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JP5814220B2 - 電流リード及び超電導マグネット装置 - Google Patents
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JP5814220B2 - 電流リード及び超電導マグネット装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電流リード及びこれを備えた超電導マグネット装置に関するものである。
従来、超電導マグネットの超電導状態を保持する手段として、例えば、これを液体ヘリウム容器内の液体ヘリウムに浸漬することが一般に行われている。このような超電導マグネット及び液体ヘリウム容器を備えた超電導マグネット装置では、当該液体ヘリウム容器内の超電導マグネットと、当該液体ヘリウム容器の外部に設けられている電源とを接続するための電流リードが必要である。
前記電流リードについては、当該電流リードを通じての液体ヘリウム容器内への熱侵入が大きな課題となる。例えば、当該電流リードに銅を用いた場合、当該銅は高い導電率を有する一方で、高い熱伝導率を有するから外部からの熱侵入を許容し易い。さらに、銅自身のもつ電気抵抗による発熱が前記熱侵入の大きな要因となる。
従来、前記のような熱侵入を抑制するための電流リードとして、酸化物超電導バルクを利用したものが知られている。この酸化物超電導バルクは、超電導状態で直流をゼロの抵抗で流すことができるのに加え、低い熱伝導率を有するために外部からの熱侵入を有効に抑止できる利点を有する。しかしながら、その反面、当該酸化物超電導バルクはセラミックスであることから脆性が高く、外力を受けることにより生じる歪みが当該酸化物超電導バルクの特性を低下させてジュール熱を生じさせるおそれがある。このような状態のまま長時間にわたって電流が流されると、温度が上昇して臨界電流密度が低下し、熱暴走ひいては当該酸化物超電導バルクの溶断に至り、それ以降は電流を継続して流すことができなくなるおそれがある。
このような不都合を回避するための手段として、特許文献1には、酸化物超電導バルクの表面が銀などでコーティングされたものが開示されている。当該コーティングは、前記酸化物超電導バルクと並列の回路を形成することにより、当該酸化物超電導バルクに歪みが生じて特性が低下した場合にこれに大きな電流が流れ続けるのを防ぐことができるとともに、発生したジュール熱を外部に効果的に逃がす役目をなす。
特許3977884号公報
前記特許文献1に記載される銀などのコーティングの存在は、前記酸化物超電導バルクの特定が低下したときに電流をコーティング側に流すことができる利点を有する一方、当該コーティングを通じての大きな熱侵入を許容してしまう欠点がある。すなわち、この特許文献1に記載された従来技術では、酸化物超電導バルクに異常が発生した後の継続運転と、熱侵入の効果的な抑止と、を両立させることが難しい、という課題がある。
本発明の目的は、前記課題を解決することが可能な電流リード、すなわち、酸化物超電導バルクの利用によって熱移動の有効な抑止を図りながら、当該酸化物系超電導バルクの異常による熱暴走を防ぐことが可能な電流リードと、この電流リードを備えた超電導マグネット装置と、を提供することを目的とする。
本発明が提供する電流リードは、導電材料からなる第1主電極と、導電材料からなり、前記第1主電極から離れた位置に配置される第2主電極と、導電材料からなり、前記第1主電極から前記第2主電極までの電流経路の途中に設けられる第1中間電極と、導電材料からなり、前記第1中間電極から前記第2主電極までの電流経路の途中に設けられる第2中間電極と、酸化物超電導バルクからなり、前記第1主電極から前記第2主電極との間に介在する超電導体であって、前記第1主電極と前記第1中間電極との間に介在する第1バルク部と、前記第1中間電極と前記第2中間電極との間に介在する第2バルク部と、前記第2中間電極と前記第2主電極との間に介在する第3バルク部と、を含むものと、導電材料からなり、前記第1中間電極並びに前記第1及び第2バルク部をバイパスして前記第1主電極と前記第2中間電極とを電気的に接続する第1導電材と、導電材料からなり、前記第2中間電極並びに前記第2及び第3バルク部をバイパスして前記第1中間電極と前記第2主電極とを電気的に接続する第2導電材と、を備える。
