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JP5870880B2 - ハードコート層の限界膜厚判断構造 - Google Patents
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本発明は、樹脂基材に形成された透明なハードコート層の限界膜厚判断構造に関する。
従来から、紫外線や風雨に晒されたり、指や異物等が接触し得る合成樹脂成形品(樹脂基材)においては、耐候性、耐摩耗性、及び表面硬度等を付与するために、表面に透明なハードコート層を形成することで、樹脂基材の保護が図られているものがある。例えば、ポリカーボネート等の透明樹脂製の樹脂ガラスの表面にも、ハードコート層が形成される。
しかし、ハードコート層も、紫外線や風雨等に晒されることで分解が進行する耐候劣化や、指や異物の接触に伴う摩耗等によって徐々に膜厚が減少していく。この場合、ハードコート層はある程度の膜厚を有していないと、これによる樹脂基材の保護効果が得られなくなったり、ハードコート層が剥離し易くなるなどの問題が生じる。そこで、ハードコート層がある程度減膜すると、その機能を回復するためにハードコート層をリコートする必要がある。
しかしながら、ハードコート層は透明であるため、その膜厚をはっきり把握することが難しい。透明なハードコート層の膜厚を測定するには、例えばサンプルを切り出して断面観察したり、光干渉計等の膜厚測定装置を使用する方法等が挙げられる。しかし、サンプル観察の場合、実製品の一部を切り出すと欠陥が生じるので現実的には不可能である。一方、光干渉計等の特殊な膜厚測定装置を一般ユーザーが所持していることは想定し難い。このように、透明なハードコート層の膜厚をはっきり把握することができないことから、従来では経験等に基づき何となくの感覚でリコートするタイミングを計るしかなく、樹脂基材を保護するために最低限必要なハードコート層の限界膜厚を判断することができなかった。したがって、従来ではリコートするタイミングが遅れて、樹脂基材に劣化や損傷等が生じてしまうおそれがあった。
また、ハードコート層は、異物の衝突や擦れによる傷から樹脂基材を保護する機能も有する。したがって、ハードコート層に傷がつくことも多い。この場合、ハードコート層をコンパウンド等によって研磨することで傷消し補修を行うことになる。このとき、ハードコート層を研磨し過ぎて膜厚が小さくなりすぎると、上記と同様の問題が生じる。しかしながら、やはり透明なハードコート層の膜厚を把握することができないため、どの程度ハードコート層を研磨してもよいのか、すなわち樹脂基材を保護するために最低限必要なハードコート層の限界膜厚を判断できず、樹脂基材まで研磨してしまうおそれがあった。
これに対し、透明なハードコート層を備えるウィンド部材の補修方法として、特許文献1が提案されている。特許文献1では、ポリカーボネート等からなる樹脂ガラス(樹脂基材)の表面に透明なハードコート層を備えるウィンド部材において、ハードコート層に傷が生じた場合は、その傷を含めて樹脂基材に達するまで削り、そこへ傷補修剤を充填したうえで、形状保持用シートをハードコート層上に配置し、形状保持用シート上から傷を含む部位に赤外線レーザーを照射して補修している。
特開2008−132446号公報
特許文献1では、ハードコート層の膜厚に関係なく樹脂基材を含めて削っており、ここへ傷補修剤を充填している。これでは、ハードコート層の膜厚を把握する必要はないが、樹脂基材を傷つけている以上、例え傷補修剤がある程度樹脂基材と相溶性を有しているとしても、補修箇所における透明性や物性の低下が懸念される。しかも、形状保持シートも必要とし、樹脂基材の切削、傷補修剤の充填、形状保持シートの配置、赤外線レーザによる固化という手順を経ており、補修作業が煩雑である。これは、そもそも透明なハードコート層の膜厚を把握できないという根本的な問題に起因している。また、特許文献1では、ハードコート層のリコートタイミングに対しては対応できない。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、透明なハードコート層において樹脂基材を保護するために最低限必要とされる限界膜厚を容易に判断可能な、ハードコート層の限界膜厚判断構造を提供することを目的とする。
