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JP5843802B2 - ハニカム触媒担体 - Google Patents
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JP5843802B2 - ハニカム触媒担体 - Google Patents

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Description

本発明は、ハニカム触媒担体に関する。さらに詳しくは、NOの選択的触媒還元(SCR)に使用可能なゼオライトを担持するためのハニカム触媒担体に関する。
自動車のエンジンなどの内燃機関から排出される排ガスには、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)などの有害物質が含まれている。こうした有害物質を低減し、排ガスを浄化する際には、触媒反応が広く用いられている。この触媒反応では、排ガスを触媒に接触させるという簡便な手段により、一酸化炭素(CO)などの有害な物質から他の無害な物質を生成することが実現できる。よって、自動車などでは、排気系の途中に触媒を設置することにより、排ガスの浄化を行うことが一般的になっている。
自動車などの排気系に触媒を設置する際には、ハニカム構造体に触媒を担持させたハニカム触媒体が用いられている。ハニカム触媒体では、触媒を担持させた隔壁によってハニカム構造が形作られている。そのため、ハニカム触媒体では、排ガスと触媒との接触頻度が高く、その結果、排ガスの高い浄化効率を実現可能である。
さらに、ハニカム触媒体については、無数の細孔を有した多孔質の隔壁でハニカム構造体(ハニカム触媒担体)を形作り、隔壁の細孔内にも触媒を担持させる技術が提案されている。この技術は、細孔内に触媒を担持させることによって、ハニカム触媒体における触媒の担持量を増加させるというものである。そこで、隔壁の気孔率を高めることにより、隔壁における触媒の担持量の増加を図った改良技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2011−194342号公報
ところが、上述の改良技術をもってしても、嵩高いゼオライトを担持させようとすると、ゼオライトが細孔内に十分に入らずに隔壁の表面上に厚く堆積してしまう。こうした隔壁表面上のゼオライトの堆積により、ハニカム触媒体の圧力損失が増大してしまう。
上記の問題に鑑みて、本発明の目的は、ゼオライトを隔壁の細孔内に入れて隔壁表面に堆積するゼオライト層の厚さを薄くすることを可能とするハニカム触媒担体に関する技術を提供することにある。
本発明は、以下のハニカム触媒担体である。
[1] 流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備え、前記隔壁は、気孔率が40%以上であり、前記隔壁の水銀圧入法により測定された細孔径分布において、細孔径15μm〜300μmの範囲にあるものを第1細孔群とし、細孔径1μm以上15μm未満の範囲にあるものを第2細孔群とし、前記第1細孔群を含む細孔径15〜300μmの範囲において、前記細孔径分布のピーク(I)が少なくとも1つ存在し、前記第2細孔群を含む細孔径1μm以上15μm未満の範囲において、前記細孔径分布のピーク(II)が少なくとも1つ存在し、前記第1細孔群の細孔容積が全細孔容積の50〜80%であり、前記第2細孔群の細孔容積が全細孔容積の20〜50%であり、前記ピーク(I)の少なくとも1つが細孔径20〜80μmの範囲に存在し、前記ピーク(II)の少なくとも1つが細孔径6.2μm以上15μm未満の範囲に存在するハニカム触媒担体。
] 前記隔壁の厚さが50〜350μmである前記[1]に記載のハニカム触媒担体。
] セル密度が45〜200個/cmである前記[1]または[2]に記載のハニカム触媒担体。
] 前記隔壁のパーミアビリティーが0.5〜6.0μmである前記[1]〜[]のいずれかに記載のハニカム触媒担体。
本発明のハニカム触媒担体によれば、ゼオライトを含む触媒を担持させる場合に、隔壁の表面上にゼオライトが厚く堆積しにくくなる。その結果として、ハニカム触媒担体を用いたハニカム触媒体においては、圧力損失の増大を抑制可能となる。
