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JP5865155B2 - 容器状成形体とその塗装方法 - Google Patents
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JP5865155B2 - 容器状成形体とその塗装方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高い意匠性を有する容器状成形体とこれに塗装する方法に関する。
従来、コップなどの容器における意匠性の高いものの例として、内側と外側とで異なる色彩を有するものが広く使用されている。このような容器においては、内側と外側のいずれか一方の面が、容器の基材自体の色彩をそのまま表し、他方の面のみを別の色彩で塗装したものが知られている。また、容器の内側と外側のそれぞれの面を異なる色彩で塗装したものが知られている。
また従来、コップなどの容器における意匠性の高いものの他の例として、金属調の色彩を有するものが広く使用されている。このような容器においては、容器の基材が金属製ではない場合、容器の内側と外側のどちらかの面、または両方の面を金属調の色彩で塗装する方法が考えられる。しかしながら、金属調の色彩に深みのある光輝感を持たせることは難しい。例えば、金属製の容器であっても、光が乱反射しないため、深みのある光輝感が出ない。まして金属製でない容器においては、金属調の色彩に塗装した後に塗装面のコーティングが必要になるため、金属調の色彩が持つ質感を低下させることになり、深みのある光輝感を持たせることはさらに難しい。
また従来、コップなどの容器における意匠性の高いものの他の例として、容器の材質がガラスなど透明のものが広く使用されている。しかしながら、常温で硬化する塗料をガラス製の容器に塗装する場合、このような塗料はガラスに対しての付着性・塗膜物性の確保が難しい。このため、ガラス製の容器における意匠性は、ガラスの材質や形状に求められる傾向がある。このように、ガラス製の容器においては、塗装によって意匠性を付与することが難しいという問題がある。
上記の問題を解決するための塗装方法として、シリコーンアクリル系樹脂層を形成することにより、樹脂塗料とガラスとの付着を高める技術が提案されている(特許文献1参照)。また、ガラス器表面をサンドブラストまたはフッ化水素処理して摺りガラス加工した後、シランカップリング剤を配合した漆を塗装、又はシランカップリング剤を下塗りした後に漆を塗装することにより付着と意匠性を付与する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、上記の問題を解決するための塗装方法として、塗装する漆にイソシアネート系シランカップリング剤を混合することにより常温で硬化させ、ガラス基材に対する強固な密着力を付与する方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開平06−107435号公報 特開平10−194782号公報 特開2009−183903号公報
しかしながら、上述した特許文献1および2の従来技術では、例えば、透明なガラスに塗装した場合、塗装面の反対側から見ればシリコーンアクリル樹脂のプライマー層やサンドブラスト処理のあとが露見してしまうため、製品としての意匠性が損なわれ、製作段階においても、表現したい意匠が大きく制約されてしまうという問題がある。
また、上述した特許文献3の従来技術では、漆の塗装面における意匠だけを開示していいて、ガラスという基材の材料特性を生かした意匠について開示がない。このため、意匠の多様性が制約されてしまうという問題がある。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、高い意匠性を有する容器状成形体とこれに塗装する方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用した。
本発明にかかる容器状成形体は、内側と外側との二面からなり、当該二面のうち、一方の面が金属の外観を呈し、他方の面が前記金属とは異なる外観を呈する容器状成形体であって、前記容器状成形体は所定の厚さを有する透明の基材からなり、前記一方の面の前記金属の外観は、前記他方の面に透明バインダーを介して塗装された光輝材を含む塗料により生じ、前記他方の面の前記金属とは異なる外観は、前記他方の面の前記光輝材を含む塗料上に隠蔽層を介して塗装された上塗り塗料により生じることを特徴とする。ここで、金属の外観とは、金属調の色彩であって、典型的には、光輝材を含む塗料によって表わされる色彩のことである。
