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JP5819809B2 - ピアスナットの締結方法 - Google Patents
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本発明は、ピアスナットの締結方法に関する。
従来、プレスによってワークに締結されるピアスナットが知られている。ピアスナットは、ねじ孔が形成されたナット本体と、ナット本体の下面から下方に且つねじ孔と同心状に延出する内筒部及び外筒部と、を備える。内筒部と外筒部の間には、下方に向かって開口する環状凹部が形成される。内筒部は外筒部よりも長く延出し、これにより、内筒部の先端部が外筒部の先端部よりも下方に位置している。また、内筒部の外周面は、下方に向かって拡径するテーパとなっている。
ピアスナットは、通常、次のようにしてワークに締結される。先ず、ピアスナットの内筒部の外周に嵌合する孔部と、当該孔部の周縁に形成され且つピアスナットの環状凹部内に挿入される環状突部と、を上面に有するダイ上に、ワークを載置する。次いで、パンチの先端にピアスナットを保持し、ピアスナットの内筒部がダイの孔部に嵌合するまでパンチを前進させる。すると、ピアスナットの内筒部がピアスパンチとして作用することでワークが打ち抜かれ、ワークに孔が形成される。同時に、外筒部の先端がワークに当接することで、形成された孔の周縁部のワークがダイの環状突部によってピアスナットの環状凹部内に押し込められて、かしめられる。これにより、環状凹部内にワークが充填されるとともに、内筒部のテーパ状の外周面にワークが密着して抜けなくなる。以上のようにして、ピアスナットがワークに締結される。
また、ピアスナットを打ち抜く前に、予めワークに孔を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、予めワークに孔を形成するため、ワークをピアスナットによって打ち抜く必要がない。
特開2010−071313号公報
ところで、強度が高く延性が低いワークに対してピアスナットを締結すると、環状凹部内に充填されたワークに亀裂が生じ易い。また、環状凹部内にワークが十分に充填されず、環状凹部内に隙間が形成され易い。そのため、ワークに対するピアスナットの締結強度が不十分となるおそれがあった。
また、特許文献1の技術のように予めワークに孔を形成するためには、ワークに孔を形成するための工程が別途必要となる。即ち、ピアスナットの利点である、孔の形成とかしめによる締結を1工程で行うことができず、作業が煩雑になるという問題があった。従って、孔の形成とかしめによる締結を1工程で行い、且つ高い締結強度が得られるピアスナットの締結方法が望まれる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、孔の形成とかしめによる締結を1工程で行い、且つ高い締結強度が得られるピアスナットの締結方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、ねじ孔(例えば、後述のねじ孔11)が形成されたナット本体(例えば、後述のナット本体10)と、当該ナット本体の下面(例えば、後述のナット本体の下面10b)から下方に且つねじ孔と同心状に延出する内筒部(例えば、後述の内筒部12)及び外筒部(例えば、後述の外筒部13)と、を備え、前記内筒部が前記外筒部よりも長く延出することで前記内筒部の先端部(例えば、後述の内筒部の先端部120)が前記外筒部の先端部(例えば、後述の外筒部の先端部130)よりも下方に位置するピアスナット(例えば、後述のピアスナット1)の締結方法を提供する。
