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JP5843394B2 - リグノセルロース系材料の処理方法および処理装置 - Google Patents
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リグノセルロース系材料の処理方法および処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、リグノセルロース系材料の処理方法に関し、更に詳しくは、材料中に含まれているヘミセルロースを分解除去することによってセルロースの含有割合を相対的に増加させるためのリグノセルロース系材料の処理方法に関する。
近年、木質感を有する樹脂成形品として、熱可塑性樹脂と、リグノセルロース系材料とを混合して得られるWPC(Wood Plastic Composite)からなるものが製品化されている。
ここに、WPCの充填剤または可塑剤として使用されるリグノセルロース系材料には、主として、セルロースと、ヘミセルロースと、リグニンとが含まれている。
しかして、熱可塑性樹脂との相溶性を高めたり、得られる樹脂成形品の強度を向上させたりする観点から、リグノセルロース系材料にあっては、ヘミセルロースの含有割合が低く、セルロースの含有割合が高いことが好ましい。
このため、リグノセルロース系材料を水蒸気により加熱処理してヘミセルロースを分解除去する技術が紹介されている。
例えば、下記の特許文献1には、耐圧容器内で、高圧下において、150〜230℃に加熱された水蒸気にリグノセルロース系材料を曝して加熱処理する方法が紹介されている。
また、下記の特許文献2には、常圧雰囲気下において、180〜230℃の過熱水蒸気によりリグノセルロース系材料を加熱処理する方法が紹介されている。
なお、特許文献2に記載された方法のような過熱水蒸気を用いて常圧で行う加熱処理では、リグノセルロース系材料に含まれるすべての水分が蒸発するまで、材料の温度は100℃を超えず、加水分解は殆ど起こらない(同文献の段落番号0022参照)。
このため、過熱水蒸気による加熱処理が施されるリグノセルロース系材料には、通常、前工程として乾燥処理が施され、材料中の水分をある程度低減させている。
特開2003−165844号公報 特開2011−161835号公報
然るに、特許文献1に記載された水蒸気処理は高圧下で行われるため、耐圧容器を含めて大がかりな設備が必要となる。
一方、特許文献2に記載された水蒸気処理は、常圧雰囲気下で行われるために、比較的簡単な設備で実施することができる。
しかしながら、特許文献2に記載されている加熱処理を実生産規模(例えば、処理量が1トン/バッチ)で行う場合には、材料に含まれるすべての水分が蒸発して、その温度が100℃を超えるまでにきわめて長い時間を要し、これにより、処理に要する消費電力量が過大となるばかりでなく、このような加熱処理を施しても、ヘミセルロースを十分除去することができないという問題がある。
すなわち、実生産規模で実施する場合には、処理容器内に多量に仕込んだ材料中の水分(乾燥工程を経た材料であっても通常20%程度の水分を含んでいる)ばかりでなく、過熱水蒸気が凝縮して発生した大量の水(処理時において水の蒸発と過熱水蒸気の凝縮とが同時に進行する)が処理容器内に存在するため、容器内におけるすべての水分を過熱水蒸気の熱エネルギーで蒸発させるには、きわめて長い時間を要し、例えば10時間を超えて過熱水蒸気を導入しても処理容器内の水分を完全に蒸発させることができないこともある。このような場合には、処理容器内(材料)の温度を、ヘミセルロースの分解可能温度(通常、180℃以上)に上昇させることができなかったり、昇温に長時間を要したことによって分解可能温度に到達した後の反応時間を十分に確保できなかったりするため、ヘミセルロースを十分に分解除去することができなくなる。
また、過熱水蒸気を生成する(水蒸気を生成して、これを過熱する)ためには、多大なエネルギー(電力量)を必要とし、そのような過熱水蒸気を長時間にわたり導入することによるコストはきわめて高いものとなる。
リグノセルロース系材料の加熱処理において、ヘミセルロースの分解温度は通常180〜320℃とされる。一方、セルロースの分解温度は240〜400℃とされる。