また本発明は、超電導マグネット装置であって、超電導マグネットと、この超電導マグネットを冷却状態で収容する冷却容器と、前記の電流リードと、当該電流リードを通じて前記超電導マグネットに電流を流す電源と、前記超電導マグネット及び前記電流リードの超電導体をそれぞれ超電導状態にするように前記冷却容器及び前記電流リードを冷却する冷凍機と、を備えるものを、提供する。
前記電流リードによれば、前記第1〜第3バルク部を含む超電導体を構成する酸化物超電導バルクがその超電導状態において抵抗が実質的にゼロである電流経路を形成することが可能であるとともに、その低い熱伝導率によって第1主電極と第2主電極との間での熱移動を有効に抑制することができる。しかも、第1〜第3バルク部のいずれかに異常(例えば前記酸化物超電導バルクの歪みに起因する超電導性能の低下)が生じた非常時においても、そのうちの2つのバルク部をバイパスする導電材(例えば銅またはアルミニウムからなるもの)が当該導電材を通じて電流が流れることを許容するために、当該バルク部の異常に起因する熱暴走ひいては当該バルク部の溶断を回避し、また、仮に溶断が発生しても電流を継続して流すことを可能にする。さらに、第1及び第2導電材と第2及び第1主電極との間にそれぞれ第1及び第3バルク部が介在しているので、これらの導電材を経路として第1主電極と第2主電極との間で大きな熱移動が発生することも、防がれる。
そして、この電流リードを備えた前記超電導マグネット装置によれば、超電導マグネットを収容する冷却容器内への熱侵入を有効に抑止しながら、当該超電導マグネットに対して前記電流リードを通じて微小抵抗で電源を供給することができる。
前記電流リードでは、前記酸化物超電導バルクからなる超電導体が前記第1主電極から前記第2主電極に至るまで連続する単一の部材として形成されてもよいが、好ましくは、当該超電導体は、前記第1バルク部、前記第2バルク部、及び前記第3バルク部が互いに分離した部材として形成され、前記第1バルク部の両端が前記第1主電極と前記第1中間電極とにそれぞれ接続され、前記第2バルク部の両端が前記第1中間電極と前記第2中間電極とにそれぞれ接続され、前記第3バルク部の両端が前記第2中間電極と前記第2主電極とにそれぞれ接続されることが、好ましい。この構造では、前記酸化物超電導バルク(超電導体)が第1〜第3バルク部に分割されていることから、成形が難しい長尺のバルク材を用いる必要がなく、また、各主電極及び中間電極の配列の自由度が高い。
例えば、前記第1〜第3バルク部が直線状に並ぶように配置され、その配列方向について前記第1中間電極の両側部に前記第1バルク部の端部及び前記第2バルク部の端部がそれぞれ接続され、前記配列方向について前記第2中間電極の両側部に前記第2バルク部の端部及び前記第3バルク部の端部がそれぞれ接続されることにより、全体として前記各バルク部の長さの総和以上の長尺の電流リードを構築することができる。
以上のように、本発明によれば、酸化物超電導バルクの利用による効果的な熱侵入の抑制を図りながら、当該酸化物系超電導導体の異常による熱暴走を防ぐことが可能な電流リードと、この電流リードを備えた超電導マグネット装置が、提供される。
本発明の第1の実施の形態に係る電流リードを備える超電導マグネット装置の例を示す断面正面図である。 前記電流リードの正面図である。 前記電流リードにおける第1中間電極と第1及び第2バルク部並びに第2導電材との連結構造を示す断面正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電流リードの正面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る電流リードの正面図である。
