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JP5877674B2 - 繊維構造体 - Google Patents
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本発明は、吸湿発熱性を有する繊維構造体に関する。
従来より、空気中の蒸気性水分が液体に変化する時の放出熱により発熱する吸湿発熱性繊維が知られている。吸湿発熱性繊維は、例えば、肌着類、防寒衣料、スポーツ衣料、及び靴の中敷や甲被の裏布などを構成する靴内部材等に使用されている(特許文献1)。
このような吸湿発熱性繊維は、繊維を構成する樹脂に吸湿発熱性化合物を直接練りこむ方法や、編物、織物、不織布などの繊維構造体表面に、バインダー樹脂を介して吸湿発熱性化合物を固着させる方法等から得られる。
バインダー樹脂を介して吸湿発熱性化合物を固着させる場合、バインダー樹脂によって繊維構造体表面が硬くなり風合いを損ねるという問題があった。特に、繊維構造体として起毛布を用いた場合、ガサガサした手触りになりやすいため、靴内部材などの肌に直接触れるような部位には適さず、起毛布の風合いを損なわずに吸湿発熱性を付与することは困難であった。
一方、繊維構造体の風合いを改善する方法としては、柔軟剤を用いて繊維に滑性を付与する方法や、アボガド、オリーブ油等の天然系油溶性物質、或いは動物性、海洋性コラーゲンなどの天然保湿成分を含む繊維用処理剤を用いて風合いを改善する方法などが知られている(特許文献2、3)。
天然保湿成分を含む処理剤で処理された繊維構造体は、肌への安全性や、保湿性があり、風合いに優れるものであるが、吸湿発熱性は期待できない。また、用途によって繊維構造体に転写プリントなどで模様層を形成する場合があるが、保湿成分を含む処理剤で処理された繊維構造体に模様層を形成すると、摩擦によって模様層が剥がれたり、洗濯による耐久性に劣るなど、繊維構造体と模様層との接着強度に劣るという問題があった。
特開2003−105657号公報 特開平08−232166号公報 特開2004−308063号公報
本発明は、吸湿発熱性のある繊維構造体の風合いを改善するためになされたものであって、吸湿発熱性化合物と天然保湿成分である海洋性コラーゲンを併用することで、優れた風合いのある吸湿発熱性を有する繊維構造体を提供すること目的とする。
本発明は、吸湿発熱性化合物及び海洋性コラーゲンを含む繊維用処理剤を固着させてなる繊維構造体であって、当該繊維用処理剤に含まれる吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンが重量比で2.5:1〜16:1で配合されたものであり、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンとを合せた固着量が、乾燥状態で0.5〜20g/m であることを特徴とする繊維構造体である。
本発明では、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンを併用することにより、吸湿発熱性化合物のみでは得られなかった、優れた風合いのある吸湿発熱性を有する繊維構造体が得られるとともに、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンの重量比及び固着量を特定範囲とすれば、吸湿直後の温度上昇が大きくなるため、肌に触れた直後から吸湿発熱性の効果が感じられる繊維構造体となる。
また、繊維用処理剤中の吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンの重量比が4:1〜16:1で配合されたものであることが好ましい。
この範囲であれば、繊維構造体にプリント柄、ブランド表示、サイズ表示等の模様層を形成する場合、繊維構造体と模様層との接着強度が充分得られるため、例えば、中敷や甲被裏布材などの靴内部材のように、足などによる接触で摩擦が繰り返される、模様層の耐摩耗性が要求される部材への利用に好適である。
このように、本発明の繊維構造体は、優れた風合いのある吸湿発熱性を有するものであり、さらに肌に触れた直後から吸湿発熱性の効果が感じられるため、肌と直接触れるような靴内部材に好適である。
本発明は、吸湿発熱性化合物と天然保湿成分である海洋性コラーゲンを併用することで、吸湿発熱性化合物のみでは得られなかった優れた風合いのある吸湿発熱性を有する繊維構造体を得ることができる。
