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JP5833482B2 - 遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた遊星歯車 - Google Patents
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JP5833482B2 - 遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた遊星歯車 - Google Patents

遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた遊星歯車 Download PDF

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Description

本発明は、遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた遊星歯車に関する。更に詳しくは、ポリブチレンナフタレート樹脂にポリブチレンテフタレート樹脂、酸化防止剤、衝撃改質剤等を配合することにより、優れた摺動性、疲労特性、耐衝撃性、耐熱性を兼ね備えた遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた遊星歯車に関する。
従来から樹脂製歯車は、軽量性、自己潤滑性、低騒音性、耐腐食性、量産性に優れることから家電部品、OA部品、自動車部品など幅広い分野に使用されてきた。歯車に使用される樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、ポリアセタール樹脂(POM樹脂)、ポリアミド樹脂(PA樹脂)など様々ある。近年、歯車機構は高機能化・複雑化しており、その一つである遊星歯車機構は中心に太陽歯車、その周りに遊星歯車、そして遊星歯車の周りに内歯車を有する歯車機構である。寸法安定性、疲労特性、摺動性の問題から、太陽歯車にはポリブチレンテレフタレート樹脂、内歯車にはポリアセタール樹脂、あるいはその逆の場合が多く、遊星歯車は太陽歯車の周りを自転、公転する場合が多い。そのため、遊星歯車にはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリアセタール樹脂の両方に対して良好な摺動性と疲労特性、耐衝撃性、耐熱性を兼ね備えた樹脂が求められている。
熱可塑性樹脂の摺動性を改善する方法として、シリコーン系のオイル、ゴム、ポリマー等を添加する方法が知られている。例えば、合成樹脂にシリコーンオイルとシリコーングラフトポリエステルを添加した組成物が提案されている。(特許文献1参照)また、熱可塑性樹脂にポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分とからなる複合ゴム系グラフト共重合体を添加した組成物が提案されている。(特許文献2参照)また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに変性シリコーンエラストマーを添加した組成物が提案されている。(特許文献3参照)しかしながら、これらシリコーン系樹脂組成物は、使用中に低分子シロキサンが揮発し電気・電子機器部品のリレーやスイッチなどの接点不良の原因となる可能性がある。また、疲労特性に関する記載はなく、遊星歯車の特性を満足できる樹脂組成物とは言えない。
また、流動パラフィン、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸とアルコールとのエステル、脂肪酸を原料とする金属石けんなどの脂肪酸系、ポリグリコール、多価アルコールなどのアルコール系等の滑剤を添加して摺動性を向上させる方法が知られている。例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂に高級アルコールの脂肪酸エスエルと脂肪酸金属塩を配合してなる組成物が提案されている。(特許文献4参照)また、ポリブチレンナフタレート樹脂に高密度ポリエチレン樹脂と酸変性ポリエチレン樹脂からなる組成物が提案されている。(特許文献5参照)しかしながら、これらの組成物は摺動性の向上が不十分であり、また十分な摺動性を向上させるには多量の添加が必要となり、その結果モールドデポジットや剥離の問題を生じやすい。また、疲労特性に関する記載はなく、遊星歯車の特性を満足できる樹脂組成物とは言えない。
熱可塑性樹脂の疲労特性を改善する方法として、例えば、熱可塑性ポリエステルに層状珪酸塩を配合した組成物が提案されている。(特許文献6参照)また、熱可塑性樹脂に液晶性樹脂を配合した組成物が提案されている。(特許文献7参照)これらの樹脂組成物は疲労特性に優れるものの摺動性に関する記載はなく、遊星歯車の特性を満足できる樹脂組成物とは言えない。
熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改善する方法として、例えば、飽和ポリエステル樹脂にゴム強化スチレンおよびジペンタエリスリトール脂肪酸エステルを配合した組成物が提案されている。(特許文献8参照)この樹脂組成物は耐衝撃性に優れるものの摺動性、疲労特性に関する記載はなく、遊星歯車の特性を満足できる樹脂組成物とは言えない。
上記のように遊星歯車に適した樹脂組成物はなく、優れた摺動性、疲労特性、耐衝撃性、耐熱性を兼ね備えた樹脂組成物が求められている。
特開平8−3454号公報 特開平10−237266号公報 特開平8−283552号公報 特開平11−71506号公報 特開2010−111759号公報 特開2000−212294号公報 特開2001−192518号公報 特許第3575152号公報
