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JP5858904B2 - 車両用空調システム - Google Patents
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JP5858904B2 - 車両用空調システム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば旅客用の鉄道車両や大型バス等の車両に用いられる車両用空調システムに関する。
従来の車両用空調システムでは、車両の屋根に空気調和機が設けられ、客室の天井に空気調和機の吸い込み口と吹き出し口とが設けられている。
客室の空気がこのような車両用空調システムの暖房運転によって暖められる場合には、空気調和機の吹き出し口から吹き出された暖房気流は、客室の上方に溜まる傾向がある。そのため、座席等が設けられた客室の下方の空気の温度は低いままの状態となり、乗客は足下が寒いと感じてしまい、乗客の快適性が保たれなくなることがあった。
そこで、車両の客室の壁面に風路を設けるとともにこの風路の下部位置及び中間位置に吐出口を形成し、暖房運転の際には風路の吐出口から床近傍に暖房気流が吹き出されるようにした車両用空調システムが提案されている(特許文献1参照)。
特開平2−200563号公報(第2頁左下欄第14行−第18行)
特許文献1に記載の車両用空調システムでは、客室の壁面に風路が設けられるため、客室の幅寸法が小さくなるという課題があった。また、客室の壁面に風路が設けられるため、客室を形成する壁の構造が複雑になるという課題があった。また、客室の空気の温度分布を均一に近づけるためには吹き出し口を多く設ける必要があるため、客室を形成する壁及び風路の構造がさらに複雑になるという課題があった。
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたもので、客室の幅寸法を確保しつつ客室の空気の温度分布を均一に近づけることのできる車両用空調システムを得るものである。また、簡易な構造で乗客が感じる気流を抑制しつつ客室の空気の温度分布を均一に近づけることのできる車両用空調システムを得るものである。
本発明に係る車両用空調システムは、車両の内部の空間を空調する空気調和機と、前記空間の天井の裏側で且つ前記車両の幅方向の中央に設けられ、前記空間に空気を送る横断流送風機と、前記車両の内部の乗客の数を推定する乗客推定手段と、前記空気調和機の暖房運転の開始信号及び前記乗客推定手段から出力される推定情報に基づいて、前記横断流送風機の送風動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記空気調和機が暖房運転を行う際に、前記推定情報に基づく揺動角度で前記横断流送風機の送風方向を前記車両の幅方向に揺動させるものである。
本発明に係る車両用空調システムによれば、暖房運転を行う際に、車両の内部の空間の相対的に暖かい空気と冷たい空気とを混合することができるため、車両の内部の空間の温度分布を短時間で均一に近づけることができる。また、暖房運転を行う際に、乗客の数に基づく揺動角度で横断流送風機の送風方向を車両の幅方向に揺動させるので、横断流送風機の気流を乗客にあたりにくくすることができ、乗客の快適性を向上させることができる。また、客室の壁面等に新たな風路が設けられなくてもよいため、乗客の快適性を簡易な構造で向上させることができる。
実施の形態1に係る車両用空調システムの構成を示す図である。 実施の形態1に係る車両用空調システムの横断流送風機の揺動動作における揺動角度を説明するための図である。 実施の形態1に係る車両用空調システムの横断流送風機の動作と乗客数の関係を説明するための図である。 比較例1に係る車両用空調システムの空気調和機が暖房運転を開始した後における客室の空気の温度分布をシミュレーションした結果を示す図である。 実施の形態1に係る車両用空調システムの空気調和機が暖房運転を開始した後における客室の空気の温度分布をシミュレーションした結果を示す図である。 比較例1に係る車両用空調システムと、揺動角度θを変化させた場合の実施の形態1に係る車両用空調システムの客室の空気温度の高さ方向の温度差をシミュレーションした結果を示す図である。 比較例1及び実施の形態1に係る車両用空調システムの気流の概要を示す図である。 実施の形態1に係る車両用空調システムの制御例を示す図である。 実施の形態1に係る車両用空調システムの制御例を示す図である。 実施の形態2に係る車両用空調システムの構成を示す図である。 実施の形態2に係る車両用空調システムの人検知センサーによる横断流送風機3の送風パターン決定方法を説明するための図である。
