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JP5858905B2 - 軟質磁性体複合シート - Google Patents
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Description

本発明は、磁着効果のない壁等の平滑面に貼着することによって,マグネット部材を該壁等に磁着できるようにすると共に,画鋲(押しピン)を使用することができる軟質磁性体複合シートに関する。
従来、マグネットシートや焼結磁石等の永久磁石,若しくはこれらを用いた各種の磁石応用製品を,本来磁性体面が存在しない場所でも極めて容易に磁着させて使用することの出来る軟質磁性シートが提案されている(特許文献1)。
特開平10−219003号公報
しかしながら、特許文献1の請求項1記載の軟質磁性シートは,強磁性材料のうち透磁率が大きく保磁力の小さいソフトフェライト粉,鉄粉等の軟質磁性粉体と合成樹脂材とを混合,混練して厚さ0.1〜1.0mmの磁性シートとしてなることを特徴としているため,磁着力は比較的小さいという課題がある。該課題を解決するものとして,上記特許文献1の請求項3では,磁性シートの一面に磁性粉を混入した合成樹脂材をシート状に形成しN極とS極を交互に多極着磁してなる磁石シートを被着したことを特徴とする軟質磁性シートが提案されているが,かかる軟質磁性シートは多極着磁してなる磁石シートを被着しているため,該多極着磁の磁石シートは高価であり,軟質磁性シートとしてもコスト高となる課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、軟質磁性材料粉体と有機高分子エラストマーを主たる成分とする軟質磁性体層を有する軟質磁性体複合シートにおいて,低コストで効率よく軟質磁性体層のマグネット部材に対する磁着力を向上させるとともに,画鋲(押しピン)を使用することができる軟質磁性体複合シートを提供することにある。
請求項1記載の発明は,軟質磁性材料粉体と有機高分子エラストマーを主たる成分とする軟質磁性体層の上に表面層を形成し,該表面層の厚さは80μm〜250μmであり,軟質磁性体層の厚さは0.5〜5.0mmであり,軟質磁性体層の下に軟質磁性金属箔を設け,軟質磁性金属箔の厚みは0.05〜0.5mmであり,軟質磁性金属箔の下に基布層を設け,基布層は厚さが0.2〜0.7mmであることを特徴とする軟質磁性体複合シートを提供する。
請求項2記載の発明は,軟質磁性金属箔は鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔であることを特徴とする請求項1記載の軟質磁性体複合シートを提供する。
請求項3記載の発明は,基布層は,編み物地から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の軟質磁性体複合シートを提供する。
請求項4記載の発明は,基布層の下に粘着層を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の軟質磁性体複合シートを提供する。
請求項5記載の発明は,表面層は塗工紙,樹脂フィルムまたは壁用装飾紙のいずれかから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の軟質磁性体複合シートを提供する。
本発明に係る軟質磁性体複合シートは,軟質磁性体層の下に軟質磁性金属箔が設けられているため,表面層側に配設されるマグネット部材に対する磁着力が向上する効果がある。また軟質磁性金属箔の下部には基布層が設けられているため,軟質磁性金属箔に局部的に曲げ応力が加わっても折り曲げ跡や馬蹄形の跡が生じることがないという効果がある。また軟質磁性体層は金属と異なり軟質磁性材料粉体と有機高分子エラストマーを主たる成分とする層であるため,鋭利な針を突き刺すことができ,画鋲(押しピン)の針を突き刺して該画鋲(押しピン)をその状態で保持できるという効果がある。
特に請求項3記載の軟質磁性体複合シートは,基布層が編み物地から成るため柔軟性が高く,軟質磁性金属箔に局部的な変形応力が加わっても,より柔軟に該応力を分散させることができ,このため軟質磁性金属箔が局部的に折り曲げられることがなく,馬蹄形跡や折り曲げ跡が残ることがさらに少ないという効果がある。
また請求項4記載の軟質磁性体複合シートは,基布層の下に粘着層が設けられているため,壁等に該粘着層を介して軟質磁性体シートを貼着させることができ,あらためて接着剤を塗布する必要がなく,迅速に軟質磁性体複合シートを壁等に貼着することができるという効果がある。
また請求項5記載の軟質磁性体複合シートは,表面層は塗工紙,樹脂フィルムまたは壁用装飾紙のいずれかから成るため,建造物の内装用として使用できる効果がある。
本発明に係る軟質磁性体複合シートの断面状態図である。 本発明に係る請求項4記載の軟質磁性体複合シートの断面状態図である。
次に本発明に係る軟質磁性体複合シートを実施するための形態について説明する。
