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JP5888482B2 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、下方吸引式のドワイトロイド焼結機を用いて、高強度で被還元性に優れる高品質の高炉原料用焼結鉱を製造する方法に関するものである。
高炉製銑法の主原料である焼結鉱は、一般に、図1に示すような工程を経て製造される。焼結鉱の原料は、鉄鉱石粉や焼結鉱篩下粉、製鉄所内で発生した回収粉、石灰石およびドロマイトなどの含CaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などであり、これらの原料は、ホッパー1・・・の各々から、コンベヤ上に所定の割合で切り出される。切り出された原料は、ドラムミキサー2および3等によって適量の水が加えられ、混合、造粒されて、平均径が3〜6mmの擬似粒子である焼結原料とされる。この焼結原料は、その後、焼結機上に配設されているサージホッパー4、5からドラムフィーダー6と切り出しシュート7を介して、無端移動式の焼結機パレット8上に400〜800mmの厚さで装入され、焼結ベッドともいわれる装入層9を形成する。その後、装入層9の上方に設置された点火炉10で装入層表層の炭材に点火するとともに、パレット8の直下に配設されたウインドボックス11を介して装入層上方の空気を下方に吸引することにより、装入層内の炭材を順次燃焼させ、このときに発生する燃焼熱で前記焼結原料を溶融して焼結ケーキを得る。このようにして得た焼結ケーキは、その後、破砕、整粒され、約5mm以上の塊成物が、成品焼結鉱として回収され、高炉に供給される。
上記製造プロセスにおいて、点火炉10によって点火された装入層内の炭材は、その後、装入層内を上層から下層に向かって吸引される空気によって燃焼を続け、厚さ方向に幅をもった燃焼・溶融帯(以降、単に「燃焼帯」ともいう。)を形成する。この燃焼帯の溶融部分は、上記吸引される空気の流れを阻害するため、焼結時間が延長して生産性が低下する要因となる。また、この燃焼帯は、パレット8が下流側に移動するのに伴って次第に装入層の上層から下層に移行し、燃焼帯が通過した後には、焼結反応が完了した焼結ケーキ層(以降、単に「焼結層」ともいう。)が生成される。また、燃焼帯が上層から下層に移行するのにともない、焼結原料中に含まれる水分は、炭材の燃焼熱で気化して、まだ温度が上昇していない下層の焼結原料中に濃縮し、湿潤帯を形成する。この水分濃度がある程度以上になると、吸引ガスの流路となる焼結原料の粒子間の空隙が水分で埋まり、溶融帯と同様、通気抵抗を増大させる要因となる。
ところで、焼結機の生産量(t/hr)は、一般に、生産率(t/hr・m)×焼結機面積(m)により決定される。即ち、焼結機の生産量は、焼結機の機幅や機長、原料装入層の厚さ、焼結原料の嵩密度、焼結(燃焼)時間、歩留りなどにより変化する。したがって、焼結鉱の生産量を増加するには、装入層の通気性(圧損)を改善して焼結時間を短縮する、あるいは、破砕前の焼結ケーキの冷間強度を高めて歩留りを向上することなどが有効であると考えられている。
図2は、焼結鉱の生産性が高い時と低い時、即ち、焼結機のパレット移動速度が速い時と遅い時の装入層内のある点における温度と時間の推移を示したものである。焼結原料の粒子が溶融し始める1200℃以上の温度に保持される時間は、生産性が低い場合はT、生産性が高い場合はTで表されている。生産性が高い時はパレットの移動速度が速いため、高温域保持時間Tが、生産性が低い時のTと比べて短くなる。しかし、1200℃以上の高温での保持時間が短くなると焼成不足となり、焼結鉱の冷間強度が低下し、歩留りが低下してしまう。したがって、高強度の焼結鉱を、短時間でかつ高歩留りで、生産性よく製造するためには、何らかの手段を講じて、1200℃以上の高温で保持される時間を延長し、焼結鉱の冷間強度を高めてやる必要がある。なお、焼結鉱の冷間強度を表す指標としては、一般に、SI(シャッターインデックス)、TI(タンブラーインデックス)が用いられている。
