以下に、本発明に係る苗移植機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る苗移植機の側面図である。図2は、実施形態に係る苗移植機の平面図である。なお、以下の説明においては、前後、左右の方向基準は、操縦席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。同図に示す苗移植機1の走行車体2は、左右一対の前輪4と、同様に左右一対の後輪5とを有しており、走行時には各車輪が駆動する四輪駆動車としている。また、走行車体2の後部には、苗植付部昇降機構50によって昇降可能な苗植付部40が備えられている。
この走行車体2は、車体の略中央に配置されたメインフレーム7と、このメインフレーム7の上に搭載されたエンジン10と、エンジン10の動力を駆動輪と苗植付部40とに伝える動力伝達装置15と、を備えている。つまり、本実施形態に係るこの苗移植機1では、エンジン10の動力が走行車体2を前進や後進にさせるために用いるのみでなく、苗植付部40を駆動させるためにも使用され、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。
また、エンジン10は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ26よりも上方に突出させた状態で配置されている。また、フロアステップ26は、走行車体2の前部とエンジン10の後部との間に渡って設けられており、メインフレーム7上に取り付けられており、その一部が格子状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とせるようになっている。また、このフロアステップ26の後方には、後輪5のフェンダを兼ねたリアステップ27が設けられている。このリアステップ27は、後方に向うに従って上方に向う方向に傾斜した傾斜面を有しており、エンジン10の左右それぞれの側方に配置されている。
エンジン10は、これらのフロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出しており、これらのステップから突出している部分には、エンジン10を覆うエンジンカバー11が配設されている。即ち、エンジンカバー11は、フロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出した状態で、エンジン10を覆っている。
また、走行車体2には、エンジンカバー11の上部に操縦席28が設置されており、操縦席28の前方で、且つ、走行車体2の前側中央部には、操縦部30が配設されている。この操縦部30は、フロアステップ26の床面から上方に突出した状態で配置されており、フロアステップ26の前部側を左右に分断している。
この操縦部30の内部には、各種の操作装置やエンジン用燃料の燃料タンク等が配設されており、操縦部30の前部には、開閉可能なフロントカバー31が設けられている。また、操縦部30の上部には、操作装置を作動させる操作レバー等や計器類、ハンドル32が配設されている。このハンドル32は、作業者が前輪4を操舵操作することにより走行車体2を操舵する操舵部材として設けられており、操縦部30内の操作装置等を介して前輪4を転舵させることが可能になっている。また、レバーとしては、走行車体2の前後進及び走行速度を操作する走行操作部材である変速レバー35と、苗植付部40の動作状態を、少なくとも苗植付部昇降機構50による上昇状態を含んで切り替えることができる植付操作部材である植付昇降レバー36と、が配設されている。具体的には、植付昇降レバー36は、苗植付部40の昇降状態を切り替えることが可能になっている。
また、フロアステップ26における操縦部30の左右それぞれの側方に位置する部分には、補給用の苗を載せておく予備苗載台130が配置されている。この予備苗載台130は、フロアステップ26の床面から突出した支持軸(鉛直軸)によって回転自在に支持されており、作業者の手によって回動させることが可能になっている。
また、動力伝達装置15は、主変速機としての油圧式無段変速機16と、この油圧式無段変速機16にエンジン10からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構17と、を有している。このうち、油圧式無段変速機16とは、HST(Hydro Static Transmission)と云われる静油圧式の無段変速機として構成されている。このため、油圧式無段変速機16は、エンジン10からの動力で駆動する油圧ポンプによって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータで機械的な力(回転力)に変換して出力する。
この油圧式無段変速機16は、エンジン10よりも前方で、且つ、フロアステップ26の床面よりも下方に配置されており、本実施形態に係る苗移植機1では、走行車体2の上面から見て、エンジン10の前方に配置されている。
また、ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10の出力軸に取り付けたプーリと、油圧式無段変速機16の入力軸に取り付けたプーリと、双方のプーリに巻き掛けたベルトと、さらに、このベルトの張力を調整するテンションプーリと、を備えている。これにより、ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10で発生した動力を、ベルトを介して油圧式無段変速機16に伝達可能になっている。
さらに、動力伝達装置15は、エンジン10からの出力がベルト式動力伝達機構17と油圧式無段変速機16とを介して伝達されるミッションケース18を有している。このミッションケース18は、メインフレーム7の前部に取り付けられている。ミッションケース18は、ベルト式動力伝達機構17と油圧式無段変速機16とを介して伝達されたエンジン10からの出力を、当該ミッションケース18内の副変速機で変速して、前輪4と後輪5への走行用動力と、苗植付部40への駆動用動力とに分けて出力可能になっている。
このうち、走行用動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース21を介して前輪4に伝達可能になっており、残りが左右の後輪ギヤケース22を介して後輪5に伝達可能になっている。左右それぞれの前輪ファイナルケース21は、ミッションケース18の左右それぞれの側方に配設されており、左右の前輪4は、車軸を介して左右の前輪ファイナルケース21に連結されている。また、この前輪ファイナルケース21は、ハンドル32の操舵操作に応じて駆動し、前輪4を転舵させることが可能になっている。同様に、左右それぞれの後輪ギヤケース22には、車軸を介して後輪5が連結されている。一方、駆動用動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチ(図示省略)に伝達され、この植付クラッチの係合時に植付伝動軸(図示省略)によって苗植付部40へ伝達される。
また、走行車体2の後部に備えられる苗植付部40を昇降させる苗植付部昇降機構50は、昇降リンク装置51を有しており、苗植付部40は、この昇降リンク装置51を介して走行車体2に取り付けられている。この昇降リンク装置51は、走行車体2の後部と苗植付部40とを連結させる平行リンク機構52を備えている。この平行リンク機構52は、上リンクと下リンクとを有しており、これらのリンクが、メインフレーム7の後部端に立設した背面視門方のリンクベースフレーム53に回動自在に連結され、各リンクの他端側が苗植付部40に回転自在に連結されることにより、苗植付部40を昇降可能に走行車体2に連結している。
また、苗植付部昇降機構50は、油圧によって伸縮する油圧昇降シリンダ54を有しており、油圧昇降シリンダ54の伸縮動作によって、苗植付部40を昇降させることが可能になっている。苗植付部昇降機構50は、その昇降動作によって、苗植付部40を非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(対地植付位置)まで下降させたりすることが可能になっている。
また、苗植付部40は、苗を植え付ける範囲を複数の区画、或いは複数の列で植え付けることができ、本実施形態に係る苗移植機1では、苗を4つの区画で植え付ける、いわゆる4条植の苗植付部40になっている。この苗植付部40は、植付装置41と、苗載せ部45及びフロート47を備えている。このうち、苗載せ部45は、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面46を有しており、それぞれの苗載せ面46に土付きのマット状苗が載置することが可能になっている。これにより、苗載せ部45に載置した苗が植え付けられて無くなるたびに、圃場外に用意している苗を取りに戻る必要が無く、連続した作業を行えるので、作業能率が向上する。