以下、本発明に係る車両用空調システムについて、図面を用いて説明する。
なお、実施の形態の説明においては、旅客用の鉄道車両に用いられる車両用空調システムについて説明しているが、本発明に係る車両用空調システムには、例えばバスなど他の車両に用いられる車両用空調システムが含まれる。また、各図において、同一部材又は同一部分には同一の符号を付している。また、以下に示す図面では、本発明の主要部に関連する構成を中心に示しており、主要部に直接的に関係しない車両用空調システムの細部の構造については図示を簡略化又は省略している。また、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
(車両用空調システムの構成)
まず、実施の形態1に係る車両用空調システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る車両用空調システムの構成を示す図である。図1に示すように、車両用空調システム1は、空気調和機2と、横断流送風機3と、吸い込み口温度センサー4と、制御部5とを少なくとも有する。なお、実施の形態1の制御部5は、本発明における「制御手段」に相当する。
空気調和機2は、車両20の屋根21に設けられる。横断流送風機3は、車両20に設けられた客室22の天井23の裏側の空間(天井裏24)で且つ車両20の幅方向の中央に設けられる。なお、車両20の幅方向の「中央」とは、必ずしも厳密に中央であることを意味するものではなく、横断流送風機3から客室22内に送出される風が客室22の幅方向において偏らない程度であれば、中央から外れていることを許容するものである。なお、客室22は、本発明における「車両の内部の空間」に相当する。
客室22の空気は、天井23に形成された吸い込み口25から空気調和機2へ吸い込まれ、空気調和機2によって空気調和される。横断流送風機3の両側にはダクト(図示せず)が設けられ、空気調和機2で空調された空気は、このダクト(図示せず)を介して吹き出し口26から客室22へ吹き出される。吸い込み口25及び吹き出し口26は、天井23に形成されている。本実施の形態1では、吸い込み口25及び吹き出し口26は、車両20の幅方向の中央に対して対称に設けられており、また、吸い込み口25の方が吹き出し口26よりも車両20の側壁に近い位置に設けられている。
空気調和機2は、制御部5によって制御され、暖房運転や冷房運転等を行って客室22の空気を空調する。客室22の空気は、空気調和機2の吸い込み気流を示す矢印41のように吸い込み口25から吸い込まれる。空気調和機2からの暖房気流や冷房気流は、空気調和機の吹き出し気流を示す矢印42のように吹き出し口26から客室22へ吹き出される。
横断流送風機3は、その長手方向が車両20の長手方向に平行となるように設けられている。横断流送風機3は、空気の吐出口3aを備えており、この吐出口3aは、図1において空気の動きを示す矢印43の方向、つまり車両20の幅方向に揺動可能である。横断流送風機3の吐出口3aから送出された空気は、天井23に設けられた吹き出し口27から客室22へ吹き出される。図1では、横断流送風機3から客室22内へ吹き出される吹き出し気流を矢印44で示している。吹き出し口27は、車両20の幅方向の略中央に形成されている。
ここで、横断流送風機3の揺動角度について説明する。
図2は、実施の形態1に係る車両用空調システムの横断流送風機の揺動動作における揺動角度を説明するための図である。図2に示すように、横断流送風機3の吐出口3aの揺動動作は、図2において下方向を中心に、揺動角度±θの角度にて幅方向に対称に行われる。
図1の説明を続ける。
吸い込み口温度センサー4は、吸い込み口25の近傍に設けられ、吸い込み口25から吸い込まれる空気調和機2の吸い込み気流の温度を検出する。吸い込み口温度センサー4は、例えばサーミスタ等の空気の温度を検出可能な任意の温度センサーで構成される。吸い込み口温度センサー4が検知した温度情報は、制御部5に入力される。
車両20の床29の下には、車両20の台車に設けられたバネの内圧等を検知して車両20の重量のデータを測定し、重量に基づいて当該車両20の乗客数を推定する荷重センサー30が設けられている。荷重センサー30が推定した乗客数の情報は、制御部5に入力される。本実施の形態1では、荷重センサー30は、本発明の「乗客推定手段」に相当する。なお、荷重センサー30が車両20の重量の情報を制御部5に出力し、制御部5がその重量の情報に基づいて乗客数を推定してもよく、その場合には制御部5及び荷重センサー30が本発明の「乗客推定手段」に相当する。