また、本発明にかかる容器状成形体は、前記光輝材を含む塗料の光輝材が、粒径10〜30μmの金属フレークおよび干渉マイカのうち少なくとも一方を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる容器状成形体は、前記他方の面が前記基材の外側の面であり、前記上塗り塗料がエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、UV硬化樹脂、UV硬化漆のいずれか1つ以上を主要樹脂成分とした、塗装後常温で反応して硬化する塗料であることを特徴とする。
また、本発明にかかる容器状成形体は、前記UV硬化漆が、精製漆と、光重合性モノマーおよびオリゴマーのうち少なくとも一方と、光重合開始剤と、酸化防止剤とを必須成分とし、漆に含まれるゴム質および含窒素物の粒子が平均粒子径で1μm以下に分散された漆組成物を用いて得られる光重合性漆塗料であることを特徴とする。
また、本発明にかかる容器状成形体の塗装方法は、内側と外側との二面からなり、当該二面のうち、一方の面が金属の外観を呈し、他方の面が前記金属とは異なる外観を呈する容器状成形体の塗装方法であって、所定の厚さを有する透明な基材の前記一方の面に、透明バインダーを塗装し、次に、光輝材を含む塗料を塗装し、さらに、隠蔽層となる塗料を塗装し、最後に、上塗り塗料を塗装することを特徴とする。
また、本発明にかかる容器状成形体の塗装方法は、前記透明バインダーがポリエステル樹脂を主成分とすることを特徴とする。
また、本発明にかかる容器状成形体の塗装方法は、前記隠蔽層となる塗料が着色エナメル塗料であり、前記着色エナメル塗料が、塗装後の乾燥膜厚が50μm以下であり、隠蔽率が85%以上であることを特徴とする。
また、本発明にかかる容器状成形体の塗装方法は、前記光輝材を含む塗料の光輝材が、粒径10〜30μmの金属フレークおよび干渉マイカのうち少なくとも一方を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる容器状成形体の塗装方法は、前記他方の面が前記基材の外側の面であり、前記上塗り塗料がエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、UV硬化樹脂、UV硬化漆のいずれか1つ以上を主要樹脂成分とした、塗装後常温で反応して硬化する塗料であることを特徴とする。
また、本発明にかかる容器状成形体の塗装方法は、前記UV硬化漆が、精製漆と、光重合性モノマーおよびオリゴマーのうち少なくとも一方と、光重合開始剤と、酸化防止剤とを必須成分とし、漆に含まれるゴム質および含窒素物の粒子が平均粒子径で1μm以下に分散された漆組成物を用いて得られる光重合性漆塗料であることを特徴とする。
また、本発明にかかる容器状成形体の塗装方法は、前記UV硬化樹脂または前記UV硬化漆をインクジェットで塗装した後、200〜450nmの紫外線を照射することを特徴とする。
本発明の容器状成形体およびその塗装方法は、透明の容器状成形体の内側と外側の二面のうち、一の面だけに光輝材を含む塗料と上塗り塗料とを塗装するようにした。これによって、塗装していない他の面から、透明の基材を通して光輝材が見えることになるため、光輝材が乱反射して、金属調の色彩に陰影や立体感が出て、深みのある光輝感を実現することができる。したがって、上塗り塗料の色彩と合わせて容器状成形体に高い意匠性を付与することができるという効果を奏する。
本発明の容器状成形体およびその塗装方法は、透明バインダーを介して光輝材を含む塗料を容器状成形体に塗装するようにした。これによって、ガラス基材に対しても塗料の付着性・塗膜物性を確保できるため、塗装における作業性を向上させることができるという効果を奏する。また、光輝材を含む塗料上に隠蔽層を介して上塗り塗料を塗装するようにした。これによって、光輝材と上塗り塗料とがお互いに影響を与えないようにすることができ、容器状成形体の高い意匠性を維持することができるという効果を奏する。
本実施の形態にかかる容器状成形体の一例を示す写真である。 本実施の形態にかかる容器状成形体を示す斜視図である。 本実施の形態にかかる容器状成形体の断面を示す断面図である。 光輝材Aを含む塗料を塗装した容器状成形体を示す写真である。 光輝材Bを含む塗料を塗装した容器状成形体を示す写真である。 光輝材Cを含む塗料を塗装した容器状成形体を示す写真である。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる容器状成形体およびその塗装方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(容器状成形体の一例)
