JP5850548B2 - コバルトセリウム化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
近年、ニッケル金属水素化物電池、ニッケルカドミウム電池、あるいは、ニッケル亜鉛電池等のアルカリ蓄電池の正極となるニッケル電極として、ニッケル基材(ニッケル発泡基材)にペースト状の活物質を充填する非焼結式電極が用いられている。
又、単に活物質をニッケル発泡基材に充填するだけの非焼結式電極の構成では、電池の放電に伴って導電率が低下し、ニッケル発泡基材のうちで電池の正極として有効に機能しない領域が少なからず存在するようになるため、導電性の高いコバルト化合物であるオキシ水酸化コバルトを導電助剤として用いる手法が考えられている。
具体的には、アルカリ蓄電池が過放電状態となって正極電位が負極電位に近づいた場合、あるいは逆充電の状態となった場合等に、オキシ水酸化コバルトが還元されてコバルトの価数が小さくなり、それに伴って導電率が低下してしまうのである。更には、還元されて水酸化コバルト(Co(OH)2)に変化すると電解液中に溶け出して、導電助剤としての機能を果たさなくなる。
例えば下記特許文献1では、コバルトの酸化化合物にアンチモン等を添加する構成が提案されている。
作用極101は発泡ニッケルにコバルトセリウム化合物が充填されたものであり、参照極102はHg/HgOで構成されている。また、対極103は通常のニッケル水素電池の負極と同様の水素吸蔵合金極で構成され、これらが、電解液である6.8mol/リットルの水酸化カリウム水溶液中に配置されている。
上記水溶液中のコバルトイオンとセリウムイオンとの存在割合を変化させて作製した複数のコバルトセリウム化合物について上記の測定を行った。
該正極ペーストを、厚さ1.4mm、面密度450g/m2の発泡ニッケル基板に充填し、乾燥後ロール掛けして原板とした。該原板を2cm×2cmの寸法に裁断し、集電用タブを取り付け作用極101とした。該極板の充填量から算定されるコバルトセリウム化合物の量は0.2gであった。
X線回折装置による測定結果をリートベルト法によって解析することで、結晶構造を解析した。試料粉末中の結晶構造を特定すると共に、特定した結晶構造を有する相の存在割合の特定も行った。X線回折装置はBrukerAXS社製、品番M06XCEで、測定条件は40kV、100mA(Cu管球))である。リートベルト法の解析ソフトとしてRIETAN2000を用いた。比抵抗値は、粉体抵抗測定法により得た値で、半径4mmの円形の型に試料粉末を50mg入れて10MPaで加圧した状態で測定した。この測定結果から試料粉末の比抵抗値(導電率の逆数)が得られる。これらの測定結果を表1に示す。
「還元電流量」は、図5に示す実験装置を用いて測定した電流であり、1時間の積算電流量の測定結果である。従って、数値は1時間の平均電流値を示している。
図6に結晶構造モデルを示すように、オキシ水酸化コバルト相は、菱面体構造で空間群R3m構造の結晶構造を有しており、少なくともコバルト原子、酸素原子および水素原子を構成元素として含んでいる。そして、本発明のコバルトセリウム化合物においては、オキシ水酸化コバルト相はセリウム原子を含むことができる。
これらの原子は、図6で示す所定のサイトに配置されている。具体的には、3a1,3a2サイトにCoまたはCe、3a3,9bサイトに酸素原子(水分子、水酸イオンを構成する酸素原子を含む)が配置されている。
このようにセリウムが含まれる場合には3a1,3a2サイトに配置される。なお、3a4サイトには、原子が配置されていなくても良いが、同図のようにNaを配置することが好ましい。3a4サイトへのNaの配置は、後述するようにコバルトとセリウムとを含む水酸化物を加熱処理する際に水酸化ナトリウムを共存させることによっておこなうことができる。このようにNaを含むことで、製造工程における酸化処理において、酸化を容易に進行させることができる。
このように、上記二酸化セリウム相においては、コバルトが含まれる場合には、コバルトはセリウムの一部を置換している。
更に、表1の右端の欄に、「二酸化セリウム相の存在割合」として示しているのは、コバルトセリウム化合物中における、二酸化セリウム相の存在割合を、オキシ水酸化コバルト相と二酸化セリウム相との合計に対する割合として、上記各層の含有割合から算出したものである。
図1にはアルミニウムを含有する化合物のデータを併記しているが、これについては後述する。
