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JP5877103B2 - 光学素子成形用型、光学素子の製造方法、および光学素子成形用型の製造方法 - Google Patents
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JP5877103B2 - 光学素子成形用型、光学素子の製造方法、および光学素子成形用型の製造方法 - Google Patents

光学素子成形用型、光学素子の製造方法、および光学素子成形用型の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子成形用型、光学素子の製造方法、および光学素子成形用型の製造方法に関する。例えば、ガラスからなる成形材料を加熱プレスして光学素子を成形する光学素子成形用型、光学素子の製造方法、および光学素子成形用型の製造方法に関する。
従来、ガラスを成形する成形用型として、超硬合金を型基材とし、この型基材の成形面に成形後のガラスの離型を容易にするための離型膜を設けたものが実用化されている。離型膜には、貴金属、貴金属合金、炭素等よりなる単層、あるいは複数層の薄膜が用いられている。
一方、このような成形用型によって成形されるガラス成形レンズは、屈折力を高めることにより小型化を図るため、高屈折率のガラス材料が用いられるようになってきた。このような高屈折率のガラス材料は、低屈折率のガラス材料に比べて、成形温度が高くなっている。
このため、成形用型の基材として、より高温での成形に耐えられる炭化ケイ素を用いることが提案されている。しかし、炭化ケイ素を基材として使用し、貴金属系の離型膜を用いる場合、基材と離型膜との密着性が低いため、成形時に離型膜が基材より剥離してしまうという問題があった。
このような成形用型の基材と離型膜との密着性を向上する技術として、特許文献1には、基材が超硬合金であって、離型膜が炭素膜の場合に、基材と離型膜との間に、基材および離型膜の双方に高い密着性を有するクロム(Cr)やタンタル(Ta)といった中間層膜を設け、この中間層膜上にガスクラスターイオンビーム援用照射下に炭素膜を形成する技術が提案されている。
特開2005−169816号公報
しかしながら、上記のような従来の光学素子成形用型には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術のように、成形用型の基材と離型膜との間にクロム(Cr)やタンタル(Ta)といった中間層膜を設ける場合、離型膜が貴金属系の離型膜では良好な耐久性が得られないという問題がある。
まず、ガラス成形を繰り返すことにより中間層膜成分が離型膜である貴金属層に拡散し、離型膜の組成を変えてしまうため、離型性を損なってしまうという問題がある。
また、中間層膜成分が離型膜に拡散することによって、中間層膜が消耗され、密着性を失ってしまうという問題がある。
このような中間層膜成分の拡散は成形温度が高くなるほど発生しやすくなるため、特に、高屈折率ガラスの成形など、成形温度を高くしなければならない場合に、離型膜の耐久性が低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、離型膜として貴金属系膜を用いた場合であっても、離型膜の耐久性を向上することができる光学素子成形用型および光学素子成形用型の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の光学素子成形用型は、成形品の表面形状に沿う形状の表面を有し、炭化ケイ素からなる基材部と、前記表面から延びた複数のカーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブの間に埋められて前記基材部上に堆積した金属からなる中間金属層と、該中間金属層上に積層された離型膜と、を備える構成とする。
また、本発明の光学素子成形用型では、前記金属は、チタン、ジルコニウム、およびモリブデンのうちの1以上の金属からなることが可能である。
また、本発明の光学素子成形用型では、前記中間金属層と前記カーボンナノチューブとの間に、前記金属の炭化物が形成されていることが可能である。
