図1は、本発明の一実施形態に係るパラボラアンテナ10の全体構成を示す断面図である。本実施形態に係るパラボラアンテナ10は、地上の基地局に設置され、地球の軌道上を周回する衛星との間で電波を送信および/または受信するために用いられる。パラボラアンテナ10は、たとえば地球温暖化ガスの分布や森林火災の発生などを監視するために取得された画像データを送信する衛星からの電波を受信するために用いられる。
本実施形態に係るパラボラアンテナ10は、地球の軌道上を周回する衛星を自動追尾するために、電波を送信および/または受信する機能を有するアンテナ装置11を、予め定める鉛直軸線J1および水平軸線J2まわりに自動的に回動させるアンテナ駆動装置12を含んで構成されている。具体的には、パラボラアンテナ10は、アンテナ装置11と、アンテナ駆動装置12と、地面に固定して設置される基台13とを含んで構成される。
アンテナ装置11は、図1に示すように、放物面反射器21aを有し、電波を送信および/または受信するアンテナ本体21と、鉛直軸線J1と同軸となるように設けられ、基台13に鉛直軸線J1まわりに回転可能に支持される円板状の回転台22と、回転台22上に設置され、回転台22と一体的に回転する支持台23と、長手方向の中間部において支持台23に水平軸線J2まわりに回転可能に支持され、長手方向の一端部24aにアンテナ本体21が固定されるアンテナ支持部24とを含んで構成される。本実施形態では、アンテナ装置11は、鉛直軸線J1と水平軸線J2とが同一平面上に配置されるように構成されている。
アンテナ駆動装置12は、駆動力を発生し、その駆動力をアンテナ装置11に伝達して、アンテナ本体21を鉛直軸線J1まわりに回動させるアジマス駆動部31と、駆動力を発生し、その駆動力をアンテナ装置11に伝達して、アンテナ本体21を水平軸線J2まわりに回動させるエレベーション駆動部32と、アンテナ本体21が所定の方向に指向するようにアジマス駆動部31およびエレベーション駆動部32の動作を制御する制御部33とを含んで構成される。
本実施形態では、図1に示すように、アジマス駆動部31は、発生した駆動力を、アンテナ装置11における回転台22に伝達して、回転台22を鉛直軸線J1まわりに回動させるように構成されている。詳細には後述するが、アジマス駆動部31は、中心軸線が鉛直軸線J1に一致するように、回転台22に固定して設けられた従動側歯車50aを含み、回転台22には、この従動側歯車50aを介して駆動力が伝達される。
回転台22は、アジマス駆動部31によって駆動力が伝達されると、その駆動力によって鉛直軸線J1まわりに回動する。回転台22には、アンテナ本体21が一体的に回動するように設けられているので、アジマス駆動部31によって回転台22に駆動力が伝達されることによって、アンテナ本体21を鉛直軸線J1まわりに回動させることができる。
同様に、エレベーション駆動部32は、発生した駆動力を、アンテナ装置11におけるアンテナ支持部24に伝達して、アンテナ支持部24を水平軸線J2まわりに回動させるように構成されている。エレベーション駆動部32は、中心軸線が水平軸線J2に一致するように、アンテナ支持部24の他端部24bに固定して設けられた円弧状のラック50b(以下、「従動側歯車50b」と称する)を含み、アンテナ支持部24には、この従動側歯車50bを介して駆動力が伝達される。
アンテナ支持部24は、エレベーション駆動部32によって駆動力が伝達されると、その駆動力によって水平軸線J2まわりに回動する。アンテナ支持部24には、アンテナ本体21が一体的に回動するように設けられているので、エレベーション駆動部32によってアンテナ支持部24に駆動力が伝達されることによって、アンテナ本体21を水平軸線J2まわりに回動させることができる。
図2は、アジマス駆動部31の構成の一例を簡略的に示す系統図である。アジマス駆動部31とエレベーション駆動部32とは、従動側歯車50aと従動側歯車50bの構成が相違している点を除き、他の構造は同様であるので、以下では、アジマス駆動部31の構造についてのみ説明し、エレベーション駆動部32の構造については説明を省略する。
アジマス駆動部31は、アンテナ装置11を回動させるための駆動力を発生する駆動力発生部40と、駆動力発生部40によって発生される駆動力をアンテナ装置11に伝達する駆動力伝達部41とを含んで構成される。
