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JP5837893B2 - 除菌フィルター - Google Patents
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Description

本発明は、水耕栽培の養液や河川から取水した農業用水などの液体を通し、液体中の細菌類を低減させる除菌フィルターに関するものである。
本出願人は従前より、水耕栽培に循環式で用いる養液や河川から取水した農業用水などを通し、銀などの金属の有する抗菌作用(除菌作用)で液体中の細菌類を低減させる除菌フィルターを提案している(例えば、特許文献1,2参照)。このうち、特許文献1の除菌フィルターは、多孔質セラミックス焼結体の表面に、無機銀系抗菌剤のスラリーを付着させた後、熱処理を施すことにより、無機銀系抗菌剤をセラミックス焼結体の表面に焼き付けたものである。無機銀系抗菌剤は、有機銀系抗菌剤に比べて耐薬品性や耐腐食性に優れる利点がある。また、無機銀系抗菌剤が焼き付けられたコーティング層から液体中への銀の溶出量は、有機銀系抗菌剤に比べて低く抑えることが可能であるため、抗菌成分が農作物の根に与える悪影響や、環境に与える負荷を低減できる利点がある。
更に、特許文献2では、無機系抗菌剤を担持させた多孔質セラミックス焼結体を、容器内に多段に配設した除菌フィルターを提案している。具体的には、無機系抗菌剤を担持させた多孔質セラミックス焼結体である除菌層成型体は、銀または銅イオンからなる抗菌成分をイオン交換法により担持させたリン酸塩系の抗菌剤と、SiO、Alを含む無機バインダーと、粒状セラミックスとを混合し、ドーナツ状に成形した後、焼成したものである。そして、このような除菌層成型体の複数が、中央に排出パイプを垂設した円筒状の容器内に多段に積重されており、上下に重ね合わされた除菌層成型体の間に、液体の流れを乱す邪魔板が配されている。この邪魔板は、外径が容器の内径と等しく内径が排出パイプの外径より大きい大径邪魔板と、内径が排出パイプの外径と等しく外径が容器の内径より小さい小径邪魔板とがあり、大径邪魔板と小径邪魔板とが交互に配されている。
かかる構成により、容器の上方から導入された液体の流れは、容器の底部に向かって直線的に流下するのではなく、大径邪魔板及び小径邪魔板によって流下方向が乱される。これにより、流下する液体と、除菌層成型体に担持された抗菌剤との接触が増え、効率良く液体を除菌することができる。また、邪魔板の存在により、除菌層成型体の間に空隙が形成されるため、その空隙において液体が自由な方向に動くことが可能となる。これにより、除菌層成型体を液体が偏った位置で流下することが抑制され、液体が抗菌剤と接触する可能性がより増大するため、より効率良く液体を除菌することができる。
しかしながら、特許文献2の除菌フィルターは、特許文献1の除菌フィルターに比べて除菌の効率が高い利点を有する一方で、径の異なる大径邪魔板と小径邪魔板とをそれぞれ複数用意して除菌層成型体の間に交互に配する必要があり、構成が複雑で製造に手間がかかる点で改善の余地があるものであった。また、小径邪魔板によって流れを乱された液体は、除菌層成型体と容器の内壁との境界に沿って流れるおそれがあり、大径邪魔板によって流れを乱された液体は、除菌層成型体と排出パイプの外壁との境界に沿って流れるおそれがあり、このような場合、液体は除菌層成型体に担持された抗菌剤による抗菌作用を十分に受けることができない。そのため、特許文献2の除菌フィルターでは、容器の内壁と排出パイプの外壁とを、それぞれ除菌シートで被覆する構成を採用しており、更に構成が複雑となっていた。