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JP5836616B2 - 音声信号処理装置 - Google Patents
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Description

本発明は、音声信号処理装置に関する。
音声信号処理装置として、音声をマイクにより採取して録音する録音装置がある。音声を録音する録音機能は、録音装置のような録音のみを行う装置に採用されているだけではなく、撮像装置のような音声と映像とを同時に取得してムービーの生成が可能な装置にも搭載されている。
このような録音機能を搭載する装置には、音声信号に重畳される風切り音(風雑音)を低減する機能が搭載されてきている。当該低減技術として、特許文献1はマイクにより集音する音声に重畳する風切り音をハイパスフィルタで減衰する技術、および、ハイパスフィルタの時定数を雑音の大きさに基づいて変更する技術を開示している。特許文献2は、風を検出するために熱電対を用い、その出力にあわせて風切り音のレベルを推測し、雑音低減の為に使用するハイパスフィルタを選択している。
特開平5−176211号公報 特開平5−328480号公報
しかしながら、上述の提案技術では、風切り音を検出するまでに時間を要し、風切り音発生初期の雑音が精度良く低減できない。
そこで、本発明は、風切り音の発生初期の雑音低減することを目的とする。
本発明に係る音声信号処理装置は、音声入力手段と、前記音声入力手段から入力された音声信号を一時的に記憶する記憶手段と、前記記憶手段から供給される音声信号から雑音を低減するための第1の雑音低減手段と、前記第1の雑音低減手段から出力される音声信号から雑音を低減するための第2の雑音低減手段と、前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルに応じて、前記第1の雑音低減手段の時定数を設定し、前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルに応じて、前記第2の雑音低減手段の時定数を設定する設定手段と、前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段との接続を切り替える切替手段と、前記第1の雑音低減手段の時定数が設定された後に、前記雑音を含む音声信号を、前記記憶手段から前記第1の雑音低減手段に供給する制御手段とを有し、前記設定手段は、前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段とが前記切替手段によって接続された後に、前記第2の雑音低減手段の時定数を設定することを特徴とする。
また、本発明に係る音声信号処理装置は、音声入力手段と、前記音声入力手段から入力された音声信号を一時的に記憶する記憶手段と、前記記憶手段から供給される音声信号から雑音を低減するための第1の雑音低減手段と、前記第1の雑音低減手段から出力される音声信号から雑音を低減するための第2の雑音低減手段と、前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルに応じて、前記第1の雑音低減手段の時定数を設定し、前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルに応じて、前記第2の雑音低減手段の時定数を設定する設定手段と、前記第1の雑音低減手段の時定数が設定された後に、前記雑音を含む音声信号を、前記記憶手段から前記第1の雑音低減手段に供給する制御手段とを有し、前記設定手段は、前記第1の雑音低減手段の時定数が設定された後に、前記第2の雑音低減手段の時定数を設定することを特徴とする。
本発明によれば、風切り音の発生初期の雑音を低減することができる。
発明の実施形態1に対応する音声信号処理装置のブロック図。 発明の実施形態に対応する雑音低減部の特性を説明する図。 発明の実施形態に対応する雑音低減部の他の特性を説明する図。 発明の実施形態に対応する雑音低減部の構成をアナログ回路で模式的に示す図。 発明の実施形態に対応する雑音低減処理のタイミングチャート。 発明の実施形態に対応する雑音低減処理の効果を説明する図。 発明の実施形態に対応する雑音検出処理のフローチャート。 発明の実施形態に対応する雑音低減処理のフローチャート。 発明の実施形態2に対応する音声信号処理装置のブロック図。 発明の実施形態2に対応する雑音低減処理のフローチャート。 発明の実施形態2に対応する音声信号処理装置の別態様を示すブロック図。
以下、添付図面を参照して発明の実施形態を説明する。
[実施形態1]
図1は、発明の実施形態1に対応する音声信号処理装置の構成例を示すブロック図であり、ステレオマイクを有する録音装置の例を示している。なお、音声信号処理装置は、当該録音装置の主要構成を含む撮像装置であってもよい。その場合、撮像装置は、音声と映像とを同期して記録可能な装置であればよく、たとえば、動画撮影機能を有するデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等が含まれるが、それらに限定されるものではない。
マイク11R、11Lは、音声を検出する音声検出部であって、ステレオマイクとして対になっている。マイク11R、11Lからのアナログ音声信号は、利得変更部12に出力される。利得変更部12は、利得変更部12は、被写体音が小さい場合にはマイク11R、11Lの出力の増幅率を大きくしてS/Nを向上させる。一方で、被写体音が大きい時には増幅率を小さくして、増幅回路内での飽和を防止する。なお、音声信号をデジタル処理したい場合には、利得変更部12がアナログ・デジタル変換器(ADC)を含むことができ、マイクからのアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。また、デジタル信号に変換する際に、利得を制御して所望の利得が得られるようにする。