まず、本実施の形態にかかる容器状成形体の一例について説明する。図1は、本実施の形態にかかる容器状成形体の一例を示す写真である。図1において、容器状成形体の一例はガラスコップ10である。ガラスコップ10は、内側11と、外側12とで異なる色彩を有している。内側11は、光輝材を含む塗料が表す金属調の色彩であり、光が当たると光沢と陰影を生じ、深みのある光輝感を感じさせる。外側12は、漆塗料が表す色彩であり、漆独特の官能的で優美なしっとりとした質感を感じさせる。このように、ガラスコップ10は、内側11と外側12とで2つの異なる色彩を表現することが可能であり、高い意匠性を実現している。
(容器状成形体の基本的構成)
次に、図2を用いて、本実施の形態にかかる容器状成形体の基本的構成について説明する。図2は、本実施の形態にかかる容器状成形体を示す斜視図である。図2において、容器状成形体20は、透明の基材からなり、内側の面21と外側の面22とを有している。透明の基材は、例えば、ガラスやプラスチックである。
容器状成形体20は、内側の面21と外側の面22とで異なる色彩を有している。一方の面から見える色彩は金属調の色彩であり、他方の面から見える色彩は、一方の面から見える金属調の色彩と異なる金属調の色彩である。ここで、一方の面から見える金属調の色彩は、光輝材を含む塗料から生じるものであり、これと異なる金属調の色彩は、上塗り塗料から生じるものである。図1における上塗り塗料は、漆塗料である。
容器状成形体20において、内側の面21と外側の面22の色彩を表す塗料は、内側の面21と外側の面22のいずれか一の面に施されている。例えば、図1のガラスコップ10では、外側12にだけ塗装が施されている。つまり、ガラスコップ10では、内側11に見える金属の色彩は、外側12に塗装された光輝材を含む塗料がガラス越しに見えている。外側12に見える漆塗料は、光輝材を含む塗料の外側に塗装されている。なお、本実施の形態においては、内側の面21にだけ塗装が施されるようにしてもいい。
容器状成形体20において、透明な基材は、光輝材が持つ金属調の色彩を塗装面と反対側に見せる必要があるので、所定の透明度があった方が好ましい。したがって、ガラスの場合、透明度の低いソーダガラスよりもクリアガラスの方が好ましい。プラスチックの場合は、比較的透明性があるアクリル系のものが好ましい。
また、容器状成形体20において、透明な基材は、所定の厚さを有する。透明な基材の厚みによって生じる光の乱反射を利用することにより、光輝材が持つ金属の色彩に深みが出る。透明な基材は、色彩が不明瞭にならない程度であれば、より厚い方が乱反射を生じやすいので好ましい。
なお、容器状成形体20において、光輝材を含む塗料と上塗り塗料とがそれぞれ、内側の面21と外側の面22の異なる面に塗装された場合、光輝材が持つ金属の色彩は、透明な基材を通して見えることにならない。この場合、光輝材を含む塗料の上にコーティングが施されるが、コーティングは薄いため、透明な基材の厚みによる光の乱反射が起こりにくく、色彩に深みを生じない。また、この場合、両面に塗装を施し、さらにコーティングもおこなうことになり、工程が増えるため、手間となる。
本実施の形態において、容器状成形体20には、内側の面と外側の面が視認可能な略筒状のもの、略凹状の物品を含む。この場合、ものを入れるためのコップなどの容器に限らず、ものを入れることがない照明器具におけるシェードであってもよい。シェードの場合、シェードの内側の面21から外側の面22に塗装した光輝材が見える構成であれば、照明の色や照度によって光輝材が持つ金属調の色彩が変化するため、意匠性が向上する。
(容器状成形体の塗装方法)
次に、図3を用いて、本発明にかかる容器状成形体の塗装方法について説明する。図3は、本実施の形態にかかる容器状成形体の断面を示す断面図である。図3は、図2における容器状成形体20のA−A断面を矢印の方向から見た状態を示す断面図である。図3において、容器状成形体20の口部分30は、容器状成形体20の内側の面21と外側の面22とを有している。外側の面22は、容器状成形体20の基材32の外側の面31に塗料を塗装した後の表面である。
容器20の塗装方法は、容器20の基材32の外側の面31に、4層形成することを特徴とする。4層は、基材32の外側の面31に近い層から、バインダー層33、光輝層34、隠蔽層35、上塗り塗料層36の順番で積層されている。
