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JP5873802B2 - 振動波モータ及び同モータを駆動源とする発音装置 - Google Patents
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振動波モータ及び同モータを駆動源とする発音装置 Download PDF

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Description

本発明は、振動波モータ及び同モータを駆動源とする発音装置・音声振動発生装置の長寿命化に関するものである。
振動波モータは振動波を駆動源とするアクチェータの一種であり、指田年生の発明による円板進行波型超音波モータが代表例である。原理図及び速度特性を図1(a)に示す。振動波モータの特徴は、非磁性、低速高トルク、高保持トルク、精密制御性、高速応答性そして静穏性等で、多くは接触駆動から生じているものである。これらの特徴は非接触駆動である電磁モータにないものであり、それ故に振動波モータは各種機械の駆動源として特異な位置を占めて来た。いずれも個々あるいは複数の特徴を活かした用途を、切り開いてきた結果である。
また、振動波モータには複数の形式があり、それぞれ原理や用途に応じた特徴を持っている。実用化されているものは円板進行波型とその他各種とに分類でき、前者は回転駆動、後者は直動駆動と回転駆動双方が知られている。また後述のごとく、前者は実質的に接触円環部全域で接触駆動されるが、後者は点又は細線状の接触駆動域が多い。
一方接触駆動ゆえの欠点もある。最大のものは寿命で、市販品では1千から2万時間。非接触駆動の電磁モータが10万時間以上とされており、明らかに短寿命である。主要因は接触駆動時に生じる磨耗。接触時に原理的な摩擦現象が発生、結果として投入電力に対する機械出力への変換効率が低く、発熱と磨耗を引き起こしているからである。現在使用されている用途は、短寿命でも特異な性能を生かせる場合が多い。
振動波モータは用途によっても寿命が左右される。通常の公称値は主にXYステージ駆動用の場合等であり、より短くなる一例がスピーカ用駆動源である。市販のスピーカはボイスコイルモータがコーンを振動させているが、低域で原理的に不可避な共振現象が生じ、忠実な音響再生が出来ない。一方振動波モータで駆動するとこの共振現象を生じない。実施例の原理図及び速度特性を図1(b)に、また特許文献1に技術的詳細が示されている。
スピーカ用途の場合、振動波モータの作動には、1)常動性、および2)原点中心の振動と云う二大特徴がある。1)の常動性は、音と云う変化して止まない信号を再生するため。2)の原点中心の振動とは、コーン等の発音体が音声信号を受け原点中心に振動するからである。しかも二大特徴が寿命に及ぼす影響は、以下の通り前述のモータ形式により明らかに異なっている。
まず先行した円板進行波型振動波モータの特徴と寿命に関する説明を行う。前述のごとく進行波型は原理上、駆動子と移動子間の接触駆動部位が常に接触円環部全周を駆け巡る。前記図1(a)でも明らかなように、ステータと呼ばれる駆動子上に生じる進行波の波頭部分が複数あり、ロータと呼ばれる移動子を接触駆動。しかもその進行波の波頭がまさに駆動点として、全周を高速で駆け巡るからである。基本的には点接触駆動であるため磨耗もその接触点に集中するはずだが、その接触点すなわち駆動点と被駆動点が実質的に全周を駆け巡るため、駆動子と移動子の磨耗も全周に分散され、一極集中しない巧妙な機構を有している。
この特徴は前記図1(b)に示すスピーカの如き往復振動の用途でも、単に進行波の移動方向が頻繁に変わるだけで、実質的な全周接触駆動の機構はまったく同様である。従って駆動子上と移動子上の摩耗部位も特定部位に集中することなく、全周に偏在。一極集中ではないため、寿命を延ばす働きがある。しかしながらその寿命は、スピーカ用途の場合公称値よりは低い。また前記図1(b)にあるとおり速度特性にゼロクロス領域の非直線性があり、歪みの原因になって居る。
更に後述の特許文献2のごとく、固定子と回転子を互いに偏芯させて配置する事により、駆動に伴って発生する移動力で両者の相対位置を変化させて、長寿命化を目指したものもある。しかしスピーカのごとく短距離の往復振動のみを行う用途に於いては、特許文献2の場合に於いては限られた範囲のみの移動を生じるだけで、長寿命化には寄与しない。
加えて市販の進行波型回転式は、接触部位や構造部品に有機系材料を使用して居るものが多く、無機材料と比較して摩耗や変質を来たし易い。言い換えれば、摩耗部位は特定個所に集中せず全周に偏在し短寿命化を防いでいるが、材料的制約等から磨耗や特性劣化が早かったのであり、前述のスピーカ動作の特徴の内、
1)常動性、すなわち使用中はいつも動いていると云う特徴が、寿命を短くしたと言える。
この様な進行波型の限界に対する改善策がその他各種の複合振動子型振動波モータ群であり、代表的一例が縦屈曲独立励振型振動波モータであった。以下その他の代表例として、縦屈曲独立励振型を中心に説明する。進行波型が同じ圧電素子にサイン波とコサイン波を重畳、進行波を作り出しているのに対し、縦屈曲独立励振型は縦振動と屈曲振動を別個の圧電素子部分が分担、それらを複合させてモータとして作動させている。
市販品の一例としてナノモーションモータがあり、非特許文献1にその構造及び作動原理を、図2(c)にその原理図と速度特性を示す。小面積の駆動子が大面積の移動子を駆動しており、駆動点(=磨耗点)は接触部位に限定されている。しかも縦屈曲独立励振型は進行波型に比較して局圧が高く、それだけ駆動点にかかる摩擦力は大きい。一方速度特性は前記図2(c)にあるとおり、縦振動と屈曲振動を別個に制御できる為、進行波型よりは良いがまだ完全ではなかった。
通常の用途は主にXYステージの精密位置決め用で、この場合は駆動子が固定され、移動子が移動することにより被駆動点が拡がる。そのため駆動子の磨耗が寿命を左右する場合が多い。具体的には駆動子・移動子とも耐摩耗性の高い金属あるいはセラミック等を使用、前記の公称値を裏書していると思われる。しかしながら、例え2万時間でもまだ電磁モータより寿命が短い事は前述の通りである。
