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JP5780997B2 - 放射線監視システム及びその校正条件の診断方法 - Google Patents
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JP5780997B2 - 放射線監視システム及びその校正条件の診断方法 - Google Patents

放射線監視システム及びその校正条件の診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、原子炉施設、使用済み燃料再処理施設、放射性物質利用施設等で測定対象の放射線を測定及び管理する放射線監視システムに関するものである。
放射線検出器及び測定ユニットを備えた現場の検出部と、現場とは異なる場所の計数率計及び基準信号源を備えた測定部とを光ファイバーで接続して電気的に絶縁し、伝送路からのノイズの進入を防止することにより耐ノイズ性を向上させると共に、現場における作業員の被爆を低減した放射線計数率計が特許文献1に記載されている。
特許文献1の放射線計数率計は、放射線検出器が放射線を検出したときに生成される電流パルスが微弱であるため、前置増幅器は、電流パルスを電圧パルスに変換すると共に増幅してアナログパルスを出力する。前置増幅器、波高弁別器を備えた測定ユニットにおいて、波高弁別器は、このアナログパルスを入力し、ノイズを除去するために波高弁別レベル以上の波高のものを弁別してデジタルパルスを出力する。このデジタルパルスを伝送器にて光パルスに変換して光ファイバーで伝送し、この光パルスを測定部でデジタルパルスに戻し、それを計数率計にて計数して工学値(物理量に対応付けされた測定値)に変換している。
また、測定部は、波高弁別レベルに比例する繰り返し周波数のデジタルパルスを基準信号源にて発生させ、それを光パルスに変換して光ファイバーで測定ユニットに伝送する。測定ユニットでこの光パルスをデジタルパルスに戻し、繰り返し周波数を電圧レベルに変換して波高弁別レベルの設定を遠隔で行えるようにしている。
特開昭61―53583号公報(第2頁右上欄5行から第2頁右下欄7行、図1)
従来の放射線監視システムに相当する放射線計数率計は以上のような構成により、測定された放射線計数率を監視していた。原子炉施設、使用済み燃料再処理施設、放射性物質利用施設等のプラントにおいて、プラント立ち上げ前の点検では、校正の終わった放射線検出器及び測定ユニットを従来の測定部に相当する現場の放射線測定装置に戻し、接続ケーブルで接続して放射線測定装置を復元する際に、指標線源と検定済みの測定器を現場に持ち込み、所定の距離から指標線源を放射線検出器に照射して校正時の校正条件が再現していることを確認している。校正条件の再現を確認するため、指標線源と測定器の現場搬入及び搬出、接続及び撤去、指標線源操作の一連の作業における作業員の被爆低減が課題として残っている。
ここで、校正条件とは、校正作業によって得られた検出効率に対応する条件、すなわち機器の設定値等である。一般的に、測定範囲(ウィンドウ)を決められた範囲に設定し、システムゲイン(スペクトルピーク)が決められた値になるように高電圧電源を調整し、それで校正条件が整ったとする。この校正条件が設定された放射線検出器に、トレーサビリティーが担保された密封線源である標準線源から放射線を照射して校正を行う。検出効率は、標準線源を予め決められた距離から放射線検出器に照射したときに得られる、例え
ば1cpsまたは1cpmを与える放射能強度(Bq)である。
また、定期的に放射線監視システムの健全性を確認する都度、指標線源を現場に持ち込んで放射線検出器に照射し、検出効率を含む正味工学値の変化の有無を確認するため、プラント運転中の点検における作業員の被爆低減も課題であった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、プラント立ち上げ前の放射線測定装置における点検時間の最小化と、プラント運転中の放射線測定装置の点検における現場作業の削除を実現して作業員の被爆低減の最小化を目的とすると共に、放射線測定装置における検出効率の健全性を担保する校正条件を自動診断することにより、放射線監視システムにおける信頼性の向上及び保守作業の容易化を実現することを目的とする。
本発明に係る放射線監視システムは、放射線管理区域内に設置され、放射線を測定する放射線測定装置と、放射線の線量が放射線管理区域内ではあるが一般区域並みに低い校正室に設置され、放射線測定装置を校正した校正条件及び校正結果を格納し、要求に応じて校正条件及び校正結果を出力する校正装置と、放射線測定装置の測定結果を入力して監視すると共に、校正装置から入力された校正条件と放射線測定装置から入力された点検結果を比較してシステムの健全性を診断する監視装置とを備え、放射線測定装置は、着脱可能に配置され、放射線を検出して電気信号に変換する放射線検出器と、着脱可能に配置され、放射線検出器の電気信号を測定して、放射線に関する測定値である放射線測定値に変換すると共に、放射線測定値と警報設定値を比較して所定の範囲を逸脱した場合に警報を発信する測定ユニットと、測定対象から放出される放射線が放射線検出器で所定の検出効率で検出されるように支持すると共に、環境放射線を遮蔽するサンプラと、サンプラに内蔵されたチェック線源から放出される放射線を放射線検出器に照射または遮蔽するように、チェック線源を移動するチェック線源機構とを有する。本発明に係る放射線監視システムの放射線測定装置を校正する際に、校正室に移動された放射線検出器及び測定ユニットを互いにケーブルで接続し、測定ユニットを校正装置にケーブルで接続し、校正装置は、放射線測定装置を校正する際に、放射線検出器にチェック線源と同じ核種の指標線源からの放射線を照射したときに発現する放射線測定値である指標ピーク値に基づいてシステムゲイン初期値及び管理する測定範囲の初期値である測定範囲初期値を設定し、システムゲイン初期値及び測定範囲初期値を校正条件として内蔵する記憶装置に格納し、監視装置は、放射線測定装置の点検の際に、放射線測定装置がチェック線源からの放射線を放射線検出器に照射したときに発現する放射線測定値であるチェック線源ピーク値を測定し、チェック線源ピーク値に基づいて設定されたシステムゲイン及び測定範囲を取得し、この設定されたステムゲイン及び測定範囲のそれぞれが、システムゲイン初期値及び測定範囲初期値を基準にした許容範囲内にあることを自動診断することを特徴とする。
