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JP5886500B2 - 内燃機関の燃料噴射特性学習装置 - Google Patents
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JP5886500B2 - 内燃機関の燃料噴射特性学習装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧力センサにより検出される燃料圧力に基づいて燃料噴射弁の作動特性を学習する内燃機関の燃料噴射特性学習装置に関するものである。
内燃機関には、昇圧された状態の燃料が供給される供給通路や同供給通路に接続された燃料噴射弁などにより構成される燃料供給系が取り付けられている。近年、そうした燃料供給系の内部の燃料圧力を検出するための圧力センサを設けるとともに、同圧力センサにより検出される燃料圧力に基づいて燃料噴射弁の作動特性を学習する装置が提案されている(特許文献1参照)。
燃料供給系内の燃料圧力は、燃料噴射の実行に際して、燃料噴射弁の開弁開始に伴い一旦低下するとともにその後の燃料噴射弁の閉弁に伴い上昇するといったように変動する。特許文献1に記載の装置では、そうした燃料供給系内部の燃料圧力の変動態様をもとに燃料噴射弁の作動特性が推定されて学習される。具体的には、燃料噴射弁に開弁信号が出力されてから同燃料噴射弁からの燃料噴射が実際に開始されるまでの時間(開弁遅れ時間)、燃料噴射率の上昇速度、燃料噴射率の最大値、燃料噴射弁に閉弁信号が入力されてから実際に閉弁が開始されるまでの時間(閉弁おくれ時間)、並びに燃料噴射率の低下速度といった複数の特性パラメータが学習される。
特開2011−190725号公報
上記装置では、燃料噴射弁の開閉に伴う圧力センサの検出値の変動態様が、燃料供給系の構成部品の経時変化(例えば燃料噴射弁の噴射孔へのデポジットの付着)に伴い長期間にわたって徐々に変化することに加えて、検出信号に重畳されるノイズや燃料の性状(温度、性質)などといった種々の因子の影響を受けて短期的にも変化する。
そうした検出値の変動態様の短期的な変化に起因する学習値の不要な変化を抑えるために、上記特性パラメータについての過去値および最新値に重み付けをした上で平均化する処理、いわゆる加重平均処理を実行して各特性パラメータの学習値を算出することが考えられる。
ただし、上述した複数の特性パラメータに対する上記因子の影響は必ずしも同一ではないため、仮に各特性パラメータの学習に際して同一態様で加重平均した値を学習値として算出するようにしたとしても、全ての特性パラメータについて実際の燃料噴射弁の作動特性に見合う値を学習値として適正に学習することができない可能性がある。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料供給系内の燃料圧力に基づく燃料噴射弁の作動特性の学習を精度良く行うことのできる内燃機関の燃料噴射特性学習装置を提供することにある。
上記課題を解決するための車載内燃機関の冷却装置は、燃料噴射弁を有する燃料供給系の内部の燃料圧力を検出する圧力センサを有し、同圧力センサにより検出される燃料圧力に基づいて燃料噴射率の時間波形である検出時間波形を形成するとともに前記燃料噴射弁の作動特性としての複数の特性パラメータを学習する学習処理を実行する内燃機関の燃料噴射特性学習装置において、当該装置は、前期学習処理において、目標噴射量と目標噴射時期と目標燃料圧力とを含む複数の算出パラメータに基づいて燃料噴射率の時間波形である基本時間波形を算出し、前記複数の特性パラメータそれぞれについて各別に算出する加重平均値を学習値として各別に記憶するものであり、前記加重平均値は、前記基本時間波形と前記検出時間波形とを比較することで、前記複数の算出パラメータの各値と、当該値に対応する前記複数の特性パラメータの各値と、の差を各別に算出するとともに、当該算出した各差と、各別に記憶されている学習値と、について加重平均の重み付けの係数を用いて平均化することで算出され、前記加重平均の重み付けの係数は、前記複数の特性パラメータ間において異なる値設定される。
上記装置によれば、前述した圧力センサの検出値の変動態様を短期的に変化させる因子の影響が複数の特性パラメータ間において異なる場合に、それら特性パラメータについての加重平均値の算出における重み付けの係数として各特性パラメータに適した値を個別に設定することができる。そのため、各特性パラメータについての加重平均値として上記因子の影響による不要な変化が抑えられた値をそれぞれ算出することができ、同値を学習値として学習することができる。したがって、燃料供給系内の燃料圧力に基づく燃料噴射弁の作動特性の学習を精度良く行うことができる。
上記装置において、前記複数の特性パラメータは、前記燃料噴射弁の開弁遅れ時間と、前記燃料噴射弁の開弁に伴う燃料圧力の変動期間において前記圧力センサにより検出される燃料圧力に基づき学習される所定パラメータとを含み、前記装置は、前記開弁遅れ時間についての加重平均値の算出における重み付けの係数を前記所定パラメータについての加重平均値の算出における重み付けの係数より大きい値に設定するものであり、前記重み付けの係数の値が大きいほど、算出される加重平均値は前記記憶されている学習値に近い値として算出される、ように構成することができる。
燃料の性状(温度や性質)が異なる場合には、燃料の粘度が異なるため、同一態様で燃料噴射弁を開弁駆動した場合であっても、その開閉時における燃料圧力の変動態様が異なったものとなる。
上記装置において、燃料噴射弁に開弁信号が出力されてから同燃料噴射弁からの燃料噴射が実際に開始されるまでの時間(上記開弁遅れ時間)は、燃料噴射の開始に伴う圧力低下が始まるタイミング以前の時間であるため、燃料性状の相異に起因する燃料圧力の変動態様のばらつきによる影響を受け難い。これに対して、開弁遅れ時間以外の特性パラメータであり、且つ燃料噴射弁の開弁に伴う燃料圧力の変動期間において圧力センサにより検出される燃料圧力に基づき学習される所定パラメータは、燃料圧力の変動期間において同燃料圧力に基づき算出されるために、燃料性状の相異に起因する燃料圧力の変動態様のばらつきによる影響を受け易い。こうしたことから、燃料性状の相異に起因する燃料圧力の変動態様のばらつきによる影響に着目した場合には、上記開弁遅れ時間は上記所定パラメータと比較して短期的な変化を招き難い特性パラメータであると云える。
