しかしながら、上記特許文献1のような車両用前部骨格構造おいては、前記衝撃荷重によって前記ラジエータサポート部材の後端部が前記側部骨格構造の前端部から脱落してしまうと、それ以後は部材の変形などにより衝撃荷重を吸収することができないので前記衝撃荷重を好適に吸収することができないという問題があった。また、上記特許文献2のような車両用前部骨格構造では、前記衝撃荷重によって前記ラジエータサポート部材の後端部が前記側部骨格構造の前端部から脱落してしまうと、それ以後は部材の変形などにより衝撃荷重を吸収することができないので前記衝撃荷重を好適に吸収することができない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、従来に比較して衝撃荷重を好適に吸収することができる車両用前部骨格構造を提供することにある。
かかる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、(a) 車両のフロントピラーの下部から車両前後方向に沿って配設される側部骨格部材と、車幅方向に配置される枠状のラジエータサポート部材と、そのラジエータサポート部材の車幅方向の両側に設けられたラジエータサポート連結部と前記側部骨格部材の前端部との間を連結するラジエータサポートアッパサイド部材とを備える車両用前部骨格構造であって、(b) 前記側部骨格部材の前端部は、その側部骨格部材の前端部の後端側に隣接する部位の側壁に対して低くなる段差を形成する高さの一対の第1連結用側壁を有するものであり、(c) 前記ラジエータサポートアッパサイド部材の後端部は、一対の第2連結用側壁とそれら一対の第2連結用側壁の上端部の間を結合する第2上壁とを一体的に有して下方へ開く逆U字状の断面を有するものであり、(d)前記一対の第1連結用側壁の上端と前記第2上壁との間に隙間が形成される状態で、その一対の第1連結用側壁の外壁面と前記一対の第2連結用側壁の内壁面との間の面圧を発生させて前記側部骨格部材の前端部と前記ラジエータサポートアッパサイド部材の後端部とを相互に固定し、所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝撃荷重が加えられたときに前記第1連結用側壁に対して前記第2連結用側壁の下方への相対変位を許容する第1連結装置を、含むことにある。
本発明の車両用前部骨格構造によれば、(b) 前記側部骨格部材の前端部は、その側部骨格部材の前端部の後端側に隣接する部位の側壁に対して低くなる段差を形成する高さの一対の第1連結用側壁を有するものであり、(c) 前記ラジエータサポートアッパサイド部材の後端部は、一対の第2連結用側壁とそれら一対の第2連結用側壁の上端部の間を結合する第2上壁とを一体的に有して下方へ開く逆U字状の断面を有するものであり、(d) 前記一対の第1連結用側壁の上端と前記第2上壁との間に隙間が形成される状態で、その一対の第1連結用側壁の外壁面と前記一対の第2連結用側壁の内壁面との間の面圧を発生させて前記側部骨格部材の前端部と前記ラジエータサポートアッパサイド部材の後端部とを相互に固定し、所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝撃荷重が加えられたときに前記第1連結用側壁に対して前記第2連結用側壁の下方への相対変位を許容する第1連結装置を、含むことにある。このため、前記所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む前記衝撃荷重が加えられたときに、前記第1連結装置によって、前記第1連結用側壁に対して前記第2連結用側壁の下方への相対変位が許容されて前記ラジエータサポートアッパサイド部材の後端部が前記側部骨格部材の前端部に対して下方へ変位されると共に、その衝撃荷重が前記ラジエータサポートアッパサイド部材から前記側部骨格部材へ伝達される。これによって、従来のような前記衝撃荷重によって前記ラジエータサポート部材の後端部が前記側部骨格構造の前端部から脱落するものに比較して前記衝撃荷重を好適に吸収させることができる。
ここで、好適には、前記第1連結装置は、前記一対の第2連結用側壁に車両前後方向よりも上下方向が長く形成された第1長穴と、その第1長穴を通して前記一対の第1連結用側壁に螺合されて前記面圧を発生させる一対の第1締結ボルトとを備え、その第1締結ボルトの軸部を前記第1長穴内で移動させることにより前記第1連結用側壁に対して前記第2連結用側壁の下方への相対変位を許容するものである。このため、前記側部骨格部材の前端部に対して前記ラジエータサポートアッパサイド部材の後端部の下方への相対変位を許容する前記衝突荷重を、前記一対の第1締結ボルトの締め付けトルク等の設定によって調節することができる。