スピーカ用途では縦屈曲振動子型モータに於いても、低速高トルク、精密制御性、高速応答性等で振動波モータ共通の特徴を示している。しかし図2(d)に示した通り
ナノモーションモータ駆動スピーカの速度特性には、ゼロクロス歪みがまだ存在している。加えて前述のごとくスピーカ駆動機構は進行波型と異なり、縦屈曲独立励振型の場合小面積の駆動子が大面積の移動子を駆動する。結果としてスピーカ動作の特徴、2)原点中心の振動は移動子上に生じる被接触駆動領域の局部化、従って磨耗の局部化を引き起こし、前述の図(d)にある通り傷が発生。結果として短寿命化する。詳細は後述する。
以上を総括すると以下のようになる。振動波モータレベルで見ると、進行波型は寿命が短く縦屈曲独立励振型は相対的に長寿命である。ところがスピーカ用途の場合、1)常動性があり、しかも2)原点中心の振動であるため、どちらの形式ともそれぞれの理由で寿命が短くなっていた。進行波形モータの場合、実質的には全周接触駆動型だが駆動子・移動子に有機系材料を含む場合が多く、1)の常動性による劣化型。一方縦屈曲独立励振型は点接触駆動型のため、前述のごとく2)の原点中心の振動がもたらす一極集中磨耗現象が移動子上に生じ、寿命を短くしている。従って従来の振動波モータは、スピーカ用途に於いては短寿命で、商業化は困難であった。
特開2007−67999号公報 特公平7ー44849号公報 特開2010−124603号公報 特開2011−155761号公報
"HR8 Ultrasonic Motor User Manual", Nanomotion Ltd. "超音波モータを用いたスピーカ−変調型アクチュエータ への挑戦"大賀寿郎、 騒音制御Vol.34 No.3 2010.6 P211‐217 学位論文「超音波モータの摩擦特性向上に関する研究」 東京工業大学大学院 石井孝明 2000年 "エレメント・プーリ間μ向上によるベルトCVTの伝達 効率向上" 山崎正典他、自動車技術論文集 P287 −292 39(No.2)2008.3 "独立励振型振動子を用いた小型超音波アクチュエータ"、 ニッコー株式会社 2010年7月版 技術資料 P2
前述のごとく振動波モータは通常の電磁モータと比較して、明らかに共通の欠点を有している。市販品の寿命が最長2万時間とは言え、電磁モータ寿命は10万時間以上だからである。産業機械や耐久消費財の駆動源としては、まだ寿命が短い。振動波モータの技術的課題のうち、長寿命化は更なる用途開拓にとって最重要技術課題の一つ。長寿命化の努力は近年の振動波モータの歴史でもある。特に発音装置の駆動源としては1994年から発明者等が研究開発に取り組んでいるが、商品化に向け最大の課題が寿命の短さであり、長寿命化は不可欠である。
本発明が解決しようとする課題は縦屈曲独立励振型振動波モータ、および縦屈曲独立励振型振動波モータを駆動源とする発音装置の長寿命化を実現することである。寿命は一番弱いところで決まる。振動波モータの場合、駆動子が接触駆動で移動子を駆動するので、両者及び両者の関係を適切に設計する事が必須である。特に前述の発音装置の場合は、その動作が1)常動性、2)原点中心の振動、と云う動作特徴を持つ。
まず1)常動性は、振動波モータの構造に関わらず発現する。一方2)原点中心の振動は、前述のごとく振動波モータの構造によって実質的接触部位は異なる。本発明はこの点に着目。縦屈曲独立励振型であっても、移動子の被接触部位を原点に固定させない構造を得る事を課題の一つとした。同じく実質的な駆動子接触面積が、磨耗により変化せず、特性が一定になるようにする構造も考慮した。両者が相俟って更なる長寿命化が達成される事は言うまでも無い。以下に先行発明の再確認、及びスピーカ用途の実験機に於ける課題を説明する。
まず先行発明に於ける長寿命化技術を再確認する。長寿命をキーワードとして含む進行波モータ、超音波モータ関連の特許・実用新案は、出願時点で42件あった。まず具体的に長寿命化の手段等を提示している大半は、駆動子や移動子と云う接触部材の選択。一方、少数派は多岐に亘っていた。例えば放熱・吸熱手段導入によるものや、印加電圧や電極の改良によるもの。更には、機構的に奇数次高調波を発生させ、原理的に摩擦現象を減らして、摩耗を減少させるものもある。以上手段は異なるが、いずれも駆動子と移動子間の接触摩擦駆動に基づく磨耗現象の低減を主目的としていた。
次に縦屈曲独立励振型振動波モータスピーカの実験で見出した技術的課題を述べる。非特許文献1で示した、縦屈曲独立励振型であるナノモーション社製HR8の場合、駆動子は4×2のマトリックス配置。移動子であるスライダを8ヶの駆動子が駆動。直結しているコーンを駆動している。スピーカ機能は音響振動の再生であり、移動子に直結したコーンが原点中心に往復振動を行う構造である。しかし実験中に異音発生。スライダとコーンを切り離し、移動子表面を観察した所、前記図2(d)にある通り幅約1mm、長さ2mm弱の傷が5ヶ所発見された。公称寿命2万時間だが、実働百時間程度で傷が発生した。
一方駆動子は磨耗していたが傷は見当たらなかった。更に偶然切り離されたスライダだけを、音声信号で振動させたところ、スライダが振動しながらレール上で動き出した。そこでスライダのドリフト方向を持ち上げたところ、約10度の角度で移動停止。15度辺りで戻り始めた。
HR8の駆動子は直径3mmあり先端が球面の一部で、移動子は平面。両者とも材質はアルミナで硬度大であるから、接触面積は本来点のはずである。しかし実際には上記のような大きさの磨耗痕が見出されている。これは実質的には接触駆動面積が増大している事を意味し、初期の駆動条件が維持されていない証拠である。その上8ヶ所中5ヶ所に傷が見出されたという事は、63%の傷発生確率。駆動子により、移動子上の被接触駆動領域のみが集中的に接触駆動を受けた結果、異常磨耗が発生したものと考えられた。
これらの事実は、次の課題を示している。まずダイアモンドに次ぐ超硬物質であるアルミナ同士の接触駆動は、傷がつき始めると意外に傷の拡大が速い事。
また、ナノモーションのモータはオープンな環境での作動であり、空中に浮遊する超硬微粒子を巻き込む事で、想定より早く傷つく事もあり得る。これはCVTが、クリーンルームで組み立てられている事を見ても明らかであろう。