本発明のハニカム触媒担体の一実施形態の模式的な斜視図である。 図1中のA−A’断面の模式図である。 図2中の枠α内を拡大した模式図である。 本発明の一実施形態のハニカム触媒担体を構成する隔壁の細孔径分布を示した模式図である。 触媒スラリー注入工程の概要を示す模式図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
1.ハニカム触媒担体:
図1〜図4に示されるように、本発明の一実施形態のハニカム触媒担体50は、流体の流路となる複数のセル7を区画形成する多孔質の隔壁9を備える。隔壁9は、気孔率が40%以上である。ハニカム触媒担体50では、隔壁9の水銀圧入法により測定された細孔径分布において、細孔径15μm〜300μmの範囲にある第1細孔群と、細孔径1μm以上15μm未満の範囲にある第2細孔群とが存在する。そして、第1細孔群を含む細孔径15〜300μmの範囲において、細孔径分布のピーク(I)が少なくとも1つ存在する。また、第2細孔群を含む細孔径1μm以上15μm未満の範囲において、細孔径分布のピーク(II)が少なくとも1つ存在する。さらに、第1細孔群の細孔容積が全細孔容積の50〜80%である。また、第2細孔群の細孔容積が全細孔容積の20〜50%である。
なお、図1は、本発明の一実施形態のハニカム触媒担体50を第1端面3の側からみた模式的な斜視図である。図2は、図1中のA−A’断面、具体的には、ハニカム触媒担体50のセルの延びる方向(以下、「Z方向」と簡略)に沿った断面を示した模式図である。図3は、図2中の枠α内を拡大した模式図である。図4は、本発明の一実施形態のハニカム触媒担体50を構成する隔壁9の細孔径分布を示した模式図である。
ハニカム触媒担体50によれば、隔壁9にゼオライトを含む触媒を担持させる際に、ゼオライトを含むスラリー(以下、「触媒スラリー」)が第1細孔群を構成する細孔11に多量に充填される。次いで、触媒スラリーに含まれる余分な水分が、第2細孔群を構成する細孔15を抜けて隔壁9の外部へ排出される。こうした触媒スラリーのスムーズな流れが形成されるため、ハニカム触媒担体50では、第1細孔群を構成する細孔11内にゼオライトを十分に入れることが可能になる。これに伴い、ハニカム触媒担体50によれば、ゼオライトを含む触媒を担持させる場合に、隔壁9の表面上にゼオライトが厚く堆積しにくくなる。その結果として、ハニカム触媒担体50を用いたハニカム触媒体においては、圧力損失の増大を抑制可能となる。
本明細書において「隔壁9の気孔率」とは、水銀ポロシメーター(水銀圧入法)により測定した値である。
本明細書において「隔壁9の細孔径」とは、水銀ポロシメーター(水銀圧入法)により測定した値である。
本明細書において「水銀圧入法により測定した細孔径分布」とは、図4に示されているように、水銀圧入法により測定された細孔径のデータを、縦軸が頻度(%)、横軸が細孔径(μm)として規定されたグラフにより表示された細孔径分布のことをいう。
本明細書において「ピーク(I)」とは、上述の細孔径分布において細孔径15〜300μmの範囲に現れるピークのことを意味する。複数のピークが細孔径15〜300μmの範囲に現れる場合、これら複数のピークはいずれも「ピーク(I)」である。
本明細書において「ピーク(II)」とは、上述の細孔径分布において細孔径1μm以上15μm未満の範囲に現れるピークのことを意味する。複数のピークが1μm以上15μm未満の範囲に現れる場合、これら複数のピークはいずれも「ピーク(II)」である。
ハニカム触媒担体50では、ピーク(I)の少なくとも1つが細孔径20〜80μmの範囲に存在し、かつ、ピーク(II)の少なくとも1つが細孔径6.2μm以上15μm未満の範囲に存在する。ピーク(I)が細孔径20〜80μmの範囲に存在し、かつ、ピーク(II)が細孔径6.2μm以上15μm未満の範囲に存在する場合、気孔の連通性に優れる。
ハニカム触媒担体50では、隔壁9の厚さが50〜350μmであることが好ましい。また、隔壁9の厚さが50μm未満の場合には、ハニカム触媒担体50の構造的強度が劣る恐れがある。隔壁9の厚さが350μm超の場合には、隔壁9の通気性に劣る恐れがある。さらに、隔壁9の厚さが、50〜200μmであることがより好ましく、特に、50〜160μmであることが最も好ましい。
