以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態の車両10を示す左側面図である。図2は、車両10を示す右側面図である。図3は、フレーム12と一対の前輪14a,14bおよび一対の後輪16a,16bとの位置関係を示す平面図である。
この発明の実施の形態における左右、前後、上下とは、車両10のシート58に搭乗者がそのハンドル45に向かって着座した状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。
図1から図3に示すように、車両10は、前後方向に延びるフレーム12、フレーム12の前端に左右方向に並んで配置される一対の前輪14a,14b、およびフレーム12の後端に左右方向に並んで配置される一対の後輪16a,16bを含む。この実施形態では、前輪14a,14bが第1駆動輪として機能し、後輪16bが第2駆動輪として機能する。
フレーム12は、ヘッドパイプ18、ヘッドパイプ18の下端部から後方へ延びるメインパイプ20、およびメインパイプ20の後端部に連結されるシートパイプ22を含む。図3に示すように、フレーム12は、後輪16a,16bを回転可能に保持するための一対の保持パイプ24a,24b、ならびに保持パイプ24a,24bをメインパイプ20に連結するための連結パイプ26a,26bおよび二股パイプ28をさらに含む。
図4は、フレーム12の後端におけるパイプの配置態様を示す背面図である。図4をも参照して、保持パイプ24a,24bは、メインパイプ20の後方に左右方向に並んで配置され、それぞれ左右方向に直線状に延びる。連結パイプ26aは、メインパイプ20と保持パイプ24aとを連結する。連結パイプ26bは、メインパイプ20と保持パイプ24bとを連結する。また、連結パイプ26a,26bは、補強パイプ30によって互いに連結される。図3に示すように、二股パイプ28は平面視略Y字状を呈し、メインパイプ20と保持パイプ24a,24bとを連結する。
図2に示すように、このようなフレーム12のヘッドパイプ18には、車体方向変更用のステアリング軸32(破線で示す)が回転自在に挿通される。ステアリング軸32の下端部には、一対の前輪14a,14bを揺動可能に保持する前輪保持ユニット34が連結される。
図5は、前輪保持ユニット34を示す正面図である。図2、図3および図5を参照して、前輪保持ユニット34は、ステアリング軸32に連結される連結部材36、連結部材36に取り付けられる筐体38、および筐体38に取り付けられる一対の電動モータ40a,40b(図3および図5参照)を含む。
図2に示すように、連結部材36は、ステアリング軸32に直交する上板36a,上板36aの前端から屈曲して延びる前板36b、および上板36aの後端から屈曲して延びる後板36cを含み、側面視略C字状を呈する。
筐体38は、略直方体状に形成され、連結部材36の前板36bと後板36cとの間に配置される。連結部材36および筐体38には揺動軸42が嵌通される。揺動軸42は、連結部材36に固定され、筐体38を矢印A方向(揺動軸42の周方向)に揺動可能に支持する。電動モータ40aは、筐体38の左側面から突出するように筐体38に取り付けられ、電動モータ40bは、筐体38の右側面から突出するように筐体38に取り付けられる。
図5に示すように、前輪14a,14bは、前輪保持ユニット34を挟むように左右方向に並んで配置される。前輪14a,14bには、前輪14a,14b間に配置される電動モータ40a,40bの回転軸41a,41bが図示しない減速器を介して連結される。このように前輪保持ユニット34に保持される前輪14a,14bは、筐体38の矢印A方向への揺動に伴って、揺動軸42を中心に上下方向に揺動する。また、回転軸41a,41bには、その回転数を検出するためのエンコーダ43a,43bが設けられる。エンコーダ43a,43bは、図示しない電気ケーブルを介して後述する制御部104に電気的に接続される。エンコーダ43a,43bは、回転軸41a,41bの回転に応じた電気信号を後述する制御部104に与える。
図1および図2に戻って、ステアリング軸32の上端部には図示しない引き上げボルト等を用いてステム44が取り付けられる。ステム44の上端部には、前方斜め上方に延びるハンドル取付部44aが設けられる。図1〜図3を参照して、ハンドル取付部44aの上端部にハンドル45が取り付けられる。ハンドル45を左右に切ることによって、前輪保持ユニット34ひいては前輪14a,14bが左右に向きを変える。これによって車体方向を変更できる。
