JP5871574B2 - 塩基性悪臭物質吸収性不織布、及び塩基性悪臭物質の低減方法 - Google Patents
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Description
(1)目付1〜500g/m2、繊維径300nm〜100μm、及び空孔率50〜95%である前記の塩基性悪臭物質吸収性不織布。
(2)不織布を形成する繊維が、生分解性脂肪族ポリエステルのガラス転移温度+10℃以上である昇温結晶化温度と、5J/g以上である昇温結晶化熱量を有するものである前記の塩基性悪臭物質吸収性不織布。
(3)生分解性脂肪族ポリエステルが、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、またはそれらの混合物である前記の塩基性悪臭物質吸収性不織布。
(4)生分解性脂肪族ポリエステルが、ポリグリコール酸である前記の塩基性悪臭物質吸収性不織布。
(5)生分解性脂肪族ポリエステルが、末端封止剤を含有する前記の塩基性悪臭物質吸収性不織布。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布を構成する生分解性脂肪族ポリエステルは、グリコール酸及びグリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリド(GL)を含むグリコール酸類;乳酸及び乳酸の2分子間環状エステルであるラクチドを含む乳酸類;のほかに、シュウ酸エチレン(すなわち、1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等)、カーボネート類(例えばトリメチレンカーボネート等)、エーテル類(例えば1,3−ジオキサン等)、エーテルエステル類(例えばジオキサノン等)などの環状モノマー;3−ヒドロキシプロパン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール(ブチレングリコール)等の脂肪族ジオール類と、こはく酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸類またはそのアルキルエステル類との実質的に等モルの混合物;等の脂肪族エステルモノマー類の単独重合体、または共重合体が含まれる。具体的には、例えば、式:(−O−CHR−CO−)[Rは、水素原子またはメチル基である。]で表されるグリコール酸または乳酸繰り返し単位を50質量%以上有する生分解性脂肪族ポリエステルや、ポリラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。なかでも、グリコール酸または乳酸繰り返し単位を50質量%以上有する生分解性脂肪族ポリエステルが好ましい。具体的には、PGA、すなわちグリコール酸の単独重合体、若しくは、グリコール酸繰り返し単位を50質量%以上有する共重合体;ポリL−乳酸若しくはポリD−乳酸の単独重合体、L−乳酸若しくはD−乳酸の繰り返し単位を50質量%以上有する共重合体、または、これらの混合物等のPLA;さらには、PGAとPLAとの混合物;が好ましい。特に好ましいのは、塩基性悪臭物質吸収性に基づく優れた塩基性悪臭物質の低減性(以下、「悪臭低減性」ということがある。)と該悪臭低減性効果の持続性、生分解性、耐熱性及び機械的強度の観点から、PGAまたはPLAである。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布を構成するPGAとして、特に好ましく用いられるPGAは、式:(−O−CH2−CO−)で表されるグリコール酸繰り返し単位のみからなるグリコール酸のホモポリマー(グリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリド(GL)の開環重合物を含む)に加えて、上記グリコール酸繰り返し単位を50質量%以上含むPGA共重合体を含むものである。
開環重合によってPGAを形成するグリコリドは、ヒドロキシカルボン酸の1種であるグリコール酸の2分子間環状エステルである。グリコリドの製造方法は、特に限定されないが、一般的には、グリコール酸オリゴマーを熱解重合することにより得ることができる。グリコール酸オリゴマーの熱解重合法として、例えば、溶融解重合法、固相解重合法、溶液解重合法などを採用することができ、また、クロロ酢酸塩の環状縮合物として得られるグリコリドも用いることができる。なお、所望により、グリコリドとしては、グリコリド量の20質量%を限度として、グリコール酸を含有するものを使用することができる。
グリコリドとの共重合成分として使用することができる他の環状モノマーとしては、ラクチドなど他のヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステルの外、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等)、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキサンなどの環状モノマーを使用することができる。好ましい他の環状モノマーは、他のヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステルであり、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、L−乳酸、D−乳酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、及びこれらのアルキル置換体などを挙げることができる。特に好ましい他の環状モノマーは、乳酸の2分子間環状エステルであるラクチドであり、L体、D体、ラセミ体、これらの混合物のいずれであってもよい。
