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JP5877772B2 - 正極活物質 - Google Patents
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Description

本発明は、正極活物質に関する。
従来、電気自動車用二次電池として、充放電可能な非水電解質二次電池が用いられている。前記自動車用二次電池は、高速で走行する際や、登り坂を走行する際に、高電流域で用いられる。このため、前記自動車用二次電池は、高容量であると共に、高電流域での充放電特性(以下、高負荷特性ということがある)に優れていることが望まれる。
一方、前記非水電解質二次電池の正極活物質として、一般式MFで表されるフッ化金属(Mは、Fe、V、Ti、Co、Mnからなる群から選択される1種の金属元素)を用いることが知られている(特許文献1参照)。
前記一般式MFで表されるフッ化金属は、理論エネルギー密度(可逆容量)が高く、例えば、FeFを正極活物質としLiを負極活物質とする非水電解質二次電池は、約240mAh/gの理論エネルギー密度を有するとされている。
特開2008−130265号公報
しかしながら、前記一般式MFで表されるフッ化金属は、電気的に絶縁性であるので、該フッ化金属を正極活物質に用いる非水電解質二次電池は高電流域での充放電において起電圧が低下し、高容量のエネルギー発現が困難になるという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、非水電解質二次電池に用いたときに、高電流域において優れた充放電特性を得ることができる正極活物質を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、非水電解質を備える二次電池に用いられる正極活物質であって、一般式Fe(1−x)(Mは、Y、Mn、Cu、Zn、Crからなる群から選択される1種の金属元素であり、xは、0.01≦x≦0.15)で表される複合金属フッ化物からなることを特徴とする。
本発明によれば、FeFにおけるFeの一部をY、Mn、Cu、Zn、Crからなる群から選択される1種の金属元素で置換して複合金属フッ化物とすることにより、該複合金属フッ化物におけるバンドギャップがFeFのバンドギャップよりも小さくなる。この結果、前記複合金属フッ化物に導電性を付与することができ、該複合金属フッ化物を正極活物質として非水電解質二次電池に用いたときに、高電流域において優れた充放電特性を得ることができる。
また、本発明の正極活物質において、前記複合金属フッ化物の一般式におけるxは、0.01≦x≦0.15である。xが前記範囲にあることにより、前記複合金属フッ化物が安定して存在することができる。xが0.01未満であるときには、前記複合金属フッ化物のバンドギャップを小さくする効果が十分に得られないことがある。また、xが0.15を超えると、前記複合金属フッ化物が安定に存在できないことがある。
本発明の複合金属フッ化物のバンドギャップの予測値を示すグラフ。 本発明の複合金属フッ化物のX線回折スペクトルを示すグラフ。 本発明の複合金属フッ化物を用いた非水電解質二次電池の容量維持率を示すグラフ。 本発明の複合金属フッ化物を用いた非水電解質二次電池の容量を示すグラフ。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態の正極活物質は、FeFにおけるFeの一部を他の金属元素で置換して得られる複合金属フッ化物であり、一般式Fe(1−x)(Mは、Y、Mn、Cu、Zn、Crからなる群から選択される1種の金属元素であり、0.01≦x≦0.15)で表される。FeFは電気的に絶縁性であるが、Feの一部を前記金属元素で置換して得られる複合金属フッ化物は、そのバンドギャップがFeFのバンドギャップより小さく、導電性を備えている。
次に、FeFと前記複合金属フッ化物とのバンドギャップをクラスタモデルによる第一原理計算により算出した結果を図1に示す。図1から、前記複合金属フッ化物は、そのバンドギャップがFeFのバンドギャップより小さいことが明らかである。
前記複合金属フッ化物は、例えば、次のようにして調製することができる。