また、本発明の光学素子成形用型では、前記離型膜は、前記中間金属層に積層される最下層と、前記成形品の材料と離型可能に密着する成形面を有する最外層とを、少なくとも含む多層膜であることが可能である。
また、本発明の光学素子成形用型では、前記金属は、前記離型膜に用いられている金属であることが可能である。
本発明の光学素子の製造方法は、本発明の光学素子成形用型成形用型を用いて前記成形品の材料を成形して前記成形品を得る方法である。
本発明の光学素子成形用型の製造方法は、成形品の表面形状に沿う形状の表面を有するように、炭化ケイ素からなる基材部を形成する基材部形成工程と、
前記基材部を熱処理して、表面のケイ素成分を揮発させるとともに前記基材部の表面から延びた形態の複数のカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程と、金属を、前記カーボンナノチューブの間に埋めて、前記基材部上に堆積させることにより中間金属層を形成する中間金属層形成工程と、前記中間金属層上に離型膜を成膜する離型膜形成工程と、を備える方法とする。
本発明の光学素子の製造方法は、本発明の光学素子成形用型の製造方法により得られた光学素子成形用型を用いて、前記成形品の材料を成形して該成形品を得る方法とする。
本発明の光学素子成形用型および光学素子成形用型の製造方法によれば、基材部と離型膜とが、基材部の表面から延びた複数のカーボンナノチューブと、このカーボンナノチューブに埋め込まれた金属とからなる中間金属層を介して積層されるため、離型膜として貴金属系膜を用いた場合であっても、離型膜の耐久性を向上することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態の光学素子成形用型の一例を示す模式的な断面図である。 図1におけるA(B)部の模式的な部分拡大図である。 本発明の実施形態の光学素子成形用型に用いる離型膜の膜構成の一例を示す模式的な部分断面図である。 本発明の実施形態の光学素子成形用型の製造方法の工程フローを示すフローチャートである。 本発明の実施形態の光学素子成形用型の製造方法の模式的な工程説明図である。 本発明の実施形態の光学素子成形用型の製造方法の中間金属層形成工程を説明する模式的な工程説明図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
まず、本発明の実施形態の光学素子成形用型について説明する。
図1は、本発明の実施形態の光学素子成形用型の一例を示す模式的な断面図である。図2は、図1におけるA(B)部の模式的な部分拡大図である。図3は、本発明の実施形態の光学素子成形用型に用いる離型膜の膜構成の一例を示す模式的な部分断面図である。
本実施形態の光学素子成形用型は、成形材料であるガラス材料をプレス加工して、レンズ等のガラス製光学素子を製造する金型組立体の一部を構成するものであり、光学素子の光学面の形状をガラス材料に転写する成形面を備える。
光学素子の種類としては、ガラス製であれば、特に限定されず、例えば、レンズ、プリズム、ミラー、フィルタ、基板などの適宜の種類を採用することができる。光学素子が曲率を有する場合には、凸面でも凹面でもよい。
以下では、光学素子の一例として、凸レンズ面と凹レンズ面とを有するメニスカス形状のレンズ(不図示)を成形する場合の例で説明する。
このレンズを成形するための金型組立体1は、図1に示すように、下型2(光学素子成形用型)、上型3(光学素子成形用型)、および胴型4を備える。
下型2は、円筒状の側面2bを有する略円柱状部材であり、軸方向の一端部(図1の下側)に側面2bから外周方向に突出するフランジ部2cが形成され、軸方向の他端部(図1の上側)に、凸レンズ面の形状をガラス材料に転写する凹面形状を有する成形面2aが形成されている。
側面2b、フランジ部2cは、高硬度で耐熱性が良好な材料で形成された基材2A(基材部)の表面によって形成されている。
基材2Aの材質としては、炭化ケイ素(SiC)の焼結体を採用している。
