JP5832142B2 - インベルターゼ活性抑制剤とその用途 - Google Patents
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Description
●:スクロース
○:ラクトスクロース
スクロース或いはラクトスクロースを基質として用いた場合のインベルターゼ活性に与える糖アルコール又は難発酵性糖質の影響を調べた。非還元性糖質であるスクロースやラクトスクロースはインベルターゼにより加水分解され、それぞれ還元性糖質のグルコース及びフラクトース、又は、フラクトース及びラクトースが生成するので、生成した糖質の還元力を定量することにより、難発酵性糖質共存下でのインベルターゼのスクロース及びラクトスクロースに対する分解活性を評価した。
スクロースと、糖アルコール又は難発酵性糖質の何れか1種とを、各々、最終濃度が30mMとなるように、5mM塩化カルシウムを含む20mMクエン酸緩衝液(pH6.0)に溶解し基質溶液とした。その基質溶液2mlに、市販のインベルターゼ(シグマ アルドリッチ ジャパン(株) 商品名「インベルターゼ パン酵母(S.cerevisiae種)由来 GradeVII」、凍結乾燥粉末)を5mM塩化カルシウムを含む20mMクエン酸緩衝液(pH6.0)で希釈した酵素液(約0.32単位/ml)0.2mlを加え、40℃で10分間保持して酵素反応を行った後、その反応液0.5mlを採取してソモギー・ネルソン法にて、還元力を測定した。対照として、糖アルコール又は難発酵性糖質の共存しないスクロースのみを含有する基質溶液を用いた以外は、前記と同じ条件で酵素反応を行い、還元力を測定した。対照で生成した還元糖の量を100%として、糖アルコール又は難発酵性糖質の何れか1種の共存下でスクロースにインベルターゼを作用させたとき生成した還元糖の相対値(%)を求め、インベルターゼのスクロース分解活性として表2に示す。
スクロースをラクトスクロースに代えた以外は、スクロースの分解活性の測定と同じ方法で生成する還元力を測定し、対照で生成した還元力を100%として、糖アルコール又は難発酵性糖質の何れか1種の共存下でラクトスクロースにインベルターゼを作用させたとき生成した還元力の相対値(%)を求め、インベルターゼのラクトスクロース分解活性として表2に併せて示す。
実験1において、マルチトールとイソマルチトールがインベルターゼ活性を抑制することが判明したので、発酵パンの製造時を想定し、パン酵母によるβ‐フラクトフラノシド結合を有するオリゴ糖の分解に対するマルチトール及びイソマルチトールの共存の影響を調べた。基質として、β‐フラクトフラノシド結合を有するオリゴ糖は実験1で用いたスクロース及びラクトスクロースの他に、エルロース、ラフィノースを用いた。
反応液は以下の手順で調製した。β‐フラクトフラノシド結合を有するオリゴ糖として、スクロース、ラクトスクロース、エルロース、又はラフィノースを最終濃度5%、糖アルコールとしてマルチトール又はイソマルチトールを最終濃度5%となるよう50mMクエン酸緩衝液(pH6.0)に溶解し、さらに、パン酵母を最終濃度0.5%になるように懸濁し、酵母緩衝液懸濁液を調製した。この懸濁液を時々攪拌しながら酵母によるオリゴ糖の分解反応を28℃で4時間行った後、直ちに氷冷し、遠心分離を行ない、酵母菌体を除去し、上清を回収し、残存するオリゴ糖を定量した。
反応液に残存するオリゴ糖量は以下の手順で測定した。反応液(遠心上清)0.1mlと0.2%ソルビトール水溶液(内部標準物質として添加)1mlを混合し、メンブラン濾過後、マイクロアシライザーG0(旭化成株式会社製)にて脱塩後、その糖質の組成を高速液体クロマトグラフィー法(以下、HPLCと略称する。)で調べた。なお、HPLCは、カラムに「MCIGEL CK08EC」(三菱化学株式会社製)を用い、溶離液に水を用いて、カラム温度75℃、流速0.6ml/分の条件で行い、検出は示差屈折計RID‐10A(島津製作所製)を用いて行った。得られた糖組成から内部標準物質であるソルビトールのピーク面積を基準に補正し、各反応後の反応液に残存するβ‐フラクトフラノシド結合を有するオリゴ糖の質量を求め、酵母を含まない反応液に含まれる各β‐フラクトフラノシド結合を有するオリゴ糖の質量を100%とした場合の残存率(%)を示した。結果を表3に示す。
<実験3‐1:反応液の調製>
実験2においては基質と等量のマルチトールを用いることにより、パン酵母によるスクロース又はラクトスクロースの分解が抑制されたので、実験3においては、スクロース又はラクトスクロースに対するマルチトールの共存割合を種々変えて実験を行った。
スクロース、ラクトスクロースを含有した発酵パンの製造におけるマルチトールの共存割合と焼成後のパンのラクトスクロースの含有量を調べる目的で、小麦粉100gに対するマルチトールの配合を0、1、3、5、7gの5種類に変化させた表6に示す原材料のパン生地(試料No.1〜No.5)を調製し表7に示した。また、酵母の発酵に与える浸透圧の影響をできるだけ少なくする為に、それぞれのパンに配合する糖の量を均等にし、試料No.1〜No.5のスクロースの配合量を小麦粉100gに対し、10、9、7、5、3gとした。
