JP5877123B2 - 脱ガス装置の浸漬管 - Google Patents
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Description
この脱ガス処理に用いる脱ガス設備は、真空脱ガス槽と、その下部に設けられた浸漬管を有している。なお、浸漬管は一般に、筒状となった芯金の内周側と外周側に耐火物が設けられた構成であり、脱ガス処理は、浸漬管の先端部(下端部)を取鍋内の溶鋼中に浸漬させ、この溶鋼を真空脱ガス槽内に吸い上げ、同時に還流することで行われている。
しかし、脱ガス処理は、上記したように、浸漬管の先端部を、取鍋内の溶鋼中に浸漬させた状態で行われるため、先端部(浸漬させた部分)の耐火物が損傷し、また芯金が熱で変形するため、浸漬管の長寿命化が図れなかった。
そこで、例えば、特許文献1には、筒状の芯金(芯管)と耐火物(耐火材)との間に、断熱モルタルを配置した浸漬管が開示されている。
また、浸漬管の稼動に伴う受熱により、断熱モルタルの焼結が進行すると、その収縮が発生する。このため、断熱効果を向上させるために断熱モルタルの厚みを厚くした場合、断熱モルタルの収縮代に起因してウェア耐火物の背面側に生成する隙間が大きくなり、この結果、浸漬管の構造が不安定になって、煉瓦の目地開きや不定形耐火物(キャスタブル等)の亀裂といった問題が発生し、著しい場合には、ウェア耐火物の脱落が発生する恐れがある。
更に、浸漬管は、高温下で稼動させるため、断熱モルタルの収縮が進行して、熱伝導率が大幅に上昇することが考えられる。特に、浸漬管の使用(処理)回数の増加に伴い、断熱モルタルの焼結(焼き締まり)が進行して組織が緻密になると、断熱性の低下が顕著となることが考えられる。
この場合、高温に曝された芯金に熱変形(膨張)が発生し、この変形に追従できない煉瓦に目地開きが発生して、また不定形耐火物に亀裂が発生して、これらが浸漬管の寿命を律速する損傷となり、浸漬管の長寿命化を図ることができない恐れがある。
前記内周側耐火物と前記芯金との間、及び前記外周側耐火物と前記芯金との間のいずれか一方又は双方に、厚みが1mm以上5mm以下で、かつ雰囲気温度500℃における熱伝導率が0.05W/(m・K)以下である断熱材が配置されている。
特に、断熱材の熱伝導率を0.05W/(m・K)以下とすることで、浸漬管の使用時(溶鋼への浸漬時)に周囲の溶鋼からの入熱を断熱により回避させ、芯金温度の低減が図れる。更に、断熱材の厚みを1mm以上5mm以下とすることで、断熱材の断熱性を維持できると共に、断熱材の収縮による煉瓦の目地開きや不定形耐火物の亀裂発生を防止できる。
また、芯金を仮に空冷する場合でも、浸漬管は処理中の溶鋼内に浸漬させて使用するものであるため、溶鋼からの入熱が大きく芯金の温度が高温になり、芯金の熱膨張が煉瓦の目地開きや不定形耐火物の亀裂の発生原因となる。このため、開いた目地や亀裂を通して耐火物内へ地金が浸入し、芯金温度の更なる上昇を招くと共に、浸漬管の寿命を律速する損傷となり、浸漬管が低寿命となってしまう。そこで、芯金と耐火物との間に上記した断熱材を配置することで、芯金の変形が抑制され、耐火物の寿命延長が可能になる。
以上のことから、本発明の脱ガス装置の浸漬管は、従来の浸漬管構造を大幅に変更することなく、芯金近傍の断熱のみで、簡便に耐火物の長寿命化を図ることが可能である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る脱ガス装置の浸漬管(以下、単に浸漬管ともいう)10は、筒状の芯金11の内周側に、ウェア耐火物である煉瓦(内周側耐火物の一例)12が、また外周側に、ウェア耐火物である不定形耐火物(外周側耐火物の一例)13が、それぞれ設けられたものであり、従来の浸漬管構造を大幅に変更することなく、簡便に耐火物の長寿命化が図れるものである。以下、詳しく説明する。
また、芯金11は、その内部が外気から遮断された中空部15を有する構造であり、芯金11を内部から冷却できる構成(空冷可能な構成)となっているが、使用条件に応じて、例えば、中空部を有しない構成(中実板状)にすることもできる。
