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JP5848977B2 - 吸収式冷凍機 - Google Patents
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本発明は、横一側面に蒸発器に連なって冷媒蒸気を導入する導入路を備えた吸収器本体と、その吸収器本体内に設けられて吸収液を受け留める吸収液受け留め部材と、その吸収液受け留め部材の底板に吸収液散布孔を水平方向に分散配備して吸収液を液滴として流下する吸収液散布手段と、その吸収液散布手段に供給される前に吸収液を過冷却する過冷却器とを備えた吸収式冷凍機に関し、特には、吸収液散布孔を、導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向に密で流れ方向に直交する水平方向に疎な状態で分布するように分散させてある吸収式冷凍機に関する。
この種の吸収式冷凍機としては、従来、次のようなものが知られている。
吸収器を、蒸発器と一体構成の吸収器本体内に吸収液散布手段を備えて構成し、その吸収液散布手段を、吸収液を受け留めるトレイの底面に吸収液散布孔を分散配備して構成する。トレイにおいて、吸収液散布孔を、エリミネータから導入される冷媒蒸気の流れ方向に密で流れ方向に直交する水平方向に疎な状態で分布するように分散して配備し、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるように構成している。
更に、吸収液散布孔の密な間隔と疎な間隔との比を1:4〜1:5に構成し、機体を大型化することなく冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるようにしている(特許文献1参照)。
特開2008−232571号公報
しかしながら、上述したように、冷媒蒸気の流れを阻害しないようにするために、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向に疎な状態で吸収液散布孔を分布させる必要があり、従来例の場合、吸収液散布孔の密な間隔と疎な間隔との比を1:4までにしかできず、疎な方向での間隔として比較的大きな間隔を確保せざるを得ず、吸収器本体の小型化に限界があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1に係る発明は、吸収液散布孔自体に改良を加えて、冷媒蒸気の流れ方向やそれに直交する水平方向の長さを短くし、かつ、冷媒蒸気の流れを阻害せずに機体を小型化できるようにすることを目的とし、請求項2に係る発明は、吸収液を吸収液散布孔に円滑に流れ込ませながら、冷媒蒸気の流れ方向での間隔を充分密にできるようにすることを目的とする。
また、請求項に係る発明は、吸収液散布孔を合理的に配備してより良好に機体を小型化できるようにすることを目的とし、請求項に係る発明は、吸収液散布孔を安価に形成できるようにすることを目的とする。
請求項1に係る発明は、上述のような目的を達成するために、
横一側面に蒸発器に連なって冷媒蒸気を導入する導入路を備えた吸収器本体と、前記吸収器本体内に設けられて吸収液を受け留める吸収液受け留め部材と、前記吸収液受け留め部材の底板に吸収液散布孔を水平方向に分散配備して吸収液を液滴として流下する吸収液散布手段と、前記吸収液散布手段に供給される前に吸収液を過冷却する過冷却器とを備え、かつ、前記吸収液散布孔を、前記導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向に密で流れ方向に直交する水平方向に疎な状態で分布するように分散させてある吸収式冷凍機において、
前記吸収液散布孔の吸収液流入端側に、上方側程開口面積が大きい流入ガイドを形成してあり、前記吸収液散布孔の吸収液を流下する下端での直径が1.5〜2mmで、前記流入ガイドの鉛直方向の断面での形状が半径0.6〜1.4mmの円弧状であり、かつ、前記吸収液散布孔の密な間隔と疎な間隔との比が1:1.6〜1:4であることを特徴としている。