なお、作業は3名(30代2名、40代1名)で行い、作業性、外観、内相、風味を評価し結果を表8にまとめた。作業性については作業中のパン生地の纏まりや、製造機器や手に対する生地離れを評価し、外観については焼色を、内相にはついては気泡の形状や大きさを、風味については呈味と食感を、それぞれ「良好」「やや劣る」「劣る」の三段階に分け評価した。
次に、パンの質量の焼残率と体積を測定し、結果を表9にまとめた。
焼成後の試料No.1〜No.5にそれぞれ含まれる可溶性糖質を抽出し、全糖量を測定した。まず、パン試料をブレンダーにかけ粉砕した。この粉砕物2gを200ml容コニカルビーカーに採り重量測定後に脱イオン水40mlを加えてスターラーで3時間攪拌抽出を行い、さらにエタノール160mlを加えて3時間攪拌抽出を行い80%エタノール可溶性糖質を抽出した。ついで、抽出液全量を珪藻土(ラヂオライト#600)ろ過して不溶物を除去後に500ml容メスフラスコに定容し、0.01%グルコース溶液をスタンダードとしてアンスロン硫酸法にて抽出液の糖を定量して全糖量とした。
カラム:2%シリコンOV‐17/クロモソルブW・AW・DMCS
(内径3mm×長さ2m、ステンレスカラム)
キャリアーガス:窒素、 キャリアーガス流量:40ml/分
注入口温度:330℃ 検出器温度:330℃
カラム温度:160℃で2分保持後、320℃まで毎分7.5℃で昇温し、
320℃で16分保持するプログラムで運転
燃焼ガス:水素、 燃焼ガス流量:35ml/分
助燃ガス:空気、 助燃ガス流量:600ml/分
検出器:FID
糖質試料は予め常法に従いトリメチルシリル化(TMS化)し、TMS誘導体として測定した。内部標準物質としてフェニル‐β‐D‐グルコシドを用い、内部標準物質のピーク面積に対する各糖質のピーク面積で糖質の各重合度別に組成を算出した。単糖類はHPLCで分離した。
実施例1においては油脂(ショートニング)の配合量が小麦粉100gに対し、20gと、菓子パンやバターロールなどに用いられる高い配合であったため、食パンやフランスパン等の食事パンに用いられる油脂量を考慮し、表12の配合に基づいてショートニングを減らし、実施例1と同様の製法で発酵パンを作製した。
次に、ラクトスクロースの配合量を実施例1及び実施例2の半分(小麦粉100gに対し3.5g)に減らした発酵パンのラクトスクロースの含有量を調べる目的で、表14の配合に基づいて、実施例1と同様の製法でマルチトール無配合のパン(試料No.10)と小麦粉100gに対し、マルチトールを5g配合したパン(試料No.11)を作製した。なお、マルチトールを配合した試料No.11では、パンに配合する糖の量を均等にするため、スクロースの配合量を小麦粉100gに対し、5gとした。
小麦粉100質量部に対し、食塩1.8質量部とともに、糖質としてスクロース8質量部と粉末ラクトスクロース10質量部及び、マルチトール3質量部とを均一に混合してプレミックス粉を調製した。本品は、これにパン酵母、油脂、水を適宜加えて混合し発酵させると、インベルターゼの活性が抑制を受けつつ発酵され、生成する還元性糖質の存在割合を低減できるため、これを焼成し、得られる発酵パンは、食欲をそそる好ましい淡い焼色である。また、ラクトスクロース残存率も高くこれを高含有した高品質の発酵パンに仕上げることができる。
粉末ラクトスクロース10質量部とインベルターゼ活性抑制剤(マルチトール)5質量部とを均一に混合し、常法に従って造粒した。パン酵母による発酵に際し用いると、本品はパン酵母に含まれるインベルターゼによる、ラクトスクロースの分解が抑制される糖質組成物であって、発酵パン用糖質として、また、健康食品用糖質として有利に利用できる。
Claims (4)
- マルチトール又はイソマルチトールを有効成分とするパン酵母由来インベルターゼの活性抑制剤。
- 請求項1記載の活性抑制剤を共存させることを特徴とするβ‐フラクトフラノシド結合を有するオリゴ糖の分解抑制方法。
- 小麦粉、スクロース、ラクトスクロース、酵母及び水を含んでなるパン生地を混捏、成形、発酵させ、次いで焼成する発酵パンの製造方法において、小麦粉100質量部に対するマルチトール又はイソマルチトールの量が1乃至5質量部、且つ、ラクトスクロースに対するマルチトール又はイソマルチトールの量が、無水物換算で、14乃至143質量%となるよう配合したパン生地を発酵させ、次いで焼成することを特徴とするラクトスクロース含有発酵パンの製造方法。
- 小麦粉、スクロース及びラクトスクロースを含有し、小麦粉100質量部に対するマルチトール又はイソマルチトールの量が1乃至5質量部、且つ、ラクトスクロースに対するマルチトール又はイソマルチトールの量が、無水物換算で、14乃至143質量%となるよう配合したラクトスクロース含有発酵パンの製造用のプレミックス粉。
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