JP5873609B2 - 表面処理鋼板、有機樹脂被覆金属容器、並びに表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
クロメート処理には、被膜中に6価クロムを含有するタイプと含有しないタイプがあるが、近年、環境および労働衛生の観点から、出発原料として6価クロムを使用するものであれば、最終製品の状態にかかわらず出発原料自体への6価クロム含有を禁止しようとする動きが強まっている。
本発明の表面処理鋼板の製造方法においては、
1.表面調整工程におけるイオン含有水溶液がナトリウムイオン,アンモニウムイオン,カリウムイオンのうち1種又は2種以上のイオンを含むアルカリ性水溶液であること、
2.表面調整工程におけるイオン含有水溶液のpHが9以上であること、
が好適である。
また、表面調整工程におけるイオン含有水溶液がナトリウムイオン,アンモニウムイオン,カリウムイオンのうち1種又は2種以上のイオンを含むアルカリ性水溶液であること、表面調整工程におけるイオン含有水溶液のpHが9以上であること、が好適である。
以下に、本発明における表面処理鋼板、表面処理鋼板を利用した有機樹脂被覆容器、並びに表面処理鋼板について説明する。
Fを含有しZrを主体とする化合物被膜は、ZrOx(OH)Y―ZFZのような非結晶性の構造をとると考えられる。この被膜は、乾燥や焼成により、脱水すると共にFが抜けて、結晶成分を多く持つ酸化被膜に変化し、加熱が進むと最終的にはZrO2に近い被膜となると考えられる。しかし、通常の缶材が受ける熱履歴を越える過度の加熱は、構造変化に起因する被膜のクラックを誘発すると共に、よりセラミックスライクな被膜となるため、加工性の低下はもちろん、樹脂被覆との密着性低下を招くため好ましくない。したがって、被膜の大部分は、基本的に必要最小限のFやOHは残存するZrOx(OH)Y―ZFZのような構造に留めて置く事が好ましい。
鋼板の少なくとも片面上に形成する金属化合物の被膜量としては、Zr量が80mg/m2以上、好ましくは100mg/m2以上とする必要がある。Zr量が80mg/m2未満では、有機樹脂被覆後のクロスカット耐食性やレトルト後の有機樹脂密着性が不十分であった。また、Zr量350mg/m2を越えると必要以上に被膜を析出させる事となり、不経済であるばかりでなく、加工密着性も徐々に低下していくので好ましくない。
一方、表面処理被膜のF量としては10mg/m2以下に制御する必要がある。F量が10mg/m2を越えて、被膜中に必要以上に存在すると、レトルトのような熱水殺菌処理工程において、被膜構造の一部が水和して構造変化を起こし、被膜中に存在する過剰なアニオンであるFが溶出し易い状態となり、被膜成分の溶出による樹脂被覆との密着低下の原因となる。しかしながら、その一方で、前述のように、Fを極端に減らすことは避けなければならない。Fは被膜に必要な有効成分でもあり、F量が0.5mg/m2未満では、水和による被膜の構造変化が進行し、被膜の凝集力低下に起因し、耐食性が低下する。
本発明においては、後述するように、有機樹脂被覆や金属容器の形態に特に限定はないが、ポリエステル樹脂を被覆したプレコート表面処理鋼板を加工することにより作成したポリエステル樹脂被覆シームレス缶が、有機樹脂被覆膜との密着性や、容器構成金属成分の溶出耐性、クロスカット耐食性などの点において、最も好適に用いられる。
<被膜形成工程>
まず、本発明においては、表面処理鋼板の製造方法であって、被膜形成工程において、Zrイオン、Fイオンを含む水溶液中で、鋼板を陰極電解することにより、鋼板の少なくとも片面上に、Fを含有しZrを主体とする化合物被膜をZr量が80〜350mg/m2となるように形成する。化合物被膜を形成後の鋼板は、電解液をロールで絞った後、水洗し、更に水洗水をロールで絞った後、次の表面調整工程に送られる。また、化合物被膜を形成後の鋼板を、ロールで電解液を絞った後に、水洗を行うことなく、次の表面調整工程におくってもよい。
次いで、本発明においては表面調整工程として、上記被膜形成工程において、Fを含有しZrを主体とする化合物被膜を形成することにより得られた表面処理鋼板を、イオン含有水溶液にて、浸漬、スプレー、あるいは該水溶液中での陰極電解、のいずれか一つ以上の処理を行い、この処理により前記被膜中のF量を0.5〜10mg/m2に制御し、次いで鋼板からイオン含有水溶液をロールで絞った後、水洗し、更に水洗水をロールで絞った後、熱風等により乾燥する。