まず、硝酸鉄と、前記金属元素Mのイオンを含む硝酸塩とを、水とエタノールとの混合溶媒等の溶媒に溶解して第1の溶液を調製する。前記金属元素Mのイオンは、鉄イオンに対して1〜15質量%の範囲とすることにより、前記一般式Fe(1−x)において、0.01≦x≦0.15の範囲とすることができる。
次に、フッ化水素アンモニウムと、エチレングリコールとを、エタノール、水等の溶媒に溶解して第2の溶液を調製する。第2の溶液において、フッ化水素アンモニウムとエチレングリコールとは、それぞれ15〜25質量%の濃度とすることができる。
次に、20〜150gの範囲の前記第2の溶液に対し、50〜300gの範囲の前記第1の溶液を少量ずつゆっくりと滴下して反応させる。前記第1の溶液の滴下終了後、反応溶液を2〜4時間攪拌し、沈殿物を減圧濾過することにより生成物を得る。得られた生成物をエタノール溶液中に再度分散させ、減圧濾過することにより、該生成物中に含まれるエチレングリコールを洗浄、除去する。
次に、得られた生成物を、1〜50kPaの減圧雰囲気下、70〜90℃の範囲の温度で12〜24時間乾燥させることにより、前記一般式Fe(1−x)で表される複合金属フッ化物の中間体として、一般式(NHFe(1−x)で表される化合物の粉体を得る。
次に、前記中間体を、アルゴン等の不活性雰囲気下、350〜500℃の範囲の温度で0.5〜2時間焼成することにより、前記一般式Fe(1−x)で表される複合金属フッ化物を得ることができる。
前記一般式Fe(1−x)で表される複合金属フッ化物は、それ自体を正極活物質とすると共に、Li、Na等の金属を負極活物質とし、LiPF等を支持塩とする非水系電解質溶液を用いて、非水電解質二次電池を構成することができる。
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
〔実施例1〕
本実施例では、まず、硝酸鉄と、硝酸マンガンとを、マンガンイオンが鉄イオンに対して5質量%となるようにして、エタノールを25質量%含む水とエタノールとの混合溶媒に溶解して第1の溶液を調製した。硝酸鉄と、硝酸マンガンとの前記混合溶媒に対する合計濃度は0.05モル/リットルとした。次に、フッ化水素アンモニウムと、エチレングリコールとを、それぞれ20質量%の濃度で水に溶解して第2の溶液を調製した。
次に、前記第2の溶液120gに対し、前記第1の溶液210gを少量ずつゆっくりと滴下して反応させた。前記第1の溶液の滴下終了後、反応溶液を3時間攪拌し、沈殿物を減圧濾過することにより生成物を得た。得られた生成物をエタノール溶液中に再度分散させ、減圧濾過することにより、該生成物中に含まれるエチレングリコールを洗浄、除去した。
次に、得られた生成物を、1kPaの減圧雰囲気下、80℃の温度で16時間乾燥させることにより、中間体として(NHFe(1−x)Mnで表される化合物の粉体を得た。次に、前記中間体を、アルゴン雰囲気下、400℃の温度で1時間焼成することにより、一般式Fe(1−x)Mnで表される複合金属フッ化物の粉体を得た。
次に、本実施例で得られた複合金属フッ化物の粉体を走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)及び融合結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)により分析し、Fe0.96Mn0.04と同定した。本実施例で得られた複合金属フッ化物において、Feの一部を置換した金属とxの値とを表1に示す。
次に、本実施例で得られたFe0.96Mn0.04の粉体の結晶構造をX回折により確認した。結果を図2に示す。図2から、本実施例で得られたFe0.96Mn0.04の粉体は、ペロブスカイト型結晶構造を有するFeFのFeの一部がMnで置換された結晶構造を備えることが明らかである。
次に、本実施例で得られたFe0.96Mn0.04の粉体を正極活物質とする非水電解質二次電池を作製した。
前記非水電解質二次電池の作製では、まず、本実施例で得られたFe0.96Mn0.04の粉体と、ケッチェンブラック(ライオン株式会社製、商品名:EC600JD)とを7:3の質量比で混合した。次に、得られた混合物30mgと、ポリテトラフルオロエチレン3.45mgとを混合し、圧粉成型機により直径15mm、厚さ0.5mmのペレット状に成形し、正極活物質とした。次に、前記正極活物質を直径15mmのアルミニウムメッシュからなる集電体と貼り合わせて正極とした。