記憶部13は利得変更部12から入力された音声信号を一時的に記憶しておくバッファである。記憶部13からの出力は雑音低減部14に入力される。雑音低減部14は図2aや図2bに示す特性を有する複数のハイパスフィルタ段(14a、14b)で構成される。フィルタの段数は、本実施形態では2段としてるが、3段以上としてもよい。なお、図1ではマイクを左右で2本設けてあるのに対し、その後の信号処理の出力ラインは1本しかないが、実際には左右のマイク毎に個別に雑音低減信号処理が行われている。
図2aは、マイクに入力された音声のマイクからの出力音声の周波数特性を示す。横軸は周波数、縦軸は入力される音声信号の出力時の利得を示している。図2aにおいて10Hzより低い周波数の音声信号が減衰している(利得が低い)ことが分かる。ここには人の声も含まれ、被写体音源には10Hz以下の低周波は殆どないので、図2aのような特性を有する雑音低減部による被写体音の劣化は起こらない。図2bも、同様にマイクの出力音声の周波数特性であるが、ここでは200Hzより低い周波数の音声信号が減衰している場合を示している。風切り音の様に風がマイクにあたって発生する雑音は、200Hz以下の周波数成分が多い。そのため、図2bの特性にすることで音声信号に含まれる風切り音の低減が可能となる。
以下、図2aの特性から図2bの特性に切り替える方法について説明する。まず、雑音低減部が図3のようなアナログ回路で形成されている場合を説明する。
図3は公知のアナログ・ハイパス・フィルタであり、コンデンサ222と可変抵抗223とバッファアンプ221で構成されている。制御信号224は、可変抵抗223の抵抗値を制御するための制御信号であり、例えば雑音低減制御部19から与えられる。コンデンサ222と可変抵抗223のインピーダンス積により図2aの10Hz、図2bの200Hzが設定できる。例えば、可変抵抗223の抵抗値を大きくして図2aの特性にし、制御信号224により可変抵抗223の抵抗値を小さくして図2bの特性にすることができる。また、ハイパスフィルタを公知の差分方程式などのデジタルフィルタで形成する場合、入力値及び前回の出力値に掛け合わされる係数を調整することで図2a、図2bの特性が実現できる。また、ハイパスフィルタの動作中に上記係数を変更することで、図2aの特性から図2bの特性に変更することができる。
図1に戻って、第1雑音低減部14aからの出力は、第2雑音低減部14bを経て、あるいは、そのまま後述する次数変更部15、利得復元部16を介して音声記録部17に記録される。音声記録部17は記録媒体に音声信号を記録する記録媒体であって、固体メモリ、DVD、ハードディスク、テープ等を含むが、特定の種類の記録媒体に限定されるものではない。
雑音検出部18は、記憶部13から入力された音声信号より風切り音を検出する。一般的にステレオマイクに入力される被写体音声は、左右のチャンネル間で強い相関関係があるのに対して風切り音は無相関であることが多い。そこで雑音検出部18はまず、マイク11Rおよび11Lにより得られた音声信号を比較する。もし、両者に相関が無い場合には風切り音が発生していると判定し、且つ、相関の無い信号振幅に基づいて、風切り音のレベルを判定することができる。具体的に振幅が大きければ、風切り音が大きいと判定することができる。なお、相関判定は、一部の帯域に注目して行ってもよい。例えば、雑音検出部18が400Hz以下の周波数帯における相関性の高さを判定することにより、風切り音が大きいか否かを判定しても良い。
雑音低減制御部19は、雑音検出部18で検出された雑音信号のタイミングと大きさとを受けて雑音低減部14の特性を変更する。当該変更は、雑音低減部14を構成するハイパスフィルタの雑音低減特性を制御する時定数を変更することで実現する。例えば、図2aの状態から図2bの状態に変更する。
本実施形態では、図2aに示すフィルタ特性を、「時定数の大きなハイパスフィルタ特性」と呼ぶ。その一方で、図2bに示すフィルタ特性を、「時定数の小さなハイパスフィルタ特性」と呼ぶ。そして、雑音検出部18が検出する雑音のレベル(マイク11R、11Lの無相関波形の振幅の大きさ)に応じて、時定数を決定できる。例えば、雑音レベルが一定値に満たないような風切り音の場合、図2bまで至らない100Hz以下を減衰させるハイパスフィルタ特性を用いる。一方、雑音レベルが一定値以上になるような大きな風切り音の場合、図2bに示す200Hz以下を減衰させるハイパスフィルタ特性を用いる。なお、更に大きな風切り音の場合、400Hz以下を減衰させるハイパスフィルタ特性を用いてもよい。このように、風切り音の大きさに応じて、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を変更することができる。
雑音低減制御部19は、第2雑音低減部14bも制御し、その時定数を変更する。第2雑音低減部14bは第1雑音低減部14aと同じ構成のハイパスフィルタとすることができる。本実施形態で第1雑音低減部14aおよび第2雑音低減部14bの2つを設けた理由は、以下の通りである。すなわち、第1雑音低減部14aは風切り音の大きさに応じてその特性を変更してゆく。風切り音が大きい時はハイパスフィルタを400Hz以下を減衰する特性にまで変更する。しかしながらそれ以上大きな風切り音の場合に更に時定数を小さくして、例えば600Hz以下を減衰させるハイパスフィルタ特性にすることはない。これは減衰させる周波数を高くしてゆくと、被写体の音声信号まで影響を受けて、劣化してしまうためである。