図1のグラフから、「セリウムの含有割合」すなわちコバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対するセリウムイオンの含有割合が5原子%を超えると急激に還元電流値が小さくなっていることが判る。すなわち、コバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対するセリウムイオンの含有割合が5原子%を超えると急激に還元反応が起こり難くなっていることを示している。そして、セリウムイオンの含有割合がデータのある70原子%に至るまで低い値を維持している。
図2でもアルミニウムを含有する化合物のデータを併記しているが、これについても後述する。
図2のグラフから、「セリウムの含有割合」すなわちコバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対するセリウムイオンの含有割合が40原子%以下のときは、セリウムを全く添加していない状態とほとんど変わらない低い値を維持している。セリウムイオンの含有割合が40原子%を超えると50原子%まで一旦比抵抗値が上昇するが、実用的に十分小さい値である。
図3のグラフでも図1のグラフと対応して、セリウムイオンの含有割合が5原子%に対応する二酸化セリウム相の存在割合が6.5質量%を超えると急激に還元電流値が小さくなっている。すなわち、オキシ水酸化コバルト相と二酸化セリウム相との合計に対する前記二酸化セリウム相の存在割合が6.5質量%を超えると急激に還元反応が起こり難くなっていることを示している。そして、前記二酸化セリウム相の存在割合がデータのある88質量%に至るまで低い値を維持している。
図4のグラフでも図2のグラフと対応して、「セリウムの含有割合」が40原子%に対応する二酸化セリウムの存在割合が略49%以下のときは、セリウムを全く添加していない状態とほとんど変わらない低い値を維持している。
コバルト化合物に添加する物質として、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、及び、鉄(Fe)を用いた。
これらの各物質について、上記のセリウムの場合と同様の処理を行ってコバルトとの化合物を作製し、上記と同様の比抵抗及び還元電流の測定を行った。その結果を表2に示す。
表2に示すように、アルミニウムについては「添加元素の含有割合」を3段階に変化させており、他の元素については30原子%で代表させておおよその特性を把握する。
コバルトセリウム化合物とコバルトアルミニウム化合物とを比較すると、還元電流量に関しては、コバルトセリウム化合物よりもかなり高い値であるものの、アルミニウムイオンの増大に対して一応の減少傾向を示している。従って、アルミニウムイオンの含有割合を更に大きくすると還元電流量を更に小さくできることが期待される。
コバルトセリウム化合物をこのような種々の元素を添加したコバルト化合物と比較すると、還元電流量及び比抵抗値の双方で極めて良好な値を示している点でコバルトセリウム化合物は特異な存在であると言える。
当該コバルトセリウム化合物は、セリウムの存在割合が、セリウムとコバルトとの合計に対して5原子%より大きい値に設定されていることが好ましく、セリウムの存在割合が、セリウムとコバルトとの合計に対して10原子%以上であることがより好ましい。
また、当該コバルトセリウム化合物は、セリウムの存在割合が、セリウムとコバルトとの合計に対して40原子%以下であることが好ましい。
そして、前記正極活物質の形状は粒子状であり、コバルトセリウム化合物は、前記粒子状の正極活物質の表面に積層した状態で存在していることが好ましい。
このような製造方法で製造されたコバルトセリウム化合物をアルカリ蓄電池の正極活物質に導電助剤として添加したときに、高い耐還元性を有して導電助剤としての機能を十分に発揮できる化合物となる。
当該コバルトセリウム化合物の製造方法は、前記水酸化物を析出させる前において、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれる前記セリウムイオンの割合が、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとの合計に対して5原子%より大きいことが好ましい。
また、前記水酸化物を析出させる前において、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれる前記セリウムイオンの割合が、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとの合計に対して10原子%以上であることが好ましい。
