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JP5873071B2 - 陽極触媒体の製造方法およびオゾン発生用電解セルの製造方法 - Google Patents
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JP5873071B2 - 陽極触媒体の製造方法およびオゾン発生用電解セルの製造方法 - Google Patents

陽極触媒体の製造方法およびオゾン発生用電解セルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オゾン発生用電解セルに用いられる陽極触媒体およびその関連技術に関する。
水を電解するための装置として、陽イオン交換膜の一方の面に陽極を密着させ、他方の面に陰極を密着させた、所謂ゼロギャップ方式の電解セルを利用したものがある。ゼロギャップ方式の電解セルは、液相を通電しないので電解電圧を低くすることができること、導電性が低いために通常の電解方法では電解できない純水の直接電解が可能であること、電解セルのコンパクト化が容易であることから、酸素・水素発生用水電解装置、電解オゾン発生装置、さらにはガス電極を利用した電解装置等に広く利用されている。
かかる電解セルに用いられる電極構造としては、電解性能の向上や安定性を目的として、集電体または基体の表面に電極触媒を一体に積層したものが知られている(特許文献1、2、3参照)。
特許文献1に記載された陽極は、チタン等のバルブ金属またはその合金基体上に電極触媒体としてα−二酸化鉛層およびβ−二酸化鉛層の2層の二酸化鉛層を形成したものである。これらの二酸化鉛層は電解めっき処理によって形成されたものであり、α−二酸化鉛層形成用には水酸化ナトリウム水溶液に酸化鉛を溶解させためっき液が用いられ、β−二酸化鉛層形成用には硝酸鉛水溶液が用いられる。
特許文献2は二酸化鉛含有膜状電極材料の製造方法を開示している。前記二酸化鉛含有膜状体は以下の工程を経て作製される。まず、四酸化三鉛粉末およびバインダとしてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を液状潤滑剤とともに混練してペーストを調製し、このペーストを膜状に成形して加熱して液状潤滑剤を除去し、要すればさらに焼成して多孔質の膜状体とする。そして、前記膜状体を酸処理して四酸化三鉛を二酸化鉛と易溶性鉛(II)塩とに変換する。さらに、易溶性鉛(II)塩を溶解除去すると、樹脂中に二酸化鉛が分散した二酸化鉛含有膜状体となる。バインダとして用いるポリテトラフルオロエチレンはオゾン耐性が高く、電解セルの稼動による劣化が少ないと思われる。
特許文献3に記載された電極の製造方法は、封孔剤を塗布した多孔性基材の表面にイリジウム等の電極触媒粒子と樹脂成分を含むスラリーを塗布し乾燥させて触媒層を形成し、その後封孔剤を水に溶出させて除去する、というものである。
特許第3080971号公報(第5欄第19〜50行) 特許第2725799号公報(特許請求の範囲、第4欄第31行〜第6欄第7行) 特開2005−166500号公報(段落番号0014)
特許文献1に記載された二酸化鉛層は2段階の電解めっき処理が必要であり、かつ各めっき工程に洗浄、乾燥といった多く工程が付随するために、生産性が低いという問題点がある。しかも、大がかりな処理設備を必要とし、電解めっき処理に伴って発生する鉛含有の廃液やスラッジの処理も必要となる。
また、基体としてチタンなどのバルブ金属にて作製した金属繊維体を用いた場合、繊維化する加工が困難なため、金属繊維の繊維形状や繊維長が一定のものが得られにくく不均一になることや、微細なものが得られにくいことから、基体表面は表面平滑性の悪いものとなる。めっき皮膜の表面形態は基体の表面形態とほぼ同一であるから表面平滑性の悪いものとなり、しかもめっき皮膜は硬質皮膜である。電解反応は陽極触媒(二酸化鉛めっき皮膜)/陽イオン交換膜/純水の接する三相界面において限定して行われるため、安定した電解を行うにはめっき皮膜と陽イオン交換膜との接触面積を高めて電解面積を確保する必要があり、陽イオン交換膜に陽極を強い力で押し付けて表面平滑性の悪いめっき皮膜と陽イオン交換膜との接触面積を確保している。このとき、二酸化鉛めっきされた金属繊維が樹脂である陽イオン交換膜を引き裂いて深く食い込むように接触し、電解時には陽イオン交換膜に食い込んだ二酸化鉛の表面からオゾンが発生する。陽イオン交換膜はフッ素系樹脂であり耐オゾン性を有しているが、オゾンの自己分解過程で発生するヒドロキシラジカルはオゾンよりも酸化力が強く陽イオン交換膜を分解することが知られている。従って、電解時の三相界面では、陽極を強い力で押し付けたことによる陽イオン交換膜の引き裂き、ガス発生による振動、ラジカルとの反応が発生し、これらに過電圧による発熱が加わって、陽イオン交換膜は分解し消耗して薄くなっていく。陽イオン交換膜が消耗して薄くなると、両極間の隔壁として機能しなくなり電解セルとしての寿命が尽きる。
上記の理由により、金属繊維上に二酸化鉛めっき皮膜を有する陽極触媒を用いた電解セルは寿命が短いという問題点があり、より寿命の長い電解セルが求められている。
特許文献2に記載された二酸化鉛含有膜状体(電極触媒体)は樹脂ベースであるから、めっき皮膜よりもしなやかで表面平滑性が高いものであり、陽極触媒がめっき皮膜で構成された陽極のように強い力で押し付けなくても陽イオン交換膜と陽極触媒との電解面積を確保することができる。しかし、バインダとしてオゾン耐性の高いポリテトラフルオロエチレンを用いたことで、ペーストを成形した膜状体をポリテトラフルオロエチレンの融点(327℃)以上で熱処理加工する必要がある。一方、二酸化鉛は230℃を超えると熱分解するので、ポリテトラフルオロエチレンの熱処理加工には耐えられない。このため、二酸化鉛含有膜状体を作製するために、出発材料として耐熱性の高い四酸化三鉛を用いて膜状体を成形し、330〜370℃で熱処理後の膜状体を酸処理して四酸化三鉛を二酸化鉛に変換し、さらに副生した易溶性鉛(II)塩を溶解除去するという複雑な工程を経なければならない。
また、四酸化三鉛の酸化処理によって生成した二酸化鉛を用いた電極触媒体の品質が悪く、オゾン発生効率が低い上に導電性が悪くセル電圧が高くなる傾向がある。原因としては、酸処理に酸水溶液を用いるので、後処理として行う水洗浄や乾燥によって酸処理にて生成した二酸化鉛の一部が還元しているためであると推測される。また、出発材料の四酸化三鉛が粒子状であるために、使用した四酸化三鉛分子の一部が二酸化鉛に変換されず、四酸化三鉛のままで混在しているおそれもある。
特許文献3に記載された電極の製造方法においては、封孔剤として水性樹脂を用い、電極触媒層形成後には水による溶出で封孔剤を除去しているので、電極触媒は電解セルに組み込む前に水に接触する。このため、電極触媒として二酸化鉛を用いた場合は、陽極触媒体を電解セルに組み込んで通電する前の段階で二酸化鉛が別の物質に還元され、導電性およびオゾン発生能を失い、オゾン発生用の陽極触媒体が得られない。また、他の電極触媒を用いた場合においても、電解触媒層の形成前後に封孔処理および封孔剤除去が必要であるから、工程数が多いという問題点がある。
本発明は、上述した従来技術に鑑み、オゾン発生用電解セルに組み込む樹脂ベースの陽極触媒体、特に電極触媒として二酸化鉛を用いた陽極触媒体およびその関連技術を提供するものである。