図3を参照して、ハンドル45の左側把持部近傍には、ブレーキレバー46aがレバー支持部材46bを介して取り付けられる。ブレーキレバー46aは、揺動可能にレバー支持部材46bに支持される。ブレーキレバー46aには、ブレーキケーブル46cの一端が接続される。ブレーキケーブル46cの他端は、後述するブレーキケーブル50d,51dに連結される。レバー支持部材46bには、車両10を停止させる指示(電気信号)を後述する制御部104に与えるための第2指示部となるブレーキスイッチ46dが設けられる。ブレーキスイッチ46dと制御部104とは、図示しない電気ケーブルを介して電気的に接続される。ブレーキスイッチ46dは、ブレーキレバー46aに連動して制御部104に電気信号を与える。すなわち、搭乗者がブレーキレバー46aを操作した場合に、ブレーキスイッチ46dから制御部104に電気信号が与えられる。なお、ブレーキスイッチ46dとしては、たとえば、自動二輪車等において一般に用いられるブレーキランプスイッチと同様の構成のスイッチを用いることができる。
ハンドル45の中央部には、入力部47が取り付けられる。入力部47は、図示しない電気ケーブルによって後述する制御部104(図1参照)に電気的に接続される。図6を参照して、入力部47は、電源スイッチ47a、後進スイッチ47b、高速スイッチ47cおよび低速スイッチ47dを含む。この実施形態では、後進スイッチ47bが、車両10の動作モードを前進モードか後進モードかに設定するための第1指示部となる。電源スイッチ47aによって車両10の電源がオン/オフされる。後進スイッチ47bが押されることによって車両10の動作モードが後進モードに設定される。後進スイッチ47bが押されていない場合には、車両10の動作モードは前進モードに設定される。高速スイッチ47cによって車両10の最高速が高めに設定される。低速スイッチ47dによって車両10の最高速が低めに設定される。この実施形態において、「前進モード」とは、電動モータ40a,40bによって車両10を前進させるためのモードをいう。「後進モード」とは、電動モータ40a,40bによって車両10を後進させるためのモードをいう。この実施形態では、「前進モード」において、電動モータ40a,40bの駆動力によって車両10が後進することはなく、「後進モード」において、電動モータ40a,40bの駆動力によって車両10が前進することはない。
図3を参照して、ハンドル45の右側把持部近傍には、前進指示装置48が設けられる。前進指示装置48は、図示しない電気ケーブルによって後述する制御部104(図1参照)に電気的に接続される。前進指示装置48は、搭乗者によって操作されるアクセルレバー48aを有する。前進指示装置48は、アクセルレバー48aの操作量に応じた電気信号を制御部104に与える。そして、制御部104は、前進指示装置48から与えられる電気信号に応じて電動モータ40a,40bを制御する。これにより、搭乗者によるアクセルレバー48aの操作量に応じた速度で車両10が走行する。したがって、搭乗者は、アクセルレバー48aの操作量を調整することによって、所望の速度で車両10を走行させることができる。
なお、図面が煩雑になることを避けるために、図1および図2には、ブレーキレバー46a、レバー支持部材46b、ブレーキケーブル46c、ブレーキスイッチ46d、入力部47および前進指示装置48を図示していない。
図3および図4に示すように、保持パイプ24aには、後輪16aに連結される車軸49aが回転可能に挿通され、保持パイプ24bには、後輪16bに連結される車軸49bが回転可能に挿通される。すなわち、後輪16a,16bが保持パイプ24a,24bに回転可能に保持される。
保持パイプ24aの左端には、ブレーキユニット50が設けられる。ブレーキユニット50は、第2ブレーキとしてのドラムブレーキ50a、第1ブレーキとしての電磁ブレーキ50b、および連結部50cを含む。車軸49aは、連結部50cに挿通される。連結部50cは、たとえば複数のギアを含み、ドラムブレーキ50aおよび電磁ブレーキ50bと車軸49aとを連結する。ドラムブレーキ50aおよび電磁ブレーキ50bにおいて発生される制動力は、連結部50cを介して車軸49aに伝達される。
保持パイプ24bの右端には、ブレーキユニット51が設けられる。ブレーキユニット51は、第2ブレーキとしてのドラムブレーキ51a、第1ブレーキとしての電磁ブレーキ51b、および連結部51cを含む。車軸49bは、連結部51cに挿通される。連結部51cは、たとえば複数のギアを含み、ドラムブレーキ51aおよび電磁ブレーキ51bと車軸49bとを連結する。ドラムブレーキ51aおよび電磁ブレーキ51bにおいて発生される制動力は、連結部51cを介して車軸49bに伝達される。
図3を参照して、ドラムブレーキ50aにはブレーキケーブル50dの一端が連結され、ドラムブレーキ51aにはブレーキケーブル51dの一端が連結される。上述のように、ブレーキケーブル50dの他端およびブレーキケーブル51dの他端は、ブレーキケーブル46cに連結される。これにより、ブレーキレバー46aとドラムブレーキ50a,51aとが機械的に連結される。車両10では、搭乗者がブレーキレバー46aを操作することによって、ドラムブレーキ50a,51aが作動し、車軸49a,49bの回転ひいては後輪16a,16bの回転が規制される。