また、植付装置41は、苗載せ部45に載置された苗を圃場に植え付ける装置になっている。この植付装置41は、2条毎に1つずつ配設されており、2条分の植付爪42を備えている。また、フロート47は、走行車体2の移動と共に、圃場面上を滑走して整地するものであり、走行車体2の左右方向における苗植付部40の中央に位置するセンターフロート48と、左右方向における苗植付部40の両側に位置するサイドフロート49と、を有している。
また、苗植付部40の下方側の位置における前側には、圃場の整地を行う整地用ロータ160が設けられている。この整地用ロータ160は、後輪ギヤケース22を介して伝達されるエンジン10からの出力によって回転可能に構成されている。
また、苗植付部40の左右両側には、次の植付条に進行方向の目安になる線を形成する線引きマーカ165が備えられている。即ち、線引きマーカ165は、苗移植機1が圃場内における直進前進時に、圃場の畦際で転回した後に直進前進する際の目印を圃場上に線引きする。この線引きマーカ165は、マーカモータ166(図10参照)によって作動し、走行車体2が旋回するごとに、左右の線引きマーカ165が入れ替わって作動することができるように構成されている。この左右の線引きマーカ165の入れ替えは、マーカモータ166が接続されるコントローラ200(図10参照)によって行う。即ち、コントローラ200は、走行車体2の旋回時に、左右の線引きマーカ165を交互に作動状態と非作動状態とに切り替えるマーカ切替装置としても設けられている。
また、走行車体2における操縦席28の後方には、施肥装置150が搭載されている。この施肥装置150は、肥料を貯蔵する肥料タンク151と、肥料タンク151内の肥料を一定量ずつ下方に繰り出す肥料繰出部152と、繰り出された肥料を施肥ホース154によって苗植付部40側に移送するブロア153と、を有している。さらに、施肥装置150は、苗植付部40の下方に配設されると共に、施肥ホース154によって肥料が移送される施肥ガイド155と、施肥ガイド155の前側に設けられると共に、施肥ホース154によって移送された肥料を、苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む作溝器156と、を有している。
図3は、ステアリングアームの平面図である。図4は、図3のB−B矢視図である。走行車体2には、ハンドル32の操舵を受けて前輪4を回動させるステアリングアーム60が、走行車体2の前方底部側に配設されている。即ち、ステアリングアーム60は、当該ステアリングアーム60に連結される操舵シャフト33が、ハンドル32の回転時に回転トルクが、ピニオン機構、またはパワステ機構を介して伝達されることにより回動し、この操舵シャフト33の回動に伴ってステアリングアーム60も回動する。このように、ハンドル32の操舵時は、ステアリングアーム60は、操舵シャフト33を回動支点として回動し、また、ステアリングアーム60は、ハンドル32を操舵することにより回動する旋回連動アームとなっている。
このステアリングアーム60の左右方向における両端には、それぞれタイロッド(図示省略)が連結されるタイロッド連結部61が形成されている。このタイロッド連結部61に連結される2本のタイロッドは、左右の前輪ファイナルケース21に取り付けられているナックルアーム(図示省略)に連結されており、ステアリングアーム60の動きをナックルアームに伝達可能になっている。これらにより、ハンドル32を操舵することにより、左右の前輪4の操舵が可能になっている。
また、ステアリングアーム60は、左右方向における中央付近に、前方に延在する回動伝達部65を有しており、回動伝達部65の先端、即ち、回動伝達部65における操舵シャフト33が位置する側の反対側の端部付近に、取付ピン66が配設されている。この取付ピン66は、ハンドル32が直進位置にあるときに、走行車体2における機体左右方向の中央部に位置している。
このステアリングアーム60の前方には、ステアリングアーム60の回動に連動し、苗植付部昇降機構50を作動させることができる作動アームであるオートリフト作動アーム70が配設されている。即ち、本実施形態に係る苗移植機1は、ハンドル32の旋回操作に連動して苗植付部昇降機構50等を作動させる旋回連動制御が可能になっており、オートリフト作動アーム70は、この旋回連動制御で用いられる部材になっている。
オートリフト作動アーム70は、ステアリングアーム60の取付ピン66に対して、連結スプリング75によって連結されている。この連結スプリング75は、伸縮性を有してステアリングアーム60とオートリフト作動アーム70とを連結することにより、双方の距離が変化可能な状態で、ステアリングアーム60の回動をオートリフト作動アーム70に伝達する伸縮部材として用いられている。さらに、連結スプリング75は、2本が用いられており、2本の連結スプリング75は、ステアリングアーム60が有する上面側と下面側とで、取付ピン66とオートリフト作動アーム70とを連結している。
また、このように、取付ピン66は、連結スプリング75を取り付ける取付部材としてステアリングアーム60に設けられており、ステアリングアーム60の回動支点よりも前側に配設されている。また、オートリフト作動アーム70における連結スプリング75との連結部分は、走行車体2が有する前側フレームであるフロントフレーム8の後方側に位置している。このため、連結スプリング75は、フロントフレーム8の後方側で、ステアリングアーム60とオートリフト作動アーム70とを連結している。
また、オートリフト作動アーム70は、上方に向うスプリング側連結部71と、一端がスプリング側連結部71に連結されて水平に横に伸びる軸である回動軸72と、回動軸72における他端側に連結されると共に、連結部分から上方に延びるケーブル側連結部73と、を有している。さらに、ケーブル側連結部73の上端部分には、アーム用ケーブル77が、連結部材78によって回動自在に接続されている。このように構成されるオートリフト作動アーム70は、回動軸72を中心として一体となって回動可能になっており、これにより、スプリング側連結部71とケーブル側連結部73とは、回動軸72を中心とする方向に回動する。
連結スプリング75は、このうちスプリング側連結部71に連結しており、ステアリングアーム60とスプリング側連結部71との距離を変化させることができる状態で、双方を連結している。なお、このようにステアリングアーム60とオートリフト作動アーム70とを連結する連結スプリング75は、ハンドル32が直進位置にあるときには、自由長になるように、相対的な位置関係、及び連結スプリング75の特性が設定されている。
なお、連結スプリング75を上下方向に2本設けるときは、図5で示すように、上側の連結スプリング75の外周を覆うスプリングカバー75aを設ける構成としてもよい。これにより、旋回操作時に伸張した上下の連結スプリング75,75が、旋回操作終了時に収縮する際に噛み合って十分に収縮しなくなることや、次の旋回操作時にハンドル32の操作量と合致しない伸張量になることを防止できるので、苗植付部40の上昇のタイミングが遅くなることが防止され、苗植付部40による苗の押し倒しが防止される。
図6は、切替カム付近を示す斜視図である。図7は、切替カムの正面図である。オートリフト作動アーム70に接続されるアーム用ケーブル77の他端側は、ハンドル32の操舵に応じて苗植付部40を自動的に上昇させる機構であるオートリフト機構を構成するオートリフトアーム90に接続されている。即ち、アーム用ケーブル77は、オートリフトアーム90とオートリフト作動アーム70とを連結して、オートリフト作動アーム70の動作をオートリフトアーム90に伝達するアーム連繋部材として設けられている。オートリフト機構は、他に切替カム80、バックリフトアーム95、バックリフト入切レバー96、位置決めローラ105を有して構成されている。