そのための手段として、本発明は、樹脂基材に形成された透明なハードコート層の限界膜厚判断構造であって、前記ハードコート層内に、前記ハードコート層の限界膜厚の判断基準となるマーカーを有することを特徴とする。このように、マーカーを配置していることで、実際の膜厚を測定する必要が無く、ハードコート層が限界膜厚にまで減膜しているか否かを容易に判断することができる。
前記マーカーの一形態としては、前記ハードコート層が前記限界膜厚にまで減膜すると、前記マーカーの少なくとも一部が消失するものを使用することができる。すなわち、マーカーが消失することで、ハードコート層が限界膜厚にまで減膜したものと判断することができる。
このように消失するマーカーとしては、例えば前記ハードコート層の前記限界膜厚となる位置にレーザを照射することによって形成することができる。この場合、マーカーは、ハードコート層と共に削られたり分解することで消失することになる。
また、マーカーを前記ハードコート層の前記限界膜厚となる位置に埋設することもできる。この場合、ハードコート層が限界膜厚にまで減膜すると、マーカーがハードコート層から脱落することで消失することになる。
また、前記マーカーを水溶性材料によって形成することもできる。この場合、ハードコート層が限界膜厚にまで減膜してマーカーが外部に露呈されると、マーカーが水分によって溶失することになる。なお、水溶性マーカーは、限界膜厚位置に浮かべた状態でハードコート層へ埋設してもよいし、ハードコート層の限界膜厚分の厚みとしたうえでハードコート層の底部に埋設してもよい。
また、前記マーカーの他の形態として、前記ハードコート層の減膜に伴って、前記マーカーの形状が変化するものを使用することもできる。すなわち、ハードコート層の減膜に伴いマーカーの直径、長さ、又は断面積等の形状が漸次変化し、所定の形状となったところでハードコート層が限界膜厚にまで減膜したものと判断することができる。
このような形状が変化するマーカーとしては、例えば円錐形や多角錐形等のような、前記ハードコート層の膜厚方向に沿って、前記マーカーの断面積が変化するものを使用することができる。この場合、ハードコート層の膜厚に応じたマーカー表面(露出面)のサイズを予め把握しておき、当該マーカー表面のサイズをノギス等によって測定すればよい。そして、マーカー表面のサイズが基準値となったところで、ハードコート層が限界膜厚にまで減膜したものと判断することができる。なお、ハードコート層の減膜に伴い、マーカー表面のサイズは漸次大きくなってもよいし、漸次小さくなってもよい。
また、前記マーカーを、前記ハードコート層の膜厚方向に対して斜めに埋設した棒状マーカーとすることもできる。すなわち、ハードコート層の減膜に伴い棒状マーカーが漸次短くなり、所定の長さ又は消失した時点で、ハードコート層が限界膜厚にまで減膜したものと判断することができる。この場合は、前記樹脂基材の表面に、前記棒状マーカーの長さに対応した目盛りを記しておくことも好ましい。
また、前記マーカーのさらに他の形態として、水分又は酸素と反応して変色する変色成分を有するマーカーを、前記ハードコート層の前記限界膜厚となる位置に埋設することもできる。この場合、前記ハードコート層が限界膜厚にまで減膜して前記マーカーが外部に露呈されると変色することで、ハードコート層が限界膜厚にまで減膜したものと判断することができる。
なお、ハードコート層が透明である限り、前記樹脂基材は透明・不透明を問わないが、例えば樹脂ガラス等のように樹脂基材が透明である場合に好適である。
本発明によれば、ハードコート層内に限界膜厚の判断基準となるマーカーを有することで、一部サンプルを切り出したり特殊な測定装置を使用する必要が無く、実際のハードコート層の膜厚を把握せずとも容易に限界膜厚を判断することができる。これにより、リコートのタイミングを的確に把握したり、研磨による傷消し補修も的確に行うことができ、樹脂基材の劣化や損傷等を確実に避けることができる。
実施形態1−1・1−2の断面図である。 実施形態1−3の断面図である。 実施形態2−1の断面図である。 実施形態2−1の平面図である。 実施形態2−2の断面図である。 実施形態2−2の平面図である。 実施形態2−2の変形例の平面図である。 実施形態3の断面図である。
本発明の具体的な各実施形態について説明する前に、先ずはこれらに共通する基本構成について説明する。
<樹脂基材>