吸収液散布孔の吸収液を流下する下端での直径が1.5mm未満になると、ゴミ等による目詰まりを生じやすくなり、かつ、冷媒蒸気の流れ方向の力によって流れ方向に液滴が移動しやすく、密な方向で液滴どうしが接触し、大きな液滴になって表面積が減少する不都合があり、一方、直径が2mmを越えると、吸収液量に対する液滴の表面積が減少するからである。
また、流入ガイドの鉛直方向の断面での円弧形状の半径が0.6mm未満になると、吸収液受け留め部材の底面から吸収液散布孔に至る部分の滑らかさに欠け、一方、1.4mmを越えると、流入ガイドの上端側開口の直径が大きくなって機体が大型化するからである。
また、密と疎の間隔の比が1:1.6未満では冷媒蒸気の流れを液滴によって阻害される。一方、密と疎の間隔の比が1:4を越えると、必要量の吸収液を散布する上で、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向に長くなり、機体が大型化するからである。
本発明者は鋭意研究の結果、従来の場合、吸収液散布孔がその上下方向全長にわたって等径に構成されていて、吸収液受け留め部材(トレイ)内で水平方向に流れる吸収液が吸収液散布孔に円滑に流れ込みにくく、吸収液散布孔への流入が断続的になり、吸収液散布孔から流下される吸収液の液滴状態が不均一になっていることを見出した。
請求項1に係る発明の吸収式冷凍機の構成によれば、上記知見に基づき、吸収液散布孔自体に改良を加えて、吸収液散布孔の吸収液流入端側を、上方側程開口面積が大きい形状に形成するから、吸収液受け留め部材内で水平方向に流れる吸収液が吸収液散布孔に円滑に流れ込み、吸収液散布孔への流入が連続的になり、吸収液散布孔から流下される吸収液の液滴状態を均一にできる。
したがって、吸収液散布孔の下方で、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向において一定の幅の冷媒蒸気の通路を確保できて冷媒蒸気通過時の圧力損失を低減できるから、吸収液を冷媒蒸気に吸収させる効率を向上でき、従来同様の吸収性能を得る場合であれば、冷媒蒸気の流れ方向やそれに直交する水平方向における長さを短くして吸収液受け留め部材の面積を小さくでき、機体を小型化できる。
しかも、吸収液散布孔の吸収液を流下する下端での直径、流入ガイドの鉛直方向の断面での円弧形状の半径、および、吸収液散布孔の密な間隔と疎な間隔との比それぞれを合理的に設定することで、機体を大型化することなく冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴の表面積の減少を抑えて吸収性能を一層向上できる。
請求項2に係る発明は、前述のような目的を達成するために、
請求項1に記載の吸収式冷凍機において、
吸収液散布孔の直径と流入ガイドの上端側開口の直径との比が1:1.6〜1:2.4になるように構成する。
1:1.6未満では、吸収液が吸収液散布孔に流れ込みにくく、一方、1:2.4を越えると、冷媒蒸気の流れ方向での間隔が大きくなるからである。
(作用・効果)
請求項2に係る発明の吸収式冷凍機の構成によれば、吸収液散布孔の直径と流入ガイドの上端側開口の直径との比を合理的に設定することで、吸収液を吸収液散布孔に円滑に流れ込ませることができるとともに、冷媒蒸気の流れ方向での間隔を充分密にでき、より良好に機体を小型化できる。
請求項に係る発明は、前述のような目的を達成するために、
請求項1または請求項2に記載の吸収式冷凍機において、
吸収液散布孔の密な方向での数と疎な方向での数との比が1.5:1〜2.0:1になるように構成する。
密な方向での数と疎な方向での数との比が1.5:1未満になると、冷媒蒸気の流れ方向での吸収液の液滴量が少なくなって吸収性能が低下するとともに、必要な吸収性能を得る上で冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向に機体が長くなり、一方、2.0:1を越えると、冷媒蒸気の流れ方向での吸収液の液滴量が少なくなって吸収性能が低下するとともに、必要な吸収性能を得る上で冷媒蒸気の流れ方向に機体が長くなるからである。
(作用・効果)
請求項に係る発明の吸収式冷凍機の構成によれば、吸収液散布孔の密な方向での数と疎な方向での数との比を合理的に設定するから、吸収性能を低下することなく、より良好に機体を小型化できる。
請求項に係る発明は、前述のような目的を達成するために、