さらに、前記水酸化物を析出させる前において、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれる前記セリウムイオンの割合が、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとの合計に対して40原子%以下に設定されていることが好ましく、より比抵抗値の小さい導電助剤の提供が可能となる。
前記水酸化物を析出させたあとに酸化処理を経ることが好ましく、また、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとを含む前記水溶液を、所定のpHに調整された水溶液に混合する工程を経ることが好ましい。
そして、前記所定のpHに調整された水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムを含むことが好ましく、前記所定のpHに調整された水溶液は、粒子状の正極活物質を含むことがさらに好ましい。
〔コバルトセリウム化合物の作製〕
コバルトセリウム化合物の製造工程を概略的に説明する。
コバルトセリウム化合物は導電助剤として水酸化ニッケルに添加するのであるが、コバルトセリウム化合物を単独で作製した後に水酸化ニッケルに添加する手法と、コバルトセリウム化合物の製造過程で水酸化ニッケルと一体化する(具体的には、水酸化ニッケルの表面にコバルトセリウム化合物を析出させる)手法とがある。後者の手法は、コバルトセリウム化合物の量を削減できるので好ましい。
先ず、コバルトセリウム化合物を単独で作製する手法について説明する。
この作製手法では、先ず、コバルト化合物とセリウム化合物とを溶かしてコバルトイオンとセリウムイオンを含む水溶液を作製し、その水溶液のpHを調整して、コバルトとセリウムを含む水酸化物を水溶液中に析出させる。
コバルトイオンとセリウムイオンを含む水溶液のpHを調整する方法としては、コバルトイオンとセリウムイオンを含む水溶液を目的のpHに調整済みの水溶液に滴下する方法を用いることができる。pHの値は8以上、好ましくは9以上12以下を採用することができる。pH調整済みの水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどを含む水溶液を用いることができる。
更に具体的な処理例で説明すると、温度を45℃、pHを9に制御し、激しく攪拌したNaOH水溶液の中に、硫酸コバルトと硝酸セリウムを所定の比率で溶解させた水溶液を滴下させた。このときの硫酸コバルトと硝酸セリウム水溶液の濃度は、Co原子とCe原子との合計が1.6原子mol/リットルに調整した。滴下中のpH制御は、18wt%NaOHを用いて行う。ろ過、水洗、乾燥して、コバルトセリウム水酸化物を得る。
この方法を用いる場合、コバルトとセリウムとを含む水酸化物は、水酸化ナトリウム水溶液と混合した状態で加熱することが好ましい。
なぜなら、ナトリウムは水酸化物中のコバルトの酸化が促進する作用があるからである。この作用が顕著に認められることから、水酸化ナトリウム水溶液の混合量は、(Co+Ce)とNaと原子比(Na/(Co+Ce))が0.5以上となるように混合することが好ましい。
加熱温度は60℃以上水酸化ナトリウム水溶液の沸点以下、好ましくは100℃以上を用いることができる。
具体的な酸化処理の例としては、コバルトセリウム水酸化物50gに対して、40gの48wt%NaOH水溶液を添加して、120℃で1時間、大気中で加熱すれば良い。
次いで、ろ過、水洗、乾燥して、目的のコバルトセリウム化合物が得られる。
このように作製したコバルトセリウム化合物は、活物質である水酸化ニッケルの粉末に混合される形で導電助剤として使用することができる。
次に、アルカリ蓄電池用電極の活物質として用いる水酸化ニッケル粒子の表面に直接析出させる手法について説明する。この手法で析出させることにより、電極の内部にコバルトセリウム化合物のネットワークが形成されるので内部抵抗の低いアルカリ蓄電池用電極を得ることができ、その使用量も大幅に削減することができる。
コバルトセリウム化合物の使用量(水酸化ニッケル粒子表面への析出量)としては、コバルトセリウム化合物と水酸化ニッケルとの合計に対して0.1wt%以上10wt%以下のものを用いることができる。
この範囲の使用量とすることで内部抵抗の十分に低いアルカリ蓄電池用電極を得ることができる。ただし、この使用量範囲は、コバルトセリウム化合物に含まれるオキシ水酸化コバルト相および二酸化セリウム相の合計の含有割合が94質量%(wt%)以上の場合に適用されるものである。
そのため、両相の含有割合が小さい場合には、オキシ水酸化コバルト相および二酸化セリウム相の合計量が同じ程度含まれるように、当該使用量範囲をより多い量を含む範囲に変更するのが好ましい。