さらに、駆動子の磨耗は接触面積を変化させ、当然駆動力の変化を生じる。これらの課題は前述のスピーカ用途の特徴。2)原点中心の振動のため生じた為と推定。結果として移動子の被接触駆動領域のみが集中的に駆動負荷を受け、傷が生じ短寿命となったと推定される。従って現在の如き構造では、スピーカ用途の場合縦屈曲独立励振型本来の寿命を発揮出来ない。
本発明は振動波モータを統合的に長寿命化させる構成・機構を提案する。本発明には移動子、駆動子芯材、そして駆動子鞘と云う3種類の部材が共存する。これらの個別の材料や表面処理は多岐に亘るが、三者間の耐摩耗性の序列は駆動子芯材>移動子>駆動子鞘とする。なお耐摩耗性の定義は、それぞれの部材同士が接触摩擦をする場合、磨耗量の大小と関係し、具体的にはテーバー摩耗試験機で相対比較する。
設計方針は以下の通りである。まず小接触面積の前記駆動子芯材がモータ全体の寿命を決定する様、耐摩耗性を最大にする。一方小面積な駆動子芯材と比較すると前記移動子は大面積を有する。最善は移動子上の被接触駆動可能領域全体が摩滅する事と、駆動子芯材が摩滅する事とが同時である事が望ましい。その為第二駆動機構導入により、被接触駆動領域全体で駆動子からの駆動負荷を受けるようにする。
一方駆動子鞘は芯材の折損を防止する補強機能を旨とするが、移動子と接する時は駆動子芯材共々自ら身を削り、短くなる事で移動子を傷つけない様、耐摩耗性を最小とする。
さらに第二の駆動機構は振動波モータの本来の作動と同時に、移動子上の被接触駆動領域を相対的にドリフトさせ、駆動負荷を広範囲に分配する。
ここで更に本発明の特徴を更に明確にする為、前記特許文献2、3、4に示した先行例と本発明の相違を個別に再検討する。
まず特許文献2を再確認し、その後本発明との相違を示す。同特許は円環進行波型に於いて、回転子(=被駆動体)の中心軸を駆動子(=固定子)の中心軸に対して偏芯させて配置。超音波モータが回転する事により、偏芯から従属的に発生する駆動力で、自動的に被駆動領域を変化拡大させるものである。またその移動方向は、当然回転子の回転方向と対応する。
従って超音波モータを音声振動させた場合には、超音波モータの回転は限られた範囲内での往復振動に留まり、被駆動領域の移動も限定された範囲のみしか活用できないため、超音波モータの長寿命化には寄与しない。
一方本発明は、特許文献2のごとく回転進行波型ではなく縦屈曲独立励振型。その駆動形式も回転式及び直動式双方に対応している。またその構成・機構に於いても、積極的に第二の駆動機構を導入。移動子の運動方向に関係なく確実に被駆動点をドリフトさせ、長寿命化に寄与する。以上のごとく本発明は特許文献2とは明らかに異なっている。
次に特許文献3を再確認し、その後本発明との相違を明確にする。
特許文献3は請求項1が、“前記駆動制御部は、前記移動体を所定範囲内で移動させること、及び、前記所定範囲内で移動させる際の前記振動体と前記移動体との接触領域を変更するように前記移動体を移動させることが可能であることを特徴とする”としている。加えて特許文献3は、本来の作動と駆動領域の移動を別の時間帯に行っている。
一方本発明の構成は前述の図9ブロック・ダイアグラムのとおり、縦屈曲独立励振型振動波モータ駆動・変調回路(901)、縦屈曲独立励振型振動波モータ(902)、そして第二駆動機構(903)からなっており、全体を制御する駆動制御部は存在せず、明らかに異なる構成である。また本発明は音声再生と云う常時振動する出力を提供する事が主目的である為、本来の作動と駆動領域の移動は同時である事が不可欠。この点でも逐次移動を旨とする特許文献3とは明確に異なる。
最後に特許文献4の再確認と、本発明の相違を明確にする。
特許文献4の請求項1は“振動子先端の接触子を前記被駆動体との摩擦接触で摩耗する際に軸方向に沿って横断面の外形と横断面積が同一の状態を保つピン形部材で構成したことを特徴とする”としている。また具体的には駆動部の形状を台座とピンを組み合わせた、二段重ね構造となっている。
一方本発明は駆動子全体が芯鞘構造であり、細い駆動子だけが支持台から突き出ている先行例の構造とは明らかに異なる。具体的には図3に示したごとく駆動子を芯鞘構造とすることにより、発音・振動装置等駆動子に負担がかかる用途に於いても、鞘による強度補強効果により疲労による折損等を生じにくい。さらに駆動子全体が磨り減っても、芯部である本来の駆動子部材は同一の駆動面積を維持するため、初期駆動特性が維持される。
特に発音・振動装置は常時往復振動することが使命であり、しかも潤滑油環境に於いてはさらに局圧が高くなるため、いきおい駆動子芯材は細くなる。その為先行例では駆動子の根元に応力集中して駆動子が疲労骨折を生じ易く、結果として長寿命を達成し難い。
以上前述の如き先行発明である特許文献2−4との対比でより明確になったように、本発明に於ける移動子ドリフト機構導入と、ここで述べた芯鞘構造の駆動子導入が相俟って、前記振動波モータ及び同発音・振動装置に長寿命をもたらす。
本発明の振動波モータは、特に接触駆動域が駆動子と移動子の接触中心点付近に集中し易い用途に於いても、長寿命を達成できる。具体的には図3のごとく駆動子を芯鞘構造とし、駆動子芯材の耐摩耗性を高める事により、駆動子全体が磨り減っても、芯部である本来の駆動子部材は同一の駆動面積を維持する。かつ駆動子芯材、同鞘材、そして移動子の耐摩耗性序列を前述のごとく制御することにより、発音装置に特有な連続振動負荷に於いても、折損することなく長時間初期駆動特性が維持される。
また第二の駆動機構により、移動子上の被接触駆動域をスピーカ作動と同時にドリフトさせる。本機構により被接触駆動域が一点集中型から、特定部位に集中せず分散・広域化して、結果として移動子の磨耗が分散・広域化。移動子の長寿命化に寄与する。
以上のごとく前述の機構や構造を導入する事により、本発明の縦屈曲独立励振型振動波モータは、単にスピーカ用途のみならず同様な往復振動用途に於いても、長寿命が得られる。
