)が、紙基材(1)の側端縁より外方に延出した樹脂部(4c)を、容器内面側の紙基材(1)の外面側の熱可塑性樹脂(41)に重ねて圧着した構成とすることも出来る。
このような構造を有している本発明の紙カップは、胴部貼り合わせ部(15)の内側に位置する紙基材の端面が、折り返し樹脂部(4b)により保護されており、胴部貼り合わせ部(15)の外側に位置する紙基材の端面が、折り返し樹脂部(4d)または熱圧着により封止された樹脂部(4c)で保護されているので、容器に充填された内容物が紙基材端面から浸透することがないのみならず、容器外部からの浸透をも防止するエッジプロテクト効果を得ることが出来る。
さらに、紙基材の両面に熱可塑性樹脂層(40)、(41)を設けることと、特に外面の熱可塑性樹脂層と紙基材層との間に保護樹脂層を設けたことによって紙基材(1)へのガスバリア層(2b)の表面ピンホールやクラック等からの水の浸透を効果的に防止することが出来る。
この熱可塑性樹脂層と紙基材層との間に設ける保護樹脂層は必要に応じて内面の熱可塑性樹脂層と紙基材層との間に設けてもよく、クラックからの水分の浸入が懸念される面側に配置されるのが最適である。
このように、紙基材の両面に熱可塑性樹脂層(40)、(41)を設けることにより、紙基材端面に外延した樹脂部(4a)、(4c)が、前記両面の熱可塑性樹脂層(40)、(41)が外縁で一体化された状態で形成される。
そして、前記樹脂部(4a)を、前述のように紙基材の端縁から外方に延出した構成でなく、紙基材の外面側に折り返した折り返し樹脂部(4b)の構成とするとともに、前記樹脂部(4c)を、紙基材の端縁から外方に延出して熱圧着する構成かまたは、紙基材の外面側もしくは内面側に折り返した折り返し樹脂部(4d)の構成とする。
このように、容器内面側の胴部材の貼合わせ樹脂部を、基材の外面側もしくは内面側に折り返した折り返し樹脂部(4b)の構成とすることによって、胴部貼り合わせ部の段差が、前記折り返し樹脂部(4b)で埋まり、段差のない構成とすることができるうえ、紙基材(1)と前記樹脂部の端面が紙カップ内部に露出しない構成とすることができる。
また、前記樹脂部(4c)を、紙基材の端縁から外方に延出して熱圧着する構成とすることによって、胴部貼り合わせ部の段差が、前記外延樹脂部(4c)で埋まり、段差のない構成とすることができるうえ、紙基材(1)が紙カップ外部に露出しない構成とすることができる。
また、前記樹脂部(4c)を、紙基材の端縁から紙基材の外面側に折り返した折り返し樹脂部(4d)の構成とすることによって、胴部貼り合わせ部の段差が、前記折り返し樹脂部(4d)で埋まり、段差のない構成とすることができるうえ、紙基材(1)とさらに前記樹脂部の端面が紙カップ外部に露出しない構成とすることができる。
本発明の紙カップには通常フランジ部(16)が設けられており、胴部材(18)の貼合わせ部(15)の上端においては、両側端縁上部にそれぞれ切欠き部(31)(32)を設けた胴部材ブランク(10)を用いることによって、胴部材の上部周縁を外方に1周以上巻き込んで、少なくとも3重構成のフランジ部を形成した際、貼り合わせ部において
も、基材が、前記貼り合せ部以外の部分と同様の3重構成の巻き込み状態となる。
ここで、この切欠き部(31)(32)の形状を異なる形状とすることにより、少なくとも3重構成のフランジ部(16)の上面を平坦にしても、フランジ部上面に、前記貼り合せ部の位置に生じる段差を解消することができる。
本発明の紙カップにおいては、前記熱可塑性樹脂層が、ガスバリア層の内側に配置された保護樹脂層を含む層とする構成となっている。このような構成とすることにより、紙基材(1)の表面及び端面もガスバリア層と保護樹脂層によって保護され、図10に例示したように樹脂部を折り返すことによって、端面のガスバリア層にクラックが入った場合でも遮水性を保持できるので水分浸入による紙基材の劣化が少ないバリア性に優れた紙カップとすることができる。
