第1の発明は、表面材と、金属シートの両面に、所定の温度以上で溶融する接着樹脂をコーティングした均熱シートの一方の面に、ヒータ線を配設したヒータユニットと、断熱シートとを含む面状採暖具の製造方法にあって、前記表面材、前記ヒータユニット、前記断熱シート、の順に積層してこれらの積層体を得る準備工程と、前記積層体のうちの前記表面材および前記断熱シートのどちらか一方の側に近接して電磁誘導加熱装置を設置し、前記電磁誘導加熱装置により前記金属シートの全面に亘り順次発熱させることにより前記接着樹脂を溶融させる加熱工程と、押圧手段により前記積層体を押圧することにより、前記表面材と前記ヒータユニットと前記断熱シートとを接着させる押圧工程とを含み、前記金属シートは複数のシートを接合した接合部を備えた構成とし、前記電磁誘導加熱装置は、前記金属シートの端部近傍を加熱する出力を前記金属シートの他の平面部位に対する出力よりも低出力で加熱することを特徴とした、面状採暖具の製造方法である。
これにより、複数の金属シートを接合した大型の面状採暖具の製造が可能となり、同一の製造設備でサイズが異なる面状採暖具に容易に対応可能となるとともに、金属シート全面の発熱が均等となり、接着樹脂の均等な溶融ができるため、表面材とヒータユニットと断熱シートとの安定した接着を得ることができ、面状採暖具の品質を向上することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記電磁誘導加熱装置の出力を制御する制御部と、前記接合部の位置を検知する位置検知手段とを備え、前記制御部は、前記位置検知手段の検知データに基づき、前記電磁誘導加熱装置の出力を制御することを特徴としたものである。
これにより、位置検知データに基づく電磁誘導加熱装置の制御動作のみで金属シート全面を均等に発熱させることが可能となる。また、金属シートの接合部の有無に拘わらず大きさの異なる金属シートに対応することが可能となり、広範囲のサイズの面状採暖具を同一の設備で製造することが可能となる。
第3の発明は、特に、第1の発明において、前記電磁誘導加熱装置は、出力の異なる複数の加熱コイルを備え、前記接合部および前記接合部の近傍と前記金属シートの他の平面部位とは、別の前記加熱コイルで加熱することを特徴としたものである。
これにより、加熱コイルごとに出力を変更することが可能となり、接合部および接合部の近傍に最適な出力で加熱することができるため、金属シート全面により均等な発熱を得ることができる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記電磁誘導加熱装置は、前記金属シートの端部近傍を加熱する出力を前記金属シートの他の平面部位に対する出力よりも高出力で加熱することを特徴としたものである。
これにより、金属シートの端部近傍の発熱を増加させることが可能となり、金属シート全面の発熱をより均等にすることができ、表面材とヒータユニットと断熱シートとのより安定した接着を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における面状採暖具の完成状態を示す斜視図であり、図2は面状採暖具の本体の組み立て前の状態を示す斜視図であり、図3は面状採暖具の本体の完成状態を示す断面図であり、図4は本体を構成する部材の詳細な構成を示す断面図である。
<面状採暖具の構成>
図1に示すように、面状採暖具は複数のシート状の部材で構成した本体100の一端にコントローラ101を配設し、コントローラ101に接続した電源コード102で電力を供給することにより本体100を加熱し、住宅の床面に設置して使用する採暖具である。
図2に示すように、面状採暖具の本体100は、表面材200と接着シート300とヒータユニット400と断熱シート500と裏面材600を主な構成部材とする積層体であり、図2に示すようにそれらを順次積層し、その積層体を接着加工し、周辺部を圧縮密閉することにより図3に示すような断面形状に形成されている。
図4に示すように、表面材200は、面状採暖具の本体100における最表面の部材であり、機械的な強度はもちろん意匠性や耐汚染性や触感等の必要な性能を備えたものであり、塩化ビニール樹脂(以下PVCと表記)を主成分とし、着色および柄付けした表面シート201の裏面にポリエステルの不織布202を接着剤203で接着してシート状をなしている。
接着シート300は、ポリエチレン樹脂をシート状に成形したものであり、常温においては柔軟なシート状をなしており、約97℃以上で溶融して接着剤としての機能を発揮する。
ヒータユニット400は、面状採暖具の発熱源であり、アルミニュームを主成分とする均熱シート410の片面にヒータ線420を蛇行形状に配設したものである。