進行波型回転式振動波モータ、及び振動波モータスピーカの原理図であり、3はモータ速度特性を示し、17は往復振動スピーカ速度特性を示す。 縦屈曲独立励振型振動波モータの原理図と、移動子面磨耗痕の実例であり、21はモータ速度特性を示し、22は往復振動スピーカ速度特性を示す。 芯鞘構造を持つ実施例4のハイブリッド駆動子の概念図を示す。 本発明の実施例1のリニア式縦屈曲独立励振型振動波モータ接触駆動部ドリフト機構説明図である。 図4に示した実施例1のリニア式縦屈曲独立励振型振動波モータ移動子上の、被接触駆動軌跡例である。 本発明の実施例2のシリンダ式縦屈曲独立励振型振動波モータにける、被接触駆動部ドリフト機構原理図であり、(e)はB−B切断面図、(f)はA−A断面図を示す。 本発明の実施例3のディスク式縦屈曲独立励振型振動波モータにける、被接触駆動部ドリフト機構原理図であり、(g)はD−D断面図、(i)はC−C断面図、(h)は遊星ギアのロータディスク72とシフトモジュール・ギア73の噛み合い部を示す。 図7に示した実施例3のディスク式縦屈曲独立励振型振動波モータ移動子上の、被接触駆動軌跡解説であり、代表的遊星ギアの、(j)は位置1におけるディスク位置、(k)は位置2におけるディスク位置、(l)は位置3におけるディスク位置、(m)は位置4に於けるディスク位置を示し、(n)はモータ使用途中における、ディスク上の被駆動接触軌跡例を示す。 本発明の一例である、第二駆動機構付きスピーカ駆動用縦屈曲独立励振型振動波モータ・ブロックダイアグラム図である。 ニッコー社製NU−30縦屈曲独立励振型振動波モータの速度特性を示し、101は曲げ第二次振動電圧=縦第一次振動電圧(B2=L1)とした場合、102は縦第一次振動電圧を最大値(L1:Fix(M))に固定した場合、103は縦第一次振動電圧を最小値(L1:Fix(L))に固定した場合を示す。
本発明は振動波モータ、特にはスピーカ用途の如き原点を中心とする振動を、機械的出力とする用途に於いての長寿命化を達成するため、寿命を支配している移動子と駆動子双方を最適化する。具体的には芯鞘構造を持つハイブリッド型駆動子を実施例と図3で解説する。なお駆動子芯材、駆動子鞘材、そして移動子材質 はセラミックまたは金属部材であり、選定や熱処理条件等は振動波モータ全体の寿命設計と関係し、駆動子本体の材質や移動子の大きさ及び形状等により部材選 定や諸条件が選ばれる。
一方移動子の長寿命化のため、第二の駆動機構を導入して移動子上の被接触駆動点をドリフトさせる。前述のごとく図9は構成・機構の概略を、ブロック・ダイアグラムとして示している。この内、第二の駆動機構は縦屈曲独立励振型振動波モータの形式、すなわち直動式か回転式で異なるため、実施例1−3を図4から図8にて解説する。
先ず、駆動子・移動子の3要素間では、駆動子芯材がモータ全体の長寿命を保証する為耐摩耗性を最大に、一方移動子は耐久性を旨とするが、被接触駆動時には駆動子を磨耗させない為に移動子の耐磨耗性を中間に、そして駆動子鞘は芯材の折損を防止する補強機能を旨とするが、移動子と接する時は駆動子芯材とともに自ら身を削る事で、移動子を傷つけない様耐摩耗性を最小とする。
具体的には、駆動子芯材への局圧や寿 命等の設計条件から、その寸法と材質を選定する。合わせて、移動子の耐摩耗性を駆動子より低くかつ必要な靭性を得られる材質や熱処理条件、そして駆動子鞘 材の耐摩耗性を移動子より低くする。また駆動環境を決定する。特には潤滑油環境が効率の点等から望ましい。
図9は本発明に於ける第二の駆動機構が、作動中に被接触駆動点ドリフトを行う概略を説明している。超音波発信回路(91)は、振動波モータ駆動用のもの。途中で分岐し、第二の駆動機構駆動源ともなる。また音声信号(92)は、スピーカ機能を介して音声出力する為の原信号である。変調器(93)により、超音波信号は音声変調され駆動子(94)を駆動する。
一方移動子(95)は駆動子(94)により接触駆動され、音声信号に即した振動をする。また周波数逓減器(96)は、超音波信号周波数を電気的に逓減し、ドリフト信号(97)として電気機械変換器(98)により機械へ変換され、ドリフト機構(99)を介し駆動子又は移動子を移動させ、移動子の被接触駆動中心点を、駆動子本来の音声信号に基づく機械的振動を発生中にドリフトさせる。
以上ここまでを俯瞰すると、縦屈曲独立励振型振動波モータ駆動・変調回路(901)は縦屈曲独立励振型振動波モータ(902)を駆動。第二駆動機構(903)は駆動子(94)又は移動子(95)をドリフトさせ、結果として駆動子が音声振動に基づく機械的振動を発生中に、移動子上にある被接触駆動点を相対的にドリフトさせている。
さらに実施例を説明する前に、用語の定義と接触駆動部の再確認を行う。まず直動式(以後、リニアとも称する)では駆動子をステータ、移動子をスライダとも表記する。スピーカ用途の場合、従来の縦屈曲独立励振型ではスライダが音声信号により被接触原点中心に直線往復振動し、スライダ表面に短い線分状の接触駆動に伴う軌跡を生じる。
一方、縦屈曲独立励振型回転式振動波モータをスピーカに使用する場合、駆動子をステータ、移動子をロータとも表記する。前者は固定側であり、後者はスピーカ用の場合、音声信号により回転往復振動する。回転型は2つあり、ステータとロータの接触駆動部を円周外面、すなわちシリンダとするか、円筒端部に配置されるディスクとするかの違いがある。以後前者をシリンダ型、後者をディスク型とも称する。
スピーカ用途の場合には、いずれも接触駆動部を被接触原点とする短い円弧状の往復振動を行い、ロータ上に接触駆動に伴う線分軌跡を生じる。
また、第二の駆動機構は被接触駆動域ドリフト機構とも称する。そして芯鞘構造駆動子は、ハイブリッド駆動子とも称する。更に図面表記を例えば図6(e) を、単に(e)とも略す。
実施例1は、芯鞘構造を有するハイブリッド駆動子に関するもので、図3で説明する。ハイブリッド駆動子は形状的には鉛筆に例えられ、周辺に駆動子の折損等を 防止する鞘部材(駆動子鞘)(32)を、芯部に本来の駆動子(駆動子芯)(31)を配する。鉛筆と異なる点は、その縦横比と端面形状そしてその使用法で、鞘は駆動子と共に作動時に磨耗して行く。