本発明に係る放射線監視システムは、放射線測定装置を校正する際に、放射線検出器及び測定ユニットを校正室に移動して基準となる校正条件であるシステムゲイン初期値及び測定範囲初期値を取得し、放射線測定装置を点検する際に、監視装置は、放射線測定装置にて設定された測定校正条件であるステムゲイン及び測定範囲が、前記基準となる校正条件を基準にした許容範囲内にあることを診断するので、プラント立ち上げ前の放射線測定装置の点検における放射線管理区域内作業を最小限に減らすことができ、プラント運転中の点検における放射線管理区域内作業を原則なくすことができ、全体として大幅な被爆低減が実現できると共に、検出効率の健全性を担保する校正条件を自動診断することにより、放射線監視システムにおける信頼性の向上及び保守作業の容易化を実現することができる。
本発明の実施の形態1による放射線監視システムを示す図である。 図1の放射線測定装置の構成を示す図である。 図1の校正装置及び校正治具を示す図である。 放射線検出器がプラスチックシンチレーション検出器の場合における指標スペクトルを示す図である。 放射線検出器がNaI(Tl)シンチレーション検出器の場合における指標スペクトルを示す図である。 本発明の実施の形態2による放射線測定装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態2の放射線検出器のスペクトルを示す図である。 本発明の実施の形態3による放射線測定装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態3の放射線検出器のスペクトルを示す図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による放射線監視システムを示す図である。放射線監視システム80は、複数の放射線測定装置1a、1b〜1iと、校正装置2、監視装置3と、を備える。放射線測定装置1a、1b〜1iは、それぞれ放射線を測定して工学値(物理量に対応付けされた測定値)及び警報状態を出力する。校正装置2は、放射線測定装置1a、1b〜1iをそれぞれ校正して校正条件及び校正結果を内蔵する記憶装置に格納すると共に、要求に応じて校正条件及び校正結果を出力する。監視装置3は、放射線測定装置1a、1b〜1iの測定結果をそれぞれ入力して監視すると共に、校正装置2から校正条件及び校正結果をそれぞれ入力して内蔵する記憶装置に格納し、放射線測定装置1a、1b〜1iそれぞれの点検結果と校正条件を比較してシステムの健全性を診断する。放射線測定装置1a、1b〜1iは放射線管理区域内に設置され、校正装置2は放射線の線量が低くなるように遮蔽強化された放射線管理区域内の校正室に設置される。
監視装置3は、第1の伝送ケーブル4a、4b〜4iにより放射線測定装置1a、1b〜1iそれぞれに接続され、第2の伝送ケーブル5により校正装置2に接続される。第1の伝送ケーブル4a、4b〜4iは、放射線測定装置1a、1b〜1iそれぞれと監視装置3を接続して相互に送受信可能としており、第2の伝送ケーブル5は、校正装置2と監視装置3を接続して相互に送受信可能としている。なお、第1の伝送ケーブル4a、4b〜4i及び第2の伝送ケーブル5はそれぞれ装置のI/Fに合わせてデジタル電気信号用の通信ケーブルまたは光ケーブルを使用する。以後の説明において放射線測定装置1a、1b〜1iは重複するので放射線測定装置1aを代表として、また第1の伝送ケーブル4a、4b〜4iも同様に説明が重複するので第1の伝送ケーブル4aを代表として説明する。
図2は、放射線測定装置1aの構成を示す図である。図2(a)は放射線測定装置1aの正面から見た一部断面であり、図2(b)は平面図である。放射線測定装置1aは、サンプラ12と、放射線検出器11と、測定対象試料室61に流入する水やガス等である測定対象試料13と、チェック線源機構14と、測定ユニット15とを有する。放射線検出器11及び測定ユニット15は、それぞれ放射線測定装置1aに着脱可能に配置される。放射線検出器11は、放射線を検出して電気信号に変換する。サンプラ12は、サンプラ本体43とサンプラ蓋44とを有し、内部に内包される測定対象試料13から放出される放射線が放射線検出器11で所定の検出効率で検出されるように固定すると共に、外部の環境放射線(図示せず)を遮蔽する。チェック線源機構14は、サンプラ12に内蔵されたチェック線源141を操作信号で移動して放射線検出器11に放射線(図示せず)を照射する。測定対象試料13は、図2(b)の矢印方向にサンプラ12に設置された測定対象試料室61に、その流入口から流入し、流入した後に流出口から流出する。
測定ユニット15は、放射線検出器11の電気信号を受信して工学値に変換すると共に、その工学値と警報設定値とを比較して所定の範囲を逸脱した場合に警報を発信する。すなわち、測定ユニット15は、工学値を測定する工学値測定機能、警報を発信する警告発信機能を有する。放射線検出器11の電気信号は、検出器の生信号であり、例えば電流、電圧等である。工学値は、物理量に対応付けされた測定値であり、測定観測や制御等に用いられ、工学的に意味のある値である。本発明における工学値は、管理する測定範囲の下限dLのモニタ値及び上限dUのモニタ値、高圧電源の高電圧モニタ値、標準線源またはチェック線源のスペクトルピーク値(図5の横軸であるチャネル値)等を含んでいる。
検出器ケーブル16は、放射線検出器11と測定ユニット15を接続する。チェック線源ケーブル17は、チェック線源機構14と測定ユニット15を接続する。図2では、サンプラ12の形状が円柱状である例を示した。測定ユニット15はサンプラ12の外側に設置し、図2(b)において矢印に示すように水やガス等である測定対象試料13をサンプラ12内に通流させている。
図3は、校正装置及び校正治具を示す図である。校正装置2及び校正治具21は、校正室の校正室床40に設置されている。図3において、放射線検出器11及び測定ユニット15が校正治具21に取り付けられた状態を示している。校正治具21は、放射線測定装置1aから取り出される放射線検出器11及び測定ユニット15を取り付けるものである。校正装置2は、I/F部24と、模擬パルス発生部25と、電圧測定部26と、スペクトル計数部27と、表示操作部28と、コントロール部29とを有する。放射線検出器11と測定ユニット15とは、第1の試験用ケーブル22により接続される。測定ユニット15と校正装置2とは、第2の試験用ケーブル23により接続される。なお、校正装置2と監視装置3とを接続する第2の伝送ケーブル5は省略した。また、校正初期段階では、指標線源210は校正治具21から外されている。
