JP5861582B2 - 疎水性クラスター化合物への水溶性又は水分散性の付与方法 - Google Patents
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Description
例えば、腫瘍細胞や腫瘍組織内の新生血管の内皮細胞内に取り込ませた光感受性物質にレーザー光を照射して活性酸素を発生させることにより、腫瘍細胞に傷害を与えて腫瘍を消失させる光線力学療法において、光感受性物質として炭素クラスター化合物であるフラーレンを用いることが試みられている。さらにフラーレンを美白素材とした化粧品原料として使用することも報告されている。
さらにカーボンナノチューブはその高い導電性や炭素化合物として環境保護性が高いことから、それらを用いた導電性担体やデバイスへの用途開発が期待されている。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の疎水性クラスター化合物複合体の製造方法、並びに疎水性クラスター化合物への水溶性又水分散性付与方法を提供する。
項2. カルボキシル基を有する酸が不飽和脂肪族カルボン酸、飽和脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アルドン酸、及びウロン酸から成る群より選ばれる1種である項1に記載の方法。
項3. 疎水性クラスター化合物が、カルボラン、フラーレン、カーボンナノチューブ、又はカーボンナノコイルである項1又は2に記載の方法。
項4. 疎水性クラスター化合物が、鉛、ニッケル、鉄、マグネシウム、コバルト、ロジウム、ルテニウム、白金、金、銀、銅、チタン、亜鉛、パラジウム、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、タングステン、アルミニウム、ジルコニウム、及びこれらの金属の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である項1又は2に記載の方法。
項5. 疎水性クラスター化合物と、β-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカンとをアルカリ性の溶液中で混合する工程と、混合した混合液にカルボキシル基を有する酸を添加して中和する工程とを含む、疎水性クラスター化合物への水溶性又は水分散性の付与方法。
項6. カルボキシル基を有する酸が不飽和脂肪族カルボン酸、飽和脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アルドン酸、及びウロン酸から成る群より選ばれる1種であるである項5に記載の方法。
項7. 疎水性クラスター化合物が、カルボラン、フラーレン、カーボンナノチューブ、又はカーボンナノコイルである項5又は6に記載の方法。
項8. 疎水性クラスター化合物が、鉛、ニッケル、鉄、マグネシウム、コバルト、ロジウム、ルテニウム、白金、金、銀、銅、チタン、亜鉛、パラジウム、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、タングステン、アルミニウム、ジルコニウム、及びこれらの金属の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である項5又は6に記載の方法。
本発明は、食品成分としても利用されるβ-1,3-1,6グルカンを用いて疎水性クラスター化合物を水溶液中に分散させているため、本発明の複合体は安全性が高く、医薬・化粧品として応用利用可能なものである。また、本発明の複合体は、触媒材料、磁気記録材料、導電膜形成材料、半導体膜形成材料、顔料などの各種用途に使用できる。
また、本発明の疎水性クラスター化合物への水溶性又は水分散性の付与方法を用いることで、効率よく安定性に優れた疎水性クラスター化合物の水分散液を製造することができる。
本発明の複合体は、疎水性クラスター化合物と、主鎖のβ-1,3結合に対する側鎖のβ-1,6結合の比率(分岐度)が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカンとの複合体である。
(1−1)疎水性クラスター化合物
本発明において、クラスター化合物は、数個〜数百個の原子又は分子が凝集して形成された集団又は微粒子を指す。また、疎水性クラスターとは、水に対する25℃における溶解度が、例えば10mg/ml以下のクラスター化合物を意味し、好ましくは5mg/ml以下、より好ましくは3mg/ml以下、さらに好ましくは1mg/ml以下である。疎水性クラスター化合物としては、鉛(Pb)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)などの金属原子、又はこれらの金属の酸化物や硫化物の1種又は2種以上を含む金属クラスター化合物;ホウ素(B)、炭素(C)、ケイ素(Si)、硫黄(S)、リン(P)などの非金属原子の1種又は2種以上を含む非金属クラスター化合物などが挙げられる。また、金属原子と非金属原子とを含むクラスター化合物であってもよい。
また、例えば、非金属クラスター化合物内に金属原子が内包されている化合物;フタロシアニンと金属原子との錯体、ポルフィリンと金属原子との錯体のような有機金属錯体等、他原子を内包したクラスター化合物であってもよい。また、錯体としては、ルテニウム、コバルトの金属錯体も好ましいものとして例示できる。
