JP5874910B2 - 高純度酸化第二銅微粉末の製造方法、および硫酸銅水溶液の銅イオンの供給方法 - Google Patents
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より詳細には、塩化第二銅を含むプリント基板のエッチング廃液を苛性アルカリで中和し、その中和した銅溶液と苛性アルカリ水溶液とを、温度40〜50℃に保持した水溶液中に同時に滴下混合して、その混合した水溶液のpHを弱酸性から弱アルカリ性の範囲に維持しながら銅の水和物を生成させる。次いでpH12〜13に調製し、70〜80℃の温度に30分間保持した後、水洗、固液分離して酸化第二銅を製造する方法が特許文献1に提案されている。
しかし、不純物として塩化ナトリウム(NaCl)が副生することから、不純物除去のために水洗工程が必要であること、さらには水洗しても完全に除去することは困難である、といった問題を抱えている。
しかし、この方法で得られた酸化第二銅粉末は、不純物としてNaやSO4体でのSの残留濃度が高い問題があり、めっき液の硫酸銅水溶液を使用すると、その不純物などに起因するめっき不具合といった問題が生じ易かった。
しかし、乾式法では、その熱分解温度が高いため、得られた酸化第二銅粉末は、焼結の影響でめっき液への溶解速度が極めて遅くなってしまう問題が生じていた。
本発明はこのような技術的発見に基づき完成されている。
[酸化第二銅微粉末の製造方法]
(1)酸化第二銅粗粉末の形成
酸化第二銅粗粉末は、原料とする銅粉を酸素含有雰囲気下で最高温度を350℃〜800℃とした熱処理を行う(銅粉から形成する場合)か、硫酸銅を酸素含有雰囲気下で最高温度を700℃〜1000℃とした熱処理を行う(硫酸銅から形成する場合)ことで形成することができる。
以下、「銅粉から形成する場合」と「硫酸銅から形成する場合」とに分けて詳細に説明する。
銅粉を熱処理する場合、原料の銅粉は、特に限定せず、例えば電解銅粉、アトマイズ銅粉、化学還元銅粉を用いることができる。その銅粉の粒径は、価格や酸化速度の観点から5μm〜100μm以下が好ましい。
特に、問題となるのが異相であり、異相のうち酸化第一銅は、硫酸銅水溶液であるめっき液に溶解しない。そのため、異相の存在はめっき液の溶解性やめっき液の特性に悪影響を与えると考えられる。
一方、最高温度の上限は、媒体攪拌ミルや気流式ミルでの粉砕性の点から800℃が好ましく、熱処理の最高温度が、800℃を超えると、酸化第二銅粗粉末が焼結し粉砕しにくくなる。なお、雰囲気は適宜選択できるが、大気中で熱処理しても良い。
硫酸銅を熱処理する場合、酸素含有雰囲気下で、最高温度を700℃〜1000℃とした熱処理を行うことで、酸化第二銅粗粉末を得ることができる。なお熱処理時に生成するSO3(SO2+1/2O2)の除去は、分解反応を促進する効果を有している。
この熱処理における最高温度の上限は、媒体攪拌ミルや気流式ミルでの粉砕性の点から1000℃が好ましい。
すなわち、原料をその最高温度下の炉内に投入して短時間に昇温させてもよいし、温度を徐々に上昇させてもよいし、段階的に上昇させてもよい。また、降温の際も同様である。
さらに、原料を炉内へ供給するには、原料を雰囲気の気流と共に炉内へ導入してもよいし、キャリアガスにより炉内へ導入してもよいし、耐熱性の容器に入れた原料を炉内に導入してもよい。
一次熱処理酸化第二銅微粉末は、酸化第二銅粗粉末を粉砕したものである。
この粉砕処理での嵩密度、タップ密度、比表面積および平均粒子径の粉末特性が、二次熱処理された酸化第二銅微粉末の粉末特性を決めるものである。なお、後述する二次熱処理は、一次熱処理酸化第二銅微粉末を焼結させることはない。
媒体攪拌ミルは、ビーズなどの粉末砕媒体と酸化第二銅粗粉末と溶媒を含むスラリーに攪拌により運動エネルギーを与え、酸化第二銅粗粉末同士の衝突や粉末砕媒体と酸化第二銅粗粉末のせん断応力により微粉末を得る装置である。
媒体攪拌ミルの攪拌機構は、ビーズのせん断応力が酸化第二銅粗粉末に効率よく伝達されれば良く、その機構や形状は特に限定されない。
さらに、ビーズ径は、小さいほど粉砕スピードが速く、粉砕される酸化銅粉末の粒子径も小さくなる。特に、めっき液への溶解性が高い粒子径に粉砕するには、特に直径0.3mm以下のビーズが好ましい。
ビーズの材質は、特に限定されないが、例えば比重が小さいガラスビーズや比重が大きいZrO 2 ビーズ、YSZビーズが挙げられる。比重が大きいビーズでは、粉末砕効率が高く、摩耗が少なく、特に好ましい。
一方、気流式ミルは、高速のジェット気流中で酸化第二銅粗粉末を相互に衝突させることにより、微粉末を得る装置である。
なお、湿式媒体ミルを用いても気流式ミルを用いても、粉砕条件は、特に限定されるものではなく、得られる酸化第二銅微粉末が所望の比表面積や平均粒子径となるように適宜選択すればよい。
上記の工程を経て得られた一次熱処理酸化第二銅微粉末を、酸素含有雰囲気下で熱処理して二次熱処理酸化第二銅微粉末を形成する。
その熱処理温度は200℃〜800℃が望ましく、熱処理時間は0.5時間〜3時間が望ましいが、最終的に完全なCuOの形態となるように両者は適宜選択される。