上記装置によれば、短期的な変化を招き難い開弁遅れ時間についての加重平均値の算出に際してその重み付けの係数として大きい値が設定されるため、同開弁遅れ時間の学習値として比較的長い期間にわたって徐々に変化する値を学習することができる。しかも、短期的な変化を招き易い所定パラメータについての加重平均値を算出する際にはその重み付けの係数として小さい値が設定されるために、所定パラメータの学習値として、比較的短い期間で変化する値、すなわち燃料性状の変化に早期に追従させることの可能な値を学習することができる。
上記装置では、前記所定パラメータとして、燃料噴射率の上昇速度、前記燃料噴射率の低下速度、前記燃料噴射率の最大値、および前記燃料噴射弁の閉弁遅れ時間を採用することができる。
上記装置においては、前記学習処理に用いる燃料圧力の前記圧力センサによる検出時において前記燃料噴射弁から噴射されていた燃料の量に応じて前記重み付けの係数を可変設定することが望ましい。
前記圧力センサの検出値の変動態様を短期的に変化させる因子の影響は、燃料噴射弁から噴射される燃料の量によっても異なる。上記装置によれば、そうした上記因子の影響の相異に応じた適正な値を各特性パラメータについての加重平均値として算出することができる。
上記装置において、前記圧力センサを前記燃料噴射弁に一体に設けられるものとしてもよい。
上記装置によれば、燃料噴射弁から離れた位置において燃料圧力が検出される装置と比較して燃料噴射弁の噴射孔に近い部位の燃料圧力を検出することができるため、燃料噴射弁の開弁に伴う同燃料噴射弁の内部の燃料圧力の低下を精度良く検出することができる。したがって、その燃料圧力の変動態様に基づいて燃料噴射弁の作動特性としての複数の特性パラメータを精度良く算出して学習することができる。
上記装置において、前記内燃機関を複数の気筒を有するものとし、その前記燃料供給系を昇圧された状態の燃料を蓄える蓄圧容器を有するものとし、前記燃料噴射弁を前記内燃機関の気筒毎に設けられて前記蓄圧容器に各別に接続されるものとし、前記圧力センサを、前記内燃機関の気筒毎に設けられて、前記燃料噴射弁に燃料を供給する燃料供給通路内における前記蓄圧容器と前記燃料噴射弁の噴射孔との間の部位の燃料圧力を検出するものとしてもよい。
上記装置によれば、燃料噴射弁の作動特性が気筒毎に異なる多気筒の内燃機関において、気筒毎に設けられた専用の圧力センサにより検出される燃料圧力に基づいて各燃料噴射弁の作動特性をそれぞれ精度良く学習することができる。
内燃機関の燃料噴射特性学習装置の一実施形態の概略構成を示す略図。 燃料噴射弁の断面構造を示す断面図。 (a)および(b)駆動パルスと燃料噴射率との関係を燃料噴射弁の各特性パラメータとともに示すタイミングチャート。 (a)〜(c)燃料圧力の時間波形と燃料噴射率の検出時間波形との関係を示すタイミングチャート。 (a)および(b)燃料噴射率の検出時間波形と基本時間波形との関係を示すタイミングチャート。 燃料噴射弁の開閉時における燃料圧力の変動態様の一例を示すタイミングチャート。 図6に示す直線と動作圧力との交点を拡大して示すタイミングチャート。 学習処理の実行手順を示すフローチャート。
以下、内燃機関の燃料噴射特性学習装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関10の気筒11には吸気通路12が接続されている。内燃機関10の気筒11内には吸気通路12を介して空気が吸入される。なお、この内燃機関10としては複数(本実施形態では4つ[♯1,♯2,♯3,♯4])の気筒11を有するディーゼル機関が採用されている。内燃機関10には、気筒11(♯1〜♯4)毎に、同気筒11内に燃料を直接噴射する直噴タイプの燃料噴射弁20が取り付けられている。この燃料噴射弁20の開弁駆動によって噴射された燃料は内燃機関10の気筒11内において圧縮加熱された吸入空気に触れて着火および燃焼する。そして内燃機関10では、気筒11内における燃料の燃焼に伴い発生するエネルギによってピストン13が押し下げられてクランクシャフト14が強制回転するようになる。内燃機関10の気筒11において燃焼した燃焼ガスは排気として内燃機関10の排気通路15に排出される。
各燃料噴射弁20は分岐通路31aを介してコモンレール34に各別に接続されている。コモンレール34は供給通路31bを介して燃料タンク32に接続されている。この供給通路31bには、燃料を圧送する燃料ポンプ33が設けられている。本実施形態では、燃料ポンプ33による圧送によって昇圧された燃料が蓄圧容器としてのコモンレール34に蓄えられるとともに各燃料噴射弁20の内部に供給される。なお本実施形態では、各燃料噴射弁20、分岐通路31a、供給通路31b、燃料ポンプ33、およびコモンレール34が燃料供給系として機能する。
また、各燃料噴射弁20にはリターン通路35が接続されている。リターン通路35はそれぞれ燃料タンク32に接続されている。このリターン通路35を介して燃料噴射弁20の内部の燃料の一部が燃料タンク32に戻される。
以下、燃料噴射弁20の内部構造について説明する。
図2に示すように、燃料噴射弁20のハウジング21の内部にはニードル弁22が設けられている。このニードル弁22はハウジング21内において往復移動(同図の上下方向に移動)することの可能な状態で設けられている。ハウジング21の内部には上記ニードル弁22を噴射孔23側(同図の下方側)に常時付勢するスプリング24が設けられている。またハウジング21の内部には、上記ニードル弁22を間に挟んで一方側(同図の下方側)の位置にノズル室25が形成されるとともに、他方側(同図の上方側)の位置に圧力室26が形成されている。
ノズル室25には、その内部とハウジング21の外部とを連通する噴射孔23が形成されるとともに、導入通路27を介して上記分岐通路31a(コモンレール34)から燃料が供給されている。圧力室26には連通路28を介して上記ノズル室25および分岐通路31a(コモンレール34)が接続されている。また圧力室26は排出路30を介してリターン通路35(燃料タンク32)に接続されている。
上記燃料噴射弁20としては電気駆動式のものが採用されている。詳しくは、燃料噴射弁20のハウジング21の内部に駆動パルス(開弁信号または閉弁信号)の入力によって伸縮する圧電素子(例えばピエゾ素子)が積層された圧電アクチュエータ29が設けられている。この圧電アクチュエータ29には弁体29aが取り付けられている。この弁体29aは圧力室26の内部に設けられている。そして、圧電アクチュエータ29の作動による弁体29aの移動を通じて、連通路28(ノズル室25)と排出路30(リターン通路35)とのうちの一方が選択的に圧力室26に連通されるようになっている。