そこで本実施形態では、ハイパスフィルタ時定数の変更ではなく、次数の変更で対応する。即ち、2つのハイパスフィルタを直接に接続することで減衰を開始させる周波数は変化させずに低周波の減衰性能を高める。雑音低減制御部19は、次数変更部15に対して切替信号を出力し、次数変更部15の内部スイッチを切り替えて、雑音低減部14を再構成する。次数変更部15は、第1雑音低減部14aのみ通過した音声信号と、第1雑音低減部14aおよび第2雑音低減部14bを通過した音声信号を次数変更部15で切り替えて利得復元部16に出力する。なお、次数変更部15の配置箇所は、第1雑音低減部14aと第2雑音低減部14bとの出力端でなくてもよい。たとえば、第1雑音低減部14aの出力端に接続し、第2雑音低減部14bをバイパスするか、第2雑音低減部14bを通過させるかを切り替えるようにしてもよい。また、第2の雑音低減部14bではなく第1雑音低減部14aをバイパスするか否かを切り替えるようにしてもよい。この場合、第2の雑音低減部14bは常に使用され、第1雑音低減部14aは、検出雑音レベルに応じて使用される。
雑音低減制御部19は風切り音のレベルが極めて大きくなり、雑音低減部14aだけでは対応できなくなった場合に、次数変更部15を切り替えて第1雑音低減部14a及び第2雑音低減部14bを通過した音声信号を利得復元部16に入力させる。利得復元部16は利得変更部12で変更された利得のばらつきを元に戻す役割を担っている。例えば、通常は利得変更部12で20倍のゲインを与えている時には利得復元部16のゲインは1、利得変更部12の利得が変更され、2倍のゲインを与えている時は利得復元部16のゲインは10となる。これにより、利得復元部16から出力される音声信号は共通に20倍のゲインが与えられていることになる。
利得変更部12が音声信号を20倍から2倍までの範囲でゲイン変更するのは、風切り音レベルが高くなって音声信号が飽和するのを防ぐためである。例えば、マイク11に入力された音声信号に混入した風切り音のレベルが大きい場合には、利得変更部12でのゲインを2倍にし、小さい場合には20倍にする。そのため、雑音検出部18において検出された雑音のレベルの検出結果を利得変更部12にフィードバックして、ゲインを調整している。よって、利得復元部16で10倍のゲインを与えると再び飽和が生ずることになるが、実際には第1雑音低減部14a及び第2雑音低減部14bで風切り音レベルが低減されているので飽和が生ずることは無い。
全体制御部20は、音声信号処理装置の全体的な動作を制御する。本実施形態では、雑音低減処理を実行するための各機能ブロックの主な動作を説明するが、当該動作は全体制御部20による制御の元に実行される。
図4は図1のブロックのタイミングチャートであり、横軸は時間、縦軸は各要素の動作を表している。まず、雑音検出部18は、記憶部13に一時的に保存されている音声信号を読み出して雑音検出処理を行う。波形41は雑音検出部18の検出結果であり、対のマイク11R、11Lの相関状態およびその時の音圧レベルにより風切り音(風圧レベル)を検出している。波形41では時刻t1で風切り音が発生している。
雑音検出部18は、波形41の振幅値に基づいて風切り音の発生及びそのレベルを判定する。レベル判定は雑音検出部18に設定されたレベル判定用の閾値を用いて行ってもよい。雑音検出部18は、風切り音の発生を検知すると、風切り音の発生と検出したレベルを後述するように、記憶部13に通知し、音声処理指示として音声信号と同期して記憶させる。雑音低減制御部19は、音声信号に記録された音声処理指示に含まれる雑音レベルに基づいて時定数及び次数を決定して第1雑音低減部14a及び第2雑音低減部14bと、次数変更部15とを制御する。
図4では、時刻t1で第1雑音低減部14aの時定数1の設定が開始される。よって、時刻t1で風切り音が検出された後、実際に雑音低減処理が開始されるのは、波形44で示すように時刻t2である。この波形44は、検出された雑音が処理されるタイミングを示している。時刻t1からt2の間に、波形42で示すように第1雑音低減部14aの時定数1が小さくなる方向に変化する。風切り音のレベルによっては、例えば、図2aから図2bの時定数に対応するように変化させることができる。時刻t2で時定数1の設定が終了すると、第1雑音低減部14aは記憶部13から音声信号を読み出す。このように、本実施形態では音声信号を記憶部13に一時的に保存しておくので音声処理の系のために音声信号を遅延させることができ、処理を行うタイミングで音声信号を読み出すことができる。
図4に示す例では、雑音低減制御部19は時刻t1における波形41の検出レベルでは図2bの特性までハイパスフィルタ特性を変更する必要は無いと判定する。その場合、雑音低減制御部19は、例えば100Hz以下を減衰させるフィルタ特性にまで時定数1を小さくした時点で時定数1の変更を終了する。レベルの判定手法としては、風切り音のレベルを閾値により複数段階に分け、段階毎に時定数を1つずつ関連づけておき、検出された風切り音のレベルが属する段階に応じて時定数を決定することができる。あるいは、風切り音の振幅値を入力とする線形関数に基づいて、検出された個々の風切り音のレベルに応じた時定数を決定してもよい。
時定数の変更は時刻t2にちょうど終了する様に設定してあり、時刻t2で音声信号から雑音を低減する処理を開始するときにはハイパスフィルタは既に所望の特性で待機状態にある。また、時定数の変更を時刻t1から時刻t2の間で一定時間をかけて徐々に変更している理由は以下の通りである。
まず、ハイパスフィルタの時定数を切り替える際に注意しなくてはならないのは出力位相の変化が生じることである。例えば図2bに示した200Hz以下を減衰させる1次のハイパスフィルタでは200Hzの信号位相は元の信号と比べて45度変化している。それに対して図2aに示すような10Hz以下を減衰させる1次のハイパスフィルタでは200Hzの信号位相の変化は少ない。そのため図2aから図2bへ特性を瞬時に切り替えると200Hz信号の連続性が失われ、そのタイミングで不要な雑音が発生する。それを避けるために所定時間(例えば100ms)を費やして時定数を「大」から「小」に徐々に変更している。この所定時間は、時定数を変化させる場合には固定値としてもよい。その場合には、例えば、最大の変化幅(例えば、10Hzから200Hz)で時定数を連続的に変化させた場合に、信号の連続性が損なわれない時間とすることができる。
