JP5863349B2 - 系統安定化制御システム - Google Patents
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Description
(系統安定化制御システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる系統安定化制御システムの一構成例を示す図である。本実施の形態の系統安定化制御システムは、中央演算装置10と、中央演算装置10からの指令を受けて動作する制御端末15(15a〜15n)とを備えて構成される。中央演算装置10は、例えば所定の変電所2に配置され、制御端末15(15a〜15n)は、発電機を有する発電所3(3a〜3n)に配置されている。中央演算装置10が配置される変電所2は、同一系統に属する複数の変電所の中から任意に選択された一つであるが、変電所以外の、例えば、複数の変電所や発電所を統括する給電指令所等に中央演算装置10が配置されていても構わない。
図2は、本実施の形態の系統安定化システムにおける事前演算制御の概略フローを示すフローチャートであり、図3は、本実施の形態の系統安定化システムにおける事後演算制御の概略フローを示すフローチャートである。ここで、事前演算制御は、高速性に優れた事前演算方式による制御であり、主制御とも称される。一方、事後演算制御は、柔軟性に優れた事後演算方式による制御であり、事前演算制御の実行後、事前演算制御では制御量が不足している場合に、事前演算制御に引き続き後追いで実行される制御である。この事後演算制御は、補正制御とも称される。
まず、事前演算制御の処理フローについて説明する。図2において、ステップS101では、変流器8および計器用変圧器9にて系統情報を収集する。ステップS102では、後述する制御テーブルを参照することにより想定ケース(遮断発電機の選択パターン)を選択する。ステップS103では、後述する主制御演算処理を起動する。ステップS104では、ステップS102にて参照する制御テーブルに定義される全ケース(想定ケースの全て)に対する確認が終了したか否かを判定し、全ケースが終了していなければ(ステップS104,No)、ステップS102に戻り、全ケースが終了していれば(ステップS104,Yes)、ステップS105に移行する。ステップS105では、ステップS103の演算結果に基づいて制御テーブルを更新し、全体の処理を終了する。なお、図2の処理フローは、所定周期(例えば、1秒程度)毎に起動され、起動の都度制御テーブルを更新する必要があるか否かが判断され、制御テーブルは所定周期間隔で最新の状態に維持される。
つぎに、事後演算制御の処理フローについて説明する。まず、図3に示す事後演算制御の処理フローは、起動対象事故の検出時に起動される。起動後、ステップS201では、主制御指令を送信すべき発電所、即ち制御テーブルにて指示された遮断発電機を有する発電所に対し主制御指令を送信する。ステップS202では、変流器8および計器用変圧器9にて事後情報(事故後の系統情報)を収集する。ステップS203では、後述する補正制御演算処理を起動し、要すれば該当発電所(補正制御演算によって指定される遮断発電機を有する発電所)に対し補正制御指令を送信する。ステップS204では、設定された監視時間が終了したか否かを判定し、監視時間が終了していなければ(ステップS204,No)、ステップS202に戻り、監視時間が終了していれば(ステップS204,Yes)、全体の処理を終了する。
つぎに、事前演算制御処理フロー内のサブルーチンである主制御演算について、図4〜図13の各図面を参照して説明する。ここで、図4は、事前演算制御(図2参照)のステップS103において起動される主制御演算の処理フローを示すフローチャートである。また、図5〜図13は、図4のフローを説明する際に併せて参照する図面である。具体的に、図5は、系統構成の一例を示す図であり、図6は、図5に示す系統を簡略化した第1の等価モデルの構成を示す図であり、図7は、図6に示す等価モデル(第1の等価モデル)を更に簡略化した第2の等価モデルの構成を示す図であり、図8は、遷移状態に応じたリアクタンス値およびP−δ曲線の係数設定値の一例を示す図であり、図9は、等価モデルにおけるリアクタンス値を算出するための係数設定値の一例を示す図であり、図10は、主制御演算におけるエネルギー量算出の概念を示すイメージ図であり、図11は、図10と異なるケースにおけるエネルギー量算出の概念を示す図であり、図12は、中央演算装置10が参照する制御テーブルのイメージを示す図であり、図13は、発電機遮断を行う場合の選択順序を記した参照テーブルのイメージを示す図である。