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、多孔質セラミックス焼結体に無機系抗菌剤を担持させた除菌フィルターであって、簡易な構成でありながら、高い効率で液体を除菌できる除菌フィルターの提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる除菌フィルターは、「多孔質セラミックス焼結体に無機系抗菌剤を担持させた柱状のフィルター基体、該フィルター基体の側周面が樹脂で被覆された側周面樹脂層、及び前記フィルター基体の両端面の周縁部がそれぞれ樹脂で被覆された一対の端面周縁部樹脂層を具備する単層フィルター、が複数積重されており、前記単層フィルターのそれぞれにおいて、前記側周面樹脂層及び一対の前記端面周縁部樹脂層は、熱収縮性樹脂チューブによって一体形成されていると共に、隣接する前記フィルター基体の間に、前記端面周縁部樹脂層の厚さの2倍の距離の空隙が形成されている」ものである。
「多孔質セラミックス焼結体」の「セラミックス」の種類は特に限定されるものではなく、アルミナ質、ムライト質、ジルコニア質、マグネシア質、炭化珪素質、窒化珪素質のセラミックスを例示することができる。
「無機系抗菌剤」としては、銀イオンや銅イオンなど抗菌性を有する金属イオンを含むものであれば特に限定されないが、かかる金属イオンをガラスやゼオライトの陽イオンとイオン交換して得た抗菌剤、ハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム塩を、硝酸銀等の水溶性金属塩に浸漬した後焼成して得た抗菌剤、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン等のリン酸化合物を水溶性金属塩と湿式撹拌した後、洗浄・濾別して得た抗菌剤、などを使用可能である。
無機系抗菌剤を多孔質セラミックス焼結体に「担持」させる方法としては、多孔質セラミックス焼結体に、無機系抗菌剤及びガラス成分を含有するスラリーを付着させた後、熱処理することにより無機系抗菌剤を含む非晶質ガラスを多孔質セラミックス焼結体の表面にコーティングする方法、セラミックスの原料粉末、無機系抗菌剤、及びガラス成分を含む無機バインダーの混合物を成形し、焼成することにより、無機系抗菌剤を含有する多孔質セラミックス焼結体を得る方法、を例示することができる。なお、上記の方法において、ガラス成分としては、SiO、ケイ酸ナトリウム、ガラスフリット、長石等を使用可能である。
「熱収縮性樹脂チューブ」を構成する「熱収縮性樹脂」は、熱収縮性を有する樹脂であれば特に制限されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、塩化ビニル等を使用可能である。
本構成の除菌フィルターの単層フィルターは、フィルター基体をその厚さより長い熱収縮性樹脂チューブ内に、熱収縮性樹脂チューブの両端が余剰となるように位置させ、熱収縮性樹脂チューブを加熱して収縮させることにより、形成することができる。より具体的には、熱収縮性樹脂チューブのうち、フィルター基体の側周面を囲む部分は、熱収縮によりフィルター基体の側周面に密着して側周面樹脂層となる。また、熱収縮性樹脂チューブの両端で余剰となっている部分は、フィルター基体の端面の周縁に沿って内側に折り返しながら熱収縮させることで、フィルター基体の端面の周縁部に密着し、端面周縁部樹脂層となる。
本構成の除菌フィルターでは、多段に配された単層フィルターのそれぞれにおいて、一方の端面の周縁部を被覆する端面周縁部樹脂層と、他方の端面の周縁部を被覆する端面周縁部樹脂層とが、液体の流通方向を乱す作用を発揮する。そして、本発明の除菌フィルターでは、単層フィルターの一方の端面側で液体の流通方向を乱す端面周縁部樹脂層と、他方の端面側で液体の流通方向を乱す端面周縁部樹脂層とが、熱収縮性樹脂チューブにより一体形成される。従って、単層のフィルターの一方の端面側と他方の端面側とで、別個に邪魔板を配設していた従来の除菌フィルター(特許文献2)に比べ、製造の容易な簡易な構成でありながら、液体の流通方向を乱すことにより高い効率で液体を除菌することができる。