制御部5は、例えば運転室に設けられた操作部(図示せず)からの操作信号に基づいて、空気調和機2の運転(暖房運転や冷房運転等)を制御する。操作部(図示せず)からは、暖房運転又は冷房運転の開始を指示する信号や暖房運転又は冷房運転の停止を指示する信号等が出力される。また、制御部5は、操作部(図示せず)で客室22の空気の温度が設定された場合には、吸い込み口温度センサー4で検出された空気調和機2の吸い込み気流の温度が、操作部(図示せず)で設定された温度になるように、空気調和機2の運転を制御する。以下では、操作部(図示せず)で設定された温度を「設定温度」という。制御部5は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
また、制御部5は、空気調和機2の暖房運転の状態(暖房運転中又は暖房運転停止中)及び荷重センサー30からの信号に応じて、後述するように横断流送風機3の送風動作を制御する。
(車両用空調システムの動作)
次に、実施の形態1に係る車両用空調システム1の動作について説明する。
制御部5は、空気調和機2の暖房運転の開始信号を取得すると、横断流送風機3の送風動作を開始させる。ここで、暖房運転の開始信号とは、操作部(図示せず)から空気調和機2に対して出力される暖房運転の開始を指示する信号、又は空気調和機2が暖房運転を開始したことを示す信号であって空気調和機2から出力される信号等、空気調和機2の暖房運転の開始と同期することのできる信号であればその発信元は問わない。暖房運転の開始信号を取得すると、制御部5は、車両20の幅方向に揺動角度±θ度で揺動しつつ送風を行うような過渡的な送風動作を横断流送風機3に行わせるように吐出口3aを揺動させる。このような過渡的な送風動作により、客室22の空気の攪拌及び暖かい空気と冷たい空気との混合が促進され、客室22の空気の温度を均一に近づけることができる。制御部5は、空気調和機2の暖房運転を停止した際には、横断流送風機3の送風動作を停止させる。
制御部5は、上記のように暖房運転中には基本的に横断流送風機3からの空気の吹き出し方向が揺動角度±θとなるように横断流送風機3を制御するが、このときの送風動作を、荷重センサー30が推定した乗客数に基づいて可変制御する。
図3は、実施の形態1に係る車両用空調システムの横断流送風機の動作と乗客数の関係を説明するための図である。
乗客61の数は、車両20に設けられた荷重センサー30によって、例えば一人当たりの平均体重(例えば65kg)に基づいて推定される。
乗客61の数が車両20の座席数未満であると推定される場合には、制御部5は、乗客61はすべて座席28に座っているものとみなす。この場合、制御部5は、図3(A)に示すように、揺動角度±θで横断流送風機3が揺動しながら送風するように送風制御を行う。なお、θは、座席28に座っている乗客61が気流を感じないような角度とし、車両20の寸法によって異なるが例えば±40度以下とする。
乗客61の推定数が車両20の座席数以上であるが、[座席数]+[つり革]の数よりも少ない場合には、制御部5は、乗客61は座席28に座っている、つり革につかまっている、又は扉付近にいるものとみなす。このとき、制御部5は、図3(B)に示すように、横断流送風機3の送風方向を下向きに固定(θ=±0度)して送風動作を行わせる。すなわち、横断流送風機3からの風は、車両20の幅方向中央に対してほぼ対称の位置においてつり革につかまった乗客61の間に供給され、乗客61に横断流送風機3からの気流が直接あたることを避けることができる。
さらに、乗客61の推定数が車両20の[座席数]+[つり革]の数以上である場合には、制御部5は、車両20内が満員に近い状態であるとみなす。このとき、制御部5は、図3(C)に示すように、横断流送風機3の送風動作を停止させる。これは、乗客61が満員に近い状態では乗客61からの発熱量が非常に多くなるため、あえて横断流送風機3の送風動作を行わなくても、客室22内は暖かい状態に保たれるためである。
このように制御部5は、乗客61の推定数に応じて、横断流送風機3の送風動作パターンを異ならせる。
なお、座席28に座っている乗客61の数や、つり革につかまっている乗客61の数などは、実際の車両20内の状態と制御部5が推定したものとではズレが生じうる。このズレを低減するため、事前に実際の車両20で乗客が受ける気流感を考慮し、一人当たりの平均体重の見積もり量を最適の値に変えることで、乗客が最も気流を感じない横断流送風機3の送風動作パターンを得ることができる。