本発明に係るピアスナットの締結方法は、前記ピアスナットの形状に応じて、ワーク(例えば、後述のワークw1)の所定部位に所定の高さ(例えば、後述の高さh)を有する立ち上がり部(例えば、後述の立ち上がり部T)を形成する予備成形工程と、前記内筒部の外周に嵌合可能な孔部(例えば、後述の孔部91)と、当該孔部の周縁に形成され且つ前記内筒部と前記外筒部の間に形成された環状凹部(例えば、後述の環状凹部14)内に挿入可能な環状突部(例えば、後述の環状突部92)と、を有するダイ(例えば、後述のダイ9)上に、前記立ち上がり部が前記環状突部の周縁近傍に位置するように前記ワークを載置し、この状態で、前記内筒部が前記孔部に嵌合するまで前記ピアスナットで前記ワークを打ち抜くことで、前記ピアスナットを前記ワークに締結する締結工程と、を有し、前記予備成形工程では、前記立ち上がり部の高さが、前記ワークの厚み(例えば、後述の厚みt)から、前記延出方向における前記内筒部の先端部から前記外筒部の先端部までの距離(例えば、後述の距離d)を減算した値よりも大きくなるように前記立ち上がり部を形成することを特徴とする。
本発明に係る締結方法では、先ず、孔の形成とかしめによる締結を行う前に、ピアスナットの形状に応じて、ワークの所定部位に所定の高さを有する立ち上がり部を形成する。このとき、立ち上がり部の高さを、ワークの厚みから、延出方向における内筒部の先端部から外筒部の先端部までの距離を減算した値よりも大きく設定する。
そして、内筒部の外周に嵌合可能な孔部と、孔部の周縁に形成され且つ内筒部と外筒部の間に形成された環状凹部内に挿入可能な環状突部と、を有するダイ上に、立ち上がり部が環状突部の周縁近傍に位置するようにワークを載置する。
次いで、内筒部が孔部に嵌合するまでピアスナットでワークを打ち抜く。すると、先ず、内筒部がピアスパンチとして作用してワークに孔が形成される。また、上述の所定の高さに設定された立ち上がり部が環状突部の周縁近傍に配置されているため、孔が形成されるまでは、外筒部の先端部はワークに当接せず、かしめは開始されない。
孔が形成された後、内筒部を孔部に嵌合させていくと、外筒部の先端部がワークに当接することで、形成された孔の周縁部のワークが環状突部によって環状凹部内に押し込められて、かしめられる。即ち、かしめが行われるときには、既に孔が形成されてワークの一端側が自由端となっているため、ワークを構成する材料が流れ易く延び易い状態となっている。その結果、ワークに亀裂が生じ難く、環状凹部内に十分にワークが充填される。
従って、本発明によれば、孔の形成とかしめによる締結を締結工程の1工程で行い、且つ高い締結強度でピアスナットをワークに締結できる。
本発明によれば、孔の形成とかしめによる締結を1工程で行い、且つ高い締結強度が得られるピアスナットの締結方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係るピアスナットの締結方法によりワークに締結されたピアスナットの断面図である。 上記実施形態に係るピアスナットの締結方法を説明するための図である。 従来のピアスナットの締結方法を説明するための図である。
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るピアスナットの締結方法によりワークに締結されたピアスナットの断面図である。図1に示すように、ピアスナット1は、ナット本体10と、内筒部12と、外筒部13と、を備える。
本実施形態では、ナット本体10は、平面視で略正方形状である。ナット本体10の上面10aは平面であり、ナット本体10の中心部には、上面10aから下方に垂直に延びるねじ孔11が形成される。
内筒部12は、ナット本体10の下面10bから下方に、且つねじ孔11と同心状に延出する。内筒部12の外径は、後述するダイ9の孔部91に嵌合する大きさに設定される。内筒部12の外周面121は、下方に向かって拡径するテーパ状に形成される。これにより、ワークW1からピアスナット1が抜け難くなり、締結強度が向上する。また、内筒部12の先端部120の先端面は平面であり、その最も外側には、全周に亘って切刃120aが設けられる。
外筒部13は、内筒部12の外側に設けられ、ナット本体10の下面10bの外周部分から下方に、且つねじ孔11と同心状に延出する。外筒部13の内周130aは、テーパを含んで形成される。これにより、ワークW1からピアスナット1が抜け難くなり、締結強度が向上する。上記の内筒部12は、この外筒部13よりも長く延出し、内筒部12の先端部120は、外筒部13の先端部130よりも下方に位置している。