図3は、点火炉で点火された装入層表層の炭材が、吸引される空気によって燃焼を続けて燃焼帯を形成し、これが装入層の上層から下層に順次移動し、焼結ケーキが形成されていく過程を模式的に示した図である。また、図4(a)は、上記燃焼帯が、図3に示した太枠内に示した装入層の上層部、中層部および下層部の各層内に存在しているときの温度分布を模式的に示したものである。焼結鉱の強度は、1200℃以上の温度に保持される温度と時間の積に影響され、その値が大きいほど焼結鉱の強度は高くなる。そのため、装入層内の中層部および下層部は、装入層上層部の炭材の燃焼熱が吸引される空気によって運ばれて予熱されるため、高温度に長時間にわたって保持されるのに対して、装入層上層部は、予熱されない分、燃焼熱が不足し、焼結に必要な燃焼溶融反応(焼結反応)が不十分となりやすい。その結果、装入層の幅方向断面内における焼結鉱の歩留り分布は、図4(b)に示したように、装入層上層部ほど歩留りが低くなる。また、パレット両幅端部も、パレット側壁からの放熱や、通過する空気量が多いことによる過冷却によって、焼結に必要な高温域での保持時間が十分に確保できず、やはり歩留りが低くなる。
これらの問題に対して、従来は、焼結原料中に添加している炭材(粉コークス)量を増量することが行われてきた。しかし、コークスの添加量を増やすことによって、図5に示したように、焼結層内の温度を高め、1200℃以上に保持される時間を延長することができるものの、それと同時に、焼結時の最高到達温度が1400℃を超えるようになり、以下に説明する理由によって、焼結鉱の被還元性や冷間強度の低下を招くことになる。
非特許文献1には、焼結過程で焼結鉱中に生成する各種鉱物の引張強度(冷間強度)と被還元性について、表1のように示されている。そして、焼結過程では、図6に示したように、1200℃で融液が生成し始め、焼結鉱の構成鉱物の中で最も高強度で、被還元性も比較的高いカルシウムフェライトが生成する。これが、焼結温度として1200℃以上を必要とする理由である。しかし、さらに昇温が進んで1400℃を超え、正確には1380℃を超えるようになると、カルシウムフェライトは、冷間強度と被還元性が最も低い非晶質珪酸塩(カルシウムシリケート)と、還元粉化しやすい骸晶状二次ヘマタイトとに分解し始める。また、焼結鉱の還元粉化の起点となる二次ヘマタイトは、鉱物合成試験の結果から、図7の状態図に示したように、Mag.ss+Liq.域まで昇温し、冷却したときに析出するので、状態図上に示した(1)の経路でなく、(2)の経路を介して焼結鉱を製造することが、還元粉化を抑制する上で重要であるとしている。
Figure 0005888482
すなわち、非特許文献1には、焼結鉱の品質を確保する上で、燃焼時の最高到達温度や高温域保持時間などの制御が非常に重要な管理項目であり、これらの制御如何によって焼結鉱の品質がほぼ決定されることが開示されている。したがって、還元粉化性(RDI)に優れかつ高強度で被還元性に優れる焼結鉱を得るためには、1200℃以上の温度で生成したカルシウムフェライトを、カルシウムシリケートと二次ヘマタイトとに分解させないことが重要であり、そのためには、焼結時における装入層内の最高到達温度を1400℃超え、好ましくは1380℃超えとすることなく、装入層内の温度を1200℃(カルシウムフェライトの固相線温度)以上に長時間保持することが必要となる。以降、本発明では、上記1200℃以上1400℃以下の温度域に保持される時間を、「高温域保持時間」と称することとする。
なお、従来から、装入層上層部を長時間にわたって高温に保持することを目的とした技術が幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、装入層に点火後、装入層上に気体燃料を噴射する技術が、特許文献2には、装入層に点火後、装入層に吸引される空気中に可燃性ガスを添加する技術が、また、特許文献3には、焼結原料の装入層内を高温にするため、装入層の上にフードを配設し、そのフードから空気やコークス炉ガスとの混合ガスを点火炉直後の位置で吹き込む技術が、さらに、特許文献4には、低融点溶剤と炭材や可燃性ガスを同時に点火炉直後の位置で吹き込む技術が提案されている。
しかし、これらの技術は、高濃度の気体燃料を使用し、しかも燃料ガスの吹き込みに際して炭材量を削減していないため、装入層内の焼結時の最高到達温度が操業管理上の上限温度である1400℃を超える高温となり、焼結過程で生成したカルシウムフェライトが分解して、被還元性や冷間強度の低い焼結鉱が生成して歩留改善効果が得られなかったり、気体燃料の燃焼による温度上昇と熱膨張によって通気性が悪化し、生産性が低下したりし、さらには、気体燃料の使用によって焼結ベッド(装入層)上部空間で火災を起こす危険性があったりするため、いずれも実用化には至っていない。