均熱シート410は、ヒータ線420で発熱した熱を本体100全面に均一に拡散する目的の部材であり、熱伝導率が高い金属シートであるアルミニュームを主成分とする厚さ約0.01mmのアルミシート411を基材とし、その両面にポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412をコーティングして形成したものであり、ポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412を約97℃以上に加熱することにより溶融して接着剤としての機能を発揮する。
ヒータ線420は図5に示すように、中心のガラス繊維421の周囲に温度を検知する検知線422を螺旋状に巻回し、その外周にナイロン樹脂で絶縁層423を形成し、絶縁層423の外周に発熱線424を螺旋状に巻回し、その外周にPVCの絶縁層425を形成し、絶縁層425の外周にポリエチレン樹脂による接着層426を形成したものである。
図2に示すように、ヒータユニット400は、ヒータ線420の始端を均熱シート410の1つの角部に配置し、均熱シート410の全域をカバーするように蛇行形状に配設し、終端を始端の近傍に配置している。図2のようにヒータ線420を配置した状態で熱を加えることにより、ヒータ線420の接着層426が溶融し、均熱シート410に接着固定されたものである。
断熱シート500は、ヒータユニット400で発熱した熱が床面に無駄に伝わるのを抑制する目的で設けたものであり、断熱性の高いシート状の発泡ウレタン樹脂501の両面にポリエステル樹脂の不織布502を接着したものである。
裏面材600は、面状採暖具の本体100のうち直接床面に接触する部材であり、機械的強度なもちろんクッション性や滑りにくさ等の性能を備えており、弾性を備えたオレフィン系エラストマーの裏面シート601の上面にポリエチレン樹脂の接着層602をコーティングしたものである。
本実施の形態における面状採暖具は、上記各構成部材を組み立て形成した本体100の角部にコントローラ101を設置し、ヒータユニット400の発熱線424の始端と終端をコントローラ101に接続することにより、面状採暖具の発熱機能を発揮させることができるものである。
<本体の製造工程>
図6は本体の製造過程における準備工程の断面を示す模式図であり、図7は本体の加熱工程と押圧工程の断面を示す模式図であり、図8は裏面材の接着と本体周辺部の成形を行う熱プレス工程の断面を示す模式図であり、図9は本体周辺部の溶着を行う超音波溶着工程の断面を示す模式図であり、図10は本体周辺部の不要な部分を切断するトリミング工程の断面を示す模式図である。
図6に示すように、準備工程においては、水平なプラットホーム710上に裏面材600の接着層602を上にして配置し、その上に断熱シート500を積み重ね、その上にヒータユニット400のヒータ線420が下側になるように積み重ね、その上に接着シート300を積み重ね、その上に表面材200の不織布202が下側になるように積み重ね、準備状態の本体100の積層体を形成する。
この工程においては図4に示すように、ヒータユニット400は他の部材より外形寸法が小さいので、断熱シート500の中央に配置することが重要である。準備工程で積層した本体100の積層体は、次に加熱工程に送られる。
図7に示すように、加熱工程の加工設備としては、本体100を載置して、矢印Aで示すように水平方向に移動させる搬送手段720と、本体100の幅より大きい略長円形の加熱コイル722と、加熱コイル722の出力を制御する制御部(図示せず)を備えた電磁誘導加熱装置721が必須である。
搬送手段720には本体100の積層体の移動位置を検知する位置検知手段(図示せず)を備えている。本実施の形態においては具体的な位置検知手段としては、搬送手段720の駆動モータの回転数を検知して本体の100の移動距離を演算することにより本体100の位置を検知する位置検知手段を採用している。
準備工程で積層された本体100の積層体は搬送手段720で矢印Aで示す水平方向に移動させながら、上方に配置した電磁誘導加熱装置721の加熱コイル722から磁力線を発生させると、ヒータユニット400のアルミシート411内に渦電流が発生し、渦電流とアルミシート411の抵抗によりアルミシート411自体が発熱昇温する。
アルミシート411から発生した熱によりアルミシート411の両面にコーティングされたポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412と、ヒータユニット400の上に密着して積層された接着シート300が溶融する。ポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412と接着シート300は数秒間で溶融するため、本体100を搬送手段720で所定の速度で移動さながら電磁誘導加熱装置721を作動させることにより、連続的に本体100全面に亘り溶融させることができる。