また、好適には、(a) 前記ラジエータサポート連結部は、前記ラジエータサポート部材の車幅方向の両側から側方へ突き出して、そのラジエータサポート連結部に隣接する部位の側壁に対して低くなる段差を形成する高さの一対の第3連結用側壁を有するものであり、(b) 前記ラジエータサポートアッパサイド部材の前端部は、一対の第4連結用側壁とそれら一対の第4連結用側壁の上端部の間を結合する第4上壁とを一体的に有して下方へ開く逆U字状の断面を有するものであり、(c) 前記一対の第3連結用側壁の上端と前記第4上壁との間に隙間が形成される状態で、その一対の第3連結用側壁の外壁面と前記一対の第4連結用側壁の内壁面との間の面圧を発生させて前記ラジエータサポートアッパサイド部材の前端部と前記ラジエータサポート連結部とを相互に連結し、所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝撃荷重が加えられたときに前記第3連結用側壁に対して前記第4連結用側壁の下方への相対変位を許容する第2連結装置を、含むものである。このため、前記所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む前記衝撃荷重が加えられたときに、前記第2連結装置によって、前記第3連結用側壁に対して前記第4連結用側壁の下方への相対変位が許容されて前記ラジエータサポートアッパサイド部材の前端部が前記ラジエータサポート連結部に対して下方へ変位されるので、歩行者が車両の前部に衝突した際の前記車両用前部骨格構造における歩行車の保護の範囲を好適に広げることができる。
また、好適には、前記第2連結装置は、前記一対の第4連結用側壁に水平方向よりも上下方向が長く形成された第2長穴と、その第2長穴を通して前記一対の第3連結用側壁に螺合されて前記面圧を発生させる一対の第2締結ボルトとを備え、その第2締結ボルトの軸部を前記第2長穴内で移動させることにより前記第3連結用側壁に対して前記第4連結用側壁の下方への前記相対変位を許容するものである。このため、前記側部骨格部材の前端部に対して前記ラジエータサポートアッパサイド部材の後端部の下方への相対変位を許容する前記衝突荷重を、前記一対の第1締結ボルトおよび前記一対の第2締結ボルトの締め付けトルク等の設定によって調節することができる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は理解を容易とするために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両の前部骨格構造(車両用前部骨格構造)10の一部を示す斜視図である。図1に示すように、前部骨格構造10には、車両の図示しないフロントピラーの下部から車両前後方向FRに沿って配設された長手状の一対の側部骨格部材12と、車幅方向LRに配設された枠状のラジエータサポート部材14と、そのラジエータサポート部材14の車幅方向LRの両側に設けられたラジエータサポート連結部14aと側部骨格部材12のラジエータサポート部材14側の端部すなわち前端部12aとの間を連結する長手状の一対のラジエータサポートアッパサイド部材16とが一体的に備えられている。なお、ラジエータサポート連結部14aとラジエータサポートアッパサイド部材16のラジエータサポート部材14側の端部すなわち前端部16aとは例えばスポット溶接等によって一体的に連結されており、ラジエータサポート部材14および一対のラジエータサポートアッパサイド部材16は一体物として作製されている。
ラジエータサポート部材14は、エンジン冷却用の冷却流体を冷却する図示しないラジエータ本体を支持するものである。図1に示すように、ラジエータサポート部材14には、車幅方向LRに長手状に延長され且つ略水平に配設されたラジエータサポートアッパ14bと、そのラジエータサポートアッパ14bの下側すなわち路面側に略平行に配設された長手状のラジエータサポートロア14cと、それらラジエータサポートロア14cおよびラジエータサポートアッパ14bの両端部をそれぞれ連結する長手状の一対のラジエータサポートサイド14dおよび14eとが一体的に備えられている。なお、一対のラジエータサポートサイド14dおよび14eの中間部には、それぞれブラケット18が固設されており、そのブラケット18を介して図示しないフロントサイドメンバとラジエータサポート部材14とが連結されるようになっている。
図2に示すように、側部骨格部材12の前端部12aとラジエータサポートアッパサイド部材16の側部骨格部材12側の端部すなわち後端部16bとの間には、その側部骨格部材12の前端部12aとラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bとの間を連結し、所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝撃荷重Fが前部骨格構造10に加えられたときに側部骨格部材12の前端部12aに対してラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bの下方への相対変位を許容する第1連結装置20が備えられている。なお、第1連結装置20は、一対の側部骨格部材12の前端部12aと一対のラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bとの間にそれぞれ同様に設けられている。このため、本実施例では、図1に示す左側すなわちラジエータサポートサイド14d側の第1連結装置20のみを以下に説明する。