また、ガスバリア層(2a)と保護樹脂層(40b)を含めた樹脂部(4a)を折り返した樹脂部(4b)の構成とすることで、ガスバリア層(2a)の端面が、カップ内部に露出しない構成となり、内容物がガスバリア層と接触することがないようにすることができ、内容物の保存に悪影響を及ぼさない。
このように、折り返し樹脂部(4b)、(4d)を、樹脂部先端が、貼り合わせ部内側基材外面側もしくは貼り合わせ部外側基材外面側もしくは内面側に折り返した構成としていることにより、前記熱可塑性樹脂層(40)が、異なる材料のガスバリア層(2a)や保護樹脂層(40b)を含む構成であっても、胴部を形成した際、胴部貼り合わせ部(15)において貼り合わせのための一定の樹脂量が確保でき、紙基材(1)の端面の保護ばかりでなく、胴部貼り合わせ部(15)の紙基材による段差を解消することができる。同時に、折り返し樹脂部を折り返す際に樹脂部の伸縮によりガスバリア層(2a)の蒸着膜にクラックが入ることがあってもバリア性の高い保護樹脂層(40b)により遮水性の低下を防止することが出来る。
また、図2(b)に示したように、紙基材層(1)の内面側にエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン(Ny)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)のいずれかからなる保護樹脂層(40b)をドライラミネート法によりイソシアネート系の接着剤を用いて積層し、紙基材(1)の両面に熱可塑性樹脂層(40)(41)を設けた構成では、両面の熱可塑性樹脂層(40)(41)の先端の内面同士を一体化することで紙基材(1)の端面を封止する樹脂部(4a)、(4c)を単なる熱圧着で形成することができる。
特に、胴部貼り合わせ部(15)の外側に接着される紙基材(1)の端部に両面の熱可塑性樹脂層(40)(41)で形成した樹脂部(4c)は、容器外部からの水分等の侵入を防止する必要性が付加的になければ単なる熱圧着で形成したのちに、内側の紙基材(1)の端部に形成された樹脂部(4b)または熱可塑性樹脂層(41)に密着させて固定することによって必要な端部保護が出来、接着部で一定の樹脂量が確保でき、胴部を形成した際、胴部貼り合わせ部(15)の段差を解消することもできる。
また、前記熱可塑性樹脂層(40)が、金属やその酸化物等の腐食し易い材料のガスバリア層(2a)を含む構成であっても、紙基材端部の樹脂部が折り返した構成となっていることで、ガスバリア層(2a)の端面が、容器内部に露出しない構成となり、内容物がガスバリア層と接触することがないようにすることができ、内容物の保存に悪影響を及ぼさない。
また、前記熱可塑性樹脂層の構成要素は、シーラント層とガスバリア層と保護樹脂層に限られるものではなく、機械的強度の補強のためのフィルムのような中間層や層間の接着
促進のためのプライマーコートやコロナ処理等々のされた中間層を内面側に形成してもよい。
なお、このような構造は、テーパー状の紙カップに限定されず、円筒状や角筒状のカップ状紙容器であってもよく、紙基材のエッジプロテクトと表面の機械的耐久性の必要な紙容器に用いることが出来る。
次に、本発明の紙カップの製造方法の一例を保護樹脂層が紙基材面に設けられている場合(ブランク断面が図2(b)の場合)について、胴部材ブランクの製造方法を含めて説明する。
先ず、ロール状の紙基材(1)に扇形状の胴部材ブランク(10)を複数個並べて割りつけ印刷すると共に、外側面にエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)層またはナイロン(Ny)層またはポリ塩化ビニリデン(PVDC)層からなる保護樹脂層(41b)をドライラミネート法によりイソシアネート系の接着剤を介して積層して積層シートを形成させる。