(車両用空調システムの作用)
次に、実施の形態1に係る車両用空調システム1の作用について説明する。
まず、従来の車両用空調システムとして、横断流送風機3を有しない車両用空調システム(以下、「比較例1」という。)の作用について説明する。
空気調和機2が暖房運転を開始する前は、客室22の空気の温度は設定温度以下である。空気調和機2が暖房運転を開始した後は、吹き出し口26から暖房気流が吹き出されるため、客室22の空気の温度は上昇するが、暖房気流は、客室22の空気よりも密度が小さく、客室22の上方に溜まって客室22の下方まで到達しない。そのため、客室22の空気には、高さ方向に大きな温度差が生じ、例えば座席28に座った乗客は寒さを感じることとなる。
図4は、比較例1に係る車両用空調システムの空気調和機が暖房運転を開始した後における客室の空気の温度分布をシミュレーションした結果を示す図である。なお、図4には、空気調和機の暖房運転を開始して4分後における温度分布をシミュレーションした結果を示している。図4に示すように、客室22の空気には、高さ方向に大きな温度分布が生じる。温度分布は、高さ方向に層状となり、特に、乗客が座る客室22の下方で大きな温度差が生じる。
次に、実施の形態1に係る車両用空調システムの作用について説明する。図5は、実施の形態1に係る車両用空調システムの空気調和機が暖房運転を開始した後における客室の空気の温度分布をシミュレーションした結果を示す図である。
なお、図5は、図4と同様に、空気調和機2の暖房運転を開始した後4分後における温度分布をシミュレーションした結果であるが、図5(A)には横断流送風機3を揺動させていない場合(下向きに固定)、図5(B)には横断流送風機3を揺動させた場合を示した。図5(A)、(B)に示すように、ともに客室22の空気の温度差が低減される。特に、乗客が座る客室22の下方まで温風が到達しており、図4よりも客室22内の空気の温度差が小さくなっていることが分かる。
図6は、比較例1に係る車両用空調システムと、揺動角度θを変化させた場合の実施の形態1に係る車両用空調システムの客室22の空気温度の高さ方向の温度差をシミュレーションした結果を示す図である。図6に示す温度差ΔTは、高さ方向の温度分布に基づいて、数カ所の高さにおける空気の温度をその高さの水平面全体で平均して求め、床面から高さ2mまで範囲での最大の温度差を計算したものである。図6に示すように、比較例1に係る車両用空調システムに対して、実施の形態1に係る車両用空調システムでは温度差ΔTが小さく、客室22の空気の温度が均一に近づくことが分かる。
なお、一方、比較例1よりも温度差は大幅に改善されるものの、実施の形態1において揺動角度を±38度まで大きくすると、相対的に温度差が大きくなる。
図7は、比較例1及び実施の形態1に係る車両用空調システムの気流の概要を示す図である。図7(A)は、比較例1であって横断流送風機3が無い場合(又は横断流送風機3の送風を停止した場合)、図7(B)は実施の形態1において横断流送風機3の揺動角度θが±0度の場合、図7(C)は実施の形態1において横断流送風機3の揺動角度θが±20度の場合、図7(D)は実施の形態1において横断流送風機3の揺動角度θが±38度の場合を示している。
図7(A)に示すように、横断流送風機3が無い場合(又は横断流送風機3の送風を停止した場合)には、客室22内の空気温度は高さ方向に層状になり、下部には低温領域ができる。一方、図7(B)、(C)に示すように横断流送風機3の揺動角度θが±0度及び揺動角度θが±20度の場合には、吹き出し口26から吹き出される空気調和機2の吹き出し気流(矢印42)は、吹き出し口27から吹き出される横断流送風機3の吹き出し気流(矢印44)に誘引され、床29まで到達する(図7(B)、(C)中、黒塗りの矢印で示す)。さらに、図7(D)に示すように横断流送風機3の揺動角度を±38度とした場合には、吹き出し口26から吹き出される空気調和機2からの吹き出し気流(矢印42)は、吹き出し口27から吹き出される横断流送風機3の吹き出し気流(矢印44)に攪拌され、天井23の近傍にも供給され、吸い込み口25から一部が吸い込まれるようになる。そのため、床29への気流の到達量が図7(B)、(C)の場合よりも減り、客室22下部に相対的に低温の領域ができる。
このように、横断流送風機3を揺動させる際の揺動角度θは、±20度以内の角度とすることが望ましい。ただし、揺動角度θを±20度より大きい値とした場合においても、比較例1よりも大幅に客室22の空気の温度を短時間で均一に近づけることができる。
