JP5875694B2 - バルブ - Google Patents
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Description
この発明は、弁軸と軸受部の隙間からの流体漏れを抑制するシール部材に、弁軸に付着した付着物を掻き落とす機能を付加したバルブに関する。
例えば、特許文献1に係る排気ガス再循環制御バルブは、弁軸が摺動する軸受部に、所定の範囲で移動および変形が可能なシール部材を設け、このシール部材が排ガス通路の圧力に応じて変形する構成であった。下方の排ガス通路から排気圧力が掛かったとき、シール部材の内径部が変形して弁軸外径部に密着し、また、このシール部材が上方に設置されたプラグへ押し付けられることによって、軸受部周りの排ガス漏れを抑制していた。
また例えば、図6に示す従来のシール部材100は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から成る薄い円板状に形成され、その外周部に装着されたOリング101によって弁軸103の外周部へ押し付けられる構成である。弁軸103への組み付け性向上のため、シール部材100の上下端にはテーパ部102が形成されている。また、Oリング101の押し付け力(図6の矢印)により、シール部材100のシール性を確保している。
特許文献1の場合、弁軸が動き出す瞬間にシール部材とプラグの間に隙間が生じ、その隙間を排ガスが流れることによって、プラグ上方に設置されたモータ側へ排ガスが吹き抜ける可能性がある。軸受部と弁軸との隙間、および、シール部材とプラグとの隙間を通って上方へ排ガスが吹き抜けると、モータ内部にまで排ガスが侵入し、モータ停止に至る可能性があるという課題があった。また、シール部材には、弁軸に付着した排ガスデポジット(カーボン)を掻き落とす機能が無いため、弁軸に付着したデポジットがシール部材と軸受部の隙間に侵入し、軸受部でのデポジットの固着およびシール部材の磨耗促進に至るという課題があった。
また、図6に示すシール部材100の場合、テーパ部102がガイドの役目をし、弁軸103に付着した排ガスデポジットが弁軸103の軸方向の動きによりシール部材100の内周部に侵入しやすくなる。そのため、シール部材100でのデポジットの固着および磨耗促進に至るという課題があった。また、シール部材100に対するOリング101の押し付け力は水平方向に1方向となるため、シール部材100が磨耗しやすいという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、弁軸と軸受部との隙間からの漏れ量を低減すると共に、弁軸に付着した排ガスデポジットを掻き落とすシール部材を用いたバルブを提供することを目的とする。
この発明のバルブは、内部に流体の通路を有するハウジングと、通路を開閉する弁体を有する弁軸と、弁軸を摺動可能に支持する軸受部と、ハウジングに対して固定され、弁軸と軸受部との隙間を塞ぐ環状のシール部材と、シール部材の内周面を弁軸の外周部へ押し付けるOリングとを備え、シール部材は、内周面に環状の凹部が形成されており、弁軸の摺動に伴って内周面と当該凹部との境界となる角部で弁軸の外周部の付着物を掻き落とし、当該凹部に溜め、シール部材は、内周面に環状の凹部が複数形成されているようにしたものである。
この発明によれば、弁軸と軸受部との隙間を、Oリングの押し付け力によりシール部材で塞いで、漏れ量を低減すると共に、シール部材の内周面の角部で弁軸の付着物を掻き落とし、凹部に溜めるようにしたので、シール部材のシール面への付着物の侵入を抑制することができる。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態1に係るバルブの構成を示す断面図である。本実施の形態1では、図1に示すバルブを、排ガスを吸気系へ再循環させる排気ガス再循環バルブとして用いる場合を例に説明する。ハウジング1の排ガス通路1aにバルブシート2が設置され、弁軸(ロッド)4の下端部に締結された弁体3がバルブシート2を開閉する。図1は閉弁した状態を示す。
実施の形態1.