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る一対の電流リード10を備えた超電導マグネット装置80を示す。この超電導マグネット装置80は、前記両電流リード10に加え、真空容器82と、この真空容器82内に収容される高温側熱シールド容器84と、高温側熱シールド容器84内に収容される低温側熱シールド容器86と、低温側熱シールド容器86内に収容される超電導マグネット88と、前記各シールド容器84,86を冷却する冷凍機90と、前記各電流リード10を通じて前記超電導マグネット88に電流を流す電源92と、を備える。
前記高温側熱シールド容器84は、底板84aと、前記低温側熱シールド容器86を覆うように前記底板84a上に設置される高温側熱シールド板84bと、を有する。前記低温側熱シールド容器86は、前記超電導マグネット88が載置される底板86aと、この超電導マグネット88を覆うように前記底板86a上に設置される低温側熱シールド板86bと、を有する。
前記冷凍機90は、冷凍機本体94と、この冷凍機本体94から前記真空容器82の底板及び高温側熱シールド容器84の底板84aを貫通して低温側熱シールド容器86の底板86aに至るコールドへッド96と、を有する。コールドヘッド96は、第1冷却ステージ96a及び第2冷却ステージ96bを有する。前記第1冷却ステージ96aは、前記高温側熱シールド容器84の底板84aに接触することによりこれを例えば77Kまで冷却する。前記第2冷却ステージ96bは、前記低温側熱シールド容器86の底板86aに接触することによりこれを例えば40Kまで冷却する。
前記超電導マグネット88は、巻枠と、これに巻き付けられる超電導線材からなる超電導コイルと、を有する。前記各電流リード10は、上下方向に延びる形状を有し、それぞれの上端すなわち低温端が前記低温側熱シールド容器86の底板86aに連結されてこれらの低温端に前記超電導線材の両端がそれぞれ接続され、当該電流リード10のそれぞれの下端すなわち高温端が前記高温側熱シールド容器84の底板84aに連結されている。前記電源92は、一対の電極92a,92bを有し、各電極92a,92bは導線97及び接続用導体98を介して前記各電流リード10の高温端に電気的に接続されている。
次に、前記各電流リード10の構成を、図2に基づいて説明する。
前記各電流リード10は、第1主電極11と、第2主電極12と、第1中間電極13と、第2中間電極14と、酸化物超電導バルクからなる超電導体20と、第1導電材31と、第2導電材32と、を備える。
前記各電極11〜14は、導電材料、このましくは導電率の高い金属材料(例えば銅やアルミニウム)により適当な形状(図では直方体状)に形成されている。この実施の形態では、第1主電極11、第1中間電極13、第2中間電極14及び第2主電極12がこの順に上下方向に直線状に並ぶように配列され、互いに隣り合う電極同士の間には上下方向に適当な間隔が与えられている。
前記超電導体20は、第1バルク部21、第2バルク部22及び第3バルク部23を含み、この実施の形態では、各バルク部21〜23が互いに分離して独立した部材として形成されている。各バルク部21〜23は、この実施の形態では、上下方向に延びる直方体状に成形され、互いに同一の形状を有する。前記超電導体20を構成する酸化物超電導バルクとしては、例えばイットリウム系のものやビスマス系のものが好適である。
前記第1バルク部21は、前記第1主電極11と前記第1中間電極13との間に介在し、当該第1バルク部21の上下両端部がそれぞれ前記第1主電極11及び前記第1中間電極13に接続されている。前記第2バルク部22は、前記第1中間電極13と前記第2中間電極14との間に介在し、当該第2バルク部22の上下両端部がそれぞれ前記第1中間電極13及び前記第2中間電極14に接続されている。前記第3バルク部23は、前記第2中間電極14と前記第2主電極12との間に介在し、当該第3バルク部23の上下両端部がそれぞれ前記第2中間電極14及び前記第2主電極12に接続されている。