グリコリドの開環重合または開環共重合(以下、総称して、「開環(共)重合」ということがある。)は、好ましくは、少量の触媒の存在下に行われる。触媒は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化錫(例えば、二塩化錫、四塩化錫など)や有機カルボン酸錫(例えば、2−エチルヘキサン酸錫などのオクタン酸錫)などの錫系化合物;アルコキシチタネートなどのチタン系化合物;アルコキシアルミニウムなどのアルミニウム系化合物;ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム系化合物;ハロゲン化アンチモン、酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物;などがある。触媒の使用量は、環状エステルに対して、質量比で、好ましくは1〜1,000ppm、より好ましくは3〜300ppm程度である。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布を構成するPGAの重量平均分子量(Mw)は、2万以上であり、通常2〜100万の範囲内にあるものが好ましく、より好ましくは5〜80万、更に好ましくは7〜60万、特に好ましくは10〜40万の範囲内にあるものを選択する。PGAの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置を使用して求めたものである。具体的には、PGA試料を、トリフルオロ酢酸ナトリウムを所定の濃度で溶解させたヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解させた後、メンブレンフィルターでろ過して試料溶液を得て、この試料溶液をGPC分析装置に注入して分子量を測定した結果から、重量平均分子量(Mw)を算出する。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布を構成するPGAの数平均分子量(Mn)は、通常1〜30万の範囲内にあるものが好ましく、より好ましくは2〜25万、更に好ましくは3〜20万、特に好ましくは4〜15万の範囲内にあるものを選択する。PGAの数平均分子量(Mn)は、重量平均分子量(Mw)と同じくGPC分析装置を使用して求めたものである。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布を構成する生分解性脂肪族ポリエステルの溶融粘度は、融点(Tm)+50℃の温度、及び、せん断速度122sec−1の条件下で測定した溶融粘度が300〜900Pa・sの範囲であり、好ましくは320〜870Pa・s、より好ましくは350〜850Pa・s、更に好ましくは400〜820Pa・s、特に好ましくは450〜800Pa・sの範囲である。生分解性脂肪族ポリエステルがPGAである場合、最も好ましくは500〜750Pa・sの範囲である。生分解性脂肪族ポリエステルの溶融粘度が小さすぎると、PGA繊維等の生分解性脂肪族ポリエステル繊維の強度や、PGAから形成する不織布(以下、「PGA不織布」ということがある。同様に、PLAから形成する不織布を「PLA不織布」ということがある。)等の不織布の強度が不足し、水の存在下で、塩基性悪臭物質と接触させる塩基性悪臭物質の低減方法において利用可能な期間が短くなり、頻繁に不織布を交換したり廃棄したりすることが必要となることがある。また、生分解性脂肪族ポリエステルの溶融粘度が大きすぎると、生分解性脂肪族ポリエステルの繊維を得ることが困難となって、該繊維により形成される不織布が、塩基性悪臭物質吸収性に基づく所期の悪臭低減性及びその持続性と生分解性とを有することが困難となることがある。生分解性脂肪族ポリエステルの溶融粘度の測定温度は、該生分解性脂肪族ポリエステルの融点(Tm)+50℃の温度であるので、溶融粘度の測定温度は、例えば、PGAでは、概ね245〜295℃程度、PLAでは、概ね195〜240℃程度である。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布を構成する生分解性脂肪族ポリエステルの融点(Tm)は、特に限定がないが、例えば、PGAの融点(Tm)は、通常197〜245℃であり、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、共重合成分の種類及び含有割合等によって調整することができる。PGAの融点(Tm)は、好ましくは200〜240℃、より好ましくは205〜235℃、特に好ましくは210〜230℃である。PGAの単独重合体の融点(Tm)は、通常220℃程度である。生分解性脂肪族ポリエステルの融点(Tm)が低すぎると、不織布の耐熱性や強度が不十分となることがある。融点(Tm)が高すぎると、加工性が不足したり、不織布の形成を十分制御できなかったりして、得られるPGA不織布の悪臭低減性及びその持続性と生分解性が所望の範囲のものとならないことがある。PGAの融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気中で求めたものである。具体的には、試料PGAを、窒素雰囲気中、20℃/分の昇温速度で、室温から融点(Tm)+60℃付近の温度まで加熱する昇温過程で検出される、結晶溶融に伴う吸熱ピークの温度を意味する。該吸収ピークが複数みられる場合には、吸熱ピーク面積が最も大きいピークを融点(Tm)とする。