このとき、電磁誘導加熱装置721の加熱コイル722とアルミシート411との距離を一定に保つことが重要であり、積層した本体100を軽く押圧し所定の厚みに維持しながら移動させる。
加熱工程においては、発熱による温度上昇を適切に制御することが重要であり、搬送手段720の搬送速度に対応して、電磁誘導加熱装置721の制御部により加熱コイル722の出力を制御する。特に、アルミシート411の端部には磁力線が集中しやすく端部は高温になるが、その反面、端部の近傍は磁力線が弱くなるためアルミシート411の発熱が抑制される現象が発生するため、接着樹脂412を十分に溶融できない状態になる。
そのため、加熱コイル722が端部近傍を通過するときはアルミシート411の他の平面部位を加熱するときより加熱コイル722の出力を上昇させて低温領域が発生しないように制御する。出力を制御するタイミングは搬送手段720の位置検知手段の情報に基づいて行われる。
また、ヒータユニット400はヒータ線420を下側になるように配置する。アルミシート411が電磁誘導加熱装置721の加熱コイル722に対抗するように配置することにより、加熱コイル722とアルミシート411との距離が一定に保ちやすく、アルミシート411全面を均一に発熱させることができる。
また、電磁誘導加熱装置721の加熱コイル722とヒータ線420とをアルミシート411を介して配置することにより、ヒータ線420自体の発熱を抑制することができ、温度斑を抑制することができるので、均一で安定した加熱作用を得ることができる。
押圧工程は、図7に示すように、加熱工程と連続して一体的に行う工程であり、この工程に必要な設備は本体100を連続的に押圧することが可能な設備であり、本実施の形態においては図7に示すように、上下ローラをともに矢印Bの方向に回転駆動し、矢印Cで示すように上方より押圧する押圧ローラ730を採用した。
押圧ローラ730の駆動速度は加熱工程の加熱時間に連動することが必須であり、加熱工程により溶融した樹脂をできるだけ短時間に押圧できるように、加熱コイル722と近接して配置することが重要であり、本実施の形態では加熱工程の設備と押圧工程の設備を一体で構成している。押圧工程で押圧することにより、表面材200とヒータユニット400と断熱シート500がポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412と接着シート300を介して接着される。
次の熱プレス工程は、2つの異なる作業を同時に行う工程であり、図8に示すように、この工程に必要な設備は熱プレス740であり、熱プレス740の下型741には本体100全面をカバーする熱板742を配置し、上型745には本体100の周辺部を段押成型する熱板746を備えている。
この工程は、裏面材600の接着と本体100の周辺部の段押成型を行うものであり、下型741に配置した熱板742により裏面材600を加熱し、裏面材600の裏面シート601の上面にコーティングした接着層602を溶融し、熱プレスで押圧することにより、裏面材600と断熱シート500を接着する。また、上型745に備えた熱板746により本体100の周辺部を加熱しながら押圧することにより、周辺の厚さを薄くするように段押成型する。段押部の内方に局面が成型されるように熱板746の端部は局面747に形成されている。
次の超音波溶着工程は、熱プレス工程で段押成型した本体100の周辺部を溶着する工程であり、図9に示すように、この工程で使用する設備は本体100の周辺部に沿って移動するホーン751を備えた超音波溶着機750である。
ヒータユニット400は他の部材より外形寸法を小さく形成されているため、本体100の周辺部は全て熱可塑性の樹脂材料で形成された表面材200と接着シート300と断熱シート500と裏面材600とで構成されている。それらが前工程の熱プレス工程の段押成型により薄く成型されており、段押部に超音波を加えることにより各部材の接合部が発熱溶融して確実に溶着することができる。超音波を加えるホーン751は段押部を移動しながら順次溶着を行う。
最後のトリミング工程は、本体100の周辺部の不要な部分を切り落として整形する仕上げ工程であり、図10に示すように、この工程で使用する設備は本体100の両側の幅方向を同時に切断する2個の円盤状のカッター760と長さ方向を移動させながら切断する1個のカッター760である。
超音波溶着を行った段押部の不要部分を幅方向と長さ方向に円盤状のカッター760を移動させながら切り落とし、本体100を所定の寸法に仕上げる。
