以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料圧力制御装置を装備した車両用内燃機関の燃料供給システムの概略構成図である。
まず、構成について説明する。
図1に示すように、この燃料供給システムは、車両に搭載されるエンジン10の燃料噴射部15に燃料タンク30からの燃料を供給する燃料供給機構20と、この燃料供給機構20を制御する制御機構40とによって構成されている。また、制御機構40は、燃圧指令信号を生成する電子制御ユニット(以下、ECUという)41と、ECU41からの燃圧指令信号に従って燃料噴射部15への供給燃料の圧力(以下、供給燃圧という)Pfを可変制御する燃圧制御回路(以下、FPCという)42とを含んで構成されている。
エンジン10は、自動車に搭載される多気筒の内燃機関、例えば直列4気筒の4サイクルガソリンエンジンである。このエンジン10は、各気筒11内において燃料を消費しつつ図示しないクランク軸から回転動力を出力することができるようになっている。各気筒11内には図示しないピストンが収納されて燃焼室12が画成されるとともに、図示しない吸気弁および排気弁がそれぞれ作動タイミングで開閉するように装着されている。また、エンジン10には、複数の気筒11に対応する複数の点火プラグがそれぞれ対応する燃焼室12内に露出するように設けられており、これら点火プラグを点火駆動するイグニッションコイルを有する点火装置や、スロットル開度を可変制御する電子制御スロットルモータ等が装備されている。
このエンジン10には、複数の気筒11に対応する複数の吸気ポート13へと分岐する吸気通路14が形成されるとともに、複数の気筒11の燃焼順序で複数の吸気ポート13内に燃料を噴射可能な燃料噴射部15が設けられている。そして、燃料噴射部15は、複数の吸気ポート13に対応する複数のポート噴射用のインジェクタ16と、複数のインジェクタ16が配管接続されたデリバリーパイプ17とによって構成されている。
複数のインジェクタ16は、複数の気筒11および吸気ポート13に対応して設けられており、それぞれの噴孔(図示せず)側の端部を対応する吸気ポート13内に露出させている。また、詳細を図示しないが、各インジェクタ16は、後述するECU41からの噴射指令信号Iq(図1中に1気筒についてのみ図示する)によって励磁制御されるソレノイドコイルと、そのソレノイドコイルによって駆動されるニードルバルブと、噴口部とを有している。また、複数のインジェクタ16は、ECU41からの噴射指令信号Iqに従って開弁駆動できるようECU41側の図示しないドライバ回路に配線接続されている。そして、これらインジェクタ16が噴射駆動信号Iqにより所定の順序で必要な噴射時間だけ駆動されるとき、デリバリーパイプ17内に蓄圧・貯留されている燃料が、順次開弁するインジェクタ16から対応する吸気ポート13内に、噴射指令信号Iqに対応する燃料噴射時間とデリバリーパイプ17内の燃料圧力とに応じた噴射量だけ噴射されるようになっている。
デリバリーパイプ17は、燃料供給機構20から供給される燃料を燃料配管22(燃料供給通路)を通し導入して所定量の燃料を貯留する金属製のもので、その燃料の圧力に応じて撓むことにより供給燃圧Pfの脈動を吸収する機能と、インジェクタ16からのポート噴射に必要な燃圧を蓄圧する機能とを併有している。
燃料供給機構20は、フィードポンプ21と、フィードポンプ21の吐出口部(符号なし)とデリバリーパイプ17とを接続する燃料配管22と、フィードポンプ21の図示しない吸入口部側に設けられた燃料フィルタ23と、燃料配管22内の燃料の圧力を設定上限圧力に制限するリリーフ弁24と、燃料配管22内の燃料の一部を燃料タンク30内に還流させることができる電磁開閉式の減量弁25と、を含んで構成されている。
フィードポンプ21は、制御機構40の燃圧制御回路(図1中にはFPCと記す)42を介してECU41により制御される非容積型の電動式燃料ポンプであり、例えば円周流ポンプ(回転式のポンプ)で構成されている。
