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JP5883640B2 - 重量ポリマーセメントモルタル - Google Patents
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JP5883640B2 - 重量ポリマーセメントモルタル - Google Patents

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Description

本発明は、重量ポリマーセメントモルタルに関し、詳細には薄塗りも可能な重量ポリマーセメントモルタルに関する。
コンクリート構造物を建設する際には、型枠に内に鉄筋を組みコンクリートを打設することが多い。脱型後の硬化コンクリートには、型枠の精度により不陸などの数mm程度の段差が発生することが多い。この段差の調整(補修)に、一般的には軽量骨材などを用いたポリマーセメントモルタル系下地調整材が使用されている。
この数mm程度の段差をポリマーセメントモルタル系下地調整材で補修するときは、コンクリートの凹んでいる部分(凹部)はその深さを埋められる程度(数mm程度)の厚みで当該下地調整材を塗り付けるが、コンクリートの凹んでいない部分は1mm未満の厚みで当該下地調整材を塗り付け、当該下地調整材の表面が平滑となるようにする。
一方、医療、学術研究、産業分野において、放射性物質を使用する施設又はエックス線を含む放射線を利用する施設は、放射線の遮蔽効果を高めるために、壁、床、天井に重量コンクリートが用いられることがある。この重量コンクリートを用いてコンクリート構造物を建設する際、通常のコンクリートよりも型枠に掛かる圧力が大きくなるため、上記段差が発生し易い。
重量コンクリートを用いたコンクリート構造物の段差の補修には、放射線の遮蔽効果を担保するために、重量コンクリート又は重量モルタルで補修することが求められる。しかし、重量コンクリートでは、数mm程度の段差を補修する場合であっても、10cm程度の厚みで増し厚することになり、構造物の重量が増すため又は構造物の内容積が減るため対応できないことも考えられる。また、重量コンクリートでは、別な箇所に同様に段差が発生する虞がある。このため、当該段差の補修には、重量モルタル(例えば特許文献1〜特許文献3参照。)を用いることが好ましい。
特開2001−302302号公報 特開2005−047772号公報 特開2005−015306号公報
しかし、特許文献1または特許文献2に記載の重量モルタルは、流動性が優れたグラウトモルタル又は充填モルタルであるため、壁又は天井の段差を補修する場合は、重量コンクリートとの隙間が数cm程度となるように型枠を組んだ上で重量コンクリートとの間に充填することになり、数mmの段差の補修には適さない。また、特許文献3に記載の左官用高比重ポリマーセメントモルタルでは、骨材が粗いため数mm以上の塗り厚が必ず必要で、モルタルの量が無駄に多く必要となる。また、この特許文献3に記載の発明技術から、単に骨材を細かいものに替えるだけでは、1mm未満の厚みでモルタルを塗り付けた部分の単位体積あたりの表面積が大きくなるため、ひび割れ、ドライアウト、剥離又は浮き(部分的な剥離)が生じる虞が高い。
本発明は、重量コンクリートを用いたコンクリート構造物の数mm程度の段差を、薄く塗り付けることで補修することができる重量ポリマーセメントモルタルを提供することを目的とする。また、本発明は、1mm未満の厚みで重量コンクリート表面に塗り付けても、ひび割れ、ドライアウト、剥離又は浮きが生じ難い重量ポリマーセメントモルタルを提供することを目的とする。
そこで本発明者は、重量ポリマーセメントモルタルでありながら、薄塗り可能なモルタルを開発すべく検討した結果、セメント、有機質結合材、消泡剤及び有機増粘剤を配合し、さらに骨材の粒子径を単に小さくするのではなく、一定の粒子径の範囲の骨材であって、かつ高比重のものを採用することにより、1mm未満の薄塗りが可能で、ひび割れ、ドライアウト剥離又は浮きが生じ難い重量ポリマーセメントモルタルが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供するものである。
[1](A)セメント100質量部に対して、
(B)粒子径0.6mmを超える粒子の含有率が5質量%以下、粒子径0.15〜0.3mmの粒子の含有率が40〜60質量%であり、かつ比重3.0〜4.5である骨材を180〜400質量部、