この燃料噴射弁20では、圧電アクチュエータ29に閉弁信号が入力されると、圧電アクチュエータ29が収縮して弁体29aが移動することによって、連通路28と圧力室26とが連通された状態になるとともに、リターン通路35と圧力室26との連通が遮断された状態になる。これにより、圧力室26内の燃料のリターン通路35(燃料タンク32)への排出が禁止された状態でノズル室25と圧力室26とが連通されるようになる。その結果、ノズル室25と圧力室26との圧力差がごく小さくなって、ニードル弁22がスプリング24の付勢力によって噴射孔23を塞ぐ位置に移動するために、このとき燃料噴射弁20は燃料が噴射されない状態(閉弁状態)になる。
一方、圧電アクチュエータ29に開弁信号が入力されると、圧電アクチュエータ29が伸長して弁体29aが移動することによって、連通路28と圧力室26との連通が遮断された状態になるとともに、リターン通路35と圧力室26とが連通された状態になる。これにより、ノズル室25から圧力室26への燃料の流出が禁止された状態で圧力室26内の燃料の一部がリターン通路35を介して燃料タンク32に戻されるようになる。その結果、圧力室26内の燃料の圧力が低下して同圧力室26とノズル室25との圧力差が大きくなって、同圧力差によってニードル弁22がスプリング24の付勢力に抗して移動して噴射孔23から離れるために、このとき燃料噴射弁20は燃料が噴射される状態(開弁状態)になる。
燃料噴射弁20には、上記導入通路27の内部の燃料圧力PQを検出するための圧力センサ51が一体に取り付けられている。そのため、例えばコモンレール34(図1参照)内の燃料圧力などの燃料噴射弁20から離れた位置の燃料圧力が検出される装置と比較して、燃料噴射弁20の噴射孔23に近い部位の燃料圧力を検出することができ、燃料噴射弁20の開弁に伴う同燃料噴射弁20の内部の燃料圧力の変化を精度良く検出することができる。この圧力センサ51は、燃料圧力に応じた信号を出力するセンサ本体51Aと同センサ本体51Aの検出値を記憶するメモリ51Bとにより構成されて、各燃料噴射弁20に一つずつ、すなわち内燃機関10の気筒11(♯1〜♯4)毎に設けられている。
図1に示すように、内燃機関10には、その周辺機器として、運転状態を検出するための各種センサが設けられている。それらセンサとしては、上記圧力センサ51の他、例えば吸気通路12を通過する空気の量(通路空気量GA)を検出するための吸気量センサ52や、クランクシャフト14の回転速度(機関回転速度NE)を検出するためのクランクセンサ53が設けられている。その他、アクセル操作部材(例えばアクセルペダル)の操作量(アクセル操作量ACC)を検出するためのアクセルセンサ54なども設けられている。
また内燃機関10の周辺機器としては、演算処理装置を備えて構成された電子制御ユニット40なども設けられている。この電子制御ユニット40は各種センサの出力信号を取り込むとともにそれら出力信号に基づき各種の演算を行い、その演算結果をもとに燃料噴射弁20の作動制御(噴射量制御)や燃料ポンプ33の作動制御(噴射圧制御)などの内燃機関10の運転にかかる各種制御を実行する。
本実施形態では噴射圧制御が次のように実行される。すなわち先ず、通路空気量GAおよび機関回転速度NEに基づいてコモンレール34内の燃料圧力についての制御目標値(目標燃料圧力)が算出されるとともに、実際の燃料圧力が目標燃料圧力になるように燃料ポンプ33の作動量(燃料圧送量または燃料戻し量)が調節される。こうした燃料ポンプ33の作動量の調節を通じて、コモンレール34内の燃料圧力、換言すれば、燃料噴射弁20の燃料噴射圧が機関運転状態に応じた圧力に調節されるようになる。
本実施形態では噴射量制御が次のように実行される。すなわち先ず、通路空気量GAや機関回転速度NE、アクセル操作量ACCなどといった内燃機関10の運転状態と相関のある値(いわゆる機関パラメータ)に基づいて、燃料噴射量の制御目標値(目標噴射量)や、燃料噴射時期の制御目標値(目標噴射時期)が算出される。本実施形態では、上記機関パラメータにより定まる機関運転状態と同運転状態に適した各制御目標値との関係が実験やシミュレーションの結果に基づき予め求められて電子制御ユニット40にそれぞれ記憶されている。そして、電子制御ユニット40はそのときどきの機関パラメータに基づいて上記関係から各種の制御目標値を各別に設定する。
そして、燃料噴射弁20の開弁期間についての制御目標値(目標噴射期間TAU)が、上記目標噴射量および燃料圧力PQに基づきモデル式から設定される。本実施形態では、コモンレール34、各分岐通路31a、各燃料噴射弁20等からなる燃料供給系をモデル化した物理モデルが構築されており、同物理モデルを通じて上記目標噴射期間TAUが算出される。詳しくは、目標噴射量、燃料圧力PQ、後述する学習値などを変数とするモデル式が定められて電子制御ユニット40に予め記憶されており、同モデル式を通じて目標噴射期間TAUが算出される。
そして、目標噴射時期および目標噴射期間TAUに応じたかたちで電子制御ユニット40から駆動パルスが出力され、この駆動パルスの入力に基づき各燃料噴射弁20が各別に開弁駆動される。これにより、そのときどきの機関運転状態に見合う量の燃料が各燃料噴射弁20から噴射されて内燃機関10の各気筒11内に供給されるようになるため、機関運転状態に見合う回転トルクがクランクシャフト14に付与されるようになる。
本実施形態では、圧力センサ51により検出される燃料圧力PQに基づいて燃料噴射弁20の作動特性としての複数の特性パラメータを学習する学習処理が実行される。
図3に、学習処理により学習される特性パラメータの一例を示す。
図3に示すように、本実施形態では上記特性パラメータとして、開弁遅れ時間τd、噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、閉弁遅れ時間τe、噴射率低下速度Qdnを採用している。詳しくは、開弁遅れ時間τdは電子制御ユニット40から燃料噴射弁20に開弁信号(図3(a))が出力されてから同燃料噴射弁20からの燃料噴射が実際に開始されるまでの時間であり、噴射率上昇速度Qupは燃料噴射弁20の開弁動作が開始された後の燃料噴射率(図3(b))の上昇速度である。また、最大噴射率Qmaxは燃料噴射率の最大値であり、閉弁遅れ時間τeは電子制御ユニット40から燃料噴射弁20に閉弁信号が出力されてから同燃料噴射弁20の閉弁動作(詳しくはニードル弁22の閉弁側への移動)が開始されるまでの時間である。さらに、噴射率低下速度Qdnは、燃料噴射弁20の閉弁動作が開始された後の燃料噴射率の下降速度である。