また、本発明においては他の形態の表面調整工程として、上記被膜形成工程において、基材上にFを含有しZrを主体とする化合物被膜を形成することにより得られた表面処理鋼板を、90℃以上の水でスプレー及び/又は浸漬処理を行い、この処理により前記被膜中のF量を0.5〜10mg/m2に制御し、次いで鋼板をロールで絞った後、水洗し、更にロールで絞った後、乾燥する。但し、90℃以上の水のみで処理した場合には、被膜中のF量を0.5〜1.0mg/m2範囲とするには比較例で述べるように、表面調整には3秒では不十分である。
表面調整工程には、以下の2つの意味がある。表面調整工程を経ない場合、樹脂被覆され缶成形された容器は、レトルトのような熱水殺菌処理工程において、徐々にではあるが被膜構造の一部が水和して構造変化を起こし、被膜中に存在する過剰なアニオンであるOHやFが内容品中に溶出し易い状態となる。
したがって、第1の意味は、缶用材料として樹脂被覆が施される前に、あらかじめ表面調整工程にて被膜中の過剰なアニオンを減らしておく意味合いがある。表面調整工程において、Na+,NH4 +,K+のうち1種又は2種以上のイオンを水溶液中に含むと、これらのイオンはアニオンであるFと結合し易いため効率的にFを除去するのに有効である。
また、表面調整工程においては、水溶液自体のpHをアルカリにすることが好ましい。これにより、被膜中のFは、錯イオンの形でなく遊離Fイオンの形で存在し易くなり、より効率的に除去することが可能となるのである。表面調整工程において、イオン含有水溶液のpHは9以上とすることがより好ましい。
以上のように、表面調整工程によりF量を10mg/m2以下に制御する事が可能となる。
一方、第2の意味は、過度にFを減らさないことである。適度なFは被膜に必要な有効成分でもあり、Fが存在しないか極端に少ない場合には、水和による被膜の構造変化が進行し易く、被膜の凝集力低下に起因し、表面処理被膜の耐食性低下を誘発する。したがって、表面調整工程によりF量を0.5mg/m2以上に制御する事が必要である。
また、イオン含有水溶液中で陰極電解処理を加えることにより、被膜中のFを除く効果が浸漬のみの場合よりも大きくなる。陰極電解処理に用いるイオン含有水溶液の電気伝導度は効率の点から考えると大きい方が好ましいが、少なくとも2mS/cm以上であることが好ましい。但し、前述したように、表面調整工程での水溶液のpHを高くしすぎたり、陰極電解処理での通電時間あるいは電流密度を大きくしすぎると、Fをほとんど含まない被膜となり、被膜の凝集力が低下するため、F量の管理には注意が必要である。
鋼板としては、たとえば、アルミキルド鋼連鋳材などをベースとした熱延鋼板、これらの熱延鋼板を冷間圧延した冷延鋼板、これらの熱延鋼板や冷延鋼板にZn、Sn、Ni、Cu、Alなどを含む金属めっき層を備えた鋼板などを用いることができる。これらのなかでも、本発明の目的とするZr量を大きくする用途には、金属めっき層を有しないか、めっき層を有していても表面の一部に鉄が露出している鋼板が基材として最も好適に用いられる。
なお、本発明により得られる表面処理鋼板を被覆する有機樹脂層を構成する樹脂としては、特に限定されず、本発明の表面処理鋼板の用途(たとえば、特定の内容物を充填する缶容器などの用途)に応じて適宜選択すればよいが、各種熱可塑性樹脂から成る樹脂被覆や、熱硬化性塗料又は熱可塑性塗料からなる塗膜を挙げることができる。熱可塑性樹脂から成る樹脂被覆としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フィルム、またはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、もしくはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムの未延伸または二軸延伸したものであってもよい。その中でも、イソフタル酸を共重合化してなる無配向のポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、このような有機樹脂層を構成するための樹脂は、単独で用いてもよく、異なる樹脂をブレンドして用いてもよい。