図9に示した試作品の場合、縦横比は長さ2.5mm、太さ3.0mmであり、駆動端面の曲率は半径30mm。また(31)に示す鞘の材質はアルミニウム、(32)の駆動子材質はアルミナで直径は1.0mmである。なお駆動を受ける移動子材質は、駆動子芯材よりは耐摩耗性が低いものの、鞘材よりは耐摩耗性の高い超硬鋼材を使用した。この耐摩耗性の序列は前述の通りである。なお縦屈曲独立励振型駆動源としては、ニッコー株式会社製の NU−30を用いた。
実施例2を図4により説明する。図4は縦屈曲独立励振型リニア振動波モータスピーカにおける被接触駆動部ドリフト機構の一例であり、以下にその動作を説明する。同図は二つの部分からなっている。前半は電気回路であり、電気回路による振動波モータ駆動信号の発生から実際の第二駆動機構の電気的駆動力発生まで。後半はその電気的駆動力に基づき機械的駆動力の発生・変換と伝達、そして最終的なリニア式に於ける移動子の被接触駆動部ドリフト機構の構成と手段を示し、長寿命化モジュールの動作を解説している。
ここでは電気回路及び、駆動の基本を解説する。電気回路は発振器、増幅器、周波数低減器、微分回路、電力増幅器からなる。発振器(振動波発振回路)(401)は本来振動波モータ駆動の為のもので、この場合周波数約55−56kHzの電気信号を発生、増幅器(402)を通ってその信号を2回路に分岐させる。
一方の信号(分割信号)(403)は音声変調器、増幅器を通じて駆動器に入り、本来の振動波モータとして、駆動子を駆動して音声信号に従った機械振動を発生させる。他方は周波数低減器(404)により約56万分の1に低減され、ほぼ0.1Hzの電気信号を作り、微分回路(405)に於いてそれを微分して10秒に1回のパルスを発生させる。
このパルスをワンショットマルチバイブレータ及び電力増幅器(406)に加え、10秒に1回の割合で時間幅0.2〜0.3秒の矩形波を作り、上下方向移動用のプランジャ(407)に供給する。プランジャによって吸引されるシャフトには桿(408)が接続されていて、その先端は歯車(409)の歯とかみ合い、1パルス1歯分歯車(409)を回転させるようになっており、パルスが終了した時点で次の歯と同様な関係位置に戻るように設定されている。
(408’)はその為のスプリングであって桿(408)の長さを変えて旧位置に戻りやすくする為のものである。今例えば歯車(409)の歯数が60であれば歯車(409)は10分で一回転する事になる。
更に実施例2の、モータ本体支持装置に於ける、上下方向の動きを説明する。歯車(409)の裏側はカム(410)となっており、その表面にモータ本体支持装置(411)の先端が接触している。歯車が回転する事により、モータ本体支持装置(411)も約10分で一往復の上下運動をする。この例では往復運動の長さを3mmに設定している。
このモータ本体支持装置の動きにより、スライダ(417)を挟み込んでいるモータ(412)が上下し、モータに固定されていて圧電素子等により加振されているステータ(413)と、スライダ(417)との相対位置も上下方向に3mm 往復移動する。
一方スライダ(417)は音声信号に基づくステータの振動を受け、スライダ支持部(415)の支えにより、ガイドレール(416)に沿って音声再生の為の往復振動を行う。その振動はリンク機構を介しスピーカに伝達される。なお、この第二の移動機構モジュールは固定座標に直結しており、一方スライダは本来のスピーカ駆動軸を保持するため、上下のガイドレールで支持されているが、図面上では一部省略されている。
実施例2のモータ本体支持装置に於ける、水平方向への動きを説明する。電力増幅器(ワンショットマルチバイブレータ及び電力増幅器)(406)の出力は分岐されて更なる周波数低減器および微分回路(418)により十六分の一に低減され、0.006Hzのパルスとなり電力増幅器(ワンショットマルチバイブレータ及び電力増幅器)(419)により増幅されてプランジャ(420)に加えられ、上記と同様な機構により160秒間に一歯の割合で歯車(422)を回転させる。
(421)はプランジャに接続されている桿である。歯車の歯数を60個にすると歯車(422)は160分に一回転する事になる。歯車(422)の表側はカム(423)となっていてその表面にモータ本体支持装置(426)の先端が接触しており、歯車(422)の回転に伴ってモータ本体支持装置(426)を移動させる。これにより圧電素子等により加振されているモータ(412’)も相対的に振動方向に8mm往復移動する。ただしこの歯車(422)に付随するカム(423)は、前述のカム(410)と異なり、頂部(カム平坦頭頂部)(424)は円周全体の160分の1に相当する長さが平坦になっている。その為、其の部分では水平移動が止まるので、結果として縦方向の移動がずれることになり、接触点が3mm×8mmの面積に均等に分布するようになっている。
図5に上記実施例2の、被接触駆動部ドリフト軌跡例を示す。このようにステータとスライダの接点が移動子にもたらす軌跡を広い面積に分散・広域化させることによって、縦屈曲独立励振型直動式振動波モータスピーカの寿命を、大幅に延長する事が可能となり有効な技術である。
実施例3を図6により概説する。図6は、図(e)及び図(f)からなり、全体が通常の概念に於ける縦屈曲独立励振型シリンダ式振動波モータとして振舞い、その内容は(601)で示される狭義のモータ兼シリンダ可動部と、(602)のドリフトモジュール(シフトモジュール)からなる。図(e)及び図(f)は、互いに相手の断面図と なっている。
図(e)は振動波モータ部分の駆動部を示しており、後述する図(f)のB−B断面図。一方図(f)は振動波モ−タ部分とドリフトモジュールを示し、前述の図(e)におけるA−A断面図である。シリンダ可動部(601)が、ドリフトモジュール(602)からの移動力を受け、スパイラル状に微速度回転シフトする機構を示している。
まず実施例3の作動前半を説明する。前述の如く図(e)は、シリンダ式の接触駆動部断面であり図(f)に於けるB−B断面を示す。
モータ本体(61)がA−A部に於いて、シリンダ面(62)に対向位置で接触する。振動波モータスピーカの場合は、2つのモータ(モータ本体)(61)の駆動子が音声信号に基づき円周方向に往復振動し、それをシリンダ面(62)がドリフトモジュール(シフトモジュール)602)を代表して駆動を受け、ドリフトモジュール軸(シフトモジュール軸)(69)とリンク機構(略)を通じて発音体を駆動、音声を発する。