より具体的な処理例としては、0.1mol/リットルの硫酸アンモニウム水溶液に上述のようにして作製した水酸化ニッケル粒子を入れ、pH9温度を45℃に制御し、激しく攪拌する。pH調整は18wt%NaOH水溶液を用いて行う。
この溶液中に、硫酸コバルトと硝酸セリウムを所定の比率で溶解させた水溶液を滴下させる。このときの硫酸コバルトと硝酸セリウム水溶液の濃度は、Co原子とCe原子との合計が1.6原子mol/リットルに調整する。
また、水酸化ニッケル粒子表面の析出物の量は、それに含まれるCoとCeの量(金属に換算した質量)が、水酸化ニッケルとCoとCeの合計の量に対して約4wt%となるように調整する。次いで、ろ過、水洗、乾燥して、セリウムとコバルトとを含む水酸化物がコートされた水酸化ニッケルの粒子が得られる。
より具体的な酸化処理の例としては、コバルトとセリウムとを含む水酸化物が表面に析出した状態の水酸化ニッケル粒子50gに対して、40gの48wt%NaOH水溶液を添加して、120℃で1時間、大気中で加熱する。次いで、ろ過、水洗、乾燥して、目的の活物質粒子を作製する。この工程によって、コバルトセリウム化合物を表面に備えた水酸化ニッケル粒子が得られる。
上述のコバルトセリウム化合物の作製条件について更に詳述すると、上述の2つのコバルトセリウム化合物の作製手法の何れにおいても、上記のコバルトイオンとセリウムイオンを含む水溶液中におけるセリウムイオンの含有割合をどのように設定するかで、コバルトセリウム化合物の特性が変化する。
具体的には、耐還元性が高いコバルトセリウム化合物を得るという観点で、上記表1及び図1から、上記水酸化物を析出させる前において、コバルトイオンとセリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれるセリウムイオンの割合が、コバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対して5原子%以上または5原子%より大きくなるように各材料の混合比を設定すれば、還元電流量を小さくして耐還元性を向上させることができる。更に、水溶液に含まれるセリウムイオンの割合が、コバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対して10原子%以上になるように設定すれば、より確実に還元電流量が小さく耐還元性が高い状態とできる。
すなわち、上記水酸化物を析出させる前において、コバルトイオンとセリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれるセリウムイオンの割合が、コバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対して5原子%以上または5原子%より大きく且つ70原子%以下に設定すれば、高い耐還元性を有することが確認されている。
但し、図2の比抵抗値の変化をより詳細に見ると、コバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対するセリウムイオンの含有割合が40原子%を超えると比抵抗値が増加傾向を示している。従って、前記水酸化物を析出させる前において、コバルトイオンとセリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれるセリウムイオンの割合が、コバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対して5原子%より大きく且つ40原子%以下に設定することで、比抵抗値を極力小さくするという観点で特に良好な特性のコバルトセリウム化合物を作製できる。
更に、コバルトイオンとセリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれるセリウムイオンの割合を、コバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対して10原子%以上となるように各材料の混合比を設定してコバルトセリウム化合物を作製すると、上記オキシ水酸化コバルト相と上記二酸化セリウム相との合計に対する上記二酸化セリウム相の存在割合が13.4質量%以上となる。
コバルトとセリウムとの価格を比較するとコバルトの方が遙かに高価であり、材料コスト面では、セリウムの使用割合を極力大きくすることが望ましいことになる。