クラスター化合物は一次粒子が凝集している場合があるが、β-1,3-1,6グルカンとの複合化には一次粒子の大きさが影響を与えるので、ここでいう最大径は一次粒子の最大径である。また、クラスター化合物がカーボンナノチューブのように繊維状である場合は、周方向の長さがβ-1,3-1,6グルカンとの複合化に影響を与えるので、ここでいう最大径は周方向の最大径である。また、クラスター化合物がカーボンナノコイルのようにコイル状である場合は、コイルの周方向の長さがβ-1,3-1,6グルカンとの複合化に影響を与えるので、ここでいう最大径はコイルの周方向の最大径である。
フラーレンとしては、炭素数60,70,76,78,80,82,84,86,88,90,92,94,96など炭素数60〜120程度のものが知られている。本発明において炭素数は特に限定されないが、入手が容易で、β-1,3-1,6-D-グルカンと複合体を形成したときの安定性や水への溶解性に優れる点で、炭素数60〜70のものが好ましい。また、スカンジウム(Sc)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、窒素(N)などの異種原子を内包したフラーレンも使用できる。
単層カーボンナノチューブは、直径約1nmであるが、本発明では、溶解性の点で、1本から数本(例えば10本)がバンドル化した状態のものが好ましい。直径では1nm〜20nm程度が最適である。また、本発明によれば、単層カーボンナノチューブが複数個入れ子状に積層された多層カーボンナノチューブにも十分な水溶性又は水分散性を付与することができる。多層カーボンナノチューブの直径は、例えば、約150〜200nmであり、長さは、例えば、約1〜10μmである。
カルボランは、ボランの骨格構造のホウ素原子の一部を炭素原子で置換した化合物及びイオンの総称であり、多面体構造を有する。多面体頂点の数が6〜12のものが知られているが、本発明では多面体頂点の数は特に限定されない。特に、β-1,3-1,6グルカンと複合体を形成したときの安定性に優れる点で、B10C2H12で表され正20面体構造を有するm−カルボラン及びo−カルボランが好ましい。
本発明に用いるβ-1,3-1,6グルカンにおいて、主鎖のβ-1,3結合数に対する側鎖のβ-1,6結合数の比率である分岐度は、通常約50〜100%、好ましくは約75〜100%、より好ましくは約85〜100%であればよい。
β-1,3-1,6グルカンが上記分岐度を有することは、β-1,3-1,6グルカンをエキソ型のβ-1,3-グルカナーゼ(キタラーゼ M、ケイアイ化成製)で加水分解処理した場合に分解生成物としてグルコースとゲンチオビオースが遊離すること、及びNMRの積算比から確認できる(今中忠行 監修、微生物利用の大展開、1012-1015、エヌ・ティー・エス(2002))。
上記の分岐度を有するβ-1,3-1,6グルカンは、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物から得ることができる。
オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物由来のβ-1,3-1,6グルカンは、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する。NMRの測定値は条件の微妙な変化によって変化し、また誤差を伴うことは周知のことであることから、「約4.7ppm」「約4.5ppm」は、通常予測される範囲の測定値の変動幅(例えば±0.2)を含む数値を意味する。
上記の分岐度を有するβ-1,3-1,6グルカンは、水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が、好ましくは200cP(mPa・s)以下、より好ましくは100cP(mPa・s)以下、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下のものである。上記粘度の下限値は通常10cP(mPa・s)程度であり得る。
本発明において、粘度は、BM型回転粘度計を用いて測定した値である。
オーレオバシジウム属の微生物が産生するβ-1,3-1,6グルカンは、菌体外に分泌されるため、キノコ類やパン酵母の細胞壁に含まれるβ-グルカンと比べて、回収が容易であり、また水溶性である点で好ましいものである。オーレオバシジウム属の微生物は、分子量が100万以上の高分子量のグルカンから分子量が数万程度の低分子のグルカンまでを培養条件に応じて産生することができる。
P-19285及びFERM P-19286として寄託済み)が産生するものが好ましい。GM-NH-1A1株及びGM-NH-1A2株は、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)K-1株の変異株である。オーレオバシジウム属K-1株は、分子量200万以上と100万程度の2種類のβ-1,3-1,6グルカンを産生することが知られている。
また、オーレオバシジウム属微生物が産生するβ-1,3-1,6グルカンは、通常、硫黄含有基を有するところ、K-1株の産生するβ−グルカンはスルホ酢酸基を有することが知られている(Arg.Biol.Chem.,47,1167-1172(1983)),科学と工業,64,131-135(1990))。GM-NH-1A1株、及びGM-NH-1A2株が生産するβ-1,3-1,6グルカンもスルホ酢酸基を有すると考えられる。オーレオバシジウム属微生物の中には、リン酸基のようなリン含有基、リンゴ酸基などを含むβ-1,3-1,6グルカンを産生する菌種、菌株も存在する。