この時、シリンダ面(62)は実質上ロータと一体と看做せる。また、シリンダ面は移動子そのものであり、材質や熱処理条件等は前述の諸条件に基づき選定する。使用時間に応じてロータ(63)が、ドリフトモジュール(602)に対して微速度スパイラル回転し、接触部位を変化させる。この微速度とは1分作動当たり1mm程度の移動を指しており、クォーツ腕時計の分針レベルである。
続いて実施例3の後半、ドリフトモジュール(602)の主要機能である、微速度スパイラル回転ドリフト機構を説明する。図(f)は狭義のロータ(63)の微速度スパイラル回転、及び接触域分散・広域化機構に関する。
狭義のロータ(63)は中心部にキー溝を持つ穴により、キー付き駆動軸(64)と連結されている。なお必要に応じてガタのないようにキー溝部分で圧着バネによる緊定や、メカニカルダンピング用部材を援用する。このキー付駆動軸(64)はドリフトモジュール筐体(66)の中で、クォーツ時計類似の微速度ドリフト駆動源(クォーツ時計発振部)(67)により駆動される。
同時に狭義のロータ(63)の内円部にあるネジは、ドリフトモジュール筐体(シフトモジュール)(66)の外円部にあるネジと嵌合しており、ロータ部全体(601)が微速度回転する。しかも単に円周方向に微速度回転するのみではなく、軸に平行な方向に対しても徐々に移動する。従って狭義のロータ(63)上の接触部は、シリンダ面(62)にスパイラルを描くように移動して行く。
位置センサー(65)が折り返し点を検知すると、駆動源(67)(略)を上下動させ、逆転ギア(68)を介してドリフト方向を反転させる。なお逆転作動の際ギア部の遊びにより、反転作動までに有限の時間経過が生じ、結果として反転軌道は正転とは異なるので、必然的に接触駆動域の分散化と広域化がなされる。本来の音声信号に基づく往復動回転振動は、ドリフトモジュール軸(シフトモジュール軸)(69)から発音体に伝達される。
ここでは実施例4を図7と図8で説明する。図7は狭義の振動波モータ(701)と、ドリフトモジュール(702)からなる。両者はセットビスで着脱可能である。同図はディスク縦屈曲独立励振型回転型振動波モータの接触駆動部ドリフト機構概念図であり、振動波モータスピーカのサブシステムである。更に図8は、図7で示したディスク回転型振動波モータ上に於ける、接触軌跡例等の解説図である。
まず実施例4に於ける、縦屈曲独立励振型ディスク式振動波モータの作動前半を、図7により説明する。3つの部分からなり、図(g)は、ドリフトモジュール(702)の中心的機能、軌道分散・広域化を発現するための機構説明図である。図(i)のD−D断面図であり、偏芯カム(71)遊星回転ギア(ロータのディスク部分)(72)およびドリフトモジュール本体ギア部(シフトモジュールギア部)(73)からなる。
図(h)はドリフトモジュール内面固定ギア(73)と、遊星回転ギア(72)間の、噛み合い部位拡大図。前述の如く図(i)のD−D断面図であり、偏芯カム(71)が以下に説明する駆動力を受けて微速度回転する。一方、図(i)は図(g)のC−C 部断面図である。ディスク回転型振動波モータの一部省略した本体部(狭義の振動波モータ)
(701)と、ドリフトモジュール(シフトモジュール本体)(702)を示している。
続いて後半の説明を行う。この遊星回転ギア(72)の微速度シフト回転は、図(i)に示されているとおり振動波モータ内のディスク状ロータ(75)に、コネクタを通じて直結されており、結果として駆動子(狭義の振動波モータ本体)(74)によるロータ(75)上の被接触駆動部が描く軌跡が分散・広域化される。
このような動作を可能にするために、駆動子(74)はドリフトモジュール(702)の回転中心に対称な位置に配置され、前述のロータ(75)と共に振動波モータ(701)を形成。一方ドリフトモジュール(702)は、前述のシリンダ式と同様微速度ドリフト駆動源(クォーツ時計駆動源)(77)(略)が、使用時間に比例して偏芯カム(71)を微速度回転させる。
ドリフトモジュール軸(シフトモジュール軸)(78)が、発音体を駆動することは実施例3と同じ。またシリンダ式と同様、これらの微速度ドリフト機構が音響振動で不要な共振を生じないよう、圧着バネ使用やダンピング処理を施すことも有用である。この場合の被接触駆動部ドリフト速度も、実作動時間1分あたり1mm程度である。
結果として、被接触駆動部はディスク上に中心が揺動するため、少しずつ中心が移動する円形図形を、微速度でドリフトしながら描き続けることとなる。代表的軌跡例を図8に示しており以下に詳述する。
前述の如く図8は、図7で示した縦屈曲独立励振型ディスク回転式振動波モータスピーカにおいて、第二の駆動機構によるディスクの動きとその結果生じる軌跡例である。図j、図k、図l、そして図mは、ディスク上の被駆動面が図7に示した機構により、遊星回転シフトした時の代表的相対位置を示している。
図nは、モータの使用が進んで、ロータの遊星運動が多数回生じた後の、被接触駆動軌道群の一例を表示したものである。実際の軌跡は、一種のサイクロイドとなり、遊星ギア比や駆動子の配置で異なってくる。ギア比および駆動子の配置等の諸元は、被駆動接触軌道間での重畳部分を少なくしながら軌跡を拡げ、かつディスク上の有効接触面を最大限に活用するように定める事が望ましい。
この様にリニア式、シリンダ式、あるいはディスク式かにより、接触駆動部が描く図形の形態、発生個所と、接触点の在り方も異なってくる。しかし本発明の主眼である被接触駆動部の分散・広域化を図ると言う点では共通。加えて点接触のみならず、線接触系に於ても、同様な接触部の分散・広域化は有用である。
更に共通技術として接触部を当初の軌跡以外にドリフトさせる手段の駆動源としてクォーツ時計駆動源、あるいは実施例2で示したように、振動波モータの発振機構を駆動源として使用してもよい。クォーツ時計を使用する場合、電池電源で駆動できるため、移動子側へのドリフトモジュール設置の場合でも配線が不要である。
本実施例の場合、駆動子全体の大きさはほぼHR8個別の駆動チップと匹敵する大きさだが、磨耗が進んでもその実効的接触駆動面積はHR8のごとく3mm直径の全断面積には広がらず、最大でも1mm径を超える事はない。