図1は本発明に係る軟質磁性体複合シート1の断面状態図であり,2は表面層である。該表面層2は塗工紙,樹脂フィルム,壁用装飾紙等いずれであってもよい。樹脂フィルムの場合は,水性マーカーで該表面層2に筆記をすることができる。
表面層2の下には軟質磁性材料粉体と有機高分子エラストマーを主たる成分とする軟質磁性体層3が設けられ,軟質磁性体層3の下には軟質磁性金属箔である鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔4が形成されている。鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔4の下には編み物地である基布層5が形成され,鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔4の厚みは0.05〜0.5mmが適している。0.05mm未満では軟質磁性体層3のマグネット部材に対する磁着力の向上効果が不十分であり,0.5mm超では鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔4の可撓性が不足し,ロール状に巻き取る等の取り扱いが不便となる。本実施例では鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔を使用したが,マグネットが磁着する他の軟質磁性金属箔を使用してもよい。
軟質磁性体層3の軟質磁性材料粉体と有機高分子エラストマーとの割合は,軟質磁性材料粉体80〜90重量部に対して有機高分子エラストマー10〜20重量部が好ましく,この場合,該軟質磁性体層3は良好な軟質磁性の性質を有する。軟質磁性体層3の厚さは,0.5〜5.0mmが好ましく,0.5mm未満では画鋲や押しピン等の保持力が不十分であり,5.0mm以上ではコスト高となる。
また,前記表面層2は,塗工紙,樹脂フィルムまたは壁用装飾紙等を適用させることができ,その厚さは,その下にある軟質磁性体層3がマグネット部材を良好に磁着させるため,80μm〜250μmであることが好ましい。80μm未満では意匠性が不十分となり,250μm超ではマグネット部材の磁着力が弱くなる。
基布層5は編み物地であることが望ましい。編み物地であることにより,一般的な紙等より柔軟性が高く,ニット服地と同様に局部的に皴や折り曲げ跡が残ることがなく,結果として鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔4に局部的な折り曲げ応力が加わっても,該鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔4と隣接し一体化している基布層5が,該応力を分散させ,鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔4に馬蹄形跡や折り曲げ跡が残ることがない。
また基布層5は0.2〜0.7mmが効果的な上記応力分散の点で好ましく,0.2mm未満では応力分散が不十分となり,鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔4に折り曲げ跡等が残る場合がある。0.7mm超では重量が重くなり,壁等に貼着する際の施工性が低下する。
基布層5を両面メリヤス編み物地とした場合の10cm当たりのループ数としては,90〜100が好ましく,90未満では応力分散能力が低下する場合があるなど好ましくなく,100超では柔軟性が低下する場合があるなど好ましくない。またこの際の編み物に使用する糸の材質は,レーヨン/ポリエステル(混紡)が好ましい。該糸の太さとしては,20〜40番手が好ましく,20番手未満では強度過多となり可撓性が低下する場合があるなど好ましくなく,40番手超では強度不足となり応力分散能力が低下する場合があるなど好ましくない。
図2は本発明に係る請求項4記載の軟質磁性体複合シート10の断面状態図である。12は表面層であり,表面層12の下には軟質磁性材料粉体と有機高分子エラストマーを主たる成分とする軟質磁性体層13が設けられ,軟質磁性体層13の下には軟質磁性金属箔である鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔14が形成されている。鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔14の下には編み物地である基布層15が形成されている。表面層12,軟質磁性体層13,鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔14,基布層15の構成は上記と同様である。
基布層15の下にはアクリル樹脂,ウレタン樹脂またはシリコーン樹脂等を主成分とする粘着層16が設けられている。通常は粘着層16を覆う剥離紙(図示せず)がさらに設けられ,軟質磁性体複合シート10を貼着させる直前に,該剥離紙を取り除いて壁等に貼着させる。
以下,実施例及び比較例にて本出願に係る軟質磁性体複合シートについて具体的に説明する。