また、駆動力伝達部41は、駆動力断続部42と、入力歯車43と、第1伝達軸44と、第1傘歯車45aと、第2傘歯車45bと、第2伝達軸46と、第1ウォーム歯車47aと、第2ウォーム歯車47bと、第1駆動側歯車48aと、第2駆動側歯車48bと、位相調整用のカップリング49と、アンテナ装置11における回転台22に固定して設けられる従動側歯車50aとを含んで構成される。
図2に示すように、駆動力発生部40によって発生される駆動力は、駆動力断続部42を介して入力歯車43に入力される。入力歯車43は、軸線J3に沿って延び、軸線J3まわりに回転可能に支持される第1伝達軸44の長手方向の一端部に、第1伝達軸44と同軸となるように固定して設けられ、第1伝達軸44の長手方向の他端部には、第1傘歯車45aが、第1伝達軸44と同軸となるように固定して設けられる。
第2傘歯車45bは、軸線J4に沿って延び、軸線J4まわりに回転可能に支持される第2伝達軸46の長手方向の中央部に、第2伝達軸46と同軸となるように固定して設けられ、前記第1傘歯車45aに噛合するように設けられる。第2伝達軸46の長手方向の一端部には、第1ウォーム歯車47aが第2伝達軸46と同軸となるように固定して設けられ、また第2伝達軸46の長手方向の他端部には、第1ウォーム歯車47aと同一に構成される第2ウォーム歯車47bが第2伝達軸46と同軸となるように固定して設けられる。
第1駆動側歯車48aは、第1ウォーム歯車47aに噛合するとともに、従動側歯車50に噛合するように、軸線L2まわりに回転可能に設けられる。また、第2駆動側歯車48bは、第1駆動側歯車48aと同一に構成されており、前記と同様に、第2ウォーム歯車47bに噛合するとともに、従動側歯車50aに噛合するように、軸線L2に平行な軸線L3まわりに回転可能に設けられる。従動側歯車50は、軸線L2,L3に平行であって、鉛直軸線J1に一致する軸線L1まわりに回転可能に、アンテナ装置11における回転台22に固定して設けられる。
駆動力伝達部41は、駆動力発生部40から入力歯車43を軸線J3まわりに矢符A1で示す回転方向に回動させる駆動力が入力されると、入力歯車43、第1伝達軸44および第1傘歯車45aが一体となって回転方向A1に回動し、これによって第1傘歯車45aに噛合する第2傘歯車45bに、該第2傘歯車45bを軸線J4まわりに矢符B1で示す回転方向に回動させる駆動力が伝達される。
そして、第2傘歯車45bに駆動力が伝達されると、第2傘歯車45b、第2伝達軸46、ならびに第1および第2ウォーム歯車47a,47bが一体となって回転方向B1に回動し、第1ウォーム歯車47aに噛合する第1駆動側歯車48aに、該第1駆動側歯車48aを軸線L2まわりに矢符C1で示す回転方向に回動させる駆動力が伝達されるとともに、第2ウォーム歯車47bに噛合する第2駆動側歯車48bに、該第2駆動側歯車48bを軸線L3まわりに矢符D1で示す回転方向に回動させる駆動力が伝達される。
これによって、第1および第2駆動側歯車48a,48bは、それぞれの軸線L2,L3まわりに回転方向C1,D1に同期して回動し、第1および第2駆動側歯車48a,48bに噛合する従動側歯車50aに、該従動側歯車50aを軸線L1まわりに矢符E1で示す回転方向に回動させる駆動力が伝達される。これによって、従動側歯車50aが固定される回転台22に駆動力が伝達され、回転台22とともにアンテナ本体21を回転方向E1に回動させる。
また駆動力伝達部41は、駆動力発生部40から入力歯車43を軸線J3まわりに矢符A2で示す回転方向に回動させる駆動力が入力されると、入力歯車43、第1伝達軸44および第1傘歯車45aが一体となって回転方向A2に回動し、これによって第1傘歯車45aに噛合する第2傘歯車45bに、該第2傘歯車45bを軸線J4まわりに矢符B2で示す回転方向に回動させる駆動力が伝達される。
そして、第2傘歯車45bに駆動力が伝達されると、第2傘歯車45b、第2伝達軸46、ならびに第1および第2ウォーム歯車47a,47bが一体となって回転方向B2に回動し、第1ウォーム歯車47aに噛合する第1駆動側歯車48aに、該第1駆動側歯車48aを軸線L2まわりに矢符C2で示す回転方向に回動させる駆動力が伝達されるとともに、第2ウォーム歯車47bに噛合する第2駆動側歯車48bに、該第2駆動側歯車48bを軸線L3まわりに矢符D2で示す回転方向に回動させる駆動力が伝達される。
これによって、第1および第2駆動側歯車48a,48bは、それぞれの軸線L2,L3まわりに回転方向C2,D2に同期して回動し、第1および第2駆動側歯車48a,48bに噛合する従動側歯車50aに、該従動側歯車50aを軸線L1まわりに矢符E2で示す回転方向に回動させる駆動力が伝達される。これによって、従動側歯車50aが固定される回転台22に駆動力が伝達され、回転台22とともにアンテナ本体21を回転方向E2に回動させる。
