JP5877006B2 - モールドの製造方法、および微細凹凸構造を表面に有する成形体の製造方法 - Google Patents
モールドの製造方法、および微細凹凸構造を表面に有する成形体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
工程(1):アルミニウム基材の表面を陽極酸化し、深さを無視して細孔を規則的に配列させる工程。
工程(2):工程(1)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する工程。
工程(3):工程(2)で処理した後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、規則的な配列を保ったまま任意の深さの細孔を形成する工程。
また、特許文献2においては、印加電圧80Vの定電圧で、細孔の間隔が200nmピッチの酸化皮膜が形成されるとしている。
しかしながら、酸化皮膜の形成速度は印加電圧が高いほど増大する。従って、特許文献1に記載されているように定電圧で陽極酸化時間を調整する方法では、印加電圧が高くなるほど(例えば印加電圧が60V以上)、工程(1)で形成される酸化皮膜の厚さを10μm以下に抑えることは困難であった。
工程(a):電解液中でアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化し、該アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
工程(b):前記工程(a)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する工程。
工程(c):前記工程(b)の後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、複数の細孔を有する酸化皮膜を形成または成長する工程。
工程(d):前記工程(c)または下記工程(e)の後、酸化皮膜の一部を除去し、細孔の孔径を拡大する工程。
工程(e):前記工程(d)の後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、さらに酸化皮膜を形成する工程。
工程(f):前記工程(d)と前記工程(e)とを交互に繰り返す工程。
前記工程(a)で形成される酸化皮膜の厚さが15μm以下であることが好ましい。
また、「細孔の間隔」は、隣接する細孔同士の中心間距離を意味する。
また、「突起」とは、成形体の表面に形成された微細凹凸構造の凸部のことをいう。
また、「微細凹凸構造」は、凸部または凹部の平均間隔がナノスケールであるの構造を意味する。
また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
また、「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
本発明のモールドの製造方法は、下記の工程(a)を有する方法である。また、工程(a)の後に、下記の工程(b)〜工程(f)を有することが好ましい。
工程(a):電解液中でアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化し、該アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
工程(b):前記工程(a)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する工程。
工程(c):前記工程(b)の後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、複数の細孔を有する酸化皮膜を形成または成長する工程。
工程(d):前記工程(c)または下記工程(e)の後、酸化皮膜の一部を除去し、細孔の孔径を拡大する工程。
工程(e):前記工程(d)の後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、さらに酸化皮膜を形成する工程。
工程(f):前記工程(d)と前記工程(e)とを交互に繰り返す工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
工程(a)は、電解液中でアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化し、アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜(陽極酸化ポーラスアルミナ)を形成する第一の酸化皮膜形成工程である。
アルミニウム基材の表面の一部または全部を電解液に浸漬して陽極酸化することによって、電解液に浸漬した部分に酸化皮膜を形成できる。陽極酸化の初期に形成される酸化皮膜は、細孔の位置や大きさが不均一で規則性は皆無であるが、酸化皮膜が厚くなるとともに、徐々に細孔の配列の規則性が増していく。
アルミニウム基材の純度は、99.0質量%超が好ましく、99.5質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上がもっとも好ましい。アルミニウム基材の純度が99.0質量%超であれば、モールドの製造過程において、不純物の金属間化合物が脱落して発生するマクロな凹凸が多くなりすぎない。
アルミニウム基材の平均結晶粒径は、アルミニウム基材の被加工面における任意に選ばれた100個以上の結晶粒について算出された円換算直径の平均値である。被加工面の結晶粒の観察は光学顕微鏡などで行うことができ、円換算直径の平均値は、例えば、日本ローパー社製の「Image−Pro PLUS」等の画像解析ソフトウエアを用いることで求められる。
ここで、「間欠的に電流を流す」とは、工程(a)において電流を流す操作と電流を止める操作を交互に繰り返すことを指す。
電流を止める間隔は特に限定されないが、60秒に一回以上の間隔で電流を止めることが好ましく、より好ましくは20秒に一回以上であり、さらに好ましくは8秒に一回以上である。電流を止める間隔が60秒よりも長いと、酸化皮膜が十分に薄膜化しにくくなることがある。