請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載の吸収式冷凍機において、
吸収液散布孔を形成している部材を軟鋼で構成する。
(作用・効果)
請求項に係る発明の吸収式冷凍機の構成によれば、例えば、ステンレス(SUS)に比べて、材料費が安い上に流入ガイドの加工が簡単で、吸収液散布孔を安価に形成でき、吸収器を安価に製作できる。
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明の吸収式冷凍機によれば、吸収液散布孔自体に改良を加えて、吸収液散布孔の吸収液流入端側を、上方側程開口面積が大きい形状に形成するから、吸収液受け留め部材内で水平方向に流れる吸収液が吸収液散布孔に円滑に流れ込み、吸収液散布孔への流入が連続的になり、吸収液散布孔から流下される吸収液の液滴状態が均一になる。
したがって、吸収液散布孔の下方で、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向において一定の幅の冷媒蒸気の通路を確保できて冷媒蒸気通過時の圧力損失を低減できるから、吸収液を冷媒蒸気に吸収させる効率を向上でき、従来同様の吸収性能を得る場合であれば、冷媒蒸気の流れ方向やそれに直交する水平方向における長さを短くして吸収液受け留め部材の面積を小さくでき、機体を小型化できる。
しかも、吸収液散布孔の吸収液を流下する下端での直径、流入ガイドの鉛直方向の断面での円弧形状の半径、および、吸収液散布孔の密な間隔と疎な間隔との比それぞれを合理的に設定することで、機体を大型化することなく冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴の表面積の減少を抑えて吸収性能を一層向上できる。
本発明に係る吸収式冷凍機の実施例を示す全体概略構成図である。 トレイの平面図である。 図2の一部省略A−A線拡大断面図である。 (a)は、実施例1の要部の拡大断面図、(b)は、実施例2の要部の拡大断面図、(c)は、参考例の要部の拡大断面図である。 吸収液散布孔の分散構成と冷凍能力との関係を示すグラフである。 図5の一部を拡大して吸収液散布孔の分散構成と冷凍能力との関係を示すグラフである。
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る吸収式冷凍機の実施例1を示す全体概略構成図であり、ガスエンジン(図示せず)のエンジン冷却部からの排熱(エンジン冷却水)を加熱媒体として供給する再生器1内に、低圧下でエンジン冷却水(例えば、温度85℃)によって沸騰可能な、水を冷媒とし、かつ、リチウムブロマイドを吸収剤としたリチウムブロマイド水溶液(吸収液)が収容されている。
再生器1には、吸収液から分離された冷媒蒸気を供給するように凝縮器2が第1の配管3を介して連通接続され、再生器1に第2の配管4を介して吸収器5が接続されるとともに、凝縮器2に第3の配管6を介して蒸発器7が接続され、更に、吸収器5と蒸発器7とが冷媒蒸気の導入路を形成するエリミネータ8を介して連通接続され、吸収式冷凍機が構成されている。
凝縮器2は、再生器1からの冷媒蒸気を流すフィン付きの熱交換用パイプ9と、その熱交換用パイプ9に外気を供給するファン10と、液溜め11とから構成され、冷媒蒸気を空冷によって凝縮液化し、その液化した冷媒液を液溜め11に溜め、液溜め11から蒸発器7に供給するようになっている。
蒸発器7は、散布ノズル12を付設した冷媒液用液溜め部13と、冷媒液用液溜め部13から流下される冷媒液を分散させる分散板14とから構成されている。
蒸発器7の下部と冷媒液用液溜め部13とにわたって、冷媒ポンプ15および冷熱取り出し用熱交換器16を介装した循環配管17が接続されている。
冷熱取り出し用熱交換器16に、ガスヒートポンプ用の冷媒入口管18と冷媒出口管19とが接続され、吸収器5における吸収液による冷媒の吸収に伴って冷媒液を蒸発冷却し、その冷却冷媒液によってガスヒートポンプ用の冷媒を冷却するようになっている。
吸収器5は、蒸発器7と一体構成の吸収器本体20内に多段に吸収液散布手段21を備えて構成されている。吸収液散布手段21は、図2のトレイの平面図、および、図3の一部省略断面側面図(図2の一部省略A−A線拡大断面図)に示すように、吸収液受け留め部材としてのトレイ22の底面に吸収液散布孔23を分散配備して構成されている。