内筒部12と外筒部13との間には、下方に向かって開口する環状凹部14が形成される。本実施形態では、ナット本体10が平面視で略正方形状であることから、環状凹部14は平面視で略正方形環状である。環状凹部14の幅は、後述するダイ9の環状突部92の幅よりも大きく設定され、ワークW1を介して環状凹部14内に環状突部92が挿入可能となっている。
以上の構成を備えるピアスナット1は、図示しないパンチと、図1に示すダイ9とを用いて、ワークW1に締結される。
図示しないパンチの先端には、ピアスナット1が保持される。また、パンチには、当該パンチをダイ9に対して前進及び後退させる駆動源が設けられる。
ダイ9を構成するダイ本体90の中心部には、下方に垂直に延びる孔部91が形成されている。孔部91の内径は、ピアスナット1の内筒部12の外周が嵌合する大きさに設定される。また、孔部91の周縁には、上方に突出し、上記の環状凹部14内に挿入可能な環状突部92が形成される。
本実施形態では、環状凹部14が平面視で略正方形環状であることから、環状突部92は平面視で略正方形環状である。環状突部92の突出高さは、内筒部12の延出長さよりも小さく設定される。なお、環状突部92の上面92aは平面であり、環状突部92の角部は面取りされてR状となっている。
ワークW1としては、板状のものが用いられ、材質は特に制限されない。強度が高く、延性が低い材質を用いることもできる。
本実施形態に係るピアスナット1の締結方法は、予備成形工程と、締結工程と、を有する。予備成形工程では、締結工程に先立って、ワークW1に対して予備成形を行う。締結工程では、予備成形されたワークW1に対して、孔の形成とかしめによる締結を行う。即ち、本実施形態に係るピアスナット1の締結方法では、孔の形成とかしめによる締結は、締結工程の1工程で行う。
以下、本実施形態に係るピアスナット1の締結方法について、図2及び図3を参照して、従来のピアスナットの締結方法と対比させながら説明する。
ここで、図2は、本実施形態に係るピアスナット1の締結方法を説明するための図であり、図3は、従来のピアスナット2の締結方法を説明するための図である。より詳しくは、図2及び図3は、各法の締結工程を実行しているときの拡大断面図であり、(A)はワークW1に孔が形成される前、(B)は孔が形成されたとき、(C)はワークW1がかしめられているとき、(D)は締結が完了したときを示す図である。
上述したように本実施形態では、締結工程に先立って予備成形工程において、ピアスナット1の形状に応じて、ワークW1の所定部位に所定の高さhを有する立ち上がり部Tを形成する(図2(A)参照)。
具体的には、本実施形態ではナット本体10の形状が平面視で略正方形状であり、環状凹部14の形状が略正方形環状であることから、当該正方形環状の外周縁に略一致する形状となるように、ワークW1に立ち上がり部Tを形成する。
また、図2(A)及び(B)に示すように、立ち上がり部Tの高さは、ワークW1の厚みtから、延出方向(図2の上下方向)における内筒部12の先端部120から外筒部13の先端部130までの距離dを減算した値よりも大きい値に設定される。
本実施形態の予備成形工程は、ワークW1を製品形状に成形するプレス成形工程時に同時に行うことが可能である。即ち、製品形状にプレス成形するのと同時に、立ち上がり部Tをプレス成形により形成する。これにより、予備成形工程を別途設ける必要がない。
次に、本実施形態の締結工程では、図2(A)に示すように、ダイ9上に、立ち上がり部Tが環状突部92の周縁に位置するようにワークW1を載置する。そして、この状態で、先端にピアスナット1を保持する図示しないパンチを前進させていくと、ピアスナット1の内筒部12の先端部120が、ワークW1に当接する。
一方、従来の締結工程では、図3(A)に示すように、ワークW2は予備成形されていないため、特にワークW2を載置する位置に特に制限はない。