詳細は図示しないが、このフィードポンプ21は、ポンプ作動用の羽根車と、そのポンプ作動部分を駆動する内蔵モータとを有しており、その内蔵モータの駆動電圧と負荷トルクとに応じてポンプ作動用の羽根車の回転速度[rpm]および回転トルクのうち少なくとも一方を変化させることで、単位時間当りの吐出燃料の圧力[kPa]や流量を変化させることができるようになっている。すなわち、フィードポンプ21は、FPC42によって駆動電圧Vpが印加されるとき、その駆動電圧Vpに応じてポンプ作動用の羽根車を回転させることで、吐出能力(吐出圧および吐出量)を変化させることができる吐出能力可変タイプの燃料ポンプとなっている。
燃料フィルタ23は、このフィードポンプ21に吸入される燃料中の異物を捕捉可能な濾材で構成されている。
リリーフ弁24は、フィードポンプ21から燃料配管22内に吐出される燃料の圧力が予め設定された設定上限圧力に達するまでに上昇したときに開弁し、供給燃圧Pfを設定上限圧力以下に制限する安全弁機能を有している。ここにいう設定上限圧力とは、この圧力を超えると例えばインジェクタ16からの燃料漏れを誘発し易くなる程度に高い燃圧であり、リリーフ弁24の開弁設定圧であるこの設定上限燃圧は、例えば600kPaに設定されている。
このリリーフ弁24は、公知のものであり、その詳細を図示しないが、燃料配管22内の燃料の一部を燃料タンク30内に還流させることができる排出口を形成する弁座と、その弁座に対し係合および離脱することで排出口を開閉可能なリリーフ弁体と、そのリリーフ弁体を常時閉弁方向に付勢する弁ばねとを有している。そして、燃料配管22内の燃料の圧力が設定上限圧力に達すると、リリーフ弁24のリリーフ弁体に作用する開弁方向の付勢力がリリーフ弁体を閉弁させていた弁ばねの組込み荷重相当の付勢力に打ち勝って、リリーフ弁24が開弁するようになっている。
減量弁25は、燃料配管22内からの燃料を絞り部25aを通して燃料タンク30内に還流させて燃料噴射部15への供給燃料の流量および圧力を低下させることができる開弁状態と、その燃料の還流を阻止する閉弁状態とに切替え可能な電磁式のものである。この減量弁25は、少なくともエンジン10のアイドル運転時等のように燃料消費量が少量であるときに開弁状態にされ、エンジン10の燃料消費量に対しフィードポンプ21からの吐出量が多いために余剰となる燃料(ポンプ吐出燃料の一部;以下、余剰燃料という)を燃料タンク30内に戻すことができるようになっている。すなわち、減量弁25は、余剰燃料を燃料タンク30内に還流させることでデリバリーパイプ17への供給燃圧Pfを減圧する減圧機能を発揮する開弁状態と、その減圧機能を停止もしくは低下させることでデリバリーパイプ17への供給燃圧Pfを昇圧・復帰させることができる閉弁状態とに切替え可能な圧力制御弁となっている。
また、減量弁25は、例えば、少なくとも一部に磁性体を含む弁体25vと、この弁体25vを軸方向に可動な状態で保持するとともに燃料配管22側からの燃料を導入する保持筒部25bと、保持筒部25bの燃料排出口側に設けられた絞り部25aと、保持筒部25bに支持され弁体25vを絞り部25aから離隔する方向に付勢することができるコイル25cとを有している。さらに、保持筒部25bには、弁体25vが着座可能な環状の弁座(詳細図示せず)が形成されており、弁体25vがその弁座に着座するとき閉弁状態となり、弁体25vがその弁座から離脱するとき絞り部25aによって一部の通路断面積が縮小された燃料排出通路26が開放されるようになっている。
この減量弁25は、FPC42から切替制御電圧Vsとして供給される電圧信号に応じてコイル25cを選択的に励磁され、その切替制御信号Vsにより要求される開閉状態に切り替わるようになっている。ここでは、フィードポンプ21の作動時には弁体25vが燃料配管22内からの燃圧等(閉弁用の弁ばねが別設されてもよい)によって弁座に着座する閉弁方向に付勢され、コイル25cによって弁体25vが弁座から離脱する開弁方向に付勢されるものとして説明するが、減量弁25は、弁体25vがコイルばね等の弾性部材によって常時開弁方向に付勢され、コイル25cによって弁体25vを閉弁方向に付勢する電磁力を発生させてもよい。