電磁ブレーキ50b,51bは、図示しない電気ケーブルを介して後述する制御部104(図1参照)に電気的に接続される。電磁ブレーキ50b,51bは制御部104によって駆動される。これにより、電磁ブレーキ50b,51bにおいて発生される制動力が調整される。なお、車両10では、電磁ブレーキ50b,51bに電力が供給されていない場合(電磁ブレーキ50b,51bが駆動されていない場合)には、電磁ブレーキ50b,51bにおいて制動力が発生され、車軸49a,49bの回転ひいては後輪16a,16bの回転が規制される。
図3および図4を参照して、車軸49bの左端には,スプロケットユニット52が設けられる。スプロケットユニット52は、車軸49bが嵌通される一方向クラッチ52a、および一方向クラッチ52aの外周面に設けられる略中空円板状のスプロケット52bを含む。
一方向クラッチ52aは、スプロケット52bを矢印B1方向(右側からみて時計回り方向:図2参照)に回転させるとその回転力を車軸49bに伝達し、スプロケット52bを矢印B2方向(右側からみて反時計回り方向:図2参照)に回転させるとその回転力を車軸49bに伝達しないように構成される。また、一方向クラッチ52aは、車軸49bひいては後輪16bを矢印B2方向に回転させるとその回転力をスプロケット52bに伝達し、後輪16bを矢印B1方向に回転させるとその回転力をスプロケット52bに伝達しないように構成される。このような一方向クラッチ52aは一般に広く用いられているので、一方向クラッチ52aについての詳しい説明は省略する。一方向クラッチ52aとしては、たとえば、ラチェット機構を有する一方向クラッチを用いることができる。
図1および図2に示すように、シートパイプ22には、シートユニット54が取り付けられる。シートユニット54は、シートパイプ22に挿入されるシートポスト56、シートポスト56の上端部に設けられるシート58、シート58の後端部の上方に設けられる背もたれ60、および背もたれ60を挟むように左右方向に並んで設けられる一対の手すり62a,62bを含む。
図1から図3に示すように、メインパイプ20上には回転機構64が設けられる。回転機構64は、メインパイプ20上に設けられる側面視略三角形状の軸受部材66、軸受部材66を左右方向に嵌通する回転軸68、回転軸68の左側端部と右側端部とに設けられる一対のクランク70a,70b、およびクランク70a,70bの一方と他方とに設けられる一対のペダル72a,72bを含む。
回転軸68は、軸受部材66によって矢印B1およびB2方向(図2参照)に回転可能に支持される。クランク70aは、回転軸68に略直交するように回転軸68の左端部に設けられる。クランク70bは、回転軸68に略直交しかつクランク70aとは正反対の方向に延びるように回転軸68の右端部に設けられる。ペダル72aは、クランク70aの先端部に回転可能に設けられる。ペダル72bは、クランク70bの先端部に回転可能に設けられる。
また、図3に示すように、回転軸68には、軸受部材66とクランク70bとの間にスプロケットユニット74が設けられる。図2および図3に示すように、スプロケットユニット74は、回転軸68が嵌通される一方向クラッチ74a(図3参照)、および一方向クラッチ74aの右側面に設けられるスプロケット74bを含む。スプロケット74bは、スプロケット74bを挿通する回転軸68に直接的に連結されることはなく、一方向クラッチ74aの右側面に設けられる。
一方向クラッチ74aは、スプロケット74bを矢印B2方向(図2参照)に回転させるとその回転力を回転軸68に伝達し、スプロケット74bを矢印B1方向(図2参照)に回転させるとその回転力を回転軸68に伝達しないように構成される。また、一方向クラッチ74aは、回転軸68を矢印B1方向に回転させるとその回転力をスプロケット74bに伝達し、回転軸68を矢印B2方向に回転させるとその回転力をスプロケット74bに伝達しないように構成される。すなわち、一方向クラッチ74aは、一方向クラッチ52aとは逆の機能を有するように構成される。このような一方向クラッチ74aも一般に広く用いられているので、一方向クラッチ74aについての詳しい説明は省略する。一方向クラッチ74aとしては、たとえば、ラチェット機構を有する一方向クラッチを用いることができる。
スプロケット74bは、無端状のチェーン76を介してスプロケット74bの斜め下方に設けられるスプロケット78に連結される。
図3に示すように、スプロケット78は、メインパイプ20から右方向に延びる回転軸80に取り付けられる。また、回転軸80において、メインパイプ20とスプロケット78との間にはスプロケット78よりも大きい(歯数の多い)スプロケット82が取り付けられる。
図2に示すように、スプロケット82は、無端状のチェーン84を介してスプロケットユニット52のスプロケット52bに連結される。チェーン84の張力は、補強パイプ30(図3参照)に設けられるチェーンテンショナー86によって調節される。
上述の車軸49b、スプロケットユニット52,74、スプロケット78,82、回転軸80、およびチェーン76,84を含んで伝達機構Tが構成される。
