JP5845646B2 - 石炭船および石炭・鉄鉱石兼用船ホールド用耐食鋼 - Google Patents
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また、特許文献2と3では、石炭船や石炭・鉱石兼用船の環境を模擬した塗膜下における耐食性を評価しているものの、ホールド使用環境下では不可避といえる石炭や鉄鉱石によるメカニカルダメージで剥離しやすい状況を想定した評価試験を行っていない。
1.鋼材の成分組成が、質量%で、C:0.010〜0.200mass%、Si:0.01〜0.50mass%、Mn:0.10〜2.0mass%、P:0.025mass%以下、S:0.005〜0.050mass%、Al:0.005〜0.10mass%、Cu:0.01〜1.0mass%、Ni:0.01〜1.0mass%、Sb:0.010〜0.50mass%、N:0.0010〜0.0080mass%を含有し、さらに残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
2.前記鋼材に加えて、さらに、Cr:0.050mass%以下であることを特徴とする1に記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
3.前記鋼材に加えて、さらに、W:0.005〜0.5mass%およびMo:0.005〜0.5mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする1または2に記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
4.前記鋼材に加えて、さらに、Nb:0.001〜0.050mass%を含有することを特徴とする1〜3のいずれか一つに記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
5.前記鋼材に加えて、さらに、Ca:0.0005〜0.010mass%、Mg:0.0001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする1〜4のいずれか一つに記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
6.前記鋼材に加えて、さらに、Ti:0.001〜0.030mass%、Zr:0.001〜0.030mass%およびV:0.002〜0.20mass%のうちから選ばれる1種以上を含有することを特徴とする1〜5のいずれか一つに記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
Cは、鋼の強度を上昇させるのに有効な元素であり、本発明では強度を確保するために0.010mass%以上の含有を必要とする。一方、0.200mass%を超える含有は、溶接性および溶接熱影響部の靭性を低下させる。よって、Cは0.010〜0.200mass%の範囲とする。さらに、好ましくは、0.050〜0.180mass%の範囲である。
Siは脱酸剤として添加され、また鋼の強度を高める元素であり、本発明では0.01mass%以上を含有させる。しかしながら、0.50mass%を超える含有は、鋼の靱性を劣化させるので、Siの上限は0.50mass%とする。加えてSiは酸性環境下で、防食皮膜を形成して耐食性を向上させる。この効果を得るには、好ましくは0.20〜0.40mass%の範囲である。
Mnは低コストで鋼の強度を上げることができ、さらに熱間脆性を防止できる元素であるので、0.10mass%以上含有させる。しかしながら、2.0mass%を超える含有は、鋼の靱性および溶接性を低下させるため、Mnは2.0mass%以下とする。なお、強度の確保と介在物抑制の観点から、好ましくは0.80〜1.4mass%の範囲である。
Pは粒界に偏析することで、鋼の母材靱性のみならず、溶接性および溶接部靱性を劣化させる有害な元素であるので、できるだけ低減することが望ましい。特に、Pの含有量が0.025mass%を超えると、母材靱性および溶接部靱性の低下が大きくなる。よって、Pは0.025mass%以下とする。好ましくは0.020mass%以下であり、より好ましくは0.015mass%以下である。
SはCuと金属間化合物Cu2Sを生成し、耐硫酸性を向上させる。これは、Cu2Sは酸性中で難溶性であり、錆中に点在することで、H+やSO4 2−などのイオンの地鉄界面への経路を減少させるからである。この効果はS含有量が0.005%以上の場合に発揮される。しかしながら、Mnと局部腐食の起点となるMnSを形成し、耐局部腐食性を低下させ、さらに、鋼の靱性および溶接性を劣化させる有害な元素であるので、本発明では0.005〜0.050mass%とした。また、好ましくは、0.007%超0.050%以下であり、さらに、好ましくは0.010%超0.050%以下である。
Alは脱酸剤として添加される。このためには0.005mass%以上の含有を必要とするが、0.10mass%を超える含有は、溶接した場合に、溶接金属部の靱性を低下させる。よって、Alは0.005〜0.10mass%の範囲に制限した。また、好ましくは0.01〜0.05mass%の範囲である。
Cuは腐食生成物を緻密にし、地鉄へのH2O、O2、Cl−の拡散を抑制する。また、金属間化合物Cu2Sb、Cu2Sを生成させ、石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールドの塗膜剥離後の鋼材の耐食性が向上する。この効果は、0.01mass%以上の含有で発現するが、添加量が多くなると溶接性や母材の靭性が低下する。そのため、0.01〜1.0mass%の範囲とする。好ましくは0.05〜0.50mass%の範囲である。
NiはCuと同様に腐食生成物を緻密にし、地鉄へのH2O、O2、Cl−の拡散を抑制する。これにより、鋼の耐食性が向上する。この効果は、0.01mass%以上の含有で発現するが、1.0mass%を超えると効果が飽和すると共にコストも上昇するため、0.01〜1.0mass%の範囲とする。好ましくは0.05〜0.50mass%の範囲である。