本実施の形態においては、容器状成形体20の内側から入射した光が2層目の光輝層34を反射することにより、メタリック感などの意匠性が得られる。また、容器状成形体20の内側からの光は、3層目の隠蔽層35により、容器状成形体20の一番外側の上塗り塗料層36の意匠性に影響しないため、容器状成形体20の外側の面22では樹脂成分からなる上塗り塗料の色彩がそのまま表現される。例えば、上塗り塗料がUV硬化漆である場合、容器状成形体20の外側の面22は、漆の優美でしっとりした質感が表現される。
本実施の形態にかかる容器状成形体20の塗装方法では、第一の工程として、透明バインダーを容器状成形体20の基材32の外側の面31に塗装して、1層目にバインダー層33を形成させる。これにより、光輝層34の光輝材と容器状成形体20とを付着させることが可能になる。
透明バインダーの塗装工程に用いられる塗料は、乾燥後に光の吸収が少ない透明な塗料であり、容器状成形体20と2層目の光輝層34との密着性が確保できれば問題なく使用できる。リン酸基、カルボン酸基、アミド基、水酸基などを有する変性アクリル、ポリエステル、変性ポリエーテル、変性ポリウレタン、変性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
本実施の形態における透明バインダーは、ポリエステル樹脂を成分とするのが好ましい。ポリエステル樹脂は、例えば、ウレタン、フッ素、シリコンといった他の透明バインダーと比べて、薄膜の状態で光輝材と容器状成形体20との付着性を高めることが可能であり、耐熱性および耐寒性を有する。
また、シランカップリング剤を既存のクリヤー塗料に添加することでバインダー塗料とすることも可能である。シランカップリング剤の具体的な例としては、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメエトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピル―トリメトキシシラン、β(3、4―エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピル(トリメトキシ)シラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピル(メチルジメトキシ)シラン、N−フェニルーγ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
透明バインダーの塗装には、刷毛、エアースプレー、フローコート、シャワーコート、インクジェット塗装など通常の塗装方法が適用できる。
第二の工程として、バインダー層33の上に光輝材を含む塗料を塗装し、2層目に光輝層34を形成させる。これにより、容器状成形体20の内側の面21の意匠性を高めることが可能になる。
本発明に用いる光輝材を含む塗料には、アルミニウム顔料、マイカ顔料、酸化チタン層などをもつパールマイカ顔料、銀などのメッキ層をもつマイカ顔料などの光輝材を含む従来の市販品を用いることができる。この場合、光輝材の平均粒径は10〜30μmであることが望ましい。光輝材の平均粒径が10μmより小さくなると十分なメタリック感が得られず、30μmより大きくなると塗膜中で光輝材が平行に配向しにくくなり十分なメタリック感が得られない。
また、光輝材は、塗料の樹脂100重量部に対して10〜50重量%が塗料中に含有されていることが望ましい。光輝材の量が10重量%より少ないと十分なメタリック感が得られず、50重量%を超えて含有しても量が多すぎて塗膜中で平行に配向しにくくなり十分なメタリック感が得られない。
本実施の形態にかかる塗装方法においては、光輝材は、金属フレークおよび干渉マイカのうち少なくとも一方を含むものである。この場合、金属フレークは、アルミフレーク、ステンレスフレークなどの少なくとも1種類以上の金属フレークである。金属フレークおよび干渉マイカを混合したり、異なる金属フレークを混合したりすることにより、光輝材自体が深みのある金属調の色彩を持つことになる。
光輝材を含む塗料の塗装には刷毛、エアースプレー、フローコート、シャワーコート塗装など通常の塗装方法が適用できるが、エアースプレーなどスプレー塗装が比較的簡単に均一に塗装できることから好ましい。
第三の工程として、光輝層34の上に塗料を塗装し、3層目に隠蔽層35を形成させる。このとき、塗料は、着色エナメル塗料が好ましい。着色エナメル塗料は、10〜50μm(乾燥膜厚)で塗装する。これにより、着色エナメル塗料が上塗り塗料の光輝層34への影響を防ぐ隠蔽層35として機能するため、基材32を通してメタリック感のみを得ることが可能になる。