この積層シートの胴部材ブランクとなる領域の両方の端縁(11)、(12)に、その端縁を含めて外方の部分を長窓(13)、(14)として穿設する(図5(a),(b)参照)〜第1打ち抜き工程。
胴部材ブランク(10)を印刷して長窓(13)、(14)が穿設された上記積層シートの内側面にポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂層(40)、及び外側面に金属または無機化合物蒸着プラスチックフィルムからなるガスバリア層を含む熱可塑性樹脂層(41)を押出しラミネート法により積層して積層シートを形成させる。この時、紙基材(1)の長窓部分に、前記の熱可塑性樹脂層の積層した樹脂部(4a)、(4c)を形成させる(図6(a),(b)参照)〜熱可塑性樹脂貼り合わせ工程。
あるいは、胴部材ブランク(10)を印刷して長窓(13)、(14)が穿設された紙基材(1)の内側面に、熱可塑性樹脂層(40)を、外側面に金属または無機化合物蒸着プラスチックフィルムからなるガスバリア層(2a)とエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)層またはナイロン(Ny)層またはポリ塩化ビニリデン(PVDC)層からなる保護樹脂層(41b)を含む熱可塑性樹脂層(41)を積層して、積層シートを形成させる。この時、紙基材の長窓部分に、前記の熱可塑性樹脂層で樹脂部(4a)、(4c)を形成させる(図8(a),(b)参照)〜熱可塑性樹脂貼り合わせ工程。
前記積層シートの紙基材(1)から、外方に延出して設けられた樹脂部(4a)、(4c)を含む長窓部分を形成させた胴部材ブランク(10)の不必要部分を連続してカットする。
同時に、不必要部分が切り取られた積層シートから、印刷された複数個の扇形状の胴部材ブランク(10)を打ち抜き、樹脂部(4a)、(4c)を形成させた一枚ずつの胴部材ブランク(10)を作製する(図7(a),(b)および図9(a)、(b)参照)〜第2打ち抜き工程。
このような各工程を経て紙基材(1)より所定幅外方に延出した樹脂部(4a)、(4c)を両方の側端縁に形成させた、図2にその断面を示したような胴部材ブランク(10)を作製することができる。
この胴部材ブランクを用いて紙カップを成形することは、熱可塑性樹脂層の積層した樹脂部の折り曲げを行った後に周知のカップ成形装置にて成形することにより、あるいは、熱可塑性樹脂層の積層した樹脂部の折り曲げ装置を備えたカップ成形装置を用いることによって容易に可能である。
本発明の紙カップは周知の方法で加飾することが出来る。たとえば、紙基材の表面に通常のグラビアあるいはオフセット等の印刷により、装飾層を設けた基材を胴部ブランクとして用い、紙カップを製造することが出来る。あるいは、成形された紙カップの胴部の表面に、印刷、金属蒸着により装飾層を施したプラスチックフィルムを被覆することも出来る。
<実施例1>
紙基材層(坪量260g/m2)の片面にポリプロピレン樹脂層(20μm)/エチレンービニルアルコール共重合体層(12μm)からなる積層フィルムを、エチレンービニルアルコール共重合体層面と紙基材層が接するようにイソシアネート系接着剤を用いたドライラミネート法により貼着した積層シートを打ち抜いて、胴部材ブランクとなる領域の両方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分に長窓を形成した。
次に、前記積層シートの紙基材の他の片面にポリプロピレン樹脂層(30μm)/延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂層(12μm)の積層フィルムをポリプロピレン樹脂層が外側になるように、イソシアネート系接着剤を用いたドライラミネート法により貼着して、紙基材の両面に表面がポリプロピレン樹脂層からなる積層体を作成した。