ハードコート層の形成対象となる樹脂基材は、屋外において使用されて太陽からの紫外線や風雨等に晒され、さらに人間の身体や異物が接触ないし衝突し得ることで、耐候性や耐摩耗性等が要求される樹脂成形品であれば特に限定されない。例えば、自動車等の車両における樹脂ウィンドウ、車体ボディの外板、ランプカバー等のほか、建築物や構造物等における樹脂ガラスやパネル部材等の建材などを例示することができる。
また、樹脂基材は、合成樹脂をベース(主材)とする成形品であれば特に限定されない。したがって、射出成形や押出し成形等に適した熱可塑性樹脂製や、所定形状に押圧成形等する熱硬化性樹脂製のほか、これらに強化繊維を配合した繊維強化プラスチック(FRP)でもよい。例えば、樹脂基材を透明な樹脂ウィンドウや樹脂ガラスとする場合は、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート樹脂、透明アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂、透明ポリスチレン樹脂、透明エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、透明ナイロン樹脂、透明ポリブチレンテレフタレート、透明フッ素樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、透明フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、透明フェノール樹脂などを挙げることができる。中でも、機械的特性、加工性、耐候性等が良好なポリカーボネート樹脂が好ましい。
<ハードコート層>
ハードコート層は、耐候性、耐摩耗性、耐擦傷性等を向上するために樹脂基材の表面に積層される透明な層である。このようなハードコート層としては、この種の分野において使用されている公知の材料を特に制限されることなく使用することができる。代表的には、アクリル樹脂やシリコーン樹脂などを挙げることができる。これらのハードコート層は、ハードコート層用塗液を樹脂基材上へ塗布したうえで、熱硬化や紫外線硬化等によって硬化させることで積層できる。ハードコート層は、単層でもよいし、複数積層することもできる。
硬化後のハードコート層の膜厚は、少なくとも3μm以上、好ましくは7μm以上、より好ましくは12μm以上とする。ハードコート層の膜厚が小さすぎると、樹脂基材を的確に保護できないからである。したがって、上記膜厚が、樹脂基材を保護するために最低限必要なハードコート層の限界膜厚ということもできる。基本的にはハードコート層の膜厚は大きいほど好ましいので、ハードコート層の膜厚の上限は特に規定されないが、コストや製造容易性などの観点からは、1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下を目安とすればよい。
<無機層>
なお、ハードコート層は、さらに耐候性や耐摩耗性等を向上するための無機層を介して積層することもできる。このような無機層としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、又はこれらの合金等からなる層を挙げることができる。無機層は、スパッタリングや真空蒸着などによって形成することができ、その膜厚は、0.1〜500nm程度、好ましくは1〜100nm程度とすればよい。また、無機層は、ハードコート層の上に積層することもできる。
<マーカー>
ハードコート層は樹脂基材を保護するものであるが、当該ハードコート層も有機材料からなることで、紫外線、水分、酸素、熱などによって分解が進み、耐候劣化に伴い経時的に減膜していく。また、指など人間の身体や小石などの異物が接触ないし衝突することで傷が付くこともある。この場合、ハードコート層をリコートしたり、傷消し研磨を行う必要がある。そこで、ハードコート層内には、樹脂基材を保護するために最低限必要なハードコート層の限界膜厚(最低膜厚)の判断基準となるマーカーが埋設されている。ハードコート層の膜厚が十分に大きくてマーカーが外面(ハードコート層の表面)に臨んでいなくても、透明なハードコート層を介してマーカーを確認できる。
マーカーは、ハードコート層内においてその存在を確認できるサイズとする必要があるが、あまり目立たない程度のサイズとする。マーカーはハードコート層の本来的機能からすれば異物として存在するので、マーカーが大きすぎると意匠性が低下するからである。具体的には、平面方向のマーカーの最大寸法(最大直径や最大長さなど)は10μm〜10mm程度、好ましくは30μm〜5mm程度、より好ましくは50μm〜1mm程度とすればよい。マーカーは、ハードコート層内の複数箇所に設けることもできるが、十分視認できるサイズであれば1箇所で足りる。また、マーカーを配す平面方向の位置は、ハードコート層の平面方向中央部よりも、周辺部に設けることが好ましい。
