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JP5880449B2 - フォトマスクの製造方法 - Google Patents
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JP5880449B2 - フォトマスクの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フォトマスクの製造方法で、特に、EUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外)光を使用するEUVリソグラフィ(EUVL)用反射型フォトマスクに好適な製造方法に関する。
従来から、リソグラフィ技術においては、ウェハ上に微細な回路パターンを転写して半導体デバイスを製造するための露光装置が広く利用されている。半導体デバイスの高集積化、高速化及び省電力化に伴い、半導体デバイスの微細化が進んでいる。この動向に対応して、露光装置には、より大きな焦点深度でより微細な半導体デバイス回路パターンをウェハ面上に結像させることが求められ、露光光源の短波長化が進められている。具体的に、露光光源として使用される光は、従来のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)やKrFエキシマレーザ(波長248nm)から進んで、ArFエキシマレーザ(波長193nm)の紫外光が用いられている。
しかしながら、こうした波長193nmの光を用いたリソグラフィ技術であっても、高々32〜45nmの回路寸法を有する半導体デバイスしか作製できず、30nm以下の回路寸法を有する半導体デバイスを作製できる技術の開発が求められている。このような背景のもとに、極紫外光(EUV光)を使用したリソグラフィ技術が、有力候補として注目されており、活発な開発が行われている。EUV光とは軟X線領域又は真空紫外域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。現時点では、リソグラフィ光源として13.5nm付近の波長の光の使用が主に検討されている。
EUVリソグラフィ(以下、「EUVL」とも略す)の露光原理は、投影光学系を用いてマスクパターンをウェハ上に縮小投影する点では、従来のリソグラフィと同じであるが、EUV光のエネルギー領域では、光を透過する材料が存在しないために、波長193〜436nmの光を光源とする露光装置で通常用いられている透過型フォトマスクを用いた透過屈折光学系が使用できず、反射光学系が使用されている。反射光学系の光学部材は、反射型フォトマスクと複数の反射ミラーから構成されており、マスク上に形成されたパターンを、反射ミラーを介して、ウェハ上に形成されたレジストに比率1/4〜1/5倍にて縮小投影するものである。
ここで、反射型フォトマスクは、主に4つの手順(第1手順;研磨基板の準備、第2手順;MLブランクの作成、第3手順;マスクブランクの作成、及び第4手順;フォトマスクの作成)を経て得られる光学部材(EUVL用光学部材)の一種である。
参考までに、マスクブランク及び反射型フォトマスクの断面構造を、それぞれ図1、図2に模式的に示す。図1及び図2において、1は研磨基板、2は研磨基板の成膜される面に形成された多層反射膜(以下「ML膜」と略す)、3はML膜面上に形成された保護膜、4は保護膜面上に形成された吸収膜、5は吸収膜面上に形成された反射防止膜、6は反射防止膜上に形成されたレジスト膜、7は研磨基板の裏面に形成された導電膜を示す。
また、図4に研磨基板の側面図(図では、変形の態様を理解しやすいように誇張して表現)を示す。図4(a)は仕上げ(局所)研磨前の研磨基板を、図4(b)は局所研磨後の研磨基板をそれぞれ示す。
反射型フォトマスクは、マスクブランクのEUV光吸収膜にマスクパターンが形成され、EUV光反射層が露出しEUV光が反射される部分と、反射層が吸収膜で覆われEUV光が殆ど反射されない部分を有するものである。
また反射型フォトマスクを露光装置のマスクステージに保持する際に静電チャックが一般的に使用されるため、反射型フォトマスクの裏面には、シート抵抗100Ω以下の導電膜(例えばCrNやCr、CrO、CrON、TaNなど)を通常、形成する。
ところで、EUV光を光源とする露光装置において、反射型フォトマスクは、その裏面に形成した導電膜を利用して静電チャックにより吸着保持され、その成膜面に形成されたマスクパターンがウェハ上レジスト膜へ縮小投影、転写される。この際、反射型フォトマスクのマスクパターン形成面が平坦であればあるほど、反射型フォトマスクの成膜面に形成されたマスクパターンがウェハ上レジスト膜に、所望の位置により忠実に転写、形成されるため、好ましい。
特にEUVLの適用が検討されている回路寸法が30nm以下の半導体デバイスの場合、回路パターンの形成位置に対する要求精度は5nm以下、さらには3nm以下と非常に厳しい要求がある。そこで、研磨基板の成膜される面及び裏面の平坦度に対しては、従来の250nm以下という要求レベルが、EUVL用研磨基板では100nm以下、さらには50nm以下、さらには30nm以下、という非常に厳しいレベルが要求されるようになってきた。
ここで研磨基板の平坦度とは、非特許文献1の図4に示すように、研磨基板の成膜される面と裏面における、空間波長0.1mm以上の緩やかな凹凸における高低差の最大値を意図する(非特許文献1の図4参照)。さらに、研磨基板の成膜される面に対しては、平坦度に加えて、深さ1nm以上のスクラッチやスリークなどの欠点及びポリスチレンラテックス粒子径換算サイズ50nm以上の微小な凹凸などの欠点が無いことも求められている。
上記のような厳しい要求は、露光に使用する光の波長が、現在主流のArFリソグラフィの193nmと比べて1/10以下と、極端に短いことに主に起因するものであり、EUVL用反射型フォトマスクに特有のものである。
一方、上記要求水準に対して加工方法のレベルは必ずしも十分に追いついておらず、現実には、鏡面(平滑性)、低欠点数、高平坦度のすべてを同時に満足する研磨基板を得ることは極めて困難である。そのため、要求する平坦度に到達していない研磨基板を用いた反射型マスクを使用する方法が提案されている(特許文献1及び2、非特許文献1参照)。具体的には、電子線などを用いてマスクパターンを描画する際に、マスクブランクを構成する研磨基板の成膜される面と裏面の平坦度或いは研磨基板の板厚分布に応じて、マスクパターンの形成位置を調整する方法である。