従って、セルロースを分解させることなく、ヘミセルロースのみを分解除去することのできる処理温度範囲は180〜240℃と比較的狭い。
然るに、特許文献2に記載されている加熱処理を実生産規模で行う場合に、処理容器に仕込まれたすべての材料の温度を180〜240℃の範囲に維持することは困難である。 例えば、180℃の過熱水蒸気を処理容器内に導入しても、180℃に昇温するのは、過熱水蒸気の導入口近傍に配置された一部の材料であり、このような場合には、180℃に到達していない材料中のヘミセルロースは実質的に分解除去されないので、材料全体として、ヘミセルロースを効率的に分解除去することはできない。
このように、加熱処理を実生産規模で行う場合には、ラボスケールでの処理(例えば、処理量が50kg/バッチ未満)では問題とならなかった、処理容器内における(材料)温度のバラツキを考慮しなければならず、処理容器に導入する過熱水蒸気の温度(入口温度)を制御したとしても十分な処理(ヘミセルロースの分解)を実現することはできない。
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、実生産規模で処理する場合であっても、材料中に含まれるヘミセルロースを選択的かつ効率的に分解除去することができるリグノセルロース系材料の処理方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、従来の方法より少ない消費電力量で処理することができるリグノセルロース系材料の処理方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、実生産規模で処理する場合であっても、仕込まれた材料中に含まれるヘミセルロースを選択的かつ効率的に分解除去することができるリグノセルロース系材料の処理装置を提供することにある。
(1)本発明のリグノセルロース系材料の処理方法は、材料中に含まれるヘミセルロースを分解除去するためのリグノセルロース系材料の処理方法であって、
リグノセルロース系材料を処理容器に仕込む工程と、
前記処理容器に240〜300℃の加熱空気を導入することによってリグノセルロース系材料を加熱する工程(一次加熱工程)と、
前記処理容器からの排気温度(Tex)が、120〜180℃の範囲内の温度(T1 )に到達した時点で、加熱空気に代えて240〜300℃の過熱水蒸気を前記処理容器に導入し、当該処理容器からの排気温度(Tex)が200〜240℃になるように制御しながらリグノセルロース系材料を更に加熱する工程(二次加熱工程)とを含むことを特徴とする。
このような処理方法によれば、過熱水蒸気による加熱処理に先立って、加熱空気による加熱処理を施すことにより、実生産規模で処理する場合であっても、処理容器内の温度(材料温度)を短時間で上昇させることができる。これにより、ヘミセルロースの分解可能温度に到達した後の反応時間を十分に確保することができる。また、加熱空気の生成に要する電力量は、同じ温度の過熱水蒸気の生成に要する電力量と比較して格段に低いので、処理全体に要する消費電力量を十分に低くすることができる。
二次加熱工程において、処理容器に導入される過熱水蒸気の温度(入口温度)ではなく、処理容器からの排気温度(出口温度)を200〜240℃に制御することにより、処理容器内に仕込まれているすべての材料を、この排気温度(Tex)にほぼ等しい温度(ヘミセルロースを分解可能で、セルロースが分解しない温度)とすることができる。
更に、排気温度(Tex)が120〜180℃の範囲内の温度(T1 )に到達した時点で、加熱空気による加熱処理(一次加熱工程)から、過熱水蒸気による加熱処理(二次加熱工程)に切り替えること(切替温度(T1 )を120〜180℃の範囲に設定すること)によりはじめて、処理容器内に仕込まれた材料中に含まれるヘミセルロースを選択的かつ効率的に分解除去することができる。
(2)本発明の処理方法において、前記処理容器に仕込まれる材料の質量が50kg以上であることが好ましい。
(3)本発明の処理方法において、下方から上方に向かう過熱空気および過熱水蒸気の流路となる隙間を確保しながら長尺のリグノセルロース系材料を縦置きに配置することが好ましい。
過熱空気および過熱水蒸気は、通常、処理容器内の下方から導入されて、上方から排出される。このような処理容器内において、過熱空気および過熱水蒸気の流路が確保されることにより、処理容器内における(材料)温度のバラツキを抑制することができる。