以上のように、実施の形態1に係る車両用空調システム1においては、客室22の空気を攪拌して相対的に暖かい空気と冷たい空気とを混合することができるため、客室22の空気の温度を短時間で均一に近づけ、且つ、短時間で上昇させることが可能となる。空気調和機2の無駄な運転が抑制されるため、省エネルギー効果を得ることができる。
さらに、実施の形態1の車両用空調システム1は、乗客61の推定数に基づいて横断流送風機3の揺動角度θ及び送風動作(送風実行/送風停止)を変化させる。乗客61の推定数が多い場合には少ない場合よりも横断流送風機3の吹き出し方向の揺動角度を小さくすることで、乗客61に温風が直接的にあたるのを抑制しつつ、客室22内の空気を攪拌することができる。
このように実施の形態1の車両用空調システム1によれば、乗客の快適性を向上させることができる。また、客室22の壁面等に新たな風路を設けなくてもよいため、乗客の快適性を簡易な構造で向上させることができる、という優れた効果を奏する。
また、横断流送風機3が、車両20の客室22の天井23の裏側で且つ車両20の幅方向の中央に設けられているので、客室22の全体に効率よく空気を送ることができる。そのため、客室22の空気の攪拌及び混合がより促進され、客室22の空気の温度をより短時間で均一に近づけ、且つ、より短時間で上昇させることが可能となる。
なお、実施の形態1では、1台の空気調和機2に対して1台の横断流送風機3が設けられた構成例を説明したが、1台の空気調和機2に対して車両20の長手方向に複数台の横断流送風機3が並べて設けられた構成とし、1台の空気調和機2が暖房運転を行う際に、複数台の横断流送風機3が送風動作を行うようにしてもよい。また、車両20の長手方向に空気調和機2が複数台並べて設けられた構成とし、複数台の空気調和機2のそれぞれに対して1台又は複数台の横断流送風機3が設けられた構成としてもよい。
また、上記説明では、横断流送風機3の動作パターンとして、揺動角度θを±0度として運転、揺動角度θを±20度として運転、及び運転停止、という3つのパターンを設け、乗客の数に応じていずれかの動作パターンで横断流送風機3が動作することを説明したが、揺動角度θが異なる他の動作パターン(例えば揺動角度θが±10度)をさらに設けてもよい。
ここで、上記説明では、乗客数が少ないときや中程度のときに空気調和機2が暖房運転を行う場合には、横断流送風機3が常に送風動作を行う動作例を説明した。しかし、暖房運転及び横断流送風機3の送風動作を開始してからの時間の経過に伴って、客室22の空気の温度分布が均一になった場合には、常には横断流送風機3が送風動作を行わなくてもよい。以下、そのような横断流送風機3の送風動作の例を説明する。
(車両用空調システムの制御例)
図8及び図9は、実施の形態1に係る車両用空調システムの制御例を示す図である。図8及び図9では、空気調和機2の暖房運転と横断流送風機3の送風動作の例をタイミングチャートで示している。
制御部5は、例えば図8に示すように、空気調和機2の暖房運転を開始すると同時に横断流送風機3の送風動作を開始させ、その後第1の時間(ΔtON−1)だけ横断流送風機3に送風動作を行わせ、第1の時間(ΔtON−1)が経過した後に横断流送風機3の送風動作を停止することができる。なお、第1の時間(ΔtON−1)は、本発明における「第1の時間」に相当する。
また、制御部5は、例えば図9に示すように、空気調和機2が暖房運転を行っている最中に、第1の時間(ΔtON−1)だけ横断流送風機3に送風動作を行わせ、続けて第2の時間(ΔtOFF−2)だけ横断流送風機3の送風動作を停止させるという制御を、繰り返し実行してもよい。なお、第1の時間(ΔtON−1)は、1分〜3分程度の範囲とするのがよく、客室22の大きさや形状等に応じて設定される必要がある。第2の時間(ΔtOFF−2)は、客室22の熱漏洩量等の熱的な負荷に応じて設定される必要があり、横断流送風機3の送風動作を停止した後の客室22の空気の温度分布の経時変化を実測する等によって設定することができる。
また、上記説明では、空気調和機2の暖房動作の開始と同時に横断流送風機3の送風動作を開始するものとして説明しているが、例えば、空気調和機2の暖房動作の開始と横断流送風機3の送風動作の開始とに時間差があってもよい。空気調和機2の暖房動作の開始と横断流送風機3の送風動作の開始とが同時である場合には、客室22の空気の温度をより短時間で均一に近づけ、且つ、より短時間で上昇させることができ、乗客の快適性をより向上することが可能となるという点で好ましいが、厳密に同時であることを要求するものではない。
実施の形態2.