本明細書において「隔壁9の厚さ」とは、Z方向に対して垂直な断面において、隣接する2つのセル7を区画する隔壁9の厚さのことを意味する。「隔壁9の厚さ」は、例えば、画像解析装置(ニコン社製、商品名「NEXIV、VMR−1515」)によって測定することができる。
ハニカム触媒担体50では、セル密度が45〜200個/cmであることが好ましい。セル密度が45〜200個/cmである場合には、ハニカム触媒担体50の強度や圧力損失に優れる。また、セル密度が45個/cm未満である場合には、排ガスとの接触面積が小さくなるため、触媒コート後の浄化性能に劣る恐れがある。セル密度が200個/cm超である場合には、開口面積が小さくなり、圧力損失の増大を招く恐れがある。さらに、セル密度は、45〜140個/cmであることがより好ましく、特に、45〜120個/cmであることが最も好ましい。
本明細書において「セル密度」とは、Z方向に垂直な断面における単位面積当たり(1cm当たり)のセル7の個数を意味する。
ハニカム触媒担体50では、隔壁9のパーミアビリティーが0.5〜6.0μmであることが好ましい。隔壁9のパーミアビリティーが0.5〜6.0μmである場合には、気孔の連通性に優れる。隔壁9のパーミアビリティーが0.5μm未満である場合には、隔壁9への水の透過性に劣る恐れがある。隔壁9のパーミアビリティーが6.0μm超である場合には、隔壁9を構成する組織が弱く、強度に劣る恐れがある。さらに、隔壁のパーミアビリティーは、0.5〜3.0μmであることがより好ましい。
本明細書において「隔壁9のパーミアビリティー」とは、下記式(1)により算出される物性値をいい、所定のガスがその物(隔壁)を通過する際の通過抵抗を表す指標となる値である。ここで、下記式(1)中、Cはパーミアビリティー(μm)、Fはガス流量(cm/s)、Tは試料厚み(cm)、Vはガス粘性(dynes・sec/cm)、Dは試料直径(cm)、Pはガス圧力(PSI)をそれぞれ示す。また、下記式(1)中の数値は、13.839(PSI)=1(atm)であり、68947.6(dynes/cm)=1(PSI)である。但し、式(1)中の、「68947.6」は、「1(PSI)あたりの(dynes/cm)」の値を示す。「68947.6」は、「(dynes/cm)/PSI」の単位を持っていることになる。
式(1):C=10×8FTV/[{πD(P−13.839)/13.839}×68947.6]
パーミアビリティーの測定手順としては、隔壁9の1枚を、リブ残り高さが0.2mm以下となるように切り出した角板、または円板状の試験片の隔壁9に室温空気を通過させ、その際の通過抵抗を測定し、上記式(1)により求める。
以下、ハニカム触媒担体50における「その他の特徴」を説明する。
ハニカム触媒担体50では、Z方向に垂直な断面において、セル7の断面形状は、特に限定されず、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形等の多角形形状、あるいは、円形や楕円形などとすることができる。
隔壁9の材料としては、セラミックが好ましい。セラミックの中では、コージェライト、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、及び炭化珪素−コージェライト系複合材料からなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましい。これらの材料を用いることにより、強度および耐熱性に優れたものとなる。また、隔壁9が、コージェライト、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、及び炭化珪素−コージェライト系複合材料からなる群から選ばれる1種以上を主成分として含有するセラミック材料から形成されていることがより好ましい。これらの中でも、コージェライトを主成分として含有するセラミック隔壁9が最も好ましい。隔壁9の材料としてコージェライトを用いると、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたハニカム触媒担体50となる。なお、本明細書において「主成分」というときは、全体の50質量%以上含有することをいう。例えば、「コージェライトを主成分とする」とは、隔壁9がコージェライトを50質量%以上含有していることをいう。なお、「珪素−炭化珪素系複合材料」とは、炭化珪素(SiC)を骨材としてかつ珪素(Si)を結合材として形成されたものである。