即ち、本発明は下記[1]〜[20]に記載の構成を有する。
[1]フッ素樹脂系陽イオン交換膜の一方の面に陽極触媒体、他方の面に陰極触媒体を密着させて構成し各触媒体へ集電体を通して直流電流を供給することによって水電解を行ない、陽極ガスとしてオゾンガスを得るオゾン発生用電解セルに使用される陽極触媒体であって、
電解によりオゾン発生できる電極触媒粒子と樹脂とを含んでおり、前記樹脂は樹脂成分を溶媒に溶解させた溶液を原料として作られたものであることを特徴とする陽極触媒体。
[2]前記電極触媒が二酸化鉛である前項1に記載の陽極触媒体。
[3]前記樹脂成分が、フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有するフッ素樹脂である前項1または2に記載の陽極触媒体。
[4]前記フッ素樹脂がポリビニリデンジフロライドである前項3に記載の陽極触媒体。
[5]前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンジフロライドの三元共重合体である前項3に記載の陽極触媒体。
[6]前記三元共重合体のモノマー組成において30モル%以上のビニリデンジフロライドを含有する前項5に記載の陽極触媒体。
[7]前記溶媒がN−メチル−2−ピロリドンである前項4に記載の陽極触媒体。
[8]前記溶媒が酢酸エチルまたは酢酸メチルである前項5または6に記載の陽極触媒体。
[9]二酸化鉛、フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有するフッ素樹脂およびこのフッ素樹脂を溶解させる溶媒を含み、かつ水を含まないペースト状混合物をシート状体に成形する成形工程と、成形したシート状体から溶媒を除去することにより固形化し、シート状の多孔性電極材料を形成する乾燥工程とを含むことを特徴とする陽極触媒体の製造方法。
[10]前記成形工程においてペースト状混合物をプレート上に塗布してシート状体を成形し、成形したシート状体をプレート上に載置した状態で乾燥工程を行い、乾燥工程後にプレートから多孔性電極材料を取り出す、前項9に記載の陽極触媒体の製造方法。
[11]前記乾燥工程において、乾燥途中のシート状体をプレートから剥離し、シート状体をひっくり返してペースト状混合物塗布時の露出面をプレート上に置き、さらに乾燥させて残った溶媒を除去する前項10に記載の陽極触媒体の製造方法。
[12]前記フッ素樹脂がポリビニリデンジフロライドである前項9〜11のいずれかに記載の陽極触媒体の製造方法。
[13]前記溶媒がN−メチル−2−ピロリドンである前項12に記載の陽極触媒体の製造方法。
[14]前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンジフロライドの三元共重合体である前項9〜11のいずれかに記載の陽極触媒体の製造方法。
[15]前記溶媒が酢酸エチルまたは酢酸メチルである前項14に記載の陽極触媒体の製造方法。
[16]前記乾燥工程を50〜90℃で15〜120分保持することにより行う前項13に記載の陽極触媒体の製造方法。
[17]前記乾燥工程を室温〜90℃で0.5〜60分保持することにより行う前項15に記載の陽極触媒体の製造方法。
[18]フッ素樹脂系陽イオン交換膜の一方の面に陽極触媒体、他方の面に陰極触媒体を密着させて構成し各触媒体へ集電体または基体を通して直流電流を供給することによって水電解を行ない、陽極ガスとしてオゾンガスを得るオゾン発生用電解セルであって、
前記陽極触媒体が前項1〜8のいずれかに記載された陽極触媒体であることを特徴とするオゾン発生用電解セル。
[19]前記陽極触媒体は、前項9〜17のいずれかに記載の方法で製造された陽極触媒体であり、シート状体の成形工程におけるペースト状混合物塗布時のプレート接触面が陽イオン交換膜に接するように配置されている前項18に記載のオゾン発生用電解セル。
[20]前記陽極触媒体と陽極集電体または陽極基体との間に多孔性の貴金属層を有する前項18または19に記載のオゾン発生用電解セル。
上記[1]に記載の発明にかかる陽極触媒体は、電極触媒粒子と、樹脂成分を溶媒に溶解させた溶液を原料として作られた樹脂とを含むものであって、樹脂ベースであるから柔軟であり、表面平滑性に優れている。このため、フッ素樹脂系陽イオン交換膜に対する密着性が良く陽極触媒体を強い力で押し付けなくても両者間の接触面積を大きくすることができ、電解面積を確保して優れたオゾンの発生能が得られる。また、陽イオン交換膜に陽極触媒体を強い力で押し付けないことで電極触媒粒子が陽イオン交換膜に食い込むことがないので、陽イオン交換膜の消耗が低減し、ひいては電解セル寿命を延ばすことができる。
上記[2]に記載の発明によれば、電極触媒粒子として二酸化鉛を用いた陽極触媒体において上記効果を奏することができる。
上記[3]に記載の発明によれば、樹脂成分がモノマーを構成するフッ化炭素のフッ素原子の一部が水素原子に置換されたフッ素樹脂で構成された陽極触媒体において上記効果を奏することができる。
上記[4]に記載の発明によれば、前記フッ素樹脂として溶媒溶解性およびオゾン耐性の高いポリビニリデンジフロライドを用いた陽極触媒体において上記効果を奏することができる。
上記[5]に記載の発明によれば、前記フッ素樹脂として溶媒溶解性およびオゾン耐性の高いテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンジフロライドの三元共重合体を用いた陽極触媒体において上記効果を奏することができる。
上記[6]に記載の発明によれば、前記三元共重合体におけるビニリデンジフロライドのモノマー比が30モル%以上であるために高い溶媒溶解性を得て、陽極触媒体において上記効果を奏することができる。
上記[7]に記載の発明によれば、ポリビニリデンジフロライドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶液を原料として得た陽極触媒体において上記効果を奏することができる。
上記[8]に記載の発明によれば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンジフロライドの三元共重合体を酢酸エチルまたは酢酸メチルに溶解させた溶液を原料として得た陽極触媒体において上記効果を奏することができる。
上記[9]に記載の発明にかかる陽極触媒体の製造方法によれば、二酸化鉛、モノマーを構成するフッ化炭素のフッ素原子の一部が水素原子に置換されたフッ素樹脂および溶媒を含有するペースト状混合物をシート状体に成形する成形工程と、溶媒を除去して固形化する乾燥工程の2つの工程により、前記フッ素樹脂をバインダとして二酸化鉛粒子を成形した柔軟性を有するシート状の陽極触媒体を効率良く製造できる。
陽極触媒体の電極触媒の出発材料が二酸化鉛であり、製造工程では他の物質から二酸化鉛に変換させる酸処理や副生物を除去するための水による溶解処理を行わない。また、ペースト状混合物は水を含まず、製造工程に二酸化鉛が水に接触する処理を含まない。これらのことから、製造工程において、他の物質から二酸化鉛に変換することも二酸化鉛が還元されることもない。従って、製造工程において二酸化鉛以外の物質が混じる余地がなく、樹脂を除いて二酸化鉛のみを含有し、優れたオゾン発生能を有する陽極触媒体を製造できる。