次に時刻t3では、波形41に示すように雑音検出部18が更に大きな風切り音の発生を検出している。雑音低減制御部19は、時刻t2で設定したハイパスフィルタの特性では風切り音低減に不十分であるとして、第1雑音低減部14aのハイパスフィルタの時定数1を更に小さく設定する。ここでは、ハイパスフィルタの特性を図2bに示した200Hz以下を減衰させる特性にまで時刻t3からt4までの間で変更する。t4−t3の時間も上記の所定時間に相当する。
次に、時刻t5では波形41に示すように雑音検出部18が更に大きな風切り音の発生を検出している。この場合も、雑音低減制御部19は雑音低減部14aであるハイパスフィルタの時定数1を更に小さくして音声の低周波領域の減衰を大きくし、雑音の低減を図ることも考えられる。例えば400Hz以下を減衰させる特性にまで変更することである。しかしながら低減を開始する周波数を高周波側に変更(例えば200Hzを400Hzに変更)してゆくと被写体の音声までも減衰してしまい、違和感のある音声記録となってしまう。
そこで本実施形態では、低減すべき雑音レベルが所定レベルより大きくなった場合は、第1雑音低減部14aであるハイパスフィルタ時定数1を小さくするのではなく、更にハイパスフィルタを直列に追加することで対応する。即ち、第1雑音低減部14aであるハイパスフィルタの出力を第2雑音低減部14bであるハイパスフィルタに入力する。これによりハイパスフィルタの時定数では無く、次数を増やすことで雑音レベルの低減を図る。
この場合、低減を開始する周波数を高周波側に変更(例えば200Hzを400Hzに変更)しないので被写体音への影響は少なくなる。雑音レベルが小さい場合に対しても上記次数を増やす対策を行うことも考えられる。しかし、次数を増やすことも被写体音への影響は少なからず生じる為に雑音レベルが小さい場合には、即ち雑音低減部14aであるハイパスフィルタのみを使用することで高品位の音声録音が行える。
雑音低減部14の次数の切り替えは図1に示した様に次数変更部15のスイッチ切り替えで行う。即ち、次数変更部15には第1雑音低減部14aであるハイパスフィルタの出力、および、第1雑音低減部14aであるハイパスフィルタと第2雑音低減部14bであるハイパスフィルタとの直列接続出力信号の両者が入力されている。次数変更部15は、波形45に示すような雑音低減制御部19からの次数切替信号に応じて、パスを切替える。図4の例では、時刻t5に、第1雑音低減部14a単体のパスから、第1雑音低減部14a及び第2雑音低減部14bのパスに切り替える。
次数の切り替えに応じて第2雑音低減部14bの時定数2が変更される。時定数2の変更は、第1雑音低減部14aの場合と同様に時間をかけて行う。図4では、時刻t5からt6までの時間をかけて第2雑音低減部14bの特性が、10Hz以下を減衰させる特性から200Hz以下を減衰させる特性に変更される。この結果、次数が変更され、第2雑音低減部14bの時定数2の変更も終了した時刻t6では、風切り音低減に十分な特性となっている。次に、波形41に示すように時刻t7では、風切り音のレベルが下がるので、波形43に示すように第2雑音低減部14bの時定数2を時刻t8からt9にかけて大きくして初期の特性(例えば10Hz以下を減衰させる特性)に戻す。また、第1雑音低減部14aの時定数1を、時刻t7で検出された雑音レベルに応じて時刻t8からt9にかけて大きくして、例えば50Hz以下を減衰させる特性に変更する。時定数を大きくする場合、風切り音のレベルが下がる前の遅延された音声信号の処理が終了するまで時定数の変更タイミングを遅延させる。図4の例では、時刻t7で風切り音のレベルの低下が検出されても、実際に時定数の変更が開始されるのは時刻t8である。
また、時刻t9で時定数の変更が終了した後、雑音低減制御部19は波形45に示すように、次数変更部15を制御して、第1雑音低減部14aのみのパスに切り替える。波形41に示すように時刻t10では風切り音レベルが更に下がるので波形42に示すように第1雑音低減部14aの時定数を時刻t11からt12にかけて大きくして初期の特性(例えば10Hz以下を減衰させる特性)に戻す。
このようにして、記憶部13に一時的に音声信号を保持し、必要な処理を順に行っていく音により、風切り音の発生初期から適切な時定数に基づく雑音低減を行うことが可能となる。なお、図4の波形46は利得復元部16の補正利得の様子をあらわしている。前述した様にマイク11R、11Lであるマイクの増幅レベルは被写体の大きさにより自動設定される(ALC:オート・レベル・コントロール)。これは小さな被写体音もクリアに録音すること及び大きな被写体音も増幅による飽和無く録音するためである。そのため風切り音が生じるとそのレベルに応じてマイクの増幅レベルが小さくなる。前述したように風切り音は雑音低減部14により低減されるので、マイクの増幅レベルが小さいと風切り音処理後の被写体音声は小さくなり不自然となる。
そこで風切り音処理後に変更された増幅レベルの補完(利得復元)を行う。図1においては次数変更部15の出力が利得復元部16に入力され、その利得を復元して音声記録部17に出力する。尚、利得復元部16にはマイクの増幅レベルを変更する利得変更部12の利得変更信号が入力され、どのタイミングでどれくらい利得が変更されたかを伝えている。そのため利得復元部16はその信号にあわせて利得の復元を行う。
図4の波形46は利得復元レベルを表しており、ちょうど風切り音の発生レベル変化と各時刻で同期している。例えば時刻t1で風切り音が発生するとマイクの増幅レベルが小さくなるので、雑音処理後の音声に対してはその分増幅の補完を行うべく波形46に示す様に時刻t2より徐々に増幅レベルを上げている。ここで利得を徐々に変化させているのは利得を急激に変化させることによる違和感を防ぐ為である。その後の時刻においても風切り音レベルに合わせて変化するマイクの増幅レベルを補うように利得の復元を行う。