このような回転機構64および伝達機構Tを介して、搭乗者によって後輪16bが駆動される。詳しくは、搭乗者がペダル72a,72bを介してクランク70a,70bを矢印B1方向(図2参照)に回転させることによって、回転軸68およびスプロケット74bが矢印B1方向に回転する。スプロケット74bが矢印B1方向に回転する力は、チェーン76を介してスプロケット78に伝達され、スプロケット78,82および回転軸80を矢印B1方向に回転させる。スプロケット82が矢印B1方向に回転する力は、チェーン84を介してスプロケット52bに伝達され、スプロケットユニット52を矢印B1方向に回転させる。これによって、車軸49bおよび後輪16bが矢印B1方向に回転し、車両10が前進する。
なお、ペダル72a,72bを介してクランク70a,70bを矢印B2方向(図2参照)に回転させることによって回転軸68を矢印B2方向に回転させても、スプロケット74bが回転することはなく、チェーン76,84が動くことはない。これは、スプロケットユニット74に一方向クラッチ74aが用いられているためである。このように回転軸68が矢印B2方向に回転された場合はチェーン76,84を動かさないことによって、チェーン76,84の外れ等のトラブルを回避できる。
また、下り坂での走行等であって回転軸68を矢印B1方向(図2参照)に回転させずとも後輪16bおよび車軸49bが矢印B1方向に回転するような場合、スプロケット52bが回転することはなく、チェーン76,84が動くことはない。これは、スプロケットユニット52に一方向クラッチ52aが用いられているためである。これによってもチェーン76,84の外れ等のトラブルを回避できる。
図1に示すように、回転軸68の左側にはカバー85が設けられる。カバー85には、クランク70aの回転を検出する回転検出センサ85a,85bが設けられる。回転検出センサ85a,85bとしては、たとえば、クランク70aの回転に応じてパルス信号を発生するパルス式のセンサを用いることができる。回転検出センサ85a,85bは、図示しない電気ケーブルを介して後述する制御部104に電気的に接続される。回転検出センサ85a,85bは、発生したパルス信号を制御部104に与える。
また、図3を参照して、回転軸68の周りには回転軸68に与えられるトルクを検出するトルク検出部であるトルクセンサ85cが設けられる。トルクセンサ85cは、図示しない電気ケーブルを介して後述する制御部104に電気的に接続される。トルクセンサ85cは、検出したトルクに応じた電気信号を制御部104に与える。
図1から図3に示すように、ヘッドパイプ18は、サブフレーム86aおよび86bを介して、軸受部材66に設けられる突起部66aに連結される。
メインフレーム20において回転機構64の前方かつ一対のサブフレーム86a,86b間の下方には、上面開口の二次電池ケース88が設けられる。図1および図2に示すように、二次電池ケース88には、サブフレーム86a,86b間から上方に延びるように二次電池90が配置される。二次電池90は、たとえばニッケル(Ni)−カドミウム(Cd)電池等であり、二次電池90に蓄えられる電力は電動モータ40a,40bの駆動等に用いられる。
前輪保持ユニット34の上方には、前かご92が設けられる。前かご92は、取付部材94および取付部材96に取り付けられる。
図2および図4に示すように、保持パイプ24a,24bの上方には、後かご98が設けられる。後かご98は、シートパイプ22と補強パイプ30(図4参照)とに固定される側面視略C字状の取付板100(図2参照)に取り付けられる。また、後かご98は、保持パイプ24a,24b上に設けられるステー102a,102b(図4参照)によっても支持される。
図2に示すように、後かご98の前面には取付板100を介して、電動モータ40a,40bや電磁ブレーキ50b,51bを制御するための制御部104が取り付けられる。また、後かご98の下面には切替スイッチ105が取り付けられる。切替スイッチ105は、図示しないケーブルを介して電磁ブレーキ50b,51bに連結される。車両10では、切替スイッチ105を操作することによって、電磁ブレーキ50b,51bによる後輪16a,16bの制動を解除できる。
日本では、道路交通法および内閣府令により歩道での走行を許可される車両の大きさが規定される。このような車両10の大きさは、日本で歩道での走行を許可される大きさ(全長1200mm以下、全高1090mm以下、全幅700mm以下)に設定される。具体的にこの実施形態では、車両10の全長が1185mmに設定され、車両10の全高が900mmに設定され、車両10の全幅が650mmに設定される。
ついで、図6を参照して、車両10の主な電気的構成について説明する。
車両10の制御部104は制御回路106を含む。制御回路106は、CPUおよびメモリを有する。CPUは必要な演算を行い車両10の動作を制御する。記憶手段であるメモリは、車両10の動作を制御するためのプログラムやデータおよび演算データ等を格納する。メモリには図7〜図9の処理を実行するためのプログラム等が格納されている。
