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JP5886643B2 - 大容量アンカー工法 - Google Patents
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本発明は、コンクリートダムのような大型構造物に用いられる大容量アンカー工法に関するものである。
従来、構造物に作用する外力によって起こる構造物の転倒や滑動等を防止するため、グラウンドアンカーを用いて構造物を地盤に固定する場合がある。その場合、グラウンドアンカーの先端を地盤に定着させ、グラウンドアンカーに緊張力を付与し、グラウンドアンカーの上端部を構造物に定着させることによって、構造物を安定させることができる。グラウンドアンカーに関する発明としては、例えば特許文献1、2記載の発明がある。
特許文献1には、複数本の緊張材を束ねて構成するテンドンを、コンクリート構造物におけるアンカー設置孔の中で複数組み合わせて使用するグラウンドアンカーテンドンが記載されている。アンカー設置孔の底部側領域に一体固定されるアンカー体長部と、当該アンカー体長部に連続し地表面側がアンカー頭部の定着部に固定される自由長部とを有しており、アンカー体長部と自由長部との境界に各テンドンの外周部または総てのテンドンの外周部を覆う保護体を設け、保護体がテンドン全体の長さの1/30〜1/20の長さを有している。
特許文献2には、地盤に下向きに形成されたアンカー孔内にアンカーを挿入するアンカーの挿入方法が記載されている。周囲にアンカーを案内し得る案内溝を有する滑車を回転可能に設け、滑車の案内溝でアンカーを案内し、この状態で滑車を回転させることにより、アンカーをアンカー孔内に挿入している。
特許第4519083号 特開2010−163819号公報
コンクリートダムのような大型構造物の安定性の向上や耐震補強を目的として、構造物の転倒や滑動を防止するためにグラウンドアンカーが用いられる場合(図7参照)、アンカーには高い耐久性が求められる。特に、大型構造物の場合、アンカーが大容量(設計アンカー力が数百トン以上)でアンカー長が長尺(50m以上)になる場合がある。
耐久性に優れたグラウンドアンカーとして、複数のPC鋼材の束をカプセルにより被覆して内部にセメントグラウトを充填したアンカー体を有するアンカーが有効であると考えられるが、このアンカーは、大容量になる(設計アンカー力が大きくなる)と引張り材であるPC鋼材の本数が多くなり、カプセルの直径が大きくなるため、運搬作業やボーリング孔への挿入作業が大変になる。
また、カプセルで被覆したアンカー体において、カプセル内にセメントグラウトを充填する作業は、ボーリング孔にアンカーを挿入する前に行う場合と挿入した後に行う場合の2通りの施工方法が考えられる。
アンカーをボーリング孔に挿入後、ボーリング孔内でグラウトをカプセル内に充填する場合、注入ホースや排気ホースなど複数のホースをアンカーに装着しなければならず、また、アンカー体への充填状況を確認することが困難である。
他方、アンカーをボーリング孔に挿入前にセメントグラウトを充填した場合は、アンカーの施工位置近くに作業ヤードを確保する必要がある。また、挿入作業において、カプセル内でセメントグラウトが固結しペンシル形状になったアンカー体を傷付けないように慎重に吊上げ、挿入しなければならない。
前述した特許文献1記載の発明の場合、テンドンを複数組み合わせたものを1つのグラウンドアンカーテンドンとしており、例えば緊張材7本からなるテンドンを3本組み合わせて1つのグラウンドアンカーテンドンとすることができる。この場合、輸送が比較的容易ではあるが、1つのテンドンに用いる緊張材の本数をそれほど増やすことができない。
本発明は、従来技術における上述のような課題の解決を図ったものであり、従来にない大容量アンカーにおいて、アンカーテンドンの運搬やボーリング孔への挿入が容易であり、挿入時に引張り材の適正な配列を維持することのできる大容量アンカー工法を提供することを目的としている
本発明は、引張り材のアンカー体部分をカプセル内に挿入してカプセル単位のアンカー体ユニットを構成し、さらに前記カプセルを複数束ねて固定し、前記各カプセル内にグラウトを充填した後、地盤に設けたボーリング孔に挿入し、その後、前記ボーリング孔にグラウトを充填することを特徴とする大容量アンカー工法である。