これらの各部材について説明すると、切替カム80は、板状の部材によって形成されており、中央付近に横長形状の孔である位置決め孔81が形成されており、この位置決め孔81の上側端縁には、上方に凸となる円弧状に形成される4つの位置決め部82が形成されている。即ち、位置決め孔81の上側端縁には、第1位置である上昇位置83と、第2位置である停止位置84と、第3位置である下降位置85と、第4位置である植付け位置86と、の4つの位置決め部82が形成されている。位置決めローラ105は、先端部分が、この位置決め孔81に挿入されている。また、位置決めローラ105には、スプリング(図示省略)によって上方の付勢力が常時付与されているため、位置決めローラ105は、4つの位置決め部82のいずれかに半分程度嵌められた状態になる。
切替カム80における位置決めローラ105が挿入される側、即ち、位置決めローラ105が位置する側には、バックリフトアーム95が位置しており、さらに、バックリフトアーム95における切替カム80が位置する側の反対側には、バックリフト入切レバー96が位置している。オートリフトアーム90は、これらのうち、切替カム80とバックリフトアーム95との間に配設されている。
オートリフトアーム90とバックリフトアーム95とは、一端が、共通の支持軸100によって回動自在に連結している。また、オートリフトアーム90における支持軸100に連結している側の端部の反対側の端部は、ケーブル接続部91が位置しており、アーム用ケーブル77は、このケーブル接続部91に接続されている。
また、バックリフトアーム95には、オートリフトアーム90の方向に突出したロックピン101が設けられている。一方、オートリフトアーム90には、このロックピン101が入り込む孔(図示省略)があけられており、ロックピン101は、通常、このオートリフトアーム90の孔に入り込んでいる。さらに、バックリフトアーム95は、位置決めローラ105と連結している。このため、ロックピン101がオートリフトアーム90の孔に入り込んだ状態では、オートリフトアーム90とバックリフトアーム95と位置決めローラ105とは、一体で移動可能になっている。また、オートリフトアーム90は、支持軸100や位置決めローラ105の軸方向に移動可能になっており、このため、任意で、ロックピン101から外すことができる。
上記の構成により、変速レバー35を後進操作した際に苗植付部40を自動上昇させるバックリフト、及びハンドル32を旋回操作した際に苗植付部40を自動上昇させるオートリフトを作動させない状態を選択することができるので、作業者は任意のタイミングで苗植付部40の上昇や下降等の操作を行える。この設定のときは、特に旋回時の操作が増えてしまい操作性は低下するが、苗植付部40を自動的に昇降させたのでは植付位置が合わせられない条件下では植付位置を揃えることができるので、苗の植付精度が向上する。また、ロックピン101からオートリフトアーム90を外すことにより、物理的にバックリフト及びオートリフトを作動させない構成となるので、電子制御のように制御装置の誤作動でバックリフトやオートリフトが作動してしまうことを防止できる。
また、バックリフト入切レバー96は、位置決めローラ105に対して回動可能に連結されている。また、バックリフト入切レバー96には、縦長部分と横長部分とを有することにより、逆L字状に形成された切欠き孔97があけられている。この切欠き孔97には、支持軸100と同じ向きに延在するバー107の先端が挿入されている。このバー107は、後述するように、変速レバー35が後進に設定された際に、下降するように構成されている。
このため、変速レバー35が後進に設定された際に、バー107が切欠き孔97の横長部分に位置している場合は、バー107が下方向に移動することにより、バックリフト入切レバー96はバー107に押されて下方に移動する。この場合、当該バックリフト入切レバー96と連結している位置決めローラ105も、下方に移動することとなる。これに対し、バー107が切欠き孔97の縦長部分に位置している場合は、バー107が下方向に移動しても、バー107は切欠き孔97内を移動するに留まる。このため、バー107からバックリフト入切レバー96に対して押し下げる力は働かないため、位置決めローラ105も下方には移動しない。
さらに、バックリフト入切レバー96は、位置決めローラ105に対して回動可能に連結されているため、作業者がバックリフト入切レバー96を手で回動し、切欠き孔97に対するバー107の位置を適宜決めることにより、変速レバー35を後進にした際に、バックリフト入切レバー96と位置決めローラ105とを自動的に下方へ押し下げるモードと、押し下げないモードを、任意で選択できるようになっている。
図8は、植付昇降レバーと切替カムとの関係を示す説明図である。植付昇降レバー36は、下端がブラケット37と連結軸38とを介して、切替カム80に連結されている。即ち、連結軸38が切替カム80の上端付近に形成された連結孔87に嵌り込むことにより、植付昇降レバー36と切替カム80とは連結している。これにより、切替カム80は、植付昇降レバー36の操作時は、連結軸38を中心として、植付昇降レバー36と共に回動する。また、切替カム80には、スプリング(図示省略)によって、オートリフトアーム90におけるケーブル接続部91側の方向(図6の矢印F方向)の付勢力が、常時付与されている。
また、植付昇降レバー36は、苗植付部40の複数の作動状態を切り替えることができ、具体的には、「上昇」、「停止」、「下降」、「植付け」の各モードを切替え設定できるようになっている。植付昇降レバー36を操作することにより設定するこれらのモードは、それぞれ切替カム80の上昇位置83、停止位置84、下降位置85、植付け位置86に対応している。
即ち、位置決めローラ105は、通常、4つの位置決め部82のいずれかに嵌められた状態になるが、作業者が植付昇降レバー36を「上昇」の位置に設定した場合には、連結軸38を中心として植付昇降レバー36と共に回動する切替カム80は、植付け位置86の方向に回動する。これにより、位置決めローラ105は、位置決め孔81を相対的に移動し、位置決め部82の上昇位置83に収まる。同様に、植付昇降レバー36を「停止」の位置に設定した場合には、位置決めローラ105は、位置決め部82の停止位置84に収まり、植付昇降レバー36を「下降」の位置に設定した場合には、位置決めローラ105は、位置決め部82の下降位置85に収まり、植付昇降レバー36を「植付け」の位置に設定した場合には、位置決めローラ105は、位置決め部82の植付け位置86に収まる。
また、連結軸38を中心として回動する切替カム80は、ワイヤーやロッド、アーム等を介して、苗植付部昇降機構50の油圧昇降シリンダ54への油路を切り替える切替バルブ(図示省略)に連動している。このため、連結軸38を中心とする切替カム80の角度に応じて、苗植付部40の上昇、停止、下降、植付けが、それぞれ制御される。即ち、切替カム80は、植付昇降レバー36と連動して回動することにより、苗植付部40の動作状態を切り替え可能になっている。
また、切替カム80の近傍には、走行車体2の旋回走行時に駆動することにより植付昇降レバー36の選択状態を切り替える旋回連動アクチュエータであるカム用モータ110が配設されている。このカム用モータ110は、走行車体2が圃場の端に達して旋回走行に移り、旋回に伴って後輪5が回転する際、その後輪5が所定数回転した時点で苗植付部40を自動的に下降させるための手段になっている。具体的には、カム用モータ110の駆動時に回動する作動軸111には、モータアーム112が固定されており、モータアーム112の先端にはモータ側ピン113が立設している。
他方、切替カム80には、上昇位置83付近にピン孔88が形成されており、切替カム80にも、このピン孔88にカム側ピン116が嵌り込むことにより、カム側ピン116が立設されている。さらに、このカム側ピン116には、植え付けアーム115が連結しており、植え付けアーム115には、長孔が開設されている。この長孔には、モータ側ピン113が入り込み、摺動可能に嵌め合わされている。
また、切替カム80の下方には、切替カム80の位置を検出するために、三角形状のプレート120が固定されており、プレート120の頂点には、プレートピン121が立設されている。また、プレート120の近傍で、且つ、カム用モータ110の下方には、ポテンショメータ125が配設されており、このポテンショメータ125は、長孔127が開設されたメータアーム126が、当該ポテンショメータ125の軸に固定されている。ポテンショメータ125は、メータアーム126の角度を検出可能になっており、メータアーム126の長孔127には、プレートピン121が摺動可能に嵌め合わされている。
このため、切替カム80が回動した場合には、プレートピン121とポテンショメータ125との相対的な位置関係が変化するため、メータアーム126が回動し、ポテンショメータ125は、このメータアーム126の回動により、切替カム80の回動状態を検出できる。