なお、鞘用部材に求められる性質は、前記のごとく移動子よりは耐摩耗性が低く、また粘り強さを兼ね備え補強と云う役割を果たし、かつ磨耗しても質量の変化が少ないよう比重の小さい部材が望ましい。また比重が大きいと質量変化が大きく、共振周波数が変化する等駆動条件が変化しやすい。この意味でアルミニウムは有用である。
更には振動子モータ駆動源を、通常のドライ環境ではなく潤滑油環境に於いて使用する利点を述べる。従来の進行波型回転式振動波モータは、その生い立ちからドライ環境であった。振動波モータは原理的に摩擦駆動による駆動力発生方式。潤滑油とは相容れない性格であったからである。
しかしその後の研究により、ドライ環境下に於いてもある種の潤滑作用が有用であることが判り、実質的に固形潤滑材を摩擦面に導入している機種もある。更に積極的に潤滑油環境を導入、効率と寿命を飛躍的に向上させる研究が現在一部の発明者等により進行中。既に効率72%と言うドライ環境の2倍近い実績(非特許文献3)があり、当然縦屈曲独立励振型振動波モータスピーカ用途に於いても、その利点を生かすことは有用である。
なお潤滑油環境下に於いては局圧が増加し、しかも管理がドライより一段とその重要性を増す。潤滑油を用いた場合は、局圧をあげる為に駆動子面積は小さくなり、かつ摺動面の接線力係数は圧力の大きさによって大きく変わることが知られており、その挙動はストライベック曲線によって説明される。
当然この場合の圧力とはミクロな意味での局部圧力を指しており、同じ外部圧力でもその接触面積が変化すれば、当然接線力係数も変化する。例えば駆動子の磨耗によりミクロな接触面積が一桁増加すれば、局圧は逆方向に一桁減少。その摩擦駆動力変化は更に大幅になる事を、ストライベック曲線は教えている。
従って潤滑油環境の利点を活用するためには、前記実質的接触面積の恒常化は必須である。さらに作動により必然的に発生する磨耗粉塵を飛散させず、潤滑油内にスラッジとして取り込むこと。さらにスラッジを無害化するキレート化合物等の添加等も、作動環境の保全にとって有用である。
また潤滑油環境下の駆動源に於いて、駆動子の表面をミクロの母型とする技術に関して説明する。この知見は一見まったく無関係な世界であるCVT型自動変速機(非特許文献4)から得たもの。ベルト式CVT型無段変速システムに於いて、効率向上に役立っている被接触表面の形状制御技術を、振動波モータ研究に導入 したものである。
中でも駆動側接触表面のミクロな構造や、潤滑材の種類を組み合わせる事による摩擦係数の向上は、結果として振動波モータの効率向上にも役立つ事が予測され、特にDsumの制御に着目している。さらにCVT潤滑油でも活用されているように、添加金属塩等による化学的表面改質技術も用できる。これらの技術は振動波モータスピーカ用途のみならず、通常の使用法すなわち位置決め的使用法に於いても有用であり、その用途は広い。
更に潤滑油環境を維持する為にはこれもCVT同様外部との関係を絶つ必要がある。これは潤滑油の流出を防ぐ事と、外部からの超硬物質の粉塵混入を防止する為である。
他にも多くの工業的に知られた実効駆動面積維持方法はある。例えば、ウイスカーの束を金属や無機材料で固めたものや、各種のバイトでよく見られる砥粒を焼結金属で固めた形式などである。いずれも設計段階では、振動波モータの設計仕様に基づき、保証寿命と使用条件やコストに見合わせて、前述の駆動子と移動子の材質、寸法や熱処理条件の選定を行う。
最後に縦屈曲独立励振型振動波モータスピーカの消費電力に関する特徴、およびスマート電力化を説明する。まず消費電力に関して、導電型スピーカと比較する。 前述の通り導電型スピーカは変換器であり、音声出力と消費電力の関係はy∝x、すなわち正比例している。この場合yは再生音圧、xは投入電力である。
一方縦屈曲独立励振型振動波モータスピーカは、明らかに異なっていた。音声出力と消費電力はy∝bx’+lの関係で示す事ができ、“b”は屈曲振動電圧、 “l”は縦振動電圧に関連する係数である。これは一種の変調型。つまり音声出力と投入電圧とが、一次式の関係にある。但しyは同じく音声出力だが、x’は 音声信号電圧であって電力ではない。なおx’と電力の詳細な関係は奥深いものがあり、今後の研究に待つ。
この両者の消費電力比較を行うと、導電型 は前述のごとく音声出力と消費電力は常に正比例。一方縦屈曲独立励振型振動子型モータスピーカは“b”が1以下なら、スピーカの低消費電力化可能領域が存在する。例えばナノモーションの場合“b”は0.3程度。10倍の音圧を出す時に、消費電力の増加分は3倍程度であった。つまり縦屈曲独立励振型振動波 モータスピーカの場合、ある音量以上に於いては、従来からある導電型より小電力化が可能と云うことである。
次いでスマート化について説明する。音声信号電圧は平均出力とピーク出力の差が非常に大きい。この点に着目し、スマート化を2つの視点から検討した。着眼点は3)マスターボリュームと、4)適応処理だった。3)のマスターボリュームは再生時にユーザーが設定する。内部的には再生音圧の最大値と直結。具体的に は音声再生に於けるb”の最大値を決める事と実質的に同義であり、“l”を有限幅内にて設定した。
図10はニッコー社製NU−30縦屈曲独立励振型振動波モータに於ける、B2とL1の変動に伴う速度特性を示したもの。点線はB2=L1、すなわち両者を共に変化させた場合で、ゼロクロス領域に於いて不感帯がある。一方一点鎖線L1Fix(M)の場合は、ゼロクロスに於ける不感帯が無い。
この時のL1Fix(M)=3.3Vrmsであった。またL1Fix(L)=11Vrmsが実線で示されている。マスターボリュームは再生音圧の最大値と直結。具体的には音声再生に於けるb”の最大値を決める事と実質的に同義であり、l”をルックアップテーブル等で有限幅内にて設定した。L1Fix(L)とL1Fix(M)を比較すると、一次項の“l”は最大値の30%で十分作動する。
一方4)の適応処理は小音量時のモータ駆動条件を、音声変換効率を一定に保ちながら、音声信号電圧の変動を活用して、更に小電力化する事を指す。だがこのスマート化を目指すためには、もう一つ要因が増加する。それは前述のB2やL1設定がスタティックであった為考慮が不要であったが、ダイナミック制御を行う為には更なる制御要因が不可欠となったからである。