例えば、上記のようなマスクパターン形成位置の調整方法を採用すると、例えば、マスクブランクを構成する研磨基板の平坦度に対する要求は300nm以下に緩和される。この場合、成膜される面及び裏面の平坦度300nm以下、成膜される面の表面粗さ(RMS)0.15nm以下、成膜される面におけるサイズ50nm以上の欠点数が少ない研磨基板を実現すればよく、表面粗さと欠点のみに注力して加工できるため、研磨基板の加工はかなり容易となる。
しかしながら、提案されている方法では電子線などを用いて反射型フォトマスクのマスクパターンをマスクブランク上に描画する際に、マスクパターン形成位置を、各マスクブランク一枚一枚についてその研磨基板の平坦度等表面形状に応じて個別に調整する必要があり、マスクパターン形成にかなりの時間と労力がかかるという問題点がある。そのため、生産性、原価面などの点から改善が強く求められている。
なお、マスクパターン形成位置の調整は、EUVL用反射型フォトマスクだけに使用されるものではなく、それ以外のフォトマスク、すなわち、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)やArFエキシマレーザ(波長193nm)を光源とするリソグラフィ用透過型フォトマスクにも適用できることは、言うまでもない。
日本国特開2006−39223号公報(US7703066) 日本国特開2008−103512号公報
従来のフォトマスク(特に、EUVL用反射型フォトマスク)の製造方法では、電子線などを用いてフォトマスク(特に、EUVL用反射型フォトマスク)のマスクパターンをマスクブランク上に描画する際に、マスクパターン形成位置を、各マスクブランク一枚一枚についてその研磨基板の平坦度と板厚分布に応じて個別に調整する、すなわち、マスクブランク1枚毎に、マスクパターン形成位置の調整作業が必要となり、マスクパターン形成作業が煩雑になるという問題点があり、生産性、原価面などの点から改善が強く求められている。
そこで、本発明は、マスクパターン形成位置を、各マスクブランク一枚一枚についてその研磨基板の平坦度と板厚分布に応じて個別に調整しなくてもよいフォトマスク(特に、EUVL用反射型フォトマスク)の製造方法の提供を目的とする。
本発明によるフォトマスクの製造方法(以下、本製造法という)は、研磨基板と、該研磨基板上に形成された光吸収膜を少なくとも有するマスクブランクに、マスクパターン設計に基づいてマスクパターンを描画するフォトマスクの製造方法であって、
複数枚の研磨基板の表面形状又は複数枚のマスクブランクの表面形状の少なくともどちらかを測定し、前記測定された表面形状に基づいて基準板厚分布を算出後、前記算出された基準板厚分布に基づいて前記マスクパターン描画時のマスクパターン形成位置を調整する。
本製造法において、フォトマスクがEUVL用反射型フォトマスクであり、前記マスクブランクが研磨基板と光吸収膜との間に多層反射膜(ML膜)を有し、ML膜上に形成される光吸収膜がEUV光吸収膜であると好ましい。
本製造法において、前記基準板厚分布は、前記複数枚の研磨基板の板厚分布の平均又は前記複数枚のマスクブランクの板厚分布の平均であることが好ましい。或いは、本製造法において、前記基準板厚分布は、前記複数枚の研磨基板の平均板厚分布又は前記複数枚のマスクブランクの平均板厚分布を算出し、該算出された平均板厚分布をルジャンドル多項式又はツエルニケ多項式などの多項式にて近似して得られたものであることも好ましい。さらに、本製造法において、前記基準板厚分布は、前記複数枚の研磨基板の板厚分布又は前記複数枚のマスクブランクの板厚分布の少なくともどちらかをルジャンドル多項式又はツエルニケ多項式などの多項式にて近似し、それらを平均して得られるものであることも好ましい。
研磨基板1枚毎に表面形状測定又は板厚分布測定をし、その測定データに基づいてマスクパターン形成位置を調整して、マスクパターンを描画していた従来技術に比べて、本製造法では、複数の研磨基板を同一の基準表面形状又は同一の基準板厚分布に基づいてマスクパターン形成位置を調整して描画するため、マスクパターン形成位置調整時間が大幅に短縮される。
例えば、5枚のフォトマスクを製造する場合、従来の方法では、マスクパターン形成位置の調整を5回行う必要があったが、本方法によれば、5枚の研磨基板の基準表面形状又は基準板厚分布に基づいて1回調整するだけで良い。その結果、フォトマスクの生産性を著しく向上させる。
本製造法により、フォトマスクの高生産性とEUVL用として充分な精度を有するフォトマスクの提供の両立を図ることができ、EUVL実施時の転写精度を安定して向上できる。
図1は、マスクブランク(EUVL用)の断面構造をあらわした模式図である。 図2は、フォトマスク(EUVL用反射型)の断面構造をあらわした模式図である。 図3は、フォトマスク(EUVL用反射型)のパターン形成面側から見た、マスクブランクの上面図である。 図4(a)及び図4(b)は、研磨基板の側面図である。 図5(a)〜図5(d)は、マスクブランクに使用する研磨基板の板厚分布を算出する手順を説明した図である。 図6は、マスクパターンの形成位置の調整方法を説明する概念図である。 図7は、研磨基板5枚の成膜される面の表面形状の測定結果及びその平均形状(基準表面形状)である。 図8は、研磨基板5枚の裏面の表面形状の測定結果及びその平均形状(基準表面形状)である。 図9は、研磨基板5枚の成膜される面と裏面のそれぞれの表面形状の平均形状をルジャンドル多項式で近似して、それぞれの基準表面形状とした例である。 図10は、研磨基板5枚の裏面の表面形状の測定結果を反転させたうえで成膜される面の表面形状の測定結果と足し合わせて算出した研磨基板の板厚分布及び当該5枚の研磨基板の平均板厚分布(基準板厚分布)である。 図11は、研磨基板5枚の平均板厚分布をルジャンドル多項式で近似して基準板厚分布とした例である。
本発明は、フォトマスクの製造方法に関する。最初にフォトマスクの製造方法の概略を以下の4つの手順(第1手順;研磨基板の準備、第2手順;MLブランクの作成、第3手順;マスクブランクの作成、及び第4手順;フォトマスクの作成)として説明する。なお、第2手順(MLブランクの作成)は、EUVL用フォトマスクの製造方法では必須であるが、EUVL用以外のフォトマスクの製造方法では必要ない。
まず第1手順として、表面粗さが非常に小さく、空間波長0.1mm以上の緩やかな凹凸のない、なだらかで平坦な表面を有する対向する2面と、該対向する2面をつなぐ4つの側面を有する基板(以下、研磨基板と称す)を準備する。前記平坦な表面を有する対向2面の内、片面は、最終的に半導体デバイス回路パターンが形成される面(以下、成膜される面と称す)となり、残りはパターンが形成されない面(以下、裏面と称す)となる。
