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JP5876738B2 - 湿式伸線機用キャプスタンおよびそれを用いた湿式伸線機 - Google Patents
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JP5876738B2 - 湿式伸線機用キャプスタンおよびそれを用いた湿式伸線機 - Google Patents

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Description

本発明は、湿式伸線機用キャプスタン(以下、単に「キャプスタン」とも称する)およびそれを用いた湿式伸線機に関し、詳しくは、湿式伸線機の運転状態を安定化させてスリップによるワイヤ品質の悪化を抑制することができ、かつ、メンテナンスが容易な湿式伸線機用キャプスタンおよびそれを用いた湿式伸線機に関する。
従来の湿式伸線機は、キャプスタンにスチールワイヤ(以下、単に「ワイヤ」とも称する)を巻き付けて引き抜き力を得ているが、経済効率を追求した結果、数十個のダイス伸線を1つのモーターで駆動させるスリップ式伸線機が主流となっている。湿式伸線機は、一対の多段キャプスタンの間に段数に応じた個数のダイスを配置した構造となっており、通常、湿式伸線機内に1〜数対の多段キャプスタンが設けられている。
これら、各一対の多段キャプスタンは同じ回転数であるが、ダイス通過ごとにワイヤは細径となり、排出速度が速くなる。そこで、後段のキャプスタン径を前述の排出速度比に合わせて大きくし、キャプスタンの周速比がそれと同等となるように設計されている。
しかしながら、ダイス径のわずかな偏差やダイスの摩耗等により、ワイヤの排出速度比を厳密に一定に管理することは困難であるので、実際はワイヤ速度よりもキャプスタンの周速を早くし、ワイヤとキャプスタン間をスリップさせることで儒給バランスの変動を吸収する構成をとっている。
このように、ワイヤの品質向上を目指した改良技術は多数報告されている。例えば、特許文献1には、キャプスタンと最終ダイスから引き抜かれるワイヤ線速を制御することで、ワイヤの張力変動を制御する技術が開示されている。また、特許文献2には、引き抜きキャプスタンに圧着ローラを用いて、引き抜き時のスリップを0とすることにより、ワイヤ特性の低下を防止する技術が開示されている。
特開平8−103813号公報 特開平8−117834号公報
特許文献1および2の技術によれば、ワイヤの品質の向上や生産性の向上には一定の効果が得られる。しかしながら、以下の点の検討がなされておらず、必ずしも十分なワイヤ品質が得られているとは言えなかった。すなわち、全てのキャプスタン上でワイヤのスリップをなくすことがワイヤの品質向上には理想的であるが、実際は、キャプスタンの周速はワイヤの線速の最も早い位置にあわされるため、ワイヤ線速の遅い場所では必ずスリップが発生してしまう。また、ワイヤの線径によっても、キャプスタンの周速は変化するため、キャプスタンを複数個用意しなければならず、手間とコストがかかり現実的ではなかった。
また、湿式伸線工程における上流側のダイスからのワイヤは、キャプスタンに巻きつけられ駆動され、上流側ダイスへの引き抜き力を発生する。そのキャプスタンの下流側には、次のダイスが配置されていて、キャプスタン下流側の張力は、次のダイスへのバックテンションと呼ばれている。このバックテンションは、引き抜き加工にとって重要な力学因子であり、良好な引き抜き加工のためには、バックテンションの値を最適化する必要がある。
ここで、バックテンションを制御する手段としては、キャプスタンへのワイヤの巻き付け回数及びキャプスタン表面材質や粗さの制御が挙げられる。この中でも、ワイヤへの巻き付け回数がバックテンション制御に重要な因子となっている。具体的には、次のダイスへのバックテンションを高めたい場合は、巻き付け回数を減らし、低くしたい場合は、巻き付け回数を増やす操作を行う必要があるが、その作業性や効果については、十分検討されたものとは言えなかった。