以上のように、本実施の形態のおける本体の製造工程において、特に電磁誘導加熱装置721を使用した加熱工程が特徴的な工程であり、電磁誘導加熱装置721によりヒータユニット400の部材であるアルミシート411自体を発熱させることにより、樹脂を溶融して接着するものである。
上記のように、本実施の形態における製造方法における特徴的な工程である加熱工程の最大の特徴は、樹脂の溶融に必要な熱を、樹脂に直接接触しているアルミシート411から発熱させる点であり、発熱源であるアルミシート411を中央にして表面材200と断熱シート500および裏面材600で挟み込むことにより、外部への無駄な放熱を抑制することができるため、外部から熱を加える加熱方法に比較して格段に少ない熱量で樹脂を溶融することができ、加熱に要する電力が少なく、高い省エネルギーの効果を得ることができる。
しかも、本体100の内部から発熱させることにより、本体100の表面部の温度が上昇することがないため、表面部に使用する材料、例えば表面材200は耐熱温度の低いものを使用することが可能である。
また、アルミシート411は、本来面状採暖具の使用時にヒータ線420で発熱した熱を本体100全面に均一に拡散する目的で設けた必須の構成部材であり、本来の機能に加えて製造工程で活用したものであり、製造上のコストや工数の点で非常に大きい効果を得ることができるものである。
また、発熱源であるアルミシート411が溶融する樹脂に直接接触しているため、秒単位の短時間に加熱ができるため、本体100全面を同時に加熱する必要がなく、移動させながら部分的に、加熱、溶融、接着の工程を流れ作業として実施することが可能となる。しかも、部分的に加熱を行うため、加熱に使用する電磁誘導加熱装置721は小容量の小型の物でよく、設備費用を低減することができるとともに、加工時の最大電気容量を低くすることができる。
また、電磁誘導加熱を使用した本発明の製造方法においては、従来本体のサイズ毎に必要であった金型が不要であり、しかも本体の最大のサイズに対応する加熱コイル722を準備しておけば、発熱源であるアルミシート411の範囲のみで発熱するため、加熱コイル722より小さい本体100であれば同一の設備で加熱することが可能であり、本体100のサイズに合わせて加熱工程の設備を準備する必要がなくこの点でも設備費用を低減することができる。
なお、本実施の形態においては、表面材200とヒータユニット400との接着は接着シート300を介して実施したが、ヒータユニット400のアルミシート411の両面にコーティングされたポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412により表面材200との十分な接着力が確保される場合は接着シート300を省略することができ、その場合、材料コスト、製造工数の合理化を図ることができる。
また、本実施の形態においては、本体100を構成する部材を図4に示すように、ヒータユニット400のみを他の部材より外形寸法が小さい構成としたが、本体100を構成する部材のうち図11に示すように、ヒータユニット400と同様に接着シート300と断熱シート500の外形も小さく形成することが考えられる。このような構成を採用することにより、本体100の周辺部を薄く成型する熱プレス工程を省略することが可能となる。
熱プレス工程を省略して、超音波溶着工程により本体100の周辺部に超音波を加えることにより、表面材200と裏面材600とが発熱溶融して図12に示すように周辺部が薄くなった状態で溶着させることができる。
熱プレス工程を省略することにより、製造設備や金型等の初期投資費用および製造工数を低減することができる。
また、本実施の形態においては、電磁誘導加熱装置721の加熱コイル722は、本体100の幅より大きく、長さ方向の一部をカバーする大きさの物を採用したが、加熱コイルの形状および寸法はこれに限るものではなく、例えば本体100の幅および長さより小さい寸法の物を準備し、本体100の角部から順次加熱工程と押圧工程を実施するようにしてもよい。この方法の場合、押圧工程はプレスにより押圧するのが好適である。この加工方法を採用した場合、電磁誘導加熱装置を小容量のもので対応可能となり、設備投資を抑制することができる。
また、本実施の形態においては、加熱工程および押圧工程においては、本体100を移動させながら加工を行ったが、これに限るものではなく、本体100を定位置に固定して、電磁誘導加熱装置および押圧ローラを移動させてもよい。
また、本実施の形態においては、図7に示すように、加熱工程においては、ヒータユニット400はヒータ線420の配設方向と搬送手段720の搬送方向である矢印Aとが直交する方向に配置しているが、ヒータ線420自体の発熱による温度ムラが大きく発生する場合は、ヒータ線420の配設方向を矢印Aと一致する方向に配置して加熱工程を実施することにより、ヒータ線420には相互に逆方向の電流を発生させることでヒータ線420自体の発熱を抑制することができる、温度ムラを抑制することが可能である。