ハニカム触媒担体50では、構造的強度を高める観点から、外周が外周壁17によって取り囲まれているとよい。外周壁17の厚さは、特に限定されないが、50〜4000μmが好ましい。外周壁17の厚さを上記範囲内とする場合には、ハニカム触媒担体50の強度を適度に維持しつつ、圧力損失の増大を防止することができる。
ハニカム触媒担体50では、外周壁17の材質は、隔壁9と同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。
ハニカム触媒担体50では、外周壁17の形状は、特に限定されない。外周壁17の形状は、図1に示された円筒形状や、それ以外にも、Z方向に垂直な断面形状が楕円形の筒形状、Z方向に垂直な断面形状が四角形、五角形、六角形等の多角形の筒形状等であってもよい。
ハニカム触媒担体50は、Z方向の長さHが70〜220mmであることが好ましく、100〜180mmであることが更に好ましい。上記範囲とすることにより、各種エンジンからの排ガスの浄化に必要最小限のスペースの範囲で確保できる。
ハニカム触媒担体50は、Z方向に直交する断面における幅Wが80〜350mmであることが好ましく、100〜330mmであることが更に好ましい。上記範囲とすることにより、各種エンジンからの排ガスの浄化に必要最小限のスペースの範囲で確保できる。
ハニカム触媒担体50は、「長さH/幅W」の値が0.1〜3.0であることが好ましく、0.1〜2.0であることが更に好ましい。上記範囲とすることにより、リングクラックを抑制することができる。
2.ハニカム触媒担体の製造方法:
次に、本実施形態のハニカム触媒担体を製造する方法について説明する。本実施形態の製造方法では、坏土調製工程、成形工程、焼成工程を順次行うことによりハニカム触媒担体を得る。坏土調製工程は、セラミック原料を含有する成形原料を混合し混練して坏土を得る工程である。成形工程は、坏土調製工程によって得られた坏土をハニカム形状に押出成形し、複数のセルが形成されたハニカム成形体を得る工程である。焼成工程は、ハニカム成形体を焼成してハニカム触媒担体を得る工程である。
2−1.坏土調製工程:
坏土調製工程においては、セラミック原料を含有する成形原料を混合し混練して坏土を得る。
セラミック原料としては、コージェライト化原料、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、およびアルミニウムチタネートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。ここに列挙したセラミック原料の中でも、コージェライト化原料が好ましい。コージェライト化原料を用いる場合には、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体が得られる。なお、「珪素−炭化珪素系複合材料」とは、炭化珪素(SiC)を骨材としてかつ珪素(Si)を結合材として形成されたものである。「コージェライト化原料」とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミック原料であって、焼成されてコージェライトになるものである。
また、アルミナ、シリカ、カオリン、およびタルクを含有するコージェライト化原料の場合、アルミナの平均粒子径が0.5〜10μm、シリカの平均粒子径が0.5〜27μm、カオリンの平均粒子径が1.0〜12μm、かつ、タルクの平均粒子径が4.0〜18μmであることが好ましい。コージェライト化原料に含まれるアルミナ、シリカ、カオリン、およびタルクの平均粒子径が上記の範囲内にある場合、焼成時にタルクやシリカなどの反応により適度な大きさの空孔が形成されて、ピーク(II)の存在する隔壁を形成し易くなる。さらに、コージェライト化原料において、アルミナの平均粒子径が3.0〜8.0μm、シリカの平均粒子径が2.0〜7.0μm、カオリンの平均粒子径が1.5〜8.0μm、かつ、タルクの平均粒子径が7.0〜16μmであることがより好ましい。
本明細書において「平均粒子径」とは、光散乱法を測定原理としたレーザー回折/散