なお、試料PGAとしては、PGAペレット、粒体、粉状体等を用いるのが通常であるが、PGA不織布を形成するPGA繊維を試料としてもよい。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布を構成するPGAのガラス転移温度(Tg)は、通常25〜60℃であり、好ましくは30〜50℃、より好ましくは35〜45℃である。PGAのガラス転移温度(Tg)は、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、共重合成分の種類及び含有割合等によって調整することができる。PGAのガラス転移温度(Tg)は、融点(Tm)の測定と同様に、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気中で求めたものである。具体的には、試料PGAを、窒素雰囲気中、20℃/分の昇温速度で、室温から融点(Tm)+60℃付近の温度まで加熱する昇温過程で検出される、ガラス状態からゴム状態への転移領域に相当する二次転移領域における熱量の二次転移の開始温度をガラス転移点(Tg)とする。ガラス転移温度(Tg)が低すぎると、得られるPGA不織布表面が過度に軟化し、不織布の空孔率を所定の範囲内に制御することが困難となることがある。ガラス転移温度(Tg)が高すぎると、成形性が悪くなることがある。ガラス転移温度(Tg)を測定するための試料は、融点(Tm)と同様である。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、生分解性脂肪族ポリエステルから得られる繊維により形成される不織布であり、具体的には、生分解性脂肪族ポリエステルから得られる生分解性脂肪族ポリエステル繊維を主成分として含有し、該繊維により形成される不織布であって、生分解性脂肪族ポリエステル繊維を、50質量%以上含有する不織布である。生分解性脂肪族ポリエステル繊維を、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上含有する不織布であり、生分解性脂肪族ポリエステル繊維のみから形成された不織布でもよい。本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、生分解性脂肪族ポリエステル繊維以外の繊維等を、50質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下含有することができるが、生分解性脂肪族ポリエステル繊維以外の繊維等を含有しなくてもよい。生分解性脂肪族ポリエステル繊維以外の繊維等としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維等の周知の繊維でもよいし、低温融着性の繊維等が挙げられる。しかし、生分解性脂肪族ポリエステル繊維の含有量が少なすぎると、生分解性や加水分解性が小さくなる結果、環境負荷が大きくなり、また、悪臭低減性が十分でないことがある。本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、好ましくはPGA不織布、PLA不織布またはPGAとPLAとの混合不織布である。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、(a)目付が、好ましくは1〜500g/m2、より好ましくは2〜400g/m2、更に好ましくは3〜300g/m2、特に好ましくは4〜200g/m2の範囲である。不織布の目付は、JIS−L−1096に準じて測定する。不織布の目付が、1g/m2より小さいと、不織布の強度が不足したり、水の存在下で、塩基性悪臭物質と接触させる塩基性悪臭物質の低減方法において利用可能な期間が短くなり、頻繁に不織布を交換したり廃棄したりすることが必要となることがある。また、不織布が薄すぎる結果、悪臭低減性能が不十分となることがある。不織布の目付が、500g/m2より大きいと、重すぎて取り扱い性が不十分となったり、使用後の不織布の生分解または加水分解に長時間を要したりすることがある。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布の厚みは、特に限定されないが、好ましくは50〜1000μm、より好ましくは70〜700μm、更に好ましくは100〜500μmの範囲である。不織布の厚みが小さすぎると、不織布の強度が不足し、また使用期間が短すぎることがある。不織布の厚みが大きすぎると、不織布全体に亘る繊維間隙への塩基性悪臭物質の浸入が不十分となる可能性がある。不織布の厚みは、JIS L1096に準じて、荷重0.7kPaで測定したものである。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、(b)繊維径が、好ましくは300nm〜100μm、より好ましくは500nm〜70μm、更に好ましくは800nm〜50μm、特に好ましくは1〜30μmの範囲である。不織布の繊維径が、300nm未満であると、不織布が高密度化して、不織布全体に亘る繊維間隙に塩基性悪臭物質が進入できない結果、不織布全体としての塩基性悪臭物質吸収性に基づく悪臭低減性が不十分となったりすることがある。繊維径が、100μm超であると、不織布が過度に粗く、繊維と塩基性悪臭物質との接触頻度が減少するため、場合によっては、塩基性悪臭物質が不織布の繊維間隙を通過してしまう結果、不織布全体としての塩基性悪臭物質吸収性に基づく悪臭低減性が不十分となることがある。