前記第1及び第2導電材31,32は、導電材料、このましくは導電率の高い金属材料(例えば銅やアルミニウム)により形成されたもので、例えば線材として形成されている。このうち第1導電材31は、前記第1中間電極13並びにその上下の第1及び第2バルク部21,22をバイパスして第1主電極11と第2中間電極14とを直接接続するように配設され、第2導電材32は、前記第2中間電極13並びにその上下の第2及び第3バルク部22,23をバイパスして第1中間電極13と第1主電極12とを直接接続するように、配設されている。
前記各電極と、これにつながるべきバルク部及び導電材と、の接続は、例えば銀が添加された半田を用いて行われるのが、好ましい。その例として、第1中間電極13と、これにつながるべき第1及び第2バルク部21,22並びに第2導電材32と、の接続のための構造を図3に示す。
図3において、各バルク部21〜23の配列方向(この実施の形態では上下方向)について、第1中間電極13の両側部(上側部及び下側部)には、外向き(図では上向き及び下向き)にそれぞれ開口する凹部13a,13bが形成され、その凹部13a,13bを囲む第1中間電極13の内側面と、第1バルク部21の下端部及び第2バルク部22の上端部の各外側面との間にそれぞれAg添加半田が介在する状態で当該凹部13a,13b内に前記第1バルク部21の下端部及び第2バルク部22の上端部がそれぞれ挿入され、当該Ag添加半田16を介して接合されている。同様に、前記第1中間電極13の側部には側方に開口する凹部13cが形成され、その凹部13cを囲む第1中間電極13の内側面と第2導電材32の上端との間にAg添加半田16が介在する状態で当該凹部13c内に前記第2導電材32の上端部が挿入され、当該Ag添加半田16を介して接合されている。
この図3に示した構造は、前記第2中間電極14に対する第2及び第3バルク部22,23並びに第1導電材31の接続、第1主電極11に対する第1バルク部21及び第1導電材31の接続、並びに第2主電極12に対する第3バルク部23及び第2導電材32の接続、にも適用されることが可能である。
この実施の形態では、前記第1主電極11が前記低温端、前記第2主電極12が前記高温端として、使用される。すなわち、前記第1主電極11は前記超電導マグネット88を構成する超電導線材に接続され、前記第2主電極12は前記接続用導体98及び導線97を介して前記電源92に接続される。
次に、前記超電導マグネット装置90及びこれに含まれる電流リード10の作用を説明する。
前記超電導マグネット装置80において、前記冷凍機90は、そのコールドヘッド96の第2冷却ステージ96bに連結されている低温側熱シールド容器86及びこれに収容される超電導マグネット88を第1冷却温度(例えば40K)に冷却するとともに、第1冷却ステージ96aに連結されている高温側熱シールド容器84を第2冷却温度(例えば77K)に冷却する。これにより、前記超電導マグネット88が超電導状態に転移するとともに、前記両シールド容器84,86の底板84a,86aの間に介設される各電流リード10を構成する第1〜第3バルク部21〜23も超電導状態に転移する。一方、前記電源92は、その一対の電極92a,92bにそれぞれ導線97、接続用導体98及び前記電流リード10を介して接続されている前記超電導マグネット88の超電導コイルを通電する。
このとき、前記各電流リード10では、前記各バルク部21〜23が超電導状態にあるため、抵抗がほぼゼロの状態(実質上、当該電流リード10の抵抗が各電極11〜14での抵抗に支配される状態)で電流が流れる。従って、当該電流リード10でのジュール熱の発生はほとんどない。しかも、各バルク部21〜23を構成する酸化物超電導バルクは、きわめて低い熱伝導率を有するから、高温側熱シールド容器84の外部から低温側熱シールド容器86内への熱侵入が有効に抑止される。これにより、冷凍機90の必要運転電力を抑えながら超電導マグネット88の安定した運転を行うことができる。