以下、実施の形態2に係る車両用空調システムについて説明する。なお、本実施の形態2では、実施の形態1に係る車両用空調システムと相違する点を中心に説明する。
(車両用空調システムの構成)
まず、実施の形態2に係る車両用空調システムの構成について説明する。
図10は、実施の形態2に係る車両用空調システムの構成を示す図である。図10に示すように、車両用空調システム1Aは、空気調和機2と、横断流送風機3と、吸い込み口温度センサー4と、制御部5Aと、を少なくとも有する。なお、制御部5Aは、本発明における「制御手段」に相当する。
空気調和機2は、車両20の屋根21に設けられる。横断流送風機3は、車両20の客室22の天井23の裏側の空間(天井裏24)で且つ車両20の幅方向の中央に設けられる。なお、車両20の幅方向の「中央」とは、必ずしも厳密に中央であることを意味するものではなく、横断流送風機3から客室22内に送出される風が幅方向に偏らない程度に中央から外れていることを許容するものである。なお、客室22は、本発明における「車両内部の空間」に相当する。
空気調和機2で空調される客室22の空気は、天井23に形成された吸い込み口25から空気調和機2へ吸い込まれる。横断流送風機3の両側にはダクト(図示せず)が設けられ、空気調和機2で空調された空気は、このダクト(図示せず)を介して吹き出し口26から客室22へ吹き出される。吸い込み口25及び吹き出し口26は、天井23に形成されている。本実施の形態1では、吸い込み口25及び吹き出し口26は、車両20の幅方向の中央に対して対称に設けられており、また、吸い込み口25の方が吹き出し口26よりも車両20の側壁に近い位置に設けられている。
空気調和機2は、制御部5Aによって制御され、暖房運転や冷房運転等を行って客室22の空気を空調する。客室22の空気は、空気調和機2の吸い込み気流を示す矢印41のように吸い込み口25から吸い込まれる。空気調和機2からの暖房気流や冷房気流は、空気調和機2の吹き出し気流を示す矢印42のように吹き出し口26から客室22へ吹き出される。
横断流送風機3は、その長手方向が車両20の長手方向に平行となるように設けられている。横断流送風機3は、空気の吐出口3aを備えており、この吐出口3aは、図10において空気の動きを示す矢印43の方向、つまり車両20の幅方向に揺動可能である。横断流送風機3の吐出口3aから送出された空気は、天井23に設けられた吹き出し口27から客室22へ吹き出される。図10では、横断流送風機3から客室22内へ吹き出される吹出気流を矢印44で示している。吹き出し口27は、車両20の幅方向の略中央に形成されている。
吸い込み口温度センサー4は、吸い込み口25の近傍に設けられ、吸い込み口25から吸い込まれる空気調和機2の吸い込み気流の温度を検出する。吸い込み口温度センサー4は、例えばサーミスタ等の空気の温度を検出可能な任意の温度センサーで構成される。吸い込み口温度センサー4が検知した温度情報は、制御部5Aに入力される。
本実施の形態2では、車両20の天井23には、客室22内の乗客の数及び位置を推定する人検知センサー31が設けられている。人検知センサー31は、客室22内の乗客の数及び位置を検知することができればどのような種類のセンサーであってもよく、サーモパイルや焦電素子等の熱情報に基づいて乗客の数及び位置を検知するものや、カメラによる画像認識を用いたものなど、どのような方式であってもよい。人検知センサー31が推定した乗客の数及び位置の情報は、制御部5Aに入力される。本実施の形態2では、人検知センサー31は、本発明の「乗客推定手段」に相当する。なお、人検知センサー31は乗客の数及び位置の変化によって生じる物理量を検出してその情報のみを制御部5Aに出力し、制御部5Aがその情報に基づいて乗客の数及び位置を推定してもよく、その場合には制御部5A及び人検知センサー31が本発明の「乗客推定手段」に相当する。
制御部5Aは、空気調和機2の内部に設けられ、例えば運転室に設けられた操作部(図示せず)からの操作信号に基づいて、空気調和機2の運転(暖房運転や冷房運転等)を制御する。操作部(図示せず)からは、暖房運転又は冷房運転の開始を指示する信号や暖房運転又は冷房運転の停止を指示する信号等が出力される。制御部5Aは、操作部(図示せず)で客室22の空気の温度が設定された場合には、吸い込み口温度センサー4で検出された空気調和機2の吸い込み気流の温度が操作部(図示せず)で設定された温度になるように、空気調和機2の運転を制御する。以下では、操作部(図示せず)で設定された温度を「設定温度」という。制御部5Aは、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