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、(c)空孔率が、好ましくは50〜95%、より好ましくは60〜94%、更に好ましくは70〜93%、特に好ましくは80〜92%の範囲である。不織布等の空孔率が50%未満であると、表面積が減少し、塩基性悪臭物質と生分解性脂肪族ポリエステル繊維の接触面積が減少するため、塩基性悪臭物質吸収性に基づく所期の悪臭低減性を有しなかったり、場合によっては、不織布全体としての悪臭低減性が不十分となったりすることがある。不織布の空孔率が95%超であると、不織布の強度が低下したり、水の存在下で、塩基性悪臭物質と接触させる塩基性悪臭物質の低減方法において利用可能な期間が短くなり、頻繁な交換や廃棄が必要となったりすることがある。不織布の空孔率は、縦10cm×横10cmの大きさに切り出した試料不織布の質量を測定し(W1)、これをパーフルオロポリエステル試液(Porous Materials 社製の商品名「Galwick」)に5分間浸漬し、次いで試液から試料不織布を取り出して1分間液切りした後の質量を測定(W2)し、以下の式より算出して求めたものである。
空孔率(%)=(((W2−W1)/ρ2)/((W2−W1)/ρ2+W1/ρ1))×100
ただし、ρ1:生分解性脂肪族ポリエステルの密度(PGAの場合は、1.53g/cm3)、ρ2:パーフルオロポリエステル試液の密度(=1.8g/cm3)。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布においては、該不織布を形成する生分解性脂肪族ポリエステル繊維の昇温結晶化温度(TC1)が、生分解性脂肪族ポリエステルのガラス転移温度+10℃以上、より好ましくは該ガラス転移温度+15℃以上、多くの場合、該ガラス転移温度+65℃以下の範囲にみられるものとすると、悪臭低減性及びその効果の持続性と生分解性とをバランスよく有することができる。具体的な昇温結晶化温度(TC1)の範囲としては、PGA不織布の場合、PGA繊維の昇温結晶化温度(TC1)は、概ね45〜120℃の範囲の温度であることが好ましく、より好ましくは50〜110℃、更に好ましくは55〜100℃の範囲である。昇温結晶化温度(TC1)は、融点(Tm)等の測定と同様に、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気中で求めたものである。具体的には、試料PGAを、窒素雰囲気中、20℃/分の昇温速度で、室温から融点(Tm)+60℃付近まで加熱する昇温過程において、結晶化に伴う発熱ピークが検出される場合の該発熱ピークの温度を意味する。昇温結晶化温度(TC1)の調整は、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重合成分の種類や量、さらには、不織布を製造するときの温度条件や加熱冷却条件などを適宜選択することなどにより行うことができる。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布においては、該不織布を形成する生分解性脂肪族ポリエステル繊維が、前記の昇温結晶化温度(TC1)の好ましい範囲に加えて、示差走査熱量計による昇温過程で検出される結晶化に伴う発熱量として算出される昇温結晶化熱量(ΔHTC1)が5J/g以上のものであると、悪臭低減性及びその持続性と生分解性とをバランスよいものとすることができる。昇温結晶化熱量(ΔHTC1)は、前記した昇温結晶化温度(TC1)近傍の発熱ピーク面積〔通常は、昇温結晶化温度(TC1)±20℃の範囲内の面積〕を積算して算出されるものである。昇温結晶化熱量(ΔHTC1)が5J/g以上である生分解性脂肪族ポリエステルから得られる不織布は、非晶部が所定量以上存在し、非晶部の度合いが大きい不織布であって、通常、悪臭低減性能が向上する。したがって、塩基性悪臭物質吸収性不織布の悪臭低減性能をより発揮させるためには、生分解性脂肪族ポリエステル繊維の結晶性を低くすることが好ましい。一方、塩基性悪臭物質吸収性不織布の形状や強度その他の物性を維持するためには結晶性を高くすることが好ましい場合がある。なお、熱処理した不織布や、スパンボンド不織布など、昇温結晶化温度(TC1)が存在しない不織布の場合は、昇温結晶化熱量(ΔHTC1)は存在せず、0J/gである。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、実質的に消臭剤を含有しなくても、悪臭低減性及びその持続性と、生分解性とに優れた不織布である。
悪臭低減性は、以下の方法によって測定する。
悪臭低減性の測定に使用する試験片は、塩基性悪臭物質吸収性不織布等のサンプルから縦10cm×横10cmの大きさに切り出した後、99%エタノールで清浄化することによって調製する。
容積50cm3のバイアル瓶中に、縦10cm×横10cmの試験片を、ガラス棒等の支柱に吊した状態で静置し、塩基性悪臭物質の水溶液30μLを、前記試験片に触れないようにして投入した後、密封し、温度100℃で1分間保持して、塩基性悪臭物質を気化させる。次いで、バイアル瓶を、温度23℃、相対湿度50%で保存し、所定の時間経過ごとに、バイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングして、ガスクロマトグラフィーを使用して、塩基性悪臭物質の濃度(μg/cm3)を測定する。なお、試験中は、試験片が、塩基性悪臭物質の水溶液に触れないように留意する。塩基性悪臭物質としては、トリメチルアミンの30%水溶液、または、25%アンモニア水を使用することにより、水の存在下で、試験片を気化した塩基性悪臭物質と接触させるようにする。ガスクロマトグラフィーによる塩基性悪臭物質の濃度の測定条件は下記のとおりとする。