この煉瓦12の厚みは、例えば、70〜300mm程度、また不定形耐火物13の厚みは、例えば、70〜200mm程度、である。
なお、上記した煉瓦12と不定形耐火物13の内部に、ガス供給用配管をそれぞれ配設して、浸漬管10の外気浸入防止用に用いられているパージ用Ar(アルゴンガス)を、煉瓦12内と不定形耐火物13内に供給することもできる。
この断熱材16は、芯金11の内表面と外表面に直接配置されているが、断熱材16が、芯金11と煉瓦12の間、また芯金11と不定形耐火物13の間に配置されていれば、これに限定されるものではない。例えば、断熱材16が芯金11に隣接配置(断熱機能を発揮可能な位置に配置)されていれば、芯金11の表面に断熱材16を固定(接着)するため、芯金11と断熱材16の間に、薄いモルタルのような耐火材(固着材)を設置することもできる。
また、断熱材16は、芯金11の内周側と外周側の双方に設置しているが、内周側と外周側のいずれか一方のみ(特に、内周側のみ)に配置した場合でも、熱による芯金11の変形をある程度抑制することが可能であり、煉瓦12又は不定形耐火物13の寿命延長に寄与可能である。しかし、上記したように、断熱材16を芯金11の内周側と外周側の双方に配置することが、より望ましい。
一方、スタッドの間隔を、例えば、50mmと狭く設置すると、スタッドを介して溶鋼の熱が芯金に伝わり易くなり、スタッドを起点とする微細な亀裂の発生数が増加するため、断熱効果が減少し、浸漬管の寿命を延ばしにくい場合がある。
なお、従来は、上記した間隔でスタッドを設けると、スタッドを介して溶鋼の熱が芯金に伝わり、浸漬管の寿命を延ばしにくかった。しかし、芯金と不定形耐火物の間に断熱材を設置することで、スタッドが設置されている領域では、溶鋼の熱が芯金に伝わるが、スタッドが設置されていない領域では、溶鋼の熱が断熱材の効果により断熱されるので、断熱効果は損なわれない。
ここで、断熱材の熱伝導率を雰囲気温度500℃で規定したのは、断熱材を設置する浸漬管の使用環境を考慮したことによる。また、熱伝導率を0.05W/(m・K)以下に規定したのは、溶鋼からの入熱を断熱により回避させ、浸漬管の芯金温度の低減を図る必要があるため、より低熱伝導性であることが望ましいことによる。
従って、雰囲気温度500℃における熱伝導率が0.05W/(m・K)以下の断熱材を使用したが、熱伝導率が0.04W/(m・K)以下、更には、0.035W/(m・K)以下の断熱材を使用することが好ましい。
一方、上記した理由から、断熱材の熱伝導率の下限値については規定していないが、世の中に存在する低熱伝導性の断熱材を考慮すれば、例えば、0.01W/(m・K)である。
また、断熱材の厚みは、1mm以上5mm以下にする。
断熱材の厚みの下限値を1mmとしたのは、断熱材(特に、微細多孔性の断熱材)が、その断熱性を維持しつつ、製造が可能な厚みを考慮したことによる。一方、厚みの上限値を5mmとしたのは、断熱材の収縮により、煉瓦の目地開き(目地切れ)や不定形耐火物の亀裂が発生することのない厚みを考慮したことによる。
従って、断熱材の厚みを1mm以上5mm以下とすることで、浸漬管の稼動後半(断熱材の性能劣化後)の寿命を更に延長できると共に、突然の耐火物の剥離等による突発トラブルも回避できるが、下限を1.5mm、更には2mm、上限を4mm、更には3mmとすることが好ましい。
浸漬管の内径が300mm未満の場合、芯金の内周側に設けた耐火物が構造的に安定化して、具体的には、煉瓦に目地開きが発生しても、また不定形耐火物に亀裂が発生しても、浸漬管の内径が小さいため、目地や亀裂を介して隣り合う耐火物同士が浸漬管の周方向に競り合って、落下(剥離)しづらくなる。従って、浸漬管の寿命に起因するような、耐火物の目地開きや亀裂等の損傷が発生しづらくなる。
一方、上記した理由から、上限値については特に規定していないが、一般的には2500mm程度といわれている。
まず、図1に示すように、芯金11と煉瓦12及び不定形耐火物13との間に、厚みが1mm以上5mm以下で、かつ雰囲気温度500℃における熱伝導率が0.05W/(m・K)以下である断熱材16を配置した浸漬管10を準備する。そして、この浸漬管10の先端部を、取鍋(図示しない)内の溶鋼に浸漬させ、脱ガス処理を行う。