また、制御部5Aは、空気調和機2の暖房運転の状態(暖房運転中又は暖房運転停止中)及び人検知センサー31からの信号に応じて、後述するように横断流送風機3の送風動作を制御する。
(車両用空調システムの動作)
次に、実施の形態2に係る車両用空調システム1Aの動作について説明する。
図11は、実施の形態2に係る車両用空調システムの人検知センサーによる横断流送風機の送風パターン決定方法を説明するための図である。
人検知センサー31によって車両20の幅方向の乗客61の分布を計測する。ここで、乗客61が座席28に座る領域及び扉付近の領域を領域71、つり革につかまる領域を領域72、左右のつり革間の通路部の領域を領域73とする。
なお、車両20が駅に停車して扉が開閉されたときには、客室22内を乗客61が移動するため、人検知センサー31は、車両20が駅から発車して乗客61が所定の位置に落ち着いた後、計測を開始する。計測を開始するタイミングは、人検知センサー31が検知する人の移動量に基づいて決定してもよいし、予め実際の車両にて計測した情報に基づいて決定してもよい。
制御部5Aは、人検知センサー31が検知した各領域71、72、73の乗客の人数に基づいて、横断流送風機3の送風動作を制御する。すなわち制御部5Aは、送風動作を異ならせる際の閾値となる人数(以下、閾値N)を予め決めておき、各領域71、72、73の乗客の人数と閾値Nとを対比して、横断流送風機3をどのように動作させるか決定する。この閾値Nは、乗客61が感じる気流を考慮して決定される。乗客61が感じる気流は、車両20の寸法や乗客61の数の時間変化等によって異なるため、これらの条件を踏まえて閾値Nを決定することができる。閾値Nは、例えば10人以下とすることができる。このように閾値Nを決めることで、安定した空調を行うことのできる車両用空調システムを得ることができる。
次に、横断流送風機3の具体的な送風動作例を説明する。
人検知センサー31の計測結果に基づいて、領域72、領域73のそれぞれの乗客61がN人未満であると判断した場合には、制御部5Aは、横断流送風機3を±θ度の角度で揺動させて送風動作を行わせる。なお、揺動角度θは、座席28に座っている乗客61が気流を感じないような角度であれば何度であってもよいが、実施の形態1の図6で示したように、揺動角度θを±20度以下とするのが望ましい。
領域72の乗客61がN人以上であって、領域73の乗客61がN人未満であると判断した場合には、制御部5Aは、横断流送風機3を下向き固定(θ=±0度)して送風動作を行わせる。
また、領域73に乗客61がN人以上存在すると判断した場合には、制御部5Aは、横断流送風機3の送風を停止させる。
なお、走行中に客室22内を移動する乗客61もいるため、人検知センサー31が時間的に継続して計測を行い、熱やカメラ画像の差に基づいて各領域71、72、73において増減した乗客61を検出し、その結果に基づいて制御部5Aが横断流送風機3の送風動作を制御するのが好ましい。
(車両用空調システムの作用)
次に、実施の形態2に係る車両用空調システム1Aの作用について説明する。
従来の車両用空調システムとして、横断流送風機3を有しない車両用空調システムでは、空気調和機2が暖房運転を開始する前は、客室22の空気の温度は設定温度以下である。空気調和機2が暖房運転を開始した後は、吹き出し口26から暖房気流が吹き出されるため、客室22の空気の温度は上昇するが、暖房気流は、客室22の空気よりも密度が小さく、客室22の上方に溜まって客室22の下方まで到達しない。そのため、客室22の空気には、高さ方向に大きな温度差が生じ、例えば座席28に座った乗客は寒さを感じることとなる。
実施の形態2に係る車両用空調システム1Aにおいては、横断流送風機3によって客室22の空気を攪拌して相対的に暖かい空気と冷たい空気とを混合することができるため、客室22の空気の温度を短時間で均一に近づけ、且つ、短時間で上昇させることが可能となる。空気調和機2の無駄な運転が抑制されるため、省エネルギー効果を得ることができる。