標準線源220は、検出効率を得るために校正装置2で校正する際に使用する線源であり、実際の測定対象で支配的な核種にできるだけ近い線質及びエネルギーを放射するものを選定する。指標線源210は、放射線測定装置1aに搭載されている線源であるチェック線源141と同じ核種とし、スペクトルピークを生成させるために使用する線源である。指標線源210及び校正装置2により測定されたスペクトルと、チェック線源141及び放射線測定装置1aにより測定されるスペクトルとを、エネルギー及び波高値によって対応付けするために、指標線源210及びチェック線源141が用いられる。
模擬パルス発生部25は、模擬パルスを発生させて測定ユニット15に出力する。電圧測定部26は、測定ユニット15の各部の電圧を入力して測定する。測定ユニット15の図示されていない入力切換スイッチを信号入力からテスト入力に切換えて、指標線源210が校正治具21から外されている状態で、スペクトル計数部27は、測定ユニット15のテストポイント(図示せず)のパルスの波形及びスペクトルを測定する。表示操作部28は、コントロール部29経由で、測定ユニット15から入力されたデータ及び校正結果等のデータを表示すると共に、模擬パルス発生部25、電圧測定部26、スペクトル計数部27の各部へ操作命令データを入力する。コントロール部29は、I/F部24、模擬パルス発生部25、電圧測定部26、スペクトル計数部27、表示操作部28の各部の信号またはデータの入出力を制御すると共に、各種データを入力してデータを校正装置2の図示しない記憶装置に格納する。また、校正装置2のコントロール部29は、図1に示すように第2の伝送ケーブル5を介して監視装置3に接続された際には、監視装置3と相互に送受信する。
放射線測定装置1aを校正する際には、まず、作業員は、監視装置3において放射線測
定装置1aの状態を監視状態からテスト状態とし、放射線測定装置1aから放射線検出器11及び測定ユニット15を取り外す。取り外した放射線検出器11及び測定ユニット15を、校正装置2の設置場所に運んで、放射線検出器11及び測定ユニット15を校正治具21に装着する。放射線検出器11を第1の試験用ケーブル22で測定ユニット15に接続し、測定ユニット15を第2の試験用ケーブル23で校正装置2のI/F部24に接続する。
測定ユニット15には、模擬パルス発生部25から模擬入力パルスが入力される。校正装置2は、スペクトル計数部27で測定された測定ユニット15のパルス波高の入出力の直線性の相対誤差が許容範囲内であることを確認する。校正装置2は、測定ユニット15の測定範囲下限及び測定範囲上限の計数動作点について校正して、測定範囲下限以上かつ測定範囲上限以下の測定範囲を測定範囲校正値Aprとし、測定ユニット15が測定した測定範囲モニタ値を測定範囲初期値Ainとし、測定範囲校正値Aprを基準に測定範囲初期値Ainが許容範囲内にあることを自己診断する。校正装置2は、測定範囲校正値Apr及び測定範囲初期値Ainを校正装置2の記憶装置に格納する。なお、許容範囲は、校正装置2の計測器及び測定ユニット15のそれぞれにおいて、計器誤差、温度特性、電圧特性、周波数特性等を集計して、例えば二乗平均等の処理により設定される。
次に、図1のチェック線源141と放射線検出器11との距離と同じ距離(所定の距離)に指標線源210を設置し、測定ユニット15の図示されていない入力切換スイッチを信号入力からテスト入力に切換えて、指標線源210から放射線検出器11に放射線を照射する。ここで、指標線源210は、チェック線源141と同じ核種である。測定ユニット15及びスペクトル計数部27は、それぞれ指標スペクトルを測定する。すなわち、測定ユニット15は工学値測定機能を用いて指標スペクトルを測定する。校正装置2のスペクトル計数部27は、測定ユニット15を介して放射線検出器11のデータを受信し、測定ユニット15と同様に指標スペクトルを測定する。
β線を測定対象とした場合、放射線検出器11は、例えば、プラスチックシンチレーション検出器を使用し、チェック線源141及び指標線源210はβ線源のSr−90を使用する。また、γ線を測定対象とした場合、放射線検出器11は、例えば、NaI(Tl)シンチレーション検出器を使用し、チェック線源141及び指標線源210はCs−137を使用する。Sr−90は、Y−90と放射平衡の関係にあり、2.28MeVのβ線によりプラスチックシンチレータの厚みに対応した位置にピークが発現する。Cs−137は、0.662MeVのγ線の光電吸収に相当する位置にピークが発現する。
放射線検出器11により検出する指標スペクトルについて説明する。図4は放射線検出器がプラスチックシンチレーション検出器の場合における指標スペクトルを示す図であり、図5は放射線検出器がNaI(Tl)シンチレーション検出器の場合における指標スペクトルを示す図である。図4の指標スペクトルは、放射線検出器11としてプラスチックシンチレーション検出器を使用して指標線源210としてβ線源であるSr−90の放射線を照射した場合の指標スペクトルを模式的に表した図である。図5の指標スペクトルは、NaI(Tl)シンチレーション検出器を使用して指標線源210としてγ線源であるCs−137の放射線を照射した場合の指標スペクトルを模式的に表した図である。図4及び図5において、bはバックグラウンドスペクトルを示し、mは指標線源210の放射線を照射することによりバックグラウンドスペクトルに上積された指標スペクトルを示し、pは指標ピークを示し、dLは測定範囲の下限を示し、dUは測定範囲の上限を示す。
測定ユニット15の校正方法を説明する。まず、スペクトル計数部27にて測定されたそれぞれの指標ピークが所定の値になるように、例えば、放射線検出器11に印加する高圧電源(図示せず)の高電圧を調整する。次に、校正装置2は、電圧測定部26で測定し
た最終的な高電圧値を高電圧校正値HVprとし、同時点の測定ユニット15が測定した高電圧値である高電圧モニタ値を高電圧初期値HVinとし、高電圧校正値HVprを基準に高電圧初期値HVinが許容範囲にあることを自己診断し、高電圧校正値HVpr及び高電圧初期値HVinを校正装置2の記憶装置に格納する。また、校正装置2は、測定ユニット15が測定した指標ピークpのピーク値に基づいてシステムゲイン初期値SGinを設定し、スペクトル計数部27が測定した指標ピークpのピーク値をシステムゲイン校正値SGprとし、システムゲイン校正値SGprを基準にシステムゲイン初期値SGinが許容範囲内にあることを自己診断し、システムゲイン校正値SGpr及びシステムゲイン初期値SGinを校正装置2の記憶装置に格納する。ここでは、指標ピークpのピーク値に基づいてシステムゲイン初期値SGinを設定する例として、測定ユニット15が測定した指標ピークpのピーク値をそのままシステムゲイン初期値SGinにする。