上記の構成により、ハンドル32を旋回終了方向に操作すると、カム用モータ110が作動して切替カム80を回動させて下降位置85に切り替えるので、苗植付部40を自動的に下降させることができる。さらにハンドル32を操作すると、カム用モータ110が作動して切替カム80を回動させて植付け位置86に切り替えるので、苗植付部40が下降しきると共に直進走行を開始した位置で、植付装置41による苗の植え付けを自動的に開始することができる。これにより、旋回終了時に苗植付部40の下降操作や植付装置41の作動操作を行う必要がなくなるため、操作性が向上すると共に、作業者は旋回操作に集中することができるので、植付開始位置を隣接条の植付終了位置に合わせやすくなるため、苗の植付精度が向上する。
また、ポテンショメータ125に設けたメータアーム126が切替カム80の回動状態を検出し、この検出結果に基づいてカム用モータ110の作動を切り替えることにより、苗植付部40の下降中にカム用モータ110が作動し過ぎて植付装置41を作動させてしまうことが防止されるので、空中で植付装置41が苗を掻き取ることがなく、苗の無駄を減少させることができる。
図9は、図2のC−C断面図である。左右の後輪ギヤケース22には、共に後輪5の回転速度を検出する移動検出部材である回転センサ170が取り付けられている。これらの回転センサ170は、左側に位置する後輪ギヤケース22である左側後輪ギヤケース23に取り付けられる回転センサ170である左側回転センサ171と、右側に位置する後輪ギヤケース22である右側後輪ギヤケース24に取り付けられる回転センサ170である右側回転センサ172とで、取り付けられる形態が異なっている。
詳しくは、回転センサ170は、回転速度を検出する回転軸に対して直交する向きで配設する必要があるため、右側回転センサ172は、右側後輪ギヤケース24への入力軸に対して直交する向きで、右側後輪ギヤケース24の上部に取り付けられている。
一方、左側後輪ギヤケース23は、エンジン10からの出力を整地用ロータ160側に出力する出力部25を有しており、この出力部25は、左側後輪ギヤケース23の上部に位置している。このため、左側回転センサ171は、左側後輪ギヤケース23への入力軸に対して直交し、この入力軸に対して斜め上方から入力軸の中心軸に向う向きで左側後輪ギヤケース23に取り付けられている。
図10は、図1に示す苗移植機の要部構成図である。これらの左側回転センサ171や右側回転センサ172、カム用モータ110、ポテンショメータ125、マーカモータ166は、苗移植機1に搭載される各機器を制御する電子制御装置であるコントローラ200に接続されており、コントローラ200による苗移植機1の制御に用いられる。このうち、左側回転センサ171と右側回転センサ172とは、それぞれの回転センサ170で検出することができる後輪5の回転速度を検出し、検出結果をコントローラ200に伝達する。また、ポテンショメータ125も、切替カム80の回動状態を検出し、検出結果をコントローラ200に伝達する。なお、コントローラ200に接続される各電装装置のうち、少なくともポテンショメータ125は、工具類を使うことなく着脱を行うことのできるギボシ210を介してコントローラ200に接続されている。このギボシ210は、操縦部30内に配設されており、フロントカバー31を開けることにより、抜き差しを行うことが可能になっている。
また、変速レバー35の近傍には、変速レバー35の後進操作を検出する後進検知部材であるバックスイッチ201が設けられており、このバックスイッチ201も、変速レバー35の後進操作の検出結果をコントローラ200に伝達する。
さらに、操縦部30には、旋回連動のキャンセル条件が満たされた場合に作動することにより、作業者に対して旋回連動制御が解除されたことを報知するキャンセル報知部材である報知ブザー202が設けられており、報知ブザー202もコントローラ200に接続されている。コントローラ200は、回転センサ170やポテンショメータ125、バックスイッチ201での検出結果等を用いて、カム用モータ110やマーカモータ166を制御し、報知ブザー202を作動させる。
また、操縦部30内には、苗植付部40の下降タイミングを切り替える下降切替部材である下降調節ダイヤル205が配設されている。この下降調節ダイヤル205は、コントローラ200に接続されており、フロントカバー31を開けて操縦部30内の部材を触れることができる状態にすることにより、調節可能になっている。この下降調節ダイヤル205によって調節された苗植付部40の下降タイミングは、コントローラ200に入力され、苗植付部40の下降時に実行されるプログラムで用いられる。
また、下降調節ダイヤル205は、回転操作をすることにより下降タイミングを調節することが可能になっており、標準位置から、下降タイミングが速い側と遅い側の双方における所定の範囲内は、不感帯になっている。例えば、下降調節ダイヤル205は、標準位置から45°の回転範囲は不感帯になっており、この範囲内では回転させても下降タイミングは変化せず、この不感帯を超える回転範囲になってから、下降タイミングを調節することが可能になっている。
図11は、図1に示す操縦部の上面図である。操縦席28の前方に位置する操縦部30には、作業者が苗移植機1の運転時に用いる機器類が配置される操作パネル181が、後上部に配設されている。走行車体2の旋回操作を行うハンドル32を回転可能に支持するハンドルポスト180は、この操作パネル181の中央部付近に配設されており、操作パネル181から後方に傾斜しながら上方に向かって延在している。ハンドル32は、ハンドルポスト180の上端に位置して回転可能にハンドルポスト180によって支持されており、このため、ハンドル32は、当該ハンドル32の回転軸方向に見た場合に、操作パネル181の中央部付近を中心として回転可能に設けられている。
また、操作パネル181には、ハンドルポスト180よりも後下部側に、旋回連動制御の「入(作動)」と「切(非作動)」とを切り替える旋回連動操作部材である旋回連動スイッチ185が配設されている。また、操作パネル181には、旋回連動スイッチ185の側方に、植付装置41の作動タイミングを段階的に切り替える植付切替部材である植始め調節ダイヤル186が配設され、さらに、ハンドルポスト180の左右両側に、苗移植機1の各部の作動状態を表示する表示部182が配設されている。この表示部182には、例えば、植付昇降レバー36が「植付け」位置のときに点灯することにより、苗植付部40が植え付け状態であることを作業者に報知する植付モニタランプ183が設けられている。
また、変速レバー35や植付昇降レバー36は操縦部30に設けられており、変速レバー35は操作パネル181の左側に配設され、植付昇降レバー36は操作パネル181の右側に配設されている。これらの変速レバー35や植付昇降レバー36は、操縦部30から略上方に延在しており、共に略前後方向に動かすことにより、所望の操作を行うことが可能になっている。
本実施形態に係る苗移植機1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。苗移植機1の運転時は、エンジン10で発生する動力によって、走行車体2の走行と、苗載せ部45に載せた苗の植え付け作業を行う。その際に、操作パネル181の表示部182を視認しながら運転操作を行うが、表示部182はハンドルポスト180の両側に配設されているため、作業者は、ハンドル32のスポークと外輪とによって画成される空間から表示部182を視認することが可能になっている。このため、作業者は、視認性が高い表示部182を視認しながら、運転操作を行う。また、旋回連動スイッチ185は、ハンドルポスト180よりも後下部側に配設されているため、運転操作時に作業者が触れ難くなっており、旋回連動制御の「入」と「切」とを誤って切り替えることなく、運転操作が可能になっている。
苗移植機1の運転時における植え付け作業は、回転軸が左右方向になる向きで植付装置41全体が回転しながら、植付爪42も回転することにより、苗載せ部45に載せられた苗を徐々に圃場に植え付ける。植え付け作業時は、このように植付装置41を作動させながら圃場内を走行車体2で走行することにより、複数の列状に苗を植え付ける。
このため、植え付け作業時は、苗移植機1を運転する作業者は、変速レバー35を前進に切り替え、苗植付部40を下降させた状態で作業を行う。この作業状態では、植付昇降レバー36は「下降」の位置に設定する(図8、図17参照)。従って、植付昇降レバー36に連結されている切替カム80は、位置決めローラ105が位置決め部82の下降位置85に入った状態になる。