そこで、発明者らは、上記問題点を解決する技術として、焼結原料中の炭材添加量を削減した上で、焼結機の点火炉の下流において、燃焼下限濃度以下に希釈した各種気体燃料を、パレット上方から装入層内に導入し、装入層内で燃焼させることにより、装入層内の最高到達温度および高温域保持時間の両方を適正範囲に制御する技術を特許文献5〜7等に提案している。
特開昭48−018102号公報 特公昭46−027126号公報 特開昭55−018585号公報 特開平05−311257号公報 WO2007−052776号公報 特開2010−047801号公報 特開2008−291354号公報
「鉱物工学」;今井秀喜、武内寿久禰,藤木良規編、(1976)、p.175、朝倉書店
下方吸引式焼結機を用いた焼結鉱の製造方法に、上記特許文献5〜7の技術を適用し、焼結原料中への炭材添加量を削減した上で、燃焼下限濃度以下に希釈した気体燃料を装入層内に導入し、気体燃料を装入層内で燃焼させた場合には、図8に示したように、上記気体燃料は、炭材が燃焼した後の装入層内(焼結層内)で燃焼するので、燃焼・溶融帯の最高到達温度を1400℃超えとすることなく、燃焼・溶融帯の幅を厚さ方向に拡大させることができ、効果的に高温域保持時間の延長を図ることができる。
しかしながら、上記特許文献5〜7の従来技術においては、高強度かつ被還元性に優れる、高品質の焼結鉱を得るためには、1200℃以上1400℃以下の高温域にどの程度の時間保持する必要があるのか、また、そのためには希釈した気体燃料をどの領域に供給すればよいのかが十分に明らかにされてはいなかった。
そこで、本発明の目的は、高強度かつ被還元性に優れる、高品質の焼結鉱を得るために、1200℃以上1400℃以下の高温域に保持すべき保持時間(高温域保持時間)を決定するとともに、その高温域保持時間を装入層内の全ての位置において実現することができる焼結鉱の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた。その結果、高強度かつ被還元性に優れる、高品質の焼結鉱を得るためには、焼結時の装入層内の最高到達温度を1200℃以上1400℃以下の温度域に150秒以上保持する、即ち、高温域保持時間を150秒とする必要があること、また、そのためには、装入層内各位置の焼結時の温度変化を実測し、炭材の燃焼熱のみでは高温域保持時間が150秒未満となる領域に、希釈気体燃料を供給してやることが有効であることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成し、その装入層表面の炭材に点火すると共に、燃焼下限濃度以下に希釈した気体燃料を含む装入層上方の空気をパレット下に配設されたウインドボックスで吸引して装入層内に導入し、装入層内において上記気体燃料と炭材を燃焼させて焼結鉱を製造する方法において、点火炉出側〜排鉱部までの間のパレットを進行方向および幅方向に複数に区分し、上記パレット進行方向および幅方向の区分単位で気体燃料の供給をON/OFFすることによって、炭材のみの燃焼熱で焼結するときに1200℃以上1400℃以下に保持される高温域保持時間が150秒未満となる区分における上記高温域保持時間を150秒以上300秒以下とすることを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
また、本発明の焼結鉱の製造方法における上記希釈した気体燃料を含む空気は、予め燃焼下限濃度以下に希釈した気体燃料を装入層上方の空気中に混合したもの、あるいは、気体燃料を装入層上の空気中に高速で噴射して混合し、燃焼下限濃度以下に希釈したもの、のいずれかであることを特徴とする。
本発明によれば、装入層内の全ての領域において、焼結時における最高到達温度を1200℃以上1400℃以下の高温域に150秒以上保持することが可能となるので、高強度かつ被還元性に優れる、高品質の焼結鉱を生産性よく製造することが可能となる。また、本発明によれば、焼結原料中に添加する炭材量を削減することができるので、二酸化炭素の排出量の削減にも寄与することができる。