上記[10]に記載の発明にかかる陽極触媒体の製造方法は、プレート上で成形工程および乾燥工程を行うものであるから、電極基体等の他の電極材料の材質や形状に左右されることなく陽極触媒体を効率良く製造できる。また、プレートの表面形態がペースト混合物塗布時のプレート接触面に転写されるので、平滑性の高いプレートを用いることによって表面平滑性の高い陽極触媒体を製造することができる。
上記[11]に記載の発明によれば、乾燥工程において効率良く溶媒を除去することができる。
上記[12]に記載の発明によれば、前記フッ素樹脂としてポリビニリデンジフロライドを用いた製造方法において上記効果を奏することができる。
上記[13]に記載の発明によれば、前記フッ素樹脂としてポリビニリデンジフロライドを用い、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた製造方法において上記効果を奏することができる。
上記[14]に記載の発明によれば、前記フッ素樹脂としてテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンジフロライドの三元共重合体を用いた製造方法において上記効果を奏することができる。
上記[15]に記載の発明によれば、前記フッ素樹脂としてテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンジフロライドの三元共重合体を用い、溶媒として酢酸エチルまたは酢酸メチルを用いた製造方法において上記効果を奏することができる。
上記[16]に記載の発明によれば、前記フッ素樹脂としてポリビニリデンジフロライドを用い、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた製造方法において、規定された乾燥条件により、柔軟性および表面平滑性を有する陽極触媒体を効率良く製造することができる。さらに、プレート上で成形工程および乾燥工程を行う場合は、乾燥工程後の陽極触媒体をプレートから破損することなく容易に取り出すことができる。
上記[17]に記載の発明によれば、前記フッ素樹脂としてテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンジフロライドの三元共重合体を用い、溶媒として酢酸エチルまたは酢酸メチルを用いた製造方法において、規定された乾燥条件により、柔軟性および表面平滑性を有する陽極触媒体を効率良く製造することができる。さらに、プレート上で成形工程および乾燥工程を行う場合は、乾燥工程後の陽極触媒体をプレートから破損することなく容易に取り出すことができる。
上記[18]に記載の発明にかかるオゾン発生用電解セルは、陽極の陽極触媒体として上記[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂ベースの陽極触媒体が用いられ、フッ素樹脂系陽イオン交換膜に密着状態に配置されている。前記陽極触媒体は柔軟性および表面平滑性を有するから陽イオン交換膜に強い力で押し付けなくても高い密着性を達成でき、両者間の接触面積を確保して優れたオゾン発生能が得られる。また、強い力で押し付けないことで電極触媒粒子が陽イオン交換膜に食い込むことがないので、陽イオン交換膜の消耗が低減し、ひいては電解セルの寿命を延ばすことができる。
上記[19]に記載の発明にかかるオゾン発生用電解セルは、上記[11]〜[17]のいずれかに記載の方法で製造された陽極触媒体が組み込まれている。前記陽極触媒体は、製造工程で二酸化鉛以外の物質が混じる余地がなく、樹脂を除いて二酸化鉛のみを含有するものであるから、オゾン発生用電解セルは優れたオゾン発生能を有する。また、ペースト状混合物塗布時のプレート接触面、即ち陽極触媒体の2つの面のうちのより表面平滑性の高い面が陽イオン交換膜に接するように配置されているので、陽イオン交換膜と陽極触媒体との間で確実に高い密着性が得られる。
上記[20]に記載の発明によれば、貴金属層によって陽極触媒体と陽極集電体または陽極基体との接触抵抗が低減されるので、電解効率を高めることができる。
本発明にかかるオゾン発生用電解セルの一実施形態の構成を分解状態で示す断面図である。 本発明にかかる陽極触媒体の製造方法の工程を示す模式的断面図である。
図1は、本発明にかかるオゾン発生用電解セルの一実施形態を分解状態で示したものである。以下に図1を参照しつつ本発明について詳述する。
〔陽極触媒体およびオゾン発生用電解セルの構造〕
オゾン発生用電解セル(1)は、フッ素樹脂系陽イオン交換膜(10)の一方の面に多孔性の陽極(20)を密着状態に配置し、他方の面に多孔性の陰極(30)を密着状態に配置し、さらに陽極(20)および陰極(30)の外側から陽極側セル枠(11)および陰極側セル枠(12)を密着状態に被せて組み立てたゼロギャップ方式のセルであり、図示されない締付け手段によって外側から押圧力を付与して各部材間の密着力を高めている。(13)は陽極給電端子であり、(14)は陰極給電端子である。前記セル(1)内はフッ素樹脂系陽イオン交換膜(10)によって陽極室(21)と陰極室(31)とに仕切られ、陽極室(21)の下端に陽極液供給口(22)、上端に陽極液・ガス取出口(23)が設けられ、陰極室(31)の上端に陰極液・ガス取出口(33)が設けられている。
前記陽イオン交換膜(10)は周知の固体高分子電解質膜を用いることができる。固体高分子電解質を構成する樹脂としては、特に陽イオンの交換機能を有するスルホン酸基を有し、化学的安定性に優れるパーフルオロスルホン酸系樹脂が好ましい。また、前記陽イオン交換膜(10)は陽極室(21)と陰極室(31)との隔壁としても機能し、陽極室(21)内の陽極液および陽極ガスと陰極室(31)内の陰極液および陰極ガスとが混合することを防いでいる。そして、両極室(21)(31)内の物質の混合を防ぐことで、生成したガスや電解液の純度を保持するとともに、生成ガスの混合による爆発や発火を防止する機能を有する。
前記陽極(21)は、陽極集電体または陽極基体(24)、貴金属層(25)および陽極触媒体(26)からなる。
前記陽極集電体または陽極基体(24)は、導電性を有する金属からなる多孔質構造体であり、特に耐食性の優れた金属製であることが好ましい。かかる条件を満足する金属として、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム等のバルブ金属を例示でき、多孔質構造体として多孔体、繊維体、網状体、発泡体、繊維を焼結やプレスによって所要形状に成形したもの等を例示できる。
前記陽極触媒体(26)は、電解によってオゾンを発生できる電極触媒粒子と樹脂とを含む多孔性薄膜であり、前記樹脂は樹脂成分を溶媒に溶解させた溶液を原料として作られたものである。前記電極触媒としては、二酸化鉛、導電性ダイヤモンド等を例示でき、特に二酸化鉛を推奨できる。
また、樹脂は、オゾン耐性を有しかつ溶媒で溶解できることが条件である。かかる樹脂として、フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有するフッ素樹脂、エチレン・クロロトリフルオロエチレン等を例示できる。
フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有するフッ素樹脂(以下の説明において「部分水素化フッ素樹脂」と略する)は、溶媒に対する溶解性が高く、シート状の陽極触媒体の形成に適している。かかる部分水素化フッ素樹脂の中でも、二酸化鉛の熱分解温度よりも低温でシート化できかつオゾン耐性に高い樹脂として、ポリビニリデンジフロライド(−CHCF−)およびモノマーとしてビニリデンジフロライドを含有する共重合体を推奨できる。