通常、指標スペクトルの測定範囲の下限dL及び上限dUは、スペクトル形状を十分に把握できるように、指標ピークpを基準にしてこの指標ピークpから下限値及び上限値の幅が設定される。測定ユニット15及び校正装置2のスペクトル計数部27のそれぞれにおいて、指標ピークpを同一の固定値に設定することにより、測定範囲は指標ピーク値pを基準にして設定されたことになり、指標ピークpと測定範囲の関係は一義的に決まる。すなわち、スペクトル計数部27が測定した測定範囲値は測定範囲校正値Aprとなり、測定ユニット15が測定した測定範囲値は測定範囲初期値Ainとなる。
測定範囲校正値Apr、システムゲイン校正値SGprが設定されたら、指標線源210を、チェック線源容器42に収容されていた標準線源220に置き換えて検出効率を求める校正を実施する。標準線源220に置き換えて求めた検出効率を標準検出効率DEstと呼ぶことにする。その検出効率(標準検出効率DEst)を校正結果として校正装置2の記憶装置に格納する。
以上のように校正が完了したら、放射線検出器11及び測定ユニット15を放射線測定装置1aのサンプラ12に再設置して、放射線測定装置1aを復旧する復旧作業を行い、チェック線源機構14を駆動して放射線検出器11にチェック線源141から放射線(図
示せず)を照射する。測定ユニット15は、工学値測定機能により、チック線源正味初期
値Ct1、チック線源ピーク値CHp1、測定範囲CHa1及び高圧電源の高電圧値HV1を測定する。測定ユニット15は、チック線源ピーク値CHp1をシステムゲインSG1とし、測定範囲CHa1、高圧電源の高電圧値HV1、チック線源正味初期値Ct1及びシステムゲインSG1を測定ユニット15の図示しない記憶装置に格納する。ここで、チック線源正味初期値や監視途中で測定するチック線源正味値は、チェック線源による放射線の照射前後における測定範囲CHa1(下限dLから上限dUまで)の計数率の差である。チック線源正味初期値やチック線源正味値は、図4や図5の斜線を付した部分のカウント値の合計を基準値で正規化したものである。
次に校正が完了した後における校正装置2及び監視装置3の動作を説明する。校正装置2は、放射線測定装置1aの放射線検出器11及び測定ユニット15の校正が完了して校正結果が得られたら、新たな未送信データの存在を示す受信依頼信号を監視装置3に発信する。監視装置3は、その受信依頼信号を受信すると、その放射線測定装置1aの校正条件として測定範囲初期値Ain、高電圧初期値HVin、システムゲイン初期値SGinを校正装置2から取り込んで、取り込んだデータを更新して監視装置3の図示しない記憶装置に格納する(基準条件取得手順)。校正装置2に格納された校正条件は、基準校正条件である。また、監視装置3は、校正装置2における当該未送信データの存在を示す受信依頼信号の発信をリセットする。
作業員は、監視装置3において放射線測定装置1aの状態をテスト状態から監視状態に
戻す。監視装置3において放射線測定装置1aのテスト状態が解除されると、監視装置3は初期点検を行う。監視装置3は、放射線測定装置1aから、前述した測定ユニット15に内蔵された記憶装置に格納された最新の測定範囲CHa1、高電圧値HV1、チック線源正味初期値Ct1、システムゲインSG1を受信する(診断対象条件取得手順)。放射線測定装置1aにて設定された校正条件は、測定校正条件である。監視装置3は、測定範囲CHa1と測定範囲初期値Ain、高電圧値HV1と高電圧初期値HVin、システムゲインSG1とシステムゲイン初期値SGinをそれぞれ比較し、許容範囲内であることを自己診断し(校正条件診断手順)、診断結果を監視装置3の表示部に表示する。すなわち、校正条件診断手順は、測定校正条件が基準校正条件を基準にした許容範囲内にあることを自動診断する。
また、監視装置3は、診断結果を内蔵された記憶装置に格納し、診断結果に問題がなければ監視をスタートする。診断結果に問題がある場合に、監視装置3は、その旨(診断結果に問題あり)を表示部(図示せず)に表示する。診断結果に問題がある場合には、放射線検出器11及び測定ユニット15をサンプラ12から取り外し、校正条件の再設定を行う。
原子炉施設、使用済み燃料再処理施設、放射性物質利用施設等のプラントにおける次のプラント定期検査までの間に、放射線測定装置1aの月例点検等を実施する場合は、校正時の校正条件が再現していることを診断する自己診断を行う。また、放射線監視システム80は、チェック線源正味値の自動診断を行う。なお、放射線測定装置1aの月例点検は、JEAG4606原子力発電所モニタリングにより1〜3か月に1回の点検が望ましいとされている。
チェック線源正味値の自動診断は以下のように行う。監視装置3から遠隔操作でチェック線源141から放射線を放射線検出器11に照射する。例えば、線源駆動棒146の先端に取り付けられたチェック線源141を、図示しないソレノイドを作動させて鉛遮蔽部63から鉛遮蔽穴部62まで移動させ、チェック線源141から放射線を放射線検出器11に照射する。放射線測定装置1aの測定ユニット15は、チェック線源正味値Ctmeを測定する。測定ユニット15は、測定したチェック線源正味値Ctmeを、記憶装置に格納してあるチック線源正味初期値Ct1と比較して許容範囲内であることを診断する。以上のように、測定ユニット15は、チェック線源正味値の診断項目を追加して、校正条件の自己診断項目と合わせて自動診断する。
以上のように、実施の形態1の放射線監視システム80では、監視装置3と放射線測定装置1aを第1の伝送ケーブル4aで接続して相互に送受信可能にし、監視装置3と校正装置2を第2の伝送ケーブル5で接続して相互に送受信可能とした。また、実施の形態1の放射線監視システム80では、放射線測定装置1aのチェック線源141と校正時の指標線源210は、同じ核種でかつスペクトルにピークが発現するもので構成し、そのピーク値がシステムゲインを代表するようにした。さらに、実施の形態1の放射線監視システム80では、監視装置3から遠隔操作でチェック線源141を移動し、放射線測定装置1aの放射線検出器11にチェック線源141から放射線を照射する。測定ユニット15は、放射線検出器11により検出された測定スペクトルからそのピーク値等を測定する。測定ユニット15は、システムゲインSG1及び測定範囲CHa1を測定し、システムゲインSG1がシステムゲイン初期値SGinの許容範囲内にあり、かつ測定範囲CHa1が測定範囲初期値Ainの許容範囲内にあるか否かを自己診断する。
