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JP5833864B2 - 内燃機関の排ガス処理方法および排ガス処理制御システム - Google Patents
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内燃機関の排ガス処理方法および排ガス処理制御システム Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関の排ガス処理方法および排ガス処理制御システムに関し、特に内燃機関としてディーゼルエンジンを用いたディーゼルエンジンの排ガス処理方法および排ガス処理制御システムに関する。
内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)から排出される排ガスには、粒子状物質(Particulate Matter:以下「PM」ともいう。)、不燃成分からなるアッシュ(ASH)などの排ガス成分が含まれている。これらの排ガス成分が大気へ排出されると、大気汚染の原因になるため好ましくない。このような排ガス成分を排ガスから取り除くために、例えば、上記PMを捕集するためのパティキュレートフィルタ(Particulate Filter:以下「PF」ともいう。)がエンジンの排気通路内に設けられている。
このPFは、例えば、ハニカム形状の多孔質基材を備えており、該多孔質基材の表面でPMを捕集する。しかし、この多孔質基材に捕集できるPMの量には限界があり、これを超える量のPMがPFに堆積すると、PFが目詰まりを起こして排気抵抗が大きくなる。これによって、燃料消費率(g/KWh)の悪化やPFの溶損などの弊害が生じるおそれがある。このため、一般的には、ある程度のPMがPFに捕集された段階で、PFの再生処理として、当該PMがある程度堆積したPFを所定の温度(例えば、550℃〜650℃程度)に加熱することにより、PMを強制的に酸化・分解するPM強制酸化処理が行われる。
上記PF再生のためのPM強制酸化処理は、例えば、内燃機関の排気系内への燃料噴射などにより実施される。このPM強制酸化処理は、処理時間が長くなると燃料消費率の悪化やPFの溶損の原因になり得るため、PF内のPM堆積量に応じて適切なタイミングで行われることが望ましい。PM強制酸化処理を適切なタイミングで行うための方法の一例として、PFの上流側排ガス圧力と下流側排ガス圧力を測定し、その差圧(PF差圧)が一定の値を超えた場合にPM強制酸化処理を行うといった方法が挙げられる。PF差圧はPF内に堆積したPMの堆積量と相関関係を有しているため、PF差圧に基づいてPM強制酸化処理の開始タイミングを定めることで、PMの堆積量に応じた適切なタイミングでPM強制酸化処理を開始できる。
しかしながら、上述したように、排ガスにはPM以外にもアッシュなどが含まれており、PFにはアッシュも捕集される。このアッシュは、不燃の無機成分から構成されているため、上記PM強制酸化処理では分解されず、内燃機関の使用期間に応じPF内に堆積し続ける。したがって、PM強制酸化処理によりPMが好適に除去されていても、下流側の排ガス圧力はアッシュの堆積により経時的に低下していく。したがって、PF差圧のみでPM強制酸化処理の開始タイミングを定めると、アッシュの堆積による下流側の排ガス圧力低下によって、PMの堆積量が適量に達する前にPM強制酸化処理が始まってしまう。
このことに関連し、引用文献1には、アッシュ堆積量算出手段を備えたPM排出量推定装置に関する発明が開示されている。この発明では、アッシュ堆積量算出手段によってPF内に堆積したアッシュの堆積量を算出している。そして、上記アッシュ堆積量に基づいてアッシュ堆積量補正係数を算出しており、かかる補正係数によりPM強制酸化処理の開始時期を補正している。これによって、PF内のアッシュ堆積量が増加した場合であっても、正確なPM堆積量に基づいてPM強制酸化処理の開始時期を定めることができる。
特開2010−196498号公報
ところで、従来のPFのなかには、多孔質基材の表面にPMの酸化反応や燃焼反応を触媒する貴金属粒子などからなるPM酸化触媒が担持されているものがある。かかるPM酸化触媒が多孔質基材の表面に存在していることによって、比較的低温域からPMを効率よく酸化・分解することができる。
しかしながら、PM酸化触媒を有するか有しないかに拘わらず、従来の排ガス処理方法では、PM酸化触媒が担持されていない状態を想定してPM強制酸化処理の終了時間(換言すればPM強制酸化処理を継続する時間)を設定することが通常行われてきた。しかし、PM酸化触媒の酸化触媒能力が高い状態で発揮されている場合ではPM強制酸化処理の時間が必要以上に長く設定されがちとなる。このような状況では、本来必要とされない過剰なPM強制酸化処理が行われてしまい、PFの劣化や燃料消費率の悪化を招く虞がある。
従って、PM酸化触媒付きのPFにおいては、PM酸化触媒の酸化触媒能力を加味してPM強制酸化処理の終了時間(PM強制酸化処理継続時間)を設定することが本来望ましいのであるが、PM酸化触媒の酸化触媒能力はPF内のアッシュ堆積量に左右される。このため、アッシュの堆積に応じて経時的に変化するPM酸化触媒能力を正しく反映させつつPM強制酸化処理の終了時間(継続時間)を設定することは困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アッシュ堆積量に応じて経時的に変化するPM酸化触媒の酸化触媒能力を適切に反映させつつPM強制酸化処理時間を決定することができる排ガス処理方法および該方法を適切に実施するための排ガス処理制御システムを提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明によって以下の構成の排ガス処理方法が提供される。
即ち、本発明に係る排ガス処理方法は、内燃機関の排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集可能な多孔質基材と該基材上の少なくとも一部に担持されたPM酸化触媒とを備えるパティキュレートフィルタ(PF)が排気系に設けられた内燃機関の排ガス処理方法である。
そして、ここで開示される排ガス処理方法は、内燃機関の運転中にPFの上流側排ガス圧力と下流側排ガス圧力との差により求められるPF差圧を測定すること、ならびに、
上記測定されたPF差圧値に基づいてPF内のPM堆積量を推定し、該推定PM堆積量が所定の閾値を超えたときに上記PF内のPMを強制酸化する処理を開始することを包含する。
ここで開示される排ガス処理方法においては、上記PF差圧値に基づくPM堆積量の推定は、以下の(A)のように行われる。