ステップS301では、電力相差角曲線を推定する。想定する系統構成は、図5に示した通りである。図5に示す母線、送電線、変圧器等の状態は、変電所の各端末にて計測可能であるため、系統内の電気的距離を求めることが可能となる。また、系統内の負荷量も各端末からの情報に基づき算出可能となる。これらの点を踏まえ、以下の前提を置くことで、電力相差角曲線を算出する。
(b)発電所25,27の各発電機を次過渡リアクタンスx"d(x"d1〜x"d5)背後電圧一定モデルとして表現する。なお、次過渡リアクタンスx"d(x"d1〜x"d5)の代わりに過渡リアクタンスx'd(x'd1〜x'd5)を用いても問題ない。
(c)制御対象となる各発電機がコヒーレントな動きをすると仮定し、各発電機のXd”背後に相当するノードを集約し、これらを等価発電機40〜44として集約する。
(d)発電機内部のリアクタンス(x"d1〜x"d5)と、昇圧トランス45〜49のリアクタンス(XT21,XT22,XT41,XT42)が支配的であるため、変電所23への引き込み部分は、変電所21の負荷として集約できる。
ステップS302では、角速度偏差および位相角を算出する。具体的には、次式および次々式に示される等価発電機の運動方程式を解くことで、等価発電機の角速度偏差および位相角の算出を行う。なお、ここで、等価発電機の出力は、それぞれの状態での電力相差角曲線に従うものとする。
ステップS303では、加速エネルギーVAおよび減速エネルギーVDを算出する。加速エネルギーVAは、主制御実施タイミングの角速度偏差Δω(tc1)を基に、次式の通り算出する。
δ0:P−δ曲線K1の安定平衡点(初期位相角)
δc1:主制御実施時の位相角
δrc:再閉路実施時の位相角
δu1:P−δ曲線K2の不安定平衡点
δu2:P−δ曲線K3の不安定平衡点
ステップS304では、加速エネルギーVAの値と減速エネルギーVDの値との大小関係を比較する。減速エネルギーVDが加速エネルギーVAよりも大きければ(ステップS304,Yes)、系統は安定であるとして主制御を行うことなく、図4の処理を抜け出る。一方、減速エネルギーVDが加速エネルギーVA以下であれば(ステップS304,No)、ステップS305に移行する。
ステップS305では、制御対象として想定する発電機の選択を行うが、このときに参照するテーブルが図12および図13である。なお、図12に示すテーブルの一例では、初発事故様相が3φ4LG(abc−a)または3φ4LG(ab−bc)のときのみ発電機遮断を実行することにしている。このような処理は、主制御による対応は過酷事故時のときのみに限定するという考え方に依存している。なお、図12の例では、初発事故様相が3φ5LG(abc−ab)および3φ6LG(abc−abc)のときには、発電機遮断を実行しないこととしているが、この理由は、図5に示すような放射状構造の系統の場合、3φ5LG(abc−ab)および3φ6LG(abc−abc)の事故様相では系統が必ず分離され、脱調を未然に防止するための制御を行う必要がないからである。
ステップS306では、発電機遮断を実施した後の系統の状態を把握し、電力相差角曲線の再算出を行う。
ステップS307では、発電機遮断後の状態を想定し、角速度偏差および位相角の値の再算出を行う。
ステップS306,S307の結果に基づき、発電機遮断実施後のエネルギー値を算出する。
ステップS309では、再算出した加速エネルギーVA’と減速エネルギーVD’との大小関係を比較し、減速エネルギーVD’が加速エネルギーVA’よりも大きければ(ステップS309,Yes)、ステップS310に移行する。一方、減速エネルギーVD’が加速エネルギーVA’以下であれば(ステップS309,No)、ステップS305からの処理を繰り返す。