制御回路106には、電磁ブレーキ50b,51b、電源回路108、モータドライブ回路110、入力部インタフェース回路112、センサインタフェース回路114および保護回路116が接続される。制御部104には二次電池90が接続される。モータドライブ回路110には電動モータ40a,40bが接続される。入力部インタフェース回路112には、ブレーキスイッチ46d、入力部47および前進指示装置48が接続される。ブレーキスイッチ46d、入力部47および前進指示装置48から制御部104に与えられる信号は、入力部インタフェース回路112を介して制御回路106に与えられる。センサインタフェース回路114には、エンコーダ43a,43b、回転検出センサ85a,85bおよびトルクセンサ85cが接続される。エンコーダ43a,43b、回転検出センサ85a,85bおよびトルクセンサ85cから制御部104に与えられる信号は、センサインタフェース回路114を介して制御回路106に与えられる。
このような車両10の動作例について、図7から図9を参照して説明する。
図7を参照して、電源スイッチ47aが押されると、制御回路106は、車両10の動作モードが前進モードか後進モードかを判別する(ステップS1)。なお、ステップS1においては、制御回路106は、後進スイッチ47bが押されていない場合には動作モードが前進モードであると判別し、後進スイッチ47bが押されている場合には動作モードが後進モードであると判別する。動作モードが前進モードであれば、制御回路106は図8に示す処理によって前進モード時の速度制御を行う(ステップS3)。一方、動作モードが後進モードであれば、制御回路106は図9に示す処理によって後進モード時の速度制御を行う(ステップS5)。
次に、図8を参照して、前進モード時の速度制御の一例について説明する。
まず、制御回路106は、ブレーキスイッチ46dから与えられる信号に基づいて、ブレーキレバー46aが操作されているか否かを判別する(ステップS11)。ブレーキレバー46aが操作されていない場合、制御回路106は、前進指示装置48から与えられる信号に基づいて、アクセルレバー48aが操作されているか否かを判別する(ステップS13)。アクセルレバー48aが操作されている場合、制御回路106は、電磁ブレーキ50b,51bを駆動して、電磁ブレーキ50b,51bによる後輪16a,16bの制動を解除する(ステップS15)。
次に、制御回路106は、指令速度をアクセルレバー48aの操作量に基づいて設定する(ステップS17)。ステップS17においては、指令速度は、アクセルレバー48aが全開されているときに最高値(たとえば、時速6km未満)となる。なお、この実施形態では、指令速度の最高値は、搭乗者が高速スイッチ47cまたは低速スイッチ47dを押すことによって調整することができる。具体的には、搭乗者によって高速スイッチ47cが押されている場合には、指令速度の最高値が高めに設定され、低速スイッチ47dが押されている場合には、指令速度の最高値が低めに設定される。
そして、制御回路106は、車両10の走行速度が設定された指令速度になるように、モータドライブ回路110に制御信号を出力し電動モータ40a,40bを制御することによって、車両10の走行速度を制御し(ステップS19)、終了する。この実施形態では、制御回路106は、エンコーダ43a,43bから与えられる信号に基づいて車両10の走行速度を監視しつつ、電動モータ40a,40bを制御する。
ステップS13において、アクセルレバー48aが操作されていない場合、制御回路106は、トルクセンサ85cから与えられる信号に基づいて、クランク70a,70bから回転軸68に前転方向のトルクが与えられているか否かを判別する(ステップS21)。クランク70a,70bから回転軸68に前転方向のトルクが与えられている場合、制御回路106は、電磁ブレーキ50b,51bを駆動して、電磁ブレーキ50b,51bによる後輪16a,16bの制動を解除する(ステップS23)。
次に、制御回路106は、入力トルク(クランク70a,70bから回転軸68に与えられる前転方向のトルク)およびペダリング速度(クランク70a,70bの回転速度)に基づいて指令速度を設定する(ステップS25)。この実施形態では、ペダリング速度は、回転検出センサ85a,85bから制御回路106へ与えられるパルス信号に基づいて制御回路106によって算出される。なお、ステップS25において制御回路106は、所定の制限速度(たとえば、時速6km未満)を超えないように指令速度を設定する。したがって、搭乗者のペダリング速度が十分に速い場合でも、車両10の走行速度が制限速度を超えることが防止される。この実施形態では、制限速度は、搭乗者が高速スイッチ47cまたは低速スイッチ47dを押すことによって調整することができる。具体的には、搭乗者によって高速スイッチ47cが押されている場合には、制限速度の最高値が高めに設定され、低速スイッチ47dが押されている場合には、制限速度の最高値が低めに設定される。