なお、「フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造」および「部分水素化」とはモノマーを重合させる過程でフッ素原子を水素原子に置換することを意味するのではなく、樹脂の構造において水素原子を有することを意味する。従って、モノマーを重合させる過程で、炭化水素の水素原子の一部がフッ素原子に置換されることにより水素原子を含むことになったフッ素樹脂は本発明における「フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有するフッ素樹脂」に該当する。例えば、ポリビニリデンジフロライド(−CHCF−)はポリテトラフルオロエチレン(−CFCF−)のフッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有している。
前記ポリビニリデンジフロライドは、特許文献2で使用されているポリテトラフルオロエチレンと比較するとオゾン耐性がやや劣るものの、他の樹脂と比較して優れたオゾン耐性を有する樹脂である。フッ素原子が水素に置換されていないポリテトラフルオロエチレン(−CFCF−)は極めて化学的安定性が高くオゾン耐性も優れているが、その反面溶媒に溶解されない。一方、ポリビニリデンジフロライド(−CHCF−)はポリテトラフルオロエチレンのフッ素原子の一部を水素に置換したことでポリテトラフルオロエチレンよりもオゾン耐性はやや低下するが、その反面溶媒溶解性が高まっている。ポリビニリデンジフロライドはオゾン発生用電解セルの陽極触媒体として必要なオゾン耐性とシート化に必要な溶媒溶解性とを兼ね備えたフッ素樹脂である。
また、ビニリデンジフロライドを含有する共重合体として、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンフロライドの三元共重合体を推奨できる。前記テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンジフロライドの三元共重合体(以下の説明において「THV共重合体」と略する)は、フッ化炭素のフッ素原子の一部が水素に置換された構造を有するビニリデンジフロライド(−CHCF−)を有することで溶媒溶解性があり、かつフッ素原子が水素に置換されていないテトラフルオロエチレン(−CFCF−)およびヘキサフルオロプロピレン(−CHCF(CF)−)を含有することで化学的に安定であり高いオゾン耐性を有するフッ素樹脂である。THV共重合体はモノマーとしてテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンを含有していることで、上述のポリビニリデンジフロライドよりもオゾン耐性が高い。また、THV共重合体は柔軟性が高いこともシート状の陽極触媒体の材料に適している。
前記THV共重合体は、モノマー組成においてビニリデンジフロライドの含有率が高くなるほど溶媒溶解性が高くなり、ビニリデンジフロライドの含有率が低くなるほど溶媒溶解性が低くなってシート化が困難になる。本発明においては、シート化を容易にするという観点より、モノマー組成において30モル%以上のビニリデンジフロライドを含有するTHV共重合体を推奨する。特に好ましいビニリデンジフロライドの含有率は35モル%以上である。なお、ビニリデンジフロライドの含有率が高くなれば化学的安定性が低下するが、上述したポリビニリデンジフロライドでも陽極触媒体に必要なオゾン耐性を有しているのであるから、THV共重合体である限り陽極触媒体に必要なオゾン耐性を有している。従って、THV共重合体におけるビニリデンジフロライドの含有率の上限値に規定はない。
前記THV共重合体は、住友スリーエム株式会社のダイニオンTHVシリーズの製品(THV220A、THV220G、THV221AZ、THV221GZ、THV500G、THV500GZ、THV600G、THV600GZ等)として入手可能である。
また、モノマーとしてビニリデンジフロライドを含有する他の共重合体、ビニリデンジフロライド以外の部分水素化フッ素樹脂、またはビニリデンジフロライド以外の部分水素化されたフッ素炭素をモノマーとして含有する共重合体も、オゾン耐性を有しかつ溶媒溶解性を有する限り本発明に含まれる。
なお、本発明の陽極触媒体の製造方法は樹脂を溶媒で溶解して使用するのでパウダー状でもペレット状でも使用可能であるが、溶解が容易である点でパウダー状の樹脂を用いることが好ましい。
また、溶媒は使用する樹脂を溶解できるものであれば限定されないが、沸点の低い溶媒を使用することが好ましい。沸点の低い溶媒は、後述する製造方法の乾燥工程において低い温度でも短時間で溶媒を除去できるので、二酸化鉛が熱分解するおそれがなく、かつ作業効率が良い。ポリビニリデンジフロライドを溶解する溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)を例示でき、THV共重合体を溶解する溶媒として酢酸エチル(沸点77℃)または酢酸メチル(沸点57.5℃)を例示できる。
電極触媒として二酸化鉛を含み、樹脂としてポリビニリデンジフロライドまたはTHV系フッ素樹脂を使用した陽極触媒体(26)の製造方法については、後で詳述する。
前記貴金属層(25)は陽極触媒体(26)と陽極集電体または陽極基体(24)との接触抵抗を低減して電解効率を高めるために両者(24)(25)間に配置する層である。貴金属としては白金を例示でき、貴金属箔に多数の微細孔を穿設した多孔箔を例示できる。貴金属層(25)の厚さは限定されないが、上記効果を得られる厚さとして0.02〜200μmが好ましく、特に0.02〜0.2μmが好ましい。なお、本発明の電解セルにおいて貴金属層は必須の構成要件ではなく、貴金属層を持たない陽極を用いた電解セルも本発明に含まれる。
前記陰極(30)は陰極基体または陰極集電体(34)および陰極触媒体(36)からなる。
前記陰極基体または陰極集電体(34)は、導電性を有する金属からなる多孔質構造体である。導電材料として、ステンレス鋼、ニッケル、ジルコニウム、チタン、カーボン等の金属を例示でき、多孔質構造体として、陽極と同じく、多孔体、繊維体、網状体、発泡体、繊維を焼結やプレスによって所要形状に成形したもの等を例示できる。特に好ましい多孔質構造体は、チタンなどのバルブ金属と比較して加工性に優れるため均一な表面が得られやすく陰分極下では耐食性に優れるステンレス繊維焼結体である。
前記陰極触媒体(36)は、触媒として水素過電圧の低い白金、白金黒、白金担持カーボン等が好ましく、これらの粒子をフッ素樹脂中に分散させた多孔性薄膜を推奨できる。
前記電解セル(1)は、陽極集電体または陽極基体(24)、貴金属層(25)、陽極触媒体(26)、陽イオン交換膜(10)、陰極触媒体(36)、陰極基体または陰極集電体(34)を密着状態に配置し、さらに陽極側セル枠(11)および陰極側セル枠(12)を密着状態に被せて組み立てたものである。なお、セル全体の組み立てに先立って一部の部材を密着状態に組み立てておいても良い。
前記電解セル(1)において、陽極液供給口(22)から陽極室(21)内に純水を導入し、両極間に通電すると、陽極(20)の陽極触媒体/イオン交換膜/純水が接触する三相において下記(F1)(F2)の電解反応が起こり、酸素ガスおよびオゾンガスが発生する。電解反応によって生成した水素イオンは電位勾配によって陽イオン交換膜(10)を透過し、陰極室(31)内において水素イオンは陰極触媒体(36)に接触し下記(F3)の還元反応により水素ガスを生成する。そして、陽極室(21)で生成した酸素ガスおよびオゾンガスは純水ともに陽極液・ガス取出口(23)から放出され、陰極室(31)内で生成した水素ガスは純水とともに陰極液・ガス取出口(33)から放出される。