学習処理では先ず、圧力センサ51により検出される燃料圧力PQに基づいて実際の燃料噴射率の時間波形(検出時間波形)が形成される。
燃料噴射弁20の内部(詳しくは、ノズル室25)の燃料圧力は、同燃料噴射弁20が開弁駆動されるとリフト量の増加に伴って低下し、その後において閉弁駆動されるとリフト量の減少に伴って上昇するようになる。本実施形態では、そうした燃料噴射弁20内部の燃料圧力(詳しくは、燃料圧力PQ)の推移をもとに、上記開弁遅れ時間τd、噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、閉弁遅れ時間τe、および噴射率低下速度Qdnが特定される。そして、それら特定した値によって実際の燃料噴射率の時間波形(検出時間波形)が形成される。なお、燃料圧力PQの時間波形としては、ローパスフィルタを用いて平滑化したり、無噴射気筒に対応する圧力センサ51により検出された燃料圧力PQによる補正を行ったりした値をもとに形成した波形が用いられる。
図4に、燃料圧力PQの時間波形と燃料噴射率の検出時間波形との関係を示す。
図4に示すように、詳しくは先ず、燃料噴射弁20の開弁動作が開始される直前の所定期間T1における燃料圧力PQ(図4(c))の平均値が算出されるとともに、同平均値が基準圧力Pbsとして記憶される。この基準圧力Pbsは、閉弁時における燃料噴射弁20内部の燃料圧力に相当する圧力として用いられる。
次に、この基準圧力Pbsから所定圧力P1を減算した値が動作圧力Pac(=Pbse−P1)として算出される。この所定圧力P1は、燃料噴射弁20の開弁駆動あるいは閉弁駆動に際してニードル弁22が閉弁位置にある状態であるにも関わらず燃料圧力PQが変化する分、すなわちニードル弁22の移動に寄与しない燃料圧力PQの変化分に相当する圧力である。
その後、燃料噴射の実行開始直後に燃料圧力PQが降下する期間において、同燃料圧力PQとの差が最も小さくなる直線L1(図4では、直交座標の縦軸を燃料噴射率とし横軸を時間とする一次関数)が最小二乗法を用いて求められるとともに、この直線L1と上記動作圧力Pacとの交点Aが算出される。そして、この交点Aを燃料圧力PQの検出遅れ分だけ過去の時期に戻した点AAに対応する時期が、燃料噴射弁20による燃料噴射が開始された時期(噴射開始時期Tos、図4(b))として特定される。なお上記検出遅れ分は、燃料噴射弁20のノズル室25(図2参照)の圧力変化タイミングに対する燃料圧力PQの変化タイミングの遅れに相当する期間であり、ノズル室25と圧力センサ51との距離などに起因して生じる遅れ分である。本実施形態では、電子制御ユニット40から燃料噴射弁20に開弁信号(図4(a))が出力された時期から上記噴射開始時期Tosまでの時間が開弁遅れ時間τdとして特定される。
また、燃料噴射の実行開始に伴い燃料圧力PQが一旦降下した後に上昇する上昇期間において、同燃料圧力PQとの差が最も小さくなる直線L2(図4では、直交座標の縦軸を燃料噴射率(図4(b))とし横軸を時間とする一次関数)が最小二乗法を用いて求められるとともに、この直線L2と上記動作圧力Pacとの交点Bが算出される。そして、この交点Bを検出遅れ分だけ過去の時期に戻した点BBに対応する時期が、燃料噴射弁20による燃料噴射が停止された時期(噴射停止時期Tce)として特定される。
さらに、直線L1と直線L2との交点Cが算出されるとともに同交点Cにおける燃料圧力PQと動作圧力Pacとの差(仮想圧力低下分ΔP[=Pac−PQ])が求められる。また、この仮想圧力低下分ΔPに目標噴射量および目標燃料圧力に基づき設定されるゲインG1を乗算した値が仮想最大燃料噴射率VRt(=ΔP×G1)として算出される。さらに、この仮想最大燃料噴射率VRtに目標噴射量および目標燃料圧力に基づき設定されるゲインG2を乗算した値が最大噴射率Qmax(=VRt×G2)として算出される。なお本実施形態では、各ゲインG1,G2の設定に用いる目標噴射量および目標燃料圧力として、検出時間波形の形成に用いる燃料圧力PQの圧力センサ51による検出時において設定されていた値が採用される。
その後、上記交点Cを検出遅れ分だけ過去の時期に戻した時期CCが算出されるとともに、同時期CCにおいて仮想最大燃料噴射率VRtになる点Dが特定される。
そして、この点Dに対応する時期が、燃料噴射弁20の閉弁動作が開始された時期(閉弁開始時期Tcs)として特定される。本実施形態では、電子制御ユニット40から燃料噴射弁20に閉弁信号が出力された時期から上記閉弁開始時期Tcsまでの時間が閉弁遅れ時間τeとして特定される。
また、上記点Dおよび噴射開始時期Tos(詳しくは、同時期Tosにおいて燃料噴射率が「0」になる点)を繋ぐ直線L3が求められるとともに、同直線L3の傾き(具体的には、単位時間当たりの燃料噴射率の増加量)が噴射率上昇速度Qupとして特定される。
さらに、点Dおよび噴射停止時期Tce(詳しくは、同時期Tceにおいて燃料噴射率が「0」になる点)を繋ぐ直線L4が求められるとともに、同直線L4の傾き(具体的には、単位時間当たりの燃料噴射率の低下量)が噴射率低下速度Qdnとして特定される。
本実施形態では、このようにして特定された開弁遅れ時間τd、噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、噴射率低下速度Qdn、および閉弁遅れ時間τeによって形成される台形形状の時間波形が燃料噴射率についての検出時間波形として用いられる。
一方、本実施形態の学習処理では、目標噴射量、目標噴射時期、目標燃料圧力などといった各種算出パラメータに基づいて燃料噴射率についての基本時間波形が算出される。本実施形態では、それら算出パラメータにより定まる機関運転領域と同運転領域に適した基本時間波形との関係が各種の実験やシミュレーションの結果に基づき予め求められて電子制御ユニット40に記憶されている。そして、電子制御ユニット40は各種算出パラメータに基づいて上記関係から基本時間波形を算出する。