なお、研磨基板には、温度変化による伸縮が極力生じないように低い熱膨張性が要求される。そのため、例えばTiOを含有するシリカガラス(以下、TiO2−SiO2ガラスと略す)やシリカガラス(SiO2ガラス)などが好ましい材料として挙げられる。前記材料製の直方体を製造し、それを切断、加工してスライス基板とし、それを研磨して研磨基板を作成する。
第2手順(EUVL用フォトマスクの場合)として、第1手順で得られた研磨基板の成膜される面にEUV光を反射するML膜を形成したMLブランクを作製する。ML膜としては、EUV光における高屈折率膜(例えばSiなど)と低屈折率層(例えば、Moなど)と交互に積層することで、反射率を高めた多層反射膜が通常使用される。また、ML膜の酸化など劣化防止のため、通常、ML膜の上に保護膜(例えば、Ru、Si、TiOなど)を形成しても良い。
次いで第3手順として、EUVL用以外のフォトマスクの場合、第1手順で得られた研磨基板上に光吸収膜を形成する。EUVL用フォトマスクの場合は、第2手順で得られたMLブランクのML膜上(ML膜の上に保護膜が形成されている場合には、その保護膜上)に、EUV光を吸収する吸収膜(例えばTaやTaNなど)を形成する。必要に応じて、マスクパターン検査光の波長にて低反射率を有する反射防止膜(例えばTaONやTaOなど)を吸収膜の上に形成してもよい。次いで、吸収膜(反射防止膜が形成されている場合には、その反射防止膜上)に、レジスト膜を形成する。このようにMLブランク上に吸収膜、さらに必要に応じて反射防止膜、レジスト膜がこの順に形成されたものがマスクブランク(断面構造は、図1を参照)である。
最後の第4手順としては、マスクパターンの形成である。すなわち、(4−1)電子線や紫外光を光源とする描画装置を用いて、マスクブランクの側面もしくは表裏面の外周部付近をクランプするなど、マスクブランクを何らかの方法で保持した状態で、レジスト膜に設計したマスクパターンを描画する、(4−2)加熱する、(4−3)不要な部分のレジスト膜を除去する、(4−4)不要な部分のレジスト膜が除去されて、露出した吸収膜(反射防止膜が形成されている場合には、反射防止膜と吸収膜の両膜)をエッチング除去する、(4−5)残ったレジスト膜を除去する、といった一連のプロセスからなる。
本発明は、フォトマスクの製造方法に関するが、特に、マスクパターン形成位置調整に特徴を有する。以下、これを中心にして本発明を詳述する。
[研磨基板の準備(第1手順)]
研磨基板は、材料塊から所望の形状精度に加工された基板を得て、該基板の、研磨基板の成膜される面及び裏面になる面を両面ラップ(ポリッシュ)機を使用し、研磨剤と水とを含有する研磨スラリーを研磨パッド等に供給して両面を同時研磨し、得ることができる。その後、さらに、得られた研磨基板の成膜される面及び/又は裏面に対して、局所的に部分的に研磨する局所研磨法を使用することが好ましい。局所研磨法としては、機械的、化学機械的、磁性砥粒を使用するMRF、ビーム(レーザー)照射法、ガスクラスターイオンビームエッチング法などが挙げられる。
[研磨基板に要求される特性]
本発明において研磨基板としては、成膜される面及び裏面の表面平滑性に優れることが求められる。具体的には、EUVL用フォトマスクの場合は、品質保証領域における成膜される面及び裏面の表面粗さを、10μm×10μm角の領域で原子間力顕微鏡により測定した結果(RMS)が0.5nm以下であることが好ましく、0.3nm以下であることがより好ましく、0.15nm以下であることがさらに好ましい。
ここで品質保証領域とは、成膜される面の場合、該研磨基板を用いて作製されたマスクブランク及びフォトマスクにおいて、露光やアライメントのためのEUV光等の光が照射される領域及びアライメントやマスク識別のためのEUV光や紫外〜可視光が照射される領域である。
また、裏面の品質保証領域は、EUVL用マスクブランク及び反射型マスクを静電チャックで吸着保持するための領域である。この品質保証領域は、図3に示すマスクブランク(EUVL用)10の場合、11が品質保証領域である。品質保証領域の範囲はマスクブランク(EUVL用)の寸法、より具体的には、研磨基板の成膜される面及び裏面の寸法によっても異なるが、例えば、成膜される面及び裏面の寸法が152×152mm角の場合、品質保証領域の範囲は、端部から5mmの外縁部を除いた142mm×142mm角の領域である。
また本発明において研磨基板としては、その成膜される面の表面に、パーティクルなどの凸欠点やスクラッチやスリーク、ピットなどの凹欠点が存在しないことが求められる。具体的には、成膜される面の表面品質領域における、ポリスチレンラテックス粒子径換算サイズ150nm以上の大きさの凹凸両欠点数が10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましく、0個であることがさらに好ましい。また成膜される面の表面品質領域における、シリカ粒子径換算サイズ70nm以上の大きさの凹凸両欠点数が100個以下であることが好ましく、80個以下であることがより好ましく、60個以下であることがさらに好ましい。
[研磨基板(マスクブランク)の表面形状測定方法]
本発明において、研磨基板の成膜される面及び裏面の表面形状の測定装置としては、レーザ干渉式の平坦度計(例えばZygo社製Verifire、MarkIVや、フジノン社製G310S、Tropel社製FlatMasterなど)やレーザ変位計、超音波変位計、接触式変位計などが使用できる。ここで各種測定装置を用いて得られた結果からチルト成分を除いた残さが表面形状であり、表面形状の最大値と最小値の差が平坦度である。
本発明において、研磨基板の板厚分布を測定する方法としては、該基板が波長300〜800nmの可視光域にて透過率30%以上の十分な光線透過性を有する場合、波長300〜800nmの可視光を光源とする干渉計(例えばZygo社製Verifire、MarkIVや、フジノン社製G310S、Tropel社製FlatMasterなど)を用いて、成膜される面と裏面から反射された光の光路差から該基板の板厚分布を測定し、得られた板厚分布からチルト成分を差し引いた残さとして板厚分布を得る方法がある。
本発明において、別の研磨基板の成膜される面及び裏面の表面形状をそれぞれ前述のレーザ干渉式の平坦度測定機などにより測定し、それらを足し合わせることによって研磨基板の板厚分布を算出することもできる。ここで、研磨基板の板厚分布を算出するためには、成膜される面及び裏面の表面形状(或いは、表面プロファイル)のうち、一方の表面形状測定結果を反転させたうえで他方の表面形状測定結果と足し合わせる必要がある。前者の方法は、得られた最大板厚分布に基板材料の屈折率分布が含まれるため、屈折率分布がある材料を用いて得た基板の場合は、後者の方が好ましい。以下、後者の測定方法についてさらに詳しく説明する。