この酸素含有雰囲気下での二次熱処理により、得られた酸化第二銅微粉末のめっき液への溶解性がさらに高くなるのは、一部酸素欠損の状態(CuO1−x)から完全なCuOの状態になるためと推察している。
なお、この二次熱処理では、一次熱処理酸化第二銅微粉末を焼結させないことに留意しなければならない。そのため上記の熱処理温度、および熱処理時間が望ましい。
さらに、本発明の酸化第二銅微粉末の製造方法は、酸化第二銅粗粉末を粉砕した微粉末化した一次熱処理酸化第二銅微粉末を二次熱処理するので、完全なCuOの形態となりやすい。
そのため、本発明の酸化第二銅微粉末は、銅めっき用補給銅源としてより望ましい。具体的には、本発明の製造方法で得られた酸化第二銅微粉末の7gの溶解時間は、CuSO4・5H2Oを90g/L、H2SO4を220g/L、塩素イオンを60mg/L含み、攪拌されている1リットルの硫酸銅水溶液に投入した時に、2分以下で溶解する易溶性を有する。
銅を電解めっきする際に用いる銅めっき液(硫酸銅水溶液)は、硫酸銅、硫酸および塩素イオンを含有し、pHは1よりも低いものが用いられることが多い。そして、この銅めっき液には、銅めっきの品質向上のため公知の添加剤が加えられている。
めっき液へ銅を供給するには、めっき液に銅または銅を含む化合物等の銅源が速やかに溶解することと、銅源が溶解することでめっき液のSO4 2+イオンなどのバランスが崩れないこと、さらにめっき液に含まれる添加剤が分解しないことが要求される。
このような要求に対して、酸化第二銅微粉末は、めっき液のSO4 2+イオンなどのバランスを崩すことなく、また、各種添加剤の分解も少ない利点を有するものである。
具体的には、攪拌されたCuSO4・5H2Oを90g/L、H2SO4を220g/L、塩素イオンを60mg/L含むめっき液に近似した水溶液1リットルに、酸化第二銅粉末7gを投入したときの溶解時間は、短いほどより望ましい。
本発明に係る酸化第二銅微粉末は、上記めっき液に近似した水溶液1リットルに投入すると2分以内に溶解する。
特に酸化第一銅は、めっき液に溶解せずに残渣となることから生成を避けるべきものである。本発明の酸化第二銅微粉末の製造方法では、酸化第二銅粗粉末を製造する際の熱処理で異相となる酸化第一銅が生じにくい。
さらに、この熱処理の処理条件では、媒体攪拌ミルもしくは気流式ミルで微粉末化可能な酸化第二銅粗粉末が得られるので、結果的には、微粉砕によりめっき液へ速やかに溶解する酸化第二銅微粉末を得ることになる。したがって、めっき液の調整、すなわち硫酸銅水溶液への銅イオンの供給が可能となる。
この酸化第二銅溶解槽は、めっき槽から供給された水溶液に酸化第二銅微粉末を溶解させて形成した水溶液を、めっき槽へ送り返す。使用する酸化第二銅溶解槽には、プロペラなどの攪拌機構を付属させることが好ましい。また、めっき槽と酸化第二銅溶解槽の間には、ゴミや異物等の除去のため公知の各種フィルターを備えても良い。
なお、本発明の硫酸銅水溶液への銅イオンの供給方法に用いる硫酸銅水溶液は、硫酸銅を水に溶解した水溶液でもよいし、硫酸に本発明に係る酸化第二銅微粉末を溶解させた水溶液でも良い。
なお、酸化第二銅微粉末a、b、c、d、e、f、g、i、j、m、n、p、酸化第二銅粗粉末hについて比表面積および平均粒子径を測定した。
得られた酸化第二銅微粉末のうち、X線回折測定(XRD)でCuO単一相が確認された試料は、すべて黒色を呈し、電解重量分析の結果、CuO濃度は電解銅粉末を原料に用いたものが99.6重量%、CuSO4・5H2Oを原料に用いたもの98.6重量%であった。
次に、作製した酸化第二銅粗粉末aが20重量%、残りを水が80重量%となるように秤量し、直径0.3mmのZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーで12時間粉砕処理した後、ビーズを分離した分散液を105℃で乾燥し、一次熱処理酸化第二銅微粉末aを得た。
その後、その一次熱処理酸化第二銅微粉末aを、大気雰囲気下500℃の温度で3時間熱処理することによって酸化第二銅微粉末aを形成した。その酸化第二銅微粉末aは、粉末X線解析の結果、図2に示すようにCuO単一相であった。図3に、酸化第二銅微粉末aのSEM像を示す。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、15秒で溶解した。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、52秒で溶解した。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、53秒で溶解した。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、1分30秒で溶解した。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、2分で溶解した。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、13秒で溶解した。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、60秒で溶解した。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、60秒で溶解した。