トレイ22内には、最下部のスペーサとしての支持部材24を介して凹凸状の充填材25が3段、凹凸方向を交互に変えて充填されている。充填材25には、その凹部の底部に貫通孔26が分散して形成されている〔詳細構造は、本発明者による特願2007−74844号(特開2008−232571号公報)と同じである〕。2段目以降のトレイ22内には、充填材25が2段など最上部のものよりも少ない段数で充填されている。
最上部のトレイ22内の充填材25の上部に、スプレーノズル27が設けられ、そのスプレーノズル27と吸収器5の下部とが、吸収液ポンプ28と過冷却器29とを介装した第4の配管30を介して接続され、吸収液を循環しながら過冷却し、吸収液に吸収させる冷媒量を増加し、更に、吸収液を充填材25上に散布し、トレイ22内での液深を大きくしながら水平方向に分散して吸収液を供給し、吸収液散布孔23から液滴状態で滴下できるようになっている。29aは、過冷却器29のファンを示している。
各トレイ22において、吸収液散布孔23が、エリミネータ8から導入される冷媒蒸気の流れ方向に密で流れ方向に直交する水平方向に疎な状態で分布するように分散して配備され、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるように構成されている。
第4の配管30の吸収液ポンプ28と過冷却器29との間の箇所と再生器1とにわたって第5の配管31が接続されている。第4の配管30の一部と第5の配管31とによって第2の配管4が構成されている。再生器1の下部と吸収器5とが第6の配管32を介して接続され、この第6の配管32と第5の配管31との間に熱交換器33が設けられ、再生器1に戻す吸収液を、再生器1から吸収器5に流す吸収液によって加熱するようになっている。
再生器1は、再生器本体34内に、外面を伝熱面に形成した伝熱部材としての鉛直方向の伝熱面を有するプレート35を水平方向に並設し、プレート35の下部に、エンジン冷却後のエンジン冷却水をプレート35内に供給する加熱媒体供給管36を接続し、一方、プレート35の上部に、吸収液との熱交換によって冷却されたエンジン冷却水をプレート35内から取り出す加熱媒体取り出し管37を接続して構成されている。
トレイ22における吸収液散布孔23の吸収液流入端側には、図4の(a)の実施例1の要部の拡大断面図(ここでは、実数値の6.5倍に拡大している。)に示すように、上方側程開口面積が大きい、鉛直方向の断面での形状が円弧状の流入ガイド38が形成されている。
この実施例1の実数値の一例を示せば、吸収液散布孔23の吸収液を流下する下端での直径Dが2.0mmで、流入ガイド38の鉛直方向の断面での円弧の半径Rが1.2mmである。
吸収液散布孔23の加工は、例えば、バーリング加工によって形成されるものであり、予めダイチップおよびパンチチップの形状を所定の流入ガイド38に対応するように金型により成型しておき、ステンレス(SUS)製のトレイ22に対するパンチングとプレスとによって吸収液散布孔23と流入ガイド38とを同時に形成するものである。
図4の(b)は、本発明に係る吸収式冷凍機の実施例2の要部の拡大断面図であり、実施例1と異なるところは、次の通りである。
すなわち、トレイ22の肉厚が厚く、吸収液散布孔23がトレイ22の下向き面より突出せずに、吸収液流入端側に、上方側程開口面積が大きい、鉛直方向の断面での形状が円弧状の流入ガイド41が形成されている。
この実施例2による場合、予めダイチップの形状を所定の流入ガイド41に対応するように金型により成型しておき、パンチングによる打ち抜きによって吸収液散布孔23を形成すると同時にプレスによって流入ガイド41を形成するものである。
図4の(c)は、本発明に係る吸収式冷凍機の参考例の要部の拡大断面図であり、実施例1と異なるところは、次の通りである。
すなわち、トレイ22の肉厚が厚く、吸収液散布孔23がトレイ22の下向き面より突出せずに、吸収液流入端側に、上方側程開口面積が大きい、逆向き截頭円錐形状の流入ガイド51が形成されている。
この参考例による場合、実施例2におけると同様に、予めダイチップの形状を所定の流入ガイド51に対応するように金型により成型しておき、パンチングによる打ち抜きによって吸収液散布孔23を形成すると同時にプレスによって流入ガイド51を形成するものである。