図5は、研磨基板(EUVL用)の板厚分布を算出する手順を説明した図である。以下、図5により手順を説明する。まず、図5(a)、図5(b)に示すように、成膜される面C及び裏面Dの表面形状(或いは、表面プロファイル)を測定した後、図5(c)に示すように裏面Dの表面形状(或いは、表面プロファイル)の測定結果を反転させたうえで成膜される面Cの表面形状(或いは、表面プロファイル)の測定結果と足し合わせ、足し合わせたものからチルト成分を除くことにより、図5(d)に示すEUVL用研磨基板の板厚分布を算出する。
なお、両者の方法で得られた板厚分布の最大値と最小値との差として最大板厚分布を得る。また、ここで記載した表面形状測定方法は、測定対象を研磨基板からマスクブランクに変更することにより、そのままマスクブランクの表面形状測定方法として適用できる。
[MLブランクの作成(第2手順;EUVL用フォトマスクの場合)]
研磨基板1の成膜される面に、EUV反射光における高い反射率を有するML膜2として、高屈折率膜と低屈折率膜を交互に複数回積層させた多層反射膜を形成する。ここで、EUV反射光とは、EUV光の波長域の光線を入射角6〜10度で照射した際に生じる反射光をいい、EUV反射光の反射率とは、波長12〜15nmにおけるEUV反射光のうち波長13.5nm付近の光線の反射率を意図している。
ML膜表面からのEUV反射光は、その反射率の最大値が60%以上であると好ましく、63%以上であるとより好ましい。ML膜の高屈折率膜にはSi(屈折率=0.999(λ=13.5nm))が、低屈折率膜にはMo(同屈折率=0.924)がそれぞれ広く使用される(Mo/Si多層反射膜)。
但し、ML膜はこれに限定されず、Ru/Si多層反射膜、Mo/Be多層反射膜、Rh/Si多層反射膜、Pt/Si多層反射膜、Mo化合物/Si化合物多層反射膜、Si/Mo/Ru多層反射膜、Si/Mo/Ru/Mo多層反射膜、Si/Ru/Mo/Ru多層反射膜なども使用できる。
ML膜を構成する各層の膜厚及び層の繰り返し単位の数は、使用する膜材料及びML膜に要求されるEUV反射光の反射率に応じて適宜選択できる。Mo/Si多層反射膜を例にとると、EUV反射光の反射率の最大値を60%以上とするためには、膜厚4.5±0.1nmのSi層と、膜厚2.3±0.1nmのMo層と、を繰り返し単位数が30〜60になるようにこの順に積層させると好ましい。
なお、ML膜を構成する各層は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など、周知の成膜方法を用いて所望の膜厚に成膜すればよい。
ML膜2表面及びその近傍が、保管時に自然酸化されたり洗浄時に酸化されたりするのを防止するため、ML膜2表面上に保護膜3を設けることができる。保護膜3としては、Si、Ti、Ru、Rh、C、SiC、又はこれら元素・化合物の混合物、或いはこれら元素・化合物にN、OやBなどを添加したものなどが使用できる。
保護膜としてRuを用いた場合、膜厚は2〜3nmと薄くでき、後述するバッファー膜の機能を兼用できるため、特に好ましい。またML膜がMo/Si多層反射膜の場合、最上層をSi膜とすることによって、該最上層を保護膜として機能させることができる。その場合保護膜としての役割も果たす最上層のSi膜の膜厚は、通常の4.5nmより厚い、5〜15nmであることが好ましい。また、保護膜としてSi膜を成膜した後、該Si膜上に保護膜とバッファー膜とを兼ねるRu膜を成膜してもよい。
なお、ML膜や保護膜などの膜は、必ずしも1層である必要はなく、2層以上であってもよい。ML膜上に保護膜を設けた場合、保護膜表面からのEUV反射光の反射率の最大値が上記範囲を満たす必要がある。すなわち、保護膜表面からのEUV反射光の反射率の最大値が60%以上であることが好ましく、63%以上であることがより好ましい。なお、保護膜は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など、周知の成膜方法を用いて所望の膜厚になるように成膜すればよい。
[マスクブランクの形成(第3手順)]
次いで、EUVL用以外のフォトマスクの場合、第1手順で得られた研磨基板上に光吸収膜を形成する。EUVL用フォトマスクの場合は、MLブランク表面(ML膜上、或いはML膜の上に保護膜が形成されている場合には、その保護膜上)に吸収膜4を形成する。吸収膜4に特に要求される特性は、EUV反射マスク上に形成されたパターンが、EUVL露光機の投影光学系を介してウェハー上のレジスト膜に忠実に転写されるように、吸収膜4からの反射光の強度、位相を調整することである。
この具体的な方法は2種類あり、一つ目は、吸収膜4からの反射光の強度を極力小さくする方法であり、吸収膜4(吸収膜表面に反射防止膜が形成されている場合は反射防止膜)表面からのEUV光の反射率を1%以下、特に0.7%以下となるように、吸収膜4の膜厚及び材料を調整する。また2つ目は、ML膜2からの反射光と吸収膜4(吸収膜表面に反射防止膜が形成されている場合は反射防止膜)からの反射光の干渉効果を利用する方法であり、吸収膜4(吸収膜表面に反射防止膜が形成されている場合は反射防止膜)からのEUV光の反射率を5〜15%とし、かつML膜2からの反射光と吸収膜4(吸収膜表面に反射防止膜が形成されている場合は反射防止膜)からの反射光の位相差が175〜185度となるように、吸収膜4の膜厚及び材料を調整する。
いずれの方法においても、吸収膜4を構成する材料としては、Taを40at%以上、好ましくは50at%以上、より好ましくは55at%以上含有する材料が好ましい。吸収膜4に用いるTaを主成分とする材料は、Ta以外にHf、Si、Zr、Ge、B、Pd、H及びNのうち少なくとも1種以上の元素を含有することが好ましい。
Ta以外の上記の元素を含有する材料の具体例としては、例えば、TaN、TaNH、TaHf、TaHfN、TaBSi、TaBSiN、TaB、TaBN、TaSi、TaSiN、TaGe、TaGeN、TaZr、TaZrN、TaPdなどが挙げられる。但し、吸収膜4中には、酸素を含まないことが好ましい。具体的には、吸収膜4中の酸素の含有率は25at%未満が好ましい。
マスクブランクの吸収膜にマスクパターンを形成してEUVマスクを作成する際には、通常はドライエッチングプロセスが用いられ、エッチングガスとしては、塩素ガス(混合ガスを含む)或いはフッ素系ガス(混合ガスを含む)が通常使用される。