図2に示すように、基材2Aの軸方向の他端側には、成形面2aの形状に沿う凹面である基材表面S2A(基材部の表面)上に、中間金属層2Bと離型膜2Cとが、この順に積層されている。離型膜2Cの最外面は成形面2aを構成している。
基材表面S2A上には、中間金属層2Bを基材表面S2Aに強固に密着させるため、基材表面S2Aから離型膜2Cに向かって延びた複数のカーボンナノチューブ10が設けられている。
カーボンナノチューブ10は、基材表面S2A上で、稠密もしくは微小な間隔を空けた状態で密集しており、基材表面S2Aに対して略直角な方向に突出されている。
また、カーボンナノチューブ10の密度は、基材表面S2Aの全体にわたって略均一である。
各カーボンナノチューブ10の直径は、例えば、1nm〜15nm程度が可能である。また各カーボンナノチューブ10の長さは、例えば、10μm以下程度の適宜長さが可能であり、後述する中間金属層2Bに対する必要な密着強度を得られるような略均一な長さを有している。
このため、カーボンナノチューブ10は、基材表面S2A上において、略一定の高さの層状範囲に起毛状態に形成されている。
また、カーボンナノチューブ10は、炭素結合により高強度を有している。またカーボンナノチューブ10は、基材表面S2Aにおいて基材2Aとも化学的に結合されている。
このようなカーボンナノチューブ10は、カーボンナノチューブ10および離型膜2Cのそれぞれに対して密着強度が良好となる金属11からなる中間金属層2Bによって覆われている。
すなわち、中間金属層2Bは、カーボンナノチューブ10による層状範囲には、各カーボンナノチューブ10の間に金属11が埋め込まれた金属埋め込み層Lと、金属11のみからなり、金属埋め込み層Lを覆うように積層され、中間金属層2Bの離型膜2C側の最外面S2Bを構成する被覆層Lとからなる。
金属埋め込み層Lは、金属11がカーボンナノチューブ10の間の微小な隙間に埋め込まれているため、カーボンナノチューブ10と櫛歯状に噛み合っている。
金属11の種類としては、炭素との密着性が良好な金属、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)などのうちの1以上のものから、離型膜2Cとの密着強度が良好なものを採用することができる。
また、金属11は、炭化物を形成しやすい材質であれば、カーボンナノチューブ10の表面において炭化物を形成して化学結合によって強固に結合することができるため、より好ましい。また、金属11は、基材2Aの材質との密着強度が良好であればさらに好ましい。
離型膜2Cが金属系の離型膜である場合、金属11としては、多くの金属に対する密着強度が良好なTiが特に好適である。
Tiは、例えば、化学気相成長(CVD)などによってカーボンナノチューブ10の間に埋め込むと、カーボンナノチューブ10の表面で炭化物を形成して、化学的に強固に結合するため、金属埋め込み層Lにおいてカーボンナノチューブ10との密着強度が良好となる。
また、金属11は、離型膜2Cに用いられている金属であれば、離型膜2Cとの密着強度が良好となるため好ましい。すなわち、離型膜2Cが貴金属系からなる場合に、離型膜2Cに用いられる貴金属のうち、炭素との密着性に優れる材質を好適に採用することができる。
金属11が離型膜2Cに用いられている金属の場合、金属11が離型膜2Cに拡散したとしても、離型膜2Cの組成の変化が少なくなるため、離型膜2Cの組成の変化による離型性の低下を抑制しやすくなる。
被覆層Lは、離型膜2Cとの密着強度を向上するために設けられている。このため、金属埋め込み層Lにおけるカーボンナノチューブ10の先端部を覆い隠すことができればよく、金属埋め込み層Lの層厚に比べて薄層に形成することが可能である。
広く用いられている貴金属系の離型膜2Cは、金属に対する密着強度は優れているもの、カーボンナノチューブ10に対する密着強度は低い。このため、カーボンナノチューブ10の表面が露出している部分が多いと、密着強度に寄与する面積が低下するため、離型膜2Cの密着強度が低下してしまう。
被覆層Lを設けることにより、離型膜2Cとの密着可能な金属11の面積が増大するため、離型膜2Cとの密着性を向上することができる。