GM-NH-1A1株及びGM-NH-1A2株は、後に実施例において示すようにメインピークが見かけ上50〜250万の高分子量のβ-グルカン(微粒子グルカン)とメインピークが見かけ上2〜30万の低分子量のβ-グルカンの両方を産生する菌株である。この微粒子状グルカンは、一次粒子径が0.05〜2μm程度である。
β-1,3-1,6グルカンは、水溶液にしたときの粘度が、オーレオバシジウム属微生物が産生する天然型β-1,3-1,6グルカンより低いものが好ましい。この低粘度β-1,3-1,6グルカンは、水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が、通常200cP(mPa・s)以下であり、より好ましくは100cP(mPa・s)以下であり、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下であり、よりさらに好ましくは10cP以下である。
β-1,3-1,6グルカンは、金属イオン濃度が、β-1,3-1,6グルカンの固形分1g当たり0.4g以下であることが好ましく、0.2g以下であることがより好ましく、0.1g以下であることがさらにより好ましい。原料β-1,3-1,6グルカンが水溶液状態のものである場合は、金属イオン濃度は、水溶液の100ml当たり120mg以下であることが好ましく、50mg以下であることがより好ましく、20mg以下であることがさらにより好ましい。
ここでいう金属イオンには、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、第3〜第5族金属イオン、遷移金属イオンなどが含まれるが、混入する可能性のある金属イオンとしては、代表的には、低粘度β-1,3-1,6グルカンの製造において使用されるアルカリ由来のカリウムイオン、ナトリウムイオンなどが挙げられる。金属イオン濃度は、限外ろ過や透析により調整できる。
金属イオン濃度が上記範囲であれば、水溶液状態で保存する場合や、水溶液状態で加熱滅菌する際に、β-1,3-1,6グルカンのゲル化、凝集、沈殿が生じ難い。また、固形で使用する場合は、再溶解させる場合に凝集などが生じ難い。
分岐度50〜100%のβ-1,3-1,6グルカンは、例えば、これを産生する微生物の培養上清に有機溶媒を添加することにより沈殿物として得ることができる。
また、オーレオバシジウム属の微生物を培養して、β-1,3-1,6グルカンを産生させる方法は種々報告されている。培養培地に使用できる炭素源としては、シュークロース、グルコース、フラクトースなどの炭水化物、ペプトンや酵母エキスなどの有機栄養源などを挙げることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウムや硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの無機窒素源などを挙げることができる。場合によってはβ-グルカンの産生量を上昇させるために適宜、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの無機塩、更には鉄、銅、マンガンなどの微量金属塩やビタミン類などを添加するのも有効な方法である。
オーレオバシジウム属微生物を、炭素源としてシュークロースを含むツアペック培地にアスコルビン酸を添加した培地で培養した場合、高濃度のβ-1,3-1,6グルカンを産生することが報告されている(Arg.Biol.Chem.,47,1167-1172(1983));科学と工業,64,131-135(1990);特開平7−51082号公報)。しかし、培地は、微生物が生育し、β-1,3-1,6グルカンを生産するものなら特に限定されない。必要に応じて酵母エキスやペプトンなどの有機栄養源を添加してもよい。
効果的に培養pHを制御するためにアルカリ、あるいは酸で培養液のpHを制御することも可能である。更に培養液の消泡のために適宜、消泡剤を添加してもよい。培養時間は通常1〜10日間程度、好ましくは1〜4日間程度であり、これによりβ−グルカンを産生することが可能である。なお、β-グルカンの産生量を測定しながら培養時間を決めてもよい。
上記条件下オーレオバシジウム属の微生物を4〜6日間程度通気攪拌培養すると、培養液にはβ-1,3-1,6グルカンを主成分とするβ-グルカン多糖が0.1%(w/v)〜数%(w/v)含有されており、その培養液の粘度はBM型回転粘度計(東機産業社製)により30℃では数百cP(mPa・s)から数千cP(mPa・s)という非常に高い粘度を有する。この培養を遠心分離して得られる上清に例えば有機溶媒を添加することにより、β-1,3-1,6グルカンを沈殿物として得ることができる。
上記の高粘度のβ-1,3-1,6グルカンを含む培養液を、常温で攪拌しながら、これにアルカリを添加すると、急激に粘度が低下する。