即ち、断熱の効果により、浸漬管の芯金の熱変形が防止されるため、断熱性の大小が、芯金の変形抑制、更には浸漬管の寿命を決定づける因子となる。更に、浸漬管の稼動後半では、受熱による収縮のため断熱材の断熱性が低下し、逆に、断熱材の収縮による空隙の大小に起因した亀裂が発生するため、断熱材の収縮が、浸漬管の寿命を決定する因子となる。
従って、本発明の脱ガス装置の浸漬管を使用することで、従来の浸漬管構造を大幅に変更することなく、芯金近傍の断熱のみで、簡便に耐火物の長寿命化が図れる。
ここでは、DH法の脱ガス装置の浸漬管を用いた。なお、浸漬管の内周側のウェア耐火物(浸漬管内周側煉瓦)には、マグネシア−クロミア質(気孔率:8体積%以上23体積%以下)の煉瓦を主として用いた以外に、マグネシア−カーボン質の煉瓦(1400℃で3時間還元焼成後のカーボン量が2質量%以上15質量%以下)も用いた。また、外周側の耐火物には、アルミナ−マグネシア質の不定形耐火物を使用した。更に、この煉瓦の厚みを260mmとし、また不定形耐火物の厚みを175mmとして、浸漬管の内径を2000mmとした。なお、上記した1400℃で3時間還元焼成とは、マグネシア−カーボン質の煉瓦のカーボン量測定の際に常用される事前熱処理である。
上記断熱材は、図1に示した芯金の外周面と内周面の双方、並びに、芯金の内周面又は外周面の3通りで設置した。なお、芯金の外周側への不定形耐火物の施工には、芯金の外周面に設けた先側がY字状に分岐した複数のスタッドを用い、隣り合うスタッドの設置間隔を80〜300mmの範囲で変更した。
なお、損耗抑制の効果は、煉瓦の耐用性を示す評価であり、煉瓦の平均損耗速度から得られた結果である。ここでは、平均損耗速度が1.0(mm/ch)以下を「◎」、1.0(mm/ch)超1.5(mm/ch)以下を「○」、1.5(mm/ch)超を「×」とした。
また、稼動末期の欠陥は、操業の安定性(突発トラブルの発生の有無)を示す評価であり、目地開きや亀裂発生の有無を目視による監視で行った。
実施例1、2に示すように、断熱性を向上(熱伝導率を低下)させることにより、煉瓦の平均損耗速度の低減効果が得られることを確認できた。特に、実施例2に示すように、断熱材の厚みを適正範囲内で厚くすることにより、平均損耗速度の更なる低減効果が得られた(実施例1:1.15mm/ch、実施例2:0.98mm/ch)。
なお、実施例2では、断熱材の厚みを厚くすることで、実施例1よりも稼動末期で亀裂や目地開きが発生し易い状態となったが、断熱材の厚みを適正範囲内に調整したため、使用に支障はなかった(総合評価:○)。
芯金の内周面のみ又は外周面のみに断熱材を配置した場合は、芯金の内周面と外周面の両面に断熱材を配置した場合よりも、平均損耗速度は増加するが、断熱材を全く用いない場合(比較例4)と比較すると、平均損耗速度の低減効果が得られ、平均損耗速度が1.0(mm/ch)超1.5(mm/ch)以下の結果が得られた。また、断熱材を、芯金の内周面のみ又は外周面のみに配置した場合、いずれも断熱材を厚くすることにより、平均損耗速度の低減効果が得られた。しかし、断熱材は、芯金の外周面のみに配置した場合よりも、芯金の内周面のみに配置した場合の方が、平均損耗速度の低減効果が大きかった。
前記した程度の間隔の狭隘化では、比較例4に比べて問題となるような平均損耗速度の増加は認められず、寧ろ芯金の外周側の不定形耐火物への微細亀裂の発生を抑制して、断熱の効果を維持できたものと考えられる。ただし、隣り合うスタッドの間隔には最適値が存在し、本実験では、80mm以上250mm以下が、最も好成績であった。
まず、比較例1、3のように、断熱材の熱伝導率を高く(0.05W/(m・K)超)設定した場合、煉瓦の平均損耗速度が上昇した。特に、比較例1に示すように、断熱材の熱伝導率を0.30W/(m・K)まで高めることにより、平均損耗速度が大幅に上昇した(比較例1:2.00mm/ch、比較例3:1.98mm/ch)。
また、比較例1、2のように、断熱材の厚みを厚く(8mm以上)設定した場合、おおよそ浸漬管の稼動末期の300チャージ以降に、亀裂や目地開きといった耐火物の残存厚みに寄らない浸漬管の交換理由が発生することが確認された。そこで、浸漬管の稼動終了後に耐火物の解体調査を行ったところ、当初施工した断熱材はいずれも最大で5mm以上収縮していた。このため、この収縮で発生した耐火物と芯金の間の隙間が起因となって、煉瓦の目地開きや不定形耐火物の亀裂が発生したものと考えられる。