また、カーボンナノチューブ10の表面に密着した金属11は、容易に拡散しないため、被覆層Lを薄くすることにより、被覆層Lにおいて相対的に離型膜2Cに拡散する金属11が少なくなる。また、一部の金属11が拡散するとしても、拡散の絶対量が少なくなる。このため、金属11が離型膜2C内に拡散することによる離型性の劣化を抑制しやすくなる。
離型膜2Cは、最外部が、成形に用いるガラス材料との離型性が良好な材料であれば、適宜の材料による適宜の層構成を採用することができる。層構成は、例えば、単層構成でも、多層構成でもよい。
一般に、基材がタングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金からなる場合に好適な離型膜の構成は、SiCの焼結体に対しては良好な密着強度を有しないが、本実施形態では、基材2Aとの間に中間金属層2Bが形成されているため、このような超硬合金を基材とする場合の離型膜も好適である。
また、離型膜2Cとしては、金属11との密着強度が良好であれば、超硬合金用の離型膜に限らず、周知の他の離型膜も好適である。
本実施形態では、離型膜2Cの一例として、このような超硬合金に好適な膜構成を採用している。
すなわち、離型膜2Cの膜構成は、図3に示すように、中間金属層2B側から、下地層5(最下層)、金属層6、窒化物層7、および表面層8(最外層)がこの順に積層されている。
離型膜2Cの成膜方法は、例えば、蒸着法、スパッタ法、CVD法などを用いることができるが、膜密度、膜組成の純度などからイオンビームスパッタ法が特に好適である。
下地層5は、中間金属層2Bを覆って密着する層状部分であり、タングステン(W)、および炭化タングステン(WC)のうち少なくとも1種類の材料から非晶質状態に形成されている。
金属層6は、下地層5との密着強度が良好な材料からなる層状部分であり、クロム(Cr)、Ti、およびモリブデン(Mo)のうち少なくとも1種類の金属材料からなる。
窒化物層7は、金属層6との密着強度が良好な材料からなる層状部分であり、Cr、Ti、およびMoのうち少なくとも1種類の元素を含む窒化物からなる。
表面層8は、窒化物層7との密着強度が良好であって、成形に用いるガラス材料に対する離型性が良好となる材料からなる層状部分である。
表面層8の表面は成形面2aを構成するため、表面粗さが小さい鏡面とされる。例えば、算術平均粗さRで0.005μm以下とする。
表面層8に好適な材料としては、貴金属類を挙げることができる。特に好適な材料としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、およびレニウム(Re)から構成される元素群の中の少なくとも1種類の元素、または前記元素群の中の少なくとも1種類の元素を含む合金、また前記元素群の中の少なくとも1種類の元素を含む化合物を挙げることができる。
このような離型膜2Cの構成において、下地層5は、中間金属層2Bに積層される最下層を構成しており、表面層8は、成形面2aを形成する最外層を構成している。
離型膜2Cの特に好適な膜構成の例としては、以下の膜構成を挙げることができる。
下地層5がWC、金属層6がCr、窒化物層7がCrNからなる場合、またはこれらを主成分とする場合には、表面層8として、PtとIrとの合金、IrとReとの合金、またはPtからなる金属が特に好適である。
また、下地層5がWC、金属層6がTi、窒化物層7がTiNからなる場合、またはこれらを主成分とする場合には、表面層8としては、PtとIrとの合金、IrとReとの合金、Ptからなる金属が特に好適である。
上型3は、下型2の側面2bと同一の外径の筒状の側面3bを有する略円柱状部材であり、軸方向の一端部(図1の上側)に側面3bから外周方向に突出するフランジ部3cが形成され、軸方向の他端部(図1の下側)に光学素子の凹レンズ面の形状をガラス材料に転写する凸面形状を有する成形面3aが形成されている。
側面3b、フランジ部3cは、下型2と同様の材質からなる基材3Aの表面によって形成されている。
基材3Aの軸方向の他端側には、図2に示すように、成形面3aの形状に沿う凹面として形成された基材表面S3A上に、中間金属層3B、離型膜3Cがこの順に積層され、離型膜3Cの最外面によって、成形面3aが構成されている。