図5に、上記基本時間波形の一例を示す。同図5(a)および(b)に示すように、基本時間波形としては、開弁遅れ時間τdb、噴射率上昇速度Qupb、最大噴射率Qmaxb、閉弁遅れ時間τeb、および噴射率低下速度Qdnbにより規定される台形の波形が設定される。
そして、本実施形態の学習処理では、検出時間波形と基本時間波形との関係に基づいて燃料噴射弁20の複数の特性パラメータについての学習値が学習される。すなわち先ず、内燃機関10の運転中において検出時間波形と基本時間波形とが比較されるとともにそれら波形の各特性パラメータの差が逐次算出される。各特性パラメータの差としては、具体的には、開弁遅れ時間の差Δτd(=τdb−τd)、噴射率上昇速度の差ΔQup(=Qupb−Qup)、最大噴射率の差ΔQmax(=Qmaxb−Qmax)、噴射率低下速度の差ΔQdn(=Qdnb−Qdn)、および閉弁遅れ時間の差Δτe(=τeb−τe)が算出される。そして、これら差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値が算出されるとともに、その加重平均値が燃料噴射弁20の作動特性のばらつきを補償するための学習値Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeとして電子制御ユニット40に記憶される。
本実施形態では、これら学習値Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeがそれぞれ、前述したモデル式に基づいて目標噴射期間TAUを算出するための算出パラメータとして用いられる。このようにして目標噴射期間TAUを算出することにより、燃料噴射弁20の動作特性ばらつきの影響分が補償されるようになる。なお本実施形態では、燃料圧力PQに基づいて学習値を算出する処理が、内燃機関10の気筒11(♯1〜♯4)毎にそれぞれ対応する圧力センサ51の出力信号に基づき実行される。また本実施形態の装置では、燃料圧力(詳しくは、目標燃料圧力)と燃料噴射量(詳しくは、目標噴射量)とにより区画される複数の学習領域が定められており、それら領域毎に学習値が学習されて記憶される。
ここで、燃料噴射弁20の開閉に伴う圧力センサ51の検出値の変動態様は、燃料供給系の構成部品の経時変化(燃料噴射弁20の噴射孔23へのデポジットの付着など)に伴い長期間にわたって徐々に変化することに加えて、検出信号に重畳されるノイズや燃料の性状(温度、性質)などといった種々の因子の影響を受けて短期的にも変化する。
本実施形態では、そうした検出値の変動態様の短期的な変化に起因する各学習値Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeの不要な変化を抑えるために、複数の特性パラメータの差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeそれぞれの加重平均値が算出されるとともにそれら加重平均値が学習値として記憶される。
ところで、複数の特性パラメータに対する上記因子の影響は必ずしも同一ではないため、仮に各特性パラメータの学習に際して同一態様で加重平均した値を学習値として算出するようにしたとしても、全ての特性パラメータについて実際の燃料噴射弁20の作動特性に見合う値を学習値として適正に学習することができない可能性がある。
例えば燃料の性状(温度や性質)が異なる場合には、燃料の粘度が異なるため、同一態様で燃料噴射弁20を開弁駆動した場合であっても、その開閉時における燃料圧力PQの変動態様が異なったものとなる。
複数の特性パラメータのうちの開弁遅れ時間τdは、燃料噴射弁20からの燃料噴射の開始に伴う燃料圧力PQの低下が始まるタイミング以前の時間であるため、燃料性状の相異に起因する燃料圧力PQの変動態様のばらつきによる影響を受け難い。これに対して、複数の特性パラメータのうちの開弁遅れ時間τd(図4)以外の所定パラメータ(噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、噴射率低下速度Qdn、閉弁遅れ時間τe)は、燃料噴射弁20の開弁に伴う燃料圧力の変動期間において圧力センサ51により検出される燃料圧力PQに基づき特定される。そのため、燃料性状の相異に起因する燃料圧力PQの変動態様のばらつきによる影響を受け易い。
こうしたことから、燃料性状の相異に起因する燃料圧力PQの変動態様のばらつきによる影響に着目した場合には、上記開弁遅れ時間τdは他の特性パラメータと比較して短期的な変化を招き難い特性パラメータであると云える。
しかしながら、発明者等が各種の実験やシミュレーションを行った結果、本実施形態の装置では上記開弁遅れ時間τdが変化し易いことが分かった。これは以下のようなことが原因になっていると考えられる。
図6に、燃料噴射弁20の開閉時における燃料圧力の変動態様の一例を示す。
図6中に線M1〜M3で示すように、時刻t11において燃料噴射弁20が開弁すると燃料圧力PQは、直後においては比較的緩慢な速度で低下し、その後において徐々に速度を増して低下するようになる。上述したように本実施形態では、学習処理における検出時間波形の算出に際して、燃料噴射弁20の開弁直後に低下する燃料圧力PQをもとに最小二乗法を用いて直線(図6中における直線L5〜L7)が求められるとともに、この直線と動作圧力Pac(図4参照)との交点をもとに燃料噴射の開始時期(前記噴射開始時期Tos)が特定される。
図7に、燃料圧力の低下速度が異なる場合における直線(図6中に示す直線L5〜L6)と動作圧力Pacとの交点の具体例を示す。図7に示すように、同一のタイミング(時刻t11)で燃料噴射弁20が開弁される場合であっても、燃料性状や燃料噴射量の相異などに起因して燃料圧力PQの低下速度が異なる場合には、直線L5〜L7と動作圧力Pacとの交点(A1,A2,A3)が異なる時期になるため、同時期をもとに特定される噴射開始時期Tosも異なる時期になる。
本実施形態の装置は、開弁遅れ時間τdが燃料性状の相異に起因する燃料圧力PQの変動態様のばらつきによる影響を受け難い値であるのにも関わらず、燃料性状の変化に伴って燃料圧力PQの低下速度が変化した場合にその変化に起因して開弁遅れ時間τdの変化を招く可能性の高い制御構造になっている。