比較例4では、芯金の熱変形による亀裂及び目地開きは発生したものの、芯金との間の目地厚は、隙間に充填した耐火モルタル(1〜3mm程度)に相当する厚みのみであったため、その収縮に起因する亀裂や目地開きは、ほとんど発生しなかったものと推察できる。
このように、比較例1は、煉瓦の損耗抑制の効果が得られず、しかも稼動末期に欠陥が発生したことから、総合評価を「×」とした。
また、比較例2は、煉瓦の損耗抑制の効果は得られたが、断熱材の厚みが厚過ぎて稼動末期に欠陥が発生し、これが浸漬管の使用に支障をきたしたため、総合評価を「×」とした。
更に、比較例3は、稼動末期の欠陥をなくすことはできたが、断熱材の熱伝導率が高過ぎて煉瓦の損耗抑制の効果が得られず、これが浸漬管の使用に支障をきたしたため、総合評価を「×」とした。
一般に、煉瓦は、気孔率を下げると、耐溶損性は向上するものの、耐スポーリング性が悪化して煉瓦に亀裂が入り易くなる傾向がある。スポーリングは、煉瓦の稼動面側(溶鋼接触面側)と背面側の温度差によって発生する内部応力によって、その発生が説明されるが、本願発明のように、断熱材を配置することで、その温度差は軽減される。
従って、実施例3に比べて実施例11は、スポーリングによる損耗が顕著となることなく、煉瓦の平均損耗速度を改善でき、稼動末期の欠陥の悪化は見られなかった。
一方、実施例13に示すように、1400℃で3時間還元焼成後のカーボン量を、スポーリングによる損耗が発生し易い、2質量%以上9質量%以下の範囲で変更した場合、更にスポーリングが顕著とならない範囲で、平均損耗速度を改善でき、断熱材を配置しなければ発生し易くなる稼動末期の欠陥の悪化も見られなかった。
更に、断熱材の効果により、一般にはスポーリングが劣るものの、より高い耐溶損性を持つ低気孔率の緻密な耐火物煉瓦や低カーボン含有量の煉瓦を使用して、耐火物の寿命延長が図れることも確認できた。
Claims (5)
- 筒状の芯金の内周側と外周側に、それぞれ内周側耐火物と外周側耐火物が設けられた脱ガス装置の浸漬管において、
前記内周側耐火物と前記芯金との間に、厚みが1mm以上5mm以下で、かつ雰囲気温度500℃における熱伝導率が0.05W/(m・K)以下である断熱材が配置され、
前記内周側耐火物を、気孔率が8体積%以上15体積%以下のマグネシア−クロミア質の煉瓦で構成したことを特徴とする脱ガス装置の浸漬管。 - 筒状の芯金の内周側と外周側に、それぞれ内周側耐火物と外周側耐火物が設けられた脱ガス装置の浸漬管において、
前記内周側耐火物と前記芯金との間に、厚みが1mm以上5mm以下で、かつ雰囲気温度500℃における熱伝導率が0.05W/(m・K)以下である断熱材が配置され、
前記内周側耐火物を、1400℃で3時間還元焼成した後のカーボン量が2質量%以上9質量%以下のマグネシア−カーボン質の煉瓦で構成したことを特徴とする脱ガス装置の浸漬管。 - 筒状の芯金の内周側と外周側に、それぞれ内周側耐火物と外周側耐火物が設けられた脱ガス装置の浸漬管において、
前記内周側耐火物と前記芯金との間、及び前記外周側耐火物と前記芯金との間のいずれか一方又は双方に、厚みが1mm以上5mm以下で、かつ雰囲気温度500℃における熱伝導率が0.05W/(m・K)以下である断熱材が配置され、
前記芯金の外周面に、隣り合う間隔を80mm以上250mm以下にした複数のスタッドを設けたことを特徴とする脱ガス装置の浸漬管。 - 請求項1又は2記載の脱ガス装置の浸漬管において、前記芯金の外周面に、隣り合う間隔を80mm以上250mm以下にした複数のスタッドを設けたことを特徴とする脱ガス装置の浸漬管。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱ガス装置の浸漬管において、前記断熱材は、微細多孔性であることを特徴とする脱ガス装置の浸漬管。
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