本発明の目的は、遊星歯車に必要な優れた摺動性、疲労特性、耐衝撃性、耐熱性を兼ね備えた遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリアセタール樹脂の両方に対して良好な摺動性、疲労特性、耐衝撃性、耐熱性に関して検討を重ねた結果、ポリブチレンナフタレート樹脂に特定の末端カルボキシル基濃度と固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂、特定の酸化防止剤、衝撃改質剤を配合することにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリアセタール樹脂の両方に対して良好な摺動性、疲労特性、耐衝撃性、耐熱性を兼ね備えることを見出し、本発明に至った。
本発明によれば、(1)(A)ポリブチレンナフタレート樹脂(A成分)50〜95重量部および(B)末端カルボキシル基濃度が18eq/ton以下であり、かつ固有粘度が0.7〜1.1dl/gであるポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)50〜5重量部よりなる熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(C)ホスファイト系化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト系化合物およびヒンダートフェノール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤(C成分)0.001〜5重量部、および(D)衝撃改質剤(D成分)1〜10重量部を含有する遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が提供される。
本発明の好適な態様の一つは、(2)D成分がゴム成分に芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート単量体からなる群より選ばれた1種以上を重合してなるゴム変性重合体であることを特徴とする上記構成(1)の遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の一つは、(3)上記構成(1)または(2)の遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる遊星歯車である。
以下、更に本発明の詳細について説明する。
(A成分:ポリブチレンナフタレート樹脂)
本発明のA成分であるポリブチレンナフタレート樹脂(以下「PBN」と略称することがある)は、ナフタレンジカルボン酸および/またはナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体を主とするジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールを主成分とするグリコール成分を用いて製造することができる。
ナフタレンジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするが、特性を損なわない範囲であれば、他のジカルボン酸を併用することができる。他のカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。他のカルボン酸の使用量は全酸成分に対して好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。ナフタレンジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とするが、特性を損なわない範囲であれば、他のジカルボン酸のエステル形成性誘導体を併用することができる。他のジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。他のジカルボン酸のエステル形成性誘導体の使用量は、全ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分に対して好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
また、少量のトリメリット酸のような三官能性以上のカルボン酸成分を用いてもよく、無水トリメリット酸のような酸無水物を少量用いてもよい。また、乳酸、グリコール酸のようなヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル等を少量用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。
グリコール成分としては1,4−ブタンジオールを主成分とするが、特性を損なわない範囲で他のグリコール成分を併用することができる。他のグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ(オキシ)エチレングリコール、ポリ(オキシ)テトラメチレングリコール、ポリ(オキシ)メチレングリコール等のアルキレングリコールの1種若しくは2種以上を用いてもよく、目的によって任意に選ぶことができる。さらに少量のグリセリンのような多価アルコール成分を用いてもよい。また少量のエポキシ化合物を用いてもよい。他のグリコール成分の使用量は、全グリコール成分に対して好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
かかるグリコール成分の使用量は、前記ジカルボン酸若しくはジカルボン酸のエステル形成性誘導体に対して1.1モル倍以上1.4モル倍以下であることが好ましい。グリコール成分の使用量が1.1モル倍に満たない場合にはエステル化あるいはエステル交換反応が十分に進行せず好ましくない。また、1.4モル倍を超える場合にも、理由は定かではないが反応速度が遅くなり、過剰のグリコール成分からテトラヒドロフラン等の副生物の発生量が大となり好ましくない。