(C)酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂及び合成ゴムから選ばれる1種又は2種以上の有機質結合材を3〜25質量部、
(D)消泡剤を0.3〜7質量部、及び
(E)有機増粘剤を0.05〜0.5質量部
を含有する重量ポリマーセメントモルタル。
[2]前記(B)骨材における粒子径0.15mm未満の粒子の含有率が20〜40質量%である[1]記載の重量ポリマーセメントモルタル。
[3]更に、セメント100質量部に対して、
(F)膨張材を1〜7質量部、
及び/又は
(G)ナイロン繊維を0.2〜0.5質量部
を含有する[1]又は[2]記載の重量ポリマーセメントモルタル。
[4]乾燥単位容積質量が2.15kg/L以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の重量ポリマーセメントモルタル。
[5]前記(B)骨材が、粒子径0.3mmを超える粒子の含有率が30質量%以下、粒子径0.6mmを超える粒子の含有率が5質量%以下、粒子径0.15〜0.3mmの粒子の含有率が40〜60質量%、粒子径0.15mm未満の含有率が20〜40質量%であり、かつ比重3.0〜4.5の骨材である[1]〜[4]のいずれかに記載の重量ポリマーセメントモルタル。
本発明によれば、重量コンクリートを用いたコンクリート構造物の数mm程度の段差を、薄く塗り付けることで補修することができる重量ポリマーセメントモルタルが得られる。また、本発明は、1mm未満の厚みで重量コンクリート表面に塗り付けても、ひび割れ、ドライアウト、剥離又は浮きが生じ難い重量ポリマーセメントモルタルが得られる。また、本発明を用い数mm程度の段差を補修した重量コンクリートを用いたコンクリート構造物は、その表面が平滑となることから、美観にも優れた構造物となる。
重量コンクリート製試験板の模式的な断面図を示す。 ポリマーセメントモルタルを塗り付け段差を補修した重量コンクリート製試験板の模式的な断面図を示す。
本発明における(A)セメントとは、水硬性セメント及び気硬性セメントから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。水硬性セメントとしては、例えば普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱の各種ポルトランドセメント、エコセメント、並びにこれらのポルトランドセメント又はエコセメントに、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム又は石灰石微粉末等を混合した各種混合セメント、太平洋セメント社製「ジェットセメント」(商品名)や住友大阪セメント社製「ジェットセメント」(商品名)等の超速硬セメント、アルミナセメント、半水石膏等が挙げられる。また、気硬性セメントとしては、例えば消石灰、ドロマイトプラスター等が挙げられる。補修する重量コンクリートと同程度の強度を得やすいことから、本発明に用いるセメントとしては水硬性セメントが好ましく、可使時間が長く確保し易いことから、各種ポルトランドセメント、エコセメント、アルミナセメント及び各種混合セメントから選ばれる一種又は二種以上を使用することが好ましい。
本発明における(B)骨材としては、粒子径0.6mmを超える粒子の含有率が5質量%以下、粒子径0.15〜0.3mmの粒子の含有率が40〜60質量%であり且つ比重3.0〜4.5である骨材を用いる。
骨材中の粒子径0.6mmを超える粒子の含有率が5質量%を超えると、1mm未満の厚みでコンクリート表面に塗り付け難く、より好ましい骨材中の粒子径0.6mmを超える粒子の含有率は1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、粒子径0.6mmを超える粒子が含まれていないことが最も好ましい。
また、骨材中の0.15〜0.3mmの粒子の含有率が40質量%未満又は60質量%を超えると、ひび割れが起こり易い又は鏝作業性が悪く塗付けた面の仕上がりが悪いため薄く塗り付け難い。ひび割れが起こり難く、鏝作業性が良く薄く塗り付け易いことから、骨材中の粒子径0.15〜0.3mmの粒子の含有率が40〜60質量%であって、粒子径0.15mm未満の粒子の含有率が20〜40質量%又は粒子径0.3mmを超える粒子の含有率が30質量%以下である骨材であることが好ましい。より好ましくは、骨材中の粒子径0.15〜0.3mmの粒子の含有率が40〜60質量%、粒子径0.15mm以下の粒子の含有率が20〜40質量%、粒子径0.3mmを超える粒子の含有率が30質量%以下、かつ粒子径0.6mmを超える粒子の含有率が5重量%以下である骨材を用いる。