(4)本発明の処理方法において、前記リグノセルロース系材料が生竹からなることが好ましい。
(5)本発明の処理装置は、本発明の処理方法を実施するために使用される処理装置であって、
リグノセルロース系材料が仕込まれる処理容器と、
前記処理容器に導入する加熱空気および過熱水蒸気を生成する過熱器と、
加熱空気を生成させるために前記過熱器に空気を供給するコンプレッサと、
過熱水蒸気を生成させるために前記過熱器に水蒸気を供給するボイラと、
第1流路を介して前記コンプレッサと接続し、第2流路を介して前記ボイラと接続し、共通流路を介して前記過熱器と接続し、前記コンプレッサおよび前記ボイラの何れか一方を前記過熱器に接続させるよう切り替える三方電磁弁と、
前記処理容器からの排気温度(Tex)を測定する温度センサと、
前記温度センサによって測定された排気温度(Tex)に応じて前記過熱器の電源のオン・オフ制御を行うとともに、測定された排気温度(Tex)が120〜180℃の範囲内の温度(T1 )より低いときには、前記第1流路を開いて前記コンプレッサを前記過熱器に接続させ、測定された排気温度(Tex)が温度(T1 )に到達した後には、前記第2流路を開いて前記ボイラを前記過熱器に接続させるように、前記三方電磁弁を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
(6)本発明の処理装置において、前記制御部は、前記温度センサにより測定された排気温度(Tex)が240℃を超えたときに前記過熱器の電源にオフ信号を出力し、排気温度(Tex)が200℃未満となったときに前記過熱器の電源にオン信号を出力することが好ましい。
本発明の処理方法によれば、実生産規模で処理する場合であっても、材料中に含まれるヘミセルロースを選択的かつ効率的に分解除去することができる。
しかも、従来の方法より少ない消費電力量で処理することができる。
本発明の処理装置によれば、実生産規模で処理する場合であっても、仕込まれた材料中に含まれるヘミセルロースを選択的かつ効率的に分解除去することができる。
本発明の処理装置の一実施形態を示すブロック図である。 処理されていない試料(生竹)について測定したTG−DTA曲線である。 比較例1で処理した試料について測定したTG−DTA曲線である。 比較例2で処理した試料について測定したTG−DTA曲線である。 実施例1で処理した試料について測定したTG−DTA曲線である。 実施例2で処理した試料について測定したTG−DTA曲線である。 実施例3で処理した試料について測定したTG−DTA曲線である。 比較例3で処理した試料について測定したTG−DTA曲線である。 比較例4で処理した試料について測定したTG−DTA曲線である。 実施例4および比較例5の各々において、処理容器からの排気温度および材料温度を経時的に示す温度曲線である。
以下、本発明の処理方法および処理装置について詳細に説明する。
本発明のリグノセルロース系材料の処理方法は、当該材料中に含まれるヘミセルロースを分解除去することにより、セルロースの含有割合を相対的に増加させるための処理方法である。ここに、リグノセルロース材料としては、植物、例えば針葉樹、広葉樹などの木本類や、竹、稲わらなどの草本類などを挙げることができる。これらのうち、生竹を使用することが好ましい。
本発明の処理方法は、図1に示したような構成の処理装置によって処理される。
この処理装置は、リグノセルロース系材料が仕込まれる処理容器10と、この処理容器10に導入する加熱空気および過熱水蒸気を生成する過熱器(スーパーヒータ)20と、加熱空気を生成させるために過熱器20に空気を供給するコンプレッサ30と、過熱水蒸気を生成させるために過熱器20に水蒸気を供給するボイラ40と、第1流路51を介してコンプレッサ30と接続し、第2流路52を介してボイラ40と接続し、共通流路53を介して過熱器20と接続し、第1流路51および第2流路52の何れか一方を「開」状態とし、他方を「閉」状態とすることにより、コンプレッサ30およびボイラ40の何れか一方を過熱器20に接続させるよう切り替える三方電磁弁50と、処理容器10からの排気温度(Tex)を測定する温度センサ60と、温度センサ60によって測定された排気温度(Tex)に応じて過熱器20の電源25のオン・オフ制御を行うとともに、この排気温度(Tex)が120〜180℃の範囲内の温度(T1 )より低いときには、過熱器20によって加熱空気が生成されるよう、第1流路51を「開」状態としてコンプレッサ30を過熱器20に接続させ、排気温度(Tex)が温度(T1 )に到達した後には、過熱器20によって過熱水蒸気が生成されるよう、第2流路52を「開」状態としてボイラ40を過熱器20に接続させるように三方電磁弁50を制御する制御部70とを備えている。
