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JP5827193B2 - 非水電解質二次電池用負極の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、非水電解質二次電池用負極の製造方法に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な正極及び負極と、液状、ゲル状もしくは固体状の電解質とから概略構成され、高出力及び高エネルギー密度などの利点を有している。
特許文献1には、活物質粒子と導電材粒子とポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子結合剤樹脂とを混合した活物質ペーストを加温して集電体上に塗布して、正極および負極を形成するリチウムイオン二次電池用の電極の製造方法が開示されている(請求項1)。
特許文献1には、活物質ペーストを集電体上に塗布する際の活物質ペーストの加温温度は20〜55℃が好ましいことが記載されている(請求項2)。
リチウムイオン二次電池において、負極活物質としては黒鉛等の炭素材料が広く使用されている。例えば、黒鉛等の負極活物質と、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)あるいはその変性体(変性SBR)等の結着剤と、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤と、水とを混合して、ペーストを得、このペーストを負極集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工して、集電体と負極活物質層とからなる負極が製造される。
特開2004-199916号公報
CMC等の増粘剤を用いる場合、増粘剤が良好に溶解せず、ペースト中に増粘剤と水を含むミクロゲルが生成されやすい。さらに、増粘剤の繊維同士が互いに絡まり合って凝集した凝集物を含むミクロゲルが生成される場合もある。
ペースト中に増粘剤の未溶解物あるいはその凝集物を含むミクロゲルがあると、得られる負極活物質層において活物質の抜けたピンホールが形成されてしまう。ピンホール部分は活物質がないため、充放電時にLiイオンの受け渡しができず、ピンホール部分にLi成分が析出する恐れもある。これらの理由から、ピンホール部分は電池容量等の電池特性の低下を招き、好ましくない。
繊維同士が凝集していない未溶解の増粘剤であれば加温により溶解させることができるが、増粘剤の繊維同士が凝集した凝集物は加温だけでは凝集を解き溶解させることが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、活物質の抜けたピンホールの形成を抑制することが可能な、非水電解質二次電池用負極の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法は、
集電体と、当該集電体上に形成され、負極活物質と結着剤と増粘剤とを含む負極活物質層とを備えた非水電解質二次電池用負極の製造方法であって、
40℃未満の温度下で、前記負極活物質と前記増粘剤と水とを混合して、固形分率が60%以上の第1のペーストを調製する工程(A)と、
40〜90℃の温度下で、前記第1のペーストに水および前記結着剤を添加混合し、固形分率が60%以下の第2のペーストを調製する工程(B)と、
40℃未満の温度下で、前記第2のペーストを前記集電体上に塗布する工程(C)とを有するものである。
本発明によれば、活物質の抜けたピンホールの形成を抑制することが可能な、非水電解質二次電池用負極の製造方法を提供することができる。
実施例1において、第1のペーストの調製温度(固練り温度)と得られた第2のペースト中の80μm以上のミクロゲルの数との関係を示すグラフである。 実施例2において、第2のペーストの調製温度と得られた第2のペースト中の80μm以上のミクロゲルの数との関係を示すグラフである。 実施例3において、第2のペーストの温度とペースト粘度との関係を示すグラフである。
以下、本発明について詳述する。
本発明は、非水電解質二次電池用負極の製造方法に関するものである。
非水電解質二次電池としては、リチウムイオン二次電池等が挙げられる。
以下、リチウムイオン二次電池を例として、主な構成要素について説明する。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、これらの間を絶縁するセパレータ、非水電解質、及び電池容器等から概略構成される。
<正極>
正極は、公知の方法により、アルミニウム箔などの正極集電体に正極活物質を塗布して、製造することができる。