次いで、本実施形態の締結工程では、図2(B)に示すように、パンチをさらに前進させていくと、内筒部12の先端部120が環状突部92の上面92aの高さに達したところで、内筒部12の先端部120の最も外側に設けられた切刃120aにより、ワークW1が打ち抜かれ、ワークW1に孔が形成される。このとき、上述したように立ち上がり部Tの高さhがt−dよりも大きな値に設定されているため、外筒部13の先端部130はワークW1に当接せず、かしめは開始されない。
一方、従来の締結工程では、図3(B)に示すように、ワークW2に孔が形成される前に外筒部13の先端部130がワークW2に当接し、かしめが開始される。このとき、ワークW2に孔は形成されていないため、ワークW2を構成する材料の流れは制限され、延び難い状態となっている。
次いで、本実施形態の締結工程では、図2(C)に示すように、パンチをさらに前進させて内筒部12を孔部91に嵌合させていくと、形成された孔の周縁部のワークW1が環状突部92によって環状凹部14内に押し込められて、かしめられる。このとき、既に孔が形成されてワークW1の一端側が自由端となっているため、ワークW1を構成する材料は流れ易く延び易い状態となっている。そのため、ワークのかしめ部W1kの肉厚が十分に確保されている。これにより、図2(D)に示すように、ワークの壁部W1aに亀裂が生じるのを抑制できるとともに、ワークの先端部W1cや押し込み部W1bを環状凹部14内に十分に充填でき、高い締結強度が得られる。
一方、従来の締結工程では、上述したように材料の流れが制限されている段階からかしめが開始されるため、図3(C)に示すように、ワークのかしめ部W2kの肉厚が薄くなっている。そのため、図3(D)に示すように、ワークの壁部W2aに亀裂が生じるとともに、ワークの先端部W2cや押し込み部W2bを環状凹部14内に十分に充填できず、高い締結強度が得られない。
従って、本実施形態によれば、孔の形成とかしめによる締結を締結工程の1工程で行い、且つ高い締結強度でピアスナット1をワークW1に締結できる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば上記実施形態では、ナット本体10の形状を、平面視で略正方形状としたがこれに限定されず、平面視で略真円形状としてもよい。この場合には、環状凹部の形状及び環状突部の形状は平面視で略真円形環状となることから、立ち上がり部の形状は、当該真円形環状の外周縁に略一致する形状とする。
また上記実施形態では、ワークW1として一枚の板状ワークを用いたが、例えば2枚以上の板材が積層されたワークを用いてもよい。
1…ピアスナット
9…ダイ
10…ナット本体
10b…ナット本体の下面
11…ねじ孔
12…内筒部
13…外筒部
14…環状凹部
91…孔部
92…環状突部
120…内筒部の先端部
121…内筒部の外周面
130…外筒部の先端部
W1…ワーク
T…立ち上がり部
d…距離
h…高さ
t…厚み

Claims (1)

  1. ねじ孔が形成されたナット本体と、当該ナット本体の下面から下方に且つねじ孔と同心状に延出する内筒部及び外筒部と、を備え、前記内筒部が前記外筒部よりも長く延出することで前記内筒部の先端部が前記外筒部の先端部よりも下方に位置するピアスナットの締結方法において、
    前記ピアスナットの形状に応じて、ワークの所定部位に所定の高さを有する立ち上がり部を形成する予備成形工程と、
    前記内筒部の外周に嵌合可能な孔部と、当該孔部の周縁に形成され且つ前記内筒部と前記外筒部の間に形成された環状凹部内に挿入可能な環状突部と、を有するダイ上に、前記立ち上がり部が前記環状突部の周縁近傍に位置するように前記ワークを載置し、この状態で、前記内筒部が前記孔部に嵌合するまで前記ピアスナットで前記ワークを打ち抜くことで、前記ピアスナットを前記ワークに締結する締結工程と、を有し、
    前記予備成形工程では、前記立ち上がり部の高さが、前記ワークの厚みから、前記延出方向における前記内筒部の先端部から前記外筒部の先端部までの距離を減算した値よりも大きくなるように前記立ち上がり部を形成することを特徴とするピアスナットの締結方法。
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