図2に示すように、側部骨格部材12の前端部12aは、その側部骨格部材12の前端部12aの後端側に隣接する部位の側壁12bに対して低くなる段差を形成する高さH1の一対の第1連結用側壁12cおよび12dと、それら一対の第1連結用側壁12cおよび12dの間を連結する第1上壁12eとを一体に備え、その断面が下方へ開く左右対称の逆U字状に形成されている。なお、側部骨格部材12は、図示しないフロントピラーの前端部から車両前後方向FRに長手状に延設され、図示しないフェンダブラケット等を介してフェンダアウタパネルを支持するようになっている。
図3に示すように、側部骨格部材12の前端部12aには、一対の第1連結用側壁12cおよび12dにそれぞれ円形状に貫通された挿通穴12fと、その挿通穴12fに連通する雌ねじ穴22aを有し一対の第1連結用側壁12cおよび12dの内側にそれぞれ溶接によって固設された一対の第1ウェルドナット22とが備えられている。
図2および図3に示すように、ラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bは、互いに対向する一対の第2連結用側壁16cおよび16dと、それら一対の第2連結用側壁16cおよび16dの上端部の間を結合する第2上壁16eと、その第2上壁16eに対して略平行に第2連結用側壁16cおよび16dの先端部がそれぞれ折り曲げられた鍔部16fとを一体に備え、その断面が下方へ開く左右対称の逆U字状或いはハット形状に形成されている。なお、ラジエータサポートアッパサイド部材16は、例えば、図示しないヘッドランプを支持したり、図示しないフェンダブラケットを支持したり、ゴム等の図示しないフードクッションが取り付けられるようになっている。
図3乃至図6に示すように、ラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bにおける一対の第2連結用側壁16cおよび16dには、車両前後方向FRよりも上下方向すなわち第2連結用側壁16cおよび16dの幅方向に長く形成された第1長穴16gがそれぞれ穿設されている。上記第1長穴16gは、図3および図6に示すように、その第1長穴16gの鍔部16f側の下端部から第2上壁16e側の上端部に向かうに連れて車両前後方向FRにおける幅寸法D1が大きくなるように形成されている。また、第1長穴16gの鍔部16f側の下端部における幅寸法D1は、側部骨格部材12の前端部12aとラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bとを締結する一対の第1締結ボルト24の軸部24aの直径R1よりも僅かに大きく且つその第1締結ボルト24の円板形状の座金26の直径R2よりも充分に小さく設定されており、第1長穴16gの第2上壁16e側の上端部における幅寸法D1は、第1締結ボルト24の軸部24aの直径R1よりも大きく且つ座金26の直径R2よりも小さく設定されている。なお、第1長穴16gの上端部の幅寸法D1が座金26の直径R2より小さい方が衝突時のラジエータサポートアッパサイド部材16の脱落を好適に防ぎ、軽度な衝突の場合、ラジエータサポートアッパサイド部材16が脱落した場合に比べ、第1長穴16gの下端部に第1締結ボルト24の軸部24aが配置されるように位置を合わせてその第1締結ボルト24を締め直すことで修理することができるのでリペアビリティに優れる。
図2および図4に示すように、ラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bにおける一対の第2連結用側壁16cおよび16dの内壁面16hとの間の距離E1は、側部骨格部材12の前端部12aにおける一対の第1連結用側壁12cおよび12dの外壁面12gとの間の距離E2と同等或いは僅かに大きく設計されており、第1上壁12eと第2上壁16eとの間に隙間G1が形成された状態でラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bが側部骨格部材12の前端部12aに重ね合わされている。
また、図3に示すように、第1上壁12eと第2上壁16eとの間に隙間G1が形成されるようにラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bを側部骨格部材12の前端部12aに重ね合わせて、第1締結ボルト24を第1長穴16gに通して第1ウェルドナット22と螺合させると、一対の第1連結用側壁12cおよび12dの外壁面12gと一対の第2連結用側壁16cおよび16dの内壁面16hとの間に面圧が発生して、側部骨格部材12の前端部12aとラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bとが相互に固定される。なお、第1締結ボルト24の締め付けトルクは、衝撃荷重Fが上方から加えられたときに、第1連結用側壁12cおよび12dの外壁面12gと第2連結用側壁16cおよび16dの内壁面16hとが滑る大きさの面圧が得られるように予め実験等に基づいて設定された値で締め付けられている。また、第1締結ボルト24は、その軸部24aが第1長穴16gの鍔部16f側の下端部に挿通された状態で第1ウェルドナット22に螺合している。