多層ポリエステル樹脂層の例を示すと、表層/下層として表示して、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン・シクロへキシレンジメチレン・テレフタレート、イソフタレート含有量の少ないポリエチレンテレフタレート・イソフタレート/イソフタレート含有量の多いポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート/[ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートとポリブチレンテレフタレート・アジペートとのブレンド物]等であるが、勿論上記の例に限定されない。表層:下層の厚み比は、5:95〜95:5の範囲にあるのが望ましい。
中でも、トコフェロール(ビタミンE)を用いることが好ましい。トコフェロールは、従来より酸化防止剤としてポリエステル樹脂の熱処理時における酸化分解による分子量低下を防止して耐デント性を向上させるものであることが知られているが、特にポリエステル樹脂に前述したエチレン系重合体を改質樹脂成分として配合したポリエステル組成物にこのトコフェロールを配合すると、耐デント性のみならず、レトルト殺菌やホットベンダー等の過酷な条件に付され被膜にクラックが生じたような場合でも、クラックから腐食が進むことが防止され、耐食性が著しく向上するという効果を得ることができる。
トコフェロールは、0.05〜3重量%、特に0.1〜2重量%の量で配合することが
好ましい。
また、本発明の製造方法により得られる表面処理鋼板の有機樹脂被覆は、T−ダイ法やインフレーション製膜法で予め製膜されたポリエステル樹脂フィルムを表面処理鋼板に熱接着させることによっても製造することができる。フィルムとしては、押し出したフィルムを急冷した、キャスト成形法による未延伸フィルムを用いることもでき、また、このフィルムを延伸温度で、逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィルムを熱固定することにより製造された二軸延伸フィルムを用いることもできる。
<缶>
本発明により得られる表面処理鋼板から形成される缶体は、前述した有機被覆表面処理鋼板から成形されている限り、任意の製缶法によるものでよく、側面継ぎ目を有するスリーピース缶(溶接缶)や、シームレス缶(ツーピース缶)、あるいは缶蓋とすることができるが、前述したように、有機樹脂との密着性の観点からZr量が大きい表面処理鋼板を利用する点を考慮すると、シームレス缶への適用がもっとも好ましい。
シームレス缶は、有機被覆が缶内面側になるように、絞り加工、絞り・再しぼり加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工或いは絞り・しごき加工等の従来公知の手段に付すことによって製造される。
また、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工、絞り・しごき加工等の高度な加工が施されるシームレス缶においては、有機被覆が押出コート法による熱可塑性樹脂被覆から成るものであることが特に好ましい。
すなわち、かかる有機被覆表面処理鋼板は、加工密着性に優れていることから、過酷な加工に賦された場合にも被覆の密着性に優れ、優れた耐食性を有するシームレス缶を提供することができる。
本発明により得られる表面処理鋼板から形成される缶蓋は、前述した有機被覆表面処理鋼板から成形されている限り、従来公知の任意の製蓋法によるものでよく、平蓋や、ステイ・オン・タブタイプのイージーオープン缶蓋やフルオープンタイプのイージーオープン缶蓋に適用することができる。
本発明の缶蓋においては本発明の有機被覆表面処理鋼板の種々の態様のものを制限なく用いて蓋を成形することができる。
なお、表面処理板の作製方法および各特性の評価方法は、以下のとおりである。
原板として、厚さ0.225mm、幅200mmの低炭素鋼板を用い、次いで、前処理としてアルカリ電解脱脂、硫酸浸漬の酸洗を行った。その後、鋼板を電解処理液に浸漬させ、陰極電解処理を行うことにより、鋼板の表面にFを含有し、Zrを主体とする化合物被膜を両面に形成した。次いで鋼板をロールで絞った後、水洗し、更に水洗水をロールで絞った。
電解処理液としては、Zr化合物としてフッ化ジルコニウムアンモニウムを溶解させ、Zr濃度6000ppm、F濃度7000ppmの組成の水溶液を用いた。
電解処理液のpH:3.0(硝酸及び/又はアンモニアにてpH調整を実施)
電解処理液の温度:40℃
陰極電解時の電流密度:10A/dm2
陰極電解時の通電方法:0.15秒通電、0.1秒通電停止のサイクルを複数回(以後、サイクル数と呼ぶ)実施した。