図1は本実施の形態1に係るバルブの構成を示す断面図である。本実施の形態1では、図1に示すバルブを、排ガスを吸気系へ再循環させる排気ガス再循環バルブとして用いる場合を例に説明する。ハウジング1の排ガス通路1aにバルブシート2が設置され、弁軸(ロッド)4の下端部に締結された弁体3がバルブシート2を開閉する。図1は閉弁した状態を示す。
図2に、図1中に破線で囲んだ領域Aの拡大図を示す。ハウジング1の中央部には、弁軸4を貫通する貫通穴が形成され、この貫通穴にフィルタ5、軸受部(ブッシュ)6、Oリング7、プレート8、シール9、およびプラグ10が設置されている。このプラグ10はハウジング1の貫通穴に圧入固定されている。また、プラグ10の上方には、スプリング11、スプリングホルダ12、およびスプリングホルダ12を弁軸4の上端部に締結するコッタ13が設置され、さらに上方にモータ(アクチュエータ)14が取り付けられている。
モータ14の出力軸14aを介して、モータ14の動力が弁軸4に伝わり、スプリング11の付勢力に抗して弁軸4が下方へ動き、この弁軸4に締結された弁体3がバルブシート2から下方へ離れて排ガスが流れる(開弁)。一方、モータ14の伝達力が逆方向に変換されると、圧縮されていたスプリング11の反発力がスプリングホルダ12とコッタ13を伝わって、弁軸4と弁体3が上方へ動き、弁体3がバルブシート2に接する(閉弁)。弁軸4は軸受部6により上下方向に摺動可能に支持されており、弁軸4の摺動部に付着した排ガス成分をフィルタ5で掻き落とす。
軸受部6とプレート8との隙間をOリング7が塞ぐことにより、弁軸4と軸受部6との隙間から漏れる排ガスが、軸受部6とプレート8との隙間、および、プラグ10とハウジング1との隙間を流れてモータ14側へ吹き抜けるのを抑制している。
また、弁軸4とプラグ10との隙間をシール9が塞ぐことにより、弁軸4と軸受部6との隙間から漏れる排ガスが、弁軸4とプラグ10との隙間を流れてモータ14側へ吹き抜けるのを抑制している。即ち、弁軸4と軸受部6との間から排ガスが上方へ吹きぬけるのを抑制する役目として、シール9を設置している。
また、弁軸4とプラグ10との隙間をシール9が塞ぐことにより、弁軸4と軸受部6との隙間から漏れる排ガスが、弁軸4とプラグ10との隙間を流れてモータ14側へ吹き抜けるのを抑制している。即ち、弁軸4と軸受部6との間から排ガスが上方へ吹きぬけるのを抑制する役目として、シール9を設置している。
図3にシール9の断面図を示す。シール9は、弁軸4の外周部、プレート8、およびプラグ10に囲まれた空間に設置されている。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から成る薄い円板状のシール部材9aは、弁軸4の外周部に装着され、軸受部6と弁軸4との隙間を吹き抜けた排ガスが軸受部6の上部へ流れないように、その隙間を塞いでいる。また、シール部材9aの外周部に設置したOリング9bの押し付け力(締め付け力)によって、シール部材9aの内周面が弁軸4の外周部に密着し、シール性を確保している。これにより、弁軸4と軸受部6との間の摺動部分からの漏れ量を低減させることができる。
また、シール部材9aの内周面には、環状の凹部9dが形成されている。シール部材9aの内周面はシール面となるが、複数の凹部9dを形成してこの内周面を分離(多段化)することにより、複数のシール面9cが構成される。これにより、1箇所のシール面9cが磨耗してシール性が低下したとしても、残りのシール面9cでシールすることが可能である。また、軸受部6と弁軸4との隙間を吹き抜けた排ガスデポジットを、これら凹部9dに溜めることができるので、吹き抜けを抑制可能となる。
さらに、シール9に、弁軸4と軸受部6との間から排ガスが上方へ吹きぬけるのを抑制する役目に加え、弁軸4に付着した排ガスデポジットを掻き落とす役目を付加する。シール9に対して弁軸4が動く際に、シール面9cと凹部9dとの境界となる角部9eそれぞれが、弁軸4の外周部に付着した排ガスデポジットを掻き落とし、掻き落とした排ガスデポジットを凹部9dに溜める。これにより、シール面9cへの排ガスデポジットの侵入を抑制して、シール部材9aでの排ガスデポジットの固着リスクを低減させることができる。また、最下端のシール面9cにも角部9e’を形成して、弁軸4に付着した排ガスデポジットを掻き落とす。なお、先立って説明した特許文献1のシール部材とは異なり、本実施の形態1のシール部材9aでは、シール9はOリング9bの締め付け力によってシールするため排気圧力の影響を受けない。