また、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンとを特定の重量比で配合した繊維処理剤を固着した本発明の繊維構造体は、吸湿発熱性及び風合いに優れるとともに、吸湿直後の温度上昇が大きくなるため、肌に触れた直後から吸湿発熱性の効果が感じられ、靴内部材などの肌に直接触れる部材に好適である。
さらに、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンとを特定の重量比で配合した繊維処理剤を固着した本発明の繊維構造体は、繊維構造体に模様層を形成して使用する場合であっても、繊維構造体と模様層との接着性を損ねることがないため、模様層の耐摩耗性が要求される部材として、好適である。
本実施例における吸湿発熱性試験の結果を示す図である。 比較例における吸湿発熱性試験の結果を示す図である。
本発明は、吸湿発熱性化合物及び海洋性コラーゲンを含む繊維用処理剤を固着させてなることを特徴とする繊維構造体である。
本発明の吸湿発熱性化合物としては、アミノ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基などを有する吸湿発熱性が得られる化合物であれば特に限定されないが、ポリカルボン酸系化合物が好適である。
ポリカルボン酸系化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびこれらのアルコール類とのエステルより選ばれた、1種類の化合物の重合体または数種の化合物の共重合体、および該重合体のビニルスルホン酸との共重合物、またはこれらポリカルボン酸化合物の金属塩などが挙げられる。
ポリカルボン酸系化合物と塩を形成している金属としては、特に制限はないが、Li,Na,K,Cu,Zn,Al,Ni,Co,Fe,Mn,Mg,Ca,Sn,Cr等を挙げることができる。
ポリカルボン酸系化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、高度の耐久性を得るためには、分子量2000以上のものが好ましく、特に分子量5,000〜100,000のものが耐久性のある固着および加工後の風合いの面から好適である。
本発明では、天然保湿成分として海洋性コラーゲンを用いる。
コラーゲンとはタンパク質のひとつで、3重螺旋構造を持つ棒状の分子であり、親水性基を多く有するので、保湿性に優れるものである。また、コラーゲンは、動物や魚の表皮や骨、鱗などから抽出されるため、安全性の高い天然保湿成分として、化粧品や健康食品などに使用されている。
コラーゲンは、動物性、海洋性に大別されるが、その中でも、海洋性コラーゲンは、動物性コラーゲンと比べ、安全性が高く、濃度を上げても匂いが出にくい特徴があるため、繊維用処理剤として好適である。
本発明で使用する海洋性コラーゲンの原料としては、海水魚であっても淡水魚であってもよく、マグロ(キハダ)、サメ、タラ、ヒラメ、カレイ、タイ、テラピア、サケ、イワシ等の表皮や骨、鱗、腱、浮き袋といった組織から公知の方法を用いて抽出される。
本発明の吸湿発熱性化合物及び海洋性コラーゲンは、バインダー樹脂や、架橋剤を介して繊維構造体の表面に固着させればよく、本発明の繊維用処理剤には、必要に応じて、溶媒、バインダー樹脂、架橋剤、その他の添加剤などが含まれてもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、またはこれらの混合物など通常の繊維処理剤として使用できるものであればよく、特に限定されるものではない。
架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、グリオキ樹脂、ブロックイソシアネート誘導体またはポリグリシジル誘導体から選ばれた1種或いは数種の混合物などの多官能基を有するものが使用でき、特に限定されるものではない。
さらに、抗菌防臭剤、消臭剤、可縫性向上剤、防炎剤、帯電防止剤、防汚加工剤、スリップ防止剤などの添加剤を添加してもよい。この場合、添加量は、吸湿発熱性、保湿性を阻害しない程度であればよい。
溶媒としては、水、又はメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒が挙げられるが、環境負荷を配慮し、水が好適である。
前記繊維用処理剤に含まれる吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンが、重量比で2.5:1〜16:1となるように配合することが好ましく、さらに4:1〜16:1であればより好ましい。