引張り材をカプセルで被覆し、カプセル単位にすることで、各カプセル内の引張り材の配列を適正な状態に保つ。各カプセルに引張り材のアンカー体部分を挿入したアンカー体ユニットを複数束ねて構成したアンカーは、従来のアンカーよりも大容量の設計アンカー力を容易に得ることができる。
カプセル内のグラウト充填作業をボーリング孔に挿入する前に行えば、長いグラウト注入ホースをカプセルごとに何本も装着する必要がなく、カプセル内のグラウト充填作業がしやすく、作業効率も上がる。また、アンカー体の各カプセル内の充填状況を確実に確認することができる。
各カプセル内にグラウトを充填した後、複数のアンカー体ユニットの配列を維持しながらボーリング孔に挿入して設置し、アンカーテンドンに装着したグラウト注入ホースを介してボーリング孔内にグラウトを充填する。
なお、ここでいうカプセルとは、例えばコルゲートシースのようなものであり、引張り材を被覆することができ、アンカーテンドンの防食性をより高めることができるものであれば種類は問わない。
本発明における前記カプセル単位のアンカー体ユニットは、ドラム状の巻き取り枠に巻いた状態で施工現場に搬入し、施工現場の地上部に設置した挿入装置に支持させたアンカー体ユニット固定枠に対し、前記カプセル単位のアンカー体ユニットを巻き取り枠から引き出して、複数、鉛直に固定し、その状態で各カプセル内にグラウトを充填し、ボーリング孔に挿入することを特徴としている。
アンカー体ユニットをドラム状の巻き取り枠に巻き、長尺であるアンカーテンドンの運搬作業を容易にする。
アンカーテンドンの挿入装置を施工現場の地上部に設置し、その挿入装置には複数のカプセルを固定するためのアンカー体ユニット固定枠を支持させておく。ドラム状の巻き取り枠からアンカー体ユニットの先端部を引き出して、複数のアンカー体ユニットを固定枠に鉛直に固定し、適正な配列をなすアンカーテンドンを組み立てる。
固定枠によって複数束ねて固定したアンカー体ユニットにそれぞれグラウトを充填した後、ボーリング孔に挿入し、ボーリング孔内で各アンカー体の配列を維持する。
本発明に係るアンカーテンドンは1つのカプセル内に3〜20本挿入され、前記カプセルを2〜6本束ねてあることが望ましい。
引張り材をカプセルで被覆しているので、適正な配列を保つことができ、1つのカプセル内に3〜20本程度挿入することができる。引張り材のアンカー体部分を挿入したカプセルをさらに2〜6本束ねて、従来のグラウンドアンカーより大容量のアンカーを容易に構成することが可能となる。
また、本発明に係る大容量アンカーは、引張り材のアンカー体部分をカプセル内に挿入してアンカー体ユニットが構成され、前記カプセルが位置決めを兼ねた固定枠を介して複数束ねて固定され、前記カプセル内にグラウトが充填されていることを特徴としている。
固定枠によって、各カプセルの位置決めを容易に確実に行い、適正な配列で固定することができる。また、ボーリング孔に挿入し、ボーリング孔内にグラウトを打設した後も各アンカー体の配置を確実に維持することができる。
前記引張り材のアンカー体部分は1つのカプセル内に3〜20本挿入され、前記カプセルを2〜6本束ねてあることが望ましい。
なお、本発明による大容量アンカーは、鉛直方向下向きに施工するアンカーを対象としているが、鉛直方向の±10度程度を許容する。
本発明は以上のような構成となるため、以下のような効果が得られる。
(1)引張り材をカプセルで被覆して構成したアンカー体ユニットを複数本束ねることによって、従来にない大容量の鉛直アンカーを効率良く施工することができる。
(2)大容量のアンカーにおいて、引張り材をカプセルで被覆して構成したアンカー体を複数本束ねて固定した後、各カプセル内にグラウトを充填し、その後ボーリング孔内に挿入することによって、アンカーテンドンを形成しているPC鋼材の適正な配列を維持することができる。
(3)従来工法では、アンカーテンドンを形成しているPC鋼材の本数が多い場合、非常に大きな重量となり、運搬や挿入作業が困難であったが、本発明では、引張り材をカプセル単位に被覆させることによって、運搬や挿入作業などを効率良く行うことができる。
(4)引張り材をカプセルで被覆し、より防食性を向上させている。
(5)各カプセル内のグラウト充填作業をボーリング孔に挿入する前に行うことで、カプセル内のグラウト充填作業が行いやすく、充填状況も確実に確認できるため、アンカーの品質性能の向上に繋がる。
(6)アンカー体ユニット固定枠によって、各カプセルの位置決めを容易に行い、適正な配列で固定することができる。また、ボーリング孔に挿入した後のボーリング孔内へのグラウト打設時にも各アンカー体の配列を確実に維持することができる。