また、シール部材9aの排ガス通路1a側、最下端部には、弁軸4の外周面に当接して弁軸4に付着した排ガスデポジットを掻き落とす掻き落とし部9fが形成されている。この掻き落とし部9fは、Oリング9bの押し付け力を受けないよう、シール面9cから分離した形状になっており、さらに、弾性変形しやすいよう径方向の厚みが薄くなっている。弁軸4と軸受部6との間には隙間があるため、弁軸4が動く際には軸ぶれが生じるが、弁軸4の動きに合わせて掻き落とし部9fが弾性変形し、排ガスデポジットを掻き落とすことができる。
なお、掻き落とし部9fは、シール部材9aの上端部と下端部両方に形成してもよいが、特に排ガス通路1a側を向く下端部に形成した場合には、弁軸4が閉弁方向に動く際にデポジットを掻き落とすことができるので、弁軸4が開弁方向に動く際にシール面9cへのデポジット侵入を効果的に抑制することができる。
また、シール部材9aの外周面には、Oリング9bを装着する断面円弧状の受け面9gが形成されている。この受け面9gの曲率半径を、Oリング9bの受け面9gに接する面の曲率半径より小さくして、Oリング9bによる押し付け力を分散させ、シール面9cの磨耗を抑制している。
以上より、実施の形態1によれば、排気ガス再循環バルブは、内部に排ガス通路1aを有するハウジング1と、排ガス通路1aのバルブシート2を開閉する弁体3を有する弁軸4と、弁軸4を摺動可能に支持する軸受部6と、ハウジング1に対して固定され、弁軸4と軸受部6との隙間を塞ぐ環状のシール部材9aと、シール部材9aの内周面を弁軸4の外周部へ押し付けるOリング9bとを備え、シール部材9aの内周面(シール面9c)に環状の凹部9dが形成されており、弁軸4の摺動に伴ってシール面9cと凹部9dとの境界となる角部9eで弁軸4の外周部に付着した排ガスデポジットを掻き落とし、凹部9dに溜めるように構成したので、弁軸4と軸受部6との隙間からの漏れ量を低減すると共に、弁軸4に付着した排ガスデポジットを掻き落とすことができ、シール面9cへの排ガスデポジットの侵入を抑制することができる。これにより、排ガス吹き抜けによるモータ14への悪影響を低減させると共に、シール面9cでの排ガスデポジットの固着リスクを低減させることができる。
また、実施の形態1によれば、シール部材9aの内周面(シール面9c)に、環状の凹部9dを複数形成する構成にした。このため、複数の凹部9dによってシール面9cが複数に分離され、1箇所のシール面9cが磨耗しても他のシール面9cでシールすることができる。また、排ガスデポジットを溜める凹部9dの容積増加により、モータ14側への吹き抜けをさらに抑制可能となる。
なお、図3では凹部9dを2つ形成して、シール面9cを3箇所に分離する構成例を示したが、凹部9dの数はこれに限定されるものではない。
シール部材9aの大きさを固定した場合において凹部9dの数を増やすと、シール面9cの面積が減少してシール性が低下するため、漏れ量の増加につがなる。また、シール面9cの面積が減少すると、個々のシール面9cに掛かるOリング9bの押し付け力が高まるため、シール面9cの耐久性が低下し磨耗促進につながる。従って、凹部9dの数は、シール性および耐久性に及ぼすデメリットと、シール面分離によるメリットとの兼ね合いで決定するとよい。
シール部材9aの大きさを固定した場合において凹部9dの数を増やすと、シール面9cの面積が減少してシール性が低下するため、漏れ量の増加につがなる。また、シール面9cの面積が減少すると、個々のシール面9cに掛かるOリング9bの押し付け力が高まるため、シール面9cの耐久性が低下し磨耗促進につながる。従って、凹部9dの数は、シール性および耐久性に及ぼすデメリットと、シール面分離によるメリットとの兼ね合いで決定するとよい。