吸湿発熱性化合物の配合量が海洋性コラーゲンに対して2.5倍未満だと、得られる繊維構造体の風合いは優れるものの、吸湿発熱性の効果が得られにくくなる。また、吸湿発熱性化合物の配合量が海洋性コラーゲンに対して16倍を超えると、得られる繊維構造体の吸湿発熱性の効果に優れるものの、風合いが損なわれる傾向にある。
また、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンが、重量比で2.5:1〜16:1で配合した繊維処理剤を固着した繊維構造体は、吸湿直後の温度上昇が大きくなるため、肌に触れた直後から吸湿発熱性の効果が感じられる繊維構造体となる。
また、繊維構造体にプリント柄、ブランド表示、サイズ表示等の模様層を形成する場合、吸湿性発熱化合物の配合量が海洋性コラーゲンに対して4〜16倍であれば、繊維構造体と模様層との接着強度が充分得られるため、例えば、中敷や甲被裏布材などの靴内部材のように、足などによる接触で摩擦が繰り返される、模様層の耐摩耗性が要求される部
材への利用に好適である。
また、吸湿発熱性化合物と前記海洋性コラーゲンとを合せた固着量が、乾燥状態で0.5〜20g/mであることが好ましく、さらに3〜10g/mであることがより好ましい。
固着量が0.5g/m未満であると、吸湿発熱性の効果が得られにくくなり、20g/mを超えると、吸湿発熱性の効果は得られるものの、海洋性コラーゲンを併用しても、ガサガサした手触りになりやすく、風合いが劣る傾向にある。
前記繊維用処理剤を固着させる繊維構造体としては、ポリエステル、ナイロン、ポリアクリル、ポリアミドなどの合成繊維や、綿、絹、羊毛などの天然繊維、もしくはこれらの混合素材から構成される織物、編物、不織布、起毛布などが使用できる。
特に、起毛布を繊維処理剤で処理すると、繊維が固まりやすく、肌触りが悪くなる傾向にあったが、本発明の繊維処理剤を用いれば、繊維が固まって肌触りが悪くなることもなく、起毛布本来の肌触りを維持しつつ、吸湿発熱性を付与することができる。
前記繊維処理剤を繊維構造体に固着させる方法としては、公知な技術を用いればよく、例えば、塗布、含浸、噴霧などが挙げられ、特に限定されるものではない。
本発明の繊維構造体は、吸湿発熱性化合物と天然保湿成分である海洋性コラーゲンを併用することで、吸湿発熱性化合物のみでは得られなかった優れた風合いのある吸湿発熱性を有するため、直接肌に接する部材などに使用できるものである。
また、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンの重量比が2.5:1〜16:1で配合された繊維用処理剤を使用して、吸湿発熱性化合物及び海洋性コラーゲンを合わせた固着量を、乾燥状態で0.5〜20g/mとする本発明の繊維構造体は、風合い及び吸湿発熱性に優れるものであり、さらに吸湿直後の温度上昇が大きくなるものである。そのため、例えば、この繊維構造を中敷や甲被裏布材を構成する靴内部材に使用した場合、その靴内部材を使用した靴を履いた直後から吸湿発熱性の効果が感じられるものとなり、冬場などの冷えた足を保温することができる靴を提供することが可能である。
さらに、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンの重量比が4:1〜16:1で配合された繊維用処理剤を使用して、吸湿発熱性化合物及び海洋性コラーゲンを合わせた固着量を、乾燥状態で0.5〜20g/mとする本発明の繊維構造体は、模様層を形成して使用する場合であっても、繊維構造体と模様層との接着性を損ねることがない。そのため、例えば、中敷や甲被裏布材などの靴内部材のように、足などによる接触で摩擦が繰り返される、模様層の耐摩耗性が要求される部材として、好適である。
以下に、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〜、比較例1〜
吸湿発熱性化合物としてポリカルボン酸系化合物を使用し、吸湿発熱性化合物、海洋性コラーゲン、及び架橋剤としてエポキシ樹脂を水溶媒中に分散させて、繊維用処理剤を得た。このとき、表1及び表2に示す各成分の重量比で、吸湿発熱性化合物及び海洋性コラーゲンを配合した。