中間金属層3Bは、下型2の中間金属層2Bと同様な構成を有し、同様な材料で形成されている。
また、離型膜3Cは、離型膜2Cと同様な構成を有し、同様な材料で形成されている。このため、離型膜3Cは、中間金属層3Bを覆うように形成されている。
胴型4は、図1に示すように、下型2の側面2bの外径および上型3の側面3bの外径に等しい内径を有する内周面4aを有し、下型2の側面2b、および上型3の側面3bを、それぞれ軸方向に摺動可能に嵌合する円筒状部材である。
これにより、胴型4の一端部(図1の下側)を下型2のフランジ部2cに係止した状態で、下型2に外嵌され、他端部(図1の上側)には、成形面3aを成形面2aと対向させた状態で、上型3が着脱可能に挿入できるようになっている。
このように、胴型4の両端部に下型2、上型3が挿入された状態では、互いに対向する成形面2a、3aの間に成形空間が形成される。
胴型4の材質は、炭化ケイ素、超硬合金を採用することができる。
次に、このような構成の金型組立体1における下型2、上型3の製造方法について、成形面2a、3aの形成に関する製造工程を中心に説明する。
また、これらの製造工程は、下型2と上型3の外形状の違いを除いて同一であり、成形面2aの形成に関する製造工程の説明は、成形面3aの形成に関する製造工程にも同様に適用できる。したがって、以下では、下型2に成形面2aを形成する場合の例で説明する。
また、具体的な製造条件について説明する場合には、金属11がTiからなる場合の例で説明する。
図4は、本発明の実施形態の光学素子成形用型の製造方法の工程フローを示すフローチャートである。図5(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態の光学素子成形用型の製造方法の模式的な工程説明図である。図6(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態の光学素子成形用型の製造方法の中間金属層形成工程を説明する模式的な工程説明図である。
本実施形態の光学素子成形用型の製造方法は、図4に示すように、基材部形成工程S1、カーボンナノチューブ(図4ではCNTと略記)形成工程S2、中間金属層形成工程S3、および離型膜形成工程S4を備え、これらの工程をこの順に行う。
基材部形成工程S1は、成形品の表面形状に沿う形状の表面を有するように、SiCからなる基材2Aを形成する工程である。本工程では、下型2の外形を形成し、成形面2aを形成する部位の表面を鏡面加工する。
下型2の外形は、SiCを焼結して形成する。このとき、成形面2aを形成する部位は、成形面2aと略同一の曲率半径を有する湾曲面であって、成形面2aの形状よりもわずかに低い形状とする。
次に、成形面2aを形成する部位の表面に、CVDによりSiC層を形成する。これにより、基材2Aの表面が焼結粒子よりも格段に粒径が小さいSiC粒子で覆われる。
このSiC層の層厚は、金属埋め込み層Lの層厚を超える層厚であって、表面が成形面2aの形状よりも突出する形状とする。
次に、このSiC層の表面を研磨加工して、成形面2aとほぼと同様の形状に平滑化し、例えば、表面粗さがRで0.005μm以下程度の鏡面に仕上げる。
図5に示す断面は、このように鏡面加工された基材2Aの表面Sの近傍の拡大断面図である。
以上で、基材部形成工程S1が終了する。
次に、カーボンナノチューブ形成工程S2を行う。本工程は、図5(b)に示すように、基材2Aを熱処理して、表面SのSi成分を揮発させるとともに、揮発後の表面である基材表面S2Aから延びた形態の複数のカーボンナノチューブ10を形成する工程である。
基材2Aの熱処理としては、例えば、真空度10−2Pa、温度1400℃の電気炉内に、基材2Aを配置し、2時間の熱処理を行う。
このような真空中での熱処理によりSiCが分解し、Siが揮発し、散逸した後に残ったC同士が炭素結合により再結合して、カーボンナノチューブ10が形成される。
一方、CVDによるSiC層は緻密な構造を有しているため、Siが揮発すると、表面Sは徐々に均等に後退していく。このため、熱処理終了後には、表面Sから一定距離離れた位置に、基材表面S2Aが形成されている。