ステップS310では、現在選択している遮断パターンを主制御における制御対象として確定する。なお、現在選択している遮断パターン以外の他の遮断パターンが存在しない場合、不足分は補正制御に期待するものとし、現時点で選択している制御対象を主制御における制御対象として確定して、図4の処理フローを抜け出る。
つぎに、事後演算制御処理フロー内のサブルーチンである補正制御演算について、図14〜図16の各図面を参照して説明する。ここで、図14は、事後演算制御(図3参照)のステップS203において起動される補正制御演算の処理フローを示すフローチャートである。また、図15,図16は、図4のフローを説明する際に併せて参照する図面である。具体的に、図15は、補正制御演算におけるエネルギー量算出の概念を示すイメージ図であり、図16は、補正制御演算における電力相差角曲線の係数設定値の一例を示す図である。
補正制御演算では、事後計測データに基づき電力相差角曲線の推定を行う。この推定処理では、以下の2つのケースが想定される。
・ケース2:主制御演算で求めたP0およびP1の値を補正して使用する。
なお、ケース2における補正の詳細については、後述する。
ステップS402では、角速度偏差および位相角を算出する。具体的には、次式および次々式に示される等価発電機の運動方程式を解くことで、等価発電機の角速度偏差および位相角の算出を行う。なお、等価発電機の出力は、それぞれの状態での電力相差角曲線に従うものとする。
ステップS403では、加速エネルギーVAおよび減速エネルギーVDを算出する。加速エネルギーVAは、最終遮断時点の角速度偏差Δω(trc2)を基に、次式の通り算出する(最終遮断時点trc2を基準とする場合)。
δ0:P−δ曲線K1の安定平衡点(初期位相角)
δrc:再故障時の位相角
δrc2:再閉路実施時(再故障除去時)の位相角
δu1:P−δ曲線K2の不安定平衡点
δu2:P−δ曲線K3の不安定平衡点
ステップS304では、加速エネルギーVAの値と減速エネルギーVDの値との大小関係を比較する。減速エネルギーVDが加速エネルギーVAよりも大きければ(ステップS404,Yes)、系統は安定であるとして補正制御を行うことなく、図14の処理を抜け出る。なお、最終遮断時点の角速度偏差が負値であれば、既に動揺第一波は減速に転じているとして無条件で安定と判断してもよい。一方、減速エネルギーVDが加速エネルギーVA以下であれば(ステップS404,No)、ステップS405に移行する。
ステップS405では、補正制御対象として想定する発電機(遮断発電機)の選択を行う。なお、遮断発電機の選択のイメージは、例えば図13に示す概念と同様である。ただし主制御において発電機遮断が行われていれば、選択されていない遮断発電機を起点に遮断発電機の選択処理が行われることになる。
ステップS406では、発電機遮断を実施した後の系統の状態を把握し、電力相差角曲線の再算出を行う。
ステップS407では、発電機遮断後の状態を想定し、角速度偏差および位相角の値の再算出を行う。
ステップS406,S407の結果に基づき、発電機遮断実施後のエネルギー値を算出する。
ステップS409では、再算出した加速エネルギーVA’と減速エネルギーVD’との大小関係を比較し、減速エネルギーVD’が加速エネルギーVA’よりも大きければ(ステップS409,Yes)、ステップS410に移行する。一方、減速エネルギーVD’が加速エネルギーVA’以下であれば(ステップS409,No)、ステップS405からの処理を繰り返す。
ステップS410では、現在選択している遮断パターンを補正制御における制御対象として確定し、図14の処理フローを抜け出る。
図16は、補正制御演算における電力相差角曲線の補正後における係数設定値の一例を示す図である。図16において、図表の表側(左側の欄)には想定される事故の推移が示され、表中には、係数P0,P1に関する補正後の係数設定値が示されているが、係数P0,P1に付される添字hは、補正後の値であることを意味している。
P0h:電圧補正後の電力相差角曲線係数P0
P11h:初発事故除去から再閉路(失敗)までの電力相差角曲線係数P1(補正制御用)
P11hc1:初発事故除去から再閉路(失敗)までの電力相差角曲線係数P1(補正制御用、主制御実施状態)