次に、直径15mm、厚さ0.3mmのSUS板に直径15mmのSUSメッシュを溶接した集電体に、直径15mm、厚さ0.1mmのLi箔を貼り付けて負極とした。
次に、前記正極と前記負極とを、直径17mm、厚さ0.25mmのポリプロピレン製微多孔質膜からなるセパレータを介して積層した。次に、前記セパレータに非水系電解液を含浸させて、コイン型非水電解質二次電池を得た。前記非水系電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを7:3の質量比で混合した混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを、1モル/リットルの濃度で溶解した溶液を用いた。
次に、本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池の充放電特性を測定した。測定は、室温(25℃)の大気中で、Liに対し1.5〜4.5Vの範囲の電圧、0.1〜10A/cmの範囲の電流密度で行った。
次に、各電流密度で放電を行った際の2.0Vの電位における容量密度の値を、電流密度0.1A/cmで放電を行った際の2.0Vの電位における容量密度の値で除し、100を乗じることにより、各電流密度に対する容量維持率を算出した。結果を図3に示す。また、本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池の放電容量を図4に示す。
〔実施例2〕
硝酸マンガンに代えて硝酸銅を用い、銅イオンが鉄イオンに対して5質量%となるようにした以外は実施例1と全く同一にして、化学式Fe0.99Cu0.01で表される複合金属フッ化物の粉体を得た。本実施例で得られた複合金属フッ化物において、Feの一部を置換した金属とxの値とを表1に示す。
次に、本実施例で得られたFe0.99Cu0.01の粉体の結晶構造をX回折により確認した。結果を図2に示す。図2から、本実施例で得られたFe0.99Cu0.01の粉体は、ペロブスカイト型結晶構造を有するFeFのFeの一部がCuで置換された結晶構造を備えることが明らかである。
次に、本実施例で得られたFe0.99Cu0.01の粉体を用いた以外は実施例1と全く同一にして、Fe0.99Cu0.01を正極活物質とする非水電解質二次電池を作製した。
次に、本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池を用いた以外は実施例1と全く同一にして、該コイン型非水電解質二次電池の充放電特性を測定した。本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池の各電流密度に対する容量維持率を図3に、放電容量を図4にそれぞれ示す。
〔実施例3〕
硝酸マンガンに代えて硝酸亜鉛を用い、亜鉛イオンが鉄イオンに対して5質量%となるようにした以外は実施例1と全く同一にして、化学式Fe0.99Zn0.01で表される複合金属フッ化物の粉体を得た。本実施例で得られた複合金属フッ化物において、Feの一部を置換した金属とxの値とを表1に示す。
次に、本実施例で得られたFe0.99Zn0.01の粉体の結晶構造をX回折により確認した。結果を図2に示す。図2から、本実施例で得られたFe0.99Zn0.01の粉体は、ペロブスカイト型結晶構造を有するFeFのFeの一部がZnで置換された結晶構造を備えることが明らかである。
次に、本実施例で得られたFe0.99Zn0.01の粉体を用いた以外は実施例1と全く同一にして、Fe0.99Zn0.01を正極活物質とする非水電解質二次電池を作製した。
次に、本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池を用いた以外は実施例1と全く同一にして、該コイン型非水電解質二次電池の充放電特性を測定した。本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池の各電流密度に対する容量維持率を図3に、放電容量を図4にそれぞれ示す。
〔実施例4〕
硝酸マンガンに代えて硝酸クロムを用い、クロムイオンが鉄イオンに対して15質量%となるようにした以外は実施例1と全く同一にして、化学式Fe0.893Cr0.117で表される複合金属フッ化物の粉体を得た。本実施例で得られた複合金属フッ化物において、Feの一部を置換した金属とxの値とを表1に示す。