アルカリは、水溶性で、かつ医薬品や食品添加物として用いることができるものであればよく、特に限定されない。例えば、炭酸カルシウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液などの炭酸アルカリ水溶液;水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの水酸化アルカリ水溶液;あるいはアンモニア水溶液などを使用できる。アルカリは、培養液のpHが12以上、好ましくは13以上になるように添加してもよい。例えば水酸化ナトリウムを使用して培養液のpHを上げる場合は、水酸化ナトリウムの最終濃度が好ましくは0.5%(w/v)以上、より好ましくは1.25%(w/v)以上になるように添加すればよい。培養液にアルカリを添加し、良く攪拌すると、瞬時に培養液の粘度が低下する。
次いで、アルカリ処理後の培養液から菌体などの不溶性物質を分離する。培養液の粘度が低いため、菌体を自然沈降させて上澄みを回収する方法(デカント法)、遠心分離、ろ紙あるいはろ布を利用した全量ろ過、フィルタープレス、更に膜ろ過(MF膜などの限外ろ過)などの方法で、容易に不溶性物質とグルカンとを分離できる。ろ紙あるいはろ布による全量ろ過の場合は、セライトなどろ過助剤を利用するのも一つの手段である。工業的にはフィルタープレスによる菌体除去が好ましい。また、不溶性物質除去前のβ-グルカン液は必要に応じて水で希釈しても良い。濃度が高すぎると不溶性物質除去が困難であり、低すぎても効率的でない。β-グルカン濃度は、0.1mg/ml〜20mg/ml程度、好ましくは0.5mg/ml〜10mg/ml程度、さらに好ましくは1mg/ml〜5mg/ml程度が良い。
pH12以上のアルカリ処理後、中和して得られるβ-1,3-1,6グルカンは、30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が通常200cP以下、場合によっては、100cP以下、50cP以下、又は10cP以下である。粘度は製造方法ないしは精製方法によって変動する。
アルカリ処理された低粘度のβ-1,3-1,6グルカンは、中和しても粘度が高くなることがない。さらに、常温(15〜35℃)では、液性をpHが4を下回るような酸性にしても、粘度が高くなることがない。
また、培養上清をアルカリ処理、及び中和した後に、菌体などを除去するのに代えて、培養上清から菌体などを除去した後に、アルカリ処理、及び中和を行うこともできる。
また、アルカリ処理、除菌した後、中和せずに、アルカリ性条件下で限外ろ過することもでき、これにより透明性、熱安定性、長期保存性に一層優れる精製β-1,3-1,6グルカンが得られる。アルカリ性条件は、pH10以上、好ましくは12以上であり、pHの上限は通常13.5程度である。
このようにして得られる水溶液に含まれるβ-1,3-1,6グルカンは、乾燥させて固形製剤にする場合も、また水溶液のまま製剤として使用する場合も、一旦、水溶液から析出させることができる。β-1,3-1,6グルカンの析出方法は、特に限定されないが、例えば、限外ろ過などにより濃縮してグルカン濃度を1w/w%以上にした水溶液に、エタノールのようなアルコールを、水溶液に対して容積比で等倍以上、好ましくは2倍以上添加することにより、β-1,3-1,6グルカンを析出させることができる。この場合にpHをクエン酸などの有機酸によりpHを酸性、好ましくはpH4未満、さらに好ましくはpH3−3.7に調整して、エタノールを添加すると高純度のβ-1,3-1,6グルカンの粉末を得ることができる。
β-1,3-1,6グルカンを低粘度化することにより、限外ろ過などによる濃縮を容易に行えることから、アルコール沈殿に使用するアルコール量を少なくすることができる。
固形物として得る場合は、低粘度β-1,3-1,6グルカン水溶液を直接乾燥させてもよく、析出させたβ-1,3-1,6グルカンを乾燥させてもよい。乾燥は、噴霧乾燥法、凍結乾燥法など公知の方法で行うことができる。
上記説明した本発明の複合体は、疎水性クラスター化合物と、β-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカンとをアルカリ性(好ましくはpH11以上、さらに好ましくはpH13以上)の溶液中で混合する工程(混合工程)と、得られる混合液にカルボキシル基を有する酸を添加して中和する工程(中和工程)とを含む方法によって製造することができる。なお、中和後の溶液のpHとしては、pH4〜9の範囲であればよく、特に、医薬品・化粧品向けの用途に用いるものは、pH5〜7.5の範囲であることが好ましい。
中でも、作業効率・得られる複合体の水分散液の安定性の点で、疎水性クラスター化合物の懸濁液とβ-1,3-1,6グルカンの溶液を別々に調製した後、両者を混合させる態様が好ましい。
混合工程における温度は10〜40℃であればよく、攪拌時間は0.1〜2時間であればよい。上記範囲であれば、アルカリ溶液中で均一に疎水性クラスター化合物とβ-1,3-1,6グルカンを混合することができる。
本発明において、混合工程に用いる疎水性クラスター化合物の懸濁液は、混合する際の混合液のpH調整のし易さの点で、懸濁液のpHがアルカリ性(pH11以上、好ましくはpH13以上)であることが好ましい。なお、懸濁液のpHを調節する際に用いるアルカリとしては、水溶性であればよく、特に限定されない。例えば、炭酸カルシウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液などの炭酸アルカリ水溶液;水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの水酸化アルカリ水溶液;あるいはアンモニア水溶液などを例示することができる。