PBNの製造においては、重合触媒としてチタン化合物が使用される。重合触媒として用いられるチタン化合物としては、テトラアルキルチタネートが好ましく、具体的にはテトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−sec−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラ−n−ヘキシルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネートなどが挙げられ、これらの混合チタネートとして用いても良い。これらのチタン化合物のうち、特にテトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートが好ましく、最も好ましいのはテトラ−n−ブチルチタネートである。チタン化合物の添加量は生成PBN中のチタン原子含有量として、10ppm以上60ppm以下であることが好ましく、より好ましくは15ppm以上30ppm以下である。生成PBN中のチタン原子含有量が60ppmを超える場合は、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の色調および熱安定性が低下するために好ましくない。一方チタン原子含有量が10ppm未満の場合には、良好な重合活性を得ることができず、充分な高い固有粘度のPBNを得ることができず好ましくない。本発明のPBNは、ナフタレンジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を主とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主とするグリコール成分とをチタン化合物の存在下にてエステル化あるいはエステル交換反応工程と、それに続く重縮合反応工程とを経由して製造されることが好ましいが、エステル化あるいはエステル交換反応終了の際の温度が180℃以上220℃以下の範囲にある事が好ましく、180℃以上210℃以下であることがより好ましい。当該エステル化反応又はエステル交換反応終了の際の温度が220℃を超える場合には反応速度は大きくなるが、テトラヒドロフラン等の副生物が多くなり好ましくない。また、180℃未満では反応が進行しなくなる。エステル化あるいはエステル交換反応により得られた反応生成物(ビスグリコールエーテルおよび/またはその低重合体)は当該反応生成物をPBNの融点以上270℃以下の温度において0.4kPa(3Torr)以下の減圧下で重縮合させることが好ましい。重縮合反応温度が270℃を超える場合にはむしろ反応速度が低下して、着色も大となるので好ましくない。
PBNの含有量は、PBNとポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」と略称することがある)との合計100重量部中、50〜95重量部であり、好ましくは55〜90重量部、更に好ましくは60〜85重量部である。含有量が50重量部未満の場合、摺動性が低下し、95重量部を超えると、耐熱性が低下し好ましくない。
(B成分:ポリブチレンテレフタレート樹脂)
本発明のB成分であるポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸あるいはその誘導体と、1,4−ブタンジオールあるいはその誘導体とから重縮合反応により得られる樹脂であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、他のジカルボン酸、グリコールを共重合することが可能である。
共重合可能なジカルボン酸としては、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸を挙げることができる。これら共重合可能なジカルボン酸は単独でも、2種類以上混合しても用いることができる。
共重合可能なグリコールとしては、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−またはシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノールAなどを挙げることができる。更に少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合してもよい。これら共重合可能なグリコールは単独でも、2種類以上を混合しても用いることができる。
また本発明のPBTは少量の分岐剤を導入することにより分岐させることができる。分岐剤の種類に制限はないがトリメシン酸、トリメリチン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
本発明のPBTの製造方法については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合させ、副生する水または低級アルコールを系外に排出することにより行われる。例えば、ゲルマニウム系重合触媒としては、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、更に具体的には、酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム等が例示できる。
また本発明では、従来公知の重縮合の前段階であるエステル交換反応において使用される、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の化合物を併せて使用でき、およびエステル交換反応終了後にリン酸または亜リン酸の化合物等により、かかる触媒を失活させて重縮合することも可能である。