次に図5(a)から(f)を参照して、本発明の効果について対比説明する。本実施形態では、雑音低減部14は雑音発生に先立って、特性を調整して待機することが可能であり、その結果として音声信号における雑音発生直後から雑音低減効果がある。図5(a)は被写体音に風切り音が重畳している波形であり、横軸は時間、縦軸は音圧レベルを示している。ここで51a、53aは風切り音が無く被写体音のみの場合にマイク11R或いは11Lが検出する波形であり、男性の声のスペクトルにより擬似的に表している。52aは波形51aに風切り音が重畳している波形であり、風切り音のスペクトルより擬似的に表した波形に波形51aを混合している。
図5(b)は図5(a)の波形を図2bで示す特性の雑音低減部14で処理した結果であり、風切り音である低周波成分は低減している(波形52bに低周波成分がない)。しかしながら波形51b、53bを波形51a、53aと比較すると若干低周波成分が劣化している。即ち、被写体音も雑音低減部14による影響を受けている。そこで風切り音の発生している期間だけ雑音低減部14を動作させることを考える。図5(c)はその結果であり、波形51c、53cでは雑音低減処理を行わず、波形52cの区間のみ雑音低減部14を動作させている。そのため波形51a、53aと波形51c、53cは差がない。波形52cにおける風切り音の低減も十分行えているように見える。
図5(d)は図5(b)と図5(c)との差を示している。風切り音の発生しない波形51d、53dの区間においては雑音低減部14で劣化した波形51b、53bと雑音低減部14を作動させていない波形51c、53cの差になるので雑音低減部14による被写体音の劣化状態が示される。
風切り音が発生している波形52dの区間においては共に雑音低減部14を作動させている為に同じ波形になり波形52c、52bの差はゼロになる筈である。ところが図5(d)に示すように、波形52dの初期においては丸で囲んだ範囲54にて風切り音未処理の部分が残っている。これは雑音低減部14を作動させても直ぐにはその効果が得られない為である。
そこで、例えば図5(b)の様に常に雑音低減部14を作動させた波形と図5(a)のように雑音低減部14未処理の波形の両者を常に用意しておく。そして、風切り音が発生したときにのみ図5(b)の波形を図5(a)の波形に切り替える方法も考えられる。この場合、既に風切り音発生前に雑音低減部14が作動しているので範囲54の様な未処理の波形は無くなる。しかしながら、切替を行うとその接合部が不連続になる問題がある。これは雑音低減部14により変形された信号(減衰や位相のズレあり)と、雑音低減部14により変形されていない元の信号とを接続するためである。この不連続部分が音として聞こえる場合、品位のない録音となってしまう。
図5(e)は、本実施形態に対応する処理を示している。波形51e、53eでは雑音低減部14を作動させていないので図5(c)の手法と同様に被写体音の劣化は生じない。風切り音の発生している波形52eに関しても雑音低減部14の作動により風切り音である低周波成分は減衰している。
図4のタイミングチャートで説明したように、雑音低減部14は風切り音発生に先立って周波数減衰特性を変化させていき(時定数を小さくしてゆき)、風切り音発生時点ではその風切り音レベルを低減するのに適したフィルタ特性になっている。即ち、波形51eの後半期間55で、雑音低減部14が徐々に作動して、雑音低減効果が出てくる。このように雑音低減部14の時定数を時間をかけて(期間55)小さくしてゆく構成にしているので雑音低減部14を突然作動させる図5(c)の場合に比べて、雑音低減部14の作動前後の波形の連続性が保たれる。
図5(f)は図5(e)と図5(b)の差を示している。風切り音の発生しない波形51f、53fの区間においては雑音低減部で劣化した波形51b、53bと雑音低減部を作動させていない波形51e、53eの差になるので雑音低減部による被写体音の劣化状態が示される。風切り音が発生している波形52fの区間においては共に雑音低減部14を作動させている為に同じ波形になり波形52e、52bの差はゼロになる筈である。図5(f)に示すように本実施形態では丸で囲んだ範囲56の風切り音発生初期においても風切り音の低減が行えており高品位の録音が可能になっている。
次に図6を参照して、本実施形態における雑音検出部18における処理を説明する。当該処理は音声の録音開始と共にスタートする。
マイク11R、11Lにて図1の記憶部13に音声が記憶されるのと同期してスタートする。S601では、雑音検出部18がマイク11R、11Lの比較を行うことで風切り音の検出を行う。もし、風切り音が検出されると(S601で「YES」)S602に進む。風切り音が検出されない間は(S601で「NO」)、風切り音の発生を監視する。続くS602では、雑音検出部18が、雑音レベルをマイク11R、11Lの相関性のない波形の振幅(音圧)や、或いはローパスフィルタにより被写体音を減衰させた後の波形の振幅等を利用して測定する。
続くS603では、風切り音を検出したタイミングとそのレベルを、雑音検出部18が記憶部13に通知する。記憶部13は、風切り音処理指示として、記憶部13に記憶される音声信号と同期して記録する。この時、雑音検出部18における検出遅れを見込んだタイミングで風切り音の処理を指示する「音声処理指示」を記録する。その後S601に戻る。