(A)先ず、該推定を行うために測定された上記PF差圧値から、上記内燃機関の使用開始時に測定されたPF差圧値若しくは直前のPM強制酸化処理が終了した直後に測定したPF差圧値を差し引く。これによって、PMの堆積に起因するPF差圧値を算出する。そして、上記PM堆積量の推定は、該算出したPM堆積に起因するPF差圧値と、予め設定されている標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線(近似式)とに基づいて決定される。
また、ここで開示される排ガス処理方法では、(B)上記PM強制酸化処理の終了時期の決定プロセスが、以下のステップ(1)〜(3)を含む。即ち、
(1)当該PM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われている場合には当該PM強制酸化処理よりも1つ前のPM強制酸化処理が終了した直後に測定したPF差圧値或いは当該PM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われていない場合には上記内燃機関の使用開始時に測定されたPF差圧値と、予め設定されている標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線(近似式)とに基づいてPF内のアッシュ堆積厚さを推定する;
(2)該推定したアッシュ堆積厚さと、予め設定されている上記基材上のアッシュ堆積厚さと上記基材上に担持されたPM酸化触媒による上記基材上に堆積したアッシュ上に堆積したPMの減少速度との相関を示す検量線(近似式)とに基づいて該推定したアッシュ堆積厚さにおけるPM減少速度を決定する;
(3)上記決定したPM減少速度と上記推定したPM堆積量とからPM強制酸化処理に必要な時間を算出し、該PM強制酸化処理の終了時期を決定する;
また、ここで開示される排ガス処理方法の好ましい一態様では、上記アッシュ堆積厚さと上記PM減少速度との相関を示す上記検量線は、550〜650℃の範囲内にあるいずれかの温度条件でのPM減少速度を基礎として作成されており、上記PM強制酸化処理は、上記PF内を550〜650℃に加熱することにより行われる。また、上記PM酸化触媒としては、酸化セリウム、或いは酸化ジルコニウム、或いは酸化アルミニウム、或いはこれらの2種又は3種からなる複合酸化物に貴金属を担持したものが好ましく用いられる。例えば、上記PM酸化触媒としては、酸化セリウム及び/又は酸化アルミニウムと、貴金属との凝集体が好ましく用いられる。
ここで開示される排ガス処理方法では、上記(A)において、アッシュの堆積量に起因するPF差圧を差し引いたPF差圧値(PM堆積量に起因するPF差圧値)に基づいてPM堆積量を推定することによってPM堆積量を推定している。そして、上記(B)のステップ(1)において、アッシュの堆積量に起因するPF差圧に基づいてPF内に堆積したアッシュ厚さを推定する。そして、ステップ(2)において、上記推定されたアッシュの堆積量と、アッシュ堆積厚さとPM減少速度との相関を示す検量線(近似式)とに基づいて該推定したアッシュ堆積厚さにおけるPM減少速度を決定する。そして、ステップ(3)において、上記(A)で推定したPM堆積量と、上記ステップ(2)で決定したPM減少速度に基づいてPM強制酸化処理の終了時期を決定する。
ここで開示される排ガス処理方法によれば、アッシュの堆積により経時的に変化するPM酸化触媒の酸化触媒能力を反映して、PM強制酸化処理におけるPM減少速度を決定している。この酸化触媒能力の低下を反映したPM減少速度と、PM堆積量に起因するPF差圧値から推定したPM堆積量とに基づいてPM強制酸化処理の終了時間(即ちPM強制酸化処理の継続時間)を決定しているため、PM酸化触媒の酸化触媒能力に応じてPM強制酸化処理の処理時間を適切に調整することができる。したがって、ここで開示される排ガス処理方法によれば、PM強制酸化処理の処理時間を必要以上に長く設定することによる燃料消費率の悪化やPFの破損を好適に防止することができるとともに、PM強制酸化処理の処理時間の不足によるPFの詰まりも好適に防止できる。
また、本発明は、内燃機関の排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集可能な多孔質基材と該基材上の少なくとも一部に担持されたPM酸化触媒とを備えるパティキュレートフィルタ(PF)が排気系に設けられた内燃機関の排ガスを処理するための制御システムも提供する。この制御システムは、上記内燃機関の運転中に上記PFの上流側排ガス圧力と下流側排ガス圧力との差により求められるPF差圧を測定する手段と、上記測定されたPF差圧値に基づいてPF内のPM堆積量を推定し、該推定PM堆積量が所定の閾値を超えたときに上記PF内のPMを強制酸化する処理を開始するように構成された制御部とを備えている。
ここで、上記制御部は、(A)上記PM堆積量の推定を、該推定を行うために測定された上記PF差圧値から、上記内燃機関の使用開始時に測定されたPF差圧値若しくは直前のPM強制酸化処理が終了した直後に測定したPF差圧値を差し引くことによって、PMの堆積に起因するPF差圧値を算出し、該算出したPM堆積に起因するPF差圧値と、予め設定されている標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線(近似式)とに基づいて決定する。
また、上記制御部は、(B)上記PM強制酸化処理の終了時期の決定を、以下のステップ:
(1)当該PM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われている場合には当該PM強制酸化処理よりも1つ前のPM強制酸化処理が終了した直後に測定したPF差圧値或いは当該PM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われていない場合には上記内燃機関の使用開始時に測定されたPF差圧値と、予め設定されている標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線(近似式)とに基づいてPF内のアッシュ堆積厚さを推定する;
(2)該推定したアッシュ堆積厚さと、予め設定されている上記基材上のアッシュ堆積厚さと上記基材上に担持されたPM酸化触媒による上記基材上に堆積したアッシュ上に堆積したPMの減少速度との相関を示す検量線(近似式)とに基づいて該推定したアッシュ堆積厚さにおけるPM減少速度を決定する;
(3)上記決定したPM減少速度と上記推定したPM堆積量とからPM強制酸化処理に必要な時間を算出し、該PM強制酸化処理の終了時期を決定する;
に基づいて行うように構成されている。
ここで開示される排ガス処理制御システムによれば、上記「(1)アッシュ堆積厚さの推定」、上記「(2)PM減少速度の決定」を実施できる制御部を備えている。そして、該制御部は、(2)において決定したPM減少速度と、上記(A)において推定したPM堆積量とに基づいてPM強制酸化処理の終了時期を決定することができる。すなわち、上記制御部を備える排ガス処理制御システムによれば、上述の排ガス処理方法を好適に実施することができる。