P11hc2:初発事故除去から再閉路(失敗)までの電力相差角曲線係数P1(補正制御用、補正制御実施状態)
P1hF:再閉路失敗時から再閉路成功時(最終遮断時)までの電力相差角曲線係数P1
P12h:最終遮断後の電力相差角曲線係数P1(補正制御用)
P12hc1:最終遮断後の電力相差角曲線係数P1(補正制御用、主制御実施状態)
P12hc2:最終遮断後の電力相差角曲線係数P1(補正制御用、補正制御実施状態)
X2c1:主制御実施後のリアクタンスX2
X2c2:補正制御実施後のリアクタンスX2
なお、上記に示した制御手法の一部については、種々の変形(変更)が可能である。例えば、図4と図10とを比較すれば明らかなように、加速エネルギーVAの算出に当たり、主制御では、事故時における発電機出力低下を考慮していない(補正制御では考慮している)。主制御では、高速性を優先するため、可能な限り簡易な計算処理とする趣旨からであるが、このことは逆に演算処理のより高いプロセッサの使用が可能であれば、発電機出力低下を考慮することによる制御精度の向上が見込まれる。
3(3a〜3n),25,27 発電所
4 発電機群
6,20a,20b,21a,25a,27a 母線
7 遮断器
8 変流器
9 計器用変圧器
10 中央演算装置
15(15a〜15n) 制御端末
18(18a〜18n) 通信回線
22,28a〜28c 送電線
29(29a〜29c),45〜49 昇圧トランス
31 無限大母線
32 負荷母線
33 等価発電機出力端
34 等価発電機仮想出力端
40〜44 等価発電機
Claims (6)
- 複数台の発電機で構成された複数の発電所を含む電力系統に適用可能に構成され、事故の状況に応じた発電機制御を行って電力系統を安定化する系統安定化制御システムであって、
予め想定した事故ケース毎に安定度判別および制御量算出を事故の発生前に行う事前演算方式による制御と、事故後の計測情報を基に安定度判別および制御量算出を行う事後演算方式による制御とを組み合わせ、且つ、それぞれの制御を等面積法ベースで構築すると共に、
前記事前演算方式による主制御演算では、事故前の電力相差角曲線である第1の曲線と、事故除去後の電力相差角曲線である第2の曲線と、再閉路後の電力相差角曲線である第3の曲線と、を用いて減速エネルギーを算出し、
前記事後演算方式による補正制御演算では、前記第1乃至第3の曲線と、再故障中の電力相差角曲線である第4の曲線と、を用いて減速エネルギーを算出することを特徴とする系統安定化制御システム。 - 前記事前演算方式による主制御演算では、事故時における発電機出力低下を考慮せずに制御演算を実施し、
前記事後演算方式による補正制御演算では、事故時における発電機出力低下を考慮して制御演算を実施する
ことを特徴とする請求項1に記載の系統安定化制御システム。 - 前記事前演算方式による主制御演算では、事故発生時における発電機出力低下量もしくは発電機出力低下率を事前に算出し、当該算出した発電機出力低下量もしくは発電機出力低下率を考慮して加速エネルギーを算出することを特徴とする請求項1に記載の系統安定化制御システム。
- 前記事前演算方式による主制御演算では、事故発生時における発電機出力低下量もしくは発電機出力低下率を事故発生時点もしくは、その近傍の計測情報を用いて算出し、当該算出した発電機出力低下量もしくは発電機出力低下率を考慮して加速エネルギーを算出することを特徴とする請求項1に記載の系統安定化制御システム。
- 前記事前演算方式による主制御演算では、事故発生時における発電機出力低下量もしくは発電機出力低下率を事故発生時から事故除去時点までの計測情報を用いて算出し、当該算出した発電機出力低下量もしくは発電機出力低下率を考慮して加速エネルギーを算出することを特徴とする請求項1に記載の系統安定化制御システム。
- 前記事後演算方式による補正制御演算では、前記事前演算方式による制御演算において用いた電力相差角曲線の係数値を事故発生時以降の計測情報を用いて補正すると共に、補正後の係数値に基づく電力相差角曲線を用いて安定度判別および制御量算出を行うことを特徴とする請求項1に記載の系統安定化制御システム。
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