さらに、該積層体の内面側(エチレンービニルアルコール共重合体層側)にポリプロピレン樹脂層(30μm)/無機酸化物蒸着バリアフィルム(12μm)/ポリプロピレン樹脂層(30μm)からなる積層シートを、外面側にポリプロピレン樹脂フィルム(30μm)をポリプロピレン樹脂による押出しラミネート法により積層して、前記長窓の位置で内面を接合一体化した。
そして、紙基材の片側の側端縁上部に、幅が9mm、高さが5mmの三角形の切欠き部、他方の側端部上部に、幅が8mm、高さが6mmの三角形の切欠き部を有する扇形形状(上辺の長さ225mm、下辺の長さ162mm)に打ち抜き、胴部ブランクを形成した。なお、両方の側端縁に設けた樹脂部は、5mm幅で設け、折り返した、2.5mm延出する折り返し樹脂部を有する胴部ブランクを形成した。
前記折り返し樹脂部を有する前記ブランクの側端縁を重ね合わせ接合一体化し、胴部貼り合わせ部を設けて胴部を形成した。
次に、前記胴部の下部内面に、円形状で、下向きに起立させた周縁部を有する底部材の周縁部の外面を接合させた。
カップ成形機を用いて、前記胴部材の下部内面に、底部材の周縁部の外面を接合させたのち、さらにボトムインカール金型の内面に沿って該周縁部を覆うように、前記胴部材の下端縁部を外側から内方に折り曲げ、底部材の周縁部内面に接合させて、ローレットで圧着することにより直径が52mmの環状脚部を形成した。この時に前記胴部材の下端縁部外面を含めてカップ表面には孔傷は見られなかった。
また、トップカールユニットにより、上部開口部を1周以上巻き込み、下側半分が一重巻き、上側半分が二重巻きとなる、幅が3mmのフランジ部を有する、開口の直径が69mmの紙カップを成形した。
この紙カップは、胴部貼り合わせ部およびフランジ部の上面の、胴部貼り合わせ部に位置する部分に段差がなく成形された。さらに超音波シール装置を用い、上下から加圧圧着し、フランジ上面を平坦にした。
前記、紙カップは、フランジ部の上面を平坦にしたにもかかわらず、フランジ部の上面の胴部貼り合わせ部に位置する部分に段差がなく成形された。
さらに内容物として水を入れて蓋材でシールしたのち30分間熱湯中で煮沸したが取り出した容器には外観上異常は見られなかった。
<実施例2>
紙基材層(坪量260g/m2)の両面にポリプロピレン樹脂層(30μm)/延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂層(12μm)の積層フィルムをポリプロピレン樹脂層が外側になるようにイソシアネート系接着剤を用いたドライラミネート法により貼着して紙基材の両面に表面がポリプロピレン樹脂層からなる積層シートを作成した。この積層シートを打ち抜いて胴部材ブランクとなる領域の両方の端縁に、その端縁を含めて外方の部分に長窓を形成した。
ポリプロピレン樹脂層(20μm)/エチレンービニルアルコール共重合体層(12μm)/無機酸化物蒸着バリアフィルム(12μm)/ポリプロピレン樹脂層(20μm)からなる積層体を、エチレンービニルアルコール共重合体層が紙基材層側に来るようにポリプロピレン樹脂による押出しラミネート法により上記積層シートに積層し、同時に該積層シートの他の面にシーラントとしてポリプロピレン樹脂フィルム(30μm)をポリプロピレン樹脂による押出しラミネート法により積層して、前記長窓の位置で内面を接合一体化した。
その後実施例1と同様の工程で紙カップの成形と評価を行った。
この紙カップは、胴部貼り合わせ部およびフランジ部の上面の、胴部貼り合わせ部に位置する部分に段差がなく成形された。さらに超音波シール装置を用い、上下から加圧圧着し、フランジ上面を平坦にした。