本発明において、混合工程に用いるβ-1,3-1,6グルカンの溶液は、混合する際の混合液のpH調整のし易さの点で、溶液のpHがアルカリ性(pH11以上、好ましくはpH13以上)であることが好ましい。なお、溶液のpHを調節する際に用いるアルカリとしては、水溶性であればよく、特に限定されない。例えば、炭酸カルシウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液などの炭酸アルカリ水溶液;水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの水酸化アルカリ水溶液;あるいはアンモニア水溶液などを例示することができる。
本発明における中和工程は、調製した疎水性クラスター化合物の懸濁液、及びβ-1,3-1,6グルカンの溶液を混合したアルカリ性の混合液にカルボキシル基を有する酸を添加して中和することによって、水溶性又は水分散性を有する複合体が得られる。なお、中和の際の攪拌は、上述した攪拌方法によって行うことができる。
上記説明した本発明の複合体の製造方法は、疎水性クラスター化合物の水溶化又は水分散化方法、又は疎水性クラスター化合物への水溶性又は水分散性の付与方法と捉えることもできる。
また、本発明の疎水性クラスター化合物の複合体は、触媒材料、磁気記録材料、導電膜形成材料、半導体膜形成材料、顔料等の各種用途に使用することができる。例えば、本発明の金属クラスター化合物やカーボンナノチューブとの複合体を基板に塗布した後、20〜600℃の温度で乾燥、焼成し被膜を形成することができる。この基板は、電極、配線、回路などを構成するのに一般に用いられている、乾燥・焼成によって焼失、劣化しない耐熱性のものであれば良い。具体的には、例えば、鉄、銅、アルミニウムなどの金属基板、ポリイミドフィルムなどの耐熱性樹脂基板、ガラス基板などを挙げることができる。塗布方法は公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー法、スピンコーティング法などが挙げられる。また、インクジェットヘッドを用いて複合体を基板上の必要な部分のみに塗布することもできる。塗布後に約20〜600℃、好ましくは約100〜450℃、更に好ましくは約100〜350℃で乾燥、焼成することができる。焼成時の雰囲気は、不活性雰囲気または還元性雰囲気であることが好ましい。焼成時間は約0.1〜3時間、好ましくは約0.2〜2時間である。得られた被膜は配線として用いることができる。
また、本発明の疎水性クラスター化合物の複合体は架橋剤を添加することにより成形体とすることもできる。用いられる架橋剤としては、カードランのような長鎖の多糖や酸無水物、イソシアネート化合物等を例示できる。
本発明の疎水性クラスター化合物の複合体を用いた成形体は、各種センサー、放熱体、磁性体、固体触媒、光学素子、導電体等、種々の用途に用いることができる。
実験例(精製β-1,3-1,6グルカンの製造)
(1)低粘度β-1,3-1,6グルカンの調製
(1-1)β−グルカンの培養産生
後掲の表1に示す組成を有する液体培地100mlを500ml容量の肩付きフラスコに入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌を行った後、オーレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)GM-NH-1A1株(FERM P-19285)を同培地組成のスラントより無菌的に1白金耳植菌し、130rpmの速度で通気攪拌しつつ、30℃で24時間培養することにより種培養液を調製した。
次いで、同じ組成の培地200Lを300L容量の培養装置(丸菱バイオエンジ製)に入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌し、上記のようにして得られた種培養液2Lを無菌的に植菌し、200rpm、27℃、40L/minの通気攪拌培養を行った。なお、培地のpHは水酸化ナトリウム及び塩酸を用いてpH4.2〜4.5の範囲内に制御した。96時間後の菌体濁度はOD660nmで23ODで、多糖濃度は0.5%(w/v)で、硫黄含量から計算される置換スルホ酢酸含量は0.09%であった。
多糖濃度は、培養液を数mlサンプリングし、菌体を遠心分離除去した後、その上清に最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを加えて多糖を沈殿させて回収した後、イオン交換水に溶解し、フェノール硫酸法で定量した。
同様にして菌体を除去した培養上清にエタノールを最終濃度が66%となるように添加し、β−グルカンを沈殿回収した。その後、再度イオン交換水に溶解し、再度遠心分離後、その上清に最終濃度が0.9%になるように食塩を加えた後、再度66%エタノールでβ−グルカンを回収した。このβ−グルカン回収精製操作を更に2回繰り返し、得られたβ−グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。
このβ−グルカン粉末を燃焼管式燃焼吸収後、イオンクロマト法で組成分析した結果、S含量は239mg/kgであり、この値から計算される置換スルホ酢酸含量は0.09%であった。
上記のようにして得られた培養液の粘度をBM型回転粘度計(東京計器製)を用いて、30℃、12rpmで測定したところ、1500cP(mPa・s)であった。測定に用いるロータは粘度にあわせて適当なものを選択した。