(陽極反応)
3HO → O + 6H + 6e …(F1)
2HO → O + 4H + 4e …(F2)
(陰極反応)
2H + 2e → H …(F3)
〔陽極触媒体の作製〕
陽極触媒体(26)は、例えば本発明の方法により製造される。陽極触媒体(26)の出発材料は、陽極触媒としての二酸化鉛、二酸化鉛をシートに成形するためのバインダとなる樹脂(フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有するフッ素樹脂)、樹脂を溶解するための溶媒である。二酸化鉛は導電性およびオゾン発生能に優れているために選ばれた陽極触媒である。樹脂としてポリビニリデンジフロライドを用いるときは溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用い、THV共重合体を用いるときは溶媒として酢酸エチルまたは酢酸メチルを用いる。以下に、図2を参照しつつ、成形工程と乾燥工程とを含む陽極触媒体の製造方法について詳述する。
(成形工程)
二酸化鉛粒子、樹脂および溶媒を十分に混合し、二酸化鉛粒子が均一に分散されたペースト状混合物を調製する。図2の(a)に示すように、平滑表面を有するプレート(40)上に前記ペースト状混合物を塗布し、所要厚さに塗り広げてシート状体(41)に成形する。ペースト状混合物は粘性を有するので所要の厚さおよび面積に塗布されてシート状体(41)に成形されているが、固形化はされていない状態である。
作製する陽極触媒体(26)において、二酸化鉛の含有率が高いほど導電性が高くなり、電解時の消費電力が少なくなるので、可及的に二酸化鉛の含有率が高いことが好ましい。しかし、バインダである樹脂の含有率が過度に低くなると、乾燥工程後にシート形状を保った状態で陽極触媒体(26)を取り出すことが困難となる。従って、前記ペースト状混合物の組成において、二酸化鉛と樹脂との合計量に対する二酸化鉛の含有比率は、80〜93質量%に設定したものを使用でき、92〜93質量%が好ましく、特に93質量%が好ましい。
前記二酸化鉛の粒径は50μm以下であることが好ましい。粒径の大きい二酸化鉛を用いると陽極触媒体(26)の表面が粗くなるので、陽イオン交換膜(10)との密着性が悪くなり接触面積が小さくなるからである。表面平滑性の悪い(粗い)陽極触媒体(26)の密着性を高めるために押圧力を高めると、二酸化鉛粒子が陽イオン交換膜(10)に食い込みやすくなり、陽イオン交換膜(10)の局所的な消耗が大きくなるおそれがあるので、好ましくない。また、50μm以下の粒子であれば、二酸化鉛と樹脂との合計量に対する二酸化鉛含有比率を上述した好適範囲内に設定するのに何の困難もない。一方、粒径の小さい二酸化鉛を用いることにより、より薄くかつ表面平滑性の高い陽極触媒体(26)を得ることができる。このような、薄くかつ表面平滑性の高い陽極触媒体(26)は、陽イオン交換膜(10)との接触面積が大きいので、セル電圧を下げ電力消費を下げることができる点で好ましい。ただし、所期するセル電圧を得られれば粒径の小さい二酸化鉛を用いた目的は達成されるので、それ以上に粒径の小さい二酸化鉛を用いてさらに薄い陽極触媒体(10)を得ることには技術的意義が少ない。かかる観点より、二酸化鉛の粒径は0.1〜50μmであることが好ましく、特に0.1〜10μmが好ましい。
また、前記ペースト状混合物における樹脂と溶媒の比率は、シート状体(41)を所期する厚さに塗布できる粘度に設定する必要がある。溶媒の比率が低くなると粘度が上がって塗布後の厚さは維持されるが、過度に粘度が上がると所期する厚さに塗布することが困難になる。かかる観点より、樹脂と溶媒との合計量に対する樹脂の含有比率は5〜12質量%が好ましく、特に12質量%が好ましい。溶媒の比率が高くなるほどペースト状混合物の粘度が下がり、塗布後に流れてしまい所期する厚さを維持することが困難となる。
また、シート状体(41)の厚さ、即ちペースト状混合物の塗布厚さは60〜1000μmの範囲に設定したものを使用できる。シート状体(41)の厚さが上記下限値よりも薄い場合は乾燥後の陽極触媒体(26)のシート強度が低く、乾燥工程後のプレート(40)から取り出しにおいても、電解セル(1)への組み込みにおいても取り扱いに注意を要する。一方、陽極触媒体(26)の厚さが厚くなるほど電解時のセル電圧が高くなって稼働電力が大きくなり、さらに発熱により発生させたオゾンが分解する、といった不都合が生じる。このため、陽極触媒体(26)の厚さ、換言するとペースト状混合物の塗布厚さは乾燥後に破損無く取扱い可能である限り薄いことが好ましい。かかる観点より、シート状体(41)の特に好ましい塗布時の厚さは100〜200μmである。
(乾燥工程)
図2の(b)に示すように、前記シート状体(41)をプレート(40)上に載置した状態で乾燥させて溶媒を除去する。この乾燥工程によってペースト状混合物が固形化し、二酸化鉛粒子が分散した多孔性の陽極触媒体(26)となる。ペースト状混合物は固形化しているので、図2の(c)に示すように、プレート(40)から剥離し、シート状の陽極触媒体(26)として取り出すことができる。固形化した陽極触媒体(26)は柔軟性を有するものであり、プレート(40)からの剥離を支障なく行える。
前記シート状体(41)からの溶媒の除去は、溶媒の沸点が低いほど、より低い温度で、より短時間で行うことができる。従って、好ましい乾燥条件は溶媒によって異なる。
溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた場合は、50〜90℃で15〜120分の保持が好ましい。乾燥温度が50℃以下では溶媒の除去に長時間を要するので製造効率が悪い。また、溶媒が残留していると、未除去部分がプレート(40)に付着してシート形状を保持した状態でプレート(40)から剥離することが困難になる。一方、二酸化鉛は230℃以上で熱分解するので乾燥温度は230℃以下であることが必要であるが、230℃以下の温度領域においても乾燥温度が高くなると固形化した陽極触媒体(26)が硬化して柔軟性が低下することがある。柔軟性の低下は、陽極触媒体(26)の硬化はポリビニリデンジフロライドの結晶化および凝集が原因であると推測される。陽極触媒体(26)の柔軟性が低下すると、プレート(40)から剥離する際に破損し易くなる、オゾン発生効率が低下する、といった現象が発生する。オゾンの発生効率の低下は二酸化鉛の相転移が進行するためであると推測される。また、陽極触媒体(26)の柔軟性が低下すると、陽イオン交換膜(10)との密着性が低下するおそれがある。また、乾燥時間が不足すると陽極触媒体(26)に未除去溶媒が残留し、長すぎると陽極触媒体(26)が硬化して柔軟性が低下する。長時間の乾燥による柔軟性の低下によって取り扱いにより多くの注意を要することになるが、その反面、陽極触媒体(26)に含まれる溶媒の除去が進むことによる利点も生じる。作製した陽極触媒体(26)に含まれる未除去溶媒が少ないほど、電解時に陽極触媒体(26)から溶出する溶媒量が少なくなるので、電解セル(1)内部および電解セル(1)に接続される機器内部、それらの内部に貯留されている液体が汚染される可能性が低くなる。溶媒による汚染は電解性能の低下の一因となるので、陽極触媒体(26)は陽イオン交換膜(10)との高い密着性が得られかつ取り扱いが可能な柔軟性が達成される限り、十分に乾燥させることが好ましい。これらの理由により、乾燥温度は50〜90℃が好ましく、特に80〜90℃が好ましい。また、乾燥時間は15〜120分が好ましく、特に15〜30分が好ましい。