そこで、本発明の目的は、湿式伸線機の運転状態を安定化させてスリップによるワイヤ品質の悪化を抑制することができ、かつ、メンテナンスが容易な湿式伸線機用キャプスタンおよびそれを用いた湿式伸線機を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解消するために、湿式伸線機用キャプスタンにつき鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の湿式伸線機用キャプスタンは、スチールワイヤの湿式伸線に用いる湿式伸線機用キャプスタンにおいて、
前記スチールワイヤとキャプスタンとの接触面にクラッチ部材が設けられ、
前記クラッチ部材の幅方向断面形状が傾斜形状であることを特徴とするものである。
本発明においては、前記クラッチ部材は開口部を有する環状弾性部材からなることが好ましく、また、前記クラッチ部材の内周側と外周側で材質が異なることが好ましい。
また、本発明の湿式伸線機は、本発明の湿式伸線機用キャプスタンを用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、湿式伸線機の運転状態を安定化させてスリップによるワイヤ品質の悪化を抑制することができ、かつ、メンテナンスが容易な湿式伸線機用キャプスタンおよびそれを用いた湿式伸線機を提供することができる。
本発明の一実施の形態のキャプスタンの概略斜視図である。 本発明に係るクラッチ部材の一例の概略斜視図である。 キャプスタンの前後の張力を測定する装置の概略図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明のキャプスタンの一好適例を示す概略斜視図である。本発明の湿式伸線機用キャプスタン10は、スチールワイヤの湿式伸線に用いる湿式伸線機用キャプスタンであり、スチールワイヤとキャプスタン10との接触部にクラッチ機構を有するクラッチ部材1が設けられている。クラッチ部材1としては、例えば、開口部を有する環状弾性部材(カラー状の板ばね)を、好適に用いることができる。本発明においては、ワイヤとキャプスタン10の間にクラッチ部材1を介在させて、ワイヤとクラッチ部材1をグリップさせ、キャプスタン10とクラッチ部材1をスリップさせる。これにより、ワイヤのスリップをなくすことができ、ワイヤ品質を向上させることができる。
すなわち、クラッチ部材1の外周に巻き付けたワイヤがクラッチ部材1を締め付けると、クラッチ部材1の内周部はキャプスタン10への接触圧を強め、クラッチ部材1に駆動力が伝達される。一方、クラッチ部材1の外周に巻き付けたワイヤが緩むと、クラッチ部材1の内周部はキャプスタン10への接触圧を弱め、クラッチ部材1に伝達される駆動力が低減される。このような作用により、適切な駆動力がワイヤに付与されることになるのである。
クラッチ部材1を用いてワイヤとクラッチ部材1とをグリップさせ、キャプスタン10とクラッチ部材1をスリップさせるには、ワイヤとクラッチ部材1との間の摩擦力を、キャプスタン10とクラッチ部材1との間の摩擦力より大きくすればよい。これらの摩擦力は、クラッチ部材1の内周部およびキャプスタン10の材質や粗さ等に基づき、適宜設定することができる。
また、従来のキャプスタンでは、差動部であるキャプスタン平面とワイヤの接触は、線接触であるため、面圧が高く、摩耗が進行しやすい。これに対して、本発明のキャプスタン10は、クラッチ部材1を介した面接触であるため、摩耗は進行しにくい。また、キャプスタン10が摩耗しても、クラッチ部材1の交換のみで済み、メンテナンス工数を簡略化することができる。また、クラッチ部材1の形状が、開口部を有する環状であれば、着脱も容易である。
さらに、クラッチ部材1の外周部に、ワイヤを複数回巻き付けることで、接触面圧を低減させ、かつ、クラッチ部材1上での駆動方向へのスリップを0とすることができ、ワイヤ表面へのダメージを低減させることができる。
さらにまた、先に述べたとおり、従来は、伸線時のバックテンションの制御は、キャプスタンへのワイヤの巻き付け回数を変更させることによる断続的な調整しかできなかった。しかしながら、本発明のキャプスタン10によれば、クラッチ部材1のばね定数、クラッチ部材1の内周部およびキャプスタン10の材質や粗さ、形状等を変更することにより、バックテンションを連続的に変化させることができる。これにより、最適なバックテンションを付与することが可能となる。