ここで、前記両電流リード10の例えば一方に大きな外力が作用して当該電流リードを構成するバルク部21〜23のいずれかに歪みが生じ、その超電導特性が低下した場合、すなわち、電気抵抗が発生した場合、その箇所に電流が流れることによりジュール熱が発生する。そして、この部分に大きな電流が流れ続けると、前記ジュール熱に起因して温度が異常に上昇し、当該バルク部の超電導状態が破れて熱暴走し、ひいては当該部分の溶断が発生するおそれがある。
しかしながら、前記電流リード10では、図2に示すように、第1導電材31が第1中間電極13並びに第1及び第2バルク部21,22をバイパスして第1主電極11と第2中間電極14とを接続するとともに、第2導電材32が第2中間電極14並びに第2及び第3バルク部22,23をバイパスして第1中間電極13と第2主電極12とを接続するから、前記第1〜第3バルク部21〜23のいずれに異常(超電導特性の低下)が生じても、前記熱暴走及びこれに起因する当該バルク部の溶断を回避することが可能であり、また当該溶断が生じても電流を継続して流すことが可能である。具体的に、第1バルク部21に異常が発生した場合には、これをバイパスして第1主電極11と第2中間電極14とを接続する第1導電材31が非常用の電流経路を形成することができ、同様に、第2バルク部22に異常が発生した場合には、これをバイパスして第1主電極11と第2中間電極14とを接続する第1導電材31及び第1中間電極13と第2主電極12とを接続する第2導電材がそれぞれ非常用の電流経路を形成することができ、前記第2バルク部22に大電流が流れ続けることを防ぎ、第3バルク部23に異常が発生した場合には、これをバイパスして第1中間電極13と第2主電極12とを接続する第2導電材32が非常用の電流経路を形成することが可能である。
さらに、前記第1及び第2導電材31,32はいずれも第1主電極11から第2主電極12にまで至るものではなく、当該第1導電材31と第2主電極12との間、及び、当該第2導電材32と第1主電極11との間にそれぞれ第3バルク部23及び第1バルク部21が介在するから、当該第1及び第2導電材31,32が銅やアルミニウムといった高い熱伝導率を有する金属材料で形成されていても、当該電流リード10を通じての超電導マグネット88側への熱侵入が有効に抑止される。
さらに、この第1の実施の形態に係る電流リード10では、前記各電極11〜14及び前記第1〜第3バルク部21〜23が直線状に並ぶように配置され、その配列方向について前記第1中間電極13の両側部(上側部及び下側部)に前記第1バルク部21の端部及び前記第2バルク部22の端部がそれぞれ接続され、前記第2中間電極14の両側部に前記第2バルク部22の端部及び前記第3バルク部23の端部がそれぞれ接続されているから、各バルク部21〜23には比較的短尺で成形が容易な酸化物超電導バルクを用いながら、全体として前記各バルク部21〜23の長さの総和以上の長尺の電流リードを構築することが可能である。
その一方で、前記各バルク部21〜23は互いに分離した独立の部材としてそれぞれ形成されていることから、前記各電極11〜14及び前記各バルク部21〜23の配置は、仕様に応じて自由に設定することが可能である。具体的に、前記各電極11〜14は、そのうちの第1主電極11から第2主電極12に至るまでの電流経路の途中に第1中間電極13及び第2中間電極14が位置するという条件を満たす範囲で、自由に配列されることが可能であり、その配列に応じて前記各バルク部21〜23が配置されればよい。
例えば、第2の実施の形態として図4に示すように、前記各電極11〜14は、そのうちの第1主電極11及び第2中間電極14が同じ側(図では下側)に位置し、その反対側(図では上側)に第1中間電極13及び第2主電極12が位置するように、配列されることも可能である。この場合も、前記第1バルク部21が前記第1主電極11と前記第1中間電極13とを接続するように配置され、前記第2バルク部22が前記第1中間電極13と前記第2中間電極14とを接続するように配置され、前記第3バルク部23が前記第2中間電極14と前記第2主電極12とを接続するように配置されることにより、全体としてジグザグの電流経路を形成する電流リード10を構築することが可能である。