また得られたPBTの末端基構造は、末端カルボキシル基濃度が18eq/ton以下の範囲であり、16eq/ton以下がより好ましく、14eq/ton以下がさらに好ましい。末端カルボキシル基濃度が小さいほど、ポリエステル樹脂の熱安定性は良好となり耐衝撃性に優れる。末端基における水酸基とカルボキシル基の割合がほぼ同量の場合の他、一方の割合が多い場合であってもよい。またかかる末端基に対して反応性を有する化合物を反応させる等により、それらの末端基が封止されているものであってもよい。末端カルボキシル基濃度は、樹脂0.4gをベンジルアルコール100mlに常温溶解し、得られた樹脂溶液を、自動滴定装置GT−100型(三菱化学製)を用いて0.1N−NaOHにて滴定した値であり、1×10gあたりの末端カルボキシル基の等量濃度である。
またPBTの固有粘度(IV)は、0.7〜1.1dl/gの範囲であり、0.75〜1.05dl/gがより好ましく、0.8〜1.0dl/gがさらに好ましい。固有粘度が0.7dl/g未満の場合耐衝撃性が低下し、1.05dl/gを超えた場合耐熱性が低下する。固有粘度は樹脂0.6gをオルトクロロフェノール50ml中に加熱溶解した後、室温に冷却し、得られた樹脂溶液の粘度を、オストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定される。得られた溶液粘度のデータから当該樹脂の固有粘度(IV)を算出する。
PBTの含有量は、PBNとPBTとの合計100重量部中、5〜50重量部であり、好ましくは10〜45重量部、更に好ましくは15〜40重量部である。含有量が5重量部未満の場合、耐熱性が低下し、50重量部を超えると、摺動性が低下し好ましくない。
(C成分:酸化防止剤)
本発明においてC成分として使用される酸化防止剤は、ホスファイト系化合物、ホスフェート系化合物、ホスホナイト系化合物およびヒンダードフェノール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤である。
かかるホスファイト系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが例示される。
かかるホスフェート系化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、およびジイソプロピルホスフェートなどが例示され、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
かかるホスホナイト系化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、およびビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、およびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は前記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
かかるヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらの中でもオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(代表的市販品としてCIBA SPECILATY CHEMICALS社製:Irganox1076(商品名))が好ましい。
前記の酸化防止剤はいずれも入手容易であり、これらは単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
酸化防止剤(C成分)の含有量は、PBTおよびPBNよりなる熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.001〜5重量部であり、好ましくは0.003〜3重量部であり、更に好ましくは0.005〜1重量部である。含有量が0.001重量部未満では熱安定性の向上効果がなく、5重量部を超えるとかえって熱安定性を悪化させるため好ましくない。なお熱安定性が悪化すると耐衝撃性が低下し歯車が破損しやすくなることは言うまでもない。
(D成分:衝撃改質剤)
本発明のD成分である衝撃改質剤は、ゴム変性重合体、反応性オレフィン共重合体、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ゴム変性重合体であることが特に好ましい。
前記ゴム変性重合体とは、ゴム成分に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、およびアルキル(メタ)アクリレート単量体からなる群より選ばれた1種以上を重合してなる重合体である。
ゴム成分とは、ゴム質重合体の基体となるゴム弾性を有する重合体である。かかるゴム成分としては例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、並びにアクリル・ブタジエンゴム(アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体)など)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)、アクリルゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体など)、並びにシリコーン系ゴム(例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分が分離できないように相互に絡み合った構造を有しているゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムなど)が挙げられる。更に他のゴム成分としては、ウレタンゴム、アミドゴム、ホスファゼンゴムおよびフッ素ゴムなどを挙げることができる。ゴム成分のガラス転移温度は10℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。
かかる芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、およびメトキシスチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独または2種以上用いることができる。
かかるシアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。これらは単独または2種以上用いることができる。
かかるアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。尚(メタ)アクリレートの表記はメタクリレートおよびアクリレートのいずれをも含むことを示す。
本発明におけるゴム変性重合体は、具体的には、SB(スチレン−ブタジエン)重合体、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)重合体、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)重合体、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)重合体、MB(メチルメタクリレート−ブタジエン)重合体、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム)重合体、AES(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン)重合体、MA(メチルメタクリレート−アクリルゴム)重合体、MAS(メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン)重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)重合体などを挙げることができる。上記のゴム質重合体は、その構造を特に限定するものではないが、グラフトポリマーおよびブロックポリマーが一般的であり、グラフトポリマーがより好ましい。これらは熱可塑性樹脂の衝撃改質剤として広く知られるものである。
本発明のゴム変性重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。さらに重合法としては一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法において、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法、および連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μm径の細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法などを行ってもよい。コア−シェル型のグラフト重合体の場合、その反応はコアおよびシェル共に、1段であっても多段であってもよい。
本発明のゴム変性重合体としては、ABS樹脂、MBS樹脂が好ましく使用される。
ABS樹脂、MBS樹脂におけるゴム変性重合体の、ゴム成分にグラフトされたグラフト重合成分の割合(ジエン系ゴム成分の重量に対するかかるグラフト成分の重量の割合)、すなわちグラフト率(重量%)は20〜200%が好ましく、より好ましくは20〜80%である。
かかるABS樹脂、MBS樹脂は塊状重合、溶液重合、懸濁重合、および乳化重合などのいずれの方法で製造されたものでもよい。また共重合の方法は、一段で共重合しても、多段で共重合してもよい。
ABS樹脂、MBS樹脂におけるゴム質重合体のゴム粒子径は重量平均粒子径において0.05〜5μmが好ましく、0.1〜2.0μmがより好ましく、0.2〜1.5μmが更に好ましい。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布であるもの及び2山以上の複数の山を有するもののいずれもが使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいてもゴム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の周りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を有するものであってもよい。
衝撃改質剤(D成分)の含有量は、PBTおよびPBNよりなる熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し1〜10重量部であり、好ましくは2〜9重量部、更に好ましくは3〜8重量部である。含有量が1重量部未満の場合、耐衝撃性、疲労特性不十分であり、10重量部を超えると、疲労特性、耐熱性が低下し好ましくない。
(その他の添加剤)
本発明の遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物には、発明の効果を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を配合し、必要に応じて可塑剤、無機充填剤、非ハロゲン系難燃剤、加硫(架橋)剤、顔料、光安定剤、耐電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤、造核剤、中和剤等を加えることができる。
(遊星歯車の製造方法)
次に、本発明に係る遊星歯車の製造方法の一実施形態を説明する。
本発明の遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式ニ軸押出機が好ましい。他に、各成分、並びに任意に他の成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。
本発明の遊星歯車の製造方法には、公知の方法を用いることができ、例えば、上記より製造された遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を射出成形して成形品を得ることにより各種遊星歯車を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などを挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