燃料タンク30は、所定容積のもので、外部から燃料を補給可能になっている。
制御機構40は、エンジン10の運転状態に応じて目標燃圧Pc(燃料噴射部15への供給燃料の目標圧力)を可変設定し、その目標燃圧Pcに応じてフィードポンプ21の吐出能力を変化させる駆動電圧Vpの可変制御と、切替制御信号Vsによる目標燃圧Pcに応じた減量弁25の開閉状態の切替え制御とを実行するようになっている。
具体的には、この制御機構40のECU41が、車両およびエンジン10の運転状態とドライバからの要求操作入力等に基づいて、目標燃圧Pcを算出するようになっている。また、制御機構40の燃圧制御回路(図1中にはFPCと記す)42が、ECU41と協働して、フィードポンプ21の駆動電圧Vpの可変制御によりフィードポンプ21の吐出能力(吐出圧および吐出量)を可変制御するとともに、減量弁25の開閉状態の切替え制御を実行することで、デリバリーパイプ17内の燃料の圧力を、ECU41から要求される目標燃圧Pcに追従させるフィードバック制御を実行するようになっている。
また、ECU41は、デリバリーパイプ17に装着された燃圧センサ51からデリバリーパイプ17内の実際の燃料の圧力(以下、実燃圧という)Prに相当する実燃圧信号を取り込むとともに、車両やエンジン10に装備された他のセンサ群のセンサ情報を取り込み、エンジン10の運転状態やドライバからの要求操作入力に応じたエンジン10の燃料噴射量をマップ等を参照しつつ算出し、その燃料噴射量に対応する目標燃圧Pcを算出するようになっている。
燃圧センサ51は、低圧側のデリバリーパイプ17内の燃圧(図1中のPf)を検出するようになっている。また、ここにいう他のセンサ群とは、例えばアクセル開度センサ52、エアフローメータ53、クランク角センサ54および水温センサ55等である。アクセル開度センサ52は、車両に装備された図示しないアクセルペダルの踏込み率をアクセル開度(図1中のAccp)として検出し、エアフローメータ53は、エンジン10の吸入空気量(図1中のQa)を検出する。クランク角センサ54は、エンジン10の機関回転速度を算出可能なクランク角(図1中のCA)を検出し、水温センサ55は、エンジン10の冷却水温度(図1中のThw)を検出する。他のセンサ群に、公知の吸気温度センサ、スロットル開度センサ、空燃比センサ、酸素センサ、吸気用カム角センサ、排気用カム角センサ等が含まれ得ることはいうまでもない。
本実施形態における燃料圧力制御装置は、燃料供給機構20のフィードポンプ21、リリーフ弁24および減量弁25と、制御機構40のECU41およびFPC42と、燃圧センサ51および他のセンサ群とを含んで構成されている。
より具体的には、ECU41は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップメモリ(例えば、バックアップRAMまたは不揮発性メモリ)を含んで構成されており、さらに、入力インターフェース回路および出力インターフェース回路等を含んで構成されている。
ECU41の入力インターフェース回路には、車両のイグニッションスイッチのON/OFF信号が取り込まれるとともに、前述の各種センサ51〜55等からのセンサ情報が取り込まれるようになっている。ECU41の出力インターフェース回路には、図示しないドライバ回路を介してインジェクタ16や電子スロットルモータ、前述の点火装置等が接続されるとともに、FPC42が接続されている。
ECU41は、ROM内に格納された制御プログラムを実行することで、公知の電子スロットル制御、燃料噴射量制御、点火時期制御、燃料カット制御等を実行することができる。例えば、ECU41は、エアフローメータにより検出される吸入空気量とクランク角センサにより検出されるエンジン回転数とに基づいて燃焼毎に必要な基本噴射量を算出し、さらに、エンジン10の運転状態に応じた各種補正や空燃比フィードバック補正等を施した燃料噴射量を算出し、その燃料噴射量に対応する噴射時間だけ対応するインジェクタ16を開弁駆動することができる。