また、本実施の形態においては、均熱シート410の基材としてアルミシートを使用したが、これに限るものではなく、銅やステンレス等の他の金属であってもよい。
また、本実施の形態においては、電磁誘導加熱による接着は表面材200とヒータユニット400と断熱シート500の接着のみに採用したが、これに限るものではなく、断熱シート500と裏面材600との接着にも採用することも可能である。その場合断熱シート500と裏面材600の間に均熱シート410と同様な構成の部材を挟みこむことが必要であり、加熱設備として、下側に別途電磁誘導加熱装置を準備すれば同一の工程内で実施することが可能である。
(実施の形態2)
図13(a)は実施の形態2における加熱工程と押圧工程の断面を示す模式図であり、(b)は加熱工程における加熱コイルの平面を示す模式図である。図14(a)は加熱工程において1個の加熱コイルで加熱した場合のアルミシートと接着シートの温度変化を示すグラフであり、(b)は3個の加熱コイルで加熱した場合のアルミシートと接着シートの温度変化を示すグラフである。
本実施の形態における面状採暖具の構成は実施の形態1と同様であり、実施の形態1と異なる点は、本体の製造工程のうち、加熱工程と押圧工程が異なることである。加熱工程では、3台の電磁誘導加熱装置721を使用して加熱を行い、押圧工程では、押圧手段として回転ローラとベルトで構成されたローラユニットを使用することにより、長い押圧時間を確保できるようにしたことである。
図13(a)に示すように、3台の電磁誘導加熱装置721a、721b、721cを、本体100の移動方向に対して略垂直方向に、かつ略平行に近接して設置されている。3台の電磁誘導加熱装置721a、721b、721cには、本体100より幅の広い略長円形の加熱コイル722a、722b、722cを備えており、それぞれ加熱コイルは電力供給を独立して制御できる構成となっており、本体100の搬送速度とリンクさせて最適な加熱状態を得ることができる。加熱コイル722a、722b、722cは、同一形状および同一性能であることは必ずしも必要ではなく、3個がそれぞれ異なる仕様であってもよい。
押圧工程で使用する押圧手段であるローラユニット735は、図に示すように、3個のローラ737a、737b、737cからなる回転ローラ737と、回転ローラ737の外周に巻設したベルト736で構成されており、本体100を押圧するベルト736の接触面が略長方形の平面が形成される構成となっている。ローラ737a、737b、737cの中央には冷却風路738がそれぞれ設けられており、冷却風路738に冷風を送風する送風装置(図示せず)に接続することにより冷却手段を構成している。
ローラユニット735は上下にそれぞれ設けられており、下側のローラユニット735は定位置に固定して設置されており、上側のローラユニット735は上下に移動させる加圧装置(図示せず)を備えており、下方に移動させることにより本体100押圧することができる構成となっている。
また、少なくとも下側のローラユニット735には駆動装置(図示せず)が備えられており、駆動装置で回転ローラ737を回転させることにより、ベルト736を駆動し、ローラユニット735に載置した本体100を所定の速度で矢印Aで示す方向に移動させることができる。ローラユニット735の移動速度は加熱工程の搬送手段720の移動速度と同期した速度である。
以上のように構成された本実施の形態について、以下その動作、作用を説明する。
本実施の形態における加熱工程においては、実施の形態1と同様に、準備工程で積層された本体100は搬送手段720により矢印Aで示すように水平方向に移動させながら、上方に配置した電磁誘導加熱装置721から磁力線を発生させルことにより、ヒータユニット400のアルミシート411内に渦電流が発生し、渦電流とアルミシート411の抵抗によりアルミシート411自体が発熱昇温する。
そして、アルミシート411から発生した熱によりアルミシート411の両面にコーティングしたポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412と、ヒータユニット400の上に密着して積層した接着シート300が溶融する。
本実施の形態においては、3個の加熱コイル722a、722b、722cを移動方向と略垂直に並列に配置しているため、アルミシート411の同一箇所に対して、3個の加熱コイル722a、722b、722cから順次磁力線が供給されるため、加熱時間を長く確保することが可能となり、個々の加熱コイルに供給する電力を少なくし、3個の加熱コイルを通過する間に時間をかけてアルミシート411を昇温させることができる。