更に本発明の遊星歯車には、低音性を向上させるためにフッ素系や二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を遊星歯車の表面に付与することが可能である。
上述した実施形態の遊星歯車は、優れた摺動性、疲労特性、耐衝撃性、耐熱性を兼ね備えており、例えば家電部品、OA部品、自動車部品に使用される遊星歯車に好適である。
本発明の遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、優れた摺動性、疲労特性、耐衝撃性、耐熱性を兼ね備えているため、遊星歯車用の樹脂として好適であり、その奏する効果は極めて大である。
摺動性の評価で使用したピン状試験片である。 実施例で作成した遊星歯車である。
以下に、本発明を実施するための形態を説明するが、この実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、諸物性の測定は以下の方法により実施した。
1.樹脂組成物の評価
(1)耐衝撃性
組成物ペレットを120℃で5時間乾燥した後に射出成形機(三菱重工業(株)製:80MSP−5)によりシリンダー温度280℃、金型温度90℃で試験片を成形し、ISO179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。シャルピー衝撃強度は6以上であることが必要である。
(2)疲労特性
組成物ペレットを120℃で5時間乾燥した後に射出成形機(三菱重工業(株)製:80MSP−5)によりシリンダー温度280℃、金型温度90℃で試験片を成形し、ASTM D671に従い、曲げ疲労試験を実施し、繰り返し回数1000万回時の繰り返し応力を求めた。応力は12MPa以上であることが必要である。
(3)耐熱性
組成物ペレットを120℃で5時間乾燥した後に射出成形機(三菱重工業(株)製:80MSP−5)によりシリンダー温度280℃、金型温度90℃で試験片を成形し、ISO75−1および2に従い、0.45MPaの荷重で荷重たわみ温度の測定を実施した。荷重たわみ温度は90℃以上であることが必要である。
(4)摺動性
組成物ペレットを120℃で5時間乾燥した後に射出成形機(三菱重工業(株)製:80MSP−5)によりシリンダー温度280℃、金型温度90℃で長さ150mm×幅150mm×厚さ2mmの平板状試験片(ゲートは辺の一端より幅40mm×厚み1mmのフィンゲート)を射出成形により作成した。次に該試験片の中心部を長さ50mm×幅100mmに切削し、かかる切削試験片を往復動作する台座上に固定した。また、相手材を用いて図1に示すピン状試験片を射出成形により作成し、ピン状試験片の先端球面部分をかかる平板状試験片の切削試験片の平面部分に、ピン状試験片の円柱軸方向と平板状試験片の平面法線方向が平行となる状態で負荷荷重1kgをかけた状態で接触させた。かかる接触状態で23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中、往復動摩耗摩擦試験機((株)オリエンテック製:AFT−15M)を用いて試験速度20mm/sec、ストローク幅20mmで1000回往復動作させた。1000回動作後の摩擦力から1000回動作後の動摩擦係数を求めた。動摩擦係数は小さい方が摺動性に優れることになり、0.7以下が必要である。なお、相手材として、PBT−1、POMの2種類を使用した。
[実施例1〜4、比較例1〜11]
表1に記載のA、B、C、D成分およびその他の成分をV型ブレンダーにて混合して混合物を作成した。スクリュー径30mmのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所TEX−30XSST]を用いて、V型ブレンダーにて混合した混合物を最後部の第1投入口より、計量器にて所定の割合となるように供給し、真空ポンプを使用し3kPaの真空下において、シリンダー温度290℃にて溶融押出してペレット化した。得られたペレットを熱風循環式乾燥機にて乾燥温度120℃で6時間乾燥し、射出成形機[三菱重工業(株)製:80MSP−5]によりシリンダー温度280℃、金型温度90℃で評価用の試験片を作成し、上記の評価方法で評価を行った。
比較例のPOMは、乾燥温度90℃、シリンダー温度210℃、金型温度90℃とした。
結果を表1に示す。
なお、使用した各成分の詳細は以下の通りである。
(A成分:ポリブチレンナフタレート樹脂)
PBN−1:ポリブチレンナフタレート樹脂
<製造例>
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル315.0部、1.4−ブタンジオール200、0部、テトラーn−ブチルチタネート0.062部をエステル交換反応槽に入れ、エステル交換反応槽が210℃となるように昇温しながら150分間エステル交換反応を行なった。ついで得られた反応生成物を重縮合反応槽に移して重縮合反応を開始した。重縮合反応は常圧から0.13kPa(1Torr)以下まで40分かけて除々に重縮合反応層内を減圧し、同時に所定の反応温度260℃まで昇温し、以降は重縮合反応温度が260℃、圧力が0.13kPa(1Torr)の状態を維持して140分間重縮合反応を行なった。140分が経過した時点で重縮合反応を終了してPBNをストランド状に抜き出し、水冷しながらカッターを用いてチップ状に切断した。次に、得られたPBNを温度213℃、圧力0.13kPa(1Torr)以下の条件にて8時間固相重合を行なった。得られたPBN(PBN−1)の固有粘度は1.10dl/g、末端カルボキシル基濃度は16eq/tonであった。
(B成分:ポリブチレンテレフタレート樹脂)
PBT−1:ポリプラスチックス(株)社製 商品名:500FP EF201R(IV=0.86dl/g 末端カルボキシル基濃度12eq/ton)
PBT−2:ポリプラスチックス(株)社製 商品名:300FP EF201R(IV=0.66dl/g 末端カルボキシル基濃度20eq/ton)