この処理容器10には、過熱器20により生成された加熱気体(加熱空気・過熱水蒸気)が導入される。処理容器10に導入された加熱流体は、この処理容器10内を下方から上方に向かって流れ、天井部に設けられた排気口から排出される。
過熱器20は、コンプレッサ30から供給される空気を電磁誘導により加熱して加熱空気を生成し、ボイラ40から供給される水蒸気を電磁誘導により加熱(過熱)して過熱水蒸気を生成する。
コンプレッサ30から過熱器20への空気の供給量(加熱空気の生成量)、ボイラ40から過熱器20への水蒸気の供給量(過熱水蒸気の生成量)は、リグノセルロース系材料の仕込み量などに応じて適宜調整することができる。
なお、過熱器20には、空気および水蒸気の何れか一方が供給される。従って、過熱器20からは加熱空気および過熱水蒸気の何れか一方が生成され、処理容器10に導入される。すなわち、三方電磁弁50において、第1流路51が「開」状態(第2流路52が「閉」状態)にあるときには、過熱器20には空気が供給され、処理容器10には、過熱器20からの加熱空気が導入される。他方、第2流路52が「開」状態(第1流路51が「閉」状態)にあるときには、過熱器20には水蒸気が供給され、処理容器10には、過熱器20からの過熱水蒸気が導入される。なお、三方電磁弁50と過熱器20とを接続する共通流路53は常に「開」状態である。
温度センサ60は、処理容器10からの排気温度(Tex)を測定し、排気温度(Tex)に係る情報を制御部70に送る。
制御部70は、排気温度(Tex)が120〜180℃の範囲内の温度(T1 )より低いときには、第1流路51を「開」状態として、コンプレッサ30から過熱器20への空気の供給(過熱器20による加熱空気の生成)を可能とし、排気温度(Tex)が(T1 )に到達した後には、第2流路52を「開」状態として、ボイラ40から過熱器20への水蒸気の供給(過熱器20による過熱水蒸気の生成)を可能とするように、三方電磁弁50を制御する。
また、制御部70は、温度センサ60により測定された排気温度(Tex)が240℃を超えたときには過熱器20の電源25にオフ信号を出力し、排気温度(Tex)が200℃未満となったときには過熱器20の電源25にオン信号を出力することにより、排気温度(Tex)に応じて過熱器20の電源25のオン・オフ制御を行う。
上記の処理装置を用いて行う本発明の処理方法ほ、リグノセルロース系材料を処理容器10に仕込む工程と、240〜300℃の加熱空気を過熱器20から処理容器10に導入してリグノセルロース系材料を加熱する一次加熱工程と、温度センサ60により測定される処理容器10からの排気温度(Tex)が、120〜180℃の範囲内の温度(T1 )に到達したときに、加熱空気に代えて240〜300℃の過熱水蒸気を過熱器20から処理容器10に導入し、当該処理容器10からの排気温度(Tex)が200〜240℃になるように制御部70により過熱器20の電源25を制御しながらリグノセルロース系材料を更に加熱する二次加熱工程とを含む。
リグノセルロース系材料を処理容器10に仕込む際には、過熱空気および過熱水蒸気の流路となる隙間を確保しながら、長尺のリグノセルロース系材料(生竹など)を縦置きに配置することが好ましい。これにより、処理容器10内において、下方から上方に向かう過熱空気および過熱水蒸気の流路が確保され、処理容器10内における材料温度のバラツキを抑制することができる。
リグノセルロース系材料の仕込み量としては、50kg以上であることが好ましく、更に好ましくは100kg以上、好適な一例を示せば300kgである。
50kg以上の材料を処理するような実生産規模の処理において、本発明の処理方法は効果的である。
一次加熱工程は、過熱器20から処理容器10内に加熱空気を導入してリグノセルロース系材料を加熱する工程である。
この加熱空気は、コンプレッサ30から過熱器20に供給された空気を当該過熱器20で加熱(電磁誘導加熱)して生成されたものである。