尚、本発明において0.6mmを超える粒子とは、公称呼び寸法(以下、「目開き」と云う。)0.6mmの篩に留まる粒子を云う。また、粒子径0.3〜0.6mmの粒子とは、目開き0.3mmの篩に留まり且つ目開き0.6mmの篩を通過する粒子を云う。同様に、粒子径0.15〜0.3mmの粒子とは、目開き0.15mmの篩に留まり且つ目開き0.3mmの篩を通過する粒子を云い、粒子径0.15mm未満の粒子とは、目開き0.15mmの篩を通過する粒子を云う。
また、本発明で使用する骨材の比重は3.0〜4.5のものである。3.0未満の骨材では、ポリマーセメントモルタルの乾燥単位容積質量が2.15kg/L未満となり不足する。また、4.5を超える骨材では、壁や天井に塗り付けたときに未硬化のモルタルが剥離、剥落、垂れ又は変形が起こる虞が高い。但し、骨材の平均比重が3.0〜4.5の範囲となれば、比重が3.0〜4.5から外れた骨材を、骨材中に5体積%以下の範囲内であれば含有することもできる。比重が3.0〜4.5から外れた骨材を用いずに、比重が3.0〜4.5の骨材のみ用いるのがより好ましい。
本発明で使用する骨材の材質は、骨材の比重が前記範囲のものであれば特に限定されない。例えば、橄欖岩、柘榴石、重晶石、針鉄鉱、褐鉄鉱、バリウム方解石、銅スラグ、フェロニッケルスラグ、フェロクロムスラグ等が好ましい例として挙げられる。
本発明の重量ポリマーセメントモルタル中の上記(B)骨材の含有量は、セメント100質量部に対して、180〜400質量部である。180質量部未満であると、ポリマーセメントモルタル中の単位セメント量が大きくなるためひび割れを起こし易くなり、400質量部を超えると、必要な付着強度が得れない又はモルタル表面の仕上がりが悪くなる。好ましくは、ひび割れを起こし難く、付着強度が充分得られ且つモルタル表面の仕上がりが良いことから、200〜400質量部であり、さらに好ましくは200〜300質量部である。
本発明に使用する(C)有機質結合材としては、ポリマーセメントモルタルやポリマーセメントコンクリートの結合材として用いられるものであればよく、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体又はメチルメタクリレート・ブタジエン共重合体等の合成ゴム、天然ゴム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリクロロプレン、ポリアクリル酸エステル、スチレン・アクリル共重合体、オールアクリル共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・アクリル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、変性酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、酢酸ビニルビニルバーサテート共重合体、アクリル・酢酸ビニル・ベオバ(t−デカン酸ビニルの商品名)共重合体等の酢酸ビニル系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂及びエポキシ樹脂等の合成樹脂、アスファルト、ゴムアスファルト及びパラフィン等の瀝青質等が好ましい例として挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
施工面(鏝で塗り付けたモルタルの表面)を平滑に仕上げることができる、即ちコテ作業性に優れているという理由から、本発明に使用する有機質結合材としては、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・アクリル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、変性酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、酢酸ビニルビニルバーサテート共重合体、アクリル・酢酸ビニル・ベオバ(t−デカン酸ビニルの商品名)共重合体等の酢酸ビニル系樹脂;ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル・スチレン共重合体、スチレン・アクリル共重合体、オールアクリル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;スチレン・ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体又はメチルメタクリレート・ブタジエン共重合体等の合成ゴムから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