また、それぞれ両端面に端面周縁部樹脂層を有する単層フィルターを、積重するのみによって、自ずと隣接するフィルター基体間に端面周縁部樹脂層の厚さの2倍、換言すれば、熱収縮性樹脂チューブの厚さの2倍の距離の空隙が形成される。ここで、フィルター基体間の空隙は、距離が小さ過ぎては、空隙において液体を自由に移動させる作用が十分に発揮されない一方で、距離が必要以上に大き過ぎても、除菌フィルター全体のサイズを無駄に増大させてしまうこととなる。これに対し、本発明の除菌フィルターでは、単層フィルター間の距離は熱収縮性樹脂チューブの厚さの2倍であり、市販されている一般的な熱収縮性樹脂チューブの厚さは0.5m〜3mm程度であるため、小さ過ぎず大き過ぎない適度な距離の空隙を、容易に形成することができる。
更に、除菌フィルターを構成する複数の単層フィルターそれぞれにおいて、側周面及び両端面の周縁部を被覆しているのは、弾性を有する樹脂である。従って、これらの樹脂層(側周面樹脂層及び端面周縁部樹脂層)が外力を吸収するクッションとなるため、除菌フィルターの機械的強度を高めることができる。すなわち、本発明では、除菌フィルターの機械的強度を高める樹脂層が、液体の流通方向を乱す作用と、単層フィルター間に空隙を形成する作用とを、兼ね備えている。
加えて、本構成の除菌フィルターでは、それぞれ両端面に端面周縁部樹脂層を有する単層フィルターを積重しているため、液体は端面周縁部樹脂層に案内されて無機系抗菌剤を担持させたフィルター基体の内部を流通し、フィルター基体の側周面と側周面樹脂層との境界に沿って液体が流通するおそれが低減されている。これにより、従来の除菌フィルター(特許文献2)とは異なり、フィルター基体の側周面に抗菌シートを配することを要することなく、高い効率で液体を除菌することができる。
本発明にかかる除菌フィルターは、上記構成に加え、「積重された複数の前記単層フィルターは、前記側周面樹脂層の外側から巻回された樹脂テープによって一体化されている」ものとすることができる。
本構成の除菌フィルターでは、多段に積重された単層フィルターが一体化されているため、除菌対象の液体を導入する導入パイプ及び除菌フィルターを通過させた後の液体を排出する排出パイプが連結されたフィルター装置のケーシング内に、単層フィルターが多段に積重された状態で除菌フィルターを収容させる作業が容易である。また、複数の単層フィルターが一体化されているため、各単層フィルターのがたつきや単層フィルター同士の衝突による破損が防止される。加えて、複数の単層フィルターを一体化しているのは、弾性を有する樹脂テープであり、巻回された樹脂テープの層が外力を吸収するクッションとなるため、除菌フィルターの機械的強度をより高めることができる。
本発明にかかる除菌フィルターは、上記構成に加え、「前記空隙の距離は、2mm〜4mmである」ものとすることができる。
空隙の距離を2mm〜4mmとすることにより、後述のように、空隙を必要以上に大きくすることによるスペースの無駄を排して、高い効率で液体を除菌することができる。
以上のように、本発明の効果として、多孔質セラミックス焼結体に無機系抗菌剤を担持させた除菌フィルターであって、簡易な構成でありながら、高い効率で液体を除菌できる除菌フィルターを提供することができる。
本発明の一実施形態の除菌フィルターを構成する単層フィルターの(a)斜視図、及び、b)断面図である。 図1の単層フィルターを複数積重した除菌フィルターの一部を分解した断面図である。 図2の除菌フィルターを使用したフィルター装置の断面図である。
以下、本発明の一実施形態である除菌フィルター1について、図1乃至図3を用いて説明する。ここでは、水耕栽培に循環式で用いる養液を除菌する除菌フィルターに、本発明を適用する場合を例示する。
本実施形態の除菌フィルター1は、多孔質セラミックス焼結体に無機系抗菌剤を担持させた柱状のフィルター基体11、フィルター基体11の側周面11aが樹脂で被覆された側周面樹脂層12a、及びフィルター基体11の両端面11bの周縁部がそれぞれ樹脂で被覆された一対の端面周縁部樹脂層12bを具備する単層フィルター10、が複数積重されており、単層フィルター10のそれぞれにおいて、側周面樹脂層12a及び一対の端面周縁部樹脂層12bは、熱収縮性樹脂チューブ12によって一体形成されていると共に、隣接するフィルター基体11の間に、端面周縁部樹脂層12bの厚さの2倍の距離の空隙Sが形成されているものである。また、除菌フィルター1では、積重された複数の単層フィルター10は、側周面樹脂層12aの外側から巻回された樹脂テープ15によって一体化されている。