次に図7を参照して、本実施形態における雑音低減処理および利得復元、音声記録の処理を説明する。当該処理は、音声の録音開始より所定の時間遅れてスタートする。この時間遅れは、雑音検出部18の検出遅れや雑音低減部14の起動遅れを見込んだものである。まず、雑音低減制御部19は、図6の処理で記録された音声処理指示の記録を確実に読み出せるだけの遅れを持って、記憶部13から音声信号を読み出して処理を行う。第1雑音低減部14aはそれより更に、時定数を変更するために必要な所定時間の遅れをもって、記憶部13から音声信号を読み出して処理を行う。あるいは、全体制御部20が、各機能ブロックにおける、音声信号の読み出しタイミングを制御してもよい。
まず、S701では雑音低減制御部19は、記憶部13に記録されている音声信号を走査しつつ、図6のS603で記録された音声処理指示を探す。もし、音声処理指示を見つけた場合(S701で「YES」)、S702に移行する。音声処理指示が見つからない場合はS701で監視を継続する。
続くS702、S703及びS704では、雑音低減制御部19は、音声処理指示に記録されている雑音レベルを判定し、雑音レベルに応じた雑音低減の選択を行う。雑音レベルの判定は、各レベルに対応する閾値を用いて判定する。レベル1は閾値Th1を、レベル2は閾値Th2を、レベル3は閾値Th3をそれぞれ用いる。まず、S702では、雑音レベルが最も高いレベル3(閾値Th3)以上か否かを判定しており、レベル3以上の場合(S702で「YES」)S709に進み、そうでないときは(S702で「NO」)S703に進む。S703では、雑音レベルが中間レベルのレベル2(閾値Th2)以上か否かを判定し、レベル2以上の場合(S703で「YES」)S708に進み、そうでないときは(S703「NO」)S704に進む。S704では雑音レベルが最も低いレベル1(閾値Th1)以上か否かを判定し、レベル1以上の場合(S704で「YES」)S705に進む。雑音レベルが閾値Th1に満たない場合(S704で「NO」)、レベル検出不能として、音声処理指示を無視してS701に戻る。
S705では第1雑音低減部14aの時定数1を対応する時定数に変更する。ここでは雑音レベルが低いので時定数をそれほど小さくせず、例えば100Hz以下の雑音を減衰させるフィルタ特性に対応する時定数:τ1に時定数を変更する。本実施形態では、所定時間(例えば、100ms)をかけて時定数を変更するが、当該変更は、雑音低減制御部19からの制御信号24に基づいて行うことができる。
続くS706では、雑音低減部14で処理した音声波形に対して利得復元部16により利得を復元する。前述のように、風切り音が発生したときには利得変更部12により音声を電気信号に変換する利得が自動的に小さくなる。よって、風切り音低減処理を行った後で、その利得変化分を補完して録音レベルを一定に保っている。続くS707では利得復元された音声信号を記録媒体21に記録してS701に戻る。
次に、S703でレベル2以上と判定された場合を説明する。S708では、雑音低減制御部19が、第1雑音低減部14aの時定数1を対応する時定数に変更する。このときの雑音レベルは比較的高いので、時定数を十分小さくし、例えば200Hz以下の雑音を減衰させるフィルタ特性に対応する時定数:τ2にまで、所定時間をかけて変更する。その後S706に移行する。
次に、S702でレベル3以上と判定された場合を説明する。この場合、第1雑音低減部14aだけなく、第2雑音低減部14bも作動させて雑音の低減を行う。そのためS709では、雑音低減制御部19が、次数変更部15を切り替えて第1雑音低減部14a、第2雑音低減部14bを直列接続した2次のハイパスフィルタによる処理を選択する。
続くS710では第1雑音低減部14aおよび第2雑音低減部14bの各時定数を、次数変更部15作動後に変更する。この時の雑音レベルは最大レベルであるので、時定数を変更する上限も最大レベルとなる。例えば200Hz以下の雑音を減衰させるフィルタ特性に対応する時定数:τ2にまで所定時間をかけて変更する。尚、第1雑音低減部14aの時定数1が既に時定数τ2にまで変更済である場合は、第2雑音低減部14bの時定数2のみ変更すればよい。その後、S706に移行する。以上の処理は、音声記録終了の指示があるまで継続する。
以上のように、本実施形態では音声信号を一時的に記憶部13に記憶させておくと共に、予め風切り音の発生箇所を検出して記録しておく。そして実際の雑音低減処理では、検出された風切り音の発生タイミングに先だって、雑音低減部であるハイパスフィルタの時定数を検出された雑音レベルに対応する値に変更しておく。これにより、ハイパスフィルタの特性を、音声信号における風切り音の発生箇所直前で、十分な風切り音低減特性を有するように安定させておくことができる。よって、雑音低減処理に対する風切り音の検出遅れや雑音低減部の起動遅れの影響は解消され、かつ、雑音低減部の起動前後における信号の連続性も保たれて高品位な音声記録が可能となる。
[実施形態2]
以下、実施形態2を説明する。本実施形態では、雑音検出の機構として熱電対を使用する構成を説明する。図8は、実施形態2に対応する音声信号処理装置の構成例を示す図である。図8では、音声採取のための機構としてモノラルマイクを用いている。
音声検出部80はマイクユニット81、マイク82、マイク支持部材83、熱電対84で構成され、部分的に示してある音声信号処理装置の筐体85に取り付けてある。筐体85には孔85aが設けてあり、孔85aを通って音声がマイク82に到達する。マイク82はマイクユニット81に対して防振ゴムで成型されたマイク支持部材83により弾性支持されているので、録音機器自体が発生する振動が音声として記録されない構造になっている。
熱電対84はマイクユニット81に取り付けられている。熱電対84は風速計などに利用されており、風で熱電対84が冷えることによる抵抗変化により風速を検出する。孔85aより流入する風はマイクユニット81内で対流するため、マイクにあたる風と熱電対84にあたる風の位相がずれる可能性がある。そこで、熱電対84はマイク82のできるだけ近傍に配置される必要がある。熱電対84をマイクユニット81内に配置すると、筐体85に対して熱電対84が露出しないため、信頼性が高くなる。