この熱処理において、徐々に後退していく表面上のCは、基材2AのSiCのバルクに対してSiの揮発前のSiCと同様な化学的な結合が保たれており、ファンデアワールス力などの物理的な吸着とは異なり強い結合力を有している。
このため、カーボンナノチューブ10は、後退していく表面との連続性が保たれており、各表面から略垂直に延びた状態になる。したがって、カーボンナノチューブ10は、基材表面S2Aと強固に結合され、基材表面S2Aから表面Sに向かって成長したのと同じ状態で延びている。
以上で、カーボンナノチューブ形成工程S2が終了する。
次に、中間金属層形成工程S3を行う。本工程は、金属11を、カーボンナノチューブ10の間を埋めて、基材2A上に堆積させることにより、中間金属層2Bを形成する工程である。
本工程では、カーボンナノチューブ10を形成した基材2Aを、CVD装置へ移して、Tiを成膜する。
例えば、原料ガス、キャリアガスであるTiCl、H、Arを、それぞれ2sccm、80sccm、120sccmの流量で供給し、装置内のガス圧力を0.7Paとして、マイクロ波パワー2.5kW(2.45GHz)を印加してCVDを行う。
図6(a)に示すように、原料ガスが分解して生成された金属粒子11Aは、カーボンナノチューブ10および基材表面S2Aに向かって照射され、カーボンナノチューブ10それぞれ隣り合う隙間に入り込み、カーボンナノチューブ10の表面や基材表面S2Aに析出する。
このとき、カーボンナノチューブ10の表面には、エネルギーの高い金属粒子11Aが付着するため、カーボンナノチューブ10との間に化学反応が発生する場合がある。この場合には、カーボンナノチューブ10の表面に金属粒子11Aの炭化物が形成されて化学結合されるため、カーボンナノチューブ10の表面に強固に接合される。
このようにして、カーボンナノチューブ10の表面が徐々に金属粒子11Aに覆われていくと、図6(b)に示すように、金属粒子11Aによる金属層11Bが形成される。
さらにCVDが進行すると、図6(c)に示すように、金属層11Bの厚みを増していく。このため、隣り合うカーボンナノチューブ10間の隙間が狭まり、さらに穴状になった隙間の上方から金属粒子11Aが堆積していく。
この結果、図5(c)に示すように、各カーボンナノチューブ10の間に金属11が埋め込まれた中間金属層2Bが形成される。
金属粒子11Aは、各カーボンナノチューブ10の周囲から満遍なく付着していくため、カーボンナノチューブ10の先端にも金属粒子11Aが付着していき、カーボンナノチューブ10全体を覆うように堆積して中間金属層2Bが形成される。
このようにして、中間金属層2Bは、基材表面S2A上に、金属埋め込み層Lと、被覆層Lとがこの順に積層された層状部として形成される。
以上で中間金属層形成工程S3が終了する。
金属埋め込み層Lは、カーボンナノチューブ10に櫛歯状に噛み合った状態に形成され、平面同士の密着に比べて格段に大きな表面積で密着するため、物理的な結合であっても、強固に密着することができる。
また、金属11がTiなどの、炭化物を形成しやすい金属の場合には、カーボンナノチューブ10の表面において、TiCの化学結合が形成されやすいため、さらに高い接合力が得られる。
また、金属埋め込み層Lは、微細構造を有するカーボンナノチューブ10と金属11とが、複合化(混合)された状態にあるとも言える。そのため、金属11にカーボンナノチューブが添加して強化した複合材料と同様に、機械的特性(強度、硬度)の向上が期待できる。
次に、離型膜形成工程S4を行う。本工程は、中間金属層2Bの最外面S2B上に離型膜2Cを成膜する工程である。
中間金属層2Bが形成された基材2Aを、スパッタリング装置に移し、例えば、従来超硬合金で用いていたのと同じ条件で、中間金属層2B側から下地層5、金属層6、窒化物層7、および表面層8をこの順に成膜する。
各層の具体例としては、下地層5がWC、金属層6がCr、窒化物層7がCrN、表面層8がIrとPtとの組成比が1:1の混合膜からなる例を挙げることができる。
特に、金属11が、活性が高いため様々な材料と接合されやすく接合材料として好適なTiの場合、離型膜2Cの下地層5のWCとも、化学結合して強い接合力が得られる。