本発明に係る大容量アンカーの一実施形態を示したもので、引張材を7本束ねたものを6本のカプセルに挿入し配設した場合のアンカーテンドン断面図である。 本発明に係る大容量アンカーの一実施形態を示したもので、カプセルをアンカー体ユニット固定枠に固定した状態を概略的に示した斜視図である。 カプセルを使用したアンカー構造の例を示した断面図であり、(a)は従来例の1カプセルの場合、(b)は本発明に係る多カプセルの場合を表している。 本発明に係る大容量アンカー工法の施工手順例を示したフローチャートである。 本発明に係る大容量アンカー工法において、アンカーテンドン挿入装置の一実施形態を示した概略図である。 図4における施工手順を概略的に示した説明図である。 コンクリートダムを補強するためのグラウンドアンカー設置例を示した横断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
〔実施例〕
図1は、本発明に係る大容量アンカー1工法の一実施形態の断面図を示している。引張り材3を7本束ねたものをカプセル4に設置し、アンカー体ユニット2を形成している。アンカー体ユニット2をなす6本のカプセル4をスペーサー6aと固定バンド6bを用いて固定している。スペーサー6aの中心には、大容量アンカー1を吊るための吊りワイヤー7を設け、吊りワイヤー7を挟むようにグラウト注入ホース8を通す孔を設けている。
カプセル4とは、例えばコルゲートシースなどが挙げられ、引張り材3を複数束ねたものを被覆することができ、引張り材3の防食性をより高めることができるものであれば種類や材質などは問わない。
図2に、アンカー体ユニット2を固定するためのアンカー体ユニット固定枠6を概略的に示した。アンカー体ユニット固定枠6は、スペーサー6aと固定バンド6bとから構成されており、スペーサー6aの窪み部分にカプセル4を嵌合し、カプセル4の外周に固定バンド6bを巻いて固定している。
なお、図2は1本のカプセル4のみを記載しているが、実際はカプセル4を複数本固定する。また、図2に示した形状以外に、各カプセル4が適正な位置に配列できるアンカー体固定枠6であれば、形状等は問わない。
図3には、カプセル4を用いたアンカー構造の例を示した。図3(a)は、1本のカプセル4の中にPC鋼材21を9本挿入した場合である。PC鋼材21の一部は、シース22で被覆している。図3(a)の場合、PC鋼材21を9本束ねたものをカプセル4に挿入し、カプセル4内にグラウト5を注入する。
従来例である図3(a)では、PC鋼材21の本数が増えると、PC鋼材21を複数まとめた束が太径になり、トラック等での運搬が困難になる可能性がある。それに伴い、カプセル4も太径で大きいものとなり、取り扱い時に破損してしまう場合も考えられる。
一方、図3(b)は本発明に係る一実施形態であり、3本のPC鋼材21を束ねたものをカプセル4内に挿入したアンカー体ユニット2を3本束ねて構成している。カプセル4で被覆する長さは、アンカー体長B間とし、アンカー自由長AではPC鋼材21をシース22で被覆している。
図3(b)の多カプセルの場合、PC鋼材21を複数にまとめたものをカプセル4単位で分けることができるため、アンカー体ユニット2やカプセル4が太径になることがなく、運搬や挿入作業などの施工性も向上する。
また、カプセル4内のグラウト充填作業を比較すると、アンカー自由長Aとアンカー体長Bのカプセル4内にグラウト5を充填する(図3(a)参照)より、アンカー体長Bのカプセル4内のみにグラウト5を充填する(図3(b)参照)方が効率的であることは明らかである。
ここで、表1に従来例と本発明におけるアンカー体ユニット2とカプセル4の組み合わせ本数の例を示し、許容アンカー力を算出した。ここで示している許容アンカー力は、Pa=min(0.7Pu,0.8Py)として算出したものである。
Figure 0005886643
表1のa、b、cに示した組み合わせは、従来例である。直径φ=15.2mmのPC鋼材21をaは7本、bは9本、cは12本束ねたものを1本のカプセル4に挿入する。表1のa、b、cの許容アンカー力は、1243KN、1598KN、2131KNとなっている。
それに対して、本発明のアンカー体ユニット2において考えられる引張り材3(PC鋼材)とカプセル4の組み合わせ本数の例を、表1のd〜lに示した。例えば、jの組み合わせを例に挙げると、直径φ=15.2mmのPC鋼材21を7本束ねたものをカプセル4内に挿入してアンカー体ユニット2を構成し、6本のアンカー体ユニット2を束ね、大容量アンカー1としている。jの場合の許容アンカー力は、7459KNとなる。