<表面調整工程>
被膜形成工程終了後の鋼板を、イオン含有水溶液で所定時間処理し、次いで鋼板をロールで絞った後、水洗し、更にロールで絞った後、熱風により乾燥した。
このうち、一部の鋼板については、イオン含有水で処理した後に、40℃以上の加温水で浸漬または浸漬後にスプレーする加温水洗浄を更に行ってから、熱風により乾燥した。
また、その他の鋼板は、イオン含有水処理を省略し、90〜95℃の加温水で浸漬または浸漬後にスプレーする加温水洗浄の処理を行い、次いで鋼板から加温水をロールで絞った後に、熱風により乾燥した。
各実施例および各比較例において得られた表面処理板について、蛍光X線分析装置(リガク社製、型番:ZSX100e)を用いて、金属化合物被膜に含まれるZr量を測定した。
蛍光X線分析ではF量の微量分析は定量精度の点で限界があり、特にF量1.5mg/m2以下の表面処理板から直接Fを定量する事は困難である。種々検討の結果、我々は以下の測定方法を選定した。即ち、レトルト加圧可能な特殊セルを用いて、一定面積の表面処理板を一定量の超純水に接触させた状態で、130℃で30分間のレトルト処理を行った。この処理により超純水中に抽出されたフッ素イオンをイオンクロマトグラフ(DIONEX製DX−320)により測定した。得られたF濃度から、超純水中に存在するF重量を求め、これを表面処理板の単位面積当たりに存在するF重量に換算することにより、被膜中のF量と定義した。
1.有機樹脂被覆表面処理鋼板の作製
得られた表面処理鋼板を、缶内面側となる金属板の片面上に、イソフタル酸成分を11モル%含有するポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合組成を有する、厚さ19μmの延伸フィルムを、缶外面側となるもう一方の片面上に、イソフタル酸成分を12モル%含有するポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合組成を有し、酸化チタンを含有してホワイトに着色した、厚さ13μmの延伸フィルムを、ラミネートロールを介して熱圧着後、直ちに水冷することにより、フィルムに適度な配向状態が残るように留意しながら有機樹脂被覆表面処理鋼板を得た。作製した有機樹脂被覆表面処理鋼板は、一部をクロスカット耐食性評価用として用いた以外は、金属缶の作製に使用した。
作製した有機樹脂被覆表面処理鋼板の缶内面側に相当する部分にカッターで長さ4cmの素地に達するクロスカット傷を入れ、モデル液(塩化ナトリウムとクエン酸の重量濃度がそれぞれ1.5%の水溶液)に、浸漬させて37℃で1週間経時して、腐食状態を評価した。その後、試験片をモデル液から取り出し、クロスカット部分及びその周囲について、有機樹脂層の剥離あるいは、腐食生成物の生成による変色の状態を目視評価にて観察して評価した。クロスカット部周辺において、変色またはフィルム剥離の最大幅が片側あたり2mm以上であったものを×、1mm以上2mm未満のものを○、1mm未満のものを◎とした。
得られた有機樹脂被覆表面処理鋼板の両面に、パラフィンワックスを両面に静電塗油後、直径143mmの円形に打抜き、定法に従い、径91mm、高さ36mmの絞りカップを作製した。ついでこの絞りカップを同時絞りしごき加工を2回繰り返して径が小さくハイトの大きいカップに成形した。この様にして得られたカップの諸特性は以下の通りであった。
カップ径 52.0mm
カップ高さ 111.7mm
元板厚に対する缶壁部の板厚減少率 30%
このカップはドーミング成形後、樹脂フィルムの歪みをとるために220℃で60秒間熱処理を行い、続いて開口端端部のトリミング加工、曲面印刷し、直径50.8mmにネックイン加工、フランジ加工を行い、200gシームレス缶を作製した。
作製した缶を用いて、常法に基づいて蒸留水を充填後125℃30分のレトルト処理を行った。その後、蓋を缶胴から取り外して内容品を除去後、表面処理板の圧延45度方向を境にして半分に切断した。次に、この半分に切断された缶を、1重量%塩化ナトリウム水溶液に0.02重量%の界面活性剤を添加した液に1時間浸漬後、更に圧延135度方向を境にして缶底側から更に半分にはさみで切断し、最後に切断した缶内面側ボトムラジアス部切断面の剥離状態を観察し、密着性を評価した。切断面付近に剥離が認められたものを×、切断部を先端のとがった針で触ると少し剥離するものを○、剥離が見られなかったものを◎とした。