より詳細に説明すると、多孔質セラミックス焼結体は、アルミナのスラリーに浸漬した発泡樹脂(ポリウレタンスポンジ)を焼成し、発泡樹脂の焼失により多孔質としたアルミナセラミックス焼結体であり、本実施形態では直径95mm、厚さ30mmの円柱状である。
この多孔質セラミックス焼結体に、無機銀系抗菌剤及びガラス成分を水と混合し粉砕したスラリーを付着させ、1200℃〜1300℃で焼成して、無機銀系抗菌剤を多孔質セラミックス焼結体の表面にコーティングした。
無機銀系抗菌剤がコーティングされた多孔質セラミックス焼結体であるフィルター基体11を、内径95mm、長さ50mmの熱収縮性樹脂チューブ12内に、熱収縮性樹脂チューブ12の両端が余剰となるように位置させ、熱収縮性樹脂チューブ12を加熱した。熱収縮性樹脂チューブ12のうち、フィルター基体11の側周面11aを囲む部分を、熱収縮によりフィルター基体11の側周面11aに密着させ、側周面樹脂層12aを形成した。また、熱収縮性樹脂チューブ12の両端で余剰となっている部分を、フィルター基体11の端面11bの周縁に沿って内側に折り返しながら熱収縮させ、端面11bの周縁部に密着させて端面周縁部樹脂層12bを形成した。これにより、図1に示すように、フィルター基体11の側周面11aが側周面樹脂層12aで被覆されていると共に、両端面11bの周縁部がそれぞれ端面周縁部樹脂層12bで被覆された単層フィルター10が形成された。なお、熱収縮性樹脂チューブ12としては、厚さ0.5mm〜2mmのポリオレフィン系樹脂チューブを使用した。
上記の単層フィルター10を7つ積重し、その状態で側周面樹脂層12aの外側から樹脂テープ15を巻回し、図2に示すように、7つの単層フィルター10が一体化された除菌フィルター1とした。なお、樹脂テープ15としては、片面に粘着層を有するポリ塩化ビニル樹脂テープを使用した。
上記構成の除菌フィルター1では、隣接するフィルター基体11間に、端面周縁部樹脂層12bの厚さの2倍、すなわち、熱収縮性樹脂チューブ12の厚さの2倍の距離の空隙Sが形成されている。
上記構成の除菌フィルター1は、図3に例示するフィルター装置20に使用することができる。フィルター装置20のケーシング21は、両端が閉塞された円筒状であり、一端側に液体を導入する導入パイプ22が接続されていると共に、他端側に液体を排出する排出パイプ23が接続されている。そして、導入パイプ22と排出パイプ23との間で、ケーシング21に除菌フィルター1が収容されている。除菌フィルター1は、7つの単層フィルター10が樹脂テープ15によって一体化されたものであるため、7つの単層フィルター10が積重した状態でケーシング21内に収容させる操作が容易である。
かかる構成のフィルター装置20では、導入パイプ22を介して外部からフィルター装置20内に導入された液体は、除菌フィルター1を通過する際に、各単層フィルター10のフィルター基体11に担持された無機銀系抗菌剤によって除菌され、除菌された液体が排出パイプ23を介してフィルター装置20外に排出される。従って、水耕栽培用の養液をフィルター装置20で除菌することにより、循環して使用することができる。
なお、図3に例示したフィルター装置20は、単層フィルター10の積重方向が上下方向となり、ケーシング21において導入パイプ22が上方に、排出パイプ23が下方に位置するように使用される。また、導入パイプ22はケーシング21の内部まで延びており、その先端に、L字形に湾曲したエルボ型パイプ22bが接続されている。このエルボ型パイプ22bは、開口端を上方に向けた状態で導入パイプ22に接続されているため、導入パイプ22から導入された液体は、図中に一点鎖線で示すように、エルボ型パイプ22b開口端から上向きに噴出し、ケーシング21内で広がってから除菌フィルターを流下する。これにより、無機銀系抗菌剤を担持しているフィルター基体11に、偏りなく液体を通すことができる。