以上のように構成された前部骨格構造10の第1連結装置20によれば、例えば、歩行者等の衝突体が車両のフードに衝突して、側部骨格部材12の一対の第1連結用側壁12cおよび12dの外壁面12gとラジエータサポートアッパサイド部材16の一対の第2連結用側壁16cおよび16dの内壁面16hとの間に発生する摩擦力より大きい所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝突荷重Fがラジエータサポートアッパサイド部材16に加えられると、ラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bが側部骨格部材12の前端部12aに対して下方へ相対変位すなわち第1締結ボルト24の軸部24aを第1長穴16g内で移動させることにより第2連結用側壁16cおよび16dが第1連結用側壁12cおよび12dに対して下方へ相対変位すると共に、その衝撃荷重Fがラジエータサポートアッパサイド部材16から第1締結ボルト24を介して側部骨格部材12へ伝達される。そして、図5に示すように、下方へ相対変位してラジエータサポートアッパサイド部材16の第2上壁16eが側部骨格部材12の第1上壁12eに当接すると、そのラジエータサポートアッパサイド部材16が長手方向で湾曲すると共にそのラジエータサポートアッパサイド部材16の断面の開口がさらに開くように変形する。
上述のように、本実施例の前部骨格構造10によれば、側部骨格部材12の前端部12aは、その側部骨格部材12の前端部12aの後端側に隣接する部位の側壁12bに対して低くなる段差を形成する高さH1の一対の第1連結用側壁12cおよび12dとそれら一対の第1連結用側壁12cおよび12dの上端部の間を結合する第1上壁12eとを有するものであり、ラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bは、一対の第2連結用側壁16cおよび16dとそれら一対の第2連結用側壁16cおよび16dの上端部の間を結合する第2上壁16eとを一体的に有して下方へ開く逆U字状の断面を有するものであり、第1上壁12eと第2上壁16eとの間に隙間G1が形成される状態で、その一対の第1連結用側壁12cおよび12dの外壁面12gと一対の第2連結用側壁16cおよび16dの内壁面16hとの間の面圧を発生させて側部骨格部材12の前端部12aとラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bとを相互に固定し、所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝撃荷重Fが加えられたときに第1連結用側壁12cおよび12dに対して第2連結用側壁16cおよび16dの下方への相対変位を許容する第1連結装置20を、含むことにある。このため、前記所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝撃荷重Fが加えられたときに、第1連結装置20によって、第1連結用側壁12cおよび12dに対して第2連結用側壁16cおよび16dの下方への相対変位が許容されてラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bが側部骨格部材12の前端部12aに対して下方へ変位されると共に、その衝撃荷重Fがラジエータサポートアッパサイド部材16から側部骨格部材12へ伝達される。これによって、従来のような衝撃荷重Fによってラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bが側部骨格部材12の前端部12aから脱落するものに比較して衝撃荷重Fを好適に吸収させることができる。また、ラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bが側部骨格部材12の前端部12aに対して下方へ変位された後は、第2上壁16eが第1上壁12eに当接することによってラジエータサポートアッパサイド部材16が変形するので更に衝撃荷重Fを好適に吸収させることができる。
また、本実施例の前部骨格構造10によれば、第1連結装置20は、一対の第2連結用側壁16cおよび16dに車両前後方向FRよりも上下方向が長く形成された第1長穴16gと、その第1長穴16gを通して一対の第1連結用側壁12cおよび12dに溶接によって固定された第1ウェルドナット22に螺合されて面圧を発生させる一対の第1締結ボルト24とを備え、その第1締結ボルト24の軸部24aを第1長穴16g内で移動させることにより第1連結用側壁12cおよび12dに対して第2連結用側壁16cおよび16dの下方への相対変位を許容するものである。このため、側部骨格部材12の前端部12aに対してラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bの下方への相対変位を許容する衝突荷重Fを、一対の第1締結ボルト24の締め付けトルク等の設定によって調節することができる。