さらに、本発明に係る超電導体は、これを構成する第1〜第3バルク部が互いに分離して独立した部材に形成されるものに限らず、全体が単一の部材として成形されたものであってもよい。その一例を第3の実施の形態として図5に示す。
この実施の形態に係る電流リード10′は、前記第1の実施の形態に示した第1〜第3バルク部21〜23に代え、全体が単一の部材として成形された酸化物超電導バルクからなる超電導体40を備え、この超電導体40は、第1主電極11と第2主電極12とを直結する長尺の形状をなす。第1中間電極13は前記第1及び第2主電極11,12の間の位置で前記超電導体40の側面に導通可能に固着され、第2中間電極14は前記第1中間電極13と第2主電極12との間の位置で前記超電導体40の側面(好ましくは第1中間電極13が固着される側面と反対側の側面)に導通可能に固着されている。
この電流リード10′においても、前記第1の実施の形態に係る電流リード10と同様、第1導電材31が酸化物超電導バルクからなる超電導体40をバイパスして第1主電極11と第2中間電極14とを直接接続するように配設され、第2導電材32が前記超電導体40をバイパスして第1中間電極13と第2主電極12とを直接接続するように配設されることにより、正常な超電導状態では実質上ゼロの電気抵抗で電流を流すことができ、かつ、熱移動を有効に抑止するとともに、超電導体40を構成する酸化物超電導バルクのいずれの部位に異常(超電導特性の低下)が生じてもこれに起因して熱暴走が生じることを防止することができる。具体的に、前記超電導体40は、それ全体が単一の酸化物超伝導バルクにより構成されていても、第1主電極11と第1中間電極13との間に介在する第1バルク部41と、第1中間電極13と第2中間電極14との間に介在する第2バルク部42と、第2中間電極14と第2主電極12との間に介在する第3バルク部43とを含んでおり、前記第1導電材31は前記第1及び第2バルク部41,42をバイパスする非常用の電流経路を形成することが可能であり、前記第2導電材32は第2及び第3バルク部42,43をバイパスする非常用の電流経路を形成することが可能である。
本発明では、各電極、酸化物超電導バルクからなる超電導体、及び各導電材の具体的な形状や材質は限定されない。各電極は、球状のものや変則形状のものであってもよい。例えば前記第3の実施の形態に係る各中間電極13,14は薄肉の金属板により構成されることも可能である。各導電材も線材に限らず、シート状のものや金属バスバーで構成されたものでもよい。
(電流リード10の作成例)
図2に示される電流リード10が、次の要領で作成される。
前記第1〜第3バルク部21〜23として、互いに同一の形状(長さ40mm×幅15mm×厚さ5mm)を有する3個のY(イットリウム)系酸化物超電導バルクが準備される。一方、前記各電極11〜14として、無酸素銅製の金属体(長さ15mm×幅23mm×厚さ9mm)が用意され、各電極11〜14の適所に、これに接続されるべきバルク部の端部が嵌入可能な凹部が形成される。その凹部の中に予め溶融されたAg添加半田16が仕込まれ、この凹部内にこれに対応するバルク部の端部が嵌入された後、前記Ag添加半田16が冷却されて固化することにより、当該バルク部が電極に固定される。この作業を繰り返すことにより、図2に示すように電極11,13,14,12がその順に配列され、かつ、互いに隣り合う電極同士の間にそれぞれバルク部21〜23が介在する連結体が、構築される。
前記第1及び第2導電材31,32には、銅製の7本のリード線(φ1.0mm×長さ140mm)を束ねたものが、用意される。第1導電材31は、第1主電極11と、第2中間電極14とを接続するように配線され、同様に、第2導電材32は、第1中間電極13と第2主電極12とを接続するように配線される。さらに、好ましくは、FRP製の2枚の補強板(長さ140mm×幅30mm×厚さ3mm)が用意され、これらの補強板が前記連結体をその電極の配列方向と直交する方向(図2では左右方向)から挟むようにして各電極11〜14の側面に固定される。