次に、実験結果について説明する。
吸収式冷凍機としては、冷凍能力:8.00kW、蒸発器交換熱量:8.32kW、冷媒蒸発温度:26.2℃、吸収器交換熱量:8.32kW、吸収器平均温度:52.2℃、過冷却器交換熱量:9.95kWの仕様のものを使用した。
再生器1には、85.5℃のエンジン冷却水が供給され、82.5℃で排出される。再生器1から熱交換器33には83.0℃の吸収液が供給され、その熱交換により吸収器5には61.5℃の吸収液が戻される。一方、吸収器5から熱交換器33には52.2℃の吸収液が供給され、その熱交換により再生器1には72.0℃の吸収液が供給される。過冷却器29を経た吸収液は、39.0℃で吸収器5の上部に戻される。
蒸発器7から冷熱取り出し用熱交換器16には、26.7℃の冷媒液が供給され、冷熱取り出し用熱交換器16から冷媒液用液溜め13に36.7℃の冷媒液が供給される。また、冷媒液用液溜め13には凝縮器2の液溜め11から49.0℃の冷媒液が供給されるようになっている。
吸収器5としては、周囲の枠高さが10mmのトレイ22を等間隔で8段設置した。最下段のトレイ22は、その下面が吸収器本体20の底面から66mmの高さになる位置に設置され、トレイ22の下部が吸収器本体20内に溜まった吸収液に浸漬する状態で、実質的に上部からの吸収液を受けるだけのものであり、吸収液を液滴状態で流下させるトレイ22は7段で、その有効範囲、すなわち、スプレーノズル27による吸収液供給位置から最下段のトレイ22の下面までの高さが200mmになるように設置した。
供試体としては、各トレイ22として、実施例1の流入ガイド38の円弧の半径R(ここでの説明ならびに図5および図6での表記はr)を0.4mm、0.8mm、1.2mmにするとともに、各円弧の半径rの流入ガイド38それぞれで、吸収液散布孔23の密な間隔と疎な間隔との比(疎/密)が1.6、2.0、3.0、4.0になるようにバーリング加工により形成したものを用いた。また、軟鋼製のトレイ22に円弧の半径rが0.8mmの流入ガイド38と、吸収液散布孔23の密な間隔と疎な間隔との比(疎/密)が2.0になるようにバーリング加工により形成したものを1個用いた。
従来品としては、流入ガイド38が形成されずに、吸収液散布孔23の密な間隔と疎な間隔との比(疎/密)が2.0、3.0、4.0、5.0になるように打ち抜き加工により形成したものを用いた。
いずれにおいても、吸収液散布孔23としては、密な方向に33個で疎な方向に19個の総数627個形成した。
各供試体の冷凍能力を計測したところ、下記の通りであった。また、そのグラフを図5および図6(図5の冷凍能力7.4kW〜7.8kwの部分を拡大したグラフである)に示す。
供試体 材質 図面上の印 冷凍能力(kW)円弧半径r(mm) 疎/密比
1 SUS △ 7.72 0 5.0
2 SUS △ 7.67 0 4.0
3 SUS △ 5.78 0 3.0
4 SUS △ 4.21 0 2.0
5 SUS ◇ 7.71 0.8 4.0
6 SUS ◇ 7.66 0.8 3.0
7 SUS ◇ 7.61 0.8 2.0
8 SUS ◇ 7.53 0.8 1.6
9 SUS × 7.65 0.4 4.0
10 SUS × 6.14 0.4 3.0
11 SUS × 4.30 0.4 2.0
12 SUS × 4.28 0.4 1.6
13 SUS □ 7.69 1.2 4.0
14 SUS □ 7.68 1.2 3.0
15 SUS □ 7.52 1.2 2.0
16 SUS □ 7.60 1.2 1.6
17 軟鋼 + 7.71 0.8 2.0
上記結果に加え、吸収液散布孔23の直径Dを変更するとともに、円弧半径R(r)を変更して考察したところ、直径Dが1.5〜2mmで、半径R(r)が0.6〜1.4mmの円弧状であることが好ましいことがわかった。
直径Dが1.5mm未満になると、冷媒蒸気の流れ方向の力によって流れ方向に液滴が移動しやすく、密な方向で液滴どうしが接触し、大きな液滴になって表面積が減少する不都合があり、一方、直径Dが2mmを越えると、吸収液量に対する液滴の表面積が減少するからであった。