また、ECU41は、エンジン10の冷却水温が所定温度以上の高温となっている状態でエンジン10が始動される高温再始動時や、燃料カット状態から通常運転状態への復帰時等に、目標燃圧Pcを高圧側の目標燃圧値PH(図6(a)参照)、例えば530kPaに設定するようになっている。
ここにいう高温再始動時とは、例えば車両の一時停止時等にエンジン10を自動停止させるいわゆるアイドリングストップ状態からエンジン10を再始動させるとき、ハイブリッド方式の走行駆動ユニットを搭載する車両でそのパワーユニットの効率を高めるためにエンジン10を一時的に停止させた後に再始動するとき等である。また、燃料カット状態とは、エンジン10の所定の運転状態、例えば車両の減速時や降坂時でアクセル開度が略ゼロのときに、エンジン10のクランク回転状態で、インジェクタ16からの燃料噴射が一時的に停止される状態であり、ECU41が、各種センサ情報を基に燃料カット可能な運転状態であると判定している間、燃料カットが実行されるようになっている。
エンジン10がアイドリングストップ状態にあるとき、冷却水や冷却風によるエンジン10の冷却が停止されることで、低圧側のデリバリーパイプ17等の燃料供給経路中の燃料の温度が高くなり、温度に依存するその燃料の飽和蒸気圧が高くなるので、燃料ベーパが生じ易くなる。また、燃料カット状態にあるときも、このデリバリーパイプ17等の燃料供給経路中において燃料の流れが停止され、燃料タンク30側からの低温の燃料が導入されないことから、やはり、燃料温度が徐々に高くなり、温度に依存する燃料の飽和蒸気圧が高くなって、燃料ベーパが生じ易くなる。そして、燃料供給経路中の燃料に燃料ベーパが発生すると、正常な燃料噴射量制御ができなくなる等して、エンジン10の排気エミッションが悪化したりエンジン10の運転状態が悪化したりする可能性がある。そこで、本実施形態においては、燃料の飽和蒸気圧が高くなるときには、ECU41により高圧側の目標燃圧Pcを設定して、燃料ベーパの発生を抑えるようになっている。
ここにいう高圧側の目標燃圧値PHは、エンジン10の高温再始動時や長時間の燃料カット状態からの復帰時等に、あるいは高負荷運転時に、必要な燃料供給圧を確保したり燃料噴射量の制御範囲を高燃料噴射量側に偏倚させたりすることができる燃圧である。
一方、ECU41は、例えばエンジン10が専ら部分負荷運転となる運転域にあるときには、その運転域でのエンジン10の発熱等によって燃料供給経路中に燃料ベーパが生じるのを抑制できる程度の低圧側の目標燃圧値PL(図6(a)参照)、例えば300kPaを設定するようになっている。
この低圧側の目標燃圧値PLは、前述のモード域の運転期間中におけるフィードポンプ21の消費電力を抑えるとともに、燃料噴射量の制御範囲を低燃料噴射量側に偏倚させ得る燃圧である。
ECU41は、エンジン10の運転期間中またはイグニッションONの状態下で、所定時間毎に、前述のような目標燃圧Pcをエンジン10の運転状態やドライバからの加速要求やシフト操作その他の要求操作入力等に応じて設定し、その目標燃圧PcをFPC42に出力するようになっている。
このECU41からの目標燃圧Pcを入力するFPC42は、入力した目標燃圧Pcと燃圧センサ51によって検出されるデリバリーパイプ17内の実燃圧Prとが一致するように、それらの燃圧Pc,Pr間の偏差に応じてフィードポンプ21の駆動電圧Vpをフィードバック制御する。そして、FPC42からの駆動電圧Vpの変化に応じて、フィードポンプ21のポンプ作動用の羽根車の回転速度や回転トルク(勿論、速度とトルクの双方でもよい)が変化し、フィードポンプ21の吐出能力が変化することで、低圧側のデリバリーパイプ17内の実燃圧Prが目標燃圧Pcに追従する方向に変化する。