こうした実情をふまえて本実施形態では、複数の特性パラメータそれぞれについての加重平均値(具体的には、各特性パラメータの差の加重平均値)を算出する際に、その重み付けの係数として複数の特性パラメータ毎に異なる値が設定されている。具体的には、開弁遅れ時間τdの差Δτdについての係数K1、噴射率上昇速度Qupの差ΔQupについての係数K2、最大噴射率Qmaxの差ΔQmaxについての係数K3、噴射率低下速度Qdnの差ΔQdnについての係数K4、閉弁遅れ時間τeの差Δτeについての係数K5が設定される。そして、開弁遅れ時間τdの差Δτdの加重平均値の算出における重み付けの係数K1が、それ以外の特性パラメータの差ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値の算出における重み付けの係数K2〜K5より大きい値(K1>K2、且つK1>K3、且つK1>K4、且つK1>K5)に設定される。
以下、このようにして重み付けの係数K1〜K5を設定することによる作用について説明する。
本実施形態の装置では、上述したように短期的な変化を招き難い開弁遅れ時間τdの差Δτdの加重平均値の算出に際して、その重み付けの係数K1として大きい値が設定されるため、同開弁遅れ時間τdについての学習値Gτdとして比較的長い期間にわたって徐々に変化する値を学習することができる。
しかも、短期的な変化を招き易い所定パラメータの差ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値を算出する際にはその重み付けの係数K2〜K5として比較的小さい値が設定される。そのため、所定パラメータについての学習値GQup,GQmax,GQdn,Gτeとして、比較的短い期間で変化する値、すなわち燃料性状の変化に早期に追従させることの可能な値を学習することができる。
このように本実施形態によれば、前述した圧力センサ51の検出値の変動態様を短期的に変化させる因子の影響が複数の特性パラメータ間において異なるとはいえ、それら特性パラメータの差の加重平均値の算出における重み付けの係数K1〜K5として各特性パラメータに適した値を個別に設定することができる。そのため、各特性パラメータの差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値として上記因子の影響による不要な変化が抑えられた値をそれぞれ算出することができ、同値を学習値Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeとして学習することができる。
以下、上述した学習処理の具体的な実行手順について説明する。
図8は上記学習処理の実行手順を示している。なお同図のフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の割り込み処理として、電子制御ユニット40により実行される。
図8に示すように、この処理では先ず、圧力センサ51のメモリ51Bに記憶されている燃料圧力PQが読み込まれるとともに、同燃料圧力PQの変動態様に基づいて燃料噴射率の検出時間波形が形成される(ステップS10)。具体的には、開弁遅れ時間τd、噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、閉弁遅れ時間τe、および噴射率低下速度Qdnが特定される。
また、本処理の今回実行時において読み込まれた燃料圧力PQの変動の原因になった燃料噴射弁20の開弁駆動時に設定された目標噴射量、目標噴射時期、および目標燃料圧力に基づいて燃料噴射率の基本時間波形が設定される(ステップS11)。具体的には、開弁遅れ時間τdb、噴射率上昇速度Qupb、最大噴射率Qmaxb、閉弁遅れ時間τeb、および噴射率低下速度Qdnbが算出される。
そして、それら燃料噴射率の検出時間波形と基本時間波形との比較に基づいて、各特性パラメータ(τd,Qup,Qmax,τe,Qdn)の前記差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeがそれぞれ算出される(ステップS12)。
さらに、このとき読み込まれた燃料圧力PQの変動の原因になった燃料噴射弁20の開弁駆動時に設定された目標噴射量に基づいて、各差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値の算出に用いる重み付けの係数K1〜K5が算出される(ステップS13)。なお本実施形態では、各種の実験やシミュレーションの結果をもとに学習値として適正な値を算出することの可能な係数K1〜K5と目標噴射量との関係が予め求められ、同関係が電子制御ユニット40に記憶されている。ステップS13の処理では、この関係に基づいて各係数K1〜K5が算出される。
燃料性状が変化した場合において圧力センサ51の検出値の変動態様を短期的に変化させる度合いは、燃料噴射弁20から噴射される燃料の量に応じて異なる。この点をふまえて本実施形態では、検出時間波形の形成に用いる燃料圧力PQの圧力センサ51による検出時において燃料噴射弁20から噴射されていた燃料の量(詳しくは、そのときの目標噴射量)に応じて、上記係数K1〜K5が可変設定される。そのため、そうした燃料噴射量の相異に起因する燃料性状の変化による影響の相異に応じたかたちで、各特性パラメータについての加重平均値として適正な値を算出することができる。
このようにして各係数K1〜K5が算出された後、それら係数K1〜K5を用いて以下の関係式(1)〜(5)から、各差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値が各別に算出されるとともにそれら加重平均値が各学習値Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeとして記憶される(ステップS14)。なお、以下の関係式(1)〜(5)では、ステップS14の処理において各学習値を算出する際に電子制御ユニット40に記憶されている学習値をそれぞれGτd[i],GQup[i],GQmax[i],GQdn[i],Gτe[i]で示している。

Gτd=Gτd[i]+(Δτd−Gτd[i])/K1 …(1)
GQup=GQup[i]+(ΔQup−GQup[i])/K2 …(2)
GQmax
=GQmax[i]+(ΔQmax−GQmax[i])/K3 …(3)
GQdn=GQdn[i]+(ΔQdn−GQdn[i])/K4 …(4)
Gτe=Gτe[i]+(Δτe−Gτe[i])/K5 …(5)