本発明に使用する有機質結合材の状態は、液体、エマルション又はエマルションを粉末状にした再乳化型粉末樹脂の何れでもよい。硬化剤の添加が不要なことから、エマルション又は再乳化型粉末樹脂が好ましい。
本発明の重量ポリマーセメントモルタル中における(C)有機質結合材の含有量は、セメント100質量部に対し、105℃における不揮発性分量(以下単に「不揮発性分量」ということがある。)で、3〜25質量部である。3質量部未満では、必要な付着強度が得られない。また、25質量部を超えると、巻き込みエアが多くなりポリマーセメントモルタルの乾燥単位容積質量が不足するとともに、モルタル表面の仕上がりが悪い。1mm未満の厚みでコンクリート表面に塗り付けたときにモルタルが剥離、剥落などが起こる虞が低く、乾燥単位容積質量が大きく且つ良好なモルタル表面の仕上がりが得られることから、有機質結合材の含有率を105℃における不揮発性分量で、セメント100質量部に対し、5〜20質量部とすることが好ましい。乾燥単位容積質量が大きく且つより高い付着強さが得られることから、有機質結合材の含有率を不揮発性分量で、セメント100質量部に対し、8〜20質量部とすることが更に好ましい。
本発明で使用する(D)消泡剤としては、市販のセメント用消泡剤、市販のセメントモルタル用消泡剤又は市販のコンクリート用消泡剤の他、他用途の鉱物油系、エーテル系、シリコーン系等の消泡剤、トリブチルフォスフェート、ポリジメチルシロキサン又はポリオキシアルキレンアルキルエーテル系非イオン界面活性剤が好適な例として挙げられる。消泡剤は、これらの二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、無機質粉末に担持させ粉末状にしたものでもよい。
本発明の重量ポリマーセメントモルタル中における(D)消泡剤の含有量は、セメント100質量部に対し、0.3〜7質量部である。0.3質量部未満では消泡効果が得られ難くポリマーセメントモルタルの乾燥単位容積質量が2.15kg/Lより小さくなり不足し、7質量部を越えると硬化後のポリマーセメントモルタルの強度低下を起こす虞がある。消泡効果が得られ易くポリマーセメントモルタルの乾燥単位容積質量がより大きく且つ良好な強度が得られることから、消泡剤の含有量をセメント100質量部に対し、0.5〜5質量部とすることが好ましい。更に好ましくは、消泡剤の含有量をセメント100質量部に対し、2〜5質量部とする。
本発明で使用する(E)有機増粘剤としては、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等のヒドロキシアルキルセルロース、或いは、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルエチルセルロース(HEEC)等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース等の水溶性セルロース類;アルギン酸、β−1,3グルカン、プルラン、ウェランガム等の多糖類;アクリル樹脂やポリビニルアルコール等のポリビニル化合物;メチルスターチ、エチルスターチ、プロピルスターチ又はメチルプロピルスターチ等のアルキルスターチ、ヒドロキシエチルスターチ又はヒドロキシプロピルスターチ等のヒドロキシアルキルスターチ、或いは、ヒドロキシプロピルメチルスターチ等のヒドロキシアルキルアルキルスターチ等スターチエーテル等が挙げられ、これらの一種又は二種以上の使用が可能であるが、未硬化のモルタルがドライアウト、剥離、剥落、垂れ及び変形が起こり難いことから、水溶性セルロース及び/又はスターチエーテルが好ましい。
本発明の重量ポリマーセメントモルタル中における(E)有機増粘剤の含有量は、セメント100質量部に対し、0.05〜0.5質量部である。0.05質量部未満では、未硬化のモルタルがドライアウト、剥離、剥落、垂れ又は変形が起こる虞が高い。また、0.5質量部を超えると、モルタル表面の仕上がりが悪い。ドライアウト、剥離、剥落、垂れ及び変形が起こる虞が低く且つより良好なモルタル表面の仕上がりが得られることから、有機増粘剤の含有量を、セメント100質量部に対し、0.1〜0.3質量部とすることが好ましい。