以下、本明細書において、電流が流れている間を「通電時」、電流が流れている時間を「通電時間」、電流を止めている間を「冷却時」、電流を止めている時間を「冷却時間」とも記す。
また、印加電圧を上げたり下げたりすることによっても間欠的に電流を流すことは可能である。陽極酸化で形成された酸化皮膜の底部(バリア層と呼ばれる)は電圧に比例して厚さが決まる。陽極酸化の途中で印加電圧を急速に下げると、下げた後の印加電圧に対応する厚さまでバリア層が化学溶解するまで電流が流れない。化学溶解の速度は電解液の濃度や温度に依存するので、印加電圧の上げ下げの振幅は一概に規定できないが、40V以上が好ましく、50V以上がより好ましく、60V以上がさらに好ましい。
一方、通電時の印加電圧は60V以上の一定値であることが好ましく、70V以上の一定値であることがより好ましく、80V以上の一定値であることがもっとも好ましい。細孔の間隔は印加電圧に依存しやすいため、通電時の印加電圧を一定値とすることで、細孔の配列が規則化しやすい。なお、通電時の印加電圧が60V未満であると、形成される酸化皮膜が薄膜化しにくくなる傾向にある。
しかし、本発明であれば、間欠的に陽極酸化して冷却時間を設けることで、特殊な装置を用いて電解液の温度を冷やさなくても、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化することができる。ただし、最初に形成される酸化皮膜をより薄膜化する点で、電解液の温度は6℃以上が好ましい。電解液の温度が6℃以上であれば、電解液を低温で維持する特殊な装置を用いることなく、かつより薄膜な酸化皮膜を形成できる。なお、電解液の温度の下限値は、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化しつつ、かつ、電解液の温度を容易に調整・維持できる点で、10℃以上が好ましく、15℃以上がさらに好ましい。
一方、電解液の温度の上限値は40℃以下が好ましい。電解液の温度が40℃を超えると、陽極酸化により発生するジュール熱の解消が遅くなり、電解液の温度が上がり続ける「熱暴走」が起こるおそれがある。電解液の温度を維持することができないと、初期条件が同じでも得られるモールドごとに酸化皮膜の厚みが5μm以上異なるなど、精密な制御が困難となる。
酸化皮膜の厚さは、電解液の濃度、通電時間の合計など陽極酸化の条件を適宜設定することによって調整される。
例えば、15℃に調整した4.6Lの0.3Mシュウ酸電解液を使用し、横幅8cm、縦幅1.5cmの半月状撹拌翼にて電解液を150rpmで撹拌しながら、10cm2のアルミニウム基材に80Vの電圧を印加する場合、1回あたりの通電時間は10秒以下が好ましく、5秒以下がより好ましく、2秒以下がさらに好ましい。1回あたりの通電時間が10秒を超えると、酸化皮膜が十分に薄膜化しにくくなるおそれがある。
一方、1回あたりの冷却時間は20秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。冷却時間が20秒未満であると、酸化皮膜が十分に薄膜化しにくくなるおそれがある。
工程(b)は、工程(a)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する酸化皮膜除去工程である。なお、図1は、酸化皮膜14の全部を除去した図である。
酸化皮膜14の一部または全部を除去することによって、酸化皮膜14の底部(バリア層)またはバリア層の形状に対応した窪み16がアルミニウム基材10の表面に露出する。工程(a)で形成された、細孔12が規則的に配列した酸化皮膜14の一部または全部を除去すると、バリア層または規則的に配列した窪み16が得られる。
工程(c)は、図1に示すように、工程(b)の後、アルミニウム基材10を電解液に浸漬して再び陽極酸化し、複数の細孔12を有する酸化皮膜14を再び形成する第二の酸化皮膜形成工程である。
アルミニウム基材10の表面に、バリア層または窪み16が形成された状態で再度陽極酸化すると、バリア層または窪み16が細孔発生点として作用し、新たな酸化皮膜14の細孔12は、バリア層または窪み16に対応した位置に発生する。特に、窪み16が規則的に配列している場合、陽極酸化の初期、すなわち新たに形成される酸化皮膜14が薄い状態でも、規則的に配列した細孔12が得られるため、細孔12の深さをサブミクロンオーダーで調整することが可能となる。
また、陽極酸化の時間は、3〜60秒が好ましい。陽極酸化の時間が3秒未満では、最終的に得られる酸化皮膜14の厚さが後述する0.01μmに満たない可能性がある。そのような酸化皮膜14では、細孔12の深さも0.01μmに満たず、モールドとして用いた場合、得られる成形体が十分な反射防止性能を示さないおそれがある。陽極酸化の時間が60秒を超えると、最終的に得られる酸化皮膜14の厚さが後述する0.8μmを超えてしまう可能性がある。そのような場合、酸化皮膜14が厚くなる分だけ細孔12も深くなるため、モールドとして用いた場合、離型不良を起こしやすくなるおそれがある。
工程(d)は、図1に示すように、工程(c)または後述する工程(e)によって形成された酸化皮膜14の一部を除去して、細孔12の孔径を拡大する孔径拡大処理工程である。
孔径拡大処理の具体的方法としては、アルミナを溶解する溶液に浸漬して、酸化皮膜14に形成されている細孔12の径をエッチングにより拡大させる方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、5.0質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。浸漬する時間を長くするほど、細孔12の径は大きくなる。
工程(e)は、図1に示すように、工程(d)の後、アルミニウム基材10を再び陽極酸化して、さらに酸化皮膜14を形成し、細孔12を延長する工程である。