エッチングプロセスによるML膜のダメージ防止目的で、ML膜上に保護膜としてRu又はRu化合物を含む膜を形成する場合、保護膜のダメージが少ないことから、吸収膜4のエッチングガスとして主に塩素ガスが使われる。しかしながら、塩素ガスを用いて吸収膜4のドライエッチングプロセスを実施する場合に、吸収膜4が酸素を含有していると、エッチング速度が低下し、レジスト膜のダメージが大きくなり好ましくない。吸収膜4中の酸素の含有率としては、15at%以下がより好ましく、10at%以下がさらに好ましく、5at%以下が特に好ましい。
吸収膜4の厚さは、前述の一つ目の方法の場合、吸収膜4表面からのEUV光の反射率を1%以下、特に0.7%以下とするためには、60nm以上であることが好ましく、特に70nm以上であることが好ましい。また前述の2つ目の方法の場合、40nm〜60nmの範囲が好ましく、特に45nm〜55nmの範囲が好ましい。
また上記した構成の吸収膜4は、公知の成膜方法、例えば、マグネトロンスパッタリング法又はイオンビームスパッタリング法により形成できる。
本発明において、マスクブランクの吸収膜4にマスクパターンを形成してEUVマスクを作成する際に実施されるエッチングプロセス、通常はドライエッチングプロセスによって、ML膜2がダメージを受けるのを防止するため、エッチングストッパーとしての役割を果たすバッファー膜をML膜2(ML膜上に保護膜3が形成されている場合は保護膜3)と、吸収膜4との間に設けてもよい。バッファー膜の材質としては、吸収膜4のエッチングプロセスによる影響を受けにくい、つまりこのエッチング速度が吸収膜4よりも遅く、しかもこのエッチングプロセスによるダメージを受けにくい物質が選択される。この条件を満たす物質としては、例えばCr、Al、Ru、Ta及びこれらの窒化物、ならびにSiO、Si、Alやこれらの混合物が例示される。これらの中でも、Ru、CrN及びSiOが好ましく、CrN及びRuがより好ましく、保護膜とバッファー膜の機能を兼ね備えるため特にRuが好ましい。バッファー膜の膜厚は1〜60nmであることが好ましい。バッファー膜は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など周知の成膜方法を用いて成膜することができる。
また本発明において、マスクブランクとして、吸収膜4上には低反射性の反射防止膜を設けてもよい。反射防止膜によりマスクパターンの検査時におけるコントラストが良好となり正確なマスクパターン欠陥検査が容易となる。具体的には、マスクパターンの検査光を反射防止膜表面に照射した際に生じる反射光の反射率が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。検査光としては、通常257nm程度の光が使用される。反射防止膜は、上記の特性を達成するため、検査光の波長の屈折率が吸収膜よりも低い材料で構成されることが好ましい。具体的には、Taを主成分とする材料が挙げられる。また、Ta以外にHf、Ge、Si、B、N、H、及びOのうち少なくとも1種以上の元素を含有することができる。具体例としては、例えば、TaO、TaON、TaONH、TaHfO、TaHfON、TaBSiO、TaBSiON、SiN、SiON等が挙げられる。
吸収膜上に反射防止膜を形成する場合、吸収膜及び反射防止膜の厚さの合計が10〜65nmであると好ましく、30〜65nmであるとより好ましく、35〜60nmであるとさらに好ましい。また、反射防止膜の膜厚が吸収膜の膜厚よりも厚いと、吸収膜でのEUV光吸収特性が低下するおそれがあるので、反射防止膜の膜厚は吸収膜の膜厚よりも薄いことが好ましい。このため、反射防止膜の厚さは1〜20nmであることが好ましく、3〜15nmであることがより好ましく、5〜10nmであることがさらに好ましい。
また本発明において、ハードマスクなどの機能膜を設けてもよい。ハードマスクは、吸収膜(吸収膜上に反射防止膜が形成されており、かつハードマスクが反射防止膜の機能を有していない場合は、反射防止膜)の面上に形成するものであり、前述のドライエッチング速度が、吸収膜及び/或いは反射防止膜と比べて遅いために、レジスト膜の膜厚を薄くでき、より微細なパターンを作製できる。このようなハードマスクの材料としては、Cr、Ru、Cr(N、O)などが使用でき、その膜厚は2〜10nmが好ましい。
本発明において、マスクブランクとしては、EUVL用以外のフォトマスクの場合、研磨基板の表面に、少なくとも光吸収膜を有することを基本構成とする。EUVL用フォトマスクの場合は、研磨基板の表面に、EUV光を反射するML膜、当該ML膜の上にEUV光を吸収する吸収膜を少なくとも有することを基本構成とするが、ML膜面上に保護膜を形成してもよいし、保護膜とバッファー膜の両者を形成してもよいし、吸収膜の面上に反射防止膜、ハードマスクを形成してもよい。
[導電膜の形成]
EUVL用のマスクブランクや反射フォトマスクを静電チャックで吸着保持するために、研磨基板の裏面に高誘電性材料から成る導電膜を形成することが好ましい。導電膜としては、シート抵抗が100Ω/□以下となるように、構成材料の電気伝導率と厚さを選択する。構成材料としては、具体的には、Si、Mo、Cr、TiN、CrO、CrN、CrON、TaSiからなる単層膜又はこれらの積層膜が適用できる。
導電膜の厚さは、例えば10〜1000nmとすると好ましい。導電膜の成膜方法としては、公知の成膜方法、例えば、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法といったスパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、電解メッキ法を用いて成膜できる。また導電膜の成膜は、手順1〜4のいずれかの間に実施すれば良い。例えば、手順1と手順2の間、すなわち、手順1で準備した研磨基板の裏面に、成膜される面にML膜を形成する手順2の前に、実施しても良い。また手順2と手順3の間、すなわち、手順2で作成したMLブランクの裏面に、成膜される面に吸収膜などを形成する手順3の前に、実施しても良い。また手順3と手順4の間、すなわち、手順3で作成したマスクブランクの裏面に、レジスト膜形成など手順4の前に、実施しても良い。
[フォトマスクの作成(第4手順)]
本発明において、フォトマスクの製造方法は、研磨基板の成膜される面及び裏面の基準表面形状に応じて、又は研磨基板の基準板厚分布に応じて、マスクパターン形成位置を調整して電子線描画を行う点を除けば、従来どおりのマスク作製プロセスに準拠して作製できる。