ガスクロマトグラフィー:株式会社島津製作所製GC−2014 検出器TCD
使用カラム:Chromosorb 103 60/80 3φ×3m ガラスカラム
流量:30ミリリットル/分
電流:120A
カラム温度:80℃
インジェクション温度:180℃
注入量:ヘッドスペースガス1ml
容積20cm3のバイアル瓶の底に、縦10cm×横10cmの試験片を静置し、塩基性悪臭物質の水溶液10mLを投入して、前記の試験片を該水溶液に浸漬させた後、密封する。次いで、バイアル瓶を、温度23℃、相対湿度50%で保存し、所定の時間経過ごとに、バイアル瓶中の液体をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーを使用して、塩基性悪臭物質の濃度(μg/cm3)を測定する。塩基性物質としては、10倍に希釈した25%アンモニア水を使用することにより、水の存在下で、試験片を塩基性悪臭物質と接触させるようにする。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、種々の方法により、水の存在下で、塩基性悪臭物質と接触させる塩基性悪臭物質の低減方法に適用することができる。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布が、吸収し低減させることができる塩基性悪臭物質としては、屎尿、ペット、汗、靴下等から発生するアンモニア、生ゴミ、下水、釣りえさ等から発生するトリメチルアミン、メチルアミン、エチルアミン等の低級アミンや、ワキガ、足のにおいとして知られるイソ吉草酸、加齢臭として知られるノネナールなどが挙げられる。本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布の塩基性悪臭物質の吸収低減効果は、該塩基性悪臭物質のうち、アンモニア及びトリメチルアミンについて、いずれに対しても低減効果があることを確認することによって行う。したがって、アンモニアまたはトリメチルアミンの一方または両方に対して、低減効果がみられない不織布等は、塩基性悪臭物質吸収性があるとはいえない。
本発明の塩基性悪臭物質の低減方法は、塩基性悪臭物質吸収性不織布を、水の存在下で、塩基性悪臭物質と接触させることによって行う塩基性悪臭物質の低減方法である。本発明の塩基性悪臭物質の低減方法において、存在させる水の形態としては、液体状であってもよく、気体状(水蒸気)であってもよい。また、塩基性悪臭物質を含む内容物に含まれる水分であってもよく、塩基性悪臭物質の水溶液または水性分散液に含まれる水であってもよい。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、ボトルやカップなどのような容器形状に立体加工して使用することもできる。また、生分解性を損なわない限り、他の樹脂層またはその他の層と積層したり、一体化させたりして使用することができる。例えば、本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布であるPGA不織布とPLA不織布とを積層して使用することもできる。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、優れた生分解性を有するものである。具体的には、該不織布を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、不織布等の試料の状態を目視で観察するとき、約50%以上が分解しており、該不織布の端をピンセットでつかんで取り出すことができない程度の生分解性を有するものである。塩基性悪臭物質吸収性不織布の生分解性の程度は、生分解性脂肪族ポリエステルの組成や溶融粘度、不織布を形成する生分解性脂肪族ポリエステル繊維の昇温結晶化温度または昇温結晶化熱量、不織布の目付、繊維径または空孔率などを選択することによって調整することができる。
本発明の塩基性悪臭物質吸収性不織布は、融点(Tm)+50℃の温度、及び、せん断速度122sec−1の条件下で測定した溶融粘度が300〜900Pa・sである生分解性脂肪族ポリエステルから不織布を形成することができる限り、その製造方法は特に限定されない。通常知られている不織布の製造方法を採用することができ、メルトブロー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、水流または気流による3次元交絡法など、それ自体公知の不織布の製造方法を採用することができる。更には抄紙法による不織布の製造方法も採用することができる。なお、融点(Tm)+50℃の温度、及び、せん断速度122sec−1の条件下で測定した溶融粘度を、調湿処理や熱処理により、調節してもよい。
PGA等の生分解性脂肪族ポリエステルの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC分析装置を用いて、以下の条件で行った。トリフルオロ酢酸ナトリウムを5mMの濃度で溶解したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に、PGA等の生分解性脂肪族ポリエステル試料10mgを溶解させて10mLとした後、メンブレンフィルターでろ過して試料溶液を得て、この試料溶液10μLをGPC分析装置に注入して、下記の測定条件で分子量を測定することによって求めた。
装置:昭和電工株式会社製GPC104
カラム:昭和電工株式会社製HFIP−806M 2本(直列接続)+プレカラム:HFIP−LG 1本
カラム温度:40℃