そして、制御回路106は、車両10の走行速度が設定された指令速度になるように、モータドライブ回路110に制御信号を出力し電動モータ40a,40bを制御することによって、車両10の走行速度を制御し(ステップS19)、終了する。
ステップS11においてブレーキレバー46aが操作されている場合、またはステップS21においてクランク70a,70bから回転軸68に前転方向のトルクが与えられていない場合、制御回路106は、指令速度を0に設定する(ステップS27)。次いで、制御回路106は、車両10の走行速度が設定された指令速度になるように(すなわち車両10が停止するように)、モータドライブ回路110に制御信号を出力し電動モータ40a,40bを制御する(ステップS29)。この実施形態では、ステップS29において制御回路106は、電動モータ40a,40bにおいて回生ブレーキを発生させることによって車両10を減速させる。
次いで、制御回路106は、エンコーダ43a,43bから与えられる信号に基づいて、車両10の前進速度が前進速度のしきい値(たとえば、時速0.24km)以下になったか否かを判別する(ステップS31)。車両10の前進速度が前進速度のしきい値以下の場合、制御回路106は、電磁ブレーキ50b,51bによって後輪16a,16bを制動し、車両10を停止させる(ステップS33)。この実施形態では、制御回路106は、電磁ブレーキ50b,51bへの電力供給を停止することによって、電磁ブレーキ50b,51bによる後輪16a,16bの制動を実行する。
ステップS31において車両10の前進速度が前進速度のしきい値よりも大きい場合、制御回路106は、電磁ブレーキ50b,51bによる後輪16a,16bの制動を実行することなく、終了する。
この動作例では、搭乗者は、アクセルレバー48aを操作すること、またはクランク70a,70bを前転させることによって容易に車両を前進させることができる。また、搭乗者は、アクセルレバー48aの操作量、またはペダリング速度を調整することによって、所望の速度で車両10を前進させることができる。
また、搭乗者は、ブレーキレバー46aを操作すること、またはペダリングを停止することによって、車両10を停止させるための処理(ステップS27〜ステップS33)を制御回路106に実行させることができる。それにより、搭乗者の意思に応じて車両10を容易に停止させることができる。
次に、図9を参照して、後進モード時の速度制御の一例について説明する。
まず、制御回路106は、ブレーキスイッチ46dから与えられる信号に基づいて、ブレーキレバー46aが操作されているか否かを判別する(ステップS41)。ブレーキレバー46aが操作されていない場合、制御回路106は、トルクセンサ85cから与えられる信号に基づいて、クランク70a,70bから回転軸68に前転方向のトルクが与えられているか否かを判別する(ステップS43)。クランク70a,70bから回転軸68に前転方向のトルクが与えられていない場合、制御回路106は、搭乗者が後進方向にペダリングしているか、すなわちクランク70aが後転しているか否かを判断する(ステップS45)。この実施形態では、制御回路106は、回転検出センサ85a,85bから与えられるパルス信号に基づいてクランク70aの回転方向を検出する。また、この実施形態では、制御回路106は、クランク70aが後転速度のしきい値(たとえば、4rpm)以上の速度で後転している場合に、搭乗者が後進方向にペダリングしていると判断する。この実施形態では、クランクの回転方向を検出する回転検出部は、回転検出センサ85a,85bと制御回路106とを含む。
搭乗者が後進方向にペダリングしている場合、制御回路106は、電磁ブレーキ50b,51bを駆動して、電磁ブレーキ50b,51bによる後輪16a,16bの制動を解除する(ステップS47)。次いで、制御回路106は、指令速度に所定の後進速度(たとえば、時速2km)を設定する(ステップS49)。そして、制御回路106は、車両10の走行速度が設定された指令速度になるように、モータドライブ回路110に制御信号を出力し電動モータ40a,40bを制御することによって、車両10の走行速度を制御し(ステップS51)、終了する。
ステップS41においてブレーキレバー46aが操作されている場合、ステップS43においてクランク70a,70bから回転軸68に前転方向のトルクが与えられている場合、またはステップS45において搭乗者が後進方向にペダリングしていない場合、制御回路106は、指令速度を0に設定する(ステップS53)。次いで、制御回路106は、車両10の走行速度が設定された指令速度になるように(すなわち車両10が停止するように)、モータドライブ回路110に制御信号を出力し電動モータ40a,40bを制御する(ステップS55)。この実施形態では、ステップS55において制御回路106は、電動モータ40a,40bにおいて回生ブレーキを発生させることによって車両10を減速させる。