このように、アジマス駆動部31は、駆動力発生部40によって発生される駆動力を駆動力伝達部41によって回転台22に伝達することによって、アンテナ本体21を鉛直軸線J1まわりに、回転方向E1,E2に回動させる。同様に、エレベーション駆動部32は、駆動力発生部40によって発生される駆動力を、アンテナ支持部24の他端部24bに設けられるもう一つの従動側歯車50bに伝達することによって、アンテナ本体21を水平軸線J2まわりに、回転方向F1,F2(図1参照)に回動させる。
図3は、駆動力発生部40および駆動力断続部42の構成の一例を簡略的に示す系統図である。以下、アジマス駆動部31およびエレベーション駆動部32における駆動力発生部40および駆動力断続部42について詳細に説明する。
駆動力発生部40は、アンテナ本体21を鉛直軸線J1(アジマス駆動部31の場合)または水平軸線J2(エレベーション駆動部32の場合)(以下、「軸線J」と称する)まわりに回動させるべき回転速度Vに関して、予め定められた複数の速度範囲のそれぞれに対応付けられた複数の電動機51a〜51cを備えて構成されている。
具体的には、駆動力発生部40は、アンテナ本体21を軸線Jまわりに低速の速度範囲で回動させるときに用いられる低速用電動機51aと、アンテナ本体21を軸線Jまわりに低速よりも速い中速の速度範囲で回動させるときに用いられる中速用電動機51bと、アンテナ本体21を軸線Jまわりに中速よりも速い高速の速度範囲で回動させるときに用いられる高速用電動機51cとを備えて構成されている。低速・中速・高速の速度範囲は、それぞれ重複していてもよい。以下、各電動機51a〜51cを区別する必要がない場合には、電動機51と記す。
また駆動力断続部42は、電動機51によって発生される駆動力が入力歯車43へ伝達される接続状態と、電動機51によって発生される駆動力が入力歯車43へ伝達されない未接続状態とに切換える複数のクラッチ機構52a,52bを備えて構成されている。各クラッチ機構52a,52bは、たとえば電磁クラッチによって実現される。
具体的な構造について説明すると、高速用電動機51cの出力軸71cは、第3の減速機53cの駆動側歯車54に連結されている。第3の減速機53cは、前記入力歯車43を含んで構成され、駆動側歯車54に入力される回転を減速して、入力歯車43に連結される第1伝達軸44へ出力する。このように、高速用電動機51cによって発生される駆動力は、第3の減速機53cを介して、第1伝達軸44へ出力される。
また中速用電動機51bの出力軸71bは、第2の減速機53bに連結されている。第2の減速機53bは、入力側の回転速度を減速して、出力軸71dへ出力する。この出力軸71dの一端は、高速用電動機51cの出力軸71cと同軸となるように、第3の減速機53cの駆動側歯車54に連結されている。第2のクラッチ機構52bは、この出力軸71dに設けられ、第2の減速機53bに入力される駆動力が第3の減速機53cへ伝達される接続状態と、第2の減速機53bに入力される駆動力が第3の減速機53cへ伝達されない未接続状態とに切換える。このように、中速用電動機51bによって発生される駆動力は、第2の減速機53b、第2のクラッチ機構52bおよび第3の減速機53cを介して、第1伝達軸44へ出力される。
また、低速用電動機51aの出力軸71aは、第1の減速機53aに連結されている。第1の減速機53aは、入力側の回転速度を減速して、出力軸71eへ出力する。この出力軸71eの一端は、第2の減速機53bに連結されている。第1のクラッチ機構52aは、この出力軸71eに設けられ、第1の減速機53aに入力される駆動力が第2の減速機53bへ伝達される接続状態と、第1の減速機53aに入力される駆動力が第2の減速機53bへ伝達されない未接続状態とに切換える。このように、低速用電動機51aによって発生される駆動力は、第1の減速機53a、第1のクラッチ機構52a、第2の減速機53b、第2のクラッチ機構52bおよび第3の減速機53cを介して、第1伝達軸44へ出力される。
なお、駆動力伝達部41は、第1〜第3の減速機53a〜53cおよび出力軸71d,71eをさらに含んで構成される。本実施形態では、駆動力伝達部41は、高速用電動機51cの回転速度が、駆動力伝達部41によって1/4000に減速されて回転台22に伝達され、中速用電動機51bの回転速度が、1/80000に減速されて回転台22に伝達され、低速用電動機51aの回転速度が、1/1600000に減速されて回転台22に伝達されるように構成されている。すなわち、第1および第2の減速機53a,53bはいずれも、入力側の回転速度を1/20に減速して、各出力軸71e,71dへ出力する。