焼結プロセスを説明する概要図である。 高生産時と低生産時の装入層内の温度分布を説明するグラフである。 焼結の進行に伴う装入層内の変化を説明する模式図である。 燃焼帯が装入層の上層部、中層部および下層部の各位置に存在しているときの温度分布と、装入層の幅方向断面内における焼結鉱の歩留り分布を説明する図である。 炭材量の変化(増量)による装入層内の温度変化を説明する図である。 焼結反応について説明する図である 骸晶状二次ヘマタイトが生成する過程を説明する状態図である。 希釈気体燃料供給が高温域保持時間に及ぼす影響を説明する模式図である。 実験に用いた横型電気炉を説明する模式図である。 高温域保持時間がカルシウムフェライトの生成量および冷間強度に及ぼす影響を示すグラフである。 装入層内の高温域保持時間を測定する方法を説明する図である。 実機焼結機の装入層厚さ方向における高温域保持時間の分布の測定例を示すグラフである。
発明者らは、まず、高強度かつ被還元性に優れる、高品質の焼結鉱を生産性よく製造するために必要な、1200℃以上1400℃以下の温度に保持すべき時間(高温域保持時間)を確認するため、電気炉を用いた焼結実験を行った。
この実験では、ペレタイザーを用いて、粒径が0.5mm以上の鉄鉱石を核粒子とし、粒径0.5mm未満の鉄鉱石および副原料である炭酸カルシウム、二酸化ケイ素を原料として添加しながら造粒し、約2〜5mmφの焼結原料とした。次いで、上記焼結原料を、アルミナ製のボートに乗せ、図9に示した横型電気炉の均熱帯中央付近に装入し、1200〜1400℃の温度範囲に保持時間を0〜350秒の範囲で変化させて焼結した。なお、上記実験では、焼結実験中、実機焼結機の排ガスと同組成の雰囲気ガスを流して、実焼結条件を模擬した。上記のようにして得た焼結鉱は、その後、急冷して回収し、冷間強度と生成したカルシウムフェライト量を測定した。焼結鉱の強度は、上記工程で得た焼結鉱を整粒して所定の粒度とした焼結鉱を、圧潰強度試験機を用いて圧潰処理し、焼結鉱が圧潰するときの圧潰荷重を求めた。また、カルシウムフェライト量は、粉末X線回折法を用いて測定した。
図10は、上記実験の結果を示したものであり、この図から、1200℃以上1400℃以下の温度に保持する時間(高温域保持時間)が長くなればなるほど、焼結鉱中に生成するカルシウムフェライト量が多くなり、それに伴って焼結鉱の強度も上昇すること、そして、高温域保持時間を150秒以上確保すると、カルシウムフェライトの生成量も大きく増加し、同時に圧潰強度試験での圧潰強度も大きく上昇して、本例では焼結鉱の圧潰強度が4.60kN以上となり、高炉用原料として十分な強度が得られるようになること、しかし、高温域保持時間が300秒を超えると、焼結鉱中のカルシウムフェライト量が理論値(45.7mass%)に近づいて飽和するため、それ以上高温域保持時間を延長しても、焼結鉱の冷間強度の向上は望めなくなり、むしろ、燃料コストの面からは好ましくないことがわかった。
上記のように、高品質の焼結鉱を得るためには、1200℃以上1400℃以下に保持する高温域保持時間を150秒以上とする必要があること、したがって、下方吸引式焼結機を用いた焼結鉱の製造方法においては、希釈気体燃料を、炭材の燃焼熱のみでは高温域保持時間を150秒以上確保することができない装入層内の領域に供給する必要があることが明らかとなった。ただし、高温域保持時間は、300秒を超えても、気体燃料の添加効果は飽和し、むしろコスト的に不利となるので、上限は300秒程度とするのが好ましい。
なお、炭材の燃焼熱のみでは高温域保持時間を150秒以上確保することができない装入層の領域は、実機焼結機の装入層内に熱電対を挿入してその位置における焼結中の温度の経時変化を実測し、それぞれの位置における1200℃以上1400℃以下に保持される高温域保持時間を求めることで特定することができる。
例えば、図4(b)に示したパレット幅方向中央上層部の高温域保持時間が150秒未満となる装入層の厚さ方向の領域は、パレット幅方向中央部において、装入層表層から内部に熱電対を挿入して焼結時における温度変化を実測し、装入層厚さ方向各位置における高温域保持時間の分布を求め、その分布から求めることができる。
そして、その高温域保持時間が150秒未満である領域の高温域保持時間の延長を図るためには、その部分の焼結反応が進行している段階において希釈気体燃料を供給してやる必要がある。例えば、装入層の厚さ方向の上層部20%の領域で、高温域保持時間が150秒未満である場合には、その部分の焼結反応が進行している点火炉出側〜排鉱部までの間(以降、「有効機長」ともいう。)の上流側20%の範囲で希釈気体燃料を供給してやることが必要である。