Sbは鋼材に合金元素として0.010mass%以上を含有させると、低pH環境において地鉄近傍に濃縮する。Sbは大きな水素過電圧を持つため、Sbが析出した部分では水素発生反応が抑制され、耐食性が向上する。
また、Cuと金属間化合物であるCu2Sbを形成することで、さらに耐食性が向上する。一方、Sbは0.50mass%を超えて添加すると靭性を低下させる。よって、Sbは0.010〜0.50mass%の範囲に制限した。好ましくは0.030〜0.20mass%の範囲である。
Nは靱性を低下させる元素であり、できるだけ低減することが望ましい。しかしながら、工業的には0.0010mass%未満に低減するのは難しい。一方、0.0080mass%を超えて含有させると靱性の著しい劣化を招く。よって本発明では、Nは0.0010〜0.0080mass%の範囲に制限した。
Crは、低pH環境で加水分解を起こすため、耐食性を低下させる元素であるので無添加でよい。しかし、強度調整のためCrを添加することができるが、特にその含有量が0.050mass%を超えると耐食性の低下が著しくなるため、Crを含有させる場合、その含有量は0.050mass%以下とすることが好ましい。
WおよびMoは鋼に含有させると鋼の耐食性を向上させる元素で、裸材さらには塗膜下腐食を抑制する効果も有している。これらの効果を得るためには、いずれも0.005mass%以上を含有させることが好ましい。しかし、0.5mass%を超えて添加しても効果が飽和するだけでなく、コストが嵩むため、含有させる場合には、0.5mass%以下とすることが好ましい。
Nbは酸化皮膜Nb2O5を生成し耐酸性を向上させるだけでなく、鋼の強度を高める元素であり、必要とする強度に応じて選択して含有させることができる。また、このような効果を得るためには、Nbは0.001mass%以上が好ましい。一方、Nbは0.050mass%を超えて添加すると靱性が低下するため、上記の範囲で含有させることが好ましい。
Caは0.0005%以上の添加で、また、Mgは0.0001mass%以上の添加で、いずれも、腐食界面のpHを上昇させる効果があるため、石炭腐食環境のような硫酸環境では、腐食抑制効果が認められる。また、Caを0.0005%以上添加すると、同時に、介在物形態制御効果も発揮され、鋼の延性および靱性を高めることができるので好ましい。しかし、過度に添加すると、粗大な介在物を形成し母材の靱性を劣化させるので、Ca及びMgのいずれも、含有させる場合にはその量の上限をいずれも0.010mass%とすることが好ましい。
本発明の鋼材は、上記成分に加えてさらに、Ti、ZrおよびVから選ばれる1種以上を下記の範囲で含有させることができる。
Ti、ZrおよびVはいずれも、鋼の強度を高める元素であり、必要とする強度に応じて選択して含有させることができる。このような効果を得るためには、TiおよびZrは0.001mass%以上、Vは0.002mass%以上含有させることが好ましい。しかしながら、TiおよびZrはいずれも0.030mass%、また、Vは0.20mass%を超えて含有させるとそれぞれ靱性が低下するため、Ti、ZrおよびVを含有させる場合には、それぞれ、上記の範囲で含有させることが好ましい。
REM(希土類金属)およびYはいずれも溶接熱影響部の靱性を高める元素であり、必要に応じて含有させることができる。この効果は、REMおよびYのいずれも0.0001mass%以上の含有で得られる。しかし、REMは0.0150mass%、Yは0.10mass%を超えて含有すると、靱性の低下を招くので、REM、Yを含有させる場合には、それぞれ、上記の範囲とすることが好ましい。
Se、TeおよびCoは、鋼の強度を高める元素であり、必要に応じて含有させることができる。この効果を得るためには、Se、Teは0.0005mass%以上、Coは0.010mass%以上含有させることが好ましいが、Se、Te、およびCoは、いずれも、0.50mass%を超えて含有させると靱性や溶接性が低下するため、含有する場合には上記の範囲とすることが好ましい。
Claims (6)
- 鋼材の成分組成が、C:0.010〜0.200mass%、Si:0.01〜0.50mass%、Mn:0.10〜2.0mass%、P:0.025mass%以下、S:0.007mass%超0.050mass%、Al:0.005〜0.10mass%、Cu:0.01〜1.0mass%、Ni:0.01〜1.0mass%、Sb:0.010〜0.50mass%、N:0.0010〜0.0080mass%、Sn:0.005mass%未満を含有し、さらに残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
- 前記鋼材に加えて、さらに、Cr:0.050mass%以下であることを特徴とする請求項1に記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
- 前記鋼材に加えて、さらに、W:0.005〜0.5mass%およびMo:0.005〜0.5mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
- 前記鋼材に加えて、さらに、Nb:0.001〜0.050mass%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
- 前記鋼材に加えて、さらに、Ca:0.0005〜0.010mass%、Mg:0.0001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
- 前記鋼材に加えて、さらに、Ti:0.001〜0.030mass%、Zr:0.001〜0.030mass%およびV:0.002〜0.20mass%のうちから選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の石炭船および石炭・鉱石兼用船ホールド用の耐食鋼。
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