マイク82の音声信号は、実施形態1と同様に雑音低減処理されて記録媒体21に記録される。熱電対84の信号は雑音検出部18に入力される。雑音検出部18は熱電対84の信号を増幅し、公知のウィンドコンパレータ等を用いて風速の有無とそのレベルを検出する。雑音低減制御部19は、雑音検出部18からの風切り音レベルに応じて実施形態1で説明したのと同様に、雑音低減部14を制御して、風切り音の低減処理を行う。
一般に、熱電対による風速の検出には遅れが生ずる。従って、リアルタイムで風切り音を処理しようとする場合、この検出遅延のために発生初期段階の風切り音の低減が困難であった。そこで、本実施形態では雑音検出部18と雑音低減制御部19との間に新たに遅れ補正部86が設ける。遅れ補正部86は、熱電対84の検出遅れ(例えば0.2秒)が設定されており、図6のS603では、この検出遅れ分と時定数変更時間分を見込んで雑音低減部14の起動タイミングを決定し、記憶部13に記憶された音声信号に音声処理の指示を記録する。そのために記録媒体21への音声記録時には風切り音の検出遅れは解消される。
電源状態検出部87は電源88の消耗状態を検出しており、電源が所定レベルまで下がった場合に、雑音検出部18に通知して熱電対84の駆動を停止する。これは熱電対84を駆動することで電源が更に消耗するためである。電源状態検出部87は、同時に雑音低減制御部19にも通知して雑音低減部14に対する時定数をその時点で設定していた時定数に固定的とする。なお、録音開始時から電源が消耗している場合、熱電対84を一度駆動して風切り音レベルを検出した後に、雑音低減部14a、14bの特性と次数変更部15の状態とを決定し、それらを固定した後に熱電対84の駆動を中止する。電源88は、音声信号処理装置が動作するための電源を供給する、例えばバッテリーであって、図8では電源状態検出手段87以外との接続関係を省略しているが、各機能ブロックに電源供給を行っている。なお、図1では、発明の動作と直接に関連しないため、記載を省略していたものである。
図9は上記を説明するフローチャートであり、このフローは音声信号処理装置の電源が投入後に開始される。S901では電源状態検出部87により電源状態の検出を行い、所定レベルよりも消耗している状態が検出された場合(S901で「YES」)、S902に進む。電源が所定レベルより消耗していない場合は(S901で「NO」)、S901に戻って、電源状態の監視を継続する。この場合は、通常の雑音低減処理が実行されることになる。
続くS902では、録音を開始してから既に雑音検出が行われたか否かを判定し、検出済の場合(S902で「YES」)S907に移行する。まだ、雑音検出が行われていない場合(S902で「NO」)、S903に進む。この雑音検出処理の有無については、雑音検出部18が、前回の検出値を有しているか否かに基づいて判定すればよい。なお、検出値は電源投入時にリセットされるものとして、電源投入時は雑音検出が行われていないと判定される。
続くS903では、雑音検出部18が熱電対84の駆動して、続くS904では熱電対84により風切り音レベルを検出する。S905では、検出した風切り音のレベルに応じて雑音低減制御部19が雑音低減部14a、14bの時定数を決定し、次数変更部15の状態を決める。この時、既に雑音検出が行われて時定数、次数が設定されている状態であるならば、既に設定されている時定数及び次数を変更しない。一方、新たに雑音検出を行った場合(即ち、S902で「NO」と判定された場合)は、S904で検出された雑音レベルに合わせた時定数及び次数を設定する。なお、設定値はその後固定される。なお、時定数、次数を変更する場合、例えば雑音低減部14aの時定数を変更後に次数変更部15で次数を切り替え、その後に雑音低減部14bの時定数を変更する。続くS906では、雑音検出部18が熱電対84の駆動を停止して省電力化を図りS901に戻る。
S907では、雑音検出部18が、前回の雑音検出から一定時間が経過しているか否かを判定する。ここで一定時間は、例えば0.5sと設定することができる。もし、一定時間が経過している場合には(S907で「YES」)、S903に移行する。一方。一定時間が経過していない場合には(S907で「NO」)、S905に移行する。
以上の構成によれば、熱電対84の稼働による電源消耗を抑えることができる。この方法は省電力化には貢献するが、雑音低減部14の時定数、次数を固定的に設定してしまうとその後の風切り音の変化に対応できない場合も出てくる。そこで、S907において前回の雑音検出後に一定時間が経過したか否かを判定し、熱電対84を間欠的に駆動することを可能とする。これにより、風切り音の変化に対応できるとともに、電源消費を抑制して省電力化を図ることができる。
以上のように実施形態2では熱電対を用いて雑音検出を行ったが、実施形態1のような対のマイクの出力相関値に基づく風切り音検出と組み合わせて風切り音検出精度を上げることもできる。例えば、対のマイク出力相関値を用いて風切り音発生タイミングを掴み、そのレベルは熱電対で検出する方法がある。また、共に風切り音を検出しているときのみ風切り音が発生していると判定して雑音低減処理を行ってもよい。
また、図8ではモノラルマイクの実施形態であったが、ステレオマイクにおいても熱電対を用いることもできる。例えば図10に示すように熱電対84はステレオマイクの片方にのみ設けてあり、その出力で左右の各チャンネルの音声信号を処理しても良いし、ステレオマイクの両方に熱電対84を設け、その平均値で音声信号処理を行っても良い。
以上説明した発明の実施形態2では、風切り音検出のために熱電対を設けることで更に高精度に風切り音の検出ができる。
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (11)

  1. 音声入力手段と、