以上が本発明の基本的構成である。これを前提として、以下に本発明の各実施形態について説明する。本発明の実施形態は大きく分けて3つの形態があり、ハードコート層が限界膜厚になるとマーカーの少なくとも一部が消失する実施形態1と、ハードコート層の減膜に伴ってマーカーの形状が変化する実施形態2と、ハードコート層が限界膜厚になるとマーカーの色が変化する実施形態3とがある。
(実施形態1−1)
図1に、本発明の実施形態1−1を示す。本実施形態1−1では、図1(a)に示すように、樹脂基材10上に形成されたハードコート層11の限界膜厚となる位置に小点状のマーカー20が存在している。詳しくは、樹脂基材10からマーカー20の下端までがほぼハードコート層11の限界膜厚tとなっている。ここでのマーカー20は、ハードコート層11内の所定位置にレーザ照射して熱変色ないし焼き付けることで形成している。このとき、マーカー20を形成する深さ位置は、レーザの焦点距離によって調節できる。
そのうえで、ハードコート層11が耐候劣化や傷消し研磨等によって減膜しても、マーカー20の存在を確認できる範囲であれば特に問題ない。しかし、さらに減膜が進行してハードコート層11が限界膜厚tとなると、図1(b)に示すように、マーカー20がハードコート層11と共に消失する。これにより、ハードコート層11が限界膜厚tにまで減膜していると判断することができ、ハードコート層11をリコートする必要性や傷消し研磨の終了タイミングを把握することができる。
(実施形態1−2)
マーカー20は、レーザ照射の他にも、予め別途形成しておいた小片状のマーカー体を、図1(a)に示すようにハードコート層の限界膜厚となる位置に浮かべた状態で埋設することもできる。この場合も、樹脂基材10からマーカー20の下端までがほぼハードコート層11の限界膜厚tとなっている。ここでのマーカー20は、樹脂製、金属製、木製、セラミック製など、特に材料は制限されない。必要に応じて目立つ色に着色しておくことも好ましい。形状としても、図1(a)に示すような球体のほか、棒状体、板状体、楕円球体、立方体、直方体、不定形状など、特に制限は無い。このような小片状のマーカー20をハードコート層11内へ埋設するには、ハードコート層用塗布液を樹脂基材10上に塗装した後にマーカーを20所定深さに埋設したうえで、ハードコート層11を硬化すればよい。
本実施形態1−2でも、ハードコート層11が耐候劣化や傷消し研磨等によって減膜しても、マーカー20の存在を確認できる範囲であれば特に問題ない。しかし、さらに減膜が進行してハードコート層11が限界膜厚t近くまでとなると、マーカー20がハードコート層11から脱落して消失する(図1(b))。これにより、ハードコート層11が限界膜厚tにまで減膜していると判断することができ、ハードコート層11をリコートする必要性や傷消し研磨の終了タイミングを把握することができる。
(実施形態1−3)
図2に、本発明の実施形態1−3を示す。本実施形態1−3では、図2(a)に示すように、ハードコート層11の限界膜厚tとほぼ同じ厚みのマーカー22を、ハードコート層11の底部に埋設している。この場合、樹脂基材10上に予めマーカー22を載置ないし貼着したうえで、ハードコート層11を形成するだけでよい。
ここでのマーカー22は水溶性材料からなり、必要に応じて着色している。水溶性材料としては、コーンスターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、プルラン、ニカワ、ゼラチンなどの天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化でんぷん、変性でんぷんなどの半合成ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドンなどの合成ポリマーなどが挙げられる。これらの水溶性材料は、一種のみを単独配合してもよいし、二種以上を混合して配合することもできる。