乱式粒度測定装置(例えば、商品名「LA−920」(堀場製作所社製)等)により測定
した、50%粒子径の値をいう。
本実施形態の製造方法では、成形原料は、セラミック原料以外に、造孔材を含むとよい。特に、平均粒径30〜150μmの造孔材を用いることが好ましい。平均粒径30〜150μmの造孔材を用いることにより、「水銀圧入法により測定した細孔径分布」においてピーク(I)の存在する隔壁を形成し易くなる。
さらに、造孔材の平均粒子径は30〜120μmであることが最も好ましい。
造孔材としては、通常、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲルなどを用いることができる。
成形原料は、分散媒、添加剤などを含むものであってもよい。
分散媒としては、例えば、水などを挙げることができる。添加剤としては、有機バインダ、界面活性剤等を挙げることができる。分散媒の含有量は、セラミック原料100質量部に対して、30〜150質量部であることが好ましい。
有機バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。有機バインダの含有量は、セラミック原料100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、セラミック原料100質量部に対して、0.1〜5.0質量部であることが好ましい。
坏土調製工程では、成形原料を混練して坏土を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機などを用いる方法を挙げることができる。
2−2.成形工程:
成形工程では、坏土調製工程で得られた坏土をハニカム形状に押出成形してハニカム成形体を得る。このハニカム成形体では、ハニカム成形体を貫通する複数のセルが形成されている。押出成形は、口金を用いて行うことができる。口金に関しては、ハニカム成形体におけるセル形状、隔壁の交差部の形状、隔壁厚さ、セル密度に対応させたかたちで、スリット形状、スリット幅、ピンの密度などを適宜設計すればよい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
2−3.焼成工程:
焼成工程では、上述の成形工程で得られるハニカム成形体を焼成し、ハニカム触媒担体を得る。こうして得られるハニカム触媒担体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備えている。
本実施形態の製造方法の焼成工程では、焼成温度は、ハニカム成形体の材質よって適宜決定することができる。例えば、ハニカム成形体の材質がコージェライトの場合、焼成温度は、1380〜1450℃が好ましく、1400〜1440℃が更に好ましい。また、焼成時間は、3〜10時間程度とすることが好ましい。
本実施形態の製造方法では、ハニカム成形体を焼成する前に乾燥させてもよい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などを挙げることができる。これらの中でも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥または熱風乾燥を単独でまたは組合せて行うことが好ましい。
3.触媒担持方法:
上述の製造方法によって得られたハニカム触媒担体については、以下に述べる触媒担持方法を用いることにより、ハニカム触媒体を得ることが可能である。
図5は、本実施形態の触媒担持方法の概略を示す模式図である。
まず、ハニカム触媒担体50の第1端面3および第2端面5に、シート30を貼り付ける。次いで、第1端面3および第2端面5のそれぞれに貼り付けたシート30上で、所定のセル7の開口部が存在する位置に孔33を開ける(マスキング工程)。例えば、シート30として、粘着性の高分子フィルムを使用し、レーザーを用いて孔33を開けることが可能である。