公知の正極活物質としては特に制限なく、例えば、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−x)、及びLiNiCoMn(1−x−y)等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる(式中、0<x<1、0<y<1)。
例えば、N−メチル−2−ピロリドン等の分散剤を用い、上記の正極活物質と、炭素粉末等の導電剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とを混合して、ペーストを得、このペーストをアルミニウム箔等の集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工して、正極活物質層を形成することができる。
正極活物質として金属リチウムあるいはリチウム合金等を用いる場合、これをそのまま正極として用いることができる。
<負極>
負極は、集電体と、この集電体上に形成され、負極活物質と結着剤と増粘剤とを含む負極活物質層とを備えている。
負極集電体としては特に制限なく、銅箔などの金属箔等が挙げられる。
負極活物質としては特に制限なく、Li/Li+基準で2.0V以下にリチウム吸蔵能力を持つものが好ましく用いられる。負極活物質としては、黒鉛等の炭素、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属酸化物/遷移金属窒化物/遷移金属硫化物、及び、これらの組合わせ等が挙げられる。
結着剤としては、ゴム状高分子、好ましくはスチレン−ブタジエンゴム(SBR)またはその変性体(変性SBR)が用いられる。
増粘剤としては、水溶性高分子、好ましくはカルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられる。
「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、従来の方法では、増粘剤が良好に溶解せず、ペースト中に増粘剤と水を含むミクロゲルが生成されやすい。さらに、増粘剤の繊維同士が互いに絡まり合って凝集した凝集物を含むミクロゲルが生成される場合もある。
本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法は、
40℃未満の温度下で、負極活物質と増粘剤と水とを混合して、固形分率が60%以上の第1のペーストを調製する工程(A)と、
40〜90℃の温度下で、第1のペーストに水および結着剤を添加混合し、固形分率が60%以下の第2のペーストを調製する工程(B)と、
40℃未満の温度下で、第2のペーストを集電体上に塗布する工程(C)とを有する。
工程(A)は、負極活物質と増粘剤と少量の水とを混合する固練りの工程である。
この工程では、固形分率が60%以上の第1のペーストを調製する。
負極活物質と増粘剤と少量の水との混合手順は特に制限なく、一度に混合しても、分けて混合しても構わない。
例えば、はじめに粉末の負極活物質と粉末の増粘剤とを混合した後、少量の水を添加混合することが好ましい。
粉末の負極活物質と粉末の増粘剤とを混合する際の温度は特に制限なく、室温で構わない。
水を添加した後の混合温度は、40℃未満、好ましく30℃未満とする。
ペースト温度が高くなると粘度が下がり、固練り中のせん断力が低下して、増粘剤の凝集が生じやすくなる。
負極活物質と増粘剤と水との混合温度(第1のペーストの調製温度、固練り温度)を40℃未満、好ましく30℃未満とすることで、固練り中のせん断力を高め、増粘剤の繊維同士が凝集した凝集物の生成自体を抑制し、また、凝集物が生成されたとしてもその繊維同士の凝集を解くことができる。これらの作用効果により、増粘剤の繊維同士が凝集した凝集物を含むミクロゲルの生成を抑制することができる。
工程(B)は、第1のペーストに水および結着剤を添加混合する工程である。
この工程では、固形分率が60%以下の第2のペーストを調製する。
第1のペーストに対する水および結着剤の添加混合手順は特に制限なく、一度に添加混合しても、分けて添加混合しても構わない。
例えば、第1のペーストに水を添加混合して所望の固形分率にした後、結着剤を添加混合することが好ましい。
添加混合手順に関係なく、第1のペーストに対する水および結着剤の添加混合温度(第2のペーストの調製温度)は、40〜90℃とする。
第2のペーストの調製温度を40℃以上とすることで、増粘剤の未溶解物を良好に溶解させることができ、増粘剤の未溶解物を含むミクロゲルの生成を抑制することができる。
第2のペーストの調製温度が90℃を超えると、CMC等の増粘剤の分解が進み、急激な粘度低下が進むため、好ましくない。
工程(C)は、工程(B)で調製された第2のペーストを集電体上に塗布する工程である。