すわなち、上述の方法にて作製したマスクブランクにレジスト膜を塗布し、加熱を行う。その後、研磨基板の成膜される面及び裏面の基準表面形状に応じて、或いは研磨基板の基準板厚分布に応じて、マスクパターン形成位置を調整して電子線や紫外光による描画を行い、続く現像・エッチングにより不要な吸収膜や反射防止膜、レジストが除去されてフォトマスクを得る。
[マスクパターン形成位置調整法]
具体的に図6を用いて説明する。ここでは、簡単のために、EUV光を光源とする露光装置のマスクステージの表面平坦度が0nmで、反射型フォトマスクは、同マスクステージに隙間なく吸着されるものとする。表裏面の平坦度が0nmでかつ板厚分布が0nmの研磨基板を用いて作製した理想的な反射型フォトマスクを、露光装置のマスクステージに吸着した場合、反射型フォトマスクの表面は、図6の破線で示したように、静電チャック表面と平行となるため、反射型フォトマスクのマスクパターンは、この状態においてウェハー上の所望の位置にパターンを転写するように形成されている。
例えば、点Aから、マスクステージ法線からθ傾いた角度にて、反射型フォトマスクに入射するEUV光は、理想的な反射型フォトマスク表面の点Bにて反射され、投影光学系の点Cを通りウェハー上の点Dに投影される。本態様の投影光学系の倍率が1/4倍であるため、ウェハー上の点Dに形成したいパターンを4倍に等倍したものが、理想的な反射型フォトマスクの点Bに形成される。なお、θは、例えば6°程度である。
しかしながら、実際の反射型フォトマスクは、反射型フォトマスクを構成する研磨基板の表裏平坦度と最大板厚分布の少なくともいずれかが0nmではないため、露光装置のマスクステージに吸着された状態の反射型フォトマスクの表面は、図6の実線で示すように、なだらかな凹凸を有し、図6の破線からずれたものとなる。
このため、同様に点Aから入射したEUV光は、破線より高さ方向にzずれた点B’にて、反射型フォトマスク表面から反射され、投影光学系の点C’を通りウェハー上の点D’に投影される。このため、ウェハー上の点Dに形成されるはずのパターンは、それからΔXずれた点D’に投影されてしまい、微細な回路パターンを所望の位置に形成することができず、好ましくない。ここでΔXとzとの関係は
ΔX=(z・tanθ)/4
となる。
マスクパターンの形成位置調整方法としては、この例の場合、反射型フォトマスクパターンの形成位置を、破線からの高さ方向の変位zに応じて、δx(=z・tanθ)だけ調整するものであり、この場合、反射型フォトマスク上のパターンをウェハー上の所望の位置に形成できる。
これは、前記仮定を前提にした単純な場合であり、実際の調整は、反射型フォトマスクを構成する研磨基板の表裏表面形状や板厚分布に加えて、露光装置のマスクステージの表面形状や、マスクステージに反射型フォトマスクを吸着保持した場合の隙間、反射型フォトマスクへのパターン描画時の重力などによる反射型フォトマスクの変形など考慮する必要があり、より複雑な調整となる。
マスクパターンの形成位置調整をすることを前提にすれば、研磨基板の平坦度に対する要求は300nm以下に緩和される。この場合、成膜される面及び裏面の平坦度300nm以下、表面粗さ(RMS)0.15nm以下、サイズ50nm以上の欠点数が少ない研磨基板を実現すればよく、表面粗さと欠点のみに注力して加工できるため、研磨基板の加工は比較的容易となる。
本発明においては、このずれ量の算出を、研磨基板の成膜される面と裏面の基準表面形状ないしは基準板厚分布、又はマスクブランクの成膜面と裏面の基準表面形状ないしは基準板厚分布に基づいて行う。しかも、前記基準表面形状及び前記基準板厚分布は、1枚の研磨基板又は1枚のマスクブランクを対象とするのではなく、複数枚の研磨基板又は複数枚のマスクブランクを対象として求める点に特徴を有する。
[本発明における基準表面形状]
本発明では、基準表面形状として、下記3種類の基準表面形状を定め、その内のいずれかを使用することが好ましい。基準表面形状を定める一つ目の方法(以下、第1基準表面形状という)は、複数枚の研磨基板の成膜される面と裏面のそれぞれの表面形状の平均形状又は複数枚のマスクブランクの成膜面と裏面のそれぞれの表面形状の平均形状を、成膜される面(或いは成膜面)と裏面の基準表面形状とする。なお、複数枚とは、2以上の枚数であれば特に制限されるものではないが、例えば、4〜15枚などが好ましい枚数の一例として挙げられる。なお、平均形状は、対象とする複数枚の表面形状を単純に平均して算出して求める。
基準表面形状を定める二つ目の方法(以下、第2基準表面形状という)は、複数枚の研磨基板の成膜される面と裏面のそれぞれの表面形状の平均形状又は複数枚のマスクブランクの成膜面と裏面のそれぞれの表面形状の平均形状を算出し、それを多項式でフィッティング(近似)したものを、成膜される面(或いは成膜面)と裏面の基準表面形状とする。多項式としては、ルジャンドル多項式やツエルニケ多項式などが好ましい多項式として挙げられる。xyz直交座標系におけるルジャンドル多項式(6次まで)及びツエルニケ多項式(8次まで)をそれぞれ下記式1及び式2に示す。多項式近似としては、例えば、ルジャンドル多項式の場合、6次までの近似を使用するのが精度と時間とのバランスが取れて好ましい。
[式1]
Z(x,y)=

+a
+a(3x−1)(3y−1)/4
+a(5x−3x)(5y−3y)/4
+a(35x−30x+3)(35y−30y+3)/64
+a(63x−70x+15x)(63y−70y+15x)/64
+a(231x−315x+105x−5)(231y−315y+105y−5)/256
ここで、aは係数。
[式2]
Z(x,y)=

+a(x+y0.5cos(tan−1(y/x))
+a(x+y0.5sin(tan−1(y/x))
+a(2(x+y)−1)
+a(x+y)cos(2tan−1(y/x))
+a(x+y)sin(2tan−1(y/x))
+a(3(x+y)−2)(x+y0.5cos(tan−1(y/x))
+a(3(x+y)−2)(x+y0.5sin(tan−1(y/x))
+a(6(x+y−6(x+y)+1)
ここで、aは係数。
基準表面形状を定める三つ目の方法(以下、第3基準表面形状という)は、複数枚の研磨基板の成膜される面と裏面のそれぞれの表面形状又は複数枚のマスクブランクの成膜面と裏面のそれぞれの表面形状の少なくともどちらかを多項式にて近似し、それらを平均したものを成膜される面(或いは成膜面)と裏面の基準表面形状とする。多項式としては、第2基準表面形状で挙げられるものが好ましく使用される。