続いて、本発明の他の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7乃至図11に示すように、本実施例の前部骨格構造(車両用前部骨格構造)28は、前述の実施例1の前部骨格構造10に比べてラジエータサポート連結部14aと一対のラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aとが一対の第2締結ボルト30によってそれぞれ連結されている点と、そのラジエータサポート連結部14aと一対のラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aとの間に実施例1の第1連結装置20と略同様の機能を有する第2連結装置32が設けられている点とで相違しており、その他は実施例1の前部骨格構造10と略同様である。
第2連結装置32は、ラジエータサポート連結部14aとラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aとの間を連結し、所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝撃荷重Fが加えられたときにそのラジエータサポート連結部14aに対してラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aの下方への相対変位を許容するものである。なお、第2連結装置32は、ラジエータサポート連結部14aと一対のラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aとの間にそれぞれ同様に設けられている。このため、本実施例では、図7に示す左側すなわちラジエータサポートサイド14d側の第2連結装置32のみを以下に説明する。
図8に示すように、ラジエータサポート連結部14aは、ラジエータサポート部材14のラジエータサポートアッパ14bの車幅方向LRの両側から側方へ突き出して、そのラジエータサポート連結部14aに隣接する部位の側壁14fに対して低くなる段差を形成する高さH2の一対の第3連結用側壁14gおよび14hと、それら一対の第3連結用側壁14gおよび14hの間を連結する第3上壁14iとを一体に備え、その断面が下方へ開く左右対称の逆U字状に形成されている。また、図8および図9に示すように、ラジエータサポート連結部14aには、一対の第3連結用側壁14gおよび14hにそれぞれ円形状に貫通された挿通穴14jと、その挿通穴14jに連通する雌ねじ穴34aを有し一対の第3連結用側壁14gおよび14hの内側にそれぞれ溶接によって固設された一対の第2ウェルドナット34とが備えられている。
図8および図9に示すように、ラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aは、互いに対向する一対の第4連結用側壁16iおよび16jと、それら一対の第4連結用側壁16iおよび16jの上端部の間を結合する第4上壁16kと、その第4上壁16kに対して略平行に第4連結用側壁16iおよび16jの先端部がそれぞれ折り曲げられた鍔部16lとを一体に備え、その断面が下方へ開く左右対称の逆U字状或いはハット形状に形成されている。
また、図8および図9に示すように、ラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aにおける一対の第4連結用側壁16iおよび16jには、水平方向すなわち車幅方向LRよりも上下方向すなわち第4連結用側壁16iおよび16jの幅方向に長く形成された第2長穴16mがそれぞれ穿設されている。上記第2長穴16mは、実施例1の第1長穴16gと同様に図8および図11に示すように、その第2長穴16mの鍔部16l側の下端部から第4上壁16k側の上端部に向かうに連れて車両幅方向LRにおける幅寸法D2が大きくなるように形成されている。また、第2長穴16mの鍔部16l側の下端部における幅寸法D2は、第2締結ボルト30の軸部30aの直径R3よりも僅かに大きく且つその第2締結ボルト30の円板形状の座金36の直径R4よりも小さく設定されており、第2長穴16mの第4上壁16k側の上端部における幅寸法D2は、第2締結ボルト30の軸部30aの直径R3よりも大きく且つ座金36の直径R4よりも小さく設定されている。なお、第2長穴16mの上端部の幅寸法D2が座金36の直径R4より小さい方が衝突時のラジエータサポートアッパサイド部材16の脱落を好適に防ぎ、軽度な衝突の場合、ラジエータサポートアッパサイド部材16が脱落した場合に比べ、第2長穴16mの下端部に第2締結ボルト30の軸部30aが配置されるように位置を合わせてその第2締結ボルト30を締め直すことで修理することができるのでリペアビリティに優れる。
図8および図9に示すように、ラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aにおける一対の第4連結用側壁16iおよび16jの内壁面16nとの間の距離E3は、ラジエータサポート連結部14aにおける一対の第3連結用側壁14gおよび14hの外壁面14kとの間の距離E4と同等或いは僅かに大きく設計されており、第3上壁14iと第4上壁16kとの間に隙間G2が形成された状態でラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aがラジエータサポート連結部14aに重ね合わされている。