したがって、実施の形態1の放射線監視システム80は、校正条件としてのシステムゲインSG1及び測定範囲CHa1を定期的に、遠隔で自己診断するようにしたので、放射線監視システム80における放射線測定装置1aの健全性を校正時から運用開始及び運用
中にわたって維持することができる。
また、実施の形態1の放射線監視システム80は、放射線測定装置1aの健全性を遠隔で自己診断するようにしたので、作業員の放射線管理区域内作業を最小限に減らすことができ、作業員の被曝を大幅に低減することができる。作業員の放射線管理区域内作業は、放射線測定装置1aのサンプラ12から放射線検出器11及び測定ユニット15を外す作業と、校正後に放射線検出器11及び測定ユニット15をサンプラ12に戻す作業のみに制限することができる。すなわち、放射線測定装置1aの設置場所における放射線測定装置1aの各種設定作業や調整作業を、不要にすることができる。なお、校正装置2が設置された校正室は、放射線管理区域であるものの放射線量は一般区域並みに低いので、校正室での作業は、被曝線量管理が必要となる上記の放射線管理区域内作業に含まれない。従来の放射線監視システムにおける定期点検の作業時間の内訳は、各種設定作業や調整作業が約2/3であり、校正作業が約1/3であった。実施の形態1の放射線監視システム80では、従来の放射線監視システムにおける定期点検作業中の被曝を大幅に低減することができる。
また、実施の形態1の放射線監視システム80は、検出効率を担保する校正条件等のデータを、校正装置2及び放射線測定装置1aから監視装置3に送信し、校正条件等のデータを監視装置3で管理するようにしたので、監視システムの信頼性を向上させかつ保守時間を低減することができる。また、実施の形態1の放射線監視システム80は、第1の伝送ケーブル4a及び第2の伝送ケーブル5に光ケーブルを使用することにより、耐ノイズ性を向上することができる。
以上のように、実施の形態1の放射線監視システム80は、放射線管理区域内に設置され、放射線を測定する放射線測定装置1aと、放射線の線量が放射線管理区域内ではあるが一般区域並みに低い校正室に設置され、放射線測定装置を校正した校正条件及び校正結果を格納し、要求に応じて校正条件及び校正結果を出力する校正装置2と、放射線測定装置1aの測定結果を入力して監視すると共に、校正装置2から入力された校正条件と放射線測定装置1aから入力された点検結果を比較してシステムの健全性を診断する監視装置3とを備え、放射線測定装置1aは、着脱可能に配置され、放射線を検出して電気信号に変換する放射線検出器11と、着脱可能に配置され、放射線検出器11の電気信号を測定して工学値に変換すると共に、工学値と警報設定値を比較して所定の範囲を逸脱した場合に警報を発信する測定ユニット15と、測定対象(測定対象試料13)から放出される放射線が放射線検出器11で所定の検出効率で検出されるように支持すると共に、環境放射線を遮蔽するサンプラ12と、サンプラ12に内蔵されたチェック線源141から放出される放射線を放射線検出器11に照射または遮蔽するように、チェック線源141を移動するチェック線源機構14とを有する。実施の形態1の放射線監視システム80は、放射線測定装置1aを校正する際に、校正室に移動された放射線検出器11及び測定ユニット15を互いにケーブル(試験用ケーブル22)で接続し、測定ユニット15を校正装置2にケーブル(試験用ケーブル23)で接続し、校正装置2は、放射線測定装置1aを校正する際に、放射線検出器11にチェック線源141と同じ核種の指標線源210からの放射線を照射したときに発現する指標ピーク値(指標ピークpの値)に基づいてシステムゲイン初期値SGin及び管理する測定範囲の初期値である測定範囲初期値Ainを設定し、システムゲイン初期値SGin及び測定範囲初期値Ainを校正条件として内蔵する記憶装置に格納し、監視装置3は、放射線測定装置1aの点検の際に、放射線測定装置1aがチェック線源141からの放射線を放射線検出器11に照射したときに発現するチェック線源ピーク値(チェック線源ピークp1の値)を測定し、チェック線源ピーク値に基づいて設定されたシステムゲインSG1及び測定範囲CHa1を取得し、この設定されたシステムゲインSG1及び測定範囲CHa1のそれぞれが、システムゲイン初期値SGin及び測定範囲初期値Ainを基準にした許容範囲内にあることを自動診断するので、すなわち、放射線測定装置を校正する際に、放射線検出器及び測定ユニットを校正室に移動して基準となる校正条件であるシステムゲイン初期値及び測定範囲初期値を取得し、放射線測定装置を点検する際に、監視装置は、放射線測定装置にて設定された測定校正条件であるステムゲイン及び測定範囲が、前記基準となる校正条件を基準にした許容範囲内にあることを診断するので、プラント立ち上げ前の放射線測定装置の点検における放射線管理区域内作業を最小限に減らすことができ、プラント運転中の点検における放射線管理区域内作業を原則なくすことができ、全体として大幅な被爆低減が実現できると共に、検出効率の健全性を担保する校正条件を自動診断することにより、放射線監視システムにおける信頼性の向上及び保守作業の容易化を実現することができる。
実施の形態1の放射線監視システム80の校正条件の診断方法は、放射線測定装置1aを校正した際に校正装置2に格納された校正条件を、基準校正条件として監視装置3に格納する基準条件取得手順と、放射線測定装置1aの点検の際に放射線測定装置1aにて設定された校正条件を、測定校正条件として監視装置3に格納する診断対象条件取得手順と、測定校正条件が基準校正条件を基準にした許容範囲内にあることを自動診断する校正条件診断手順とを含むことを特徴とするので、プラント立ち上げ前の放射線測定装置の点検における放射線管理区域内作業を最小限に減らすことができ、プラント運転中の点検における放射線管理区域内作業を原則なくすことができ、全体として大幅な被爆低減が実現できると共に、検出効率の健全性を担保する校正条件を自動診断することにより、放射線監視システムにおける信頼性の向上及び保守作業の容易化を実現することができる。
なお、校正完了後に監視をスタートさせる際に自動診断する校正条件の項目に、チック線源正味初期値Ct1を含めても構わない。
実施の形態2.