例えば図4に示すように、凹部9dを1つ形成して、シール面9cを2箇所に分離してもよい。なお、図4のシール部材9aにおいては、下端部に掻き落とし部9fを形成していないが、弁軸4(不図示)の外周部に付着した排ガスデポジットを角部9e,9e’で掻き落とすことができるので、シール面9cへの排ガスデポジット侵入を抑制可能である。また、図4において、シール部材9aの排ガス通路1a側の端部に掻き落とし部9fを形成した場合には、この掻き落とし部9fが弁軸4の外周部に当接して弁軸4の動きに合わせて弾性変形して排ガスデポジットを掻き落とすので、シール面9cへの排ガスデポジット侵入をさらに抑制することができる。
なお、図3では掻き落とし部9fを、弁軸4の軸方向に対して傾斜した形状に形成した例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、掻き落とし部9fを、弁軸4の軸方向に対して直交する形状に形成してもよい。この形状の場合にも、弁軸4の動きに合わせて掻き落とし部9fが弾性変形し、排ガスデポジットを掻き落とすことができる。
また、実施の形態1によれば、シール部材9aのOリング9bの受け面9gの曲率半径をOリング9bの曲率半径より小さくしたので、Oリング9bによる押し付け力を分散させ、シール面9cの磨耗を抑制することができる。
なお、シール9を排気ガス再循環バルブに用いる例を説明してきたが、シール9を別の用途のバルブに用いることも可能である。
また、上記以外にも、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
また、上記以外にも、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
以上のように、この発明に係るバルブは、軸受部と弁軸との隙間を塞ぐシールに、弁軸の付着物を掻き落とす機能を追加するようにしたので、車両に搭載される排気ガス再循環バルブなどに用いるのに適している。
1 ハウジング、1a 排ガス通路、2 バルブシート、3 弁体、4,103 弁軸、5 フィルタ、6 軸受部 7,9b,101 Oリング、8 プレート、9 シール、9a,100 シール部材、9c シール面、9d 凹部、9e,9e’ 角部、9f 掻き落とし部、9g 受け面、10 プラグ、11 スプリング、12 スプリングホルダ、13 コッタ、14 モータ、14a 出力軸、102 テーパ部。
Claims (3)
- 内部に流体の通路を有するハウジングと、
前記通路を開閉する弁体を有する弁軸と、
前記弁軸を摺動可能に支持する軸受部と、
前記ハウジングに対して固定され、前記弁軸と前記軸受部との隙間を塞ぐ環状のシール部材と、
前記シール部材の内周面を前記弁軸の外周部へ押し付けるOリングとを備えるバルブにおいて、
前記シール部材は、前記内周面に環状の凹部が形成されており、前記弁軸の摺動に伴って前記内周面と当該凹部との境界となる角部で前記弁軸の外周部の付着物を掻き落とし、当該凹部に溜め、
前記シール部材は、前記内周面に前記環状の凹部が複数形成されていることを特徴とするバルブ。 - 内部に流体の通路を有するハウジングと、
前記通路を開閉する弁体を有する弁軸と、
前記弁軸を摺動可能に支持する軸受部と、
前記ハウジングに対して固定され、前記弁軸と前記軸受部との隙間を塞ぐ環状のシール部材と、
前記シール部材の内周面を前記弁軸の外周部へ押し付けるOリングとを備えるバルブにおいて、
前記シール部材は、前記内周面に環状の凹部が形成されており、前記弁軸の摺動に伴って前記内周面と当該凹部との境界となる角部で前記弁軸の外周部の付着物を掻き落とし、当該凹部に溜め、
前記シール部材の前記通路側の端部に形成され、前記弁軸の外周部に当接して前記弁軸の動きに合わせて弾性変形して前記付着物を掻き落とす掻き落とし部を備えることを特徴とするバルブ。 - 内部に流体の通路を有するハウジングと、
前記通路を開閉する弁体を有する弁軸と、
前記弁軸を摺動可能に支持する軸受部と、
前記ハウジングに対して固定され、前記弁軸と前記軸受部との隙間を塞ぐ環状のシール部材と、
前記シール部材の内周面を前記弁軸の外周部へ押し付けるOリングとを備えるバルブにおいて、
前記シール部材は、前記内周面に環状の凹部が形成されており、前記弁軸の摺動に伴って前記内周面と当該凹部との境界となる角部で前記弁軸の外周部の付着物を掻き落とし、当該凹部に溜め、
前記シール部材の前記Oリングの受け面の曲率半径は、前記Oリングの曲率半径より小さいことを特徴とするバルブ。
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