本発明に用いる着色エナメル塗料には、チタン白、酸化鉄(エロー、ベンガラ)、カーボンなどの無機系着色顔料、フタロシアニン系青、緑顔料、キナクリドン、アゾ系赤顔料などの有機顔料を含み、塗装・乾燥後の隠蔽率(JIS K 5600)が85%以上、好ましくは90%以上であることが必要である。隠蔽率が85%未満の場合、基材32を通して表現される光輝層34の意匠に上塗り塗料層36の影響が出やすく、上塗り塗料層36が透明クリヤーに近い場合、著しくメタリック感が損なわれる。また、容器20の外側の面22から見た外観も光輝材の影響が出やすく、深みのある仕上がりが得られにくくなる。
着色エナメル塗料の塗装には刷毛、エアースプレー、フローコート、シャワーコート塗装など通常の塗装方法が適用できるが、エアースプレーなどスプレー塗装が比較的簡単に均一に塗装できることから好ましい。
第四の工程として、最後に隠蔽層35の上に、上塗り塗料を塗装し、4層目に上塗り塗料層36を形成させる。これにより、容器状成形体20の外側の面22の仕上がり性を高めることが可能になる。容器状成形体20がコップなどの容器である場合、何回も洗浄され使用されることから、本発明に用いる上塗り塗料は、耐水性、耐洗剤性などの堅牢性が必要である。このため、上塗り塗料は、塗装後常温で反応して硬化する樹脂を主要樹脂成分とし、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、UV硬化樹脂、UV硬化漆のいずれか1種以上を主要樹脂成分とした塗料であることが好ましい。
エポキシ樹脂塗料とは、一般にはエポキサイド基を有する樹脂を含む主剤とアミン基を有する化合物を含む硬化剤成分を塗装直前に混ぜて使用するタイプの塗料である。ポリウレタン樹脂は、水酸基を有するアクリル樹脂又はポリエステル樹脂等を主剤とし、イソシアネート基を有する化合物を硬化剤に含む。UV(紫外線)硬化樹脂とは、プレポリマー、モノマー、光重合開始剤、添加剤からなり、200〜450nmの波長を持つ光、すなわち紫外線を短時間(数秒〜数十秒)照射した際に硬化する合成樹脂である。
UV硬化漆とは、精製漆、光重合性モノマーおよび(又は)オリゴマー、光重合開始剤、酸化防止剤を必須成分とし、漆に含まれるゴム質および含窒素物の粒子が平均粒子径で1μm以下に分散された塗料である。例えば、特許文献(特開2009−242731)に提案された平均粒子径1μm以下にした漆に光重合性アクリレートモノマー又はオリゴマーと光重合開始剤を配合し、塗装後UV照射することにより硬化を促進、著しく乾燥性を改良し、生産性を高めることが可能になる。
上塗り塗料の塗装には刷毛、エアースプレー、フローコート、シャワーコート塗装など通常の塗装方法が適用できるが、エアースプレーなどスプレー塗装が比較的簡単に均一に塗装できることから好ましい。
本発明にかかる容器状成形体20の塗装方法では、第四の工程において、上塗り塗料としてUV硬化樹脂またはUV硬化漆をインクジェットで塗装した後、200〜450nmの紫外線を照射してもよい。これにより、繊細な模様などさらに高度な意匠性を得ることが可能になる。例えば、赤、青、黄の3原色をインクジェトノズルから射出して塗装することにより、コンピュータのデジタル画像をダイレクトに短時間で容器状成形体20の外側の面22に印刷することができる。
以下、本発明にかかる容器状成形体200の塗装方法の実施例を示す。しかし、本発明の範囲はこれらの実施例に制約されるものではない。
バインダー層33の塗装は、あらかじめラッカーシンナーにて脱脂したガラスコップの外側に、関西ペイント販売(株)のポリエステル樹脂系透明バインダー「ニュー密着バインダーM」(商品名)をエアースプレーによって、約80g/m(乾燥膜厚5μm)のレベルにておこなった。ガラスコップを室温で5分放置後、約80℃の乾燥機で30分乾燥した。
光輝層34の塗装は、ユニオンペイント(株)のアクリル樹脂系メタリック塗料「エコラッカーメタリックベース中目」(商品名)をエアースプレーによって、約70g/m(乾燥膜厚20μm)のレベルにておこなった。ガラスコップを室温で5分放置後、約50℃の乾燥機で20分乾燥した。
隠蔽層35の塗装は、関西ペイント販売(株)のウレタン樹脂系塗料「アレスレタン黒」(商品名)をエアースプレーによって、約90g/m(乾燥膜厚25μm)のレベルにておこなった。ガラスコップを室温で5分放置後、約50℃の乾燥機で30分乾燥した。