以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)学習処理において複数の特性パラメータの差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値をそれぞれ算出するとともにそれら加重平均値を各特性パラメータについての学習値Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeとして各別に記憶するようにした。そして、加重平均値の算出における重み付けの係数K1〜K5として、複数の特性パラメータ間において異なる値を設定するようにした。そのため、各特性パラメータの差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値として前記因子の影響による不要な変化が抑えられた値をそれぞれ算出することができ、同値を学習値Gτd,GQup,GQmax,GQdn,Gτeとして学習することができる。したがって、燃料供給系内の燃料圧力に基づく燃料噴射弁20の作動特性の学習を精度良く行うことができる。
(2)開弁遅れ時間τdの差Δτdの加重平均値の算出における重み付けの係数K1を、それ以外の特性パラメータの各差ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値の算出における重み付けの係数K2〜K5より大きい値に設定した。これにより、短期的な変化を招き難い開弁遅れ時間τdの差Δτdの加重平均値の算出に際してその重み付けの係数K1として大きい値が設定されるため、同開弁遅れ時間τdの学習値Gτdとして比較的長い期間にわたって徐々に変化する値を学習することができる。しかも、短期的な変化を招き易い所定パラメータの差ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値を算出する際にはその重み付けの係数K2〜K5として比較的小さい値が設定されるため、所定パラメータの学習値GQup,GQmax,GQdn,Gτeとして、燃料性状の変化に早期に追従させることの可能な値を学習することができる。
(3)検出時間波形の形成に用いる燃料圧力PQの圧力センサ51による検出時に設定されていた目標噴射量に応じて前記係数K1〜K5を可変設定するようにした。そのため、燃料噴射量の相異に起因する燃料性状の変化による影響の相異に応じたかたちで各特性パラメータについての加重平均値として適正な値を算出することができる。
(4)燃料噴射弁20として、その導入通路27内の燃料圧力PQに応じた信号を出力する圧力センサ51が一体に取り付けられたものを採用した。そのため、例えばコモンレール34内の燃料圧力などの燃料噴射弁20から離れた位置の燃料圧力が検出される装置と比較して、燃料噴射弁20の噴射孔23に近い部位の燃料圧力を検出することができ、燃料噴射弁20の開弁に伴う同燃料噴射弁20の内部の燃料圧力の変化を精度良く検出することができる。したがって、圧力センサ51より検出される燃料圧力PQの変動態様に基づいて、燃料噴射弁20の作動特性としての複数の特性パラメータを精度良く算出して学習することができる。
(5)内燃機関10の気筒11(♯1〜♯4)毎にそれぞれ対応する圧力センサ51の出力信号に基づいて学習処理を実行するようにした。そのため、燃料噴射弁20の作動特性が気筒11毎に異なる多気筒の内燃機関10において、気筒11毎に設けられた専用の圧力センサ51により検出される燃料圧力PQに基づいて複数の特性パラメータを精度良く算出して学習することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・検出時間波形の形成に際して、最小二乗法を用いて直線L1を求めることに代えて、燃料噴射の実行開始直後において燃料圧力PQが降下する期間における同燃料圧力PQの一回微分値を算出するとともに、その一回微分値が最小になる点における燃料圧力PQの時間波形の接線を求めるようにしてもよい。
・検出時間波形の形成に際して、最小二乗法を用いて直線L2を求めることに代えて、燃料噴射の実行開始直後において燃料圧力PQが一旦降下した後に上昇する期間における同燃料圧力PQの一回微分値を算出するとともに、その一回微分値が最大になる点における燃料圧力PQの時間波形の接線を求めるようにしてもよい。
・燃料噴射弁20の複数の特性パラメータの差Δτd,ΔQup,ΔQmax,ΔQdn,Δτeの加重平均値を算出するとともに同値を学習値として記憶することに代えて、複数の特性パラメータ(τd,Qup,Qmax,Qdn,τe)そのものの加重平均値を算出するとともに同値を学習値として記憶するようにしてもよい。複数の特性パラメータについての加重平均値を算出するとともに同値を学習値として記憶する装置であれば、上記実施形態の装置はその構成を適宜変更した上で適用することができる。
・係数K1〜K5の算出に用いる算出パラメータとして、燃料圧力(具体的には、基準圧力Pbsや目標燃料圧力など)を用いるようにしてもよい。燃料性状が変化した場合において圧力センサ51の検出値の変動態様を短期的に変化させる度合いは、燃料噴射弁20から噴射される燃料の圧力に応じて異なる。上記装置によれば、圧力センサ51による燃料圧力PQの検出時における基準圧力Pbsや目標燃料圧力に応じて上記係数K1〜K5が可変設定されるために、そうした燃料圧力の相異に起因する燃料性状の変化による影響の相異に応じたかたちで、各特性パラメータについての加重平均値として適正な値を算出することができる。
・係数K1〜K5として、予め定められた一定値を設定するようにしてもよい。
・係数K2〜K5のいずれか二つを同一の値に設定したり、いずれか三つを同一の値に設定したり、全てを同一の値に設定したりしてもよい。
・学習値として適正な値を算出することの可能な係数K1〜K5と目標噴射量との関係を予め求める際に、圧力センサ51の検出値の変動態様を短期的に変化させる因子として燃料性状以外の因子を考慮するようにしてもよい。なお、そうした装置において、新たに採用する因子によっては、係数K1として係数K2〜K5のいずれかより小さい値を設定するようにしてもよい。要は、複数の特性パラメータについての加重平均値として上記因子の影響による不要な変化が抑えられる値をそれぞれ算出するとともに同値を学習値として学習することができるように、特性パラメータ毎に加重平均値の重み付けの係数を設定することができればよい。