各電動機51a〜51cおよび各クラッチ機構52a,52bの動作は、制御部33から送信される制御信号によって制御される。制御部33は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含んで構成され、ROMに予め格納されるプログラムに従って、各電動機51a〜51cおよび各クラッチ機構52a,52bの動作を制御する。
本実施形態では、制御部33は、図示しない外部の制御装置(演算部)から入力される速度指令信号に基づいて、各電動機51a〜51cおよび各クラッチ機構52a,52bの動作を制御するように構成されている。
前記外部の制御装置は、追尾対象の衛星の軌道計算、具体的には予め定める時間間隔(たとえば1秒間隔)ごとの衛星の位置の推算結果と、アンテナ装置11に取り付けられた図示しない2つのロータリーエンコーダによって検出されるアンテナ本体21の指向方向、すなわち鉛直軸線J1まわりのアンテナ本体21の回転位置および水平軸線J2まわりのアンテナ本体21の回転位置とに基づいて、アンテナ本体21の向きを追尾対象の衛星の位置へ導入し、追尾させるための、アンテナ本体21の鉛直軸線J1まわりの回転速度Vazおよび水平軸線J2まわりの回転速度Velをそれぞれ演算し、その演算結果を含む速度指令信号を制御部33へ送信する。
制御部33は、アジマス駆動部31に関して、速度指令信号から取得した前記回転速度Vazが予め定める低速の速度範囲であれば、アンテナ本体21をその回転速度Vazで回動させるための回転速度w1で低速用電動機51aの出力軸71aが回動するように低速用電動機51aを駆動させ、さらに、低速用電動機51aによって発生される駆動力が入力歯車43に入力されるように、第1および第2のクラッチ機構52a,52bを接続状態にする。
同様に、制御部33は、速度指令信号から取得した前記回転速度Vazが予め定める中速の速度範囲であれば、アンテナ本体21をその回転速度Vazで回動させるための回転速度w2で中速用電動機51bの出力軸71bが回動するように中速用電動機51bを駆動させ、さらに、中速用電動機51bによって発生される駆動力が入力歯車43に入力されるように、第2のクラッチ機構52bを接続状態にするとともに、第1のクラッチ機構52aを未接続状態にする。
また制御部33は、速度指令信号から取得した前記回転速度Vazが予め定める高速の速度範囲であれば、アンテナ本体21をその回転速度Vazで回動させるための回転速度w3で高速用電動機51cの出力軸71cが回動するように高速用電動機51cを駆動させ、さらに、第1および第2のクラッチ機構52a,52bを未接続状態にする。
このように、制御部33は、アンテナ本体21を回動させるべき回転速度Vazに応じて、駆動させるべき電動機51を選択して駆動させるとともに、その選択した電動機51によって発生される駆動力が入力歯車43に伝達するように、各クラッチ機構52a,52bの状態を切換えるように制御する。制御部33は、エレベーション駆動部32に関しても同様に制御する。
図4は、制御部33による各電動機51a〜51cの切換動作を説明するための図である。先ず、アンテナ本体21を回動させるべき回転速度Vが加速していく場合について説明する。
制御部33は、速度指令信号から取得した回転速度Vが低速の速度範囲であるときには、第1および第2のクラッチ機構52a,52bを接続状態となるように動作させるとともに、低速用電動機51aに電力を供給して、低速用電動機51aを回転速度Vに応じた回転速度w1で駆動させる。
このとき、低速用電動機51aによって発生された駆動力は、駆動力伝達部41を介して回転台22に伝達され、アンテナ本体21を回動させるとともに、中速用電動機51bおよび高速用電動機51cにも伝達される。したがって、低速用電動機51aのアンテナ本体21への駆動力伝達時には、中速用電動機51bの出力軸71bが、第1の減速機53aによって減速された回転速度で回転し、また高速用電動機51cの出力軸71cが、第1および第2の減速機53a,53bによって減速された回転速度で回転する。
そして、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v2まで上昇すると、制御部33は、第1のクラッチ機構52aを接続状態から未接続状態に切換えるとともに、瞬時に中速用電動機51bに電力を供給して、中速用電動機51bを起動させる。低速用電動機51aは、その後制御部33によって駆動停止される。