走行車体2が圃場の端に到達すると、作業者はハンドル32を回動させることにより、走行車体2を旋回させる。ハンドル32を回動させた場合、この回動に伴ってステアリングアーム60が操舵シャフト33を中心として回動する。これにより、ステアリングアーム60のタイロッド連結部61に連結されている2本のタイロッドが移動し、それぞれのタイロッドが取り付けられている、左右の前輪ファイナルケース21のナックルアームが回動する。これにより、前輪4は回動するため、走行車体2は旋回を開始する。
このとき、ステアリングアーム60の回動に伴って、ステアリングアーム60に取り付けられている取付ピン66は、操舵シャフト33を中心として回動しつつ、オートリフト作動アーム70のスプリング側連結部71から離れる方向に移動する。この取付ピン66とスプリング側連結部71とは、連結スプリング75によって連結しているため、取付ピン66がスプリング側連結部71から離れる方向に移動した場合には、スプリング側連結部71には、連結スプリング75の引張り力によって、取付ピン66の方向に向わせる力が作用する。
スプリング側連結部71は、オートリフト作動アーム70の回動軸72を中心として回動可能になっているため、スプリング側連結部71に取付ピン66の方向に向わせる力が作用した場合には、スプリング側連結部71は、回動軸72を中心として回動することにより、取付ピン66の方向に移動する。また、オートリフト作動アーム70は、回動軸72を中心として全体が回動可能になっているため、スプリング側連結部71が、連結スプリング75の引張り力によって、取付ピン66の方向に移動した場合には、オートリフト作動アーム70全体が、回動軸72を中心として回動する。
この場合、ケーブル側連結部73は、当該ケーブル側連結部73に連結され ているアーム用ケーブル77を引っ張る方向に移動する。このため、アーム用ケーブル77の他端側が接続されているオートリフトアーム90は、ケーブル接続部91側の部分に、アーム用ケーブル77からの引張り力が作用する。これにより、オートリフトアーム90は、ケーブル接続部91側の部分が、アーム用ケーブル77の引張り力の方向である下方側に移動する。
ここで、オートリフトアーム90は、自動切り替えモードの状態になっていたとする。即ち、オートリフトアーム90の孔に、バックリフトアーム95のロックピン101が入り込んでいたとする。この場合、オートリフトアーム90が下方に移動すると、ロックピン101を介して、バックリフトアーム95も下方に移動し、バックリフトアーム95に連結されている位置決めローラ105も下方に移動する。これにより、位置決めローラ105は、切替カム80の位置決め部82から外れる。
他方、切替カム80には、スプリングによって付勢力が常時付与されているので(図6、矢印F方向)、位置決めローラ105が位置決め部82から外れると、切替カム80は、位置決めローラ105によって移動が規制されなくなるため、連結軸38を中心として、一気に付勢力の方向に回動する。これにより、切替カム80と一体となって回動する植付昇降レバー36も切替カム80と共に回動し、「上昇」の位置まで移動する(図15参照)。従って、苗植付部昇降機構50の油圧昇降シリンダ54への油路を切り替える切替バルブが「上昇」側へ切り替わり、苗植付部40は上方へ移動する。このように、作業者が圃場の端でハンドル32を回動させると、苗植付部40は自動的に上昇する。また、オートリフトアーム90は、オートリフト作動アーム70の作動に連動して切替カム80を苗植付部40の上昇状態に回動させる上昇アームとして設けられている。
なお、作業者がオートリフトアーム90を手動で移動させることにより、オートリフトアーム90の孔からバックリフトアーム95のロックピン101を外した場合には、ハンドル32を回動させることによりオートリフトアーム90が下方に移動した場合でも、バックリフトアーム95は下方には移動しない。この場合、位置決めローラ105も下方には移動せず、切替カム80の位置決め部82からは外れないため、切替カム80は回動しない。従って、旋回操作時に苗植付部40の昇降状態は変化しないため、作業者は苗植付部40の昇降のタイミングを自分で計って行うことができる。これにより、旋回時の操作が煩雑になり操作性は低下するが、圃場条件や植付作業条件に沿った苗の植え付けが可能となる。
また、走行車体2を旋回させるために、ハンドル32を回動させた場合、これらのように、ステアリングアーム60の回動に伴う連結スプリング75の引張り力がオートリフト作動アーム70に作用することにより、オートリフト作動アーム70が回動し、苗植付部40の自動上昇が行われるが、連結スプリング75は、弾力性と伸縮性とを有している。このため、ハンドル32を大きく回動させることにより、ステアリングアーム60が大きく回動し、オートリフト作動アーム70も大きく回動した際に、オートリフト作動アーム70には、オートリフトアーム90側からの抵抗によって、アーム用ケーブル77からの引張り力が大きくなって作用する場合がある。
この場合、連結スプリング75の引張り力に対するオートリフト作動アーム70の抵抗が大きくなるため、取付ピン66がオートリフト作動アーム70から離れる方向への回動を継続した際に、連結スプリング75は伸縮性によって全長が伸びる。これにより、ステアリングアーム60は、オートリフト作動アーム70がそれ以上取付ピン66の方向に近付かなくても大きく回動することができるので、メカロックを発生させることなくステアリングアーム60を回動させることが可能になり、苗植付部40の上昇タイミングが速くなるので、苗の押し倒しが防止されて苗の生育が良好になる。
図12〜図14は、カム用モータによって切替カムを回動させる場合の説明図である。図15〜図18は、植付昇降レバーの位置の説明図である。オートリフトアーム90が、自動切り替えモードの状態になっている場合には、走行車体2の旋回に伴って苗植付部40は自動的に上昇するが、さらに走行車体2を旋回させていった場合、苗植付部40は自動的に下降する。走行車体2の旋回走行時における苗植付部40の制御である旋回連動制御は、走行車体2の走行状態に基づいてコントローラ200で各部を制御することによって行う。
コントローラ200による旋回連動制御では、苗植付部40が上昇している状態において、回転センサ170で検出した後輪5の回転速度が、予め設定されている回転速度に達すると、コントローラ200からカム用モータ110に対して駆動信号を出力する。詳しくは、左側回転センサ171で検出した回転速度と右側回転センサ172で検出した回転速度との差が所定以上で、且つ、高い方の回転速度が、予め設定されている回転速度であるN1より高い場合に、コントローラ200は、苗植付部40を下降させるタイミングであると判断する。コントローラ200は、この判断を行った場合に、カム用モータ110に対して駆動信号を出力する。
カム用モータ110は、コントローラ200からの駆動信号を受けて作動し、切替カム80を移動させる。即ち、旋回中は苗植付部40は上昇位置に位置しているので、植付昇降レバー36は「上昇」位置にあり、位置決めローラ105は、上昇位置83に入った状態になっている。このため、コントローラ200は、カム用モータ110を、位置決め部82の上昇位置83が位置する方向に切替カム80が回動する方向に駆動させる。
即ち、コントローラ200は、モータアーム112のモータ側ピン113が、切替カム80から離れる方向にカム用モータ110を駆動させる。これにより、カム側ピン116によって切替カム80に連結している植え付けアーム115が、切替カム80から離れる方向に引っ張られるため、切替カム80も、この力によって回動する。
なお、位置決め部82に入り込んでいる位置決めローラ105は、スプリングの付勢力によって上方に付勢されているが、カム用モータ110の駆動力によって、切替カム80が強制的に回動する場合には、位置決めローラ105は、位置決め部82を順次乗り越えていく。このため、上昇位置83にあった位置決めローラ105は、停止位置84(図12)から下降位置85(図13)に移動する。つまり、切替カム80と植付昇降レバー36は、位置決めローラ105が下降位置85に位置するまで回動する。このため、「上昇」の位置(図15)にあった植付昇降レバー36は、「停止」の位置(図16)を通過し、「下降」の位置(図17)まで移動する。これにより、苗植付部40は下降する。また、このようにカム用モータ110を駆動させることにより切替カム80を回動させる場合、ポテンショメータ125によって切替カム80の状態を検出しながら、適切な角度になるように回動させる。