実施の形態1ではチェック線源機構14に指標線源210と同じ核種のチェック線源141を搭載したが、実施の形態2では、指標線源210と同じ核種の第1のチェック線源142と、ピークの発現がなく測定領域の広い範囲にスペクトルが現れる第2のチェック線源143を搭載した。図6は、本発明の実施の形態2による放射線測定装置の構成を示す図である。図6(a)は放射線測定装置1aの正面から見た一部断面であり、図6(b)は平面図である。チェック線源機構14の線源駆動棒146に、第1のチェック線源142と、第2のチェック線源143を搭載し、放射線検出器11に第1のチェック線源142からの放射線を監視状態において常時照射するようにした。すなわち、監視状態において、第1のチェック線源142は鉛遮蔽穴部62に位置するようにされ、第2のチェック線源143は鉛遮蔽部63に位置するようにされている。
放射線検出器11に第1のチェック線源142から放射線が常時照射された場合のスペクトルを模式的に示した例を図7に示す。図7は、本発明の実施の形態2の放射線検出器のスペクトルを示し、図7において、bはバックグラウンドスペクトルを示し、nはバックグラウンドスペクトルに含まれるノイズピークを示し、m1は第1のチェック線源142の放射線を照射することによりバックグラウンドスペクトルに上積されたチェック線源スペクトルを示し、p1はチェック線源ピークを示し、dLは測定範囲の下限を示し、dUは測定範囲の上限を示す。例えば、放射線検出器11として厚みの薄いCdZnTe化合物半導体をセンサーに使用し、第1のチェック線源142としてγ線源であるAm−241を用いることで、図7に示したような測定範囲の下限dLより低くかつノイズピークnより高いレベル(チャネル値)にチェック線源ピークp1を発現させることができる。第1のチェック線源142のAm−241から放射線(γ線)を常時照射することにより、60keVのγ線のピークが発現して、チェック線源ピーク値が放射線検出器11により測定される。
また、第2チェック線源143としてβ線源であるSr−90を用いる。チェック線源機構14を動作させて第2のチェック線源143のSr−90から放射線検出器11に放射線を照射すると、Sr−90と放射平衡にあるY−90における2.28MeVのβ線により、図7に示すように測定範囲(下限dLから上限dU)の大部分の領域に、ピークのないブロードスペクトルm2が発現して、放射線検出器11により測定さる。
実施の形態2の放射線監視システム80は、測定範囲の下限dLの値未満にピーク(チェック線源ピークp1)を有すると共に、測定範囲の下限dLの値未満に波高分布するスペクトル(チェック線源スペクトルm1)を有する第1のチェック線源142と、支配的波高分布が測定範囲内に広く分布するスペクトル(ブロードスペクトルm2)を有する第2チェック線源143を用いる。
実施の形態2の放射線監視システム80は、放射線測定装置1aの測定ユニット15が実施の形態1で説明した工学値測定機能を有するので、第1のチェック線源142によるチェック線源ピークp1を用いることで、実施の形態1と同様の効果を奏する。すなわち、実施の形態2の放射線監視システム80は、プラント立ち上げ前の放射線測定装置の点検における放射線管理区域内作業を最小限に減らすことができ、プラント運転中の点検における放射線管理区域内作業を原則なくすことができ、全体として大幅な被爆低減が実現できると共に、検出効率の健全性を担保する校正条件を自動診断することにより、放射線監視システムにおける信頼性の向上及び保守作業の容易化を実現することができる。
また、実施の形態2の放射線監視システム80は、放射線検出器11に第1のチェック線源142から放射線を常時照射しているので、プラント環境の監視対象範囲に対応する測定範囲(下限dLから上限dU)とは異なる領域に発現するチェック線源ピークp1のピーク値(チャネル値)を常時測定することができる。チェック線源ピークp1のピーク値をシステムゲインとするので、実施の形態2の放射線監視システム80は、システムゲインのオンライン自動診断ができる。したがって、システムゲインのオンライン自動診断を定期点検以外にも定期的に、または常時測定することにより、放射線監視システムにおける信頼性を一段と向上させることができる。
なお、第1のチェック線源142としてγ線源であるAm−241を用い、測定範囲CHa1の下限dL未満にチェック線源ピークp1を発現させたとしても、測定範囲CHa1においてバックグランドはほとんど上昇しない。すなわち、実施の形態2の放射線監視システム80は、測定範囲CHa1の下限dL未満にチェック線源ピークp1を発現させたとしても、測定範囲CHa1における放射線検出器11の測定感度を、チェック線源ピークp1を発現させない場合と同等にすることができる。したがって、実施の形態2の放射線監視システム80は、測定範囲の下限dL未満にチェック線源ピークp1を発現させることにより、測定対象に対する測定感度を低下させることなく、システムゲインSG1のオンライン自動診断を実現できる。また、第2のチェック線源143としてβ線源であるSr−90を用いたので、実施の形態2の放射線監視システム80は、サンプラ12の内部に第2のチェック線源143を遮蔽するための鉛遮蔽部63の遮蔽厚みを薄くできる。実施の形態2の放射線監視システム80は、鉛遮蔽部63の遮蔽厚みを薄くできるので、サンプラ12が小型になる効果を奏する。したがって、放射線測定装置1aを小型にすることができる。
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、放射線測定装置1aが大型重量物である遮蔽を具備したサンプラ12を備えているため、放射線測定装置1aから放射線検出器11及び測定ユニット15を取り外して校正装置2の設置場所に運んで校正を行うようにしていた。実施の形態3では、測定対象をプラントエリア内の放射線とし、放射線測定装置1aから大型重量物
であるサンプラ12を無くした。実施の形態3では、サンプラ12がないことにより放射線測定装置1aが軽量になるので、放射線測定装置1aを設置場所から外して校正装置2の設置場所に運んで校正を行う。図8は、本発明の実施の形態3による放射線測定装置の構成を示す図である。実施の形態3の放射線測定装置1aは、放射線検出器11と、チェック線源機構14と、測定ユニット15と、検出器カバー41とを有する。チェック線源機構14は、チェック線源支柱45と、チェック線源144と、シャッター145と、ソレノイド147とを有する。
放射線測定装置1aは、チェック線源機構14のチェック線源支柱45に設置されたチェック線源144から放射される放射線をシャッター145により遮蔽した状態で工学値を測定する。放射線測定装置1aは、測定結果の工学値を測定ユニット15の表示器110に表示し、警報発信時に測定ユニット15のランプ120を点灯させると共に測定ユニット15のブザー130を鳴らして報知するようになっている。