以上で、離型膜形成工程S4が終了する。
このようにして下型2が製造される。
本実施形態の下型2によって光学素子を製造するには、同様にして製造した上型3とともに、金型組立体1を形成し、下型2と上型3との間にガラス材料を配置して、加熱し、プレス加工を行う。これにより、成形面2a、3aの形状がガラス材料に転写され、図1に示す形状の場合にはメニスカスレンズを製造することができる。
中間金属層2Bおよびカーボンナノチューブ10の効果を確認するため、比較例として、中間金属層2Bおよびカーボンナノチューブ10を設けない以外は、本実施形態の下型2、上型3と同様な構成の光学素子成形用型を作製し、本実施形態の光学素子成形用型と、比較例の光学素子成形用型とを用いて、それぞれガラスレンズの成形を行った。
ガラス材料は、L−LAH53(商品名;オハラ株式会社製)からなる直径4mmの球状のものを使用した。
成形温度620℃で成形を繰り返したところ、本実施形態の光学素子成形用型は1000ショットの成形後においても成形面の劣化が見られなかったのに対し、比較例の光学素子成形用型では60ショットの成形後に離型膜の一部に剥離が生じた。
このため、本実施形態の光学素子成形用型では、中間金属層2Bおよびカーボンナノチューブ10を備えるため、比較例に比べて離型膜2Cの耐久性が格段に向上していることが分かる。
このようにして製造された本実施形態の下型2によれば、基材2Aと離型膜2Cとが、基材2Aの基材表面S2Aから延びた複数のカーボンナノチューブ10と、このカーボンナノチューブ10に埋め込まれた金属11とからなる中間金属層2Bを介して積層されている。
カーボンナノチューブ10は、基材表面S2Aに対してはSiCと同様の化学結合によって強固に結合され、カーボンナノチューブ10自体は、その炭素結合によって強固な機械的強度を有している。金属11は、このようなカーボンナノチューブ10の隙間に櫛歯状に埋め込まれているため、カーボンナノチューブ10と強固に密着されている。
そして、離型膜2Cは、このように基材表面S2A上にカーボンナノチューブ10を介して強固に密着された中間金属層2Bの表面の金属11と強固に密着している。
これにより、離型膜2Cが貴金属系であるため基材2Aと接合されにくい場合であっても、離型膜2Cは基材2A上に良好に接合される。
このため、下型2の耐久性を向上することができる。
なお、上記実施形態の説明では、光学素子成形用型として、光学素子を製造する成形用型であって、光学素子の光学面の形状を転写する成形面を有する場合の例で説明したが、光学面以外の成形品の形状を形成する成形面を同様な構成とすることも可能である。
また、光学素子成形用型は、面精度が良好な成形面を要する適宜の成形品を製造することが可能である。
また、上記の実施形態の説明では、離型膜2Cの膜構成は、基材2AがSiCの焼結体であっても、中間金属層2Bを介すことにより超硬合金基材向けの離型膜を設けることができることを示すため、下地層5、金属層6、窒化物層7、および表面層8がこの順に積層されている4層構成の多層膜の場合の例で説明した。
このような構成によれば、基材2Aの材質が、超硬合金以外の場合でも、従来の超硬合金基材向け離型膜、および離型膜を形成する製造工程を、変更無しにそのまま使うことができる。このため、離型膜を変えることなく、光学素子成形用型の基材2Aとの密着強度を向上することができる。
しかし、このような離型膜の膜構成は一例であり、中間金属層2Bに用いる金属11との密着強度が良好であれば、離型膜は、適宜の膜構成を構成することができる。すなわち、上記実施形態の膜構成は、最外層である表面層8と、その他の中間層である下地層5、金属層6、および窒化物層7という構成を有しているが、中間層の材質、層構成(層の組合せや順序)は、最外層の材質や必要な密着強度に応じて適宜の材質、層構成を採用することができる。
例えば、これらの中間層の一部の層を削除したり、それぞれを材質や組成を変えて複数設けるようにしたり、他の異なる中間層を挿入したり、層の積層順序を変えたりしてもよい。
また、離型膜の中間層は、少なくとも一部が、材料の組成が層厚方向に変化する材料傾斜層であってもよい。