さらに、コントローラ200は、カム用モータ110を駆動させることにより、位置決めローラ105が植付け位置86(図14)に位置するまで、切替カム80と植付昇降レバー36とを回動させる。これにより、植付昇降レバー36は、「植付け」の位置(図18)まで移動する。詳しくは、コントローラ200は、切替カム80と植付昇降レバー36とを回動させた後、左側回転センサ171で検出した回転速度と右側回転センサ172で検出した回転速度とが共に所定の回転速度であるN2以上で、双方の回転速度の差がほぼ0になった場合には、苗植付部40が下降し、且つ、走行車体2は直進状態になったと判断する。なお、走行車体2が直進状態であるか否かを判断する際に用いる回転速度N2は、走行車体2が旋回走行をしているか否かの判断に用いる回転速度N1よりも高い回転速度になっている。苗植付部40が下降して走行車体2が直進状態になったと判断したコントローラ200は、植付クラッチを係合させる。これにより、苗植付部40の植付装置41は作動を開始し、苗の植え付けを再開する。
また、ポテンショメータ125は、切替カム80の状態を検出することを介して植付昇降レバー36の状態を検出することができるため、植付昇降レバー36が「植付け」の位置に移動したことをポテンショメータ125で検出したら、表示部182の植付モニタランプ183を点灯させる。これにより、現在の作業状態は、苗の植え付け状態であることを作業者に報知する。
ここで、コントローラ200は、苗植付部40が下降して走行車体2が直進状態になったと判断した場合において、予め設定された所定時間が経過したら、カム用モータ110の駆動力を反対方向にする出力を行う。即ち、コントローラ200は、位置決めローラ105が上昇位置83に向う方向に切替カム80や植付昇降レバー36を回動させる方向の駆動力を発生するようにカム用モータ110に対して駆動信号を出力する。これにより、「植付け」の位置に切り替えられている植付昇降レバー36は、外部からの入力により、自由に切り替え操作を行うことができる状態になる。このため、例えば現在のタイミングが、作業者が望むタイミングではない場合には、作業者が手動で植付昇降レバー36に対して「上昇」方向の入力操作をすることにより、植付昇降レバー36は容易に回動する。これにより、苗植付部40による植付けを停止することができる。
また、コントローラ200は、切替カム80や植付昇降レバー36が「下降」の状態(図13、図17)になり、苗植付部40が下降した状態で、所定の時間が経過するまでに走行車体2が直進状態にならず、植付装置41を作動させる状態にならないと判断した場合には、カム用モータ110の駆動力を反対方向にする出力を行う。つまり、コントローラ200は、苗植付部40が下降した状態で、所定時間が経過するまでに、左側回転センサ171で検出した回転速度と右側回転センサ172で検出した回転速度とが共にN2以上にならない場合や、双方の回転速度の差がほぼ0にならない場合は、切替カム80や植付昇降レバー36を「上昇」方向に回動させる方向の駆動力を発生するようにカム用モータ110に対して駆動信号を出力する。これにより、「下降」の位置に切り替えられている植付昇降レバー36は、手動で自由に切り替え操作を行うことができる状態になり、苗植付部40の作動タイミングを、作業者が任意に調節することが可能になる。
また、このようにコントローラ200は、左右の回転センサ170で検出した回転速度の差に基づいて旋回方向を判定する。つまり、旋回連動制御時には、コントローラ200は、苗植付部40が上昇した時に回転センサ170での検出結果を0にリセットし、そこから左右の回転速度差が所定以上になった時に、回転速度が小さい方に旋回していると判定する。コントローラ200は、このように判定した判定結果を、様々な制御で用いる。
例えば、旋回連動制御時に苗植付部40が上昇している状態において、左側回転センサ171で検出した回転速度と右側回転センサ172で検出した回転速度との差が所定以上であると判定した後、回転速度の大小が左右で反転した場合には、苗植付部40の旋回連動制御はキャンセルする。例えば、走行車体2を左旋回させることにより、右側回転センサ172で検出した回転速度はN1より高く、左側回転センサ171で検出した回転速度はN1より低いと判定した後、ハンドル32を切り返すことによって左側回転センサ171で検出した回転速度がN1より高く、右側回転センサ172で検出した回転速度はN1より低くなった場合には、旋回連動制御を解除する。
また、コントローラ200は、切替カム80や植付昇降レバー36が「下降」の状態(図13、図17)になり、苗植付部40が下降した状態で、変速レバー35の後進操作をバックスイッチ201で検出した場合には、カム用モータ110の駆動力を反対方向にする出力を行う。つまり、コントローラ200は、回転センサ170で検出した回転速度がN1とN2との間であることにより苗植付部40が下降した状態で、変速レバー35の後進操作をバックスイッチ201で検出した場合には、切替カム80や植付昇降レバー36を「上昇」方向に回動させる方向の駆動力を発生するようにカム用モータ110に対して駆動信号を出力する。これにより、「下降」の位置に切り替えられている植付昇降レバー36は、手動で自由に切り替え操作を行うことができる状態になる。また、このように変速レバー35の後進操作をバックスイッチ201で検出した場合には、苗植付部40の旋回連動制御を解除する。
これらのように旋回連動制御の解除を行った場合、コントローラ200は、報知ブザー202を作動させることにより、旋回連動制御を解除したことを、音によって作業者に報知する。この報知ブザー202は、作業者が植付昇降レバー36を「植付け」位置に操作すると解除される。または、旋回連動スイッチ185を「入」操作しても報知ブザー202による報知は解除され、次の旋回連動を受け付ける状態になる。
なお、旋回連動制御を解除したことを作業者に報知するキャンセル報知部材は、報知ブザー202以外によって設けてもよく、例えば、旋回連動スイッチ185を照光スイッチによって構成し、旋回連動制御を解除した場合には、旋回連動スイッチ185を点滅させることにより作業者に報知してもよい。即ち、キャンセル報知部材は、旋回連動制御を解除したことを光によって作業者に報知してもよい。
また、これらのように作動する苗植付部40の動作は、操縦部30に設けられる植始め調節ダイヤル186や、操縦部30内に配設される下降調節ダイヤル205によって調節することが可能になっている。例えば、植始め調節ダイヤル186を調節することにより、旋回連動制御時に、植付装置41を作動させて植え付けを開始するタイミングを変化させることができる。また、下降調節ダイヤル205を調節することにより、旋回連動制御時に、走行車体2の旋回状態に対する苗植付部40の下降タイミングを変化させることができる。
また、苗植付部40の下降タイミングは、通常はあまり変化させないが、下降調節ダイヤル205は、操縦部30内に配設されており、フロントカバー31を開けなければ調節できないようになっている。このため、誤って下降調節ダイヤル205に触れて、下降タイミングが変化することがないようになっている。さらに、下降調節ダイヤル205は、不感帯を有して構成されているため、メンテナンス時に下降調節ダイヤル205に誤って触れても、下降タイミングが変化しないようになっている。
苗移植機1によって、これらのように植え付け作業を行う際には、コントローラ200によって左右の線引きマーカ165を交互に作動させ、左右の線引きマーカ165の作業状態と非作業状態とを逆転させながら行う。具体的には、コントローラ200は、植付昇降レバー36の状態を検出可能なポテンショメータ125により、植付昇降レバー36が「停止」の状態から「上昇」の状態に切り替えられたことを検出した際に、マーカモータ166の作動を切り替える。
即ち、左右の線引きマーカ165は、旋回をするごとに作動させる線引きマーカ165を切り替えるが、旋回連動制御中は、旋回する度に、植付昇降レバー36が「上昇」の位置まで切り替えられる。このため、植付昇降レバー36が「停止」から「上昇」に切り替えられるごとに、作動させる線引きマーカ165を切り替えることにより、左右の線引きマーカ165のうち、作動させる線引きマーカ165を、旋回をするごとに切り替えることができる。