図9は、本発明の実施の形態3の放射線検出器のスペクトルを示す図である。図9において、bはバックグラウンドスペクトルを示し、nはバックグラウンドスペクトルに含まれるノイズピークを示し、mはチェック線源144の放射線を照射することによりバックグラウンドスペクトルに上積されたチェック線源スペクトルを示し、sは校正時の指標線源スペクトルを示し、pは指標線源ピークを示し、dLは測定範囲の下限を示し、dUは測定範囲の上限を示す。例えば、放射線検出器11として薄いSi半導体をセンサーに使用し、指標線源210としてγ線源であるAm−241を用い、チェック線源144としてβ線源であるSr−90を用いることで、図9に示したような測定範囲の下限dLから上限dUの間にAm−241のピークpを発現させる。また、チェック線源機構14を動作させてシャッター145を開けると、チェック線源144からの放射線が放射線検出器11に照射され、Sr−90と放射平衡にあるY−90における2.28MeVのβ線がSi半導体の裏面基板に入射する。β線がSi半導体の裏面基板に入射すると、Si半導体の基板に作用して放射される制動X線をSi半導体が検出し、測定範囲全域にわたるスペクトルmが発現する。校正時には、検出器カバー41の前面に指標線源のAm−241を貼付けて測定範囲内にスペクトルピークが発現する。
放射線測定装置1aの校正方法を説明する。校正時でも、放射線検出器11及び測定ユニット15が放射線測定装置1aに取り付けられている状態で、実施の形態1で説明した校正装置2に接続して、校正作業を行う。実施の形態1で説明したように、高電圧校正値HVpr及び高電圧初期値HVinを測定し、高電圧校正値HVprを基準に高電圧初期値HVinが許容範囲にあることを自己診断し、高電圧校正値HVpr及び高電圧初期値HVinを校正装置2の記憶装置に格納する。
次に、検出器カバー41の前面に指標線源210のAm−241を粘着テープ等で貼付けて、放射線検出器11に指標線源210であるAm−241からγ線を照射して60keVのγ線のピークpを発現させ、ピーク値を求めてシステムゲイン校正値SGprとし、そのピーク値を基準に測定範囲を設定する。
校正装置2は、測定ユニット15の測定範囲下限及び測定範囲上限の計数動作点について校正して、測定範囲下限以上かつ測定範囲上限以下の測定範囲を測定範囲校正値Aprとし、測定ユニット15が測定した測定範囲モニタ値を測定範囲初期値Ainとし、測定範囲校正値Aprを基準に測定範囲初期値Ainが許容範囲内にあることを自己診断する。校正装置2は、システムゲイン校正値SGpr、測定範囲校正値Apr及び測定範囲初期値Ainを校正装置2の記憶装置に格納する。
次に、指標線源210を取外してチェック線源144を動作させる。校正装置2は、チ
ェック線源144による放射線の照射前後における測定範囲初期値Ain内の工学値の差である正味工学値を正味工学値初期値とし、正味工学値初期値を校正条件として内蔵する記憶装置に格納する。具体的には、校正装置2は、放射線測定装置1aのチェック線源機構14を動作させてチェック線源144のSr−90から放射線を照射してチック線源正味初期値Ct1を求めて、校正装置2の記憶装置に格納する。チック線源正味初期値Ct1は、正味工学値初期値である。
校正装置2は、放射線測定装置1aの校正が完了して校正結果が得られたら、新たな未送信データの存在を示す受信依頼信号を監視装置3に発信する。監視装置3は、その受信依頼信号を受信すると、その放射線測定装置1aの校正条件として高電圧初期値HVin、チック線源正味初期値Ct1を校正装置2から取り込んで、取り込んだデータを更新して監視装置3の記憶装置に格納する(基準条件取得手順)。また、監視装置3は、校正装置2における当該未送信データの存在を示す受信依頼信号の発信をリセットする。
放射線測定装置1aの校正が完了したら、放射線測定装置1aを設置位置に戻して復旧作業を行い、チェック線源機構14を駆動して放射線検出器11にチェック線源144から放射線(図示せず)を照射する。放射線測定装置1aの測定ユニット15は、工学値測定機能により、測定範囲初期値Ain内のチック線源正味値Ctme、及び高圧電源の高電圧値HV1を測定する。測定ユニット15は、高圧電源の高電圧値HV1、チック線源正味値Ctmeを内蔵された記憶装置に格納する。チック線源正味値Ctmeは、正味工学値である。
監視装置3は、放射線測定装置1aから、前述した測定ユニット15に内蔵された記憶装置に格納された最新の高圧電源の高電圧値HV1、チック線源正味値Ctmeを入力し(診断対象条件取得手順)、高電圧値HV1と高電圧初期値HVin、チック線源正味値Ctmeとチック線源正味初期値Ct1をそれぞれ比較し、許容範囲内であることを自己診断する(校正条件診断手順)。監視装置3は、診断結果を表示器110に表示し、診断結果を内蔵された記憶装置に格納し、診断結果に問題がなければ監視をスタートする。診断結果に問題がある場合に、監視装置3は、その旨(診断結果に問題あり)を表示器110に表示する。
原子炉施設、使用済み燃料再処理施設、放射性物質利用施設等のプラントにおける次のプラント定期検査までの間に、放射線測定装置1aの月例点検等を実施する場合は、実施の形態1と同様に校正時の校正条件が再現していることを診断する自己診断を行う。
以上のように、実施の形態3の放射線監視システム80は、実施の形態1と同様の効果を奏すると共に、校正から運用までを同一のチェック線源144で校正条件を診断するので、線源の個体差による誤差を排除できるため、高精度で自己診断できる。
実施の形態1及び2では、検出効率の健全性を担保する校正条件にシステムゲイン初期値SGinが含まれていたが、実施の形態3では、上述したように、検出効率の健全性を担保する校正条件を、測測定範囲初期値Ain及びチック線源正味初期値Ct1にしても構わない。
1a、1b、1i…放射線測定装置、2…校正装置、3…監視装置、4a、4b、4i…伝送ケーブル、5…伝送ケーブル、11…放射線検出器、12…サンプラ、13…測定対象試料、14…チェック線源機構、15…測定ユニット、22…試験用ケーブル、23…試験用ケーブル、80…放射線監視システム、141、142、143、144…チェック線源、210…指標線源、p…指標ピーク、p1…チェック線源ピーク、m1…チェッ
ク線源スペクトル、m2…ブロードスペクトル、Ain…測定範囲初期値、SGin…システムゲイン初期値、Ct1…チック線源正味初期値(正味工学値初期値)、SG1…システムゲイン、Ctme…チック線源正味値(正味工学値)。

Claims (8)

  1. 測定対象から放出される放射線を測定及び管理する放射線監視システムであって、
    放射線管理区域内に設置され、前記放射線を測定する放射線測定装置と、
    前記放射線の線量が前記放射線管理区域内ではあるが一般区域並みに低い校正室に設置され、前記放射線測定装置を校正した校正条件及び校正結果を格納し、要求に応じて前記校正条件及び前記校正結果を出力する校正装置と、
    前記放射線測定装置の測定結果を入力して監視すると共に、前記校正装置から入力された前記校正条件と前記放射線測定装置から入力された点検結果を比較してシステムの健全性を診断する監視装置とを備え、