溶離液:トリフルオロ酢酸ナトリウムを5mMの濃度で溶解させたHFIP溶液
検出器:示差屈折率計
分子量校正:分子量の異なる標準分子量のポリメタクリル酸メチル5種(Polymer laboratories Ltd.製)を用いて作成した分子量の検量線データを使用
生分解性脂肪族ポリエステルの溶融粘度は、キャピラリー(1mmφ×10mmL)を装着した株式会社東洋精機製作所製「キャピログラフ1−C」を用いて測定した。生分解性脂肪族ポリエステルの融点(Tm)+50℃である設定温度に加熱した装置に、生分解性脂肪族ポリエステル試料20gを導入し、5分間保持した後、せん断速度122sec−1での溶融粘度を測定した。
生分解性脂肪族ポリエステルの試料10mgを、示差走査熱量計(DSC;株式会社島津製作所製DSC−60)を使用して、窒素雰囲気中、20℃/分の昇温速度で、室温から融点(Tm)+60℃付近の温度まで加熱昇温するときの、昇温過程で検出される吸熱ピークから、融点(Tm)を検出し、昇温過程で検出されるガラス状態からゴム状態への転移領域に相当する二次転移領域における熱量の二次転移の開始温度から、ガラス転移温度(Tg)を検出した。融点(Tm)が複数みられる場合には、吸熱ピーク面積が最も大きいピークの温度を融点(Tm)とした。
不織布を形成する生分解性脂肪族ポリエステル繊維試料10mgを、前記示差走査熱量計を使用して、窒素雰囲気中、20℃/分の昇温速度で、室温から融点(Tm)+60℃付近の温度まで加熱昇温するときの、昇温過程において、結晶化に伴う発熱ピークが検出される場合の該発熱ピークの温度を昇温結晶化温度(Tc1)とした。また、該昇温結晶化温度(TC1)±20℃の範囲内の発熱ピーク面積を積算して、昇温結晶化熱量(ΔHTC1)を算出した。
不織布の目付は、JIS−L−1096に準じて測定した。
不織布の厚みは、JIS L1096に準じて、荷重0.7kPaで測定した。
不織布の繊維径は、不織布の幅方向、長手方向に重ならないように、10箇所の繊維をサンプリングし、1000倍に拡大した電子顕微鏡写真から繊維径をサンプル1箇所について10点測定して、合計100点の平均値を平均繊維径とし、不織布の繊維径とした。
不織布の空孔率は、縦10cm×横10cmの大きさに切り出した不織布試料の質量を測定し(W1)、これをパーフルオロポリエステル試液(Porous Materials 社製の商品名「Galwick」)に5分間浸漬し、次いで試液から不織布試料を取り出して1分間液切りした後の質量を測定(W2)し、以下の式より算出して求めた。
空孔率(%)=(((W2−W1)/ρ2)/((W2−W1)/ρ2+W1/ρ1))×100
ただし、ρ1:生分解性脂肪族ポリエステルの密度(PGAの場合は、1.53g/cm3)、ρ2:パーフルオロポリエステル試液の密度(=1.8g/cm3)。
塩基性悪臭物質吸収性不織布等の悪臭低減性は、以下の方法によって測定した。
悪臭低減性の測定に使用する試験片は、塩基性悪臭物質吸収性不織布等のサンプルから縦10cm×横10cmの大きさに切り出した後、99%エタノールで清浄化することによって調製した。
容積50cm3のバイアル瓶中に、縦10cm×横10cmの前記試験片を、ガラス棒等の支柱に吊した状態で静置し、塩基性悪臭物質の水溶液30μLを、前記試験片に触れないようにして投入した後、密封し、温度100℃で1分間保持して、塩基性悪臭物質を気化させた。次いで、バイアル瓶を、温度23℃、相対湿度50%で保存し、所定の時間経過ごとに、バイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングして、ガスクロマトグラフィーを使用して、塩基性悪臭物質の濃度(μg/cm3)を測定した。なお、試験中は、試験片が、塩基性悪臭物質の水溶液に触れないように留意した。塩基性悪臭物質としては、トリメチルアミンの30%水溶液、または、25%アンモニア水を使用することにより、水の存在下で、試験片を、気化した塩基性悪臭物質と接触させるようにした。ガスクロマトグラフィーによる塩基性悪臭物質の濃度の測定条件は下記のとおりとした。
ガスクロマトグラフィー:株式会社島津製作所製GC−2014 検出器TCD
使用カラム:Chromosorb 103 60/80 3φ×3m ガラスカラム
流量:30ミリリットル/分
電流:120A
カラム温度:80℃
インジェクション温度:180℃
注入量:ヘッドスペースガス1ml
容積20cm3のバイアル瓶の底に、前記の試験片を静置し、塩基性悪臭物質の水溶液10mLを投入した後、密封した。次いで、バイアル瓶を、温度23℃、相対湿度50%で保存し、所定の時間経過ごとに、バイアル瓶中の液体をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーを使用して、塩基性悪臭物質の濃度(μg/cm3)を測定した。塩基性物質としては、10倍に希釈した25%アンモニア水を使用することにより、水の存在下で、試験片を塩基性悪臭物質と接触させるようにした。
塩基性悪臭物質吸収性不織布等の生分解性は、縦10cm×横10cmの大きさに切り出した不織布等の試料を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、不織布等の試料の状態を目視で観察した。
〔PGA不織布の製造〕