表1に示す仕様にて実施例及び比較例の軟質磁性体複合シートを作製した。
表面層に使用した塗工紙には市販のアート紙である特菱アート片面(商品名,三菱製紙社製,厚さ0.11mm)を,鋼箔層には亜鉛メッキ鋼板(東洋鋼鈑社社製)を,軟質磁性体層には,軟質磁性材料粉体として鉄粉(JFEスチール社製 商品名;純鉄粉 品番;S−100 平均粒子径;D50/45μm)850重量部と,有機高分子エラストマーとして,塩素化ポリエチレン(昭和電工社製 商品名;エラスレン301A(塩素化率32w%,ムニー粘度121°C,ML1+4/85))100重量部と,加工助剤として滑剤及び酸化防止剤3.5重量部を加圧ニーダーにて混合,混練りを行なった後,圧延機にてシート成形をしたものを使用した。
基布には,太さ30番手のレーヨン/ポリエステル混紡の糸をメリヤス編みしたもので,10cm当たりのループ数が,縦方向90〜95,横方向95〜100の編み物地(厚さ0.5mm)を使用し,各層は市販の水性ビニルウレタン系接着剤スミカフレックス801HQ(商品名,住友化学社製)にて接着させ,23℃7日間養生後,以下に示す評価を行なった。
Figure 0005858905
〔評価項目及び評価方法〕
〔馬蹄形跡の付き易さ〕
実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例5の軟質磁性体複合シートを,人差し指と中指の上に載せて,親指にて強く載荷するようにして曲げ応力を加える。その後,各軟質磁性体複合シートの鋼箔に馬蹄形跡が残るものを×,馬蹄形跡が残らないものを○と評価した。
〔マグネット吸着性〕
実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例5の軟質磁性体複合シートを市販コンクリート歩道板(300×300×60mm)に市販水性ビニルウレタン系接着剤スミカフレックス801HQにて貼り付けで該接着剤が硬化後,垂直に保持し,多極着磁(極間3.0mm)を施した軟鉄との磁気吸着力96gf/Cm2の異方性マグネットシート(3cm×3cm)を非磁性体に積層してなる自重150gfのマグネット部品を試験体表面に磁着させる。該マグネット部品が落下しないものを○と評価し,落下するものを×評価した。
〔画鋲(押しピン)保持性〕
実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例5の軟質磁性体複合シートを市販コンクリート歩道板(300×300×60mm)に上記市販水性ビニルウレタン系接着剤スミカフレックス801HQにて貼り付けで該接着剤が硬化後,垂直に保持し,市販の画鋲(押しピン) 二重画鋲(商品名,東京画鋲製作所社製)を各軟質磁性体複合シートの表面層側から指で保持して突き刺し,その後,指を離した際に画鋲(押しピン)が抜け落ちないものを○,抜けて落下するものを×と評価した。
〔柔軟性〕
実施例1乃至実施例3及び比較例1乃至比較例5の軟質磁性体シートを,ロール状に巻き,容易に巻けるものを○,反発力があって巻きにくいものを×と評価した。
〔総合評価〕
すべての評価項目が○評価のものを○とし,これ以外を×とした。
〔評価結果〕
評価結果を表2に示す。
表2に示すように,実施例1乃至実施例3は総合評価が○であったが,比較例1乃至5は×であった。
Figure 0005858905

1 軟質磁性体複合シート
2 表面層
3 軟質磁性体層
4 鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔
5 基布層
10 軟質磁性体複合シート
12 表面層
13 軟質磁性体層
14 鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔
15 基布層
16 粘着層

Claims (5)

  1. 軟質磁性材料粉体と有機高分子エラストマーを主たる成分とする軟質磁性体層の上に表面層を形成し,該表面層の厚さは80μm〜250μmであり,軟質磁性体層の厚さは0.5〜5.0mmであり,軟質磁性体層の下に軟質磁性金属箔を設け,軟質磁性金属箔の厚みは0.05〜0.5mmであり,軟質磁性金属箔の下に基布層を設け,基布層は厚さが0.2〜0.7mmであることを特徴とする軟質磁性体複合シート。
  2. 軟質磁性金属箔は鋼箔又は磁性ステンレス鋼箔であることを特徴とする請求項1記載の軟質磁性体複合シート。
  3. 基布層は,編み物地から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の軟質磁性体複合シート。
  4. 基布層の下に粘着層を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の軟質磁性体複合シート。
  5. 表面層は塗工紙,樹脂フィルムまたは壁用装飾紙のいずれかから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の軟質磁性体複合シート。
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