本実施形態の触媒担持方法では、以下のような方法で、第1端面3および第2端面5に貼り付けたシート30の、所定のセル7の開口部が存在する位置に孔33を開ける。まず、第1端面3について、セル7の開口部を1個おきに(1つ飛ばしに)シート30に孔33を開け、第1端面3側の開口部が開いているセル7(以下、「第1セル21」)と、第1端面3の側の開口部がシート30で完全にマスクされているセル7(以下、「第2セル23」)とが互い違いに配置されているようにする。次に、第2端面5において、第2セル23の開口部が存在する位置のみにシート30に孔33を開ける。その結果、第1端面3の側の開口部のみでシート30に孔33が開いている第1セル21と、第2端面5の側の開口部のみでシート30に孔33が開いている第2セル23とが互い違いに配置された状態になる。
続いて、第1端面3から触媒スラリーを圧入し、これと同時に、第2端面5から吸引する(触媒スラリー注入工程)。このとき、第1端面3では、第1セル21のみで開口部が開いているので、まずは、触媒スラリーが第1セル21内に流入する。しかし、第1セル21では、第2端面5の側の開口部はシート30に覆われている。ただし、第2端面5からの吸引により、第1セル21から第2セル23へと隔壁9を通過させる方向で、吸引力が触媒スラリーに作用している。そのため、触媒スラリーは、第1セル21内から隔壁9の細孔内に浸入していく。このとき、上述のように、触媒スラリーは、第1細孔群を構成する細孔11に主に充填され、触媒スラリー中の水分が第2細孔群を構成する細孔15から第2セル23に抜けていく。その結果、ゼオライトを含む触媒を隔壁9の奥深くの細孔内まで十分に入れることが可能になる。また、上述とは異なり、図5に示した状態において、第2端面5から触媒スラリーを圧入し、これと同時に第1端面3から吸引するという内容で、触媒スラリー注入工程を行ってもよい。
なお、触媒スラリーは、ゼオライトを含む触媒を担持する場合に用いる従来法により調製すればよい。
上述の触媒スラリー注入工程の後、触媒スラリーを注入したハニカム触媒担体50を乾燥、焼成する。このようにして、ハニカム触媒体を作製することができる。乾燥条件は、110〜180℃、10〜50分とすることができる。焼成条件は、400〜650℃、1〜5時間とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(ハニカム構造体の作製)
コージェライト化原料として、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、およびシリカを使用した(コージェライト化原料の詳細は表1に示す)。コージェライト化原料100質量部に、平均粒径100μmの造孔材2.5質量部、水(分散媒)62質量部、メチルセルロース(有機バインダ)5.6質量部、および界面活性剤0.5質量部を添加した。その後、混合、さらに混練して、坏土を得た。
次に、所定の金型を用いて坏土を押出成形してハニカム成形体を得た。ハニカム成形体は、セルの延びる方向に直交する断面において四角形のセルが形成され、全体形状が円柱形状であった。そして、得られたハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥した。その後、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた。続いて、乾燥させたハニカム成形体の両端面を切断し、所定の寸法に整えた。
このようにして得られたハニカム成形体を、更に、1410〜1440℃で、5時間、焼成することによってハニカム触媒担体を得た。
得られたハニカム触媒担体は、直径が143.8mmであり、Z方向の長さが152.4mmであった。隔壁の厚さは、160μmであり、セル密度は50個/cmであった。
ハニカム構造担体における「隔壁の厚さ」、「セル密度」、「気孔率」、「ピーク(I)の数」、「ピーク(I)の位置」、「ピーク(II)の数」、「ピーク(II)の位置」、「全細孔容積に対する第1細孔群の細孔容積の割合」(表2中では「第1細孔群の割合」)、「全細孔容積に対する第2細孔群の細孔容積の割合」(表2中では「第2細孔群の割合」)、「パーミアビリティー」、「気孔へのゼオライトの充填率」、「触媒コート前の圧力損失」、「触媒コート後の圧力損失」、「触媒コート後の隔壁厚さ」、「触媒コートによる圧力損失の上昇率」を表2に示す。
Figure 0005843802
Figure 0005843802
(ハニカム触媒体の作製)