・燃料噴射弁20の作動特性としての複数の特性パラメータは任意に変更することができる。例えば開弁遅れ時間τd、噴射率上昇速度Qup、最大噴射率Qmax、噴射率低下速度Qdn、および閉弁遅れ時間τeのうちのいずれか二つのみを特定パラメータとしたり、いずれか三つのみを特定パラメータとしたり、四つのみを特定パラメータとしたりすることができる。また、燃料噴射率が最大噴射率に到達した時期や、燃料噴射率が最大噴射率から低下し始める時期、燃料噴射率が「0」になる時期などを特性パラメータとして新たに採用することもできる。
・燃料噴射弁20の内部(詳しくは、ノズル室25内)の燃料圧力の指標となる圧力、言い換えれば同燃料圧力の変化に伴って変化する燃料圧力を適正に検出することができるのであれば、圧力センサ51を燃料噴射弁20に直接取り付けることに限らず、同圧力センサ51の取り付け態様は任意に変更することができる。具体的には、圧力センサ51を燃料供給通路におけるコモンレール34と燃料噴射弁20との間の部位(分岐通路31a)に取り付けたり、コモンレール34に取り付けたりしてもよい。
・圧電アクチュエータ29により駆動されるタイプの燃料噴射弁20に代えて、例えばソレノイドコイルなどを備えた電磁アクチュエータによって駆動されるタイプの燃料噴射弁を採用することもできる。
・4つの気筒を有する内燃機関に限らず、1つ〜3つの気筒を有する内燃機関、あるいは5つ以上の気筒を有する内燃機関にも、上記燃料噴射特性学習装置は適用することができる。
・上記燃料噴射特性学習装置は、ディーゼル機関に限らず、ガソリン燃料を用いるガソリン機関や天然ガス燃料を用いる天然ガス機関にも適用することができる。
10…内燃機関、11…気筒、12…吸気通路、13…ピストン、14…クランクシャフト、15…排気通路、20…燃料噴射弁、21…ハウジング、22…ニードル弁、23…噴射孔、24…スプリング、25…ノズル室、26…圧力室、27…導入通路、28…連通路、29…圧電アクチュエータ、29a…弁体、30…排出路、31a…分岐通路、31b…供給通路、32…燃料タンク、33…燃料ポンプ、34…コモンレール、35…リターン通路、40…電子制御ユニット、51…圧力センサ、51A…センサ本体、51B…メモリ、52…吸気量センサ、53…クランクセンサ、54…アクセルセンサ。

Claims (6)

  1. 燃料噴射弁を有する燃料供給系の内部の燃料圧力を検出する圧力センサを有し、同圧力センサにより検出される燃料圧力に基づいて燃料噴射率の時間波形である検出時間波形を形成するとともに前記燃料噴射弁の作動特性としての複数の特性パラメータを学習する学習処理を実行する内燃機関の燃料噴射特性学習装置において、
    当該装置は、前期学習処理において、目標噴射量と目標噴射時期と目標燃料圧力とを含む複数の算出パラメータに基づいて燃料噴射率の時間波形である基本時間波形を算出し、
    記複数の特性パラメータそれぞれについて各別に算出する加重平均値を学習値として各別に記憶するものであり、
    前記加重平均値は、前記基本時間波形と前記検出時間波形とを比較することで、前記複数の算出パラメータの各値と、当該値に対応する前記複数の特性パラメータの各値と、の差を各別に算出するとともに、当該算出した各差と、各別に記憶されている学習値と、について加重平均の重み付けの係数を用いて平均化することで算出され、
    前記加重平均の重み付けの係数は、前記複数の特性パラメータ間において異なる値設定される
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射特性学習装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射特性学習装置において、
    前記複数の特性パラメータは、前記燃料噴射弁の開弁遅れ時間と、前記燃料噴射弁の開弁に伴う燃料圧力の変動期間において前記圧力センサにより検出される燃料圧力に基づき学習される所定パラメータとを含み、
    前記装置は、前記開弁遅れ時間についての加重平均値の算出における重み付けの係数を前記所定パラメータについての加重平均値の算出における重み付けの係数より大きい値に設定するものであり、
    前記重み付けの係数の値が大きいほど、算出される加重平均値は前記記憶されている学習値に近い値として算出される
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射特性学習装置。
  3. 請求項に記載の内燃機関の燃料噴射特性学習装置において
    前記所定パラメータは、燃料噴射率の上昇速度、前記燃料噴射率の低下速度、前記燃料噴射率の最大値、および前記燃料噴射弁の閉弁遅れ時間を含む
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射特性学習装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射特性学習装置において、
    当該装置は、前記学習処理に用いる燃料圧力の前記圧力センサによる検出時において前記燃料噴射弁から噴射されていた燃料の量に応じて前記重み付けの係数を可変設定する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射特性学習装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射特性学習装置において、
    前記圧力センサは前記燃料噴射弁に一体に設けられる
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射特性学習装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射特性学習装置において、
    前記内燃機関は、複数の気筒を有してなるとともに、その前記燃料供給系が昇圧された状態の燃料を蓄える蓄圧容器を有してなり、
    前記燃料噴射弁は、前記内燃機関の気筒毎に設けられて前記蓄圧容器に各別に接続されてなり、
    前記圧力センサは、前記内燃機関の気筒毎に設けられて、前記燃料噴射弁に燃料を供給する燃料供給通路内における前記蓄圧容器と前記燃料噴射弁の噴射孔との間の部位の燃料圧力を検出するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射特性学習装置。
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