表1のa〜cで示した従来の1カプセルタイプと表1のd〜lで示した本発明の多カプセルタイプとを比較すると、カプセル4単位のアンカー体ユニット2を複数束ねることによって、許容アンカー力が著しく増加し、非常に大きな耐力を有するアンカーを施工することが可能になることがわかる。
〔施工手順〕
図4に、本発明に係る大容量アンカー1工法の施工手順の一例をフローチャートに示し、図6に概略的な説明図を示した。図5は、アンカー体ユニット2の挿入装置10の一例である。なお、以下に説明する施工手順に限定されるものではない。
(1)工場にてカプセル4単位のアンカー体ユニット2を組立て、ドラム状の専用巻き取り枠11にアンカー体ユニット2を巻いた状態で現場に搬送する。例えば、アンカー体ユニット2の搬送をトラック等で行う場合、巻き取り外形は2m程度になる。
(2)現場にてアンカー体ユニット2挿入装置10を組み立て、設置した後、搬入されたアンカー体ユニット2を専用巻き取り枠11ごと挿入装置10にセットする。
(3)挿入装置10に装備されている吊上げ装置9でアンカー体ユニット固定枠6を吊り、所定の位置にセットした後、各専用巻き取り枠11よりアンカー体ユニット2を引き出して、アンカー体ユニット固定枠6に固定する(図6(a)参照)。
(4)削孔が完了した孔(ボーリング孔)32の上部に挿入装置10を移動し、設置する(図6(b)参照)。なお、アンカー体ユニット2をセットする前に挿入装置10を削孔が完了した孔(ボーリング孔)32の上部に設置しておく場合もある。
(5)各アンカー体ユニット2のカプセル4にグラウト注入ホース8を連結し、注入プラントにて混練したセメントグラウト5を各カプセル4内に充填する(図6(b)参照)。グラウト5充填後、注入口および排気口を閉塞させ、グラウト注入ホース8を取り除く。
(6)挿入装置10に装備されている吊上げ装置9の吊りワイヤー7をゆっくりと伸ばしながら、アンカー体ユニット2を複数束ねた大容量アンカー1をボーリング孔32内に挿入する(図6(c)参照)。(挿入作業は、連続作業で行う場合、アンカー体ユニット2のグラウト5充填後1日程度経過してカプセル4内のグラウト5が固結した後に行う場合がある。)
(7)アンカー体ユニット2を複数束ねた大容量アンカー1を挿入した後、アンカー頭部23を固定し、吊上げ装置9の吊りワイヤー7を取り外す。ボーリング孔32への置換注入は、挿入前に装着したグラウト注入ホース8を用いて、注入プラントにて混練したセメントグラウト5を孔底より行い、孔口まで充填する(図6(d)参照)。
(8)アンカー1を設置した後、アンカー頭部23を固定してグラウト5が固結して所定の強度を発現するまで養生する。
1…大容量アンカー、
2…アンカー体ユニット、
3…引張り材、
4…カプセル、
5…グラウト、
6…アンカー体ユニット固定枠、6a…スペーサー、6b…固定バンド、
7…吊りワイヤー、
8…グラウト注入ホース、
9…吊上げ装置、
10…挿入装置、
11…巻き取り枠、
21…PC鋼材(PC鋼より線)、
22…シース、
23…アンカー頭部、
31…地盤、
32…ボーリング孔、
33…岩盤、
34…コンクリートダム、
A…アンカー自由長、
B…アンカー体長、
C…緊張余長

Claims (3)

  1. 引張り材のアンカー体部分をカプセル内に挿入してカプセル単位のアンカー体ユニットを構成し、さらに前記カプセルを複数束ねて固定し、前記各カプセル内にグラウトを充填した後、地盤に設けたボーリング孔に挿入し、その後、前記ボーリング孔にグラウトを充填する大容量アンカー工法において、前記カプセル単位のアンカー体ユニットは、ドラム状の巻き取り枠に巻いた状態で施工現場に搬入し、施工現場の地上部に設置した挿入装置に支持させたアンカー体ユニット固定枠に対し、前記カプセル単位のアンカー体ユニットを巻き取り枠から引き出して、複数、鉛直に固定し、その状態で各カプセル内にグラウトを充填し、ボーリング孔に挿入することを特徴とする大容量アンカー工法。
  2. 前記カプセルが位置決めを兼ねた固定枠を介して複数束ねて固定されていることを特徴とする請求項記載の大容量アンカー工法。
  3. 前記引張り材は1つのカプセル内に3〜20本挿入され、前記カプセルを2〜6本束ねてあることを特徴とする請求項1または2記載の大容量アンカー工法。
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