一次加熱工程において、導入する加熱空気の温度(入口温度)は240〜300℃とされる。加熱空気の温度が240℃未満である場合には、昇温時間の短縮化を十分に図ることができない。
一方、加熱空気の温度が300℃を超える場合には、処理容器内のリグノセルロース系材料(特に、導入口の近傍に配置された材料)の温度が過大となり、当該材料が炭化するおそれがある。
加熱空気の導入量としては、リグノセルロース系材料の仕込み量によっても異なるが、例えば、仕込み量が300kgである場合に30〜200m3 /hであることが好ましく、好適な一例を示せば55m3 /hである。
処理容器10内に導入された加熱空気は、縦置きに配置された長尺のリグノセルロース系材料に沿って、下方から上方に向かって流れることにより当該材料を加熱し、天井部に設けられた排気口から排出される。
ここに、処理容器10からの排気温度(Tex)は、温度センサ60によって測定され、排気温度に係る情報は、温度センサ60から制御部70に送られる。
温度センサ60によって測定された排気温度(Tex)が、120〜180℃の範囲内の温度(T1 )に到達した時点で、二次加熱工程が行われる。
この二次加熱工程は、過熱器20から処理容器10内に過熱水蒸気を導入してリグノセルロース系材料を更に加熱する工程である。
この過熱水蒸気は、ボイラ40から過熱器20に供給された水蒸気を当該過熱器20で加熱(電磁誘導加熱)して生成されたものである。
二次加熱工程において、導入する過熱水蒸気の温度(入口温度)は240〜300℃とされる。過熱水蒸気の温度が240℃未満である場合には、リグノセルロース系材料の仕込み量によっては、処理容器内に配置したすべての材料を、ヘミセルロースの分解可能な温度まで昇温させることが困難となる。
一方、加熱空気の温度が300℃を超える場合には、処理容器内のリグノセルロース系材料(特に、導入口の近傍に配置された材料)の温度が過大となり、当該材料に含まれるセルロース原料が分解されたり、当該材料が炭化したりするおそれがある。
過熱水蒸気の導入量としては、リグノセルロース系材料の仕込み量によっても異なるが、例えば、仕込み量が300kgである場合に30〜150kg/hであることが好ましく、好適な一例を示せば130kg/hである。
二次加熱工程では、処理容器10からの排気温度(Tex)が、200〜240℃になるように制御部70により過熱器20の電源25を制御しながらリグノセルロース系材料を更に加熱する。
処理容器10からの排気温度(Tex)を制御しながら加熱することにより、処理容器10内に仕込まれているすべての材料を、この排気温度(Tex)にほぼ等しい温度(ヘミセルロースを分解可能で、セルロースが分解しない温度)に維持することができる。
二次加熱工程における排気温度が200℃未満である場合には、リグノセルロース系材料の仕込み量によっては、処理容器内に配置したすべての材料を、ヘミセルロースの分解可能な温度まで昇温させることが困難となる。
一方、排気温度が240℃を超える場合には、材料中に含まれるセルロースが分解するおそれがある。
本発明において、加熱空気による加熱処理(一次加熱工程)から、過熱水蒸気による加熱処理(二次加熱工程)に切り替えるときの排気温度(Tex)〔切替温度(T1 )〕は、120〜180℃とされる。
過熱水蒸気による加熱処理に切り替えるときの排気温度が120℃未満である場合には、昇温時間の短縮化、消費電力量の低減を十分に図ることができず、材料中に含まれているヘミセルロースを十分に分解除去することができない(後述する比較例2参照)。
一方、過熱水蒸気による加熱処理に切り替えるときの排気温度が180℃を超える場合には、セルロースの分解反応が起こるおそれがある(後述する比較例3参照)。
本発明の処理方法によれば、過熱水蒸気による加熱処理(二次加熱工程)に先立って、加熱空気による加熱処理(一次加熱工程)を施すことにより、実生産規模で処理する場合であっても、処理容器内の温度(材料温度)を、短時間で、100℃を超える温度まで、上昇させることができる。
すなわち、一次加熱工程において加熱空気で加熱処理することにより、材料中の水分を効率的に蒸発させることができるとともに、加熱空気で材料を加熱する場合には、過熱水蒸気で加熱するときに生じていた凝縮水が発生しないので、処理容器10内に存在する水を短時間で蒸発させることができる。