このように、低速用電動機51aから中速用電動機51bに切換える際には、中速用電動機51bの駆動力を回転台22に伝達するための第2のクラッチ機構52bが既に接続状態にあり、また中速用電動機51bの出力軸71bは低速用電動機51aによって回転されているので、第1のクラッチ機構52aを未接続状態にして瞬時に中速用電動機51bに電力を供給することにより、中速用電動機51bをスムーズに衝撃なく駆動させることができる。
同様に、速度指令信号から取得した回転速度Vが中速の速度範囲であるときには、制御部33は、第2のクラッチ機構52bを接続状態に維持するとともに第1のクラッチ機構52aを未接続状態に維持した状態で、中速用電動機51bを回転速度Vに応じた回転速度w2で駆動させる。
このとき、中速用電動機51bによって発生された駆動力は、駆動力伝達部41を介して回転台22に伝達され、アンテナ本体21を回動させるとともに、高速用電動機51cにも伝達される。したがって、中速用電動機51bのアンテナ本体21への駆動力伝達時には、高速用電動機51cの出力軸71cが、第2の減速機53bによって減速された回転速度で回転する。
そして、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v5まで上昇すると、制御部33は、第2のクラッチ機構52bを接続状態から未接続状態に切換えるとともに、瞬時に高速用電動機51cに電力を供給して、高速用電動機51cを起動させる。中速用電動機51bは、その後制御部33によって駆動停止される。
高速用電動機51cと第3の減速機53cとの間にはクラッチ機構が設けられておらず、また中速用電動機51bから高速用電動機51cに切換える際には、高速用電動機51cの出力軸71bは中速用電動機51bによって回転されているので、第2のクラッチ機構52bを未接続状態にして瞬時に高速用電動機51cに電力を供給することにより、高速用電動機51cをスムーズに衝撃なく駆動させることができる。
以降、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v5よりも大きい場合には、制御部33は、第1および第2のクラッチ機構52a,52bを未接続状態に維持した状態で、高速用電動機51cを回転速度Vに応じた回転速度w3で駆動させる。
本実施形態では、アンテナ本体21を回動させるべき回転速度Vは、恒星時の1倍速(23時間56分4秒)を1,000として規定されるものとする。すなわち、回転速度V=1,000は、アンテナ本体21を恒星時の1倍速で回動させるときの速度に相当する。
また、アンテナ本体21を回動させるべき回転速度Vに応じた各電動機51a〜51cの回転速度w1〜w3は、低速用電動機51aの回転速度w1[Hz]が、w1=V×3.713847×10−2によって演算され、中速用電動機51bの回転速度w2[Hz]が、w2=V×1.856923×10−3によって演算され、高速用電動機51cの回転速度w3[Hz]が、w3=V×9.284617×10−5によって演算されるものとする。
本実施形態では、低速用電動機51aから中速用電動機51bへの切換え時の回転速度v2は、v2=1,616に選択されている。すなわち、低速用電動機51aの回転速度w1が60Hz(=1,616×3.713847×10−2)まで上昇すると、制御部33は、第1の減速機53aの減速比1/20に応じて、中速用電動機51bを、回転速度w2=3Hz(=1,616×1.856923×10−3)で駆動させる。
また、中速用電動機51bから高速用電動機51cへの切換え時の回転速度v5は、v5=32,311に選択されている。すなわち、中速用電動機51bの回転速度w2が60Hz(=32,311×1.856923×10−3)まで上昇すると、制御部33は、第2の減速機53bの減速比1/20に応じて、高速用電動機51cを、回転速度w3=3Hz(=32,311×9.284617×10−5)で駆動させる。
また、本実施形態では、高速用電動機51cの回転速度w3の上限が60Hzに設定されている。したがって、アンテナ本体21を回動させるべき回転速度Vが、V=646,230(=60÷9.284617×105)を越えた場合には、制御部33は、高速用電動機51cは、回転速度w3=60Hzで駆動させる。