図14(a)は1個の加熱コイルを使用して加熱した場合のアルミシートと接着シートとの温度上昇を示すものであり、(b)は3個の加熱コイルを使用して加熱した場合の温度上昇を示すものである。
図14(a)に示すように1個の加熱コイルで加熱する場合は、加熱に要する時間が短いため、高容量の電力を供給して、短時間に昇温する必要があり、特にアルミシート411は急激に温度が上昇する、接着シート300は遅れながら温度が上昇して溶融温度に到達する。接着シート300が溶融温度に到達した時点では、アルミシート411の温度はアルミシート411の両面にコーティングしたポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412の耐熱温度以上に上昇する。接着樹脂412が耐熱温度以上に上昇することにより、接着樹脂412の劣化が促進されることとなる。
一方、図14(b)に示すように3個の加熱コイルで加熱する場合は、加熱時間を長く確保することができるため、個々の加熱コイルに供給する電力容量を低くすることができる。アルミシート411は3個の加熱コイル722a、722b、722cから順次磁力線が供給され、図に示すように緩いカーブで温度上昇を続ける、接着シート300はアルミ−シート411の温度上昇に遅れながら温度上昇して溶融温度に到達する。接着シート300が溶融温度に到達した時点では、アルミシート411の温度は接着樹脂412の耐熱温度まで上昇しておらず、接着樹脂412の性能を維持することができる。
加熱工程で加熱された本体100は次の押圧工程に搬送される。押圧工程では上下に設けられたローラユニット735の間に狭持されながら、ローラユニット735の回転ローラ737が備えた駆動装置により、矢印Aで示す搬送方向に連続して移動を続ける。
その間、上側のローラユニット735に備えた加圧装置により、本体100は連続的に押圧され、そのあいだローラ737a、737b、737cに設けられた冷却風路には冷風が送風されており、接着シート300は冷却されて溶融温度より低下して固形化することにより、表面材200とヒータユニット400と断熱シート500が接着シート300を介して確実に接着される。
このように、本実施の形態においては、3個の加熱コイルを備えたことにより、アルミシートの温度上昇を抑制することが可能となり、接着樹脂の劣化を抑制することが可能となり、高品質を安定して確保することができる。
また、ローラユニットにより、長い押圧時間を確保することが可能となり、溶融した接着シートが確実に固形化するまで押圧を持続することができるため、接着性能と寸法精度を確保することができる。
なお、本実施の形態においては、電磁誘導加熱装置を3台使用したが、これに限るものではなく、2台または4台以上を使用してもよい。また、電磁誘導加熱装置毎に1個の加熱コイルを備える構成としたが、一台の電磁誘導加熱装置に複数の加熱コイルを備え、個々の加熱コイルが個別に制御できる構成であってもよい。
また、押圧手段であるローラユニット735には冷却手段として冷却風路738を設けたが、冷却手段はこれに限るものではなく水冷式等の他の方式のものでもよい。また、冷却手段は必須ではなく、搬送速度を遅くしてローラユニット735を通過する間に接着シート300が溶融温度より低下する場合は省略してもよい。また、本実施の形態におけるローラユニットは図13(a)に示すように、上下にそれぞれ3個の回転ローラ737とベルト736を組み合わせた構成としたが、これに限るものではなく、例えば図15に示すような別の構成であってもよい。
図15に示すローラユニット770は、2個のローラ737a、737cからなる回転ローラ737と、2個のローラ737a、737cの間に設置された押圧板739と、回転ローラ737の外周に巻設したベルト736で構成されており、本体100はベルト736を介して2個のローラ737a、737cと押圧板739により押圧される構成となっている。このような構成を採用することにより、平坦な面により長時間に亘り安定して押圧を持続させることが可能となり、安定した接着性能を得ることができる。
(実施の形態3)
図16は実施の形態3における、加熱工程に使用する電磁誘導加熱装置の加熱コイルの平面を示す模式図である。
本実施の形態が、実施の形態1および2と異なる点は、加熱工程で使用する電磁誘導加熱装置の加熱コイルの構成が異なる点であり、特に、本体の幅方向に対して複数の加熱コイルが配設されるとともに、アルミシートを2枚のシートを接合して形成していることである。このような構成の本体は、大型の面状採暖具の製造に対応するものであり、特にヒータユニット400が大型になった場合、均熱シート410に使用する幅の広いアルミシート411の調達が難しく、2枚のシートを接合して使用する場合があり、そのような本体の製造に対応する製造方法である。