図2は、本発明に係るクラッチ部材1の一例の概略斜視図であるである。本発明においては、図2に示す様に、クラッチ部材1の幅方向断面形状が傾斜形状であることが好ましい。このようにクラッチ部材1を傾斜形状とすることにより、回転時のワイヤ繰り出し性が良好になる。
本発明においては、クラッチ部材1の材質は特に制限はなく、ワイヤとクラッチ部材1との間の摩擦力を、キャプスタン10とクラッチ部材1との間の摩擦力より大きくすることができるものであれば、それ以外は特に制限はなく、金属でも樹脂でもよい。また、クラッチ材1の内周部と外周部とが異なる材質であってもよく、効率よく摩擦力を制御するためには、このような構造とすることが好ましい。
本発明のキャプスタン10は、ワイヤとの接触面にクラッチ部材1を設けたことのみが重要であり、それ以外の材質等については常法に従い適宜選定することができ、特に制限されるものではない。
本発明の湿式伸線機は、本発明のキャプスタン10を用いたものである。本発明のキャプスタンを用いているため、品質の良好なワイヤを製造することができる。また、そのメンテナンスが容易であるという利点も有している。
本発明の湿式伸線機においては、キャプスタンにクラッチ部材を設けた点のみが重要であり、それ以外の、使用するダイス、潤滑剤、伸線に供するワイヤ等については、通常用いられているものから適宜選定することができ、特に制限されるものではない。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実施例1〜7および比較例1〜3)
図3に示す評価装置20を用いて、クラッチ部材を有するキャプスタン10の前後のスチールワイヤwの張力、ワイヤのキズおよびワイヤの振動を測定した。クラッチ部材としては、図1に示すタイプの開口部を有する環状弾性部材を用いた。詳細は、表1および2にまとめる。ここでキャプスタン10の前とは、キャプスタン10から重り21にかけての部分を指し、湿式伸線工程における上流側のダイスからのワイヤの引き抜き力に相当する。また、キャプスタン10の後とは、キャプスタン10からロードセル22にかけての部分を指し、湿式伸線過程における下流側のダイスのバックテンションに相当する。
評価装置20の条件としては、保持部23として、本発明のキャプスタン10の軸穴を介してキャプスタンを保持する機構を用い、駆動部材24としては、ロードセル22と駆動手段24とを繋ぐ線材を巻き取ることによりロードセル22を引っ張り移動させる手動のリールを用いた。また、別途、キャプスタン10の位置を上昇させることにより、見かけ上、キャプスタン10の周速をワイヤwの線速よりも大きくした。なお、保持部23からロードセル22までの距離は、約200mmとした。図中、25は支柱、26はプーリーである。試験に供したキャプスタン10の構成、測定条件等については、表1および2に示すとおりである。
なお、ワイヤのキズの評価は、表面上にキズがある場合を×、表面にキズがあるが実用上問題の無い場合を〇、表面にキズがない場合を◎とした。また、総合評価は、ワイヤキズが○または◎であり、ワイヤ振動が小または極小の場合を〇とした。
Figure 0005876738
Figure 0005876738
表1および2より、本発明の湿式伸線機は、湿式伸線機の運転状態の安定化およびスリップによるワイヤ品質の悪化を抑制することができることがわかる。
1 クラッチ部材
10 キャプスタン
20 評価装置
21 重り
22 ロードセル
23 保持部
24 駆動部材
25 支柱
26 プーリー

Claims (4)

  1. スチールワイヤの湿式伸線に用いる湿式伸線機用キャプスタンにおいて、
    前記スチールワイヤとキャプスタンとの接触面にクラッチ部材が設けられ
    前記クラッチ部材の幅方向断面形状が傾斜形状であることを特徴とする湿式伸線機用キャプスタン。
  2. 前記クラッチ部材が開口部を有する環状弾性部材からなる請求項1記載の湿式伸線機用キャプスタン。
  3. 前記クラッチ部材の内周側と外周側で材質が異なる請求項1または2記載の湿式伸線機用キャプスタン。
  4. 請求項1〜記載のキャプスタンを用いたことを特徴とする湿式伸線機。
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