(超電導マグネット装置80への電流リード10の適用例)
前記電流リード10が、図1に示す超電導マグネット装置80内に配置される。具体的に、当該電流リード10は、冷凍機90(運転温度4.2Kでの冷凍能力が0.5W)の二段式コールドヘッド96の第1冷却ステージ96aと第2冷却ステージ96bとの間に配置され、超電導マグネット88を構成するBi系酸化物超電導コイル(巻線内径90mm×巻線外径120mm×巻線長さ140mm)と接続される。一方、この電流リード10と導線97とを接続する接続用導体98、換言すれば、室温部と第一冷却ステージ96aとの間に設けられる常伝導電流リード、には銅製のバスバーが用いられる。
(運転実験)
前記超電導マグネット装置80において、冷凍機90が始動してから装置80が定常運転に到達したときの装置内各部の温度が測定された。Y系酸化物超電導バルクからなる超電導体20の高温端の温度は2本共に40.1K、低温端の温度は2本共に5.0Kであった。また、Bi系酸化物超電導コイルの温度は場所によって異なるが、4.6〜4.8Kであった。
この状態で超電導マグネット88を流れる電流が0Aから250Aに至るまで当該超電導マグネット88の通電が行われたが、電流値が250Aで一定となった後も電流リード10の高温端の温度が上昇を続け、高温端の温度が65Kを超える異常がる異常が認められた。しかし、第1及び第2導電材31,32の存在により、継続して電流を流すことができた。その後、高温端の温度は下がり始め42.3Kで一定となった。また、低温端の温度は5.2Kになった。
実験後、真空容器82内の状態を観察したところ、温度異常を生じた高温端側のバルク部23が溶断していることが確認された。しかし、それ以外のバルク部21,22には変化は見られなかった。
その一方、比較例として、前記電流リード10に代え、第1及び第2主電極とその間に介在する単一の酸化物超電導バルクのみからなる電流リードを用いて実験を行った。この実験において、前記と同様の異常(電流が250Aに達した後も低温端の温度が上昇し続ける異常)が生じた場合に、一方の電流リードの酸化物超電導バルクの高温端の温度が65Kを超えた時点で当該酸化物超電導バルクの両端の電位差が10Vを超え、その後は電流を流すことができなくなった。実験後、真空容器82内の状態を観察したところ、電圧異常が生じた酸化物超電導バルクが溶断していることが確認された。
10,10′ 電流リード
11 第1主電極
12 第2主電極
13 第1中間電極
14 第2中間電極
20,40 超電導体
21,41 第1バルク部
22,42 第2バルク部
23,43 第3バルク部
31 第1導電材
32 第2導電材
80 超電導マグネット装置
84 高温側熱シールド容器
86 低温側熱シールド容器
88 超電導マグネット
90 冷凍機
92 電源

Claims (8)

  1. 超電導マグネット装置であって、
    超電導マグネットと、
    この超電導マグネットを冷却状態で収容する冷却容器と、
    電流リードと、
    前記電流リードを通じて前記超電導マグネットに電流を流す電源と、
    前記冷却容器及び前記電流リードを冷却する冷凍機と、を備え、
    前記電流リードは、導電材料からなる第1主電極と、導電材料からなり、前記第1主電極から離れた位置に配置される第2主電極と、導電材料からなり、前記第1主電極から前記第2主電極までの電流経路の途中に設けられる第1中間電極と、導電材料からなり、前記第1中間電極から前記第2主電極までの電流経路の途中に設けられる第2中間電極と、酸化物超電導バルクからなり、前記第1主電極から前記第2主電極との間に介在する超電導体であって、前記第1主電極と前記第1中間電極との間に介在する第1バルク部と、前記第1中間電極と前記第2中間電極との間に介在する第2バルク部と、前記第2中間電極と前記第2主電極との間に介在する第3バルク部と、を含むものと、導電材料からなり、前記第1中間電極並びに前記第1及び第2バルク部をバイパスして前記第1主電極と前記第2中間電極とを電気的に接続する第1導電材と、導電材料からなり、前記第2中間電極並びに前記第2及び第3バルク部をバイパスして前記第1中間電極と前記第2主電極とを電気的に接続する第2導電材と、を有し、