[本発明における基準板厚分布]
本発明では、基準板厚分布として、下記3種類の基準板厚分布を定め、その内のいずれかを使用することが好ましい。板厚分布は、研磨基板の成膜される面と裏面のそれぞれの表面形状又はマスクブランクの成膜面と裏面のそれぞれの表面形状を測定し、裏面の表面形状の測定結果を反転させたうえで成膜される面(或いは成膜面)の表面形状の測定結果と足し合わせたものからチルト成分を差し引くことにより、研磨基板又はマスクブランクの板厚分布を算出した。なお、得られた板厚分布の最大値と最小値との差として最大板厚分布が求まる。
基準板厚分布を定める一つ目の方法(以下、第1基準板厚分布という)は、複数枚の研磨基板の板厚分布の平均又は複数枚のマスクブランクの板厚分布の平均を基準板厚分布とするものである。基準板厚分布を定める二つ目の方法(以下、第2基準板厚分布という)は、複数の研磨基板の平均板厚分布又は複数枚のマスクブランクの平均板厚分布を多項式でフィッティング(近似)したものを基準板厚分布とするものである。基準板厚分布を定める三つ目の方法(以下、第3基準板厚分布という)は、複数枚(n枚)の研磨基板の板厚分布又は複数枚のマスクブランクの板厚分布の少なくともどちらかを多項式でフィッティング(近似)し、それらの平均を基準板厚分布とするものである。
第2基準板厚分布及び第3基準板厚分布において、多項式としては、前述の基準表面形状の場合と同様に、ルジャンドル多項式やツエルニケ多項式などが好ましい多項式として挙げられる。多項式近似としては、例えば、ルジャンドル多項式の場合、6次までの近似を使用するのが精度と時間とのバランスの点で好ましい。また、基準板厚分布を算出する際の研磨基版又はマスクブランクの枚数としては、2以上の枚数であれば特に制限されないが、例えば、4〜15枚などが好ましい枚数の一例として挙げられる。
本発明において、マスクパターンの形成位置調整方法としては、前述の基準表面形状又は基準板厚分布の少なくとも片方に基づいて調整することが好ましい。すなわち、基準表面形状又は基準板厚分布のいずれか片方に基づいて調整してもよいし、基準表面形状及び基準板厚分布の両方に基づいて調整してもよい。
なお、前述の基準表面形状又は基準板厚分布は、複数枚の研磨基板又は複数枚のマスクブランクの少なくともどちらかの形状を測定し、それに基づいて基準表面形状及び/又は基準板厚分布を算出してもよいし、複数枚の研磨基板及び複数枚のマスクブランクの両方の形状を測定し、それらに基づいて基準表面形状及び/又は基準板厚分布を算出してもよい。
以下、実施例(例1〜10)に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
[研磨基板作成方法]
四塩化ケイ素と四塩化チタンを火炎加水分解して得られたTiO−SiOガラス(TiO2ドープ量は7質量%)から成るスライス基板(大きさ153mm角×厚さ6.75mm)を準備する。このスライス基板を、NC面取り機を用いて、#120のダイヤモンド砥石により、面取り幅が0.2〜0.4mmになるように、面取り加工して、外径寸法が152mm角、厚さ6.75mmとなるように仕上げ加工を実施した。次いで、スライス基板を鋳鉄製の定盤に挟持させ、Alを主成分とする研磨砥粒を含有する研磨スラリーを供給し、スライス基板の表面をラップ研磨した。スライス基板の側面については、ナイロンブラシ、酸化セリウムスラリーを用いた側面研磨を行い、その表面粗さを1nm(RMS)以下と鏡面にした。その後、側面研磨を行ったスライス基板の成膜される面と裏面の両面を、硬質発泡ポリウレタンパッド、酸化セリウムスラリーを用いた1段目の研磨、軟質発泡ポリウレタンスウェードパッド、酸化セリウムスラリーを用いた2段目の研磨、軟質発泡ポリウレタンスウェードパッド、コロイダルシリカを用いた3段目の研磨を、両面ポリッシュ機を用いて順次研磨し、成膜される面と裏面の表面粗さが0.15nm(RMS)以下の研磨基板(例1〜5)を得た。
[研磨基板の表面性状]
得られた研磨基板をアルカリ洗剤とPVAスポンジを用いてスクラブ洗浄後、バッチ式洗浄機を用いて、超純水、硫酸・過酸化水素水混合溶液、超純水、アルカリ洗剤、超純水の各種溶液それぞれにこの順に、浸漬し、イソプロピルアルコール(IPA)に浸漬した後80℃で乾燥させた。得られた研磨基板の成膜される面と裏面の表面品質領域(中央142mm角)の表面形状と平坦度を、フィゾー型レーザ干渉式平坦度測定機(Fujinon社製、商品名:G310S)を用いて測定した。得られた研磨基板の成膜される面と裏面の表面形状はいずれも、中心が相対的に低く周辺が相対的に高い凹状であり、成膜される面の平坦度は200〜300nm、裏面の平坦度は500〜600nmであった。
[研磨基板の加工方法]
EUVL用研磨基板としては、成膜される面と裏面の平坦度が比較的大きく、その表面形状の基板間差異も大きく使用に適さないため、研磨基板の成膜される面及び裏面に、ガスクラスタイオンビームエッチング(Epion社製、商品名:US50XP)を用いて局所研磨を実施した。ここで、各部位の局所研磨量は、修正研磨工程後の研磨基板の成膜される面と裏面の所望の表面形状(中心が相対的に低く周辺が相対的に高い凹状であり、成膜される面と裏面の平坦度がそれぞれ330nm、600nm)と、局所研磨前の研磨基板の成膜される面と裏面の表面形状測定結果の差異とし、局所研磨量の調整はガスクラスタイオンビームのスキャン速度を調整することにより実施した。その他の主な局所研磨の加工条件を以下に示す。
<局所研磨加工条件>
ソースガス:NF 5%とN 95%の混合ガス、
加速電圧:30kV、
イオン化電流:100μA、
ガスクラスタイオンビームのビーム径(FWHM値):6mm
エッチング速度:50nm・cm/秒。
局所研磨した研磨基板の成膜される面と裏面の表面粗さは約0.5nm(RMS)と大きく、EUVL用研磨基板として適さないため、さらに以下に示す条件で研磨基板の成膜される面及び裏面に仕上げ研磨を実施し、その表面粗さを0.15nm(RMS)以下にした。
<仕上げ研磨条件>
研磨試験機:浜井産業社製 両面24B研磨機、
研磨パッド:カネボウ社製 ベラトリックスN7512、
研磨常盤回転数:10rpm 、
研磨時間:30分、
研磨荷重:51cN/cm
研磨量:0.06μm/面、
希釈水:純水(0.1μm以上異物濾過)、
スラリー流量:10リットル/min、
研磨スラリー:平均一次粒径20nm未満のコロイダルシリカを20質量%含有、
研磨量:0.02μm。
[加工後の研磨基板の表面性状]