そのうえで、ハードコート層11が耐候劣化や傷消し研磨等によって減膜しても、マーカー22の存在を確認できる範囲であれば特に問題ない。しかし、さらに減膜が進行してハードコート層11が限界膜厚tとなると、マーカー22が外部に露呈される。すると、マーカー22が水分と反応することで、図2(b)に示すように、マーカー22が溶失する。これにより、ハードコート層11が限界膜厚tにまで減膜していると判断することができ、ハードコート層11をリコートする必要性や傷消し研磨の終了タイミングを把握することができる。
(実施形態2−1)
図3・4に、本発明の実施形態2−1を示す。本実施形態2−1では、図3(a)に示すように、ハードコート層11の膜厚方向に沿って断面積が変化する形状のマーカー23が埋設されている。ここでのマーカー23は、ハードコート層11と共に耐候劣化や研磨が進行するよう樹脂製となっている。ハードコート層11と共に耐候劣化や研磨が進行するような樹脂であれば、具体的材料は特に限定されず透明樹脂でも不透明樹脂でも構わないが、ハードコート層11と同種の樹脂を使用することが好ましい。必要に応じて目立つ色に着色しておくことが好ましい。ハードコート層11と同種の透明樹脂を使用する場合は、着色が必須である。
マーカー23は、少なくともハードコート層11の限界膜厚以上の厚み(高さ)を有し、ハードコート層11の底部に埋設されている。すなわち、樹脂基材10上に予めマーカー23を載置ないし貼着したうえで、ハードコート層11を形成することで埋設されている。本実施形態では、マーカー23の初期厚み(高さ)をハードコート層11の初期膜厚と同じにしている。そのうえで、マーカー23は、ハードコート層11の膜厚方向に沿って断面積が漸次変化する錐体状に形成されている。図3・4には円錐状のマーカー23として図示しているが、その他三角錐や四角錐等の多角錐としたり、断面視台形とすることもできる。
そのうえで、ハードコート層11が減膜していなければ、図4(a)に示すように、ハードコート層11の表面において確認できるマーカー23のサイズ(直径ないし面積)は小さい。しかし、耐候劣化や傷消し研磨等によってハードコート層11の減膜が進行すると、図3(b)・図4(b)に示すように、ハードコート層11の表面において確認できるマーカー23のサイズは徐々に大きくなっていく。ある程度マーカー23のサイズが大きくなってきたら、当該マーカー23の直径Wをノギスなどによって測定する。なお、ハードコート層11が限界膜厚となった時点でのマーカー23の基準サイズを予め把握しておく。そして、マーカー23のサイズが基準サイズと同等となったところで、ハードコート層11が限界膜厚にまで減膜していると判断することができる。これにより、ハードコート層11をリコートする必要性や傷消し研磨の終了タイミングを把握することができる。
(実施形態2−2)
図5・6に、本発明の実施形態2−2を示す。本実施形態2−2では、図5(a)に示すように、ハードコート層11内に棒状のマーカー24を膜厚方向に対して斜めに傾斜させて埋設している。ここでのマーカー24も、実施形態2−1と同様にハードコート層11と共に耐候劣化や研磨が進行するよう樹脂製となっている。また、樹脂基材10の表面には、マーカー24の見た目の長さ(ハードコート層11の表面から確認できる長さ)に対応した目盛り30が記されている。
マーカー24は、少なくともハードコート層11の限界膜厚以上の長さを有し、ハードコート層11の底部から斜めに立設するように埋設されている。当該マーカー24は、樹脂基材10上にハードコート層用塗布液を塗装した後にマーカー24を埋設したうえで、ハードコート層11を硬化させればよい。本実施形態では、マーカー24の初期長さをハードコート層11の初期膜厚において底面から表面に至る長さとしている。
そのうえで、ハードコート層11が減膜していなければマーカー24は十分な長さを有し、図6(a)に示すように、マーカー24の見た目の長さも長い。しかし、耐候劣化や傷消し研磨等によってハードコート層11の減膜が進行すると、図5(b)に示すように、マーカー24も同時に短くなっていく。すると、図6(b)に示すように、ハードコート層11の表面から確認できるマーカー24の見た目の長さも徐々に短くなっていく。このとき、マーカー24の見た目の長さは目盛り30によって確認することができる。なお、ハードコート層11が限界膜厚となった時点でのマーカー24の(見た目の)基準長さを予め把握しておく。そして、マーカー24の見た目の長さが基準長さと同等となったところで、ハードコート層11が限界膜厚にまで減膜していると判断することができる。これにより、ハードコート層11をリコートする必要性や傷消し研磨の終了タイミングを把握することができる。