本発明の重量ポリマーセメントモルタルには、硬化時又は硬化後のモルタルの収縮によるひび割れの発生を抑制するために(F)膨張材を含有することが好ましい。特に、2mm以上の厚みで重量コンクリート表面に塗り付けるときは、硬化収縮を低減させることができることから、本発明の重量ポリマーセメントモルタルに膨張材を含有させることが好ましい。
本発明に用いる膨張材としては、水和により例えば水酸化カルシウムやエトリンガイト等の水和物の結晶が成長し、嵩体積が大きくなる物質を主要成分とするものであれば何れのものでも良く、具体的には、生石灰、カルシウムサルホアルミネート、無水石膏、マグネシア、石灰系膨張材、エトリンガイト系膨張材等が好適な例として挙げられ、これら又はこれらに類する物質の一種又は二種以上を使用することが可能である。用いる膨張材としては、JIS A 6202「コンクリート用膨張材 」に適合する膨張材が、混和量に対する膨張率が安定しているので、混和量に対するモルタル硬化体のひび割れ発生を抑制する性能も安定しているので特に好ましい。本発明の重量ポリマーセメントモルタル中における膨張材の含有量は、セメント100質量部に対し、1〜7質量部とするのが好ましい。膨張材の含有量が少ないとその効果が不充分である場合があり、また、多すぎるとモルタルが下地の重量コンクリートから浮き又は剥離が起こる虞がある。膨張材混和による硬化収縮の低減の効果が充分得られ且つモルタルが下地の重量コンクリートから浮き又は剥離が起こる虞が低いことから、膨張材の含有量をセメント100質量部に対し、2〜5質量部とすることがより好ましい。
本発明の重量ポリマーセメントモルタルには、モルタル表面の仕上がりを平滑にし易いことから(G)ナイロン繊維を含有することが好ましい。また、ナイロン繊維を含有させることにより、よりモルタルのひび割れを抑制できる。ナイロン繊維以外の繊維、例えば、ビニロン繊維を混入するとモルタルの流動性が著しく低下するため、モルタルが下地の重量コンクリートから浮き又は剥離が起こる虞がある。
本発明に用いるナイロン繊維としては、繊維長3〜20mm、繊維径10〜40μmのものが好ましい。水及び液状混和材料(樹脂エマルション含む。)以外の材料を、ミキサで予め混合することでプレミックスモルタルとする場合は、繊維長5〜10mm、繊維径20〜35μmのものがプレミックスモルタル内でナイロン繊維が分散し易いことから更に好ましい。
本発明の重量ポリマーセメントモルタル中におけるナイロン繊維の含有量は、セメント100質量部に対し、0.2〜0.5質量部とするのが好ましい。含有量が少なすぎると、ナイロン繊維を含有させたことの効果が期待できず、多すぎるとモルタル表面を平滑に仕上げ難くなり、更に、乾燥単位容積質量が小さくなる傾向がある。
本発明の重量ポリマーセメントモルタルには、減水剤を実質上含まないことが好ましい。ここで、減水剤には、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤及び流動化剤が含まれ、「減水剤を実質上含まない」とは、減水剤が無添加の配合のものとの混練直後のJIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」11.フロー試験に従って測定したフロー値(以下、単に「フロー値」という。)の差が10以下であることを意味し、減水剤を含まないことがより好ましい。
また、本発明の重量ポリマーセメントモルタルの乾燥単位容積質量が2.15kg/L以上であると、下地の重量コンクリートが放射線の遮蔽用の重量コンクリートのときに、より乾燥単位容積質量が近く、放射線の遮蔽効果が不充分となり難いことから好ましい。
本発明の重量ポリマーセメントモルタルには、セメント、有機質結合材、骨材、消泡剤、有機増粘剤、膨張材及びナイロン繊維以外に、その他の混和材料の一種又は二種以上を本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。このような混和材料としては、例えば凝結遅延剤、発泡剤、起泡剤、防水材(剤)、防錆剤、収縮低減剤、セピオライトやベントナイト等の無機質増粘剤、顔料、ナイロン繊維以外の繊維、撥水剤、白華防止剤、急結剤(材)、硬化促進剤(材)、強度促進剤(材)、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム、タルク(滑石)微粉末、パイロフィライト(ロウ石)微粉末、マイカ(雲母)微粉末、セリサイト微粉末、表面硬化剤等が挙げられる。