得られた研磨基板を前述と同様の方法にて洗浄し、成膜される面と裏面の表面品質領域(中央142mm角)の表面形状と平坦度を前述と同様の方法にて測定した。こうして得られたEUVL用研磨基板5枚の成膜される面と裏面の表面形状と平坦度の測定値を図7、図8、表1にそれぞれ示す。
[第1基準表面形状との差異]
研磨基板5枚の成膜される面と裏面のそれぞれの表面形状の平均形状から成膜される面と裏面の基準表面形状を求め、それぞれ図7、図8に示す。図中、左から第2列は、表面形状(surface porfile)を、第3列は表面形状と基準表面形状(reference;最終行の第2列)との差異(residual)をそれぞれ示す。成膜される面と裏面の基準表面形状の平坦度は68nm、56nmであった。研磨基板5枚の成膜される面と裏面の表面形状の、第1基準表面形状からの差異の最大値を算出した結果を、表1に示す。差異はいずれも46nm以下であり、成膜される面と裏面の基準表面形状に基づいてマスクパターン形成位置の調整を行ってマスクパターン描画を行うことにより、EUVL実施時に十分な転写精度を有するEUVL用反射型フォトマスクの製造方法を得ることができる。
Figure 0005880449
[第2基準表面形状との差異]
基準表面形状を定める二つ目の方法は、研磨基板5枚の成膜される面と裏面のそれぞれの表面形状の平均形状を5次までのルジャンドル多項式(関数)でフィッティング(近似)し、成膜される面と裏面の基準表面形状とするものである。成膜される面(Front surface)と裏面(Back surface)の基準表面形状を図9に示す。成膜される面と裏面の基準表面形状の平坦度は52nm、45nmであった。
研磨基板5枚の成膜される面と裏面の表面形状の、第2基準表面形状からの差異の最大値を算出した結果を、表2に示す。差異はいずれも57nm以下であり、成膜される面と裏面の基準表面形状に基づいてマスクパターン形成位置の調整を行ってマスクパターン描画を行うことにより、EUVL実施時に十分な転写精度を有するEUVL用反射型フォトマスクの製造方法を得ることができる。
Figure 0005880449
[加工後の研磨基板の板厚分布]
例1〜5と同様の方法にて研磨基板を作製した。こうして得られた研磨基板5枚の成膜される面と裏面の表面形状を例1〜5と同様の方法にて測定し、裏面の表面形状の測定結果を反転させたうえで成膜される面の表面形状の測定結果と足し合わせたものからチルト成分を差し引くことにより、研磨基板の板厚分布を算出した(例6〜10)。得られた板厚分布の最大値と最小値との差として最大板厚分布を得た。研磨基板5枚の板厚分布を図10に、最大板厚分布を表3に示す。図中、左から第2列は板厚分布(Thickness variation)を、第3列は板厚分布と基準板厚分布(reference;最終行の第2列)との差異(residual)をそれぞれ示す。
[第1基準板厚分布との差異]
研磨基板5枚の研磨基板の平均板厚分布から第1基準板厚分布を求めた。基準板厚分布を図10に示す。基準板厚分布の最大値は93nmであった。研磨基板5枚の板厚分布の、第1基準板厚分布からの差異の最大値を算出した結果を、表3に示す。差異はいずれも50nm以下であり、基準板厚分布に基づいてマスクパターン形成位置の調整を行ってマスクパターン描画を行うことにより、EUVL実施時に十分な転写精度を有するEUVL用反射型フォトマスクの製造方法を得ることができる。
Figure 0005880449
[第2基準板厚分布との差異]
基準板厚分布を定める二つ目の方法は、EUVL用研磨基板5枚の平均板厚分布を5次までのルジャンドル多項式(関数)でフィッティング(近似)したものを、基準板厚分布(第2基準板厚分布)とするものである。基準板厚分布を図11に示す。基準板厚分布の最大値は75nmであった。準備したEUVL用研磨基板5枚の板厚分布の、該基準板厚分布からの差異の最大値を算出した結果を、表4に示す。差異はいずれも75nm以下であり、基準板厚分布に基づいてマスクパターン形成位置の調整を行ってマスクパターン描画を行うことにより、EUVL実施時に十分な転写精度を有するEUVL用反射型フォトマスクの製造方法を得ることができる。
Figure 0005880449
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2011年1月26日出願の日本特許出願2011−014460に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の研磨基板及びマスクブランクを用いることにより、また本発明に従ってEUVL用反射型フォトマスクを作製することにより、EUVL実施時の転写精度を安定して向上できる。
1:研磨基板、2:多層反射膜、3:保護膜、4:吸収膜、5:反射防止膜、6:レジスト膜、7:導電膜、10:マスクブランク、11:品質保証領域

Claims (7)

  1. 研磨基板と、該研磨基板上に形成された光吸収膜を少なくとも有するマスクブランクに、マスクパターン設計に基づいてマスクパターンを描画するフォトマスクの製造方法であって、
    複数枚の研磨基板の表面形状又は複数枚のマスクブランクの表面形状の少なくともどちらかを測定し、前記測定された表面形状に基づいて基準板厚分布を算出後、前記算出された基準板厚分布に基づいて前記マスクパターン描画時のマスクパターン形成位置を調整する、フォトマスクの製造方法。
  2. フォトマスクがEUVL用反射型フォトマスクであり、前記マスクブランクが研磨基板と光吸収膜との間に多層反射膜(ML膜)を有し、ML膜上に形成される光吸収膜がEUV光吸収膜である、請求項1に記載のフォトマスクの製造方法。
  3. 前記基準板厚分布は、前記複数枚の研磨基板の板厚分布の平均又は前記複数枚のマスクブランクの板厚分布の平均である、請求項1に記載のフォトマスクの製造方法
  4. 前記基準板厚分布は、前記複数枚の研磨基板の平均板厚分布又は前記複数枚のマスクブランクの平均板厚分布を算出し、該算出された平均板厚分布を多項式にて近似して得られる、請求項1に記載のフォトマスクの製造方法
  5. 前記多項式がルジャンドル多項式又はツエルニケ多項式である、請求項4に記載のフォトマスクの製造方法
  6. 前記基準板厚分布は、前記複数枚の研磨基板の板厚分布又は前記複数枚のマスクブランクの板厚分布の少なくともどちらかを多項式にて近似しそれらを平均して得られる、請求項1に記載のフォトマスクの製造方法
  7. 前記多項式がルジャンドル多項式又はツエルニケ多項式である、請求項6に記載のフォトマスクの製造方法
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