    前記冷凍機は、前記超電導マグネット及び前記電流リードの超電導体をそれぞれ超電導状態にするように、前記冷却容器及び前記電流リードを冷却する、超電導マグネット装置。
  2. 請求項1記載の超電導マグネット装置であって、前記電流リードの超電導体の第1バルク部、第2バルク部、及び第3バルク部がそれぞれ互いに分離した部材として形成され、前記第1バルク部の両端が前記第1主電極と前記第1中間電極とにそれぞれ接続され、前記第2バルク部の両端が前記第1中間電極と前記第2中間電極とにそれぞれ接続され、前記第3バルク部の両端が前記第2中間電極と前記第2主電極とにそれぞれ接続される、超電導マグネット装置。
  3. 請求項2記載の超電導マグネット装置であって、前記電流リードの第1〜第3バルク部が直線状に並ぶように配置され、その配列方向について前記第1中間電極の両側部に前記第1バルク部の端部及び前記第2バルク部の端部がそれぞれ接続され、前記配列方向について前記第2中間電極の両側部に前記第2バルク部の端部及び前記第3バルク部の端部がそれぞれ接続される、超電導マグネット装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の超電導マグネット装置であって、前記電流リードの第1及び第2導電材が銅またはアルミニウムからなる、超電導マグネット装置。
  5. 電流リードであって、
    導電材料からなる第1主電極と、
    導電材料からなり、前記第1主電極から離れた位置に配置される第2主電極と、
    導電材料からなり、前記第1主電極から前記第2主電極までの電流経路の途中に設けられる第1中間電極と、
    導電材料からなり、前記第1中間電極から前記第2主電極までの電流経路の途中に設けられる第2中間電極と、
    酸化物超電導バルクからなり、前記第1主電極から前記第2主電極との間に介在する超電導体であって、前記第1主電極と前記第1中間電極との間に介在する第1バルク部と、前記第1中間電極と前記第2中間電極との間に介在する第2バルク部と、前記第2中間電極と前記第2主電極との間に介在する第3バルク部と、を含むものと、
    導電材料からなり、前記第1中間電極並びに前記第1及び第2バルク部をバイパスして前記第1主電極と前記第2中間電極とを電気的に接続する第1導電材と、
    導電材料からなり、前記第2中間電極並びに前記第2及び第3バルク部をバイパスして前記第1中間電極と前記第2主電極とを電気的に接続する第2導電材と、を備える、電流リード。
  6. 請求項5記載の電流リードであって、前記超電導体の第1バルク部、第2バルク部、及び第3バルク部がそれぞれ互いに分離した部材として形成され、前記第1バルク部の両端が前記第1主電極と前記第1中間電極とにそれぞれ接続され、前記第2バルク部の両端が前記第1中間電極と前記第2中間電極とにそれぞれ接続され、前記第3バルク部の両端が前記第2中間電極と前記第2主電極とにそれぞれ接続される、電流リード。
  7. 請求項6記載の電流リードであって、前記第1〜第3バルク部が直線状に並ぶように配置され、その配列方向について前記第1中間電極の両側部に前記第1バルク部の端部及び前記第2バルク部の端部がそれぞれ接続され、前記配列方向について前記第2中間電極の両側部に前記第2バルク部の端部及び前記第3バルク部の端部がそれぞれ接続される、電流リード。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の電流リードであって、前記第1及び第2導電材が銅またはアルミニウムからなる、電流リード。
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