図2において、コバルトアルミニウム化合物の場合は、アルミニウムイオンの含有割合が12.5原子%を超えるとコバルトセリウム化合物の最大比抵抗値よりも比抵抗値が大となる。従って、コバルトイオンとセリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれるセリウムイオンの割合を、コバルトイオンとセリウムイオンとの合計に対して15原子%以上あるいは20原子%以上に設定すれば、コバルトアルミニウム化合物に対して材料コスト的にも優位となる。
次ぎに、アルカリ蓄電池(より具体的にはニッケル水素電池)の正極を作製する過程を概略的に説明する。
上述の2つの作製手法、すなわち、コバルトセリウム化合物を単独で作製した後に水酸化ニッケル粉末に添加する手法、あるいは、水酸化ニッケルの表面にコバルトセリウム化合物を析出させる手法の何れかで作製した水酸化ニッケルとコバルトセリウム化合物との混在物にカルボキシルメチルセルロース(CMC)水溶液等を添加してペースト状とする。
このペーストを多孔質のニッケル基材(ニッケル発泡基材)などの電子伝導性のある基材に充填して、その後乾燥処理し、所定の厚みにプレスしてアルカリ蓄電池用正極とする。
次ぎに、アルカリ蓄電池としてニッケル水素電池を製造する場合の工程を概略的に説明する。尚、各部の溶接等の詳細な説明については記載を省略する。
鉄にニッケルメッキを施したパンチング鋼板からなる負極基板に水素吸蔵合金粉末を主成分とするペーストを塗布し、乾燥した後に所定の厚みにプレスして負極を作製する。
この負極とポリプロピレンの不織布製セパレータと上述の正極とを積層し、その積層体をロール状に捲回する。
これに正極集電板及び負極集電板を取り付けた後、有底筒状の缶体に挿入し、電解液を注液する。
この後、周囲にリング状のガスケットが取り付けられると共にキャップ状の端子等を備えた円板状の蓋体を、正極集電板と電気的に接触する状態で取り付け、前記缶体の開放端を加締めることで固定する。
次ぎに、本発明を適用したアルカリ蓄電池の特性を検証するために、上述の製造方法でアルカリ蓄電池を作製すると共に、本発明を適用しない比較用試料を作製して、それらについて過放電後の放電回復容量を測定した。この測定はアルカリ蓄電池を過放電の状態にしてオキシ水酸化コバルトが還元され易い状態としたきに、電池としての能力をどの程度に維持出来ているかを調べるものである。
コバルトセリウム化合物の作製は、上述の水酸化ニッケルの表面にコバルトセリウム化合物を析出させる手法を用いて行った。水酸化ニッケル粒子の作製、水酸化ニッケル粒子へのコバルトとセリウムとを含む水酸化物の析出及びそれの酸化処理の具体的な条件は、各処理について具体的な処理例として説明しているものと同じとした。但し、水酸化ニッケル粒子へのコバルトとセリウムとを含む水酸化物の析出工程での、硫酸コバルトと硝酸セリウムとの水溶液における硫酸コバルトと硝酸セリウムとの比率は7:3とした。
又、水酸化ニッケル粒子に析出したコバルトセリウム化合物の量は、この化合物に含まれるCoとCeの量(金属に換算した質量)が水酸化ニッケル粒子の質量およびCoとCeとの質量(金属に換算した質量)の合計に対して4wt%であった。
該正極ペーストを、厚さ1.4mm、面密度450g/m2の発泡ニッケル基板に充填し、乾燥後ロール掛けして原板とした。該原板を4cm×6cmの寸法に裁断した。
また、この寸法の板の電極容量は500mAhになるようにコバルトセリウム化合物を表面に備えた水酸化ニッケルを充填した。この板を正極、水素吸蔵合金電極を負極とし、セパレータを介在させて、開放形セルを構成した。電解液は6.8mol/リットル水酸化カリウム水溶液を用いた。
本発明を適用したアルカリ蓄電池との比較のために、オキシ水酸化コバルトを表面に備えた水酸化ニッケル粒子を製作して比較用試料とした。まず、水酸化ニッケル粒子を製作し、これを混合したpH調整済みの水溶液にコバルトを含む水溶液と滴下することによって、コバルト水酸化物が表面に析出した水酸化ニッケル粒子を製作した。
具体的な条件は、水溶液にセリウムイオンを含まないこと以外は本発明を適用した測定用試料の場合と同じとした。つまり、硫酸コバルトと硝酸セリウムとの水溶液に代えて硫酸コバルト水溶液を用いた。
つぎに、水酸化ニッケル粒子表面に析出したコバルト水酸化物を酸化処理することによって、オキシ水酸化コバルトを表面に備えた水酸化ニッケル粒子を得た。酸化処理の方法は、本発明を適用した測定用試料と同じ条件でおこなった。オキシ水酸化コバルトの量は、この化合物に含まれるCo量(金属に換算した質量)が水酸化ニッケル粒子の質量およびCo量(金属に換算した質量)の合計に対して4wt%であった。
この比較用試料についても、上述の本発明を適用した測定用試料と同様にして開放形セルを作製した。