次に、アンテナ本体21を回動させるべき回転速度Vが減速していく場合について説明する。制御部33は、速度指令信号から取得した回転速度Vが高速の速度範囲であるときには、第1および第2のクラッチ機構52a,52bを未接続状態となるように動作させるとともに、高速用電動機51cに電力を供給して、高速用電動機51cを回転速度Vに応じた回転速度w3で駆動させる。
そして、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v6(ただし、v5<v6)まで下降すると、中速用電動機51bを起動させる。本実施形態では、中速用電動機51bの起動時の速度v6が、v6=37,697に選択されている。すなわち、高速用電動機51cの回転速度w3が3.5Hz(=37,697×9.284617×10−5)まで下降した段階で、制御部33は、中速用電動機51bを起動し、第2の減速機53bの減速比1/20に応じて、回転速度w2=3Hz(=37,697×1.856923×10−3)で中速用電動機51bを駆動させる。この時点では、第2のクラッチ機構52bは未接続状態が維持されている。
そして、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v5よりも小さな速度v4まで下降するまでは、第2のクラッチ機構52bを未接続状態に維持した状態で、制御部33は、中速用電動機51bおよび高速用電動機51cを回転速度Vに応じた回転速度w2,w3でそれぞれ駆動させ、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v4まで下降すると、第2のクラッチ機構52bを未接続状態から接続状態に切換えるとともに、高速用電動機51cを駆動停止する。速度v4は、v5(=32,311)未満の適宜の値に選択される。
このように、本実施形態では、高速用電動機51c側のクラッチ板の回転速度と中速用電動機51b側のクラッチ板の回転速度とが同一または略同一となるように、換言すれば、第2の減速機53bの減速比1/20を考慮して、高速用電動機51cの回転速度w3に対応した回転速度w2で中速用電動機51bが回転するように、中速用電動機51bおよび高速用電動機51cをそれぞれ駆動させた状態で、第2のクラッチ機構52bを未接続状態から接続状態に切換えているので、高速用電動機51cから中速用電動機51bに切換える際に、第2のクラッチ機構52bをスムーズに衝撃なく接続状態に切換えることができる。
同様に、制御部33は、速度指令信号から取得した回転速度Vが中速の速度範囲であるときには、第1のクラッチ機構52aを未接続状態となり、第2のクラッチ機構52bを接続状態となるように動作させるとともに、中速用電動機51bに電力を供給して、中速用電動機51bを回転速度Vに応じた回転速度w2で駆動させる。
そして、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v3(ただし、v2<v3)まで下降すると、低速用電動機51aを起動させる。本実施形態では、低速用電動機51aの起動時の速度v3が、v3=1,885に選択されている。すなわち、中速用電動機51bの回転速度w2が3.5Hz(=1,885×1.856923×10−3)まで下降した段階で、制御部33は、低速用電動機51aを起動し、第1の減速機53aの減速比1/20に応じて、回転速度w1=3Hz(=1,885×3.713847×10−2)で低速用電動機51aを駆動させる。この時点では、第1のクラッチ機構52aは未接続状態が維持されている。
そして、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v2よりも小さな速度v1まで下降するまでは、第1のクラッチ機構52aを未接続状態に維持した状態で、制御部33は、低速用電動機51aおよび中速用電動機51bを回転速度Vに応じた回転速度w1,w2でそれぞれ駆動させ、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v1まで下降すると、第1のクラッチ機構52aを未接続状態から接続状態に切換えるとともに、中速用電動機51bを駆動停止する。速度v1は、v2(=1,616)未満の適宜の値に選択される。
このように、本実施形態では、中速用電動機51b側のクラッチ板の回転速度と低速用電動機51a側のクラッチ板の回転速度とが同一または略同一となるように、換言すれば、第1の減速機53aの減速比1/20を考慮して、中速用電動機51bの回転速度w2に対応した回転速度w1で低速用電動機51aが回転するように、低速用電動機51aおよび中速用電動機51bをそれぞれ駆動させた状態で、第1のクラッチ機構52aを未接続状態から接続状態に切換えているので、中速用電動機51bから低速用電動機51aに切換える際に、第1のクラッチ機構52aをスムーズに衝撃なく接続状態に切換えることができる。