この培養液に水酸化ナトリウム最終濃度が2.4%(w/v)となるように25%(w/w)水酸化ナトリウムを添加し攪拌したところ(pH13.6)、瞬時に粘度が低下した。引き続いて50%(w/v)クエン酸水溶液でpH5.0となるように中和してから、濃度0.5(w/v%)における粘度を測定したところ、そのときの粘度(30℃)は20cP(mPa・s)であった。
次いで、この培養液にろ過助剤としてKCフロック(日本製紙社製)を1wt%添加し、薮田式ろ過圧搾機(薮田機械製)を用いて菌体を除去し、最終的に培養ろ液(約230L)を得た。その多糖濃度は0.5%(w/v)で、ほぼ100%の回収率であった。
上記のβ−グルカン水溶液(培養ろ液)を0.3%に希釈後、限外ろ過(UF)膜(分子量カット5万、日東電工社製)を用いて脱塩を行い、最終的にナトリウムイオン濃度を20mg/100mlに落とした後、50%(w/v)クエン酸水溶液によりpHを3.5に調整した。
引き続いて、ホット充填用加熱ユニット(日阪製作所製)を用いて95℃で、3分間保持することにより殺菌処理を行い、最終製品のβ−グルカン水溶液を得た。この時のβ−グルカンの濃度をフェノール硫酸法により測定したところ0.22%(w/v)であった。また、培養液からのトータル収率は約73%であった。
また、得られたβ-グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。本β-グルカンの組成分析結果からS含量は330mg/kgであり、これから計算される置換スルホ酢酸含量は0.12%であった。
また、脱塩を行った上記培養ろ液について、コンゴーレッド法によって、480nmから525nm付近への波長シフトを確認することができたのでβ−1,3結合を含むグルカンを含有していることが証明された(K. Ogawa, Carbohydrate Research, 67, 527-535 (1978)、今中忠行 監修, 微生物利用の大展開, 1012-1015, エヌ・ティー・エス(2002))。そのときの極大値へのシフト差分はΔ0.48/500μg多糖であった。
上記培養ろ液15mlを取り出し、30mlのエタノールを添加し、4℃、1000rpm、10minで遠心して、沈殿する多糖を回収した。66%エタノールで洗浄し、4℃、1000rpm、10分間遠心して、沈殿する多糖に2mlのイオン交換水と、1mlの1N水酸化ナトリウム水溶液を添加撹拌後、60℃、1時間保温して沈殿を溶解させた。次に-80℃にて凍結後、一晩、真空凍結乾燥を行い、乾燥後の粉末を1mlの1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、2次元NMRに供した。
2次元NMR(13C−1H COSY NMR)106ppmと相関関係を有する1H NMRスペクトルを図1に示す。このスペクトルにおいて4.7ppmと4.5ppm付近との2つのシグナルが得られた。
この結果、本β−グルカンがβ-1,3-1,6グルカンであることが証明された(今中忠行 監修、微生物利用の大展開、1012-1015、エヌ・ティー・エス(2002))。それぞれの1H NMRシグナルの積分比から、β-1,3結合/β-1,6結合の比は1.15であることが判明した。従って、主鎖のβ-1,3結合に対する側鎖のβ-1,6結合の分岐度は、約87%である。
次に、レ−ザ回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製LA−920)を用いて培養液の粒度を測定したところ、粒子としては0.3μmと100μm程度の大きさのところにピ−クが見られた。続いて、超音波を照射しながら、粒度測定を行うと、100μmのピ−クはみるみるうちに消失し、0.3μmのピ−クが増え、最終的に0.3μmのみとなった。超音波照射したときの培養液の粒度分布を図2に示す。
0.3μmのピークはβ-1,3-1,6グルカンの一次粒子によるピークであり、100〜200μmのピークはβ-1,3-1,6グルカンの一次粒子が凝集した二次粒子によるピークであると考えられる。
また、二次粒子はマグネチックスターラ−による攪拌、軽い振とうでも同じように消失し、容易に砕けて一次粒子になることが確認された。よって、二次粒子は非常に緩い凝集(緩凝集状態)と考えられる。
また、東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))を用いて、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、溶解β-1,3-1,6グルカンとβ-1,3-1,6グルカンの1次粒子とを含む溶液の分子量を測定したところ、溶解β-1,3-1,6グルカンに由来する2〜30万のピークの低分子画分と、1次粒子に由来する見かけ上50〜250万の高分子画分との二種類が検出された。分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
水溶性β-1,3-1,6グルカンと微粒子とを分離するため、上記の微粒子画分と可溶性画分とを含むβ-1,3-1,6グルカン溶液をアドバンテック社製のフィルター(0.2μm)でろ過を行ったところ、50〜250万の高分子画分が消失した。このことから、高分子画分はβ-1,3-1,6グルカンの一次粒子や一次粒子が凝集した二次粒子に相当することが判明した。よって、水溶性β-1,3-1,6グルカンの分子量は2〜30万と考えられる。