作製した缶を用いて183gの超純水を充填し、130℃で30分のレトルト処理を行った後、超純水中に抽出されたフッ素イオンをイオンクロマトグラフ(DIONEX製DX−320)により測定した。Fが検出されたものを×、検出限界(0.1ppm)以下のものを○とした。
まず被膜形成工程に於いて、鋼板上に、サイクル数7回の陰極電解を実施し、電解処理液をロールで絞った後、常温水で水洗し、更に水洗水をロールで絞った。次いで、表面調整工程において、pH9.5に調整した40℃の炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合水溶液に1秒間浸漬後、更に95℃の熱水に1秒間浸漬した後、水溶液をロールで絞った後、水洗し、更に水洗水をロールで絞った後、乾燥することにより、表面処理鋼板を得た。
実施例1と同様に、被膜形成工程の条件および被膜量(Zr量およびF量)、表面調整工程の条件および工程通過後の被膜のF量、有機樹脂被覆表面処理鋼板および金属缶の性能評価結果を表1に記載した。但し、実施例3〜11および実施例21〜22において、加温水洗浄は、表1に記載した処理時間の前半半分を浸漬で行い、後半半分をスプレーにて実施した。また、実施例14〜16は、表面調整工程において、イオン含有水溶液中で鋼板を陰極とし、10A/dm2の電流密度で0.15秒通電、0.1秒通電停止のサイクルを2回繰り返すことにより実施した。
実施例1と同様に、被膜形成工程の条件および被膜量(Zr量およびF量)、表面調整工程の条件および工程通過後の被膜のF量、有機樹脂被覆表面処理鋼板および金属缶の性能評価結果を表2に記載した。但し、比較例6〜8および比較例10において、加温水洗浄は、表2に記載した処理時間の前半半分を浸漬で行い、後半半分をスプレーにて実施した。また、比較例9は、表面調整工程において、イオン含有水溶液中で鋼板を陰極とし、10A/dm2の電流密度で0.15秒通電、0.1秒通電停止のサイクルを4回繰り返すことにより実施した。
また、電解クロム酸処理鋼板においては、被膜中のF量は0.4mg/m2程度であるが、各実施例においては、表面調整工程後においても、被膜中のF量は0.5mg/m2以上あり、表面処理鋼板として、Zrを主体とする化合物からなる表面処理被膜を持つ鋼板の場合は、電解クロム処理鋼板よりF量が多い必要がある事が明らかとなった。
Claims (6)
- 鋼板の少なくとも片面上に、Fを含有しZrを主体とする化合物被膜を有する表面処理鋼板であって、該被膜中のZr量は80〜350mg/m2であり、F量は0.5〜10mg/m2であることを特徴とする有機樹脂被覆金属容器用表面処理鋼板。
- 請求項1に記載の有機樹脂被覆金属容器用表面処理鋼板を用いて作成した有機樹脂被覆金属容器。
- 鋼板の少なくとも片面上に、Fを含有しZrを主体とする化合物被膜を形成する表面処理鋼板の製造方法であって、Zrイオン、Fイオンを含む水溶液中で、鋼板を陰極電解することにより、該被膜中のZr量を80〜350mg/m2とする被膜形成工程と、それに続いて、イオン含有水溶液にて、浸漬、スプレー、あるいは該イオン含有水溶液中での陰極電解、のいずれか一つ以上の処理を行い前記被膜中のF量を0.5〜10mg/m2に制御する表面調整工程、とを有することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
- 前記表面調整工程における前記イオン含有水溶液がナトリウムイオン、アンモニウムイオン,カリウムイオンのうち1種又は2種以上のイオンを含むアルカリ性水溶液であることを特徴とする請求項3に記載の表面処理鋼板の製造方法。
- 前記表面調整工程における前記イオン含有水溶液のpHが9以上であることを特徴とする請求項3または4に記載の表面処理鋼板の製造方法。
- 鋼板の少なくとも片面上に、Fを含有しZrを主体とする化合物被膜を形成する表面処理鋼板の製造方法であって、Zrイオン、Fイオンを含む水溶液中で、鋼板を陰極電解することにより、該被膜中のZr量を80〜350mg/m2とする被膜を形成する被膜形成工程と、それに続いて、鋼板に対し、90℃以上の水でスプレー及び/又は浸漬を行い前記被膜中のF量を0.5〜10mg/m2に制御する表面調整工程、とを有することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
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