また、図8に示すように、第3上壁14iと第4上壁16kとの間に隙間G2が形成されるようにラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aをラジエータサポート連結部14aに重ね合わせて、第2締結ボルト30を第2長穴16mに通して第2ウェルドナット34に螺合させると、一対の第3連結用側壁14gおよび14hの外壁面14kと一対の第4連結用側壁16iおよび16jの内壁面16nとの間に面圧が発生して、ラジエータサポート連結部14aとラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aとが相互に固定される。なお、第2締結ボルト30の締め付けトルクは、衝撃荷重Fが上方から加えられたときに、第3連結用側壁14gおよび14hの外壁面14kと第4連結用側壁16iおよび16jの内壁面16nとが滑る大きさの面圧が得られるように予め実験等に基づいて設定された値で締め付けられている。また、第2締結ボルト30は、その軸部30aが第2長穴16mの鍔部16l側の下端部に挿通された状態で第2ウェルドナット34に螺合している。
以上のように構成された前部骨格構造28の第2連結装置32によれば、例えば、歩行者等の衝突体が車両のフードに衝突して、ラジエータサポート連結部14aの一対の第3連結用側壁14gおよび14hの外壁面14kとラジエータサポートアッパサイド部材16の一対の第4連結用側壁16iおよび16jの内壁面16nとの間に発生する摩擦力より大きい所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝突荷重Fがラジエータサポートアッパサイド部材16に加えられると、ラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aがラジエータサポート連結部14aに対して下方へ相対変位すなわち第2締結ボルト30の軸部30aを第2長穴16m内で移動させることにより第4連結用側壁16iおよび16jが第3連結用側壁14gおよび14hに対して下方へ相対変位する。そして、図10に示すように、下方へ相対変位してラジエータサポートアッパサイド部材16の第4上壁16kがラジエータサポート連結部14aの第3上壁14iに当接すると、そのラジエータサポートアッパサイド部材16が変形する。
上述のように、本実施例の前部骨格構造28によれば、ラジエータサポート連結部14aは、ラジエータサポート部材14の車幅方向LRの両側から側方へ突き出して、そのラジエータサポート連結部14aに隣接する部位の側壁14fに対して低くなる段差を形成する高さH2の一対の第3連結用側壁14gおよび14hとそれら一対の第3連結用側壁14gおよび14hの上端部の間を結合する第3上壁14iとを有するものであり、ラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aは、一対の第4連結用側壁16iおよび16jとそれら一対の第4連結用側壁16iおよび16jの上端部の間を結合する第4上壁16kとを一体的に有して下方へ開く逆U字状の断面を有するものであり、第2連結装置32は、第3上壁14iと第4上壁16kとの間に隙間G2が形成される状態で、その一対の第3連結用側壁14gおよび14hの外壁面14kと一対の第4連結用側壁16iおよび16jの内壁面16nとの間の面圧を発生させてラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aとラジエータサポート連結部14aとを相互に連結し、所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝撃荷重Fが加えられたときに第3連結用側壁14gおよび14hに対して第4連結用側壁16iおよび16jの下方への相対変位を許容するものである。このため、前記所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝撃荷重Fが加えられたときに、第2連結装置32によって、第3連結用側壁14gおよび14hに対して第4連結用側壁16iおよび16jの下方への相対変位が許容されてラジエータサポートアッパサイド部材16の前端部16aがラジエータサポート連結部14aに対して下方へ変位されるので、歩行者が車両の前部に衝突した際の前部骨格構造28における歩行者の保護の範囲を好適に広げることができる。
また、本実施例の前部骨格構造28によれば、第2連結装置32は、一対の第4連結用側壁16iおよび16jに水平方向よりも上下方向が長く形成された第2長穴16mと、その第2長穴16mを通して一対の第3連結用側壁14gおよび14hに固定された第2ウェルドナット34に螺合されて面圧を発生させる一対の第2締結ボルト30とを備え、その第2締結ボルト30の軸部30aを第2長穴16m内で移動させることにより第3連結用側壁14gおよび14hに対して第4連結用側壁16iおよび16jの下方への相対変位を許容するものである。このため、側部骨格部材12の前端部12aに対してラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bの下方への相対変位を許容する衝突荷重Fを、一対の第1締結ボルト24および一対の第2締結ボルト30の締め付けトルク等の設定によって調節することができる。