また、本発明によれば、ここで開示される排ガス処理制御システムを備えることを特徴とする車両を提供することができる。上述のように、上記排ガス処理制御システムは、PM酸化触媒の酸化触媒能力に応じてPM強制酸化処理の処理時間を適切に調整する排ガス処理方法を実施することができるため、車両の燃料消費率を改善することができるとともに、PFの目詰まりを好適に防止することができる。
本発明の一実施形態に係る排ガス処理制御システムを示す模式図。 本発明の一実施形態に係る排ガス処理制御システムにおけるパティキュレートフィルタ(PF)を模式的に示した図。 標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線の一例を示すグラフ。 標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線の一例を示すグラフ。 アッシュ堆積厚さとPM減少速度との相関を示す検量線の一例を示すグラフ。 基材上に堆積したアッシュ上に堆積したPMの減少速度との相関を示す検量線(近似式)の一例を示す図。 本発明の一実施形態に係る排ガス処理制御システムの制御部における制御の一例を示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<排ガス処理制御システム>
ここでは、先ず、図1を参照しながら本発明の一実施形態に係る排ガス処理制御システム100について説明する。図1に示すように、排ガス処理制御システム100は、内燃機関(エンジン)1と制御部(ECU:Engine Control Unit)30と排ガス浄化部40とを備えている。
A.内燃機関
図1に示す構成の排ガス処理制御システム100では、内燃機関1は、ディーゼルエンジンを主体として構成されている(内燃機関1には、エンジンを駆動するためのアクセルやその他の操作系を含む。)。以下、かかるディーゼルエンジン1の構成を簡単に説明する。なお、以下に説明するディーゼルエンジン1は、上記内燃機関1の一例に過ぎない。本発明に係る排ガス処理制御システム100は、内燃機関1としてディーゼルエンジン以外のエンジン(例えばガソリンエンジン等)を用いることもできる。
内燃機関1は、複数の燃焼室2と、各燃焼室2に燃料を噴射する燃料噴射弁3とを備えている。各燃焼室2は、吸気マニホルド4および排気マニホルド5と連通している。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して、排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に接続されている。コンプレッサ7aの入口は、吸入空気量検出器8を介してエアクリーナ9に接続されている。吸気ダクト6内にはスロットル弁(EGRバルブ)10が配置されている。吸気ダクト6の周りには、吸気ダクト6内を流れる空気を冷却するための冷却装置(インタークーラー)11が配置されている。排気マニホルド5は、排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に接続されている。排気タービン7bの出口は、排ガスが流通する排気通路(排気管)12に接続されている。また、排気マニホルド5には排気系燃料噴射弁13が設けられている。詳しく後述するが、該排気系燃料噴射弁13は、PM強制酸化処理を実施する際に、PF80を備えた排気系に燃料Fを噴射することによってPF80内の温度を上昇させる。
排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは、排ガス再循環通路(以下、「EGR通路」と称する。)18を介して互いに連結されている。EGR通路18内には、電子制御式の制御弁19が配置されている。また、EGR通路18の周りには、EGR通路18内を流れるEGRガスを冷却するためのEGR冷却装置20が配置されている。
各燃料噴射弁3は、燃料供給管21を介してコモンレール22に接続されている。コモンレール22は、燃料ポンプ23を介して燃料タンク24に接続されている。ここでは燃料ポンプ23は、吐出量可変な電子制御式の燃料ポンプである。ただし、燃料ポンプ23の構成は特に限定される訳ではない。
B.排ガス浄化部
排ガス浄化部40は、上記内燃機関1に連通する排気系(ここでは、排気通路12)に設けられている。図1に示す構成の排ガス浄化部40では、排気通路12の下流側にPF80が設けられている。なお、排ガス浄化部40には、PF80が備えられていればよく、その他排ガス浄化のための部材については本発明を特に限定するものではない。例えば、PF80の上流側若しくは下流側に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の貴金属触媒粒子がハニカム状の基材に担持されてなる排ガス浄化用触媒が設けられていてもよい。
ここで、上記パティキュレートフィルタ(PF)80について、図2を参照しながら説明する。図2は、PF80の構造を模式的に示した図である。パティキュレートフィルタ80は、排ガス中に含まれる炭素微粒子などの可燃成分からなるPMや、不燃成分からなるアッシュを捕集する。なお、内燃機関1としてディーゼルエンジンを用いている場合には、PFとしてディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)を用いるとよい。
B−1.多孔質基材
PF80は、ハニカム構造に形成された多孔質基材82を有しており、排ガスが流れる方向に沿って複数の流路84が設けられている。かかるPF80に設けられている複数の流路84は、排ガスが流れる方向における上流側若しくは下流側の何れかが封止されている。この多孔質基材82は、多孔質構造を有した耐熱性素材で構成されていると好ましい。かかる耐熱性素材としては、コージェライト、炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)、チタン酸アルミニウム、窒化ケイ素や、ステンレス鋼などの耐熱性金属やその合金などが挙げられる。
PF80に供給された排ガスは、先ず、下流側が封止された流路84に流れ込む。そして、該流路84の下流側が封止されているため多孔質基材82を通過し、上流側が封止された流路84に入り、該上流が封止された流路84の下流側から排出される。排ガスに含まれているPMやアッシュは、排ガスが多孔質基材82を通過する際に多孔質基材82に捕捉される。
B−2.PM酸化触媒