本発明の重量ポリマーセメントモルタルは、水セメント比40〜65%となる量の水と混練して用いる。このときの水量は、水性の液状混和材料(例えば混和剤水溶液やエマルション状の有機質結合材)を添加する場合は、重量ポリマーセメントモルタルに添加する水性の液状混和材料に含まれる水の量も考慮する。水セメント比40%未満では1mm未満の厚みでコンクリート表面に塗り付け難く、65%を超えるとモルタルが剥離、剥落、垂れ又は変形が起こる虞が高い。1mm未満の厚みでコンクリート表面に塗り付け易く且つモルタルが剥離、剥落、垂れ及び変形が起こる虞が低いことから、本発明の重量ポリマーセメントモルタルは、水セメント比45〜60%となる量の水と混練して用いることが好ましく、水セメント比47〜56%となる量の水と混練して用いることが更に好ましい。
水と混練する方法は特に限定されず、例えば水に本発明の重量ポリマーセメントモルタル組成物を全量加え混練する方法、水に本発明の重量ポリマーセメントモルタル組成物を混練しながら加え更に混練する方法、本発明の重量ポリマーセメントモルタル組成物に水を全量加え混練する方法、本発明の重量ポリマーセメントモルタル組成物に水を混練しながら加え更に混練する方法、水及び本発明の重量ポリマーセメントモルタル組成物のそれぞれ一部ずつを2以上に分けて混練し、混練したものを合わせて更に混練する方法等がある。また、混練に用いる器具や混練装置も特に限定されないが、ミキサを用いることが量を多く混練できるので好ましい。用いることのできるミキサとしては連続式ミキサでもバッチ式ミキサでも良く、例えばパン型コンクリートミキサ、パグミル型コンクリートミキサ、重力式コンクリートミキサ、グラウトミキサ、ハンドミキサ、左官ミキサ等が挙げられる。
表1に示す配合割合のポリマーセメントモルタルを3000gを作製した。作製に当たり各材料をホバート社製ミキサ(型式:N−50)の容器に全量投入した後、3分間低速で混合した。尚、この時の使用材料を以下に示した。骨材については、表2に詳細に示した。また、表1に示したポリマーセメントモルタルのセメント100質量部に対する有機質結合材量(不揮発性分量換算)、水セメント比(水性の液状混和材料に含まれる水の量も考慮したもの)を、表3に示した。
供試体作成、及び練り混ぜは、全て、20℃で行い、使用材料の温度も20℃とした上で試験を行った。
<使用材料>
セメント:早強ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)(記号:C)
有機質結合材:エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルション(商品名「モルトップエマルション」)(太平洋マテリアル株式会社製、不揮発性分量;45質量%)(記号:P)
消泡剤:(商品名「アデカネートB−317F」)(ADEKA株式会社製)(記号:AF)
有機増粘剤1:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製)(記号:TH1)
有機増粘剤2:スターチエーテル(BASFジャパン社販売)(記号:TH2)
膨張材:JIS A 6202「コンクリート用膨張材 」に適合する石灰系膨張材(太平洋マテリアル株式会社製)(記号:EX)
ナイロン繊維:繊維長;5mm、繊維径;28μm(記号:FB)
骨材1:橄欖岩砕砂(比重;3.2) (記号:S1)
骨材2:橄欖岩砕砂(比重;3.2) (記号:S2)
骨材3:柘榴石砕砂(比重;4.1) (記号:S3)
骨材4:柘榴岩砕砂(比重;4.1) (記号:S4)
骨材5:柘榴岩・橄欖岩混合砕砂(比重;3.6)(記号:S5)
骨材6:橄欖岩砕砂(比重;3.2) (記号:S6)
骨材7:柘榴岩砕砂(比重;4.1) (記号:S7)
骨材8:柘榴岩砕砂(比重;4.1) (記号:S8)
骨材9:珪砂(比重;2.6)(記号:S9)
骨材10:鉄鋼石(比重;5.2)(記号:S10)
水:水道水 (記号:W)
作製したポリマーセメントモルタルの品質試験として、以下に示す通り、コンシステンシー試験、塗布試験、乾燥単位容積質量試験及び付着強さ試験を行い、各ポリマーセメントモルタルの評価を行った。その結果を表4に示した。
<品質試験方法>
・コンシステンシー試験
JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」11.フロー試験に従って、練り混ぜ直後のフロー値を測定した。