細孔12の孔径を拡大した後に再度陽極酸化すると、孔径が拡大された細孔12の底部から下に延びる、孔径の小さい細孔12がさらに形成される。
工程(e)の陽極酸化における電圧や陽極酸化時間などの条件は、工程(c)と同様の条件であることが好ましい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔12を得ることができる。
なお、工程(e)は、工程(c)と同じ条件で陽極酸化を行うことが好ましいが、電圧や陽極酸化時間などは完全に同じである必要はない。これらの条件を変更することで、細孔12の形状を種々に変更できる場合がある。
工程(f)は、図1に示すように、工程(d)と工程(e)とを交互に繰り返して細孔の深さと形状を調整する繰り返し工程である。
工程(d)と工程(e)とを交互に繰り返すことによって、細孔12の形状を図1に示すように、開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパー形状にでき、その結果、周期的な複数の細孔12からなる酸化皮膜が表面に形成されたモールドを得ることができる。また、工程(d)および工程(e)の条件、例えば、孔径拡大処理の時間、孔径拡大処理に利用する溶液の温度や濃度を適宜設定することにより、様々な形状の細孔12を形成する酸化皮膜14を形成できる。モールドから生産する成形体の用途等に応じて、これら条件を適宜設定すればよい。
工程(f)は、工程(d)で終了してもよく、工程(e)で終了してもよい。
本発明の製造方法によれば、アルミニウム基材10の表面に、開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパー形状の細孔12が規則的に配列して形成され、その結果、微細凹凸構造を有する酸化皮膜(陽極酸化ポーラスアルミナ)が表面に形成されたモールドを製造できる。
また、本発明の製造方法によれば、細孔の間隔が大きいモールドを製造する場合であっても、特殊な装置を用いることなく、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化でき、結晶粒界に由来するマクロな凹凸を転写面に生じさせにくいモールドを製造できる。
また、モールドの細孔のアスペクト比(=深さ/平均間隔)は、0.5以上が好ましく、1以上がもっとも好ましい。アスペクト比が0.5以上であれば、反射率が低い表面を形成でき、その入射角依存性も十分に小さくなる。
以上説明した本発明のモールドの製造方法にあっては、最初に形成される酸化皮膜を、アルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化することで形成するので、細孔の間隔が大きい(例えば150nm以上の)モールドを製造するために高電圧(例えば60V以上)を印加しても、最初に形成される酸化皮膜が厚くなりにくく、この酸化皮膜を除去した際に結晶粒界の段差が目立ちにくい。
従って、本発明の製造方法であれば、細孔の間隔が大きいモールドを製造する場合であっても、特殊な装置を用いることなく、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化でき、結晶粒界に由来するマクロな凹凸を転写面に生じさせにくいモールドを製造できる。
本発明の成形体は、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドの表面に形成された複数の細孔からなる微細凹凸構造が転写されたものである。
モールドの微細凹凸構造(細孔)を転写して製造された成形体は、その表面にモールドの微細凹凸構造の反転構造(凸部)が、鍵と鍵穴の関係で転写される。
透明基材としては、活性エネルギー線の照射を、該透明基材を介して行うため、活性エネルギー線の照射を著しく阻害しないものが好ましい。透明基材の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ガラス等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いる方法は、熱硬化性樹脂組成物を用いる方法に比べて加熱や硬化後の冷却を必要としないため、短時間で微細凹凸構造を転写することができ、量産に好適である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の充填方法としては、モールドと透明基材の間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給した後に圧延して充填する方法、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布したモールド上に透明基材をラミネートする方法、あらかじめ透明基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布してモールドにラミネートする方法等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するオリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、例えば、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
微細凹凸構造を表面に有する成形体は、例えば、図2に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。
表面に微細凹凸構造(図示略)を有するロール状モールド20と、ロール状モールド20の表面に沿って移動する帯状のフィルム42(透明基材)との間に、タンク22から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38を供給する。
剥離ロール30により、表面に硬化樹脂層44が形成されたフィルム42をロール状モールド20から剥離することによって、図3に示すような成形体40を得る。