以降、速度指令信号から取得した回転速度Vが速度v1よりも小さい場合には、制御部33は、第1および第2のクラッチ機構52a,52bを接続状態に維持した状態で、低速用電動機51aを回転速度Vに応じた回転速度w1で駆動させ、回転速度VがV=8まで下降すると、低速用電動機51aを駆動停止する。
このように制御部33は、各電動機51a〜51cを切換える際に、ヒステリシスを設けて制御しているので、ハンチングの発生を防止することができる。
以上のように、本実施形態によれば、アンテナ本体21を回動させるべき速度に関して低速・中速・高速の各速度範囲ごとに電動機51a〜51cが設けられている。したがって、各電動機51a〜51cに関して、各速度範囲において必要とされる出力に適した電動機を選択することにより、低速から高速までの広い速度範囲において、アンテナ本体21を精度良く駆動させることができる。これにより、アンテナ本体21の向きを追尾対象の衛星の位置へ正確に導入し、追尾させることができる。
またこのように、複数の速度範囲ごとに電動機51a〜51cを設けることによって、アンテナ本体21の回転速度の範囲を広くすることができ、衛星の追尾性能を向上させることができる。
駆動力発生部40を構成する各電動機は、誘導電動機(インダクションモータ)によって実現されるのが好ましい。これにより、サーボモータなどの高価な電動機を用いる場合に比べて、低コスト化を図ることができる。
また、誘導電動機を用いることによって、サーボモータなどを用いる場合に比べて、電動機自体の寿命を長くすることができる。さらに、誘導電動機は、サーボモータとは異なり、特殊な部品を用いることなく構成されるので、故障などの不具合が生じた場合であっても、メンテナンスを容易に行うことができる。
なお、本実施形態では、アンテナ本体21を回動させるべき速度を3段階に区分して、各速度範囲に対応するように電動機51a〜51cが設けられているが、区分する段階数は、3つに限らず、2つであってもよく、また4つ以上であってもよい。
さらに、本実施形態では、図2および図3に示される構造が、アジマス駆動部31およびエレベーション駆動部32のいずれにも採用されているが、これに限らず、他の実施形態では、いずれか一方、すなわちアジマス駆動部31またはエレベーション駆動部32のみに採用されてもよい。
図5は、第1および第2駆動側歯車48a,48bと従動側歯車50aとの噛合状態を説明するための図である。図5では、図2に関連してアジマス駆動部31の駆動力伝達部41について示しているが、エレベーション駆動部32においても同様の構造が採用されているものとする。
図5に示すように、無負荷時において、第1駆動側歯車48aは、その歯61における回転方向C1の上流側の歯面61aが、従動側歯車50aの歯63における回転方向E1の下流側の歯面63aに接触するように従動側歯車50aに噛合し、第2駆動側歯車48bは、その歯62における回転方向D1の上流側の歯面62aが、従動側歯車50aの歯63における回転方向E1の下流側の歯面63aに対して離間するように従動側歯車50aに噛合している。
本実施形態では、第2駆動側歯車48bは、その歯62における回転方向D1の下流側の歯面62bが、従動側歯車50aの歯63における回転方向E1の上流側の歯面63bに接触するように従動側歯車50aに噛合している。
したがって、入力歯車43に駆動力が入力されることによって、第1駆動側歯車48aに対し回転方向C1に回動させる駆動力が第1ウォーム歯車47aから伝達されるとともに、第2駆動側歯車48bに対し回転方向D1に回動させる駆動力が第2ウォーム歯車47bから伝達されると、第1駆動側歯車48aは、その歯61における回転方向C1の下流側の歯面61bと従動側歯車50aの歯63における回転方向E1の上流側の歯面63bとの間に隙間が存在することによって微小角度だけ回転してから、従動側歯車50aに駆動力を伝達するバックラッシュが生じることになる。
一方、第2駆動側歯車48bは、その歯62における回転方向D1の下流側の歯面62bと従動側歯車50aの歯63における回転方向E1の上流側の歯面63bとが接触しているので、遅れを生じることなく従動側歯車50aに駆動力を伝達することができる。