平均粒子径4.1μmのβ−ゼオライト200gに水800g、分散剤(今回はヘキサメタリン酸ナトリウム)1.5g加え、ボールミルにて湿式開砕した。得られた解砕粒子にバインダとして、アルミナゾル(アルミナゾル中の固形分は20wt%)を20g加えて触媒スラリーを得た。この触媒スラリーは、粘度3mPa・sとなるように調製した。そして、図5に示した方法によって、触媒スラリー注入工程を実施した。余分なスラリーを圧縮空気で除去後、120℃で20分乾燥させ、450℃で1時間焼成した。このようにしてハニカム触媒体を得た。
(実施例2〜4)
実施例2〜4のハニカム触媒担体は、各条件を表1および表2に示すものとなるようにした以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例1〜3)
比較例1〜3のハニカム触媒担体は、各条件を表1および表2に示すものとなるようにした以外は、実施例1と同様に作製した。
[気孔率(%)]
ハニカム触媒担体における気孔率(%)は、水銀ポロシメーター(水銀圧入法)によって測定した。水銀ポロシメーターとしては、Micromeritics社製、商品名:Auto Pore III 型式9405を用いた。
[細孔径分布]
ハニカム触媒担体における細孔径分布は、水銀ポロシメーター(水銀圧入法)によって測定した。水銀ポロシメーターとしては、Micromeritics社製、商品名:Auto Pore III 型式9405を用いた。なお、グラフにおける縦軸の頻度(%)は、(100×log微分細孔容積)/全細孔容積、で表している。
[細孔容積]
ハニカム触媒担体におけるlog微分細孔容積(cc/g)は、水銀ポロシメーター(水銀圧入法)によって測定した。水銀ポロシメーターとしては、Micromeritics社製、商品名:Auto Pore III 型式9405を用いた。
[隔壁の厚さ]
触媒担持前(触媒担体)の隔壁の厚さは、画像解析装置(ニコン社製、商品名「NEXIV、VMR−1515」)によって測定した。また、触媒担持後(触媒体)の隔壁の厚さ(触媒コート後の隔壁の厚さ)は、後述の[圧力損失]の算出方法で述べる方法に従って算出した。
[パーミアビリティー]
ハニカム触媒担体における隔壁のパーミアビリティーはパームポロメーターによって測定した。パームポロメーターとしては、Porous Materials社製、商品名:Capillary Flow Porometer 型式CPF1100AEXを用いた。
[圧縮強度]
ハニカム触媒担体における圧縮強度はデュアルコラム卓上型万能試験システムによって測定した。デュアルコラム卓上型万能試験システムとしてはINSTRON社製、型式5569を用いた。尚、圧縮強度はJASO M 505−87に準拠し、Z軸方向の長さが25.4mm、これと直角方向の直径が25.4mmの円柱形の試験片をハニカム構造体から刳り貫き、デュアルコラム卓上型万能試験システムによりZ軸方向の圧縮強度を測定した値を意味する。
[充填率]
ハニカム触媒体における隔壁の気孔への触媒の充填率は、二次元画像解析ソフトにより測定した。画像撮影は、HITACHI製走査型電子顕微鏡S−3400Nにより、隔壁の厚さ方向と直角な断面に対して1.3mm×1.0mmの領域に対して行った。撮影した画像を、三谷商事社製二次元画像解析ソフトWinROOFを用いて解析した。具体的には、3箇所で隔壁表面を境に隔壁部分において、画像の2値化処理後に濃淡の異なる空隙、隔壁およびゼオライトの各色の割合を算出し、その割合により、各箇所での充填率を測定した。各箇所(合計3箇所)での充填率から平均値を求めた。充填率の平均値を表2に示す。
(ゼオライト充填の割合/隔壁の気孔の割合)×100=充填率
[圧力損失]
圧力損失の算出は、特開2005−337086号公報に記載されている方法に準じて行った。ハニカム触媒担体(触媒コート前)における圧力損失は、直径25.4mm、長さ70mmの試料で、入り口温度が25℃、101325.0Pa、風速2m/分の条件で特開2005−337086号公報に準じて算出した。また、ハニカム触媒体(触媒コート後)における圧力損失の算出については、次のように、隔壁の表面上に堆積したゼオライトの層の厚さを算出した上で行った。まず、ハニカム触媒担体を切り出すことにより、「直径25.4mm、セルの延びる方向の長さ70mm」とし、ゼオライト担持量を200g/Lに設定した。