上記構成の本実施形態の除菌フィルター1では、液体が通過する際に、単層フィルター10の両端面11bで周縁部を被覆する端面周縁部樹脂層12bによって案内され、流通方向が乱されることにより、液体は無機系抗菌剤を担持させたフィルター基体11の内部を流通し、フィルター基体11の側周面11aと側周面樹脂層12aとの境界に沿って液体が流通するおそれが低減されている。これにより、流通する液体に、無機系抗菌剤の作用を十分に受けさせることができるため、高い効率で液体を除菌することができる。
そして、多段に配された単層フィルター10のそれぞれにおいて、一方の端面11b側で液体の流通方向を乱す端面周縁部樹脂層12bと、他方の端面11b側で液体の流通方向を乱す端面周縁部樹脂層12bとが、一つの熱収縮性樹脂チューブ12により一体形成されている。これにより、単層のフィルターの一方の端面側と他方の端面側とで、液体の流通方向を乱すための構成を別個に設ける場合と比べて、極めて簡易な構成でありながら、液体の流通方向を乱すことにより高い効率で液体を除菌することができる。
また、単層フィルター10を積重するのみによって、自ずと隣接するフィルター基体11間に空隙Sが形成されているが、この空隙Sの距離は、熱収縮性樹脂チューブ12の厚さの2倍(本実施形態では、1mm〜4mm)である。従って、フィルター基体11間の空隙Sで液体を自由に移動させることにより、液体が流通する位置の偏りを抑制する作用を発揮するには十分な大きさであり、且つ、除菌フィルター1全体のサイズを無駄に増大させない、適度な大きさの空隙Sを容易に形成することができる。実際に、水耕栽培用の養液を通過させ除菌する処理に1カ月間使用した除菌フィルター1について、各単層フィルター10を切断して観察したところ、断面には均一にゴミが付着していた。このことから、本実施形態の大きさの空隙Sによって、液体の流通位置の偏りを抑制する作用が十分に発揮されていたことが確認された。
更に、除菌フィルター1を構成する複数の単層フィルター10それぞれにおいて、側周面樹脂層12a及び端面周縁部樹脂層12bは外力を吸収するクッションとなるため、除菌フィルター1の機械的強度が高められている。加えて、複数の単層フィルター10を一体化している樹脂テープ15の層も、外力を吸収するクッションとなるため、除菌フィルター1の機械的強度がより高められている。
フィルター基体11間の空隙Sの距離(隣接するフィルター基体の間隔)が相違する以外は、上述の実施形態と同様に、実施例1〜3の除菌フィルターを製造した。
実施例1:空隙1mm(熱収縮樹脂チューブの厚さ0.5mm)
実施例2:空隙2mm(熱収縮樹脂チューブの厚さ1.0mm)
実施例3:空隙4mm(熱収縮樹脂チューブの厚さ2.0mm)
対比のために、次のような対照例1,2の除菌フィルターを製造した。
対照例1:実施例と同一のフィルター基体を7つ積重(空隙なし)
対照例2:実施例と同一のフィルター基体を、間に高さ2mmのスペーサを挟んで7つ積重(空隙2mm)
つまり、対照例1はフィルター基体間に空隙のない例であり、対照例2はフィルター基体間に2mmの空隙を有するが、端面周縁部樹脂層に相当する構成のない例である。なお、対照例2のスペーサとしては、表面に上記の無機系抗菌剤をコーティングしたスペーサを使用した。
実施例1〜3、及び対照例1,2の除菌フィルターを、図3に例示したフィルター装置20内に収容し、単層フィルターの積重方向が上下方向となる状態で、導入パイプ22から所定量の菌液を供給した。除菌フィルター中を自然流下した菌液を、循環させずに回収し、次式で除菌率を算出した。
除菌率(%)=(N−M)/N×100
N:除菌フィルター通過前の菌液単位体積当たりの菌数
M:除菌フィルター通過後の菌液単位体積当たりの菌数