次に、本実施例で得られたFe0.893Cr0.117の粉体の結晶構造をX回折により確認した。結果を図2に示す。図2から、本実施例で得られたFe0.893Cr0.117の粉体は、ペロブスカイト型結晶構造を有するFeFのFeの一部がCrで置換された結晶構造を備えることが明らかである。
次に、本実施例で得られたFe0.893Cr0.117の粉体を用いた以外は実施例1と全く同一にして、Fe0.893Cr0.117を正極活物質とする非水電解質二次電池を作製した。
次に、本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池を用いた以外は実施例1と全く同一にして、該コイン型非水電解質二次電池の充放電特性を測定した。本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池の各電流密度に対する容量維持率を図3に、放電容量を図4にそれぞれ示す。
〔実施例5〕
硝酸マンガンに代えて硝酸イットリウムを用い、イットリウムイオンが鉄イオンに対して5質量%となるようにした以外は実施例1と全く同一にして、化学式Fe0.9830.017で表される複合金属フッ化物の粉体を得た。本実施例で得られた複合金属フッ化物において、Feの一部を置換した金属とxの値とを表1に示す。
次に、本実施例で得られたFe0.9830.017の粉体の結晶構造をX回折により確認した。結果を図2に示す。図2から、本実施例で得られたFe0.9830.017の粉体は、ペロブスカイト型結晶構造を有するFeFのFeの一部がYで置換された結晶構造を備えることが明らかである。
次に、本実施例で得られたFe0.9830.017の粉体を用いた以外は実施例1と全く同一にして、Fe0.9830.017を正極活物質とする非水電解質二次電池を作製した。
次に、本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池を用いた以外は実施例1と全く同一にして、該コイン型非水電解質二次電池の充放電特性を測定した。本実施例で得られたコイン型非水電解質二次電池の各電流密度に対する容量維持率を図3に、放電容量を図4にそれぞれ示す。

〔比較例1〕
硝酸マンガンを全く用いなかった以外は実施例1と全く同一にして、化学式FeFで表される金属フッ化物の粉体を得た。
次に、本比較例で得られたFeFの粉体の結晶構造をX回折により確認した。結果を図2に示す。図2から、本比較例で得られたFeFの粉体は、ペロブスカイト型結晶構造を有することが明らかである。
次に、本比較例で得られたFeFの粉体を用いた以外は実施例1と全く同一にして、FeFを正極活物質とする非水電解質二次電池を作製した。
次に、本比較例で得られたコイン型非水電解質二次電池を用いた以外は実施例1と全く同一にして、該コイン型非水電解質二次電池の充放電特性を測定した。本比較例で得られたコイン型非水電解質二次電池の各電流密度に対する容量維持率を図3に、放電容量を図4にそれぞれ示す。
図3から、実施例1〜5で得られた複合金属フッ化物を正極物質に用いるコイン型非水電解質二次電池によれば、比較例1で得られたFeFを正極物質に用いるコイン型非水電解質二次電池に比較して、電流密度5mA/cmの高電流域において優れた充放電特性を得ることができることが明らかである。
また、図3から、実施例1,2で得られた複合金属フッ化物を正極物質に用いるコイン型非水電解質二次電池によれば、比較例1で得られたFeFを正極物質に用いるコイン型非水電解質二次電池に比較して、電流密度10mA/cmの高電流域においても優れた充放電特性を得ることができることが明らかである。
また、図4から、実施例1〜5で得られた複合金属フッ化物を正極物質に用いるコイン型非水電解質二次電池によれば、比較例1で得られたFeFを正極物質に用いるコイン型非水電解質二次電池に比較して、大きな放電容量を備えていることが明らかである。

Claims (1)

  1. 非水電解質を備える二次電池に用いられる正極活物質であって、
    一般式Fe(1−x)(Mは、Y、Mn、Cu、Zn、Crからなる群から選択される1種の金属元素であり、xは、0.01≦x≦0.15)で表される複合金属フッ化物からなることを特徴とする正極活物質。
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