また、酢酸エチルまたは酢酸メチルはN−メチル−2−ピロリドンよりも沸点が低いので、N−メチル−2−ピロリドンを用いた陽極触媒体(26)よりも低い温度、短い時間で溶媒を除去することができ、加熱することなく室温での乾燥も可能である。ただし、陽極触媒体(26)に含まれる未除去溶媒が少ないほど電解時に陽極触媒体(26)から溶出する溶媒量が少なくなるので、電解セル(1)内部および電解セル(1)に接続される機器内部、それらの内部に貯留されている液体が汚染される可能性を可及的に低くするには、室温約25〜90℃で0.5〜60分保持することが好ましい。また、THV共重合体はポリビニリデンジフロライドよりも柔軟であるから、十分に乾燥させてもプレート(40)からの剥離が容易である。特に好ましい乾燥温度は25〜90℃であり、特に好ましい乾燥時間は1〜45分である。
上述した製作工程において、プレート(40)を構成する材料は樹脂や溶媒によって変質せず、その後の乾燥工程においても熱変形しないものであれば使用でき、さらに平滑表面を得やすく、乾燥工程後に陽極触媒体(26)が剥離し易いものが好ましい。かかる観点より、ガラス、ステンレス、ポリテトラフルオロエチレン等を推奨できる。
上述したプレート上での成形工程および乾燥工程は独立した工程であるから、電極基体等の他の電極材料の材質や形状に左右されることなく、樹脂ベースで柔軟性を有し、表面平滑性の高い陽極触媒体を効率良く製造できる。柔軟で表面平滑性に優れた陽極触媒体は、陽イオン交換膜との密着性が高く接触面積が大きくなるので、電解面積を確保して優れたオゾンの発生能が得られる。
また、プレート(40)の表面形態がペースト混合物塗布時のプレート接触面(26a)に転写されるので、表面粗さが小さく平滑性の高いプレート(40)を用いて成形すれば、表面粗さが小さく平滑性の高い陽極触媒体(26)を確実に製作することができる。表面平滑性が高く、かつ柔軟性のある陽極触媒体(26)は、陽イオン交換膜(10)に強い力で押し付けなくても高い密着性を達成でき、両者間の接触面積を確保できる。また、強い力で押し付けないことで二酸化鉛粒子が陽イオン交換膜(10)に食い込むことがないので、陽イオン交換膜(10)の消耗が低減し、ひいては電解セルの寿命を延ばすことができる。
ペースト状混合物を塗布して成形した陽極触媒体(26)はペースト混合物塗布時の露出面(26b)も平滑に成形可能であるが、上述したように、陽極触媒体(26)の表面粗さを成形時に使用するプレート(40)によって容易に制御することができ、かつ確実に高い表面平滑性を得ることができる。そして、プレート(40)から取り出した陽極触媒体(26)の2つの面のうち、プレート接触面(26a)を電解面として陽イオン交換膜(10)に接するように配置して組み付けることにより、プレート表面粗さを転写することにより表面粗さが制御された陽極触媒体表面によって確実に高い密着性を得ることができる。
また、乾燥工程において、図2の(b)(c)(d)に示すように、溶媒の一部が除去されてシート状体(41)剥離可能となった時点で、乾燥途中のシート状体(41)をプレート(40)から剥離し、ひっくり返してペースト状混合物塗布時の露出面(26b)をプレート(40)上に置き、さらに乾燥させて残った溶媒を除去しても良い。乾燥途中であっても剥離可能な状態であれば、プレート(40)の表面平滑性はシート状体(41)に転写されているので、ペースト状混合物塗布時のプレート接触面(26a)の表面平滑性は達成されている。このように乾燥途中でシート状体(41)をひっくり返すことによって溶媒を効率良く除去し、陽極触媒体(26)に残留する未除去溶媒を少なくすることができる。
前記陽極触媒体は表面粗さが小さく表面平滑性が高いほど光沢度が高くなる。よって、陽極触媒体の表面平滑性を光沢度によって評価し、ひいては陽イオン交換膜(10)への密着性に基づいてオゾン生成効率を予測評価することができる。但し、異なる樹脂では陽極触媒体における樹脂サイズが異なり作製した陽極触媒体の表面平滑性も異なるため、異種の樹脂で作製した陽極触媒体の光沢度の高低がオゾン生成効率の高低を示すとは限らない。例えば、THV共重合体を用いるとポリビニリデンジフロライドよりも陽極触媒体中の樹脂サイズが大きくなる傾向があるので、THV共重合体を用いた陽極触媒体の光沢度はポリビニリデンジフロライドを用いた陽極触媒体よりも低くなる傾向がある。しかし、オゾン生成効率は陽極触媒体の表面平滑性(陽イオン交換膜への密着性)だけでなく、陽極触媒体の厚さ、二酸化鉛粒子の含有量等の多くの要因によって決まるので、樹脂の異なる陽極触媒体を光沢度のみで評価することは困難である。
上記の工程で作成した多孔性の陽極触媒体(26)は、図1に示したように、他の部材とともに電解セル(1)に組み込まれ、水電解によるオゾン生成に用いられる。
本発明の陽極触媒体は樹脂ベースであるから、柔軟性を有し、表面平滑性を容易に得ることができる。また、二酸化鉛のバインダとして用いるポリビニリデンジフロライドは、特許文献2でバインダとして用いられているポリテトラフルオロエチレンよりもオゾン耐性が低いため、電解セルの長時間稼働により溶解して減少する可能性がある。しかし、ゼロギャップ方式の電解セルにおいては、各部材の密着状態を維持するために陽イオン交換膜に対して両極の背後から押圧力を与えて締め付けるので、仮にポリビニリデンジフロライドが減少したとしても二酸化鉛粒子が脱落することはなく、二酸化鉛粒子が陽イオン交換膜に密着した状態が保たれて電解効率は維持される。また、THV共重合体はポリビニリデンジフロライドよりもオゾン耐性が高いので、長時間稼働によっても溶解しない、あるいは溶解量がポリビニリデンジフロライドよりも少ない。ゼロギャップ方向の電解セルにおいて、樹脂の溶解は二酸化鉛粒子の脱落の原因とはならないが、溶解した樹脂がセル内を汚染するおそれがあるので、樹脂の溶解は可及的に少ないことが好ましい。
前記陽極触媒体の電極触媒粒子は出発材料から二酸化鉛であり、製造工程では特許文献2のような酸処理も溶解処理も行わないので、他の物質から二酸化鉛に変換することも二酸化鉛が還元されることもない。このため、陽極触媒体に二酸化鉛以外の物質が混じる余地がなく、樹脂を除いて二酸化鉛のみを含有する陽極触媒体を製造できる。また、本発明は、特許文献2に記載された方法よりも少ない工程で陽極触媒体を製造できるので、生産効率が良い。
また、陽極触媒体の製造材料であるペースト状混合物は、二酸化鉛、樹脂、溶媒の混合物であり、水を含んでいない。しかも、本発明は独立した工程で製造した陽極触媒体を電解セルに組み込むので、多孔性基体上で成膜する特許文献3のように多孔性基体の封孔処理および水による封孔剤溶出処理を必要としない。さらには、水による封孔剤溶出工程がないため、電極触媒である二酸化鉛が通電時以前に水に接触することがなく、二酸化鉛が還元などによって他の物質に変質するおそれもない。従って、本発明によれば、二酸化鉛以外の物が混じる余地がなく、樹脂を除いて二酸化鉛のみを含有する陽極触媒体を製造でき、かつ特許文献3よりも簡単な工程で効率良く電解セルを製造することができる。