また、PF80の多孔質基材82の少なくとも一部には、PM酸化触媒が担持されている。PM酸化触媒は、上記多孔質基材82に捕捉されたPMの酸化反応に対する酸化触媒能力を有する金属触媒粒子で構成されている。かかる金属触媒粒子としては、例えば、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの貴金属粒子や、該貴金属粒子を含んだ複合粒子などを好ましく用いることができる。これらの金属触媒粒子からなるPM酸化触媒が多孔質基材82上に担持されていることによって、多孔質基材82に捕捉されたPMの酸化・分解が容易になる。また、PM酸化触媒は、金属酸化物からなる担体に上記触媒金属粒子が担持されていることによって構成されているとより好ましい。上記PM酸化触媒としては、酸化セリウム、或いは酸化ジルコニウム、或いは酸化アルミニウム或いはこれらの2種又は3種からなる複合酸化物に貴金属を担持したものが好ましく用いられる。例えば、上記PM酸化触媒としては、酸化セリウム及び/または酸化アルミニウムと、貴金属との凝集体が好ましく用いられる。このようなPM酸化触媒は、上述の金属触媒粒子のみからなるPM酸化触媒よりも高い酸化触媒能力を有しているため、PMの酸化・分解がより容易になる。
C.差圧測定手段
ここで開示される排ガス処理制御システムは、上記内燃機関の運転中にPFの上流側の排ガス圧力と下流側の排ガス圧力を測定し、その差により求められるPF差圧値を測定する手段(差圧測定手段)を備えている。図1に示す構成の排ガス処理制御システムでは、上記差圧測定手段として差圧センサ50が設けられている。差圧センサ50は、一対の圧力センサ52,54を備えているとともに、後述の制御部30に電気的に接続されている。上記一対の圧力センサの一方52はPF80の上流側に取り付けられており、他方の圧力センサ54はPF80の下流側に取り付けられている。圧力センサ52,54は、PF80の上流側・下流側の排ガス圧力を測定し、該排ガス圧力を信号化して差圧センサ50に送る。差圧センサ50は、上流側の排ガス圧力と下流側の排ガス圧力との差により求められるPF差圧を測定し、当該PF差圧を後述の制御部30に送る。
なお、上記差圧測定手段は、PFの差圧を測定することができればよく、その構成は本発明を限定するものではない、例えば、上述のような差圧センサ50以外に、一対の圧力センサが制御部に直接接続されていてもよい。この場合、圧力センサがPFの上流側の排ガス圧力と下流側の排ガス圧力を測定し、その電気信号を制御部に送信する。そして、制御部が、上流側の排ガス圧力と下流側の排ガス圧力との差によりPF差圧を求めることができる。
D.制御部(ECU)
制御部(ECU)30は、主としてデジタルコンピュータから構成されており、排ガス処理制御システム100の稼働における制御装置として機能する。制御部30は、例えば、読み込み専用の記憶装置であるROM、読み書き可能な記憶装置であるRAM、任意の演算や判別を行うCPUを有している。また、制御部30には入力ポートが設けられており、内燃機関1や排ガス浄化部40の各部位に設置されているセンサ(例えば温度センサ15a,15bや吸入空気量センサ8など)などと電気的に接続されている。これによって、センサなどで検知した情報が、上記入力ポートを経て電気信号としてROM、RAM、CPUに伝達される。また、制御部30には出力ポートも設けられている。制御部30は、該出力ポートを介して、内燃機関1や、スロットル弁(EGRバルブ)10などに接続しており、これらの部材に制御信号を送信することによって各部材の稼働を制御している。
また、ここで開示される排ガス処理制御システムの制御部は、測定されたPF差圧値に基づいてPF内のPM堆積量を推定する。そして、該推定PM堆積量が所定の閾値を超えたときにPM強制酸化処理を開始する。このPM強制酸化処理は、上記PF内に堆積したPMを好適に酸化させることができる程度にPFを加熱するものであり、その具体的な態様は本発明を限定するものではない。
例えば、図1に示す構成の排ガス処理制御システム100では、制御部30は、入力ポートを介して上記差圧センサ50に接続しており、出力ポートを介して排気系燃料噴射弁13に接続している。この排ガス処理制御システム100では、上記差圧センサ50により測定されたPF差圧値が制御部30に送信される。制御部30は、差圧センサ50からのPF差圧値に基づいてPF内のPM堆積量を推定する(詳しくは後述する。)。そして、上記推定PM堆積量が所定の閾値を超えた場合、制御部30が、燃料噴射信号を作成して排気系燃料噴射弁13に送信する。そして、燃料噴射信号を受信した排気系燃料噴射弁13は、排気マニホルド5内に燃料Fを噴射する。これによって、排気系に供給される排ガス温度が上昇しPM強制酸化処理が開始される。
ここで、制御部30は、上記PM強制酸化処理の開始時期と終了時期をより適切に定めるために、「(A)PM堆積量の推定」と「(B)PM強制酸化処理の終了時期の決定」を含む排ガス処理方法を実施する。以下、当該制御部30より実施される排ガス処理方法について説明する。
(A)PM堆積量の推定
ここでは、制御部30は、PF80に堆積したPMの量(PM堆積量)に起因するPF差圧値に基づいて、PF80内のPM堆積量を推定する。具体的には、PM堆積量を推定するために測定されたPF差圧値(P)から、直前のPM強制酸化処理の終了直後に測定したPF差圧値(Pn−1)を差し引く。PM強制酸化処理終了直後のPF80内では、PMのほぼ全てが除去されているため、PM強制酸化処理終了直後のPF差圧値(Pn−1)は、PF80内のアッシュ堆積量に起因する。すなわち、上記PM堆積量を推定するために測定されたPF差圧値(P)から、直前のPM強制酸化処理終了直後のPF差圧値(Pn−1)を差し引くことによって、PM堆積量に起因するPF差圧値(PPM)を得ることができる。なお、直前のPM強制酸化処理が存在しない場合(初めてPM強制酸化処理を行う場合)、PM堆積量を推定するために測定されたPF差圧値(P)から、内燃機関1の使用開始時に測定されたPF差圧値(P)を差し引くことによって、上記PM堆積量に起因するPF差圧値(PPM)を算出することができる。
また、制御部30には、標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線(近似式)が予め設定されており、該検量線(近似式)と、上記PM堆積量に起因するPF差圧値(PPM)とに基づいてPF80内のPM堆積量を推定することができる。
この「標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線(近似式)」は、予備試験等によって予め定めるとよい。例えば、PM堆積量の異なる複数のPFを用意し、それぞれのPFにおいて上記PM堆積量に起因するPF差圧値(PPM)を算出した後に、PFを分解してPM堆積量の実測値を測定する。そして、算出したPF差圧値(PPM)と、PM堆積量の実測値との相関関係を調べることによって「標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線(近似式)」が得られる。このようにして得られた「標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線」の一例を図3に示す。図3に示される検量線ではPF差圧とPM堆積量とが正の相関関係を示しており、PM堆積量に起因するPF差圧値(PPM)が高くなれば、PF80内のPM堆積量も多くなる。