ペレット状のPGA(株式会社クレハ製、Mw:16万、Mn:8万、溶融粘度(温度270℃、せん断速度122sec−1で測定):607Pa・s、融点:220℃、ガラス転移温度:43℃)100質量部に、カルボキシル基末端封止剤としてN,N−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(川口化学工業株式会社製)0.3質量部、及び、熱安定剤としてリン酸のモノステアリルエステル及びジステアリルエステルのほぼ等モル混合物〔株式会社ADEKA製のアデカスタブ(登録商標)AX−71〕0.02質量部を添加したPGA組成物を、押出機で溶融混合し、紡糸口金を持つダイから吐出し、延伸した繊維をベルトコンベア上で集積することによってメルトブローPGA不織布を製造した。その際、吐出量とベルトコンベアの速度を調整することにより積層量を制御し、目付15g/m2、厚み130μmのPGA不織布を調製した。不織布の繊維径は4.4μm、空孔率は91%であった。この不織布を構成するPGA繊維のTc1は、86℃、ΔHTC1は、33J/gであった。
製造した不織布から縦10cm×横10cmの大きさに切り出して、99%エタノールで清浄化して試験片を調製した。この試験片を、バイアル瓶の底に静置して、気体状の塩基性悪臭物質及び液体状の塩基性悪臭物質について、悪臭低減性の測定を行った。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して調製した試験片を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、不織布試験片の状態を目視で観察したところ、80%分解しており、該PGA不織布試験片の端をピンセットでつかんで取り出そうとしたところ、崩れてしまって取り出すことができなかった。
〔PGA不織布の製造〕
実施例1において調製したメルトブロー不織布に代えて、実施例1で使用したPGA組成物を用いて、ダイの構成を変更し、吐出量とベルトコンベア速度の調整により積層量を制御することによって、目付24g/m2、厚み75μm、繊維径5.4μm、空孔率82%であるPGAのメルトブロー不織布を調製した。この不織布を構成するPGA繊維のTc1は、82℃、ΔHTC1は、21J/gであった。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して、99%エタノールで清浄化して試験片を調製した。この試験片を用いて、塩基性悪臭物質として、気体状のトリメチルアミンについて、悪臭低減性の測定を行った。悪臭低減性の測定結果を表1に示す。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して調製した試験片を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、不織布の状態を目視で観察したところ、75%分解しており、該PGA不織布の端をピンセットでつかんで取り出そうとしたところ、崩れてしまって取り出すことができなかった。
〔PGA不織布の製造〕
実施例1において調製したメルトブロー不織布に代えて、実施例1で使用したPGA組成物を用いて、ダイの構成を変更し、吐出量とベルトコンベア速度の調整により積層量を制御することによって、目付106g/m2、厚み450μm、繊維径7.8μm、空孔率92%であるPGAのメルトブロー不織布を調製した。この不織布を構成するPGA繊維のTc1は、77℃、ΔHTC1は、33J/gであった。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して、99%エタノールで清浄化して試験片を調製した。この試験片を用いて、塩基性悪臭物質として、気体状のトリメチルアミンについて、悪臭低減性の測定を行った。悪臭低減性の測定結果を表1に示す。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して調製した試験片を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、不織布の状態を目視で観察したところ、65%分解しており、該PGA不織布の端をピンセットでつかんで取り出そうとしたところ、崩れてしまって取り出すことができなかった。
〔PGA不織布の製造−熱処理〕
実施例1において調製したメルトブロー不織布を固定した状態で、100℃に設定したギアオーブンに30分間入れることで熱処理を行った。この不織布は、目付15g/m2、厚み120μmであり、繊維径4.5μm、空孔率90%であった。この不織布を形成するPGA繊維は、Tc1が検出されなかった(ND。したがって、ΔHTC1は、0J/gであった。)。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して、99%エタノールで清浄化して試験片を調製した。この試験片を用いて、塩基性悪臭物質として、気体状のトリメチルアミンについて、悪臭低減性の測定を行った。悪臭低減性の測定結果を表1に示す。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して調製した試験片を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、不織布の状態を目視で観察したところ、70%分解しており、該PGA不織布の端をピンセットでつかんで取り出そうとしたところ、崩れてしまって取り出すことができなかった。
〔PGA不織布の製造〕