活性エネルギー線の照射量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化が進行するエネルギー量であればよく、通常、100〜10000mJ/cm2程度である。
硬化樹脂層44は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、表面に微細凹凸構造を有する。
本発明におけるモールドを用いた場合の成形体40の表面の微細凹凸構造は、酸化皮膜の表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものであり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部46を有する。
本発明の成形体は、表面の微細凹凸構造によって、反射防止性能、撥水性能等の種々の性能を発揮する。
微細凹凸構造を表面に有する成形体がシート状またはフィルム状の場合には、反射防止膜として、例えば、画像表示装置(テレビ、携帯電話のディスプレイ等)、展示パネル、メーターパネル等の対象物の表面に貼り付けたり、インサート成形したりして用いることができる。また、撥水性能を活かして、風呂場の窓や鏡、太陽電池部材、自動車のミラー、看板、メガネのレンズ等、雨、水、蒸気等にさらされるおそれのある対象物の部材としても用いることができる。
微細凹凸構造を表面に有する成形体が立体形状の場合には、用途に応じた形状の透明基材を用いて反射防止物品を製造しておき、これを上記対象物の表面を構成する部材として用いることもできる。
また、微細凹凸構造を表面に有する成形体は、上述した用途以外にも、光導波路、レリーフホログラム、光学レンズ、偏光分離素子等の光学用途や、細胞培養シートとしての用途に展開できる。
以上説明した本発明の、微細凹凸構造を表面に有する成形体にあっては、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドの微細凹凸構造が転写されている。このモールドは、最初に形成される酸化皮膜が薄いため、細孔の間隔が大きくても結晶粒界の段差が生じにくい。従って、本発明の成形体は、凸部の間隔が大きい(例えば150nm以上)のものであっても、モールドの結晶粒界の段差が転写されて生じるマクロな凹凸が目立たないため、視認性に優れる。
また、本発明によれば、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドを用いることによって、このモールドの微細凹凸構造の反転構造を表面に有する成形体を一工程で簡便に製造できる。
各種測定・評価は以下の方法にて行った。
工程(a)を行った後、アルミニウム基材の酸化面の一部を異なる二箇所から切り取って、その縦断面に白金を1分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVで観察した。各断面サンプルを2000倍に拡大して二点ずつ観察し、それぞれの観察範囲で酸化皮膜の厚さを測定し、その平均値を求め、酸化皮膜の厚さとした。
酸化皮膜が表面に形成されたモールドの一部を切り取って、表面に白金を1分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVで1万倍に拡大して観察した。細孔の平均間隔(ピッチ)は一直線上に並んだ6個の細孔の中心間距離を平均して求めた。
また、モールドの一部を異なる二箇所から切り取って、その縦断面に白金を1分間蒸着し、同じく電解放出型走査電子顕微鏡を用いて加速電圧3.00kVで観察した。各断面サンプルを5万倍に拡大して二点ずつ観察し、それぞれの観察範囲で10個の細孔の深さを平均して細孔の平均深さを求めた。
モールドの微細凹凸構造を転写した成形体(フィルム)の表面および縦断面に白金を10分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVの条件で成形体の表面および断面を観察した。
成形体の表面を1万倍に拡大して観察し、一直線上に並んだ6個の突起(凸部)の中心間距離を平均して突起の平均間隔(ピッチ)を求めた。また、成形体の断面を5万倍で観察し、10本の突起の高さを平均して突起の平均高さを求めた。
成形体(フィルム)の外観を目視で観察し、モールドの結晶粒界の段差が転写されることで生じるマクロな凹凸が目視で確認できた場合を「×」、確認できない場合を「○」と評価した。
<モールドの製造>
純度99.99質量%、厚さ0.3mmのアルミニウム板を30mm×90mmの大きさに切断し、過塩素酸/エタノール混液(体積比=1/4)中で電解研磨し、これをアルミニウム基材として用いた。
0.3Mシュウ酸水溶液を15℃に調整し、アルミニウム基材を浸漬して、以下の条件にて陽極酸化した。
シュウ酸水溶液を半月状撹拌翼にて150rpmで撹拌しながら、直流安定化装置の電源のON/OFFを繰り返すことでアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化した。通電時の印加電圧は80V、一回あたりの通電時間は5秒、冷却時の印加電圧は0V、一回あたりの冷却時間は30秒として、通電を60回繰り返して細孔を有する酸化皮膜を形成した。
工程(a)の陽極酸化条件、および形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、6質量%のリン酸と1.8質量%クロム酸を混合した70℃の水溶液中に6時間浸漬して、酸化皮膜を溶解除去して、陽極酸化の細孔発生点となる窪みを露出させた。
細孔発生点を露出させたアルミニウム基材を、16℃に調整した0.05Mのシュウ酸水溶液に浸漬し、80Vで7秒間陽極酸化して、酸化皮膜をアルミニウム基材の表面に再び形成した。
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、32℃に調整した5質量%リン酸水溶液中に19分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡大する孔径拡大処理を施した。