上述のように、上記PM堆積量に起因するPF差圧値(PPM)と、予め設定した検量線とに基づいて推定したPM堆積量は、PF80内のおける実際のPM堆積量を正確に反映する。したがって、かかる推定PM堆積量に基づいてPM強制酸化処理の開始時期を定めることによって、適切なタイミングでPM強制酸化処理を開始させることができる。
(B)PM強制酸化処理の終了時期の決定
次に、制御部30によるPM強制酸化処理の終了時期の決定について説明する。制御部30は、PM強制酸化処理の終了時期を決定するために、以下の「(B−1)アッシュ堆積厚さの推定」を経て、「(B−2)PM減少速度の決定」を行う。そして、「(B−2)PM減少速度の決定」において得られたPM減少速度と、上記「(A)PM堆積量の推定」において得られたPM堆積量とに基づいて「(B−3)終了時期を決定」する。なお、「(B−1)アッシュ堆積厚さの推定」及び「(B−2)PM減少速度の決定」は、上記「(A)PM堆積量の推定」が実施される前に実施されていてもよい。
(B−1)アッシュ堆積厚さの推定
ここでは、制御部30は、PF80内のアッシュ堆積厚さを推定する。具体的には、現在のPM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われている場合には、当該PM強制酸化処理よりも1つ前のPM強制酸化処理(直前のPM強制酸化処理)が終了した直後に測定したPF差圧値(Pn−1)を測定する。そして、該測定したPF差圧値(Pn−1)と、予め設定されている標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線(近似式)とに基づいてPF80内のアッシュ堆積厚さを推定する。上述したように、PM強制酸化処理の終了直後のPF差圧値(Pn−1)は、PF80内のアッシュ堆積厚さに起因するPF差圧値(PASH)であるため、予め設定した検量線(近似式)と、PM強制酸化処理終了直後のPF差圧値(Pn−1)(アッシュ堆積厚さに起因するPF差圧値(PASH))とを比較することによりPF80内のアッシュ堆積厚さを正確に推定することができる。なお、制御部30は、現在のPM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われていない場合(初めてPM強制酸化処理を行う場合)には、内燃機関の使用開始時に測定されたPF差圧値(P)をアッシュ堆積厚さに起因するPF差圧値(PASH)として上記検量線とを比較する。
上記「標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線(近似式)」は、種々の予備試験によって定めることができる。例えば、アッシュのみが堆積している(例えば、PM強制酸化処理後の)PFを複数用意し、それぞれのPFのアッシュ堆積厚さに起因するPF差圧値(PASH)を測定する。そして、該アッシュ堆積厚さに起因するPF差圧値(PASH)と、アッシュ堆積量との相関関係を調べることによって「標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線」を得ることができる。このようにして得られる「標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線」の一例を図4に示す。図4に示される検量線では、アッシュ堆積厚さに起因するPF差圧値(PASH)とアッシュ堆積厚さとは正の相関関係を示しており、アッシュ堆積厚さに起因するPF差圧値(PASH)が高くなるとアッシュ堆積厚さが多くなる。
(B−2)PM減少速度の決定
次に、制御部30は、上記「(B−1)アッシュ堆積厚さの推定」で得られたアッシュ堆積厚さと、予め設定されている基材上のアッシュ堆積厚さと基材上に担持されたPM酸化触媒による基材上に堆積したアッシュ上に堆積したPMの減少速度との相関を示す検量線(近似式)との比較に基づいてPM減少速度を決定する。PM減少速度とは、PF80内に堆積している(基材上に堆積したアッシュ上に堆積している)PMが、PM強制酸化処理中に減少する速度を示す。このPM減少速度は、PF80の多孔質基材82に担持されているPM酸化触媒の酸化触媒能力を反映して変化する。具体的には、PF80内にアッシュが堆積していない場合には、PM酸化触媒の表面がPMに接触し易くなっているため、高い酸化触媒能力が発揮されPM減少速度は速くなる。一方、PF80内のアッシュ堆積厚みが増加すると、PM酸化触媒の表面がアッシュに覆われるため、PM酸化触媒の酸化触媒能力が低下してPM減少速度は遅くなる。制御部30には、この「アッシュ堆積厚さとPM減少速度との相関を示す検量線(近似式)」が予め設定されている。
上記「アッシュ堆積厚さとPM減少速度との相関を示す検量線(近似式)」は、種々の予備試験によって求めることができる。例えば、アッシュ堆積量の異なる複数のPFを用意し、該PFの基材上に堆積したアッシュのさらに上にPMを堆積させる。そして、これらのPFに対して、所定の温度でPM強制酸化処理を所定時間(例えば1分間)行うことで減少したPM堆積厚さ(PM減少速度)を測定する。そして、アッシュ堆積厚さとPM減少速度との相関関係を調べることによって、PM減少速度を決定するための検量線(近似式)を得ることができる。このようにして得られるPM減少速度を決定するための検量線の一例を図5に示す。図5に示される検量線ではPM減少速度とアッシュ堆積厚さとは負の相関関係を示している。この検量線によると、PM減少速度は、アッシュ堆積厚さの増加に伴って減少する。これは、アッシュによってPM酸化触媒の表面が被覆されて、酸化触媒能力が低下していくためである。また、PM減少速度は、アッシュ堆積厚さが一定の値以上になると減少しなくなる。これは、PM酸化触媒上のアッシュ堆積厚さが一定値以上になると、アッシュ上に堆積したPMにPM酸化触媒による酸化触媒機能が全く届かなくなり、PM減少速度がアッシュの持つ酸化能力によるPM酸化速度に収束するためである。
また、PM減少速度は、上記PM酸化触媒の酸化触媒能力だけではなく、PM強制酸化処理における加熱温度によっても変化する。このため、上記「アッシュ堆積厚さとPM減少速度との相関を示す検量線」は、PM強制酸化処理における加熱温度と同じ温度条件でのPM減少速度を基礎として作成されていると好ましい。例えば、PM強制酸化処理が、PF内を550〜650℃に加熱することにより行われる場合、上記「アッシュ堆積厚さとPM減少速度との相関を示す検量線」の温度条件は、550〜650℃の範囲内にあるいずれかの温度条件を基礎として作成されているとよい。これによって、PM強制酸化処理におけるPM減少速度をより正確に推定することができる。