2枚のシートの端部を重合させた接合部はアルミシート411の厚さが厚くなり、しかもアルミシート411の端部を2箇所含む構成となるため、アルミシート411の端部には磁力線が集中しやすく端部は高温になるが、その反面、端部の近傍は磁力線が弱くなるためアルミシート411の発熱が抑制される現象が発生する。そのため、接合部と他の平面部位を同じ条件で加熱した場合、接合部とその近傍は温度上昇が抑制され接着樹脂412を十分に溶融できない状態になる。本実施の形態は、そのような不都合を解消することができるものである。
図16に示すようにアルミシート411は、幅の狭い2枚のアルミシート411a、411bの一部を1〜2cm程度重合させて接合されており、接合部411cは他の部分の約2倍の厚さになっている。2枚のアルミシート411a、411bの接合は、アルミシート411の両面にコーティングされたポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412を溶融して接着したものである。
加熱コイル722は、全体で9個使用されており、第1列目には長さの長い加熱コイル722d、722fが両側に配置されており、中央に小型の加熱コイル722eが配置されている。第2列目も同様に、両側に長さの長い加熱コイル722g、722iが両側に配置されており、中央に小型の加熱コイル722hが配置されている。また、第3列目も同様に、両側に長さの長い加熱コイル722j、722lが両側に配置されており、中央に小型の加熱コイル722kが配置されている。
小型の加熱コイル722e、722h、722kは接合部411cの幅より大きい寸法となっており、接合部411cと接合部の近傍を個別に加熱できるようになっている。また、これら9個で構成する加熱コイル722は、個々の加熱コイルへの電力供給を独立して制御できるようになっており、本体100の搬送速度とリンクさせて最適な加熱状態を得ることができる。
以上のように構成された本実施の形態においては、本体100を所定の速度で搬送しながら、加熱コイル722に電力を供給し、アルミシート411を加熱する。その場合、アルミシート411が重合している接合部411cへ対応する小型の加熱コイル722e、722h、722kへの電力供給を、両側に配置されている他の加熱コイルへの通電容量より相対的に高くすることにより、接合部411cと接合部の近傍の発熱量を増加させ、アルミシート411全体が接着樹脂412を十分に溶融できる温度に加熱することができる。
(実施の形態4)
図17は、実施の形態4おけるアルミシートと加熱コイルとの関係を示す模式図であり、図18はアルミシートの部位ごとに変化させる加熱コイルの出力を示すグラフである。
本実施の形態におけるヒータユニットは、実施の形態3と同様に均熱シートのアルミシートは2枚のシートを接合して形成されているものであるが、実施の形態3と異なるのは、接合部を搬送方向に対して略直角方向、すなわち加熱コイル722と略平行となるように配設した点である。
図17に示すように、アルミシート411は2枚のアルミシート411a、411bの端部を1〜2cm程度重合させた接合部411cで接合されている。2枚のアルミシート411a、411bの接合は、アルミシート411の両面にコーティングされたポリエチレン樹脂からなる接着樹脂412を溶融して接着したものである。
ヒータ線420は接合部411cと略平行になるように蛇行させてアルミシート411の全面に配設されている。特に、接合部411cを形成するアルミシート411a、411bの端部とヒータ線420が重合しないように配設されている。このようにヒータ線420を配設することにより、アルミシート411a、411bの端部に磁力線が集中して高温になってもヒータ線420の絶縁層425等が熱により損傷されることを防止することができる。
このような構成のアルミシート411を使用した場合、実施の形態3においても記述した通り、アルミシート411の端部には磁力線が集中しやすく端部は高温になる。ここで、アルミシート411の端部を加工した時点、またはヒータ線420を配設した後の積層体を移動させる時点等に、アルミシート411の端部に亀裂が発生することがある。
このような亀裂が発生すると、加熱工程で行われる誘導加熱で亀裂の先端部分に磁力が集中する。その結果、亀裂の先端部から帯状に延伸するように、温度が過剰に上昇した部位(過剰高温部)が発生する。この過剰高温部は、状況によってはヒータ線420の近傍、あるいは配設箇所まで達する可能性がある。この場合、過剰高温部によってヒータ線420が過剰に加熱されて破損するおそれがある。