また、流入ガイド23の鉛直方向の断面での円弧形状の半径R(r)が0.6mm未満になると、トレイ22の底面から吸収液散布孔23に至る部分の滑らかさに欠け、一方、1.4mmを越えると、流入ガイド23の上端側開口の直径が大きくなって機体が大型化するからである。
また、吸収液散布孔23が、エリミネータ(導入路)8から導入される冷媒蒸気の流れ方向に密で流れ方向に直交する水平方向に疎な状態で分布するように分散させて形成され、その密な間隔と疎な間隔との比として1:1.6〜1:4に設定するのが好ましいことが明らかである。
密と疎の間隔の比が1:1.6未満では冷媒蒸気の流れを液滴によって阻害される。一方、密と疎の間隔の比が1:4を越えると、必要量の吸収液を散布する上で、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向に長くなり、機体が大型化するからである。
従来品では、供試体3および供試体4で明らかなように、密と疎の間隔の比が1:4未満になると冷凍能力が急激に低下しており、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向に長くならざるを得ず、機体が大型化することが明らかである。
したがって、密な間隔と疎な間隔との比として1:1.6〜1:3に設定するのがより好ましい。冷媒蒸気の流れを液滴によって阻害されずに、機体を充分小型化できるからである。
上述のような流入ガイドを形成する場合、前述結果などから、次のようなことが推察された。
吸収液散布孔23の直径と流入ガイドの上端側開口の直径との比が1:1.6〜1:2.4であることが好ましい。
1:1.6未満では、吸収液が吸収液散布孔23に流れ込みにくく、一方、1:2.4を越えると、冷媒蒸気の流れ方向での吸収液散布孔23の間隔が大きくなり、冷媒蒸気の流れ方向に機体が大型化するからである。
上記実施例では、吸収液散布手段21をトレイ22と吸収液散布孔23とから構成し、更に、そのトレイ22内に充填材25を備えているが、本発明としては、充填材25を備えないものでも良い。
本発明に係る吸収液散布手段21は、吸収器で冷却水を流すパイプやプレートなどに吸収液を散布する手段として使用するとか、蒸発器7の上部の散布ノズル12に代えて使用することも可能である。
7…蒸発器
8…エリミネータ(導入路)
20…吸収器本体
21…吸収液散布手段
22…トレイ(吸収液受け留め部材)
23…吸収液散布孔
29…過冷却器
38…流入ガイド
41…流入ガイ

Claims (4)

  1. 横一側面に蒸発器に連なって冷媒蒸気を導入する導入路を備えた吸収器本体と、前記吸収器本体内に設けられて吸収液を受け留める吸収液受け留め部材と、前記吸収液受け留め部材の底板に吸収液散布孔を水平方向に分散配備して吸収液を液滴として流下する吸収液散布手段と、前記吸収液散布手段に供給される前に吸収液を過冷却する過冷却器とを備え、かつ、前記吸収液散布孔を、前記導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向に密で流れ方向に直交する水平方向に疎な状態で分布するように分散させてある吸収式冷凍機において、
    前記吸収液散布孔の吸収液流入端側に、上方側程開口面積が大きい流入ガイドを形成してあり、前記吸収液散布孔の吸収液を流下する下端での直径が1.5〜2mmで、前記流入ガイドの鉛直方向の断面での形状が半径0.6〜1.4mmの円弧状であり、かつ、前記吸収液散布孔の密な間隔と疎な間隔との比が1:1.6〜1:4であることを特徴とする吸収式冷凍機。
  2. 請求項1に記載の吸収式冷凍機において、
    吸収液散布孔の直径と流入ガイドの上端側開口の直径との比が1:1.6〜1:2.4である吸収式冷凍機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の吸収式冷凍機において、
    吸収液散布孔の密な方向での数と疎な方向での数との比が1.5:1〜2.0:1である吸収式冷凍機。
  4. 請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載の吸収式冷凍機において、
    吸収液散布孔を形成している部材が軟鋼である吸収式冷凍機。
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