    前記放射線測定装置は、
    着脱可能に配置され、前記放射線を検出して電気信号に変換する放射線検出器と、
    着脱可能に配置され、前記放射線検出器の電気信号を測定して、前記放射線に関する測定値である放射線測定値に変換すると共に、前記放射線測定値と警報設定値を比較して所定の範囲を逸脱した場合に警報を発信する測定ユニットと、
    前記測定対象から放出される放射線が前記放射線検出器で所定の検出効率で検出されるように支持すると共に、環境放射線を遮蔽するサンプラと、
    前記サンプラに内蔵されたチェック線源から放出される放射線を前記放射線検出器に照射または遮蔽するように、前記チェック線源を移動するチェック線源機構とを有し、
    前記放射線測定装置を校正する際に、前記校正室に移動された前記放射線検出器及び前記測定ユニットを互いにケーブルで接続し、前記測定ユニットを前記校正装置にケーブルで接続し、
    前記校正装置は、前記放射線測定装置を校正する際に、前記放射線検出器に前記チェック線源と同じ核種の指標線源からの放射線を照射したときに発現する前記放射線測定値である指標ピーク値に基づいてシステムゲイン初期値及び管理する測定範囲の初期値である測定範囲初期値を設定し、前記システムゲイン初期値及び前記測定範囲初期値を前記校正条件として内蔵する記憶装置に格納し、
    前記監視装置は、前記放射線測定装置の点検の際に、前記放射線測定装置が前記チェック線源からの放射線を前記放射線検出器に照射したときに発現する前記放射線測定値であるチェック線源ピーク値を測定し、前記チェック線源ピーク値に基づいて設定されたシステムゲイン及び測定範囲を取得し、前記設定されたシステムゲイン及び測定範囲のそれぞれ
    が、前記システムゲイン初期値及び前記測定範囲初期値を基準にした許容範囲内にあることを自動診断すること特徴とする放射線監視システム。
  2. 前記チェック線源機構は、他のチェック線源をさらに搭載し、監視動作中に前記チェック線源から放出される放射線を前記放射線検出器に照射するようにし、点検の際に前記他のチェック線源から放出される放射線を前記放射線検出器に照射するようにし、
    前記チェック線源は、前記測定範囲の下限値未満にピークを有すると共に、前記測定範囲の下限値未満に波高分布するスペクトルを有し、
    前記他のチェック線源は、波高分布が前記測定範囲内に広く分布しており、かつ前記測定範囲内の波高値が前記チェック線源による波高値よりも大きいスペクトルを有し、
    前記チェック線源ピーク値は、前記放射線測定装置が前記監視動作中に前記チェック線源からの放射線を前記放射線検出器に照射したときに測定したものであること特徴とする請求項1記載の放射線監視システム。
  3. 前記監視装置は、監視動作中に前記チェック線源からの放射線を前記放射線検出器に照射したときに発現するチェック線源ピーク値の測定結果を取得し、前記チェック線源ピーク値に基づいて設定されたシステムゲインを診断することを特徴とする請求項2記載の放射線監視システム。
  4. 前記チェック線源は、核種がAm−241であり、前記他のチェック線源は、核種がSr−90であることを特徴とする請求項2または3に記載の放射線監視システム。
  5. 測定対象から放出される放射線を測定及び管理する放射線監視システムであって、
    放射線管理区域内に設置され、前記放射線を測定する放射線測定装置と、
    前記放射線の線量が前記放射線管理区域内ではあるが一般区域並みに低い校正室に設置され、前記放射線測定装置を校正した校正条件及び校正結果を格納し、要求に応じて前記校正条件及び前記校正結果を出力する校正装置と、
    前記放射線測定装置の測定結果を入力して監視すると共に、前記校正装置から入力された前記校正条件と前記放射線測定装置から入力された点検結果を比較してシステムの健全性を診断する監視装置とを備え、
    前記放射線測定装置は、
    前記放射線を検出して電気信号に変換する放射線検出器と、
    前記放射線検出器の電気信号を測定して、前記放射線に関する測定値である放射線測定値に変換すると共に、前記放射線測定値と警報設定値を比較して所定の範囲を逸脱した場合に警報を発信する測定ユニットと、
    当該放射線測定装置に内蔵されたチェック線源から放出される放射線を前記放射線検出器に照射または遮蔽するチェック線源機構とを有し、
    前記放射線測定装置を校正する際に、前記校正室に移動された前記放射線測定装置を前記校正装置にケーブルで接続し、
    前記校正装置は、前記放射線測定装置を校正する際に、前記放射線検出器に指標線源からの放射線を照射したときに発現する前記放射線測定値である指標ピーク値及びスペクトルを測定し、前記指標ピーク値に基づいてシステムゲイン初期値及び管理する測定範囲の初期値である測定範囲初期値を設定し、前記チェック線源による放射線の照射前後における前記測定範囲内の前記スペクトルの計数率の差である正味工学値を正味工学値初期値とし、前記正味工学値初期値及び前記測定範囲初期値を前記校正条件として内蔵する記憶装置に格納し、
    前記監視装置は、前記放射線測定装置の点検の際に、前記放射線測定装置が前記チェック線源からの放射線を前記放射線検出器に照射して、この照射によって発現する前記放射線測定値であるスペクトルを測定し、前記チェック線源からの放射線の照射前後における前記設定された測定範囲初期値内の前記スペクトルの計数率の差である正味工学値を取得し
    、前記正味工学値が、前記正味工学値初期値を基準にした許容範囲内にあることを自動診断すること特徴とする放射線監視システム。
  6. 前記指標線源は、核種がAm−241であり、前記チェック線源は、核種がSr−90であることを特徴とする請求項5記載の放射線監視システム。
  7. 前記放射線測定装置は、前記監視装置に第1の伝送ケーブルを介して接続され、
    前記校正装置は、前記監視装置に第2の伝送ケーブルを介して接続され、
    前記第1の伝送ケーブル及び前記第2の伝送ケーブルは、光ケーブルであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線監視システム。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線監視システムにおける校正条件の診断方法であって、
    前記放射線測定装置を校正した際に前記校正装置に格納された前記校正条件を、基準校正条件として前記監視装置に格納する基準条件取得手順と、
    前記放射線測定装置の点検の際に前記放射線測定装置にて設定された前記校正条件を、測定校正条件として前記監視装置に格納する診断対象条件取得手順と、
    前記測定校正条件が前記基準校正条件を基準にした許容範囲内にあることを自動診断する校正条件診断手順とを含むことを特徴とする放射線監視システムにおける校正条件の診断方法。
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