このように、加熱空気による加熱処理(一次加熱工程)を行う本発明の製造方法によれば、最初から過熱水蒸気による加熱処理を行う場合と比較して、処理容器10内の温度(材料温度)を短い時間で上昇させることができ、昇温時間の短縮化により、ヘミセルロースの分解可能温度に到達した後の反応時間を十分に確保することができる。
また、一次加熱工程に先立って、リグノセルロース系材料を乾燥処理する必要もない。 更に、加熱空気の生成に要する電力量は、同じ温度の過熱水蒸気の生成に要する電力量と比較して格段に低く、昇温時間の短縮化と相まって処理全体(一次加熱工程・二次加熱工程)に要する消費電力量を十分に低くすることができる。
また、二次加熱工程において、処理容器10からの排気温度(Tex)(出口温度)を200〜240℃に制御することにより、処理容器内に仕込まれているすべての材料を、この排気温度(Tex)にほぼ等しい温度(ヘミセルロースを分解可能で、セルロースが分解しない温度)とすることができる。
更に、排気温度(Tex)が120〜180℃の範囲内の温度(T1 )に到達した時点で、加熱空気による加熱処理(一次加熱工程)から、過熱水蒸気による加熱処理(二次加熱工程)に切り替えること(切替温度(T1 )を120〜180℃の範囲に設定すること)により、材料中に含まれるセルロースを分解することなく、ヘミセルロースを分解除去すること、すなわち、ヘミセルロースを選択的かつ効率的に分解除去することができる。
<実施例1>
図1に示したような処理装置を使用して、処理容器10(室内寸法:1220mm×2440mm×1220mmH)内に、生竹からなるリグノセルロース系材料300kgを、過熱空気および過熱水蒸気の流路となる隙間を確保できるように縦置きに配置した。
次に、一次加熱工程として、処理容器10内に240〜300℃の加熱空気を導入することによってリグノセルロース系材料を加熱した。なお、この実施例1並びに以下の実施例および比較例において、加熱空気の導入量は55m3 /hとした。
加熱を開始してから1時間経過した時点(このとき、温度センサ60よって測定された排気温度(Tex)は120℃であった)で、二次加熱工程として、加熱空気に代えて240〜300℃の過熱水蒸気を処理容器10内に導入し、処理容器10からの排気温度(Tex)が200〜240℃になるように制御部70により過熱器20の電源25を制御しながらリグノセルロース系材料を更に5時間にわたり加熱して処理を完了した。この実施例1並びに以下の実施例および比較例において、過熱水蒸気の導入量は130kg/hとした。
この実施例1により処理した材料および未処理の材料の各々について、示差熱−熱重量同時分析(TG−DTA)を行い、DTG曲線および質量減少率曲線を測定した。未処理の材料についての結果を図2に示し、処理した材料についての結果を図5に示す。
<実施例2>
実施例1と同様にして、リグノセルロース系材料300kgを処理容器10内に仕込み、下記表1に示す条件に従って、一次加熱工程として、処理容器10内に240〜300℃の加熱空気を導入することによってリグノセルロース系材料を加熱し、加熱を開始してから3時間経過した時点(このとき、温度センサ60よって測定された排気温度(Tex)は150℃であった)で、二次加熱工程として、加熱空気に代えて240〜300℃の過熱水蒸気を処理容器10内に導入し、処理容器10からの排気温度(Tex)が200〜240℃になるように制御部70により過熱器20の電源25を制御しながらリグノセルロース系材料を更に3時間にわたり加熱して処理を完了した。
この実施例2により処理した材料について、DTG曲線および質量減少率曲線を測定した。結果を図6に示す。
<実施例3>
実施例1と同様にして、リグノセルロース系材料300kgを処理容器10内に仕込み、下記表1に示す条件に従って、一次加熱工程として、処理容器10内に240〜300℃の加熱空気を導入することによってリグノセルロース系材料を加熱し、加熱を開始してから4時間経過した時点(このとき、温度センサ60よって測定された排気温度(Tex)は180℃であった)で、二次加熱工程として、加熱空気に代えて240〜300℃の過熱水蒸気を処理容器10内に導入し、処理容器10からの排気温度(Tex)が200〜240℃になるように制御部70により過熱器20の電源25を制御しながらリグノセルロース系材料を更に2時間にわたり加熱して処理を完了した。
この実施例3により処理した材料について、DTG曲線および質量減少率曲線を測定した。結果を図7に示す。
