JP5824568B2 - Dダイマー測定方法 - Google Patents
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Description
なお、Dダイマーは当該技術において、DD/E画分又はDD/E画分の多量体の総称としても知られている。「DD/E画分の多量体」としては、DD/E画分の3量体であるDXD/YY画分、DD/E画分の5量体であるYXY/DXXD画分、DD/E画分の7量体であるDXXD/YXXY画分などが知られている。また、当該技術においては、DダイマーとDD/E画分の多量体とを合わせて「XDP画分」とも総称される。
本明細書において「Dダイマーの低分子画分」とは、安定化フィブリンをプラスミンなどの酵素により長時間分解させて得られるフィブリン分解産物である。そのようなDダイマーの低分子画分としては、例えば安定化フィブリンをプラスミンによって10〜30時間、好ましくは15〜25時間分解させることにより得られるフィブリン分解産物が挙げられる。
本発明の試薬に用いられる第2のモノクローナル抗体は、Dダイマーとは反応するが、X画分、Y画分及びE画分とは反応しない抗体がより好ましい。そのような第2のモノクローナル抗体は、D画分と反応する抗体であってもよいし、D画分と反応しない抗体であってもよい。
(抗原の取得)
抗原として用いるDダイマーは、プラスミンのようなフィブリンを分解できる酵素をフィブリンに作用させて得ることができる。該Dダイマーは、DD/E画分より大きい分子量の画分を含むものが好ましい。このようなものとしては、DD/E画分の2〜5量体が挙げられる。また、Dダイマーのアミノ酸配列に基づいて、当該技術において公知の遺伝子工学的手法により得られる組み換え型のDダイマーを抗原として用いてもよい。
Dダイマーの原料となるフィブリンは市販のものを用いてもよいし、フィブリノゲンにトロンビン、第XIII因子及びカルシウム塩を作用させて得られるものを用いてもよい。
上記のようにして得られる抗原を、アジュバントと任意に混合し、適当な緩衝液に溶解又は懸濁して得られる抗原液で、動物を免疫することができる。該抗原液中の抗原の濃度は、50〜500μg/ml程度が好ましい。抗原の免疫原性が低い場合は、アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニンのようなキャリアータンパク質を任意に抗原と結合させてもよい。
免疫法は、使用する抗原の種類やアジュバントの有無により適宜選択することができる。例えばマウスを用いる場合、アジュバント混合抗原液0.05〜1ml(抗原10〜200μg)を腹腔内、皮下、筋肉内又は尾静脈内に注射し、初回免疫から約4〜21日毎に1〜4回追加免疫を行い、さらに約1〜4週間後に最終免疫を行う。抗原量を多くして腹腔内注射することにより、抗原液にアジュバントを用いずに免疫を行ってもよい。追加免疫の約5〜10日後に血液を採取して抗体価を測定する。抗体価は、後述する抗体価アッセイのような当該技術において公知の方法にしたがって測定できる。最終免疫から約3〜5日後に、免疫された動物から脾臓を摘出し、脾臓細胞を分離して抗体産生細胞を得ることができる。
モノクローナル抗体は、当該技術において公知の方法、例えばKohler及びMilstein, Nature, 256, 495-497 (1975)に記載の方法にしたがって作製できる。
用いる骨髄腫細胞は、マウス、ラット、ヒトなどいずれに由来するものであってもよく、例えばマウスミエローマP3X63-Ag8、P3X63-Ag8-U1、P3NS1-Ag4、SP2/o-Ag14、P3X63-Ag8・653などの株化骨髄腫細胞が挙げられる。骨髄腫細胞には免疫グロブリン軽鎖を産生するものがあり、これを融合対象として用いると、抗体産生細胞が産生する免疫グロブリン重鎖とこの軽鎖とがランダムに結合することがあるので、特に免疫グロブリン軽鎖を産生しない骨髄腫細胞、例えばP3X63-Ag8・653やSP2/o-Ag14などを用いるのが好ましい。抗体産生細胞と骨髄腫細胞とは、同種動物、特に同系統の動物由来のものが好ましい。
本発明の試薬に用いられる第2のモノクローナル抗体としては、例えば受託番号NITE P−968及びNITE P−969として独立行政法人製品評価技術基盤機構に平成22年7月23日付けでそれぞれ寄託された各ハイブリドーマにより産生されるマウス抗体(以下、それぞれ「DD-M1039抗体」及び「DD-M46抗体」ともいう)が挙げられる。
本発明の試薬キットは、イムノアッセイ、例えば上記の第1及び第2のモノクローナル抗体を感作したラテックス粒子と、生体試料中のDダイマーとを反応させるアッセイ(ラテックス凝集法)などにより該試料中のDダイマーを検出するための試薬キットである。