    前記音声入力手段から入力された音声信号を一時的に記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段から供給される音声信号から雑音を低減するための第1の雑音低減手段と、
    前記第1の雑音低減手段から出力される音声信号から雑音を低減するための第2の雑音低減手段と、
    前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルに応じて、前記第1の雑音低減手段の時定数を設定し、前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルに応じて、前記第2の雑音低減手段の時定数を設定する設定手段と、
    前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段との接続を切り替える切替手段と、
    前記第1の雑音低減手段の時定数が設定された後に、前記雑音を含む音声信号を、前記記憶手段から前記第1の雑音低減手段に供給する制御手段と
    を有し、
    前記設定手段は、前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段とが前記切替手段によって接続された後に、前記第2の雑音低減手段の時定数を設定することを特徴とする音声信号処理装置。
  2. 前記切替手段は、前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルが所定のレベル以上である場合、前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段とを接続することを特徴とする請求項1に記載の音声信号処理装置。
  3. 前記切替手段は、前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルが前記所定のレベル以上でない場合、前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段とを接続しないことを特徴とする請求項2に記載の音声信号処理装置。
  4. 前記第1の雑音低減手段は、ハイパスフィルタであり、
    前記第2の雑音低減手段は、ハイパスフィルタであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の音声信号処理装置。
  5. 前記第1の雑音低減手段は、第1の周波数以下の周波数に対応する音声信号を減衰させ、
    前記第2の雑音低減手段は、第2の周波数以下の周波数に対応する音声信号を減衰させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の音声信号処理装置。
  6. 音声入力手段と、
    前記音声入力手段から入力された音声信号を一時的に記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段から供給される音声信号から雑音を低減するための第1の雑音低減手段と、
    前記第1の雑音低減手段から出力される音声信号から雑音を低減するための第2の雑音低減手段と、
    前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルに応じて、前記第1の雑音低減手段の時定数を設定し、前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルに応じて、前記第2の雑音低減手段の時定数を設定する設定手段と、
    前記第1の雑音低減手段の時定数が設定された後に、前記雑音を含む音声信号を、前記記憶手段から前記第1の雑音低減手段に供給する制御手段と
    を有し、
    前記設定手段は、前記第1の雑音低減手段の時定数が設定された後に、前記第2の雑音低減手段の時定数を設定することを特徴とする音声信号処理装置。
  7. 前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルに応じて、前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段との接続を切り替える切替手段を有し、
    前記切替手段は、前記記憶手段に記憶される音声信号に関する雑音のレベルが所定のレベル以上である場合、前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段とを接続することを特徴とする請求項6に記載の音声信号処理装置。
  8. 前記切替手段は、前記記憶手段に記憶される音声信号の雑音のレベルが前記所定のレベル以上でない場合、前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段とを接続しないことを特徴とする請求項7に記載の音声信号処理装置。
  9. 前記設定手段は、前記第1の雑音低減手段と前記第2の雑音低減手段とが前記切替手段によって接続された後に、前記第2の雑音低減手段の時定数を設定することを特徴とする請求項7または8に記載の音声信号処理装置。
  10. 前記第1の雑音低減手段は、ハイパスフィルタであり、
    前記第2の雑音低減手段は、ハイパスフィルタであることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の音声信号処理装置。
  11. 前記第1の雑音低減手段は、第1の周波数以下の周波数に対応する音声信号を減衰させ、
    前記第2の雑音低減手段は、第2の周波数以下の周波数に対応する音声信号を減衰させることを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の音声信号処理装置。
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