<比較例1>
実施例1と同様にして、リグノセルロース系材料300kgを処理容器10内に仕込み、下記表1に示す条件に従って、処理容器10内に240〜300℃の過熱水蒸気を導入し、リグノセルロース系材料を6時間にわたり加熱して処理を完了した。
この比較例1は、加熱空気による加熱処理(一次加熱工程)を行わなかった比較例である。この比較例1により処理した材料について、DTG曲線および質量減少率曲線を測定した。結果を図3に示す。
<比較例2>
実施例1と同様にして、リグノセルロース系材料300kgを処理容器10内に仕込み、下記表1に示す条件に従って、処理容器10内に240〜300℃の加熱空気を導入することによってリグノセルロース系材料を加熱し、加熱を開始してから30分間経過した時点(このとき、温度センサ60よって測定された排気温度(Tex)は105℃であった)で、加熱空気に代えて240〜300℃の過熱水蒸気を処理容器10内に導入し、リグノセルロース系材料を更に5時間30分にわたり加熱して処理を完了した。
この比較例2は、排気温度(Tex)が120℃に達していない段階で、加熱空気による加熱処理から過熱水蒸気による加熱処理に切り替えた比較例である。この比較例2により処理した材料について、DTG曲線および質量減少率曲線を測定した。結果を図4に示す。
<比較例3>
実施例1と同様にして、リグノセルロース系材料300kgを処理容器10内に仕込み、下記表1に示す条件に従って、処理容器10内に240〜300℃の加熱空気を導入することによってリグノセルロース系材料を加熱し、加熱を開始してから5時間経過した時点(このとき、温度センサ60よって測定された排気温度(Tex)は200℃であった)で、加熱空気に代えて240〜300℃の過熱水蒸気を処理容器10内に導入し、処理容器10からの排気温度(Tex)が200〜240℃になるように制御部70により過熱器20の電源25を制御しながらリグノセルロース系材料を更に1時間にわたり加熱して処理を完了した。
この比較例3は、排気温度(Tex)が180℃を超えた後に、加熱空気による加熱処理から過熱水蒸気による加熱処理に切り替えた比較例である。この比較例3により処理した材料について、DTG曲線および質量減少率曲線を測定した。結果を図8に示す。
<比較例4>
実施例1と同様にして、リグノセルロース系材料300kgを処理容器10内に仕込み、下記表1に示す条件に従って、処理容器10内に240〜300℃の加熱空気を導入し、処理容器10からの排気温度(Tex)が200〜240℃になるように制御部70により過熱器20の電源25を制御しながらリグノセルロース系材料を6時間にわたり加熱して処理を完了した。
この比較例4は、加熱空気による加熱処理のみを行い、過熱水蒸気による加熱処理を行わなかった比較例である。この比較例4により処理した材料について、DTG曲線および質量減少率曲線を測定した。結果を図9に示す。
<実施例4>
下記表1に示す要件に従って、二次加熱工程における加熱時間を4時間に変更したこと以外は実施例2と同様にしてリグノセルロース系材料の処理を行った。
この実施例4において、処理容器10からの排気温度(Tex)および材料温度(処理容器10内に配置したリグノセルロース系材料に装着した温度センサにより測定した温度)の経時変化を図10に示す。
図10に示すように、二次加熱工程における排気温度(Tex)と材料温度とはきわめて近似しており、このことは、処理容器10内の何れの位置に配置した材料の温度についても同様であった。
<比較例5>
下記表1に示す要件に従って、過熱水蒸気による加熱処理時間を7時間に変更したこと以外は比較例1と同様にしてリグノセルロース系材料の処理を行った。
この比較例5において、処理容器10内の材料温度の経時変化を図10に併せて示す。図10に示すように、材料温度は、7時間にわたり100℃を維持していた。

Figure 0005843394
実施例1〜3により処理された材料に係るDTG曲線(図5〜図7)は、何れも、ヘミセルロースの分解温度である180〜240℃におけるDTGの値が低く、かつ、セルロースの分解温度である240〜400℃において大きなピークが認められる。このように、実施例1〜3に係る処理方法によれば、ヘミセルロースを選択的かつ効率的に分解除去することができた。