まず、緩衝液を含む第1試薬と生体試料とを混合してインキュベートする。ここで、生体試料としては血清、血漿、尿などが挙げられる。第1試薬と生体試料とを混合する際の容量比は、5:1〜50:1程度であればよい。また、インキュベート時間は1〜10分間程度であればよい。
生体試料中のDダイマーの濃度及び/又は量は、濃度既知のDダイマー標準物質の測定により得られる検量線を用いて、測定した吸光度変化量から算出できる。
第1のモノクローナル抗体としてDD-M1653抗体を用い、第2のモノクローナル抗体としてDD-M1039抗体及びDD-M46抗体を用いて、これらの抗体のフィブリン/フィブリノゲン分解産物に対する反応性の違いを、以下のような免疫沈降法により検討した。
表1から、DD-M1653抗体はX画分、Y画分及びDダイマーとは反応するが、D画分及びE画分とは反応しないことがわかった。また、DD-M1039抗体及びDD-M46抗体はDダイマーとは反応するが、X画分、Y画分及びE画分とは反応しないことがわかった。
(1)Dダイマーの低分子画分及び高分子画分の調製
ヒトフィブリノゲン(「Human Fibrinogen Plasminogen Depleted」;Enzyme ResearchLab社)を0.05 Mトリス緩衝液(pH 7.4)に6.62 mg/mlとなるよう溶解し、塩化カルシウム(最終濃度25 mM)、ヒトトロンビン(2 U/ml)及び第XIII因子(最終濃度10μg/ml、フィブロガミンP;アベンティスファーマ社)を添加した。37℃で18時間反応させてフィブリノゲンをフィブリンに変換させた。
0.75時間後、高分子画分用の反応液にアプロチニンを終濃度1000 U/mlになるように添加し、分解反応を停止した。これを5μmフィルターでろ過して、Dダイマーの高分子画分(フィブリンのプラスミン0.75時間消化物)を得た。また、プラスミンの添加から20時間後、低分子画分用の反応液にアプロチニンを終濃度1000 U/mlになるように添加し、分解反応を停止した。これを5μmフィルターでろ過して、Dダイマーの低分子画分(フィブリンのプラスミン20時間消化物)を得た。
(2-1)第1試薬の製造
各試薬を表2に示される終濃度となるように混合した緩衝液に、DD-M1653抗体を終濃度10μg/mlとなるように添加して混合した。得られた混合液について、1M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.1にした後、超純水で1リットルにメスアップすることにより、緩衝液を含む第1試薬を製造した。
(2-2-1)各抗体のF(ab')2化
(i)DD-M1653抗体のF(ab')2化
ペプシン(約3,500 unit/mg prot.)(SIGMA社)とDD-M1653抗体を重量比で1:20になるよう50 mMクエン酸緩衝液(pH3.7)中で混合し、37℃で1時間静置した。ここに3Mトリス溶液を添加してpHを8.0にして、混合溶液を得た。
AKTA prime plusシステム(GEヘルスケア社)に、Superdex 200pg(GEヘルスケア社)
を充填したカラムをセットし、平衡化バッファー(3.3 mM 3,3-ジメチルグルタル酸含3.3 mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)でカラムを平衡化した。
平衡化バッファーを流速1ml/分でカラムに流しながら、上記の混合溶液をゲルボリュームの1/100以下でアプライして、ただちにカラム溶出液の分取を開始した。ゲルボリュームの約1.5倍までの液量を採取し、得られた溶液の吸光度によってピークをまとめて回収した。回収した溶液の吸光度を測定して抗体濃度を算出した。
パパイン(約2.8 unit.)(SIGMA社)及びL-システインを、それぞれ終濃度2mg/ml、及び6.1 mg/mlとなるように0.1 M 酢酸緩衝液(pH5.5)/3mM EDTA(以下、酢酸緩衝液という)に溶解した。これを37℃で30分間反応させた。反応液を限外ろ過用遠心チューブ(アミコンYM-5(カットオフ分子量10,000)相当;ミリポア社)により酢酸緩衝液置換した。得られた溶液の吸光度からパパイン濃度を求めた。この溶液にDD-M1039抗体を、パパイン重量が抗体の1/20となるように溶解した。そして、37℃で30分間反応させ、得られた反応液に終濃度30 mMとなるようヨードアセトアミドを添加した。
AKTA prime plusシステム(GEヘルスケア社)に、Superdex 200pg(GEヘルスケア社)を充填したカラムをセットし、平衡化バッファー(3.3 mM 3,3-ジメチルグルタル酸含3.3 mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)でカラムを平衡化した。
平衡化バッファーを流速1ml/分でカラムに流しながら、上記の混合溶液をゲルボリュームの1/100以下でアプライして、ただちにカラム溶出液の分取を開始した。ゲルボリュームの約1.5倍までの液量を採取し、得られた溶液の吸光度によってピークをまとめて回収した。回収した溶液の吸光度を測定して抗体濃度を算出した。