実施例1において、ペイントシェーカーを行わなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る酸化第二銅粗粉末hを作製した。すなわち酸化第二銅粗粉末hは、電解銅粉末を大気雰囲気下500℃の温度で3時間熱処理を行い、さらに大気雰囲気下500℃の温度で3時間熱処理をおこなった。酸化第二銅粗粉末hは、粉末X線解析の結果、CuO単一相であった。図5に、酸化第二銅粗粉末hのSEM像を示す。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、溶解するまで1時間を要した。
実施例1において、ペイントシェーカー後の大気中での熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして比較例2に係る酸化第二銅微粉末iを作製した。酸化第二銅微粉末iは、粉末X線解析の結果、CuO単一相であった。図6に、酸化第二銅微粉末iのSEM像を示す。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、溶解するまで6分間を要した。
実施例1において、ペイントシェーカー後の熱処理を、N2雰囲気下で500℃、1時間熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして比較例3に係る酸化第二銅微粉末jを作製した。酸化第二銅微粉末jは粉末X線解析の結果、CuO単一相であった。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、溶解するまで6分31秒を要した。
実施例1の一次熱処理において、三井金属鉱業株式会社製電解銅粉(グレード:MF−D2)の焼成を、大気雰囲気下500℃の温度で3時間、ペイントシェーカーでの粉砕時間を3時間、二次熱処理を処理温度190℃、処理時間0.5時間として酸化第二銅粗粉末pを得た。
この酸化第二銅微粉末pは、粉末X線解析の結果、CuO単一相であった。
次に、実施例1と同様の方法でめっき液への溶解試験を行ったところ、溶解するまで10分を要した。
実施例1において、三井金属鉱業株式会社製電解銅粉(グレード:MF−D2)の焼成を、大気雰囲気下300℃の温度で4時間とした以外は、実施例1と同様にして参考例に係る酸化第二銅粗粉末kを作製した。酸化第二銅粗粉末kは、粉末X線解析の結果、CuOの他に、CuとCu2Oの異相が認められたことから、ビーズミルでの粉砕やめっき液での溶解試験を行わなかった。
表1から明らかなように、本発明の高純度酸化第二銅微粉末の製造方法による高純度酸化銅微粉末である実施例1から実施例9では、2分以内にめっき液である硫酸銅水溶液に溶解し、易溶性であることがわかる。一方、製造条件のいずれかが外れた比較例1から比較例4では、めっき液への溶解性を満足していないことは明らかである。
Claims (5)
- 熱処理により得られた酸化第二銅粗粉末を粉砕処理する高純度酸化第二銅微粉末の製造方法であって、
銅粉末又は硫酸銅を酸素含有雰囲気下で一次熱処理して酸化第二銅粗粉末を得る工程と、
前記酸化第二銅粗粉末を粉砕処理して一次熱処理酸化第二銅微粉末を得る工程と、
前記一次熱処理酸化第二銅微粉末を、酸素含有雰囲気下で温度200℃〜800℃で二次熱処理する工程と、
を具備することを特徴とする高純度酸化第二銅微粉末の製造方法。 - 前記一次熱処理が、銅粉末を酸素含有雰囲気下で温度350℃〜800℃で熱処理することを特徴とする請求項1に記載の高純度酸化第二銅微粉末の製造方法。
- 前記一次熱処理が、硫酸銅を酸素含有雰囲気下で温度700℃〜1000℃で熱処理することを特徴とする請求項1に記載の高純度酸化第二銅微粉末の製造方法。
- 前記粉砕処理が、前記酸化第二銅粗粉末と溶媒とを混合したスラリーを、媒体攪拌ミルを用いて粉砕もしくは前記酸化第二銅粗粉末を気流式ミルを用いて粉砕した処理であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高純度酸化第二銅微粉末の製造方法。
- 高純度酸化第二銅微粉末を溶解させて硫酸銅水溶液の銅イオン濃度を調整する硫酸銅水溶液への銅イオンの供給方法であって、
前記高純度酸化第二銅微粉末が、請求項1から4のいずれか1項に記載の高純度酸化第二銅微粉末の製造方法により得られたもので、
且つ、前記高純度酸化第二銅微粉末を、CuSO4・5H2Oを50〜130g/L、H2SO4を150〜240g/L、塩素イオンを30〜70mg/L含む水溶液に溶解させることを特徴とする銅イオンの供給方法。
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