上塗り塗料層36の塗装は、#400の耐水研磨紙でガラスコップを研磨した後、関西ペイント販売(株)のウレタン樹脂系塗料「アレスレタンクリヤー」(商品名)をエアースプレーによって、約100g/m(乾燥膜厚20μm)のレベルにておこなった。ガラスコップを室温で5分放置後、約80℃の乾燥機で30分乾燥した。その後さらに、#800〜#1000の研磨紙でガラスコップを研磨した後、再度「アレスレタンクリヤー」(商品名)を同様に塗装、乾燥して仕上げとした。
これにより、ガラスコップは、内側の面21にメタリック感の意匠が、外側の面22には優美で深みのある落ち着いた仕上がり感が得られた。また、このようにして得られた実施例1のガラスコップを60℃の温水に24時間没水した後、2時間室温で乾燥、クロスカット付着試験(JIS K 5600準拠)にて付着性を確認した結果良好であった。
バインダー層33の塗装から隠蔽層35の塗装までは、実施例1と同様の方法で得た。上塗り塗料層36の塗装は、#400の耐水研磨紙でガラスコップを研磨した後、カシュー(株)のUV硬化樹脂「カシューUV TXL635クリヤー」(商品名)をエアースプレーによって、約80g/m(乾燥膜厚10μm)のレベルにておこなった。その後、200〜450nmのUVを照射し、さらに再度、「カシューUV TXL635クリヤー」(商品名)を同様に塗装後、UV照射して仕上げとした。これにより、実施例1と同様の意匠性・仕上がり性、および60℃温水後の付着性に優れたガラスコップが得られた。
バインダー層33の塗装から隠蔽層35の塗装までは、実施例1と同様の方法で得た。上塗り塗料層36の塗装は、#400の耐水研磨紙でガラスコップを研磨した後、特開2009−242731に記載の実施例9の方法により得られた光重合性漆塗料をエアースプレーによって、約80g/m(乾燥膜厚10μm)のレベルにておこなった。その後、200〜450nmのUVを照射し、さらに再度、光重合性漆塗料を同様に塗装後、UV照射して仕上げとした。これにより、実施例1と同様の意匠性・仕上がり性、および60℃温水後の付着性に優れたガラスコップが得られた。
ガラスコップの替わりに市販のプラスチック製コップに実施例3と同様な塗装工程を実施し、意匠性の高いプラスチック製コップを得た。これにより、実施例1と同様の意匠性・仕上がり性、および60℃温水後の付着性に優れたプラスチック製コップが得られた。
(比較例1)
ラッカーシンナーにて脱脂したガラスコップの外側に、透明バインダーを塗装せずに、直接光輝層34の塗装をおこなった。これ以外は、実施例2と同様に塗装工程を実施し、意匠性の高いコップを得た。これにより、実施例1と同様の優れた意匠性・仕上がり性は得られたが、60℃温水後の付着試験後の結果、塗膜剥がれが見られた。
(比較例2)
実施例2の塗装工程中、光輝層34の塗装をおこなわないで、バインダー層33の上に直接隠蔽層35の塗装をおこなった。これ以外は、実施例2と同様に塗装工程を実施した。これにより、60℃温水後の付着性に優れたガラスコップが得られ、ガラスコップの外側の面22には、優美な仕上がりを得ることができたものの、内側の面21の意匠感はなく外側の面22と同じ色での仕上がりとなった。
(比較例3)
実施例3の塗装工程中、隠蔽層35の塗装をおこなわないで、光輝層34の上に直接光重合性漆塗料の塗装をおこなった。これ以外は、実施例3と同様な塗装工程を実施した。これにより、60℃温水後の付着性に優れたガラスコップが得られたが、コップ内側の面21および外側の面22の意匠性については透過光の影響もあり、落ち着いた意匠感が得られていない。
(比較例4)
隠蔽層35の塗装までは、実施例1と同様の塗装をおこなった。これにより、60℃温水後の付着性に優れ、メタリック感の意匠性の高いガラスコップが得られたが、ガラスコップの外側の面22は一般の塗料塗膜のため、優美な仕上がりは得られていない。
(光輝材による意匠性の違い)
次に、図4〜6を用いて、光輝材による意匠性の違いについて説明する。図4は、光輝材Aを含む塗料を塗装した容器状成形体を示す写真である。図5は、光輝材Bを含む塗料を塗装した容器状成形体を示す写真である。図6は、光輝材Cを含む塗料を塗装した容器状成形体を示す写真である。図4〜6において、光輝材A、B、Cは、光輝材に含まれる特定の種類の金属フレークの使用量が異なっている。
図4において、光輝材Aは、特定の種類の金属フレークの使用量が3つの中で最も少ない光輝材である。ガラス容器40の内側の面41に表われた金属調の色彩は、陰影が少なく、光輝感の深みがない。