DD-M46抗体のF(ab')2化は、DD-M1039抗体に代えてDD-M46抗体を用いたこと以外は上記の(ii)DD-M1039抗体のF(ab')2化において述べたことと同様にして行った。
(i)DD-M1653抗体のラテックス粒子への感作
F(ab')2化DD-M1653抗体の終濃度が1.25 mg/mlとなるように、50 mM 2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸/150 mM NaCl溶液に混合した。そして、この混合液と25%(重量比)ラテックス溶液(粒径0.238μm;セキスイメディカル株式会社)とを混合した。
これに50 mM 2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸/150 mM NaCl溶液/2%BSA溶液を等量加えて混合した後、10℃、38400×gで60分間遠心した。上澄みを除去し、沈殿に上澄みと等量の50 mM 2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸/150 mM NaCl溶液/2%BSA/3%シュークロース溶液を添加した。
得られた混合液を、氷冷条件で超音波破砕機(大岳社製)を用いてソニケーションを行い、さらに、氷冷条件で超音波処理装置(Dr. Hielscher Gmbh UP-200S)を用いてソニケーションを実施しDD-M1653抗体を感作したラテックス粒子の懸濁液を得た。
F(ab')2化DD-M1039抗体の終濃度が1.25 mg/mlとなるように、50 mM 2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸/150 mM NaCl溶液に混合した。以下、上記の(i)DD-M1653抗体のラテックス粒子への感作において述べたことと同様にして、DD-M1039抗体を感作したラテックス粒子の懸濁液を得た。
F(ab')2化DD-M46抗体の終濃度が1.56 mg/mlとなるように、50 mM 2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸/150 mM NaCl溶液に混合した。以下、上記の(i)DD-M1653抗体のラテックス粒子への感作において述べたことと同様にして、DD-M46抗体を感作したラテックス粒子の懸濁液を得た。
DD-M1653抗体を感作したラテックス粒子の懸濁液と、DD-M1039抗体又はDD-M46抗体を感作したラテックス粒子の懸濁液とを混合することにより、2種類のモノクローナル抗体を感作した担体粒子を含むDダイマー測定用試薬を得た。このDダイマー測定用試薬を第2試薬として、以下の測定に用いた。
DD-M1653抗体、DD-M1039抗体及びDD-M46抗体のフィブリン/フィブリノゲン分解産物に対する反応性の違いを、以下の手順によるラテックス凝集法により検討した。
上記(1)で調製したDダイマーの低分子画分及び高分子画分をTBSTバッファーで100倍希釈して検体とした。各検体6μlと、上記(2-1)で調製した第1試薬84μlとを混合し、37℃で3分間反応させた。得られた反応液と、上記(2-2)で調製した各抗体をそれぞれ個別に感作したラテックス粒子の懸濁液84μlとを混合して、ラテックス凝集反応を開始させた。反応開始から1分後及び2分後の波長800 nmにおける吸光度をCS-2000i(シスメックス株式会社)を用いて測定した。これらの測定結果から1分間あたりの吸光度の変化量を求めた。結果を図1に示す。
したがって、上記の(2-2)で製造したDダイマー測定用試薬は、Dダイマーに対する反応性が互いに異なる第1及び第2のモノクローナル抗体を感作した担体粒子を含む試薬である。
上記の2.で製造した本発明のDダイマー測定用試薬を用いてDダイマー標準品を測定した。
第1試薬は、上記の2.(2-1)で製造した試薬を用いた。第2試薬は、上記の2.(2-2)で製造した試薬を用いた。第2試薬における、各抗体をそれぞれ個別に感作したラテックス粒子の懸濁液の混合率(体積比)を、以下の表3に示す。なお、第2試薬における抗体の総量は、いずれの混合率の第2試薬においても同じである。
図2及び3より、実施例1〜6のDダイマー測定試薬の方が、比較例の試薬よりもDダイマーに対する反応性が高いことが分かった。
低濃度域におけるDダイマー測定感度について、本発明のDダイマー測定用試薬(実施例1)と従来の測定試薬(比較例1)とを比較した。