なお、実機焼結機において、希釈気体燃料の供給範囲を、パレット進行方法で、%単位で変化させることは、設備的に現実的ではない。そこで、上記点火炉出側〜排鉱部までの焼結機の有効機長部分を、進行方向に複数に区分し、その区分単位で希釈気体燃料の供給ができるようにし、有効機長の全ての範囲で高温域保持時間が150秒以上となるよう、区分単位で希釈気体燃料の供給ON/OFFを行えるようにするのが好ましい。ただし、点火炉を出た直後の装入層表層部はまだ高温であり、気体燃料への着火が懸念されることから、点火炉出側から3m程度の間は、気体燃料の供給は避けるのが好ましい。
また、図4(b)に示したパレット幅方向端部の歩留りの改善を図るには、上記と同様にして、パレット幅方向の各位置における装入層厚さ方向の高温域保持時間を求め、高温域保持時間が150秒未満となる装入層の厚さ方向の領域の幅方向分布を特定し、その部分の焼結反応が進行中している段階において気体燃料を供給してやればよい。
例えば、高温域保持時間が150秒未満となる領域が、パレット幅方向中央では、装入層の厚さ方向の上層部20%の領域であるのに対して、上層部幅方向両端部では、装入層の厚さ方向の上層部40%の領域である場合には、幅方向両端部の区分に、点火炉〜排鉱部までの有効機長の上流側40%の範囲で気体燃料を供給してやればよい。
なお、実機焼結機において、希釈気体燃料の供給範囲をパレット幅方向で、%単位で変化させることは、やはり設備的に現実的ではない。そこで、上記点火炉出側〜排鉱部までの焼結機の有効機長を、進行方向に複数に区分した上で、さらにその区分を幅方向に区分し、その幅方向の区分単位で希釈気体燃料の供給ができるようにし、有効機長の全ての範囲で高温域保持時間が150秒以上となるよう、幅方向区分単位で希釈気体燃料の供給ON/OFFを行えるようにするのが好ましい。
なお、上記希釈気体燃料は、その気体燃料の燃焼下限濃度以下の濃度であることが好ましい。希釈気体燃料の濃度が燃焼下限濃度以上であると、装入層上方で燃焼してしまい、気体燃料を供給する効果が失われてしまったり、爆発を起こしたりするおそれがある。また、希釈気体燃料が高濃度であると、低温度域で燃焼してしまうため、高温域保持時間の延長に有効に寄与し得ないおそれがあるからである。したがって、希釈気体燃料の濃度は、好ましくは大気中の常温における燃焼下限濃度の3/4(75%)以下、より好ましくは燃焼下限濃度の1/5(20%)以下、さらに好ましくは燃焼下限濃度の1/10(10%)以下である。ただし、希釈気体燃料の濃度が、燃焼下限濃度の1/100(1%)未満では、燃焼による発熱量が不足し、焼結鉱の強度向上と歩留りの改善効果が得られないため、下限は燃焼下限濃度の1%とする。これを、天然ガス(LNG)についてみると、LNGの室温における燃焼下限濃度は4.8vol%であるから、希釈気体燃料の濃度は0.05〜3.6vol%の範囲が好ましいことになる。
なお、上記燃焼下限濃度以下に希釈した気体燃料を含む空気は、予め燃焼下限濃度以下に希釈した気体燃料を装入層上方の空気中に混合したもの、あるいは、高濃度のままの気体燃料を装入層上の空気中に高速で噴射して空気と混合させることによって、瞬時に燃焼下限濃度以下に希釈したものであってもよい。
また、焼結原料中に添加する炭材量は、空気中に添加した気体燃料の発熱量に相当する量以上の炭材を削減することが好ましい。というのは、炭材量をそのままにして気体燃料を添加した場合には、トータルの発熱量が過大となって最高到達温度が適正温度範囲の上限値(1400℃)を超え、カルシウムフェライトの生成割合が減少し、カルシウムシリケートが増加する結果、低強度で還元性に劣る焼結鉱となってしまうからである。したがって、本発明においては、焼結原料中の炭材量は、空気中に添加する気体燃料の量(燃焼熱量)に応じて、焼結時の最高到達温度を1200〜1400℃の温度範囲、望ましくは1200〜1380℃の温度範囲となるよう調整する必要がある。
パレット幅が5mで、有効機長(点火炉出側〜排鉱部のパレット長さ)が82mの実機焼結機に、炭材として粉コークスを添加した焼結原料を層厚730mmで装入して装入層を形成し、図11に示したように、パレット幅方向中央部の装入層表層から50mm、210mm、370mm、530mmおよび700mmの深さの位置にアルミナ保護管に入れた熱電対を挿入し、焼結時の厚さ方向各位置における温度の経時変化を測定し、各位置における高温域保持時間を求めた。なお、上記焼結時における最高到達温度は、全ての位置において1400℃以下の温度に保持されていた。