工程(C)は、40℃未満、好ましくは30℃未満の温度下で実施する。
第2のペーストの温度が高くなると粘度が下がり、集電体上に塗布する際に、第2のペーストが流れ落ちやすくなる。そのため、プラグインハイブリッド車(PHV)あるいは電気自動車(EV)等に搭載されるリチウムイオン二次電池に適した高目付の負極活物質層を形成することが難しくなる。
40℃未満、好ましくは30℃未満の温度下で工程(C)を実施することで、上記用途に好適な例えば7mg/cm以上の目付の負極活物質層を安定的に形成することができる。
負極活物質層は、集電体の片面または両面に形成することができる。
本明細書において、活物質層の好ましい目付は、片面側の活物質層の目付でもって規定している。
工程(C)後に、第2のペーストを塗布して得られた塗布膜を乾燥する工程(D)、および必要に応じて乾燥後の塗布膜をプレス加工する工程(E)を実施して、集電体と負極活物質層を含む負極を得ることができる。
上記のように、本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法では、工程(A)において増粘剤の凝集物の生成を抑制し、工程(B)において増粘剤の未溶解物を良好に溶解させることができる。そのため、増粘剤の未溶解物あるいは凝集物を含むミクロゲルの生成による負極活物質層のピンホールの生成を抑制することができ、所望の電池特性を有する非水電解質二次電池を安定的に製造することができる。
<非水電解質>
非水電解質としては公知のものが使用でき、液状、ゲル状もしくは固体状の非水電解質が使用できる。
例えば、プロピレンカーボネ−トあるいはエチレンカーボネ−ト等の高誘電率カーボネート溶媒と、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の低粘度カーボネート溶媒との混合溶媒に、リチウム含有電解質を溶解した非水電界液が好ましく用いられる。
混合溶媒としては例えば、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒が好ましく用いられる。
リチウム含有電解質としては例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF{C(2k+1)(6−n)(n=1〜5の整数、k=1〜8の整数)等のリチウム塩、及びこれらの組合わせが挙げられる。
<セパレータ>
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜であればよく、多孔質高分子フィルムが好ましく使用される。
セパレータとしては例えば、PP(ポリプロピレン)製多孔質フィルム、PE(ポリエチレン)製多孔質フィルム、あるいは、PP(ポリプロピレン)−PE(ポリエチレン)の積層型多孔質フィルム等のポリオレフィン製多孔質フィルムが好ましく用いられる。
<電池容器>
電池容器としては公知のものが使用できる。
二次電池の型としては、円筒型、コイン型、角型、あるいはフィルム型(ラミネート型)等があり、所望の型に合わせて電池容器を選定することができる。
本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1)
負極ペーストの調製条件のみを変更し、それ以外の条件は同一として、複数の負極ペーストサンプルを得た。
負極活物質である黒鉛粉末と、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)粉末とを混合した。次に、少量の水を添加混合して、第1のペーストを得た(工程(A)、固練りの工程)。第1のペーストの固形分率は65%とした。黒鉛とCMCと少量の水との混合(固練り)は、プラネタリーミキサーを用い、50rpmの撹拌速度で、30分間実施した。この際の温度(第1のペーストの調製温度、固練り温度)を20〜60℃の間で振り、温度の影響を検討した。第1のペーストの調製温度(固練り温度)は、25℃、30℃、40℃、および60℃の4条件とした。
次に、上記第1のペーストに水を添加混合し、さらに結着剤であるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を添加混合して、第2のペーストを得た(工程(B))。水およびSBRの添加混合はいずれも、プラネタリーミキサーを用い、15rpmの撹拌速度で、10分間実施した。これらの添加混合時の温度(第2のペーストの調製温度)は40℃とした。
いずれのサンプルにおいても、黒鉛とSBRとCMCとの配合比は97/2/1(質量比)とした。
得られた第2のペーストを粒ゲージで引き上げ、80μm以上のミクロゲルの数を目視で測定した。
第1のペーストの調製温度(固練り温度)と得られた第2のペースト中の80μm以上のミクロゲルの数との関係を図1に示す。