図12に示すように、本実施例の前部骨格構造は、前述の実施例1の前部骨格構造10に比べて第2連結用側壁16cおよび16dに穿設された第1長穴16oの形状が実施例1の第1長穴16gの形状と異なる点で相違しており、その他は実施例1の前部骨格構造10と略同様である。
図12に示すように、上記第1長穴16oは、実施例1の第1長穴16gと同様に車両前後方向FRよりも上下方向すなわち第2連結用側壁16cおよび16dの幅方向に長く形成されている。また、第1長穴16oの鍔部16f側の下端部における幅寸法D1は、第1締結ボルト24の軸部24aの直径R1よりも僅かに大きく且つその第1締結ボルト24の座金26の直径R2よりも小さく設定されており、第1長穴16oの第2上壁16e側の上端部における幅寸法D1は、第1締結ボルト24の軸部24aの直径R1よりも大きく且つ座金26の直径R2よりも小さい幅寸法D1に設定されている。なお、第1長穴16oには、その第1長穴16oにおいて鍔部16f側の下端部と第2上壁16e側の上端部とを連結しその鍔部16f側の下端部の幅寸法D1と同様の幅寸法D1を有する連結穴16pが形成されている。
図13に示すように、本実施例の前部骨格構造は、前述の実施例1の前部骨格構造10に比べて第2連結用側壁16cおよび16dに穿設された第1長穴16qの形状が実施例1の第1長穴16gの形状と異なる点で相違しており、その他は実施例1の前部骨格構造10と略同様である。
図13に示すように、上記第1長穴16qは、実施例1の第1長穴16gと同様に車両前後方向FRよりも上下方向すなわち第2連結用側壁16cおよび16dの幅方向に長く形成されている。また、第1長穴16qにおいて鍔部16f側の下端部と第2上壁16e側の上端部との幅寸法D1は、第1締結ボルト24の軸部24aの直径R1よりも僅かに大きく且つその第1締結ボルト24の座金26の直径R2よりも小さく設定されており、それぞれ同じ寸法である。
図14に示すように、本実施例の前部骨格構造は、前述の実施例4の第1長穴16qに比べてその第1長穴16qの長手方向の中間部に第1長穴16qの上端部と下端部との間を分割してその第1長穴16q内の第1締結ボルト24の軸部24aの移動を防止する移動抑制部16sが設けられている点で相違しており、その他は実施例4の第1長穴16qと略同様である。
このような前部骨格構造では、例えば、所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝突荷重Fが加えられると、第1締結ボルト24の軸部24aに上記移動抑制部16sが衝突してその移動抑制部16sが破断されることによって、ラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bが側部骨格部材12の前端部12aに対して下方へ相対変位する。このため、移動抑制部16sが破断されることによっても衝撃荷重Fを吸収することができる。
図15に示すように、本実施例の前部骨格構造は、前述の実施例4の第1長穴16qに比べてその第1長穴16qの長手方向の中間部にその幅寸法D1が第1締結ボルト24の軸部24の直径R1より小さくなるように一方の周縁部から突き出した突部16tが設けられている点で相違しており、その他は実施例4の第1長穴16qと略同様である。
このような前部骨格構造では、例えば、所定以上の大きさの下方へ向かう方向成分を含む衝突荷重Fが加えられると、第1締結ボルト24の軸部24aに上記突部16tが衝突してその突部16tが変形することによって、ラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bが側部骨格部材12の前端部12aに対して下方へ相対変位する。このため、突部16tが変形することによっても衝撃荷重Fを吸収することができる。
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、本実施例において、側部骨格部材12の前端部12aにおいて一対の第1連結用側壁12cおよび12dの上端部には第1上壁12eが形成されていたが、その第1上壁12eが形成されていなくとも一対の第1連結用側壁12cおよび12dの上端によってラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bを受け止めてそのラジエータサポートアッパサイド部材16の後端部16bが側部骨格部材12の前端部12aから脱落しないので、必ずしも第1上壁12eが形成される必要はない。また、上記と同様に、ラジエータサポート連結部14aにおいて一対の第3連結用側壁14gおよび14hの上端部には第3上壁14iが形成されていたが、必ずしも第3上壁14iが形成される必要はない。
また、実施例3乃至6において、第1連結装置20の第2連結用側壁16cには、図12乃至図15に示すような形状の第1長穴16o、16qが形成されていたが、例えば、第2連結装置32の第2長穴16mも上記図12乃至図15に示すような形状に適用可能である。
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。