図5において、光輝材Bは、特定の金属フレークの使用量が光輝材Aよりも多い光輝材である。ガラス容器50の内側の面51に表われた金属調の色彩は、陰影はあるがぼやけているため、光輝感の深みが足りない。図6において、光輝材Cは、特定の金属フレークの使用量が3つの中で最も多い光輝材である。ガラス容器60の内側の面61に表われた金属の色彩は、陰影ははっきりしているため、光輝感の深みを感じる。このように、容器の内側の面に凹凸がある場合は、光輝材が持つ金属調の色彩の深さがよくわかる。
以上説明したように、本実施の形態では、容器状成形体20およびその塗装方法は、透明の容器状成形体20の内側と外側の二面のうち、一の面だけに光輝材を含む塗料と上塗り塗料とを塗装するようにした。これによって、塗装していない他の面から、透明の基材を通して光輝材が見えることになるため、光輝材が乱反射して、金属調の色彩に陰影や立体感が出て、深みのある光輝感を実現することができる。したがって、上塗り塗料の色彩と合わせて容器状成形体20に高い意匠性を付与することができる。
本発明の容器状成形体およびその塗装方法は、透明バインダーを介して光輝材を含む塗料を容器状成形体に塗装するようにした。これによって、ガラス基材に対しても塗料の付着性・塗膜物性を確保できるため、塗装における作業性を向上させることができるという効果を奏する。また、光輝材を含む塗料上に隠蔽層を介して上塗り塗料を塗装するようにした。これによって、光輝材と上塗り塗料とがお互いに影響を与えないようにすることができ、容器状成形体の高い意匠性を維持することができるという効果を奏する。
また、本実施の形態では、光輝材として、粒径10〜30μmの金属フレークおよび干渉マイカのうち少なくとも一方を含むようにした。混合することにより金属の色彩に変化が生じ、微粒化により光輝材の分散性が高まるため、金属調の色彩がさらに乱反射して陰影や立体感が出て、深みのある光輝感を実現することができる。
また、本実施の形態では、光輝材が容器状成形体20の内側の面21から見えるようにした。これにより、容器状成形体20に入れる液体の色により、金属の色彩が変化しながら乱反射するようになるため、液体が入っていないときと異なる色彩の陰影や立体感が出て、深みのある光輝感の変化を楽しむことができる。
また、本実施の形態では、常温で硬化し、基材への高い密着性を有するエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、UV硬化樹脂、UV硬化漆のいずれか1つを主要樹脂成分とする塗料を塗装するようにした。これにより、焼付けなどの工程がなくても塗料を付着させることができるため、塗装に手間がかからず、作業性を向上させることができる。また、本実施の形態では、常温で硬化し、基材への高い密着性を有するこれらの樹脂塗料を容器の外側の面22に塗装するようにした。これにより、塗装作業段階で容器が他のものと接触しても、塗料を剥がれにくくすることができるため、作業性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、上塗り塗料に平均粒子径で1μm以下に分散された漆組成物を用いた光重合性漆塗料を使用するようにした。これにより、架橋密度が高くなって、薄膜で被膜形成することができるため、秒単位の早さで漆を硬化させることができ、作業性を向上させることができる。また、漆組成物の粒子が細かく、塗装面に凹凸ができにくいため、塗装面に光沢感が出て漆の特性が出やすくなる。さらに、蒔絵のような二次的な加飾も容易となり、多彩な技法表現ができる。
また、本実施の形態では、容器状成形体20の外側の面22に、透明バインダーを塗装した後に、光輝材を含む塗料を塗装し、次に、着色エナメル塗料を塗装して、最後に、上塗り塗料を塗装するようにした。これにより、金属の色彩と、少なくとも一色の色彩や模様という2つの異なる色彩を、透明な容器状成形体20に簡単に塗装することができる。したがって、少ない工程ながら、より深みのある色彩を持った意匠を付与することができる。
また、本実施の形態では、透明バインダーがポリエステル樹脂を成分とするようにした。これにより、透明バインダーが薄膜の状態であっても、光輝材と容器状成形体20との付着性を高めることができるため、塗装の作業性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、着色エナメル塗料の塗装後の乾燥膜厚を50μm以下、隠蔽率を85%以上とするようにした。これにより、光輝層と上塗り塗料層とを確実に隠ぺいするため、光輝材と上塗り塗料とがお互いに影響を与えないようにすることができ、高い意匠性を維持することができる。