前記、紙カップは、フランジ部の上面を平坦にしたにもかかわらず、フランジ部の上面の胴部貼り合わせ部に位置する部分に段差がなく成形された。
さらに内容物として水を入れて蓋材でシールしたのち30分間熱湯中で煮沸したが取り出した容器には外観上異常は見られなかった。
<実施例3>
エチレンービニルアルコール共重合体層に代えてポリメタキシリレンアジパミド(MDXナイロン)樹脂フィルムを用いた他は実施例2と同様にして紙カップを作成した。
この紙カップは、フランジ部の上面を平坦にしたにもかかわらず、フランジ部の上面の胴部貼り合わせ部に位置する部分に段差がなく成形された。この紙カップは前記胴部材の下端縁部外面から見てカップ表面に若干のクラックが発生しているように見られたが、内容物として水を入れて蓋材でシールしたのち30分間熱湯中で煮沸したが取り出した容器には外観上異常は見られなかった。
<比較例1>
紙基材(坪量260g/m2)からなるシートに長窓を形成した。
次に、前記シートの紙基材の表面にポリプロピレン樹脂層(30μm)/ポリエチレンテレフタレート樹脂層(12μm)/ポリエチレン樹脂層(30μm)からなる積層シートを、裏面にポリプロピレン樹脂層(30μm)/無機酸化物蒸着バリアフィルム(12μm)/ポリプロピレン樹脂層(30μm)からなる積層シートを押出しラミネート法により積層して、前記長窓の位置で内面を接合一体化した。
そして、紙基材の片側の側端縁上部に、幅が9mm、高さが5mmの三角形の切欠き部、他方の側端部上部に、幅が8mm、高さが6mmの三角形の切欠き部を有する扇形形状(上辺の長さ225mm、下辺の長さ162mm)に打ち抜き、胴部ブランクを形成した。
なお、両方の側端縁に設けた樹脂部は、5mm幅で設け、折り返した、2.5mm延出する折り返し樹脂部を有する胴部ブランクを形成した。
前記折り返し樹脂部を有する前記ブランクの側端縁を重ね合わせ接合一体化し、胴部貼り合わせ部を設けて胴部を形成した。
次に、前記胴部の下部内面に、円形状で、下向きに起立させた周縁部(21)を有する底部材の周縁部(21)の外面を接合させた。
そして、カップ成形機を用い、前記胴部の下部内面に、底部材の周縁部の外面を接合させ、さらにボトムインカール金型の内面に沿って周縁部を覆うように、胴部の下端縁部を外側から内方に折り曲げ、底部材の周縁部内面に接合させて、ローレットで圧着することにより直径が52mmの環状脚部を形成した。この時にローレットで圧着した前記胴部材の下端縁部外面に多くの孔傷が確認できた。
内容物として水を入れて蓋材でシールしたのち30分間熱湯中で煮沸してみると取り出した容器の底部のカール面から浸入した熱水によると思われる紙基材のふやけが確認され外観上の異常が発生していた。
比較例1の紙カップでは、ボトム部分において成型の際に部材表面にローレットとの摩擦による多くの孔傷の発生が見られた。これに対して実施例1〜3の本発明の紙カップでは、表面に孔傷の発生が確認された場合でも熱湯中での加熱によって紙基材のふやけ等の外観上の異常が発生することは見られなかった。
以上のごとく、本発明の紙カップでは、少なくともブランクの片面に設けられた熱可塑性樹脂層が、金属または無機化合物蒸着プラスチックフィルムからなるガスバリア層と、ガスバリア層よりも紙基材側に設けられたエチレンービニルアルコール共重合体、ナイロン、ポリ塩化ビニリデンのいずれかからなる保護樹脂層とを含んでいることにより、成型時のダメージを抑え、熱水式レトルト処理を行ってもカップ原紙内部に熱水が浸透することのないバリア紙カップを作成することができた。
さらに、本発明の紙カップでは、バリア層の亀裂によるバリア性の低下に対する補完構成を採用することにより部材端面だけでなく、表面からの熱水の浸透に対する抵抗が強い、熱水レトルト処理も可能な紙カップが安定して製造可能となった。また、紙カップ表面の磨耗に対するバリア性の保持能力が向上したことにより輸送適性も向上した。