次いで、各繊維用処理剤をポリエステル100%の厚さ2mmの起毛布に含浸処理した後、150〜155℃で2分間乾燥させて、繊維構造体を得た。含浸処理としては、繊維用処理剤中に起毛布を連続的に充分に浸漬させ、2本のロールで一定圧力で絞る事によるパディング加工を用いて行った。なお、このときのロール圧力は0.5MPaとし、乾燥後の繊維構造体に固着した吸湿発熱性化合物及び海洋性コラーゲンを合せた固着量は、5g/mであった。
得られた繊維構造体について、以下の評価を行った。結果を表1及び2に示す。
〔吸湿発熱性〕
得られた繊維構造体を縦80mm、横80mmの大きさにカットして2つに折り曲げ、その間に温度センサーを挟み込んだ状態で、熱風乾燥機で乾燥し、シリカゲルデシケーター中で温度センサーの温度が20℃になるまで冷却した。冷却後、相対湿度90%、温度20℃のデシケーター中に放置したときをスタートとして、1分間隔で15分間温度を測定した。図1には実施例1〜4、比較例4,5における比較例1との温度差、図2には比較例2〜3における比較例1との温度差を示す。
<評価基準>
未処理の繊維構造体である比較例1との5分後の温度差が、
◎:1.5℃以上
○:1.0℃以上1.5℃未満
△:0.5℃以上1.0℃未満
×:0.5 ℃未満
〔保湿性〕
得られた繊維構造体5gを、飽和塩化アンモニウム水溶液の入った、20℃、相対湿度80%のデシケーター中に吊るし、5時間吸湿を行った後の繊維構造体の重量(a)を測定した。測定後の繊維構造体を105℃で45分乾燥して絶乾状態とし、デシケーター内で10〜15分ほど放置し、絶乾状態の繊維構造体の重量(b)を測定した。以下の式1から保湿率を求めた。

保湿率(%)={(a−b)/b}×100 (式1)

<評価基準>
◎:保湿率が1.5%以上
○:保湿率が1.25%以上1.5%未満
△:保湿率が1.0%以上1.25%未満
×:保湿率が1.0%未満
〔風合い〕
◎:処理前の繊維構造体には無い、しっとりとした手触りを有する
○:処理前の繊維構造体とほぼ同等の手触りを有する
△:処理前の繊維構造体よりもやや硬い手触りを有する
〔接着性〕
処理後の繊維構造体表面にテープを貼り付け、剥離が180°となるように手で貼り付たテープをはがし、接着性評価を行った。
<評価基準>
◎:処理前の繊維構造体とほぼ同等の接着性
○:処理前の繊維構造体より若干弱い
△:処理前の繊維構造体よりかなり弱い
×:まったく貼りつかない
〔総合評価〕
◎:特に良好
○:良好
△:使用可能
×:使用できる用途が限定される
実施例1〜では、総合評価が△以上で、吸湿発熱性に優れるものであり、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンが、重量比で2.5:1〜16:1となるように配合した繊維用処理剤を固着させることで、起毛布本来の風合いを損なうことなく、吸湿発熱性を付与することができるとともに、吸湿発熱性化合物のみでは得られない、しっとりとした手触りを有する繊維構造体が得られた
また、図1で示されるように、実施例1〜4では、初期の温度上昇が大きい傾向にあり、肌に触れた直後から吸湿発熱性の効果が感じられるものであった。
また、実施例1〜3では、総合評価が○以上で、吸湿発熱性や風合いに優れるとともに、接着性にも優れるものであった。このように、吸湿発熱性化合物と海洋性コラーゲンが、重量比で4:1〜16:1となるように配合すれば、模様層を形成して使用する場合であっても、繊維構造体と模様層との接着性を損ねることがないので、中敷や甲被裏布材などの靴内部材のような足による接触で摩擦が繰り返される部材として、好適である。
本発明の繊維構造体は、風合い及び吸湿発熱性に優れるため、直接肌に触れる部材に好適である。

Claims (3)

  1. 吸湿発熱性化合物及び海洋性コラーゲンを含む繊維用処理剤を固着させてなる繊維構造体であって、
    前記繊維用処理剤に含まれる前記吸湿発熱性化合物と前記海洋性コラーゲンが重量比で2.5:1〜16:1で配合されたものであり、
    前記吸湿発熱性化合物と前記海洋性コラーゲンとを合せた固着量が、乾燥状態で0.5〜20g/m であることを特徴とする繊維構造体。
  2. 前記繊維用処理剤に含まれる前記吸湿発熱性化合物と前記海洋性コラーゲンが重量比で4:1〜16:1で配合されたものであることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造体。
  3. 請求項1又は2に記載の繊維構造体から構成される靴内部材。
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