また、離型膜は、同一材質が均質に分布した単層であってもよく、材料傾斜層からなる単層でもよい。
また、上記実施形態の説明では、基材2A全体が、SiCからなる場合の例で説明したが、成形面2aを形成する領域に、カーボンナノチューブ10を形成するためのSiC層が設けられていれば、基材2Aの他の部位の材質は、SiC以外の材質を採用することも可能である。
また、上記実施形態の説明では、被覆層Lが、カーボンナノチューブ10の先端をすべて覆うように形成される場合の例で説明したが、カーボンナノチューブ10の先端が露出していても、離型膜2Cと金属11との当接面積が必要な密着強度が得られる程度の大きさである場合には、カーボンナノチューブ10の先端が金属11に覆われていなくてもよい。すなわち、中間金属層2Bにおいて被覆層Lを省略することも可能である。
また、上記実施形態に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせを代えたり、削除したりして実施することができる。
1 金型組立体
2 下型(光学素子成形用型)
2A、3A 基材(基材部)
2B、3B 中間金属層
2C、3C 離型膜
2a、3a 成形面
3 上型(光学素子成形用型)
4 胴型
5 下地層(最下層)
6 金属層
7 窒化物層
8 表面層(最外層)
10 カーボンナノチューブ
11 金属
2A、S3A 基材表面
2B、S3B 最外面
S1 基材部形成工程
S2 カーボンナノチューブ(CNT)形成工程
S3 中間金属層形成工程
S4 離型膜形成工程

Claims (8)

  1. 成形品の表面形状に沿う形状の表面を有し、炭化ケイ素からなる基材部と、
    前記表面から延びた複数のカーボンナノチューブと、
    該カーボンナノチューブの間に埋められて前記基材部上に堆積した金属からなる中間金属層と、
    該中間金属層上に積層された離型膜と、
    を備えることを特徴とする、光学素子成形用型。
  2. 前記金属は、チタン、ジルコニウム、およびモリブデンのうちの1以上の金属からなる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子成形用型。
  3. 前記中間金属層と前記カーボンナノチューブとの間に、前記金属の炭化物が形成されている
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の光学素子成形用型。
  4. 前記離型膜は、前記中間金属層に積層される最下層と、前記成形品の材料と離型可能に密着する成形面を有する最外層とを、少なくとも含む多層膜である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子成形用型。
  5. 前記金属は、前記離型膜に用いられている金属である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子成形用型。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子成形用型を用いて前記成形品の材料を成形して前記成形品を得る、
    ことを特徴とする光学素子の製造方法。
  7. 成形品の表面形状に沿う形状の表面を有するように、炭化ケイ素からなる基材部を形成する基材部形成工程と、
    前記基材部を熱処理して、表面のケイ素成分を揮発させるとともに前記基材部の表面から延びた形態の複数のカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程と、
    金属を、前記カーボンナノチューブの間に埋めて、前記基材部上に堆積させることにより中間金属層を形成する中間金属層形成工程と、
    前記中間金属層上に離型膜を成膜する離型膜形成工程と、
    を備えることを特徴とする、光学素子成形用型の製造方法。
  8. 請求項7に記載の光学素子成形用型の製造方法により得られた光学素子成形用型を用いて、前記成形品の材料を成形して該成形品を得る、
    ことを特徴とする、光学素子の製造方法。
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