また、左右の線引きマーカ165の作動と非作動とを切り替えるためのマーカモータ166の作動の切り替えは、具体的には、リレー(図示省略)を用いて行う。即ち、マーカモータ166は、線引きマーカ165と同様に左右に配設され、各線引きマーカ165に対応して設けられており、リレーの状態を切り替えることにより、左右のマーカモータ166の作動状態を切り替え、線引きマーカ165の作動を切り替えることが可能になっている。このため、コントローラ200は、このリレーの状態を切り替えることを介して、左右の線引きマーカ165の作動と非作動とを切り替える。
また、このリレーは、ハーネス側が下側を向く向きで、ポテンショメータ125が取り付けられる部材に取り付けられている。つまり、電気的な接続側が下方を向いているため、防水性が高く、また、外装部品内に位置することにより、より防水性や防塵性が高くなっている。
図19は、変速レバーを後進に切り替える場合の説明図である。変速レバー35を後進に切り替えた場合、バックリフト入切レバー96の切欠き孔97に挿入されているバー107は、両端が変速レバー35とバー107とに接続されている変速レバーケーブル108に引っ張られて下方に移動する。この場合において、バー107が切欠き孔97の縦長部分に位置するようにバックリフト入切レバー96が設定されている場合、バー107は、切欠き孔97の縦長部分を移動するに留まる。この場合、バー107は、バックリフト入切レバー96に対して何の作用も及ぼさず、切替カム80も、それまでの状態を維持する。
これに対し、バー107が切欠き孔97の横長部分に位置するようにバックリフト入切レバー96が設定されている場合に、バー107が下方に移動すると、バー107は横長部分の下側縁に当接する。これにより、バー107はバックリフト入切レバー96を押し下げるため、バックリフト入切レバー96に連結されている位置決めローラ105も、下方に移動する。この場合、位置決めローラ105は、切替カム80の位置決め部82から外れる。
従って、オートリフトアーム90が自動切り替えモードの状態におけるハンドル32の回動時と同様に、切替カム80と植付昇降レバー36とは、スプリングによる付勢力の方向に、連結軸38を中心として一気に回動し、「上昇」の位置まで移動する。これにより、苗植付部昇降機構50の油圧昇降シリンダ54への油路を切り替える切替バルブが「上昇」側へ切り替わり、苗植付部40は上方へ移動する。このように、バー107が切欠き孔97の横長部分に位置するようにバックリフト入切レバー96が設定されている状態で、変速レバー35を後進に切り替えると、苗植付部40は自動的に上昇する。
本実施形態に係る苗移植機1では、ポテンショメータ125で植付昇降レバー36等の状態を検出しながら旋回連動制御を行うが、ポテンショメータ125による植付昇降レバー36等の検出状態は、ポテンショメータ125とコントローラ200とを接続するギボシ210を抜き差しすることにより調節することができる。具体的には、コントローラ200で記憶させるポテンショメータ125の状態でギボシ210を抜くことにより、検出したいポテンショメータ125の状態をコントローラ200で記憶させ、ポテンショメータ125による検出状態を調節する。
例えば、植付昇降レバー36を「上昇」の位置にした状態でギボシ210を抜くことにより、植付昇降レバー36が「上昇」の位置の場合におけるポテンショメータ125の状態をコントローラ200で記憶することができ、苗移植機1の運転時にポテンショメータ125がコントローラ200で記憶した状態になったら、植付昇降レバー36は「上昇」の位置であると判断することができる。同様に、植付昇降レバー36を「停止」、「下降」、「植付け」のそれぞれの位置にした状態でギボシ210を抜くことにより、植付昇降レバー36が「停止」、「下降」、「植付け」の位置の場合におけるポテンショメータ125のそれぞれの状態を、コントローラ200で記憶することができる。これにより、苗移植機1の初期設定時や、分解後に再度組み上げた際に、植付昇降レバー36の状態を精度よく検出可能な状態にすることができる。
なお、このようにギボシ210の抜き差しによってポテンショメータ125で検出する植付昇降レバー36の状態を記憶させる場合には、記憶対象になる植付昇降レバー36の状態が切り替わる度にブザー等によって作業者に報知するのが好ましい。また、このようにポテンショメータ125による検出状態をコントローラ200に記憶させる場合において、ポテンショメータ125が所定の範囲内でない場合も同様に、ブザー等によって作業者に報知するのが好ましい。さらに、植付昇降レバー36の「上昇」、「停止」、「下降」、「植付け」の各位置においても、それぞれの位置におけるポテンショメータ125が所定の範囲内でない場合には、ブザー等によって作業者に報知するのが好ましい。
また、ギボシ210の抜き差しによってポテンショメータ125による検出状態を調節する手法と同様な手法で、他の検出状態の調節を行ってもよい。例えば、ギボシ210の抜き差しを行うことによって、植始め調節ダイヤル186の中央値をコントローラ200に記憶させてもよい。
また、旋回連動制御中における左右の線引きマーカ165は、植付昇降レバー36が「停止」の状態から「上昇」の状態に切り替えられた際に左右を切り替えるが、左右を切り替えるタイミングを、ギボシ210の抜き差しによって切り替えてもよい。例えば、植付昇降レバー36が「下降」から「停止」の状態に切り替えられる際や、「植付け」から「停止」の状態に切り替えられる際に、作動させる線引きマーカ165を切り替えるように、ギボシ210の抜き差しによって切り替えてもよい。
以上の実施形態に係る苗移植機1では、旋回連動制御時に植付装置41が植付動作を行う状態になったら、カム用モータ110の駆動状態を切り替えることにより、外部からの入力によって植付昇降レバー36の選択状態を切替可能にしている。このため、旋回連動制御時に、植付装置41を作動させたくない状態になった場合は、作業者が植付昇降レバー36を切り替えて「植付け」以外の状態にすることにより、植え付けが行われないようにすることができる。この結果、旋回走行に連動した苗の植え付け動作の植え付けのタイミングを、容易に修正することができる。
また、このように旋回連動制御時における植え付けのタイミングの修正を可能にすることにより、例えば、苗の植付開始位置を隣接条の植付終了位置に合わせることができるので、苗が植え付けられず手作業で苗を植え付ける作業が不要になり、作業者の労力を軽減することができる。また、最後の工程で圃場端に苗を植え付ける際に、苗の植付位置が重複することも防止することができるので、余分な苗の消費を抑制することができる。この結果、植付作業の効率を高めることができる。
また、旋回連動制御時に、カム用モータ110が、植付昇降レバー36の操作規制を解除した状態になることにより、作業者が作業状況に対応した植付昇降レバー36の操作を行う際に、植付昇降レバー36に対して無理な力が加えられることを抑制することができる。この結果、カム用モータ110等に大きな負荷がかかることを抑制することができ、破損を防止することができると共に、耐久性を向上させることができる。
また、旋回連動制御によって苗植付部40が下降した状態で、所定の時間が経過するまでに植付装置41を作動させる状態になっていないと、回転センサ170での検出結果に基づいてコントローラ200が判断した場合には、外部からの入力によって植付昇降レバー36の選択状態を切替可能としている。これにより、走行車体2が、その場で停止している、または、植付装置41の作動タイミングが早過ぎたり、遅過ぎて後進する必要があったりする等の問題により、走行車体2の移動を遅らせている場合に、作業者が任意のタイミングで植付装置41を作動させることができる。この結果、苗の植付開始位置の調節を、より高い精度で行うことができ、また、苗植付部40を上昇させた状態で後進し、植付開始位置まで能率よく移動することができる。
また、旋回連動制御による苗植付部40の昇降の開始後に、左右の後輪5の回転速度の差に基づいて走行車体2の旋回方向を判定した後、左右の後輪5の回転速度の大小が反転した場合には、外部からの入力によって植付昇降レバー36の選択状態を切替可能にしている。これにより、作業者が旋回操作を誤ったときや、ぬかるみなどの条件により通常の180度旋回ができない箇所で特殊な軌跡での旋回を行ったときに、旋回連動制御を自動的にキャンセルすることができ、苗植付部40が植付開始予定位置よりも早く下降し始めることや、植付装置41が植付開始予定位置よりも手前で作動することを防止することができる。この結果、苗の植付開始位置を隣接条の植付終了位置に合わせることができ、苗の植付精度を向上させることができる。