逆に、入力歯車43に駆動力が入力されることによって、第1駆動側歯車48aに対し回転方向C2に回動させる駆動力が第1ウォーム歯車47aから伝達されるとともに、第2駆動側歯車48bに対し回転方向D2に回動させる駆動力が第2ウォーム歯車47bから伝達されると、第2駆動側歯車48bは、その歯62における回転方向D2の下流側の歯面62aと従動側歯車50aの歯63における回転方向E2の上流側の歯面63aとの間に隙間が存在することによって微小角度だけ回転してから、従動側歯車50aに駆動力を伝達するバックラッシュが生じることになる。
一方、第1駆動側歯車48aは、その歯61における回転方向C2の下流側の歯面61aと従動側歯車50aの歯63における回転方向E2の上流側の歯面63aとが接触しているので、遅れを生じることなく従動側歯車50aに駆動力を伝達することができる。
このように、従動側歯車50aに駆動力を伝達する2つの駆動側歯車48a,48bに位相差が生じるように、2つの駆動側歯車48a,48bが設けられているので、バックラッシュを除去あるいは低減することができる。これにより、アンテナ本体21を正転方向(回転方向E1)および逆転方向(回転方向E2)へ、精度良く回動させることができる。
本実施形態では、2つの駆動側歯車48a,48bの位相を調整するために、図2に示すように、位相調整用のカップリング49が、第2伝達軸46に設けられている。すなわち、第2伝達軸46は、長手方向一端部に第1ウォーム歯車47aが設けられた第1軸部46aと、長手方向一端部に第2ウォーム歯車47bが設けられた第2軸部46bとから成り、カップリング49は、第1軸部46aの長手方向他端部と第2軸部46bの長手方向他端部とを、各軸部46a,46bが同軸となるように連結している。
カップリング49は、本実施形態では、ボルトを締めるという簡単な操作を行うことによって、大きな摩擦力を発生して2つの軸部46a,46bを締結することができるようなカップリングが用いられている。このようなカップリング49としては、たとえば株式会社ツバキエマソン製のパワーロック(商品名)を用いることができる。このように、本実施形態では、2つの駆動側歯車48a,48bの位相を簡単な操作によって調整することができる。
図6は、駆動力伝達部41における回転阻止部55の構成の一例を示す図である。前記と同様に、図6は、図2に関連してアジマス駆動部31の駆動力伝達部41について示しているが、エレベーション駆動部32においても同様の構造が採用されているものとする。
駆動力伝達部41は、前記構成のほか、図6に示すように、従動側歯車50aに噛合可能に設けられ、従動側歯車50aに噛合することによって、従動側歯車50aの回転動作を阻止する回転阻止部55をさらに含んで構成される。
回転阻止部55は、従動側歯車50aに噛合可能な歯を備えと、軸線L1に平行な予め定める軸線J5まわりに角変位可能に支持される噛合部55aと、制御部33から送信される制御信号に基づいて、噛合部55aを軸線J5まわりに角変位させる図示しない駆動部と含み、従動側歯車50aに近接して設けられる。
噛合部55aは、詳細には、その歯が従動側歯車50aに噛合可能な回転阻止位置P0と、従動側歯車50aの回転動作を妨げない退避位置P1との間で角変位可能に支持されている。噛合部55aは、アンテナ装置11の稼動状態では、退避位置P1に配置され、アンテナ装置11の稼動停止状態では、回転阻止位置P0に配置される。
本実施形態では、アンテナ駆動装置12による自動追尾処理が終了すると、制御部33は、アンテナ本体21が予め定めるデフォルト方向を指向するようにアンテナ駆動装置12を駆動させ、アンテナ本体21がデフォルト方向を指向すると、回転阻止部55を駆動させて、噛合部55aを退避位置P1から回転阻止位置P0に角変位させる。これにより、噛合部55aと従動側歯車50aとが噛み合うことによって、従動側歯車50aの軸線L1まわりの回転動作が阻止される。
従来技術では、従動側歯車50aに設けられたピン挿通孔と、回転台22を支持する基台13側に設けられたピン挿通孔とを、回転台22の回転方向に精度良く位置合わせした上で、それぞれのピン挿通孔に回転阻止用のピンを挿通させる必要があり、2つのピン挿通孔が精度良く位置合わせしなければ、回転台22の回転動作を阻止することができなかったが、本実施形態によれば、歯の噛み合わせによって回転台22の回転動作を阻止するように構成されているので、前記ピンを用いる場合に行われていた精度の良い位置合わせ作業が不要となる。したがって、従動側歯車の回転動作を阻止する作業を容易にかつ短時間で行うことができる。