Dダイマー標準品ネオ(シスメックス株式会社)を希釈して濃度0.25μg/mlのDダイマー溶液を調製した。この溶液を検体とした。検体6μlと試験例1の(2-1)で製造した第1試薬84μlとを混合し、37℃で3分間反応させた。得られた反応液と、実施例1及び比較例1の各第2試薬84μlとを混合して、ラテックス凝集反応を開始させた。反応開始から1分後及び2分後の波長800 nmにおける吸光度をCS-2000iを用いて測定した。これらの測定結果から1分間あたりの吸光度の変化量を求めた。また、Dダイマーを含まない検体(0μg/ml)についても同様にして測定した。各検体10サンプルずつについて、測定値の平均値(Mean)、標準誤差(SD)を算出した。また、平均値のばらつきの上限及び下限として、それぞれ平均値に標準誤差の2倍の値を加えた値(+2SD)及び引いた値(-2SD)を算出した。これらの結果を表4に示す。
一方、比較例1の試薬では、0μg/mlの検体についての平均値+2SDの値よりも、0.25μg/mlの検体についての平均値−2SDの値の方が小さいことがわかる。これは、0μg/mlの検体の測定結果のばらつきの上限と、0.25μg/mlの検体の測定結果のばらつきの下限とが重なり得ることを示す。
したがって、実施例1の試薬では、Dダイマーを含まない検体と低濃度のDダイマーを含む検体とを区別できるが、比較例1の試薬ではそのような区別はできないことが示唆される。
よって、本発明のDダイマー測定試薬は低濃度域におけるDダイマーを高感度に測定できることがわかる。
Claims (12)
- 生体試料と、Dダイマーに反応するがDダイマーに対する反応性が互いに異なる第1及び第2のモノクローナル抗体を感作した担体粒子を含む試薬とを混合する工程と、
混合物中で抗原抗体反応により生じる、Dダイマーと担体粒子との凝集の度合いを測定する工程と
を含み、
前記第1のモノクローナル抗体がX画分、Y画分及びDダイマーとは反応するが、D画分及びE画分とは反応せず、
前記第2のモノクローナル抗体がDダイマーとは反応するが、X画分、Y画分及びE画分とは反応しない、Dダイマー測定方法。 - 前記第1及び第2のモノクローナル抗体を感作した担体粒子が、前記第1のモノクローナル抗体を感作した担体粒子及び第2のモノクローナル抗体を感作した担体粒子の混合物である、請求項1に記載のDダイマー測定方法。
- 前記第2のモノクローナル抗体がD画分と反応しない、請求項1又は2に記載のDダイマー測定方法。
- 前記第2のモノクローナル抗体がD画分と反応する、請求項1又は2に記載のDダイマー測定方法。
- 前記第1のモノクローナル抗体が、受託番号FERM P−19687として独立行政法人産業技術総合研究所に平成16年2月17日付けで寄託されたハイブリドーマにより産生される抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のDダイマー測定方法。
- 前記第2のモノクローナル抗体が、受託番号NITE P−968として独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託されたハイブリドーマにより産生される抗体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のDダイマー測定方法。
- 前記第2のモノクローナル抗体が、受託番号NITE P−969として独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託されたハイブリドーマにより産生される抗体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のDダイマー測定方法。
- 前記測定工程では、Dダイマーと担体粒子との凝集の度合いを光学的に測定する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のDダイマー測定方法。
- 前記測定工程では、Dダイマーと担体粒子との凝集の度合いを、散乱光強度、吸光度及び透過光強度の少なくとも一つを測定することで測定する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のDダイマー測定方法。
- 前記混合工程では、生体試料と、緩衝液を含む試薬と、Dダイマーに反応するがDダイマーに対する反応性の異なる第1及び第2のモノクローナル抗体を感作した担体粒子を含む試薬とを混合する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のDダイマー測定方法。
- 前記混合工程では、生体試料と緩衝液を含む試薬とを混合し、生体試料及び緩衝液を含む試薬の混合物と、Dダイマーに反応するがDダイマーに対する反応性の異なる第1及び第2のモノクローナル抗体を感作した担体粒子を含む試薬とを混合する、請求項10に記載のDダイマー測定方法。
- 前記緩衝液を含む試薬が前記第1及び/又は第2のモノクローナル抗体を含む、請求項10又は11に記載のDダイマー測定方法。
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