これに対して、加熱空気による加熱処理を行わなかった比較例1により処理された材料に係るDTG曲線(図3)、排気温度が120℃に達していない段階で過熱水蒸気による加熱処理に切り替えた比較例2により処理された材料に係るDTG曲線(図4)は、何れも、ヘミセルロースの分解温度である180〜240℃におけるDTGの値が、図5〜図7に示したDTG曲線と比較して高く、比較例1〜2に係る処理方法によっては、材料中に含まれているヘミセルロースを十分に分解することはできなかった。
また、排気温度が180℃を超えた後に過熱水蒸気による加熱処理に切り替えた比較例3により処理された材料に係るDTG曲線(図8)、加熱空気による加熱処理のみを行った比較例4により処理された材料に係るDTG曲線(図9)は、何れも、セルロースの分解温度である240〜400℃におけるピークが低く、比較例3〜4に係る処理方法によっては、セルロースまで分解されてしまい、材料中に含まれているヘミセルロースを選択的に分解することはできなかった。
10 処理容器
20 過熱器
30 コンプレッサ
40 ボイラ
50 三方電磁弁
51 第1流路
52 第2流路
53 共通流路
60 温度センサ
70 制御部

Claims (6)

  1. 材料中に含まれるヘミセルロースを分解除去するためのリグノセルロース系材料の処理方法であって、
    リグノセルロース系材料を処理容器に仕込む工程と、
    前記処理容器に240〜300℃の加熱空気を導入することによってリグノセルロース系材料を加熱する工程と、
    前記処理容器からの排気温度(Tex)が、120〜180℃の範囲内の温度(T1 )に到達した時点で、加熱空気に代えて240〜300℃の過熱水蒸気を前記処理容器に導入し、当該処理容器からの排気温度(Tex)が200〜240℃になるように制御しながらリグノセルロース系材料を更に加熱する工程と
    を含むことを特徴とするリグノセルロース系材料の処理方法。
  2. 前記処理容器に仕込まれる材料の質量が50kg以上であることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース系材料の処理方法。
  3. 下方から上方に向かう過熱空気および過熱水蒸気の流路となる隙間を確保しながら長尺のリグノセルロース系材料を縦置きに配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリグノセルロース系材料の処理方法。
  4. 前記リグノセルロース系材料が生竹からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のリグノセルロース系材料の処理方法。
  5. 請求項1に記載の処理方法を実施するために使用される処理装置であって、
    リグノセルロース系材料が仕込まれる処理容器と、
    前記処理容器に導入する加熱空気および過熱水蒸気を生成する過熱器と、
    加熱空気を生成させるために前記過熱器に空気を供給するコンプレッサと、
    過熱水蒸気を生成させるために前記過熱器に水蒸気を供給するボイラと、
    第1流路を介して前記コンプレッサと接続し、第2流路を介して前記ボイラと接続し、共通流路を介して前記過熱器と接続し、前記コンプレッサおよび前記ボイラの何れか一方を前記過熱器に接続させるよう切り替える三方電磁弁と、
    前記処理容器からの排気温度(Tex)を測定する温度センサと、
    前記温度センサによって測定された排気温度(Tex)に応じて前記過熱器の電源のオン・オフ制御を行うとともに、測定された排気温度(Tex)が120〜180℃の範囲内の温度(T1 )より低いときには、前記第1流路を開いて前記コンプレッサを前記過熱器に接続させ、測定された排気温度(Tex)が温度(T1 )に到達した後には、前記第2流路を開いて前記ボイラを前記過熱器に接続させるように、前記三方電磁弁を制御する制御部と、
    を備えていることを特徴とするリグノセルロース系材料の処理装置。
  6. 前記制御部は、前記温度センサにより測定された排気温度(Tex)が240℃を超えたときに前記過熱器の電源にオフ信号を出力し、排気温度(Tex)が200℃未満となったときに前記過熱器の電源にオン信号を出力することを特徴とする請求項5に記載のリグノセルロース系材料の処理装置。
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