さらに、乗客61の推定数に基づいて横断流送風機3の揺動角度θ及び送風動作(送風実行/送風停止)を変化させるため、乗客61に温風が直接的にあたりにくい。
このように実施の形態2の車両用空調システム1Aによれば、乗客の快適性を向上させることができる。また、客室22の壁面等に新たな風路が設けなくてもよいため、乗客の快適性を簡易な構造で向上することができる、という優れた効果を奏する。
また、実施の形態2では、人検知センサー31を用いたので、客室22内の乗客61の位置及び数を実施の形態1のように荷重センサー30のみを用いた場合よりも正確に把握できる。そして、把握した乗客61の位置及び数の情報に基づいて、横断流送風機3の送風パターンを変化させる。
そのため、乗客61が受ける気流をより一層低減することができ、さらに乗客の快適性を向上させることができる。
なお、実施の形態2の人検知センサー31に加えて、実施の形態1で示した荷重センサー30を用い、人検知センサー31及び荷重センサー30の出力に基づいて、乗客の数を推定してもよい。このようにすることで、より精度よく乗客の数を推定することができる。
なお、上記説明では、領域73の乗客数が少ないときに空気調和機2が暖房運転を行う場合には、横断流送風機3が常に送風動作を行う動作例を説明した。しかし、実施の形態1の例えば図8、図9と同様に、暖房運転及び横断流送風機3の送風動作を開始してからの時間の経過に伴って、客室22の空気の温度分布が均一になった場合には、常には横断流送風機3が送風動作を行わなくてもよい。
1、1A 車両用空調システム、2 空気調和機、3 横断流送風機、3a 吐出口、4 吸い込み口温度センサー、5、5A 制御部、20 車両、21 屋根、22 客室、23 天井、24 天井裏、25 吸い込み口、26 吹き出し口、27 吹き出し口、28 座席、29 床、30 荷重センサー、31 人検知センサー、41 空気調和機の吸い込み気流を示す矢印、42 空気調和機の吹き出し気流を示す矢印、43 横断流送風機の動きを示す矢印、44 横断流送風機の吹き出し気流を示す矢印、61 乗客。

Claims (6)

  1. 車両の内部の空間を空調する空気調和機と、
    前記空間の天井の裏側で且つ前記車両の幅方向の中央に設けられ、前記空間に空気を送る横断流送風機と、
    前記車両の内部の乗客の数を推定する乗客推定手段と、
    前記空気調和機の暖房運転の開始信号及び前記乗客推定手段から出力される推定情報に基づいて、前記横断流送風機の送風動作を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記空気調和機が暖房運転を行う際に、前記推定情報に基づく揺動角度で前記横断流送風機の送風方向を前記車両の幅方向に揺動させる
    ことを特徴とする車両用空調システム。
  2. 前記乗客推定手段は、乗客の数に加えて前記車両の内部の空間における乗客の位置を推定し、前記乗客の数及び乗客の位置を前記推定情報として出力する
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用空調システム。
  3. 前記制御手段は、前記空気調和機の開始信号を取得すると、前記横断流送風機の送風動作を開始させる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空調システム。
  4. 前記制御手段は、前記横断流送風機に送風動作を開始させてから第1の時間が経過すると、前記送風動作を停止させる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用空調システム。
  5. 前記制御手段は、前記空気調和機が暖房運転を行う際に、前記横断流送風機に送風動作の実行と停止とを交互に繰り返させる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用空調システム。
  6. 前記制御手段は、前記乗客推定手段が推定した乗客の数が少ない場合には、乗客の数が多い場合よりも前記横断流送風機の揺動角度を大きくする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両用空調システム。
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