また、図6に示すように、「PM酸化速度」と「アッシュ堆積厚み」に加えて「加熱温度」を加えた3つのパラメータからなる相関関係を調べ、当該相関関係を満たすような複数の検量線が制御部30に予め設定されているとより好ましい。図6は、x軸に「アッシュ堆積厚さ(μm)」、y軸に「PM減少速度(μm/min)」、z軸に「加熱温度(℃)」を設定した3次元グラフである。この場合、制御部30には、図6における斜線部分を構成する複数の検量線が予め設定されている。このとき、制御部30は、PF80に取り付けられた温度センサ15a,15bより得られたPF80の温度情報に基づいて、複数の検量線の中から適切な検量線を採用する。そして、PF80の温度情報を考慮して採用された検量線とアッシュ堆積厚さとの比較に基づいて、より正確なPM減少速度を決定することができる。
また、「PM減少速度(μm/min)」は、排ガスの酸素濃度にも影響され得る。このため、「PM酸化速度」と「アッシュ堆積厚み」に加えて「排ガスの酸素濃度」を加えた3つのパラメータからなる相関関係を調べ、当該相関関係を満たすような複数の検量線が制御部30に予め設定されていてもよい。この場合、排気系に酸素濃度を検知できるセンサを設け、該検知された酸素濃度に基づいて適切な検量線を採用する。そして、排ガスの酸素濃度を考慮して採用された検量線とアッシュ堆積厚さとの比較に基づいて、より正確なPM減少速度を決定することができる。
(B−3)終了時期の決定
そして、制御部30は、上記「(B−2)PM減少速度の決定」において決定されたPM減少速度と、「(A)PM堆積量の推定」において推定されたPM堆積量とからPM強制酸化処理の終了時期を算出する。具体的には、PM堆積量に起因するPF差圧値(PPM)から推定されたPM堆積量を、現在の酸化触媒能力を反映したPM減少速度で割ることによって、PF80からPMを適切に除去できる処理時間を算出することができる。そして、この適切な処理時間に基づいてPM強制酸化処理の終了時期が決定される。なお、この際に、上記「PM減少速度」と上記「PM堆積量」以外のパラメータでPM強制酸化処理の終了時期を補正することもできる。終了時期の補正のためのパラメータとしては、例えば、PM強制酸化処理中に測定されたPF80の温度情報やPF差圧値、実際に排気系に噴射された燃料の量、排ガスの酸素濃度、排ガス流量などが挙げられる。
ここで開示される排ガス処理方法では、(A)アッシュの堆積量に起因するPF差圧を差し引いたPF差圧値に基づいてPM堆積量を推定することによって、PM強制酸化処理で除去できるPMの堆積量を推定する。次に、(B−1)アッシュ堆積厚さの推定し、(B−2)推定したアッシュ堆積厚さと予め設定した検量線(近似式)に基づいてPM減少速度の決定を行う。そして、(B−2)で得られたPM減少速度と(A)で得られたPM堆積量とに基づいて、(B−3)終了時期の決定を行う。ここで開示される排ガス処理方法によれば、アッシュの堆積により低下するPM酸化触媒の酸化触媒能力を考慮してPM減少速度を決定し、該PM減少速度に基づいてPM強制酸化処理の処理時間を決定している。したがって、PM強制酸化処理の処理時間を必要以上に長く設定することによる燃料消費率(g/KWh)の悪化やPFの破損を好適に防止することができる。また、PM強制酸化処理の処理時間の不足によるPFの詰まりも好適に防止できる。
以上、ここで開示される排ガス制御システム100及び排ガス処理方法について説明した。次に、上記排ガス処理方法の一例について図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。図7に示される制御は、「a.初回補正(S1)」、「b.初回IG−ON(S2)」、「c.初期差圧値(P)測定(S3)」、「d.IG−ON(S4)」、「e.エンジンの運転(S5)」、「f.のべオイル消費量の推定(S6)」、「g.アッシュ堆積厚さ推定1(S7)」、「アッシュ堆積厚さに起因するPF差圧推定値(P)の推定(S7’)」、「h.PM減少速度の決定(S8)」、「現在のPF差圧値(P)測定(S8’)」、「i.PM堆積量の推定(S9)」、「j.PM強制酸化処理の開始判定(S10)」、「k.PM強制酸化処理の開始(S11)」、「l.PM強制酸化処理の終了時期の推定(S12)」、「m.PM再生完了判定(S13)」、「n.PM強制酸化処理時間の経過判定(S14)」、「o.PF差圧値(P)測定(S15)」、「p.アッシュ堆積厚さ推定2(S16)」、「q.IG−OFF(S17)」、「r.PF状態の記憶(S18)」の工程を含む。以下、各工程について説明する。
a.初回補正(S1)
図7に示すフローチャートでは、先ず、PF80内のアッシュ堆積厚さと、PM堆積量を0にする補正を行う(S1)。これによって、後述のアッシュ堆積厚さやPM堆積量を正確に測定することができるようになる。
b.初回IG−ON(S2)
次に、制御部30は、初回のイグニッション(IG)がONになることをきっかけにして、排ガス処理制御を開始する。
c.初期差圧値(P)測定(S3)
制御部30は、制御開始後にPF80の初期差圧値(P)を測定する。かかる初期差圧値(P)は、PF80にPMもアッシュも堆積していない状態のPF差圧(多孔質基材82の構造に由来するPF差圧)を反映している。
d.IG−ONの判定(S4)
そして、上記「初期差圧値(P)の測定」が完了した時点で、イグニッションONが継続しているか否かを判定する。ここでの判定結果がNOの場合、制御部30はイグニッションがONになるまで監視を続ける。
e.エンジン運転状態の調査(S5)
上記「IG−ONの判定(S4)」の判定結果がYESになると、制御部30は、稼働しているエンジン(内燃機関)の運転状態を調査する(S5)。ここで制御部30による調査項目としては、例えば、エンジンの回転数、アクセル開度、エンジンに供給される燃料の量、排ガス温度、車両の走行速度、油温、水温などが挙げられる。これらのパラメータは、以下の制御において、補正値として用いることができる。
f.のべオイル消費量の推定(S6)
次に、制御部30は、内燃機関(エンジン)1の運転状態に基づいて、内燃機関1に供給されるオイルののべ消費量を推定する(S6)。例えば、ここで開示される制御を1回実施する時間を1サイクルとした場合に、エンジン回転数、車両の走行速度、エンジンに供給される燃料の量などに基づいて、該1サイクルにおいて内燃機関(エンジン)1に供給されるであろうオイルの量を推定する。一般的に、PF80に堆積するアッシュはエンジンオイルの燃焼により生じる。このため、ここで得られた「のべオイル消費量の推定値」は、後述の「アッシュ堆積厚さ推定1(S7)」におけるアッシュ堆積厚さの値を補正するために用いることができる。
g.アッシュ堆積厚さ推定1(S7)
次に、制御部30は、1回目のPF80に堆積したアッシュ厚さの推定(S7)を実施する。具体的には、上記「c.初期差圧値(P)の測定(S3)」にて得られたPF80の初期差圧値(P)と、予め設定されている標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線とに基づいてPF80内のアッシュ堆積厚さを推定する。また、制御部30は、このステップS7の直後に、上記推定したアッシュ堆積厚さに基づいて、アッシュ堆積厚さから推定されるアッシュ起因のPF差圧値(P)を推定するステップS7’を実施する。