・塗布試験
重量コンクリートの数mm程度の段差を模した重量コンクリート製試験板(60×40×6cm、段差;5mm、凹部の幅;5cm、凹部の長さ;40cm、凹部の断面形状;直角三角形)を作製した。この試験板を垂直の壁に固定した上で、作製したポリマーセメントモルタルを、表面が平滑になるように金鏝で塗り付けた。このとき、試験板のモルタル塗布面(60×40cm)の凹部以外の部分は、モルタルの厚みが2mm以下となるようにした。このポリマーセメントモルタルを塗り付け段差を補修した試験板を、室温20湿度60%という条件で28日間養生した。図1に重量コンクリート製試験板の模式的な断面図を示した。また、図2にポリマーセメントモルタルを塗り付け段差を補修した重量コンクリート製試験板の模式的な断面図を示した。
塗布試験の評価は以下の通りとした。
[段差補修性]
○:5mmの段差補修が行えた。
×:5mmの段差補修が行えなかった。
[薄塗り性]
○:1mm未満の厚みで塗り付けることができた。
×:1mm未満の厚みで塗り付けることができなかった。
[仕上げ性]
○:表面を平滑に仕上げることができた上、垂れ、ひび割れ、ドライアウト、剥離及び浮きの何れも生じなかった。
×:表面を平滑に仕上げることができない、或いは、垂れ、ひび割れ、ドライアウト、剥離又は浮きの何れかが生じた。
・乾燥単位容積質量試験
JASS 5N T−602「コンクリートの乾燥単位容積質量促進試験方法」に従って、養生材齢28日の乾燥単位容積質量(乾燥単位容積重量)を求めた。
○:2.15kg/L以上(即ち、2.15t/m3以上)
×:2.15kg/L未満(即ち、2.15t/m3未満)
・付着強さ試験
JIS A6916「建築用下地調整塗材」7.13付着強さ試験に従って行った。
○:1.0N/mm2以上
×:1.0N/mm2未満
本発明の実施例に当たる配合No.1〜5のポリマーセメントモルタルは、何れも、塗布試験において段差補修性、薄塗り性及び仕上げ性の何れにおいても優れた性能を示し、乾燥単位容積質量も2.15kg/L以上であり、更に、付着強さも1.0N/mm2以上あり、総合評価が「○」(合格)であった。
比較例に当たる配合No.6〜14のポリマーセメントモルタルは、何れかの項目で「×」(不良)であったため、総合評価も「×」(不合格)であった。
1 重量コンクリート製試験板
2 段差
3 凹部
4 モルタルの厚み
5 ポリマーセメントモルタル
6 凹部の幅

Claims (6)

  1. (A)セメント100質量部に対して、
    (B)粒子径0.6mmを超える粒子の含有率が5質量%以下、粒子径0.15〜0.3mmの粒子の含有率が40〜60質量%であり、かつ比重3.0〜4.5である骨材を180〜400質量部、
    (C)酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂及び合成ゴムから選ばれる1種又は2種以上の有機質結合材を3〜25質量部、
    (D)消泡剤を0.3〜7質量部、及び
    (E)有機増粘剤を0.05〜0.5質量部
    を含有する重量ポリマーセメントモルタル。
  2. 前記(B)骨材における粒子径0.15mm未満の粒子の含有率が20〜40質量%である請求項1記載の重量ポリマーセメントモルタル。
  3. 更に、セメント100質量部に対して、
    (F)膨張材を1〜7質量部、
    及び/又は
    (G)ナイロン繊維を0.2〜0.5質量部
    を含有する請求項1又は2記載の重量ポリマーセメントモルタル。
  4. 乾燥単位容積質量が2.15kg/L以上である請求項1〜3のいずれかに記載の重量ポリマーセメントモルタル。
  5. 前記(B)骨材が、粒子径0.3mmを超える粒子の含有率が30質量%以下、粒子径0.6mmを超える粒子の含有率が5質量%以下、粒子径0.15〜0.3mmの粒子の含有率が40〜60質量%、粒子径0.15mm未満の粒子の含有率が20〜40質量%であり、かつ比重3.0〜4.5の骨材である請求項1〜4のいずれかに記載の重量ポリマーセメントモルタル。
  6. 成分(C)が、エチレン・酢酸ビニル共重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の重量ポリマーセメントモルタル。
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