次いで、制御回路106は、エンコーダ43a,43bから与えられる信号に基づいて、車両10の後進速度が後進速度のしきい値(たとえば、時速0.24km)以下になったか否かを判別する(ステップS57)。車両10の後進速度が後進速度のしきい値以下の場合、制御回路106は、電磁ブレーキ50b,51bによって後輪16a,16bを制動し、車両10を停止させる(ステップS59)。この実施形態では、制御回路106は、電磁ブレーキ50b,51bへの電力供給を停止することによって、電磁ブレーキ50b,51bによる後輪16a,16bの制動を実行する。
ステップS57において車両10の後進速度が後進速度のしきい値よりも大きい場合、制御回路106は、電磁ブレーキ50b,51bによる後輪16a,16bの制動を実行することなく、終了する。
この動作例では、搭乗者は、クランク70a,70bを後転させることによって容易に車両を後進させることができる。また、搭乗者は、ブレーキレバー46aを操作すること、クランク70a,70bを前転させて回転軸68に前転方向のトルクを与えること、またはクランク70a,70bの回転を停止することによって、車両10を停止させるための処理(ステップS53〜ステップS59)を制御回路106に実行させることができる。それにより、搭乗者の意思に応じて車両10を容易に停止させることができる。
なお、この実施形態では、前進モード時(後進スイッチ47bが押されていないとき)において搭乗者がアクセルレバー48aを操作している場合には、搭乗者が後進スイッチ47bを押しても、車両10の動作モードは後進モードに設定されない。したがって、前進モード時において搭乗者がアクセルレバー48aを操作している場合には、制御回路106は、車両10を後進させない。また、後進モード時(後進スイッチ47bが押されているとき)においては、搭乗者がアクセルレバー48aを操作しても、あるいはクランク70a,70bから回転軸68に前転方向のトルクが与えられても、制御回路106は車両10を前進させない。
以下、車両10の作用効果を説明する。
車両10では、制御部104(制御回路106)は、クランク70aの後転が検出された場合に、車両10が後進するように電動モータ40a,40bを制御する。したがって、搭乗者は、クランク70a,70bを後転させることによって、車両10を容易に後進させることができる。
また、制御部104が車両10を後進させている場合において、クランク70a,70bから回転軸68に与えられる前転方向のトルクがトルクセンサ85cによって検出されたときに、制御部104は、ステップS53〜ステップS59の処理を実行し、車両10が停止するように車両10の動作を制御する。すなわち、車両10では、制御部104は、回転軸68の回転の変化ではなく、回転軸68に与えられるトルクの変化に基づいて、車両10を停止させようとする搭乗者の意思を検知し、車両10を停止させるための処理を実行する。ここで、回転軸68に与えられるトルクの変化は、回転軸68に与えられるトルクをトルクセンサ85cによって直接的に測定することによって検出することができるので、回転軸68の回転の変化に比べて短時間で検出することができる。それにより、制御部104は、搭乗者が車両10を停止させようとして回転軸68を前転または停止させた場合に、車両10を停止させるための処理を迅速に実行することができる。この場合、搭乗者が回転軸68を前転または停止させてから車両が停止するまでに要する時間を短くすることができるので、搭乗者が不快感を感じることを防止できる。また、トルクセンサ85cは、回転軸68に与えられるトルクの変化を検出することができればいいので、回転軸68に与えられるトルクの値を正確に測定する必要はない。そのため、安価なセンサをトルクセンサ85cとして用いることができる。これらの結果、車両10の後進時に搭乗者の意思に従って円滑に車両10を停止させることができかつ車両10の製品コストが上昇することを抑制することができる。
また、車両10では、制御部104は、ブレーキスイッチ46dから信号が与えられた場合も、車両10を停止させるための処理を実行する。したがって、搭乗者は、ブレーキレバー46aを操作することによっても車両10を容易に停止させることができる。
また、車両10では、搭乗者によってブレーキレバー46aが操作された場合には、車両10が停止するように制御部によって車両の動作が制御されるとともに、ドラムブレーキ50a,51aによって機械的に車両10が制動される。これにより、搭乗者の意思に応じてより円滑に車両10を停止させることができる。
また、車両10では、制御部104は、電動モータ40a,40bを制御することによって車両10を減速させる。この場合、より円滑に車両10を減速させることができる。
また、車両10では、車速が所定の速度(前進速度のしきい値または後進速度のしきい値)以下になった場合に、電磁ブレーキ50b,51bによって後輪16a,16bが制動される。これにより、車両10を確実に停止させることができる。