h.PM減少速度の決定(S8)
次に、制御部30は、ステップS8において、上記「1回目のアッシュ堆積厚さ推定(S7)」で得られたアッシュ堆積厚さと、「アッシュ堆積厚さとPM減少速度との相関を示す検量線(近似式)」に基づいて、現在のPF80にPM強制酸化処理を行った場合のPM減少速度を決定する。また、制御部30は、このステップS8の直後に、現在のPF80におけるPF差圧値(P)を測定するステップS8’を実施する。
i.PM堆積量の推定(S9)
次に、制御部30は、PF80におけるPM堆積量を推定する(S9)。ここでは、上記ステップS8’で測定した現在のPF差圧値(P)から、上記ステップS7’で推定したアッシュ起因のPF差圧値(P)を差し引く。これによって、PF80内に堆積したPMに起因するPF差圧値(PPM)が算出される。そして、「標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線(近似式)」と、上記PMに起因するPF差圧値(PPM)とに基づいてPF80におけるPM堆積量を推定する。なお、このステップS9では、後述のステップS13を経ていない場合(初回の制御を行っている場合)に、上記現在のPF差圧値(P)の代わりにステップS3で得られた初期差圧値(P)を採用し(即ちP=P)、P=P以外の制御を行っている場合に上述の処理を実施する。
j.PM強制酸化処理の開始時期判定(S10)
制御部30は、上記「PM堆積量の推定(S9)」において推定されたPF80におけるPM堆積量に基づいてPM強制酸化処理の開始時期を判定する(S10)。具体的には、PM堆積量に対する閾値が制御部30に予め設定されており、推定されたPM堆積量が該閾値を上回ったか否かを判定する。ここでの判定結果がNOであれば、ステップS5に戻り、エンジン運転状態の調査を再開する。
k.PM強制酸化処理の開始(S11)
上記「PM強制酸化処理の開始判定(S10)」がYESになった場合、制御部30はPM強制酸化処理を開始する(S11)。図1に示す構成の排ガス処理システム100の場合、先ず、制御部30が燃料噴射信号を作成し、排気系燃料噴射弁13に送信する。これにより、排気系燃料噴射弁13は、排気系(ここでは排気マニホルド5内)に燃料を噴射する。噴射された燃料は排気系内で燃焼されて、PMが酸化により分解される程度の温度(例えば、500℃〜700℃)まで排ガスの温度を上昇させる。
l.PM強制酸化処理の終了時期の推定(S12)
ここで、制御部30は、上記PM強制酸化処理の開始に伴い、上記「PM減少速度の決定(S8)」で得られたPM減少速度と、「PM堆積量の推定(S9)」で得られたPM堆積量とに基づいて、PM強制酸化処理の終了時期を推定する(S12)。具体的には、PM堆積量をPM減少速度で割ることによって、PF80に堆積したPMが好適に除去されるまでの時間の予測値が算出される。制御部30は、この予測値に基づいてPM強制酸化処理の終了時期を決定する。
m.PM再生完了判定(S13)
上記PM強制酸化処理が実施されている間、制御部30は、現在のPF差圧値と、制御部30に設定された基準値とを対比し続ける。このとき、現在のPF差圧値が、ステップS7’で推定したアッシュ起因のPF差圧値(P)とステップS3で測定した初期差圧値(P)とを足した値(P)を下回った場合(若しくは予め設定された許容値を下回った場合)に、PF80に堆積していたPMが適切に除去されたと判定し(YES)、PM強制酸化処理を終了させ、PF80のPF差圧(P)測定(S15)に進む。
n.PM強制酸化処理時間の経過判定(S14)
一方、上記PM除去完了判定(S13)がNOの間でも、上記「PM強制酸化処理の終了時期の決定(S12)」で決定した終了時間を経過する(YES)と、制御部30は、PM強制酸化処理を終了させる。なお、上記「PM除去完了判定(S13)」と「PM強制酸化処理時間の経過判定(S14)」の判定結果がNOである間は、PM強制酸化処理が継続される。
o.強制酸化処理直後のPF差圧値(P)測定(S15)
上記PM強制酸化処理が終了すると、制御部30は、PM強制酸化処理終了直後におけるPF80のPF差圧値(P)を測定する。かかるPM強制酸化処理終了直後におけるPF80のPF差圧値(P)は、多孔質基材82に堆積したアッシュの堆積厚さを反映しており、次項の「q.2回目のアッシュ堆積厚さの推定」や、次回の制御における「i.PM堆積量の推定(S9)」に用いられる。
p.アッシュ堆積厚さ推定2(S16)
次に、制御部30は、PM強制酸化処理終了直後におけるPF80のPF差圧(P)に基づいて、上記PM強制酸化処理後のアッシュの堆積厚さを推定する(S16)。ここでは、PM強制酸化処理終了直後におけるPF80のPF差圧値(P)と、上記「アッシュ堆積厚さ推定1(S7)」で用いた検量線と同種の検量線とに基づいてPF80内のアッシュ堆積厚さを推定する。
q.IG−OFF(S17)
そして、制御部30は、イグニッションがOFFになっているか否かを判定する。この判定結果がNOの場合、上記「e.エンジン運転状態の調査(S5)」に戻り、制御を繰り返す。
r.PF状態の記憶(S18)
一方、上記「IG−OFF(S17)」がYESの場合、制御部30は、PM強制酸化処理後に測定されたPFの状態を記憶した後に制御を終了する。このときに記憶される情報としては、例えば、ステップS15において得られたPF差圧値(P)と、ステップS16において得られたアッシュ堆積厚さが挙げられる。また、現状のPF差圧値を測定し、現状のPF差圧値からステップS15において得られたPF差圧値(P)を差し引くことによって、現状のPM堆積量を算出し、該算出されたPM堆積量を記憶してもよい。
ここで開示される排ガス処理方法及び排ガス処理システムによれば、アッシュの堆積により低下するPM酸化触媒の酸化触媒能力を考慮して、PM強制酸化処理の処理時間を決定している。したがって、PM強制酸化処理の処理時間を必要以上に長く設定することによる燃料消費率(g/KWh)の悪化やPFの破損を好適に防止することができる。また、PM強制酸化処理の処理時間の不足によるPFの詰まりも好適に防止できる。このため、より低コストでPFの詰まりを防止できるため、車両の燃費をより好適に改善することができる。
1 内燃機関(エンジン)
2 燃焼室
3 燃料噴射弁
4 吸気マニホルド
5 排気マニホルド
6 吸気ダクト
7 排気ターボチャージャ
7a コンプレッサ
8 吸入空気量検出器(吸入空気量センサ)
9 エアクリーナ
10 スロットル弁(EGRバルブ)
11 冷却装置(インタークーラー)
12 排気通路(排気管)
13 排気系燃料噴射弁
15a,15b 温度センサ