酸化皮膜の細孔を拡大したアルミニウム基材を、16℃に調整した0.05Mのシュウ酸水溶液に浸漬し、80Vで7秒間陽極酸化して、酸化皮膜をさらに形成した。
前記工程(d)と前記工程(e)をさらに交互に3回繰り返し、最後に工程(d)を行った。すなわち、工程(c)および工程(e)を合計で5回行い、工程(d)を5回行った。
その後、脱イオン水で洗浄した後、表面の水分をエアーブローで除去し、平均間隔180nm、平均深さ約190nmの略円錐形状の細孔を有する酸化皮膜からなるモールドを得た。
離型処理したモールドと、透明基材であるアクリルフィルム(三菱レイヨン株式会社製、「アクリプレン HBS010」)との間に、下記の組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填して、高圧水銀ランプで積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射することによって、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その後、モールドを剥離し、透明基材と硬化組成物の硬化物からなる成形体(フィルム)を得た。
このようにして製造した成形体の表面には微細凹凸構造が形成されており、突起の平均間隔(ピッチ)は180nm、突起の平均高さは180nmであった。
成形体の外観評価の結果を表2に示す。
トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸縮合エステル:45質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:45質量部、
信越化学工業社製x−22−1602(商品名):10質量部、
BASF社製イルガキュア184(商品名):2.7質量部、
BASF社製イルガキュア819(商品名):0.18質量部。
工程(a)にて、一回あたりの通電時間を2秒とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
工程(a)にて、一回あたりの通電時間を10秒とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
工程(a)にて、一回あたりの冷却時間を20秒とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
工程(a)にて、一回あたりの冷却時間を60秒とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
工程(a)にて、電解液の温度を6℃とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
工程(a)にて、電解液の温度を10℃とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
工程(a)にて、電解液の撹拌速度を350rpmとした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
工程(a)にて、間欠的に電流を流して陽極酸化する代わりに、80Vで300秒間、連続的に電流を流して陽極酸化した以外は、実施例1と同様にしてモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
また、得られたモールドを用いた以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。得られた成形体の突起の平均間隔および平均高さは、実施例1で得られた成形体と同じであった。成形体の外観評価の結果を表2に示す。
また、実施例1で得られたモールドを用いて製造した成形体(フィルム)は、モールドの結晶粒界の段差に起因する外観不良が抑制されていた。
なお、実施例2〜8についても、各例で得られたモールドを用いて実施例1と同様にして成形体を製造したところ、得られた各成形体の突起の平均間隔および平均高さは、実施例1で得られた成形体と同じであった。また、得られた各成形体は、モールドの結晶粒界の段差に起因する外観不良が抑制されていた。
また、比較例1で得られたモールドを用いて製造した成形体は、モールドの結晶粒界の段差に由来するマクロな凹凸が確認された。
12 細孔
14 酸化皮膜
18 モールド
20 ロール状モールド
40 成形体
42 フィルム
46 凸部
Claims (4)
- アルミニウム基材の表面に、複数の細孔を有する酸化皮膜が形成されたモールドを製造する方法であって、
下記の工程(a)、工程(b)および工程(f’)を有する、モールドの製造方法。
工程(a):電解液中でアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化し、該アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
工程(b):前記工程(a)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する工程。
工程(f’):前記工程(b)の後、下記工程(c’)と下記工程(d’)とを交互に繰り返し行う工程。
工程(c’):アルミニウム基材に連続的に電流を流し、アルミニウム基材を再び陽極酸化する工程。
工程(d’):前記工程(c’)の後、酸化皮膜の一部を除去し、細孔の孔径を拡大する工程。 - 前記工程(a)において、電解液の温度が6℃以上である、請求項1に記載のモールドの製造方法。
- 前記工程(a)で形成される酸化皮膜の厚さが15μm以下である、請求項1または2に記載のモールドの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のモールドの製造方法で得られたモールドの表面に形成された複数の細孔からなる微細凹凸構造を転写する、微細凹凸構造を表面に有する成形体の製造方法。
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