なお、本発明の陽極触媒体の製造方法は、ペースト状混合物をプレート上で作製してプレートから取り出す上記の工程に限定されない。陽極触媒体に密着させる部材に直接ペースト状混合物を塗布して成形し、その部材上で乾燥させる方法、押出や圧延によって成形したシート状体を乾燥させる方法も本発明に含まれる。
[実施例]
〔実施例A:ポリビニリデンジフロライドを用いた陽極触媒体の製作〕
二酸化鉛(ナカライテスク株式会社製、特級、SEM観察による粒径は0.1〜10μm)、および樹脂と溶媒を混合した樹脂溶液(株式会社クレハ製、商品名「KFポリマー#1120」)を用い、図2に示した工程によりシート状の陽極触媒体を作製した。前記樹脂溶液は、ポリビニリデンジフロライドとN−メチル−2−ピロリドンの混合物であり、樹脂溶液中のポリビニリデンジフロライドの含有比率は12質量%である。
まず、表1のNo.1〜18に示す量の二酸化鉛および樹脂溶液をポリプロピレン試験管中で十分に混合し、ペースト状混合物を調製した。このペースト状混合物を清浄な平滑表面を有するガラス板(40)に移し替え、塗布幅50mm、膜厚100μmに設定したアプリケータを用いて成膜し、ガラス板(40)上でシート状体(41)を成形した。各No.のペースト状混合物における二酸化鉛とポリビニリデンジフロライドとの合計量に対する二酸化鉛の含有比率を表1に示す。
次いで、ガラス板(40)上で成形したシート状体(41)を50℃、90℃、140℃、150℃のいずれかの温度に設定した乾燥機内で表1に示す時間乾燥させ、ガラス板(40)上において多孔性のシート状陽極触媒体(26)を得た。なお、No.14は乾燥開始後15分後にシート状体(41)をガラス板(40)から剥離し、ひっくり返してペースト状混合物塗布時の露出面(26b)をガラス板(40)に置き、さらに30分乾燥させたものである。製造したNo.3〜18の陽極触媒体(26)の空隙率は65〜75%であった。
各No.の陽極触媒体(26)はガラス板(40)から剥離して取り出すこととし、この取り出し時の状態によって成膜性を下記の基準で評価した。その結果を表1に示す。
(成膜性)
○:陽極触媒体は柔軟性を有し、破損することなく容易にガラス板から剥離できる。
△:陽極触媒体の柔軟性は○よりも劣るが、ガラス板から剥離できる。ただし、破損しないように剥離するには○よりも取り扱いに多くの注意を要するので、実用性に乏しい。
×:シート状体の表面に未乾燥部分があり、ガラス板からシート形状を保って剥離することができない。または、シート状体が硬く、ガラス板から剥離する際に破損する。
Figure 0005873071
表1より、陽極触媒体において、上記の試験条件下において二酸化鉛とポリビニリデンジフロライドとの合計量に対して93質量%の二酸化鉛を含有させ得ることを確認した。さらに、乾燥工程の好適条件が50〜90℃×15〜120分であることを確認した。
〔樹脂溶液中のポリビニリデンジフロライドの含有比率〕
表2に示すNo.21〜23として、樹脂溶液中のポリビニリデンジフロライドの含有比率を12質量%、8質量%、5質量%に調製した3種類の樹脂溶液を用いてペースト状混合物を調製し、No.1〜17と同じ方法でガラス板上に厚さ100μmシート状体を成形した。乾燥工程は、90℃で15分とした。作製した陽極触媒体について、上記と同じ基準で成膜性を評価した。これらの結果を表2に示す。
Figure 0005873071
表2より、3種類の樹脂溶液のうちでポリビニリデンジフロライドの含有比率12質量%のものを使用した場合に最も成膜性が優れていた。
〔シート状体の厚さ〕
表3に示すNo.31〜33として、No.3〜17と同一組成のペースト状混合物を用い、塗布厚さを50μm、100μm、200μmの3種類としてシート状体を成形した。乾燥工程は、90℃で15分とした。作製した陽極触媒体の空隙率はいずれも65〜75%であった。
作製した陽極触媒体について、上記と同じ基準で成膜性を評価した。これらの結果を表3に示す。
Figure 0005873071
表3より、塗布厚さ100μm以上のシート状体で成膜性が良好であることを確認した。
〔オゾン発生用電解セル〕
表1のNo.4、8、11、13、14、17、21、32、33の陽極触媒体を用い、下記の陽極触媒体以外の部材を組み合わせて、図1に示す構造のオゾン発生用電解セル(1)を作製した。
陽極触媒体(26)は電解面積が1dmとなるように、複数枚を作製した。
陽イオン交換膜(10)として、市販のパーフルオロスルホン酸型イオン交換膜(デュポン社製、商品名「ナフィオン117」)を煮沸純水中に30分間浸漬し、含水による膨潤処理を行ったものを用いた。
陽極集電体(24)として、直径120mmのチタン製びびり繊維焼結体(東京製鋼株式会社製)を中性洗剤で脱脂洗浄した。
貴金属層(25)として、厚さ0.2μmの白金箔に多数の穴をあけた多孔白金箔を用いた。
陰極触媒体(36)として、白金担持カーボン触媒をポリテトラフルオロエチレン中に分散させた樹脂ベースの多孔性陰極触媒シートを用いた。陰極触媒シートは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョン(三井フロロケミカル株式会社製)と白金担持カーボン触媒を水に分散させた分散液を混合した後、乾燥させ、これにソルベントナフサを加えて混練した後、圧延工程、乾燥工程、焼成工程を経て作製したものであり、PTFE40質量%、白金担持カーボン触媒60質量%で、膜厚120μm、空隙率55%である。
陰極集電体(34)として、直径120mmのステンレス繊維焼結体(東京製綱株式会社製)を用いた。
そして、図1に示すように、陽極側セル枠(11)、陽極集電体(24)、貴金属層(25)、陽極触媒体(26)、陽イオン交換膜(10)、陰極触媒体(36)、陰極集電体(34)、陰極側セル枠(12)の順に配置して組み立て、図示されない締付け手段によって外側から押圧力を付与して各部材を密着させて、電解面積1dmのオゾン発生用電解セル(1)を作製した。
前記電解セル(1)を用い、電流密度2A/cm、電解液温度30±5℃で純水を電解し、陽極(20)から酸素およびオゾンの混合ガス、陰極(30)から水素ガスを生成させた。この時のオゾン電流効率およびセル電圧を表1〜3に示す。
さらに、No.11、13については2ヶ月の連続運転を行った。2ヶ月後におけるオゾン電流効率およびセル電圧を表1に示す。また、2ヶ月の連続運転後に電解セル(1)を解体し、陽イオン交換膜(10)の消耗を目視およびSEMによって観察したところ、消耗箇所は無かった。また、陽極触媒体(26)は陽イオン交換膜(10)に均一に密着しており、貴金属層(25)への付着は殆ど認められなかった。
[比較例]
上記実施例Aで用いた陽極(陽極触媒体、多孔白金箔、陽極集電体)の代わりに、下記の陽極を用いて電解セルと作製した。
陽極集電体は、チタン製びびり繊維焼結体(東京製鋼株式会社製)を中性洗剤で脱脂洗浄した後、20質量%の50℃塩酸溶液にて1分間酸洗浄した後、白金−チタン−タンタル(25−60−15モル%)からなる被覆を熱分解法により形成し、下地層を形成したものを用いた。
前記陽極集電体に対し、400g/Lの硝酸鉛水溶液を電解液として、60℃、1A/dmの条件で60分間電解するめっき処理を行い、二酸化鉛からなるめっき皮膜形成した。このめっき皮膜を陽極触媒層とした。