再び図10をご覧頂きたい。速度特性の係数を見ると、実線のL1Fix(L)は0.20m/sで、一方一点鎖線のL1Fix(M)は0.12m/s。同じ音声入力電圧では、音声出力として5dB程度の開きを生じる。この差をAMラジオで使用されているAVC(Automatic Volume Control)で補償し、音声出力を一定に保つ。但し通常のAVCは、最大入力を抑える使用法だがここでは逆、すなわち小音声入力電圧をブーストする。このゲインをg”で表わすとy∝gbx’+lとなり、“b”の落ち込み分をg”が補償する。
具体的には音声信号電圧の先行把握に基づき、x’が傾向として大きく変動する場合にスマート化する。この操作は機械的作動がmsオーダーの遅れを生じる事を 活用し、音声信号のエンビロープを先行把握して振幅の予測を行い、振幅の増大局面では音声信号より先行してl”を上昇させ、一方下降局面では信号に追随 する形でl”を低減させた。
このような適応処理により、例えマスターボリュームが最大であっても、実質的なl”は音声信号電圧次第で、可能な限り適応式低減させることにより、結果として投入電力のスマート化を達成できた。
以上をまとめると、縦屈曲独立励振型振動波モータスピーカ自身変調器の為、従来式に比較し小電力化に寄与可能であるが、適応化により更にオーディオのスマート化に寄与出来る。
縦屈曲独立励振型振動波モータでスピーカ駆動を行う場合、駆動子の磨耗に伴う接触駆動力変化や、移動子の局部磨耗を防ぐことにより長寿命化出来る。また、スピーカと類似の往復振動や作動プログラムが定型的である場合に於いても、従来品より長寿命化できる。
1. ステータ
2. ロータ
10.オーディオアンプ
11.駆動回路
12.回転式振動波モータ
13. 連結棒
14.エッジ
15.コーン
16.アーム
31.駆動子鞘
32.駆動子芯
401.振動波発振回路
402.増幅器
403.分割信号
404.周波数低減器
405.微分回路
406.ワンショットマルチバイブレータ及び電力増幅器
407.プランジャ
408.棹
409.歯車
410.カム
411.モータ本体支持装置
412.& 412’.モータ
413.ステータ
414.& 414’. 移動距離(3mm)
415.& 415’.スライダ支持部
416.& 416’.ガイドレール
417.スライダ
418.微分回路
419.ワンショットマルチバイブレータ及び電力増幅器
420.プランジャ
421.棹
422.歯車
423.カム
424.カム平坦頭頂部
425.移動距離(8mm)
426.モータ本体支持装置
61.モータ本体
62.シリンダ面
63.ロータ
64.キー溝つき駆動軸
65.位置センサ
66.シフトモジュール
67.クォーツ時計発振部
68.逆転ギア
69.シフトモジュール軸
601.シリンダ可動部
602.シフトモジュール
71.偏芯カム
72.ロータのディスク部分
73.シフトモジュール・ギア部
74.狭義の振動波モータ本体
75.ロータ
76.遊星ギア噛み合い部分
77.クォーツ時計駆動源(略)
78.シフトモジュール軸
701.狭義の振動波モータ
702.シフトモジュール本体
91.超音波発信回路
92.音声信号
93.変調器
94.駆動子
95.移動子
96.周波数逓減器
97.ドリフト信号
98.電気機械変換器
99.ドリフト機構
901.縦屈曲独立励振型振動波モータ駆動・変調回路
902.縦屈曲独立励振型振動波モータ
903.第二駆動機構

Claims (10)

  1. 駆動子が移動子を接触駆動する振動波モータに於いて、前記駆動子は芯鞘構造を有し、前記芯鞘構造の芯材は本来の駆動子であり前記鞘材は芯材の長期振動負荷による折損防止を主機能とする補強材であって、その構造は単層のみならず複層でも良く、これら構成要素素材間の耐摩耗性序列が、芯材>移動子>鞘材であって、振動波モータが長期間に亘って使用されている間、前記芯材と前記鞘材が前記移動子との摩擦駆動に伴って、共に摩滅していくことを特徴とする振動波モータ。
  2. 前記駆動子が前記移動子を接触駆動する機構を第一駆動機構とした時、これとは別に第二駆動機構を有し、前記第一駆動機構が移動子にもたらす第一の移動方向に対し、前記第二駆動機構は前記接触駆動領域である第一の移動方向とは異なる、第二の方向に移動させる請求項1に記載の振動波モータ。
  3. 前記接触駆動を行う界面を含み、前記移動子がもたらす駆動力の出力軸端を除く主要部分を閉空間内に設置し、潤滑油を前記閉空間内部に密封する請求項1または2に記載の振動波モータ。
  4. 前記芯材の形状が円柱又は多角柱である請求項13のいずれかに記載の振動波モータ。
  5. 前記移動子が平面であり、かつ前記接触駆動領域が前記移動子上で振動及び移動する請求項14のいずれかに記載の振動波モータ。
  6. 前記移動子が円筒面であり、かつ前記接触駆動域が前記移動子上で振動及び移動する請求項14のいずれかに記載の振動波モータ。
  7. 前記駆動子が台の上に設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の振動波モータ
  8. 前記接触駆動域が移動子上を第二の駆動機構で移動することにより生じる軌跡が、繰り返される矩形波の重なりであったり、円筒外面にスパイラルな軌跡を幾重にも書き残したり、一種のサイクロイドの繰り返しであったりする請求項2〜7のいずれかに記載の振動波モータ。
  9. 請求項18のいずれかに記載の振動波モータを振動源として使用することを特徴とする音声振動を発する発音装置または音声振動発生装置。
  10. 発生音圧または振動振幅に応じて駆動電力を適応制御する振動波モータを駆動源とする請求項9に記載の音声振動を発する発音装置または音声振動発生装置。
JP2012542932A 2010-11-10 2011-11-08 振動波モータ及び同モータを駆動源とする発音装置 Active JP5873802B2 (ja)

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