上記高温域保持時間の測定結果を図12に示した。この図から、実機焼結機のパレット幅方向中央部における最高到達温度が150秒未満となる領域は、上層部の185mmの部分であることがわかった。この領域は、装入層の全厚(730mm)の約25.3%に相当し、有効機長(82m)の上流側20.8mにおいて高温域保持時間が不足していることを示している。
そこで、上記調査結果に基づき、高温域保持時間の不足領域に対して希釈気体燃料を供給するため、点火炉出側の後方3.2m以降に、幅:5m×長さ:7.5mのフードを4基設置し、この間において、LNGを0.4vol%(燃焼下限濃度の1/12)に希釈した気体燃料の供給長さを、表2に示したように変化させて焼結実験を行った。ここで、T1は、炭材の燃焼熱のみで焼結を行う従来の焼結条件(比較例)であり、T2は上記4基のうちの最上流の1基のフードで、T3は上記4基のうちの最上流側の2基のフードで、T4は上記4基のうちの上流側3基のフードで、また、T5は上記4基の全てのフードで気体燃料を供給した例である。なお、従来の焼結条件(比較例)では、焼結原料中への炭材量は5.3mass%とし、希釈気体燃料を供給する場合は、最高到達温度が1400℃超えとなるのを防止するため、上記炭材量を5.0mass%に削減した。
Figure 0005888482
なお、上記希釈気体燃料を供給した焼結実験においても、前述した方法と同じ方法で、パレット幅中央部の厚さ方向各位置における高温域保持時間を実測し、高温域保持時間が150秒未満となる装入層上層部の層厚を求めた。また、上記焼結実験で得られた焼結鉱について、シャッター強度SI、歩留りおよび返鉱の発生率を調査し、それらの結果を表2中に併記した。
表2の結果から、上流側3基のフードで高温域保持時間が150秒未満となる領域のみに希釈気体燃料を供給したT4の例では、装入層全厚において高温域保持時間を150秒以上となっており、従来条件のT1と比較して、成品焼結鉱のシャッター強度SI、歩留りとも大幅に向上している。これに対して、上流側の2基以下のフードでしか気体燃料を供給しなかったT2およびT3の例では、まだ気体燃料の供給量が不足し、装入層全厚において高温域保持時間を150秒以上とするまでには至っていないため、成品焼結鉱の強度、歩留りとも十分な改善効果が得られていない。一方、4基のフードで、高温域保持時間が150秒未満となる領域を超えて希釈気体燃料を供給したT5の例では、装入層全厚において高温域保持時間を150秒以上となっているものの、成品焼結鉱の強度、歩留りはT4の例とほとんど差がないことがわかる。
本発明の焼結技術は、製鉄用、特に高炉用原料として使用される焼結鉱の製造技術として有用であるばかりでなく、その他の鉱石塊成化技術としても利用することができる。
1:原料ホッパー
2、3:ドラムミキサー
4:床敷鉱ホッパー
5:サージホッパー
6:ドラムフィーダー
7:切り出しシュート
8:パレット
9:装入層
10:点火炉
11:ウインドボックス(風箱)
12:カットオフプレート

Claims (2)

  1. 循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成し、その装入層表面の炭材に点火すると共に、燃焼下限濃度以下に希釈した気体燃料を含む装入層上方の空気をパレット下に配設されたウインドボックスで吸引して装入層内に導入し、装入層内において上記気体燃料と炭材を燃焼させて焼結鉱を製造する方法において、点火炉出側〜排鉱部までの間のパレットを進行方向および幅方向に複数に区分し、上記パレット進行方向および幅方向の区分単位で気体燃料の供給をON/OFFすることによって、炭材のみの燃焼熱で焼結するときに1200℃以上1400℃以下に保持される高温域保持時間が150秒未満となる区分における上記高温域保持時間を150秒以上300秒以下とすることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 上記希釈した気体燃料を含む空気は、予め燃焼下限濃度以下に希釈した気体燃料を装入層上方の空気中に混合したもの、あるいは、気体燃料を装入層上の空気中に高速で噴射して混合し、燃焼下限濃度以下に希釈したもの、のいずれかであることを特徴とする請求項に記載の焼結鉱の製造方法。
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