上記の本発明を適用した測定用試料及び本発明を適用していない比較用試料について、20℃の温度環境下、充電電流1.0Cで15時間充電し、1時間休止した後、放電電流1.0Cで終止電圧を0.0Vとして放電する工程を繰返し、10サイクル目の放電容量(定抵抗接続前の放電容量)を調べた。その後、20℃の温度環境下、充電電流0.1Cで15時間充電し、1時間休止した後、放電電流0.2Cで終止電圧を0.0Vとして放電し、放電末期の状態に設定した。その状態で、これらのセルに対し、60℃の環境下で定抵抗を正負極間に3日間接続した。この操作により、いわゆる過放電状態が再現されることとなり、コバルトセリウム化合物が備えられた正極の電位は負極とほぼ同電位に設定されることとなる。その後、再度20℃の温度環境下において、これらのセルを充電電流0.1Cで15時間充電し、1時間休止した後、放電電流0.2Cで終止電圧を0.0Vとして放電し、定抵抗接続後の放電回復容量(過放電後の放電回復容量)を調べた。
上記試験条件での試験結果、定抵抗接続前の放電容量を100とした場合の相対指数で表して、本発明を適用した測定用試料では、放電回復容量が85.4%であったのに対して、本発明を適用していない比較用試料では、放電回復容量が73.3%であった。
従って、本発明のコバルトセリウム化合物を表面に備えた水酸化ニッケル粒子は耐過放電性に優れた活物質であることがわかる。
上記実施の形態では、本発明を適用するアルカリ蓄電池として、ニッケル水素電池を例示したが、ニッケルカドミウム電池等の各種のアルカリ蓄電池の製造に適用できる。
102 参照極
103 対極
104 制御装置
Claims (8)
- コバルトイオンとセリウムイオンとを含む水溶液のpHを変化させることによってコバルトとセリウムとを含む水酸化物を前記水溶液中に析出させた後に、前記水酸化物を酸化処理する工程を含む、アルカリ蓄電池用正極活物質の導電助剤として用いるコバルトセリウム化合物の製造方法であって、
前記水酸化物を析出させる前において、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれる前記セリウムイオンの割合が、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとの合計に対して5原子%以上且つ70原子%以下の範囲に設定されていることで、菱面体構造で空間群R3m構造の結晶構造を有するオキシ水酸化コバルト相と、ホタル石構造で空間群Fm3m構造の結晶構造を有する二酸化セリウム相とを含むコバルトセリウム化合物を製造するコバルトセリウム化合物の製造方法。 - 前記水酸化物を析出させる前において、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれる前記セリウムイオンの割合が、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとの合計に対して5原子%より大きい値に設定されている請求項1に記載のコバルトセリウム化合物の製造方法。
- 前記水酸化物を析出させる前において、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれる前記セリウムイオンの割合が、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとの合計に対して10原子%以上である請求項1に記載のコバルトセリウム化合物の製造方法。
- 前記水酸化物を析出させる前において、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとを含む前記水溶液に含まれる前記セリウムイオンの割合が、前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとの合計に対して40原子%以下である請求項1記載のコバルトセリウム化合物の製造方法。
- 前記水酸化物を析出させたあとに酸化処理を経ることを特徴とする請求項1記載のコバルトセリウム化合物の製造方法。
- 前記コバルトイオンと前記セリウムイオンとを含む前記水溶液を、所定のpHに調整された水溶液に混合する工程を経る請求項1記載のコバルトセリウム化合物の製造方法。
- 前記所定のpHに調整された水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムを含む請求項6記載のコバルトセリウム化合物の製造方法。
- 前記所定のpHに調整された水溶液は、粒子状の正極活物質を含む請求項6記載のコバルトセリウム化合物の製造方法。
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