図1に示すように、第1のペーストの調製温度(固練り温度)が低い程、第2のペースト中のミクロゲルの数は減少する傾向があった。第1のペーストの調製温度(固練り温度)を40℃未満、好ましくは30℃未満とすることで、得られる第2のペースト中のミクロゲルの数を顕著に低減することができた。
(実施例2)
材料混合時の温度条件のみを変更し、それ以外の条件は同一として、実施例1と同様に、複数の負極ペーストサンプルを得た。
実施例2では、第1のペーストの調製温度(固練り温度)を30℃に固定し、第2のペーストの調製温度を20〜60℃の間で振り、温度の影響を検討した。第2のペーストの調製温度は、25℃、30℃、40℃、および60℃の4条件とした。
得られた第2のペーストを粒ゲージで引き上げ、80μm以上のミクロゲルの数を目視で測定した。
第2のペーストの調製温度と得られた第2のペースト中の80μm以上のミクロゲルの数との関係を図2に示す。
図2に示すように、第2のペーストの調製温度が高い程、ミクロゲルの数は減少する傾向があった。第2のペーストの調製温度を40℃以上とすることで、得られる第2のペースト中のミクロゲルの数を顕著に低減することができる。
なお、第2のペーストの調製温度が90℃を超えると、CMCの分解が進み、急激な粘度低下が進むため、第2のペーストの調製温度は40〜90℃とすることが好ましい。
(実施例3)
材料混合時の温度条件のみを変更し、それ以外の条件は同一として、実施例1と同様に、負極ペーストサンプルを得た。
実施例3では、第1のペーストの調製温度(固練り温度)を30℃とし、第2のペーストの調製温度を40℃とした。
得られた第2のペーストの温度を変更し、各温度サンプルについて、粘度を測定した。温度条件は、10℃、25℃、40℃、60℃、および80℃の5条件とした。
粘度測定は、E型粘度計を用い、せん断速度40s−1、30℃の条件で実施した。
結果を図3に示す。
図3に示すように、調製後の第2のペーストの温度が低い程、ペースト粘度は増加する傾向があった。
プラグインハイブリッド車(PHV)あるいは電気自動車(EV)等に搭載されるリチウムイオン二次電池では、負極活物質層の目付は例えば7mg/cm以上が好ましい。目付7mg/cm以上の負極活物質層を安定的に得るには、第2のペーストの粘度は600mPa・s以上が好ましい。
調製後の第2のペーストの温度を40℃未満、好ましくは30℃未満とすることで、第2のペーストの粘度を安定的に600mPa・s以上とすることができ、目付7mg/cm以上の負極活物質層が安定的に得られることが分かった。
本発明は、プラグインハイブリッド車(PHV)あるいは電気自動車(EV)等に搭載されるリチウムイオン二次電池等の負極に好ましく適用できる。

Claims (7)

  1. 集電体と、当該集電体上に形成され、負極活物質と結着剤と増粘剤とを含む負極活物質層とを備えた非水電解質二次電池用負極の製造方法であって、
    40℃未満の温度下で、前記負極活物質と前記増粘剤と水とを混合して、固形分率が60%以上の第1のペーストを調製する工程(A)と、
    40〜90℃の温度下で、前記第1のペーストに水および前記結着剤を添加混合し、固形分率が60%以下の第2のペーストを調製する工程(B)と、
    40℃未満の温度下で、前記第2のペーストを前記集電体上に塗布する工程(C)とを有する非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  2. 前記負極活物質層の目付が7mg/cm以上である請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  3. 前記増粘剤が水溶性高分子である請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  4. 前記増粘剤がカルボキシメチルセルロースである請求項3に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  5. 前記結着剤がゴム状高分子である請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  6. 前記結着剤がスチレン−ブタジエンゴムまたはその変性体である請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  7. 前記非水電解質二次電池がリチウムイオン二次電池である請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
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