18 、排ガス再循環通路「EGR通路」
20 EGR冷却装置
21 燃料供給管
22 コモンレール
23 燃料ポンプ
24 燃料タンク
30 制御部(ECU:Engine Control Unit)
40 排ガス浄化部
50 差圧センサ
52 上流側の圧力センサ
54 下流側の圧力センサ
80 パティキュレートフィルタ(PF)
82 多孔質基材
84 流路
100 排ガス処理制御システム

Claims (6)

  1. 内燃機関の排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集可能な多孔質基材と該基材上の少なくとも一部に担持されたPM酸化触媒とを備えるパティキュレートフィルタ(PF)が排気系に設けられた内燃機関の排ガス処理方法であって、
    前記内燃機関の運転中に前記PFの上流側排ガス圧力と下流側排ガス圧力との差により求められるPF差圧値を測定すること、ならびに、
    前記測定されたPF差圧値に基づいてPF内のPM堆積量を推定し、該推定PM堆積量が所定の閾値を超えたときに前記PF内のPMを強制酸化する処理を開始すること、
    を包含し、ここで、
    (A)前記PM堆積量の推定は、
    該推定を行うために測定された前記PF差圧値から、前記内燃機関の使用開始時に測定されたPF差圧値若しくは直前のPM強制酸化処理が終了した直後に測定したPF差圧値を差し引くことによって、PMの堆積に起因するPF差圧値を算出し、該算出したPM堆積に起因するPF差圧値と、予め設定されている標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線(近似式)とに基づいて決定されており、
    (B)前記PM強制酸化処理の終了時期の決定は、以下のステップ:
    (1)当該PM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われている場合には当該PM強制酸化処理よりも1つ前のPM強制酸化処理が終了した直後に測定したPF差圧値或いは当該PM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われていない場合には前記内燃機関の使用開始時に測定されたPF差圧値と、予め設定されている標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線(近似式)とに基づいてPF内のアッシュ堆積厚さを推定する;
    (2)該推定したアッシュ堆積厚さと、予め設定されている前記基材上のアッシュ堆積厚さと前記基材上に担持されたPM酸化触媒による前記基材上に堆積したアッシュ上に堆積したPMの減少速度との相関を示す検量線(近似式)とに基づいて該推定したアッシュ堆積厚さにおけるPM減少速度を決定する;
    (3)前記決定したPM減少速度と前記推定したPM堆積量とからPM強制酸化処理に必要な時間を算出し、該PM強制酸化処理の終了時期を決定する;
    を含むことを特徴とする、排ガス処理方法。
  2. 前記アッシュ堆積厚さと前記PM減少速度との相関を示す前記検量線は、550〜650℃の範囲内にあるいずれかの温度条件でのPM減少速度を基礎として作成されており、前記PM強制酸化処理は、前記PF内を550〜650℃に加熱することにより行われる、請求項1に記載の排ガス処理方法。
  3. 前記PM酸化触媒として、酸化セリウム又は酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウム又はこれらの2種又は3種からなる複合酸化物に貴金属を担持したものが使用される、請求項1又は2に記載の排ガス処理方法。
  4. 内燃機関の排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集可能な多孔質基材と該基材上の少なくとも一部に担持されたPM酸化触媒とを備えるパティキュレートフィルタ(PF)が排気系に設けられた内燃機関の排ガスを処理する制御システムであって、
    前記内燃機関の運転中に前記PFの上流側排ガス圧力と下流側排ガス圧力との差により求められるPF差圧を測定する手段と、
    前記測定されたPF差圧値に基づいてPF内のPM堆積量を推定し、該推定PM堆積量が所定の閾値を超えたときに前記PF内のPMを強制酸化する処理を開始するように構成された制御部と、
    を備えており、ここで該制御部は、
    (A)前記PM堆積量の推定を、
    該推定を行うために測定された前記PF差圧値から、前記内燃機関の使用開始時に測定されたPF差圧値若しくは直前のPM強制酸化処理が終了した直後に測定したPF差圧値を差し引くことによって、PMの堆積に起因するPF差圧値を算出し、該算出したPM堆積に起因するPF差圧値と、予め設定されている標準PF差圧とPM堆積量との相関を示す検量線(近似式)とに基づいて決定し、
    (B)前記PM強制酸化処理の終了時期の決定を、以下のステップ:
    (1)当該PM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われている場合には当該PM強制酸化処理よりも1つ前のPM強制酸化処理が終了した直後に測定したPF差圧値或いは当該PM強制酸化処理よりも前にPM強制酸化処理が行われていない場合には前記内燃機関の使用開始時に測定されたPF差圧値と、予め設定されている標準PF差圧と標準アッシュ堆積厚さとの相関を示す検量線(近似式)とに基づいてPF内のアッシュ堆積厚さを推定する;
    (2)該推定したアッシュ堆積厚さと、予め設定されている前記基材上のアッシュ堆積厚さと前記基材上に担持されたPM酸化触媒による前記基材上に堆積したアッシュ上に堆積したPMの減少速度との相関を示す検量線(近似式)とに基づいて該推定したアッシュ堆積厚さにおけるPM減少速度を決定する;
    (3)前記決定したPM減少速度と前記推定したPM堆積量とからPM強制酸化処理に必要な時間を算出し、該PM強制酸化処理の終了時期を決定する;
    に基づいて行うように構成されていることを特徴とする、排ガス処理制御システム。
  5. 前記アッシュ堆積厚さと前記PM減少速度との相関を示す前記検量線は、550〜650℃の範囲内にあるいずれかの温度条件でのPM減少速度を基礎として作成されており、前記PM強制酸化処理は、前記PF内を550〜650℃に加熱することを包含する、請求項4に記載の排ガス処理制御システム。
  6. 前記PM酸化触媒として、酸化セリウム又は酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウム又はこれらの2種又は3種からなる複合酸化物に貴金属を担持したものが使用される、請求項4又は5に記載の排ガス処理制御システム。

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