「気孔内充填率から気孔内に充填されたゼオライト量(i)」を求め、ゼオライトの総担持量との差分を「隔壁の表面上に堆積したゼオライト量(ii)」とした。ゼオライトの嵩密度0.6g/ccから隔壁の表面上に堆積したゼオライトの層の厚さを求め、触媒担持前の隔壁の厚さと足し合わせて触媒担持後の隔壁の厚さとした。ハニカム触媒担体(触媒コート前)における圧力損失算出時と同様に、当該試料について、入り口温度が25℃、101325.0Pa、風速2m/分の条件で特開2005−337086号公報に準じて圧力損失を算出した。なお、上記のゼオライトの嵩密度は、上述の触媒スラリーを直径79mm、高さ25mmの磁製ルツボに入れ、ハニカム触媒体の作製時と同様に120℃で20分乾燥させ、450℃で1時間焼成後に得られた焼成体の寸法及び重量により算出した。
[考察]
実施例1〜4と比較例1〜3を比較すると、気孔率が同程度の場合、実施例の方が、比較例と比べて、パーミアビリティーおよび圧縮強度が大きくなるという結果を得た。この結果から、実施例1〜4のハニカム触媒担体は、比較例1〜3のハニカム触媒担体と比較して、連通気孔が多く、そのため、触媒を担持させる工程において、水分が隔壁を透過し易く、触媒が細孔内に充填され易くなると考えられた。また、実施例1〜4のハニカム触媒担体は、比較例1,2のハニカム触媒担体と比較して、圧縮強度が高いので、ハニカム触媒担体を缶体内に押圧しながら収納する(キャニングする)のに十分な強度となった。
さらに、実施例1〜4と比較例1〜3を比較すると、実施例の方が比較例と比べて、隔壁の気孔への触媒の充填率が高くなる結果を得た。この結果から、実施例1〜4のハニカム触媒担体は、比較例1〜3のハニカム触媒担体と比較して、触媒が細孔内に充填され易いことが判明した。
実施例1〜4と比較例1〜3の触媒コート前後の圧力損失を比較すると、隔壁の厚さとセル密度が同等の場合(実施例1、2と比較例1、2、実施例3、4と比較例3)触媒コート前の圧力損失は実施例と比較例で同等の値を示すのに対し、触媒コート後の圧力損失は全体的に実施例の方が低いことが判明した。触媒コートによる圧力損失の上昇率の値についても明らかに実施例1〜4の方が比較例1〜3よりも小さいことが判明した。
以上の結果から、本発明のハニカム触媒担体については、隔壁の細孔内に触媒を充填することによって、隔壁表面に堆積する触媒層の厚さを薄くすることが可能であることが判明した。
本発明は、NOの選択的触媒還元(SCR)に使用可能なゼオライトを担持するためのハニカム触媒担体として利用できる。
3:第1端面、5:第2端面、7:セル、9:隔壁、11:(第1細孔群を構成する)細孔、15:(第2細孔群を構成する)細孔、17:外周壁、21:第1セル、23:第2セル、30:シート、33:(シートの)孔、50:ハニカム触媒担体。

Claims (4)

  1. 流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備え、
    前記隔壁は、気孔率が40%以上であり、
    前記隔壁の水銀圧入法により測定された細孔径分布において、
    細孔径15μm〜300μmの範囲にあるものを第1細孔群とし、
    細孔径1μm以上15μm未満の範囲にあるものを第2細孔群とし、
    前記第1細孔群を含む細孔径15〜300μmの範囲において、前記細孔径分布のピーク(I)が少なくとも1つ存在し、
    前記第2細孔群を含む細孔径1μm以上15μm未満の範囲において、前記細孔径分布のピーク(II)が少なくとも1つ存在し、
    前記第1細孔群の細孔容積が全細孔容積の50〜80%であり、
    前記第2細孔群の細孔容積が全細孔容積の20〜50%であり、
    前記ピーク(I)の少なくとも1つが細孔径20〜80μmの範囲に存在し、
    前記ピーク(II)の少なくとも1つが細孔径6.2μm以上15μm未満の範囲に存在するハニカム触媒担体。
  2. 前記隔壁の厚さが50〜350μmである請求項1に記載のハニカム触媒担体。
  3. セル密度が45〜200個/cmである請求項1または2に記載のハニカム触媒担体。
  4. 前記隔壁のパーミアビリティーが0.5〜6.0μmである請求項1〜のいずれか1項に記載のハニカム触媒担体。
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