実施例1において調製したメルトブロー不織布に代えて、融点(Tm)+50℃の温度、及び、せん断速度122sec−1の条件下で測定した溶融粘度が352Pa・sであるPGA(融点:220℃)を含有するPGA組成物を用いて、目付88g/m2、厚み390μm、繊維径16.4μm、空孔率87%であるPGAのスパンボンド不織布を調製した。この不織布を形成するPGA繊維は、Tc1が検出されなかった(ND。したがって、ΔHTC1は、0J/gであった。)。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して、99%エタノールで清浄化して試験片を調製した。この試験片を用いて、塩基性悪臭物質として、気体状のトリメチルアミンについて、悪臭低減性の測定を行った。悪臭低減性の測定結果を表1に示す。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して調製した試験片を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、不織布の状態を目視で観察したところ、70%分解しており、該PGA不織布の端をピンセットでつかんで取り出そうとしたところ、崩れてしまって取り出すことができなかった。
〔PGAフィルムの製造〕
実施例1で使用したペレット状のPGA(カルボキシル基末端封止剤及び熱安定剤を添加)を押出機で溶融押出した後、二軸延伸(MD方向3倍、TD方向2.5倍)して、厚み20μmのPGAフィルムを製造した。このPGAフィルムは、昇温結晶化温度(Tc1)が検出されなかった(ND。したがって、ΔHTC1は、0J/gであった。)。
製造した二軸延伸PGAフィルムから所定の大きさに切り出して、99%エタノールで清浄化して試験片を調製した。この試験片を用いて、塩基性悪臭物質として、気体状のトリメチルアミンについて、悪臭低減性の測定を行った。悪臭低減性の測定結果を表1に示す。
製造した二軸延伸PGAフィルムから所定の大きさに切り出して調製した試験片を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、PGAフィルム試験片の状態を目視で観察したところ、75%分解しており、該PGAフィルム試験片の端をピンセットでつかんで取り出そうとしたところ、崩れてしまって取り出すことができなかった。
〔PLA不織布の製造〕
実施例1で使用したペレット状のPGAに代えて、ペレット状のPLA(ネイチャーワークス社製の「Ingeo」(登録商標)4032D、Mw:18万、Mn:8万、溶融粘度(温度225℃、せん断速度122sec−1で測定):505Pa・s(調湿処理により溶融粘度を調整した。)、融点:175℃、ガラス転移温度:58℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして(すなわち、カルボキシル基末端封止剤及び熱安定剤を添加している。)、メルトブローPLA不織布を製造した。得られた不織布は、目付15g/m2、厚み82μmであり、不織布の繊維径は4.5μm、空孔率は87%であった。この不織布を構成するPLA繊維のTc1は、110℃、ΔHTC1は、22J/gであった。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して、99%エタノールで清浄化して試験片を調製した。この試験片を用いて、塩基性悪臭物質として、気体状のトリメチルアミンについて、悪臭低減性の測定を行った。悪臭低減性の測定結果を表1に示す。
製造した不織布から所定の大きさに切り出して調製した試験片を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、不織布試験片の状態を目視で観察したところ、50%分解しており、該PGA不織布試験片の端をピンセットでつかんで取り出そうとしたところ、崩れてしまって取り出すことができなかった。
〔PLAフィルムの製造〕
実施例6で使用したペレット状のPLA(カルボキシル基末端封止剤及び熱安定剤を添加)を押出機で溶融押出した後、二軸延伸(MD方向3倍、TD方向2.5倍)して、厚み20μmのPLAフィルムを製造した。このPGAフィルムは、昇温結晶化温度(Tc1)が検出されなかった(ND。したがって、ΔHTC1は、0J/gであった。)。
製造した二軸延伸PLAフィルムから所定の大きさに切り出して、99%エタノールで清浄化して試験片を調製した。この試験片を用いて、塩基性悪臭物質として、気体状のトリメチルアミンについて、悪臭低減性の測定を行った。悪臭低減性の測定結果を表1に示す。
製造した二軸延伸PLAフィルムから所定の大きさに切り出して調製した試験片を、25℃に温度を保った土壌中に埋設し、3か月後に掘り出して、PLAフィルム試験片の状態を目視で観察したところ、45%分解しており、該PLAフィルム試験片の端をピンセットでつかんで取り出そうとしたところ、崩れてしまって取り出すことができなかった。
Claims (4)
- 融点(Tm)+50℃の温度、及び、せん断速度122sec−1の条件下で測定した溶融粘度が300〜900Pa・sであるポリグリコール酸から得られる繊維により形成される塩基性悪臭物質吸収性不織布であって、
前記繊維が、ポリグリコール酸のガラス転移温度+10℃以上である昇温結晶化温度と、5J/g以上である昇温結晶化熱量を有するものであることを特徴とする塩基性悪臭物質吸収性不織布。 - 目付1〜500g/m2、繊維径300nm〜100μm、及び空孔率50〜95%である請求項1記載の塩基性悪臭物質吸収性不織布。
- 前記ポリグリコール酸が、末端封止剤を含有する請求項1または2記載の塩基性悪臭物質吸収性不織布。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塩基性悪臭物質吸収性不織布を、水の存在下で、塩基性悪臭物質と接触させることを特徴とする塩基性悪臭物質の低減方法。
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