また、本実施の形態では、上塗り塗料としてのUV硬化樹脂またはUV硬化漆をインクジェットで塗装した後、紫外線を照射するようにした。これにより、上塗り塗料が常温で短時間に乾燥するので、塗装後にゴミの付着を心配せずに乾燥させることができ、作業性を向上させることができる。また、繊細な模様やコンピュータのデジタル画像などを塗装できるため、さらに高度な意匠性を得ることができる。
20 容器状成形体
21 内側の面
22 外側の面
31 紀材の外側の面
32 ガラス基材
33 バインダー層
34 光輝層
35 隠蔽層
36 上塗り塗料層

Claims (11)

  1. 内側と外側との二面からなり、当該二面のうち、一方の面が金属の外観を呈し、他方の面が前記金属とは異なる外観を呈する容器状成形体であって、
    前記容器状成形体は所定の厚さを有する透明の基材からなり、
    前記一方の面の前記金属の外観は、前記他方の面に透明バインダーを介して塗装された光輝材を含む塗料により生じ、
    前記他方の面の前記金属とは異なる外観は、前記他方の面の前記光輝材を含む塗料上に隠蔽層を介して塗装された上塗り塗料により生じ
    前記隠蔽層の隠蔽率が85%以上であることを特徴とする容器状成形体。
  2. 前記光輝材を含む塗料の光輝材が、粒径10〜30μmの金属フレークおよび干渉マイカのうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の容器状成形体。
  3. 前記他方の面が前記基材の外側の面であり、
    前記上塗り塗料がエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、UV硬化樹脂、UV硬化漆のいずれか1つ以上を主要樹脂成分とした、塗装後常温で反応して硬化する塗料であることを特徴とする請求項1または2記載の容器状成形体。
  4. 前記UV硬化漆が、精製漆と、光重合性モノマーおよびオリゴマーのうち少なくとも一方と、光重合開始剤と、酸化防止剤とを必須成分とし、漆に含まれるゴム質および含窒素物の粒子が平均粒子径で1μm以下に分散された漆組成物を用いて得られる光重合性漆塗料であることを特徴とする請求項3記載の容器状成形体。
  5. 内側と外側との二面からなり、当該二面のうち、一方の面が金属の外観を呈し、他方の面が前記金属とは異なる外観を呈する容器状成形体の塗装方法であって、
    所定の厚さを有する透明な基材の前記一方の面に、透明バインダーを塗装し、次に、光輝材を含む塗料を塗装し、さらに、隠蔽層の隠蔽率が85%以上となるように隠蔽層となる塗料を塗装し、最後に、上塗り塗料を塗装することを特徴とする容器状成形体の塗装方法。
  6. 前記透明バインダーがポリエステル樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項5記載の塗装方法。
  7. 前記隠蔽層となる塗料が着色エナメル塗料であり、
    前記着色エナメル塗料が、塗装後の乾燥膜厚が50μm以下であることを特徴とする請求項5または6記載の塗装方法。
  8. 前記光輝材を含む塗料の光輝材が、粒径10〜30μmの金属フレークおよび干渉マイカのうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1に記載の塗装方法。
  9. 前記他方の面が前記基材の外側の面であり、
    前記上塗り塗料がエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、UV硬化樹脂、UV硬化漆のいずれか1つ以上を主要樹脂成分とした、塗装後常温で反応して硬化する塗料であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1に記載の塗装方法。
  10. 前記UV硬化漆が、精製漆と、光重合性モノマーおよびオリゴマーのうち少なくとも一方と、光重合開始剤と、酸化防止剤とを必須成分とし、漆に含まれるゴム質および含窒素物の粒子が平均粒子径で1μm以下に分散された漆組成物を用いて得られる光重合性漆塗料であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1に記載の塗装方法。
  11. 前記UV硬化樹脂または前記UV硬化漆をインクジェットで塗装した後、200〜450nmの紫外線を照射することを特徴とする請求項5〜10のいずれか1に記載の塗装方法。
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