一方、アルミシート411の端部の近傍領域では、実施の形態1において記述したように、加熱工程において磁力線が弱くなるため、当該アルミシート411の発熱が抑制される現象が発生する。具体的には、アルミシート411の端部である始端部411dと終端部411eは、磁力線が集中しやすいため端部自体は高温になる。その反面、始端部411dおよび終端部411eのそれぞれの近傍は磁力線が弱くなるためアルミシート411の発熱が抑制される。したがって、接合部411cだけでなく端部の近傍領域も、他の平面部位と同じ条件で加熱すればアルミシート411の発熱(温度上昇)が抑制され、接着樹脂412を十分に溶融できないおそれがある。
このように、積層体の端部を誘導加熱するに際しては、接着性を向上するためには、接合部411cと同様に高出力で加熱すればよいが、亀裂の発生に伴う過剰高温部の影響に注目すれば、高出力の加熱は回避した方がよいことになる。
ここで、実施の形態1で説明した超音波溶着工程により積層体の周辺部に超音波を加えることにより、本体100の全周を十分に溶着することができる。そのため、加熱工程で端部の近傍領域の接着樹脂412が十分溶融できなくても、超音波溶着工程により面状採暖具の周囲を十分に固定することが可能となる。つまり、加熱工程において端部の近傍領域に接着の比較的弱い部分が生じても、当該部分を超音波溶着工程により補完することが可能となる。
そこで、本実施の形態では、電磁誘導加熱装置721の制御部による加熱コイル722の制御においては、端部の接着性の向上よりも、亀裂の発生に由来するヒータ線420の破損の可能性を無くすことに重点を置いている。すなわち、制御部は、接合部411cが他の平面部位の温度よりも高くなるように加熱コイル722の出力を高める一方、始端部411dおよび終端部411eでは、他の平面部位の温度よりも低くなるように加熱コイル722の出力を小さくするよう制御を行う。
この制御について、図18を参照して具体的に説明する。図18はアルミシート411の各部位における加熱コイル722の出力の変化を示すグラフである。
アルミシート411の加熱は矢印Dに示す方向に順次行われる、制御部は、加熱コイル722の駆動を、最初に始端部411dの近傍から標準出力より低い出力で開始する。ここでは、アルミシート411の状況に応じて出力を低下させる度合い(程度)を決定すればよいが、10%を超えて出力を低くすると接着力の低下が大きく不具合が発生するおそれがある。そこで、製造過程の状況により生じる端部の亀裂の発生状態に応じて、適宜0〜10%の範囲内で出力を低く設定すればよい。
次に、始端部411dの近傍を通過してから標準出力に変更し、接合部411cの近傍から接合部411cを通過するまでは、1〜5%高い高出力に変更する。ここでは、磁力が集中する端部の近傍での磁力の弱い部分を補充するためだけに出力を高くするので、10%よりも高い出力にしてしまうと、接合部411cの端部(アルミシート411aの端部、アルミシート411bの端部)が、それぞれ高温になってしまう。この場合、ヒータ線420を貼り付けている状態でアルミシート411の温度が過剰に上昇してしまい、ヒータ線420の性能を損なうような過剰な昇温状態が生じて不具合が発生するおそれもあり得る。接合部411cを通過後は再び標準出力に変更し、終端部411eの近傍から低出力に変更し、終端部411e通過後に加熱コイル722の駆動を停止するように制御を行う。
加熱コイル722の出力の変化は、搬送手段720の位置検知手段の情報に基づいて加熱コイル722の前縁を基準として、始端部411d、接合部411cおよび終端部411eの位置に合わせたタイミングで行われる。なお、図18に示す出力のグラフは、1個の加熱コイル(例えば加熱コイル722a)の出力を示すものであり、他の加熱コイル722b、722cも近似の制御を実施している。
本実施の形態の製造方法を採用することにより、接合部411cを有するアルミシート411を使用した大型の本体100の製造を簡単な構成の加熱コイル722を備えた電磁誘導加熱装置721で製造できるとともに、接合部411cを有しないアルミシート411を使用した小型の本体100の製造も同じ製造設備を使用して電磁誘導加熱装置721の制御方法を変更することにより対応が可能となるため、製造設備の対応範囲の拡大と設備費用の抑制が可能となる。
なお、本実施の形態においては、アルミシートの接合部は1箇所のみの構成としたが、接合部の数は1箇所に限るものではなく、2箇所以上の構成であってもよく、特に本実施の形態の製造方法を採用した場合、接合部の数が増加した場合も同一の製造設備で製造が可能であり、小型の面状採暖具から大型の面状採暖具まで同一の製造設備で製造することができる。
また、本実施の形態においては、並列に配設した3個の加熱コイルを使用したが、加熱コイルの数はこれに限るものではなく、必要に応じて変更させればよい。