(1−2)において、アルカリ処理および菌体除去処理により調製された微粒子β-1,3-1,6グルカンを含むβ-1,3-1,6グルカン水溶液に、最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを添加して、多糖グルカンを沈殿させ、遠心分離法により回収した。次いで凍結乾燥法によりエタノールと水分を除去し、乾燥β-1,3-1,6グルカンを得た。そのときの収率はエタノール沈殿前の全糖濃度と比較して95%以上であった。
次いで、得られた乾燥β-1,3-1,6グルカンを最終濃度が0.3%(w/v)となるように水に溶解分散後、前述したと同様にして東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ 75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))により0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルクロマトグラフィーを行い、分子量を測定したところ、得られた多糖の分子量は2〜30万のピークの低分子画分と見かけ上50〜250万の高分子画分の二種類からなることが判明した。ここで、分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
一方、水溶性β-1,3-1,6グルカンと微粒子を分離するため、本法で調製したβ-1,3-1,6グルカン水溶液(微粒子と可溶化グルカンを含むもの)をアドバンテック社製のフィルター(0.2μm)でろ過を行ったところ、50〜250万の高分子画分が消失した。よって、本法により得られたβ-1,3-1,6グルカンを乾燥させても、再溶解させれば乾燥前のβ-1,3-1,6グルカンと同様の物理的挙動を再現することが実証された。
(1)においてアルカリ処理を行い低粘度化した培養液(多糖濃度0.5%(5mg/ml))90Lを50%クエン酸水溶液9kgで中和後、ろ過助剤(日本製紙ケミカル製粉末セルロ−スKCフロック)を1.8kgプレコートした薮田式濾過圧搾機40D-4を通して、菌体を取り除いた。ろ液を限外ろ過スパイラルエレメント(日東電工製NTU3150−S4)で9Lまで濃縮した。本濃縮液を攪拌しながら、pHを3.0-3.5にクエン酸により調整して、エタノール18Lを加え、グルカン/エタノール/水スラリーを得た。スラリーの粘度はBM型粘度計で22mPa・s(30℃)であった。室温で3時間静置し、上澄み液(エタノール/水)約17Lを取り除いた。残ったスラリーの粘度は45mPa・s(30℃)であった。本濃縮スラリー10Lを坂本技研型の噴霧乾燥装置R-3を用いて噴霧乾燥し、360gのβ-1,3-1,6グルカン粉末を得た(回収率80%)。得られたβ-1,3-1,6グルカンの純度はNMRスペクトルの解析の結果、90%以上であった。
なお、得られたβ-1,3-1,6グルカン粉末を1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、NMRスペクトルを測定したところ、1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを得た。また、得られたβ-1,3-1,6グルカン粉末の濃度0.5(w/v%)の水溶液の粘度は200cP以下であった(pH5.0、30℃)。上記記載の方法によって得られた精製β-グルカンを下記の試験に供した。
以下に実施例および比較例に用いた疎水性クラスター化合物(金属クラスター化合物)を示す。
金属クラスター化合物;酸化チタン(粒状、数平均粒子径;30〜50nm;石原産業(株)製 TTO−55(A))
(2−1)酸化チタンの懸濁液の調製方法
48%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH12に調整した水650gに上述した酸化チタン350gを添加し、室温で、20分間、高速攪拌機を用いて攪拌を行い、酸化チタンの懸濁液(チタン濃度;35重量%)1000gを調製した。
48%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH13に調整した水97gに上述した方法によって得られたβ-1,3-1,6グルカン粉末3gを添加し、80℃で加熱しながら、15分間、高速攪拌機を用いて攪拌を行い、β-1,3-1,6グルカン溶液(β-1,3-1,6グルカン濃度3重量%)100gを調製した。
上記(2−1)で調製した酸化チタンの懸濁液950gと上記(2−2)β-1,3-1,6グルカン溶液33gを用いて、酸化チタンの懸濁液をディスパー1500rpmで攪拌しながら、β-1,3-1,6グルカン溶液に添加した後、室温、30分間攪拌して、混合液983g(β-1,3-1,6グルカン;0.1重量%、酸化チタン;33.4重量%)を調製した。さらに、混合液をディスパーで攪拌しながら、中和剤として50%クエン酸を85g使用してpH7.2まで中和を実施し、金属クラスター化合物とβ-1,3-1,6グルカンの複合体が分散した水分散液1068gを得た。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表2に示す。