また、車両10では、前進モードにおいてクランク70a,70bから回転軸68に与えられる前転方向のトルクがトルクセンサ85cによって検出された場合に、制御部104は、車両10が前進するように電動モータ40a,40bを制御する。すなわち、車両10では、車両10を前進させようとする搭乗者の意思および車両10の後進を停止させようとする搭乗者の意思を共通のトルクセンサ85cを用いて検知することができる。これにより、簡単な構成で車両10の多彩な走行制御が可能となる。
また、車両10では、伝達機構Tは、回転軸68から後輪16bに後転方向のトルクを伝達しないので、搭乗者がクランク70a,70b(回転軸68)を後転させる際には、クランク70a,70b(回転軸68)に大きな負荷がかからない。それにより、搭乗者は、クランク70a,70bを容易に後転させることができるので、車両10を容易に後進させることができる。また、伝達機構Tは、後輪16bから回転軸68に後転方向のトルクを伝達するので、車両10が後進している際には、後輪16bに連動して回転軸68が後転する。このとき、搭乗者がクランク70a,70bの後転を停止または後転速度を十分に遅くすることによって、クランク70a,70bから回転軸に前転方向のトルクが与えられる。その結果、制御部104によって車両10を停止させるための処理が実行される。すなわち、車両10では、搭乗者がクランク70a,70bを前転させなくても、クランク70a,70bの後転を停止または後転速度を十分に遅くすることによって、車両10を停止させるための処理を制御部104に実行させることができる。それにより、車両10を停止させるための搭乗者の動作が容易になり、かつ車両10を停止させるための処理をより迅速に開始することができる。
なお、上述の実施形態では、一対の前輪14a,14bを備えた車両10について説明したが、前輪の数は2つに限定されない。たとえば、車両の前輪が1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
また、上述の実施形態では、前輪14a,14bが第1駆動輪に設定されているが、前輪14a,14bのうちのいずれか一輪が第1駆動輪に設定されてもよく、後輪16a,16bのうちの少なくとも一輪が第1駆動輪に設定されてもよい。
また、上述の実施形態では、後輪16bが第2駆動輪に設定されているが、後輪16aが第2駆動輪に設定されてもよく、前輪14a,14bのうちの少なくとも一輪が第2駆動輪に設定されてもよい。
また、上述の実施形態では、回転検出部(回転検出センサ85a,85bおよび制御部104)は、クランク70aの回転方向を検出しているが、回転検出部がクランク70bの回転方向を検出してもよい。また、回転検出部は、回転軸68の回転方向を検出することによって、クランク70a,70bの回転方向を検出してもよい。具体的には、たとえば、回転軸68の回転に応じてパルス信号を発生させることによって、回転軸68およびクランク70a,70bの回転方向を検出してもよい。
また、上述の実施形態では、車両10の後進時において車両10を停止させるための処理として、指令速度に基づく電動モータ40a,40bの制御(ステップS55)および電磁ブレーキ50b,51bの制御(ステップS59)を行っているが、車両10を停止させるための処理は上述の例に限定されない。たとえば、車両10の後進時において車両10を停止させるための処理に、ステップS57(図9参照)およびステップS59(図9参照)の処理が含まれなくてもよい。
また、上述の実施形態では、第2ブレーキとしてのドラムブレーキ50a,51aが後輪16a,16bを制動する場合について説明したが、第2ブレーキが前輪14a,14bのうちの少なくとも一輪を制動してもよい。
また、上述の実施形態では、第1ブレーキとしての電磁ブレーキ50b,51bが後輪16a,16bを制動する場合について説明したが、第1ブレーキが前輪14a,14bのうちの少なくとも一輪を制動してもよい。
また、上述の実施形態では、第1ブレーキとして電磁ブレーキ50b,51bを備えた車両10について説明したが、第1ブレーキは電磁ブレーキ50b,51bに限定されず、制御部104によって電気的に作動させることができるブレーキであればよい。たとえば、ケーブルを介してアクチュエータに機械的に連結されたドラムブレーキを第1ブレーキとして車両に設けてもよい。この場合、制御部は、たとえば、アクチュエータの動作を電気的に制御することによって、ケーブルを介して第1ブレーキとしてのドラムブレーキを作動させることができる。
また、上述の実施形態では、第2指示部としてのブレーキスイッチ46dがブレーキレバー46aに連動して作動するように設けられる場合について説明したが、第2指示部の構成は上述の例に限定されない。たとえば、第2指示部として押しボタン式のブレーキスイッチをハンドル45に設けてもよい。この場合、搭乗者は、ブレーキスイッチを押すことによって、車両10を停止させるための処理を制御部104に実行させることができる。