その結果、実施例1〜3、及び対照例1,2の除菌率は以下のようであった。
実施例1: 91%
実施例2:100%
実施例3:100%
対照例1: 85%
対照例2: 88%
以上のように、フィルター基体間に空隙のない対照例1に比べ、フィルター基体間に空隙を有する実施例1〜3では、除菌率が高かった。特に、フィルター基体間の空隙が2mmの実施例2は、空隙が1mmの実施例1より除菌率が高く、実施例2の除菌率は100%と極めて高率であった。また、より大きな4mmの空隙を有する実施例3の除菌率は、実施例2と同じく100%であった。このことから、フィルター基体間の空隙は、除菌率の点から2mm以上とすることが望ましく、大き過ぎても除菌率に寄与することなくスペースが無駄になるだけであるため、4mm以下とすることが望ましいと言うことができる。
また、フィルター基体間の空隙としては望ましい2mmの空隙を有していても、端面周縁部樹脂層に相当する構成のない対照例2の除菌率は、低いものであった。このことから、除菌フィルターの除菌効率を高める上述の作用を、端面周縁部樹脂層が奏していることが確認された。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記では、フィルター基体11の形状が円柱状である場合を例示したが、これに限定されず、断面が楕円形や多角形の柱状とすることができる。このような形状であっても、熱収縮性樹脂チューブ12をフィルター基体11の形状に沿って熱収縮させることにより、フィルター基体11の側周面11aに密着した側周面樹脂層12a、及び、端面11bに密着した端面周縁部樹脂層12bを形成することができる。
また、上記では、循環式の養液を除菌する場合を例示したが、除菌フィルター1の用途はこれに限定されず、河川から取水した農業用用水、浄水場で浄化処理される水、魚の養殖場で循環使用される水、循環使用される温泉水、などを除菌するフィルターとして使用することが可能である。
更に、上記では、1つの除菌フィルターにおいて7つの単層フィルターが積重されている場合を例示したが、積重する単層フィルターの数はこれに限定されるものではない。
加えて、上記では、複数の単層フィルターを上下に積重する場合を例示したが、単層フィルターを積重する方向、換言すれば、液体を流通させる方向は、特に限定されるものではない。
1 除菌フィルター
10 単層フィルター
11 フィルター基体
11a フィルター基体の側周面
11b フィルター基体の端面
12 熱収縮性樹脂チューブ
12a 側周面樹脂層
12b 端面周縁部樹脂層
15 樹脂テープ
S 空隙
20 フィルター装置
21 ケーシング
22 導入パイプ
23 排出パイプ
特許第3619355号公報 特開2010−263843号公報

Claims (3)

  1. 多孔質セラミックス焼結体に無機系抗菌剤を担持させた柱状のフィルター基体、該フィルター基体の側周面が樹脂で被覆された側周面樹脂層、及び前記フィルター基体の両端面の周縁部がそれぞれ樹脂で被覆された一対の端面周縁部樹脂層を具備する単層フィルター、が複数積重されており、
    前記単層フィルターのそれぞれにおいて、前記側周面樹脂層及び一対の前記端面周縁部樹脂層は、熱収縮性樹脂チューブによって一体形成されていると共に、
    隣接する前記フィルター基体の間に、前記端面周縁部樹脂層の厚さの2倍の距離の空隙が形成されている
    ことを特徴とする除菌フィルター。
  2. 積重された複数の前記単層フィルターは、前記側周面樹脂層の外側から巻回された樹脂テープによって一体化されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の除菌フィルター。
  3. 前記空隙の距離は、2mm〜4mmである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除菌フィルター。
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