混合液中のβ-1,3-1,6グルカン濃度を0.4重量%(使用量146g)とした以外は、実施例1に記載の方法により、複合体の水分散液1181gを作成した。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表2に示す。
中和剤としてクエン酸に変えて10%塩酸80gを使用した以外は、実施例1に記載の方法により、複合体の水分散液を作成した。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表2に示す。
中和剤としてクエン酸に変えて10%塩酸172gを使用した以外は、実施例2に記載の方法により、複合体の水分散液を作成した。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表2に示す。
混合液中にβ-1,3-1,6グルカンを添加しなかった以外は実施例1と同様の方法により、複合体の水分散液を作成した。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表2に示す。
混合液中にβ-1,3-1,6グルカンを添加しなかった以外は比較例2と同様の方法により、複合体の水分散液を作成した。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表2に示す。
(分散性の評価)
分散性は、得られた水分散液を12時間(室温)静置し、粒子の沈降状態を観察し、以下のように評価した。
○・・・沈降なし。
△・・・沈降が確認されるが振とうにより分散状態が復元する。
×・・・沈降が確認され、底部に粘土質の沈殿が発生する。
(3)中和剤の検討
中和剤としてクエン酸に変えて50%乳酸108gを使用した以外は、実施例1に記載の方法により、複合体の水分散液を作成した。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表3に示す。
中和剤としてクエン酸に変えて5%コハク酸610gを使用した以外は、実施例1に記載の方法により、複合体の水分散液を作成した。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表3に示す。
中和剤としてクエン酸に変えて50%リンゴ酸90gを使用した以外は、実施例1に記載の方法により、複合体の水分散液を作成した。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表3に示す。
中和剤としてクエン酸に変えて10%酒石酸403gを使用した以外は、実施例1に記載の方法により、複合体の水分散液を作成した。得られた複合体の水分散液の分散性を測定した。結果を表3に示す。
Claims (8)
- 疎水性クラスター化合物と、β-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカンとをアルカリ性の溶液中で混合する工程と、混合した混合液にカルボキシル基を有する酸を添加して中和する工程とを含む、疎水性クラスター化合物とβ-1,3-1,6グルカンとの複合体の製造方法。
- カルボキシル基を有する酸が不飽和脂肪族カルボン酸、飽和脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アルドン酸、及びウロン酸から成る群より選ばれる1種である請求項1に記載の方法。
- 疎水性クラスター化合物が、カルボラン、フラーレン、カーボンナノチューブ、又はカーボンナノコイルである請求項1又は2に記載の方法。
- 疎水性クラスター化合物が、鉛、ニッケル、鉄、マグネシウム、コバルト、ロジウム、ルテニウム、白金、金、銀、銅、チタン、亜鉛、パラジウム、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、タングステン、アルミニウム、ジルコニウム、及びこれらの金属の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の方法。
- 疎水性クラスター化合物と、β-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカンとをアルカリ性の溶液中で混合する工程と、混合した混合液にカルボキシル基を有する酸を添加して中和する工程とを含む、疎水性クラスター化合物への水溶性又は水分散性の付与方法。
- カルボキシル基を有する酸が不飽和脂肪族カルボン酸、飽和脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アルドン酸、及びウロン酸から成る群より選ばれる1種であるである請求項5に記載の方法。
- 疎水性クラスター化合物が、カルボラン、フラーレン、カーボンナノチューブ、又はカーボンナノコイルである請求項5又は6に記載の方法。
- 疎水性クラスター化合物が、鉛、ニッケル、鉄、マグネシウム、コバルト、ロジウム、ルテニウム、白金、金、銀、銅、チタン、亜鉛、パラジウム、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、タングステン、アルミニウム、ジルコニウム、及びこれらの金属の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5又は6に記載の方法。
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