上記の陽極触媒層を有する陽極集電体を陽極とする電解セルを用いて、実施例Aと同じく、電流密度2A/cm、電解液温度30±5℃で純水を電解する電解試験を行ったところ、オゾン電流効率は15%、セル電圧は3.2Vであった。
さらに、2ヶ月の連続運転を実施したところ、オゾン電流効率は15.2%、セル電圧は3.3Vであった。また、2ヶ月の連続運転後に電解セルを解体し、陽イオン交換膜の消耗を目視およびSEMによって観察した。その結果、目視観察ではびびり繊維焼結体の食い込み痕跡および電解による消耗が陽極側の全面に認められた。また、SEM観察から消耗厚さを求めたところ、15μmの消耗が確認された。また、二酸化鉛は陽イオン交換上への付着は認められず、電解前と同様にびびり繊維上に留まっていた。
〔実施例B:THV共重合体を用いた陽極触媒体の製作〕
二酸化鉛は実施例Aと同じものを用いた。樹脂溶液は、パウダー状のTHV共重合体を酢酸エチルで溶解し、THV共重合体の含有比率を12質量%に調製したものを使用した。使用したTHV共重合体は住友スリーエム株式会社のTHV221AZであり、モノマー組成はテトラフルオロエチレン:40モル%、ヘキサフルオロプロピレン:20モル%、ビニリデンジフロライド:40モル%である。
表4のNo.41〜48に示す量の二酸化鉛および樹脂溶液をポリプロピレン試験管中で十分に混合し、ペースト状混合物を調製した。このペースト状混合物を清浄な平滑表面を有するガラス板(40)に移し替え、塗布幅50mm、膜厚100μmに設定したアプリケータを用いて成膜し、ガラス板(40)上でシート状体(41)を成形した。各No.のペースト状混合物における二酸化鉛とTHV三元共重合樹脂との合計量に対する二酸化鉛の含有比率を表1に示す。
次いで、ガラス板(40)上で成形したシート状体(41)を、No.41、42は室温(約25℃)で加熱することなく1分または45分保持して乾燥させた。また、No.43〜48は50℃、70℃、90℃のいずれかの温度に設定した乾燥機内で表4に示す時間乾燥させ、ガラス板(40)上において多孔性のシート状陽極触媒体(26)を得た。製造したNo41〜48の陽極触媒体(26)の空隙率は60〜70%であった。
以下、実施例Aと同じように、各No.の陽極触媒体(26)はガラス板(40)から剥離して取り出し、成膜性を評価した。その結果を表4に示す。
さらに、表4のNo.41、46、48の陽極触媒体を用い、実施例Aと同じ材料および同じ方法で図1に示す構造のオゾン発生用電解セル(1)を作製した。
前記電解セル(1)を用い、実施例Aと同じように、電流密度2A/cm、電解液温度30±5℃で純水を電解し、陽極(20)から酸素およびオゾンの混合ガス、陰極(30)から水素ガスを生成させた。この時のオゾン電流効率およびセル電圧を表4に示す。
さらに、No.48については2ヶ月の連続運転を行った。2ヶ月後におけるオゾン電流効率およびセル電圧を表4に示す。また、2ヶ月の連続運転後に電解セル(1)を解体し、陽イオン交換膜(10)の消耗を目視およびSEMによって観察したところ、消耗箇所は無かった。また、陽極触媒体(26)は陽イオン交換膜(10)に均一に密着しており、貴金属層(25)への付着は殆ど認められなかった。
Figure 0005873071
表4より、陽極触媒体において、上記の試験条件下において二酸化鉛とTHV共重合体との合計量に対して93質量%の二酸化鉛を含有させることができ、良好にオゾンを発生得ることを確認した。また、室温でもシート化が可能であることも確認し、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた実施例Aより低い温度でも短時間でシート化できることも確認した。
本発明の陽極触媒体はゼロギャップ方式のオゾン発生用電解セルの陽極触媒として好適に利用できる。
1…オゾン発生用電解セル
10…陽イオン交換膜
20…陽極
21…陽極室
24…陽極集電体または陽極基体
25…貴金属層
26…陽極触媒体
26a…ペースト状混合物塗布時のプレート接触面(ガラス板接触面)
26b…ペースト状混合物塗布時の露出面
30…陰極
31…陰極室
34…陰極集電体または陰極基体
36…陰極触媒体
40…プレート(ガラス板)
41…シート状体

Claims (10)

  1. フッ素樹脂系陽イオン交換膜の一方の面に陽極触媒体、他方の面に陰極触媒体を密着させて構成し各触媒体へ集電体を通して直流電流を供給することによって水電解を行ない、陽極ガスとしてオゾンガスを得るオゾン発生用電解セルに使用される陽極触媒体の製造方法であって、
    二酸化鉛または導電性ダイヤモンドの電極触媒粒子、フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有するフッ素樹脂およびこのフッ素樹脂を溶解させる溶媒を含み、かつ水を含まないペースト状混合物をシート状体に成形する成形工程と、成形したシート状体から溶媒を除去することにより固形化し、シート状の多孔性電極材料を形成する乾燥工程とを含み、
    前記成形工程においてペースト状混合物をプレート上に塗布してシート状体を成形し、
    前記乾燥工程を成形したシート状体をプレート上に載置した状態で行い、乾燥途中のシート状体をプレートから剥離し、シート状体をひっくり返してペースト状混合物塗布時の露出面をプレート上に置き、さらに乾燥させて残った溶媒を除去し、
    前記乾燥後にプレートから多孔性電極材料を取り出すことを特徴とする陽極触媒体の製造方法。
  2. 前記フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有するフッ素樹脂がポリビニリデンジフロライドである請求項に記載の陽極触媒体の製造方法。
  3. 前記溶媒がN−メチル−2−ピロリドンである請求項に記載の陽極触媒体の製造方法。
  4. 前記フッ素原子の一部が水素原子に置換された構造を有するフッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンジフロライドの三元共重合体である請求項に記載の陽極触媒体の製造方法。
  5. 前記溶媒が酢酸エチルまたは酢酸メチルである請求項に記載の陽極触媒体の製造方法。
  6. 前記乾燥工程を50〜90℃で15〜120分保持することにより行う請求項に記載の陽極触媒体の製造方法。
  7. 前記乾燥工程を室温〜90℃で0.5〜60分保持することにより行う請求項に記載の陽極触媒体の製造方法。
  8. フッ素樹脂系陽イオン交換膜の一方の面に陽極触媒体、他方の面に陰極触媒体を密着させて構成し各触媒体へ集電体または基体を通して直流電流を供給することによって水電解を行ない、陽極ガスとしてオゾンガスを得るオゾン発生用電解セルの製造方法であって、
    前記陽極触媒体を請求項1〜7のいずれかに記載された方法で製造し、
    前記陽イオン交換膜の一方の面に前記陽極触媒体を密着させ、他方の面に陰極触媒体を密着させ、各触媒体に集電体または基体を密着させて組み立てることを特徴とするオゾン発生用電解セルの製造方法。
  9. 前記陽イオン交換膜の一方の面に前記陽極触媒体のシート状体の成形工程におけるペースト状混合物塗布時のプレート接触面を密着させる請求項8に記載のオゾン発生用電解セルの製造方法。
  10. 前記陽極触媒体と陽極集電体または陽極基体との間に多孔性の貴金属層を配置する請求項8または9に記載のオゾン発生用電解セルの製造方法。
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