PBT−3:ポリプラスチックス(株)社製 商品名:700FP EF201R(IV=1.14dl/g 末端カルボキシル基濃度9eq/ton)
PBT−4:ポリプラスチックス(株)社製 商品名:500FP EF202X(IV=0.87dl/g 末端カルボキシル基濃度50eq/ton)
PBT−5:以下の製造方法により作成したポリブチレテレフタレート樹脂(IV=0.67dl/g、 末端カルボキシル基濃度16eq/ton)
<製造方法>テレフタル酸ジメチルエステル35.0部、1.4−ブタンジオール22.9部、テトラ−n−ブチルチタネート0.026部をエステル交換反応槽に入れ、エステル交換反応槽が170℃となるように昇温しながら180分間エステル交換反応を行なった。ついで得られた反応生成物を重縮合反応槽に移して重縮合反応を開始した。重縮合反応は常圧から0.13kPa(1Torr)以下まで40分かけて除々に重縮合反応層内を減圧し、同時に所定の反応温度240℃まで昇温し、以降は重縮合反応温度が240℃、圧力が0.13kPa(1Torr)の状態を維持して140分間重縮合反応を行なった。170分が経過した時点で重縮合反応を終了してPBTをストランド状に抜き出し、水冷しながらカッターを用いてチップ状に切断した。
(C成分:酸化防止剤)
C−1:チバ・スペチャルティ・ケミカルズ(株)社製 IRGANOX1076(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
C−2:旭電化工業(株)社製 アデカスタブPEP−24G(ホスファイト系酸化防止剤)
(D成分:衝撃改質剤)
D−1:ロームアンドハース(株)社製、商品名:パラロイドEXL−2620(MBS樹脂)
(その他成分)
CB:越谷化成(株)製、商品名:ROYALBLACK904S(カーボンブラックマスター:カーボンブラック40重量%、PS樹脂60重量%)
POM:ポリプラスチックス(株)社製、商品名:M90−44(ポリアセタール樹脂)
Figure 0005833482
表1において、ポリブチレンナフタレート樹脂および特定範囲の末端カルボキシル基濃度と固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂に、特定の酸化防止剤、衝撃改質剤を配合した実施例1〜4は、耐衝撃性、疲労特性、耐熱性、摺動性を兼ね備えるため、産業上有用でありかつ優れた遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であることがわかる。
表1において、比較例1は、PBNが本発明範囲より少なく、PBTが本発明範囲より多いため、ポリブチレンテレフタレートとの摺動性に劣る。比較例2は、PBNが本発明範囲より多く、PBTが本発明範囲より少ないため、耐熱性に劣る。比較例3は、末端カルボキシル基濃度が本発明範囲より高く、また固有粘度が本発明範囲より低いPBTを使用したため、耐衝撃性に劣る。比較例4は、固有粘度が本発明範囲より高いPBTを使用したため、耐熱性に劣る。比較例5は、末端カルボキシル基濃度が本発明範囲より高いPBTを使用したため、耐衝撃性に劣る。比較例6は、酸化防止剤が本発明範囲より少ないため、耐衝撃性、疲労特性が劣る。比較例7は、酸化防止剤が本発明範囲より多いため、耐衝撃性、疲労特性が劣る。比較例8は、衝撃改質剤が本発明範囲より少ないため、耐衝撃性、疲労特性に劣る。比較例9は、衝撃改質剤が本発明範囲より多いため、疲労特性、耐熱性に劣る。比較例10は、ポリアセタールであるため、同種材料であるポリアセタールとの摺動性に劣る。比較例11は、固有粘度が本発明範囲より低いPBTを使用したため、耐衝撃性に劣る。
さらに、実施例1に記載の樹脂組成物を射出成形することにより、図2記載の遊星歯車(外径:19.2mm、厚み:1.8mm、歯数:30)を作成した。この歯車を、中心にポリブチレンテレフタレート樹脂製の太陽歯車、遊星歯車の周りにポリアセタール製の内歯車を有する歯車機構で使用したが、作動はまったく問題なかった。
1 ゲート
2 ポリブチレンテレフタレート樹脂製の太陽歯車
3 本実施例に記載の樹脂組成物からなる遊星歯車
4 ポリアセタール製の内歯車

Claims (3)

  1. (A)ポリブチレンナフタレート樹脂(A成分)50〜95重量部および(B)末端カルボキシル基濃度が18eq/ton以下であり、かつ固有粘度が0.7〜1.1dl/gであるポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)50〜5重量部よりなる熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(C)ホスファイト系化合物、ホスフェート系化合物、ホスホナイト系化合物およびヒンダートフェノール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤(C成分)0.001〜5重量部、および(D)衝撃改質剤(D成分)1〜10重量部を含有する遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  2. D成分がゴム成分に芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート単量体からなる群より選ばれた1種以上を重合してなるゴム変性重合体であることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる遊星歯車。
JP2012064051A 2012-03-21 2012-03-21 遊星歯車用熱可塑性ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた遊星歯車 Active JP5833482B2 (ja)

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