また、旋回連動制御によって苗植付部40が下降して植付装置41が作動する前に、変速レバー35の後進操作をバックスイッチ201で検知した場合には、外部からの入力によって植付昇降レバー36の選択状態を切替可能にしている。これにより、苗の植付を開始すべき位置よりも前進しないと苗植付部40の下降や植付装置41の作動が行われない状況であっても、走行車体2を後進させると共に植付昇降レバー36を手動操作することにより、任意の位置で苗植付部40を下降させたり、植付装置41を作動させたりすることが可能になる。この結果、最後の工程で圃場端に苗を植え付ける際に、苗の植付位置が重複することを防止することができ、余分な苗の消費を抑制することができる。
また、報知ブザー202が作動することにより、旋回連動制御がキャンセルされたことを作業者が認識することができるので、作業者が植付昇降レバー36を操作することによる苗植付部40の下降や植付装置41の作動を忘れることを防止することができる。これにより、適切な位置で苗の植え付けを再開することができ、作業能率を向上させることができる。また、報知ブザー202の作動は、植付昇降レバー36を「植付け」位置に操作した場合、または、旋回連動スイッチ185を「入」操作した場合に解除されるため、次の旋回連動制御を可能な状態にして、報知ブザー202を解除することができる。この結果、新たに旋回連動制御を開始させるための操作が不要となり、作業能率を向上させることができる。
また、コントローラ200は、ポテンショメータ125が、植付昇降レバー36が苗植付部40を上昇させる状態に切り替えられたことを検出したら、左右の線引きマーカ165の作業状態と非作業状態とを逆転させる構成であるため、旋回連動制御が正常に行われても、途中でキャンセルされていても、左右の線引きマーカ165の切り替えを行うことができる。この結果、次の植付作業時に圃場面に線を引く線引きマーカ165を、確実に作業状態にすることができ、作業能率を向上させることができる。また、植付走行の目安となる線を確実に形成することができるため、植付走行を隣接条に合わせ易くすることができ、苗の植付精度を向上させることができる。
また、操縦部30には、ハンドルポスト180の後下部に旋回連動スイッチ185が配設されているため、ハンドル32の操作中に旋回連動スイッチ185に手等が触れることを防止することができ、旋回連動制御が解除されたことに作業者が気付かないまま作業が継続されることを防止することができる。この結果、旋回操作の操作性が向上すると共に、適切な位置での苗の植付を開始することができるので、苗の植付精度を向上させることができる。
また、操縦部30に設けられる表示部182は、ハンドルポスト180の左右に配設されているため、作業者は、ハンドル32の空間部から表示部182を視認することができる。この結果、作業者は異常の発生に気付き易くなり、異常が続くことによる余分な作業の発生や苗の生育不良を防止することができる。
また、操縦部30には、旋回連動スイッチ185の側方に植始め調節ダイヤル186が配設されているため、植始め調節ダイヤル186を操作することにより、植付装置41の作動タイミングを速くしたり、遅くしたりする変更ができる。これにより、走行車体2の旋回距離や圃場端作業の条数に合わせて、植付開始のタイミングを変更することができるので、苗が植え付けられず手作業で苗を植え付ける作業を不要にすることができる。この結果、作業者の労力を軽減することができると共に、最後の工程で圃場端に苗を植え付ける際に苗の植付位置が重複することを防止することができ、余分な苗の消費を抑制することができる。
また、操縦部30の内部には、苗植付部40の下降タイミングを切り替える下降調節ダイヤル205が配設されているため、下降調節ダイヤル205を操作することにより、苗植付部40の下降タイミングを速くしたり、遅くしたりする変更ができる。これにより、走行車体2の旋回距離や圃場端作業の条数に合わせて苗植付部40の下降タイミングを変更できるので、作業条件や圃場条件に合わせて苗植付部40の下降タイミング及び植付装置41の作動タイミングを調節することができる。この結果、適切なタイミングで苗の植え付けを行うことができ、作業能率及び苗の植付精度を向上させることができる。
また、ポテンショメータ125による検出状態の調節を、ギボシ210の抜き差しによって行うことができるように構成されているため、チェッカー装置(図示省略)等を用いることなく、ポテンショメータ125のセットを、苗移植機1単体で行うことができる。この結果、メンテナンス性を向上させることができる。
〔変形例〕
なお、上述した苗移植機1は、変速レバー35を操作することにより走行操作が可能な苗移植機1として説明したが、苗移植機1が、副変速レバーを備える苗移植機1である場合には、副変速レバーの操作状態に応じて、旋回連動制御を行うようにしてもよい。図20は、実施形態に係る苗移植機の変形例を示す要部概略図である。図21は、図20のE−E矢視図である。図22は、図20のF−F矢視図である。苗移植機1に、路上走行を行う移動状態と、圃場で作業を行う植え付け状態、及び中立状態を切り替える副変速レバー230が設けられている場合には、副変速レバー230が移動状態に切り替えた場合には、旋回連動制御を行わないようにするのが好ましい。
例えば、図20〜図22に示す副変速レバー230では、当該副変速レバー230をガイドするレバーガイド240に、副変速レバー230を移動状態に切り替える際のガイドである移動時ガイド245と、中立状態に切り替える際のガイドである中立時ガイド246と、植え付け状態に切り替える際のガイドである植付時ガイド247が、それぞれ切り込み状の形状で形成されている。
また、このレバーガイド240には、副変速レバー230が移動状態に切り替えたことを検出する検出手段である移動速状態検出スイッチ250が取り付けられている。この移動速状態検出スイッチ250は、レバーガイド240における移動速状態検出スイッチ250の取り付け部分であるスイッチ取付部243に対して、通電可能に取り付けられている。また、レバーガイド240は金属材料により形成されており、レバーガイド240を走行車体2に取り付ける部分であるガイド取付部241は、アース接続がされている。これにより、移動速状態検出スイッチ250には、レバーガイド240を介して通電可能になっている。
また、移動速状態検出スイッチ250の近傍には、副変速レバー230が移動状態に切り替えられたことをより確実に検出して移動速状態検出スイッチ250に伝達するレバー状態検出部252が配設されている。これらの移動速状態検出スイッチ250及びレバー状態検出部252は、副変速レバー230を移動状態の方向に移動させる際における延長上に配設されている。
一方、副変速レバー230には、当該副変速レバー230におけるレバー状態検出部252に対向する側面に、レバー状態検出部252の方向に突出した凸状部231が形成されている。この凸状部231は、副変速レバー230を移動状態に切り替えた際に、レバー状態検出部252に接触し、レバー状態検出部252が移動速状態検出スイッチ250を押して移動速状態検出スイッチ250で検出するまで、レバー状態検出部252を押すことが可能になっている。これにより、副変速レバー230が移動状態に切り替えられた場合には、移動速状態検出スイッチ250によって、移動状態に切り替えられたことの検出が可能になっている。
コントローラ200は、副変速レバー230が移動状態に切り替えられたことを、移動速状態検出スイッチ250で検出した場合には、旋回連動スイッチ185が「入」の場合でも、旋回連動制御を行わないようになっている。これにより、路上走行時には、誤って旋回連動制御が行われることを防止することができるため、路上走行時の安全性を向上させることができる。
また、少なくとも移動時ガイド245での副変速レバー230の保持形状は、移動速状態検出スイッチ250を押す方向とは反対形状であることが好ましい(図20、図21参照)。これにより、移動速状態検出スイッチ250を十分押した状態で、副変速レバー230を移動時ガイド245で保持することができるため、移動速状態検出スイッチ250を押すストローク不足を防ぐことができる。この結果、副変速レバー230が移動状態に切り替えられたことを、より確実に検出することができる。
また、苗移植機1は、上述した実施形態、及び変形例で用いられている構成や制御等を適宜組み合わせてもよく、または、上述した構成や制御以外を用いてもよい。苗移植機1の構成や制御方法に関わらず、旋回連動制御時に植付装置41が植付動作を行う状態になったら、カム用モータ110の駆動状態を切り替えて、植付昇降レバー36の手動切り替えを可能にすることにより、旋回走行に連動した苗の植え付け動作の植え付けのタイミングを、容易に修正することができる。