(実施形態2−2の変形例)
なお、樹脂基材10に記す目盛りは、棒状マーカー24の見た目の長さを数値で表すほか、図7に示すように、単にハードコート層11が限界膜厚にまで減膜されたことを示す基準長さ位置に印を示すだけでもよい。また、目盛りは必ずしも必要なく、棒状マーカー24の見た目の長さをノギス等によって直接測定することもできる。
(実施形態3)
図8に、本発明の実施形態3を示す。本実施形態3では、図8(a)に示すように、ハードコート層11の限界膜厚tとほぼ同じ厚みのマーカー25を、ハードコート層11の底部に埋設している。この場合、樹脂基材10上に予めマーカー25を載置ないし貼着したうえで、ハードコート層11を形成するだけでよい。
ここでのマーカー25は、所定の厚みに形成するベース材料と共に、水分又は酸素と反応して変色する変色成分を有する。ベース材料としては、樹脂、金属、木材、セラミックスなどを特に制限無く使用できる。ベース材料が樹脂であれば、当該ベース材料に変色成分を混合配合することができる。他の材料であれば、所定の厚みに形成したマーカー25の表面に変色成分を塗布すればよい。
水分と反応して変色する変色成分としては、塩化コバルトなどが挙げられる。また、酸素と反応して変色する変色成分としては、ポリフェノール類、メチレンブルー、インジゴカーミン、銅,銀等の金属類などが挙げられる。これらの変色成分は、一種のみを単独配合してもよいし、二種以上を混合して配合することもできる。中でも、水分によって変色する変色成分と酸素によって変色する変色成分とを混用することが好ましい。
そのうえで、ハードコート層11が耐候劣化や傷消し研磨等によって減膜しても、マーカー25が変色していない範囲であれば特に問題ない。すなわち、ハードコート層11が限界膜厚tにまで減膜していなければ、マーカー25は初期色のままである。しかし、さらに減膜が進行してハードコート層11が限界膜厚tとなると、マーカー25が外部に露呈される。すると、変色成分が水分や酸素と反応することで、図8(b)に示すように、マーカー25が変色する。これにより、ハードコート層11が限界膜厚tにまで減膜していると判断することができ、ハードコート層11をリコートする必要性や傷消し研磨の終了タイミングを把握することができる。
10 樹脂基材
11 ハードコート層
20・22・23・24・25 マーカー
30・31 目盛り
t ハードコート層の限界膜厚
W マーカーの直径


Claims (9)

  1. 樹脂基材に形成された透明なハードコート層の限界膜厚判断構造であって、
    前記ハードコート層内に、前記ハードコート層の限界膜厚の判断基準となるマーカーを有し、
    前記ハードコート層が前記限界膜厚にまで減膜すると、前記マーカーの少なくとも一部が消失することを特徴とする、ハードコート層の限界膜厚判断構造。
  2. 前記マーカーは、前記ハードコート層の前記限界膜厚となる位置にレーザを照射することによって形成されている、請求項1に記載のハードコート層の限界膜厚判断構造。
  3. 前記マーカーは、前記ハードコート層の前記限界膜厚となる位置に埋設されている、請求項1に記載のハードコート層の限界膜厚判断構造。
  4. 前記マーカーは水溶性材料である、請求項1に記載のハードコート層の限界膜厚判断構造。
  5. 前記ハードコート層の減膜に伴って、前記マーカーの形状が変化する、請求項1に記載のハードコート層の限界膜厚判断構造。
  6. 前記ハードコート層の膜厚方向に沿って、前記マーカーの断面積が変化する、請求項5に記載のハードコート層の限界膜厚判断構造。
  7. 前記マーカーは、前記ハードコート層の膜厚方向に対して斜めに埋設された棒状マーカーである、請求項5に記載のハードコート層の限界膜厚判断構造。
  8. 前記樹脂基材の表面には、前記棒状マーカーの長さに対応した目盛りが記されている、請求項7に記載のハードコート層の限界膜厚判断構造。
  9. 樹脂基材に形成された透明なハードコート層の限界膜厚判断構造であって、
    前記ハードコート層内に、前記ハードコート層の限界膜厚の判断基準となるマーカーを有し、
    前記マーカーは、水分又は酸素と反応して変色する変色成分を有し、前記ハードコート層の前記限界膜厚となる位置に埋設されている、ハードコート層の限界膜厚判断構造。

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