図6(a)に示すように、供給燃圧Pfが高圧側の目標燃圧値PHに制御されるときと、供給燃圧Pfが低圧側の目標燃圧値PLに制御されるときとでは、インジェクタ16を開弁させる噴射時間τが同一であっても、燃料噴射量は相違する。例えば、供給燃圧Pfが高圧側の目標燃圧値PHに制御される状態で噴射時間τが最小噴射時間τ1に制御されるときの最小燃料噴射量qbよりも、供給燃圧Pfが低圧側の目標燃圧値PLに制御される状態で噴射時間τが最小噴射時間τ1に制御されるときの最小燃料噴射量qaの方が、微小量となる。また、供給燃圧Pfが高圧側の目標燃圧値PHに制御される状態で噴射時間τが最大噴射時間τ2に制御されるときの最大燃料噴射量qdは、供給燃圧Pfが低圧側の目標燃圧値PLに制御される状態で噴射時間τが最大噴射時間τ2に制御されるときの最大燃料噴射量qcに対し、十分に大きくなる。したがって、供給燃圧Pfを図6(a)中の燃料噴射量qb、qcの間で目標燃圧Pcを高圧側から低圧側に、あるいはその逆に切り替えることで、燃料噴射量を最小燃料噴射量qaから最大燃料噴射量qdまで広範囲に変化させることができる。
一方、フィードポンプ21の駆動電圧は、予め設定されたロック防止用の下限電圧Vmin以上の電圧可変範囲内で制御するようになっている。ここにいう下限電圧Vminとは、フィードポンプ21の内部に燃料フィルタ23を通る程度の異物が吸入されたとしても、それによってフィードポンプ21のポンプ作動用の羽根車がロックされない程度に十分な回転トルクを発生させ得る駆動電圧である。すなわち、下限電圧Vminは、燃料中の固形物の吸入によるフィードポンプ21の回転停止を防止可能な電圧値に設定されている。上限電圧Vmaxは、フィードポンプ21に要求される最大吐出量および最高燃圧に基づいて設定される。
このように、フィードポンプ21の駆動電圧Vpの可変範囲は制限されるため、特にロック防止用の下限電圧Vminが設定されるため、フィードポンプ21の吐出能力の下限を小さく設定できない。そのため、実燃圧Prを目標燃圧Pcに追従させるようにフィードポンプ21の駆動電圧Vpを可変制御するだけでは、実燃圧Prが目標燃圧Pcに達する前に駆動電圧Vpがその電圧可変範囲内から外れてしまう場合が生じ得る。
そこで、ECU41は、フィードポンプ21の駆動電圧Vpが電圧可変範囲のうち下限電圧Vmin側に制御されてフィードポンプ21の吐出圧が比較的低圧になっても、減量弁25の閉弁状態のままでは実燃圧Prが目標燃圧Pcに達する前に駆動電圧Vpが下限電圧Vminに達してしまい得る場合には、減量弁25の閉弁状態から開弁状態への切替え制御を実行する。また、ECU41は、フィードポンプ21の駆動電圧Vpが電圧可変範囲のうち上限電圧Vmax側に制御されてフィードポンプ21の吐出圧が比較的高圧になっても、減量弁25の開弁状態のままでは実燃圧Prが目標燃圧Pcに達する前に駆動電圧Vpが上限電圧Vmaxに達してしまい得る場合には、減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替え制御を実行するようになっている。
具体的には、ECU41は、図6(b)に破線の矢印で示すように、減量弁25の閉弁状態でフィードポンプ21の駆動電圧Vpをその可変範囲のうち中心電圧より下限電圧Vmin側に低下させるときに、減量弁25の閉弁状態のままで駆動電圧Vpをさらに低下させると目標燃圧Pcに達する前に駆動電圧Vpが下限電圧Vminに達してしまい得るか否かを判定する。そして、駆動電圧Vpが特定電圧値Vaまで低下し、フィードポンプ21の駆動電圧Vpが下限電圧Vminに達してしまい得ると判定すると、減量弁25の閉弁状態から開弁状態への切替え制御を実行する。
減量弁25の開弁状態では、減量弁25が閉弁状態にあるときに比べて燃料噴射部15への供給燃圧Pfが相対的に低下するとともに、駆動電圧Vpの変化に対してデリバリーパイプ17に供給可能な燃料圧力Pの変化率が小さくなる。したがって、燃料噴射部15でのインジェクタ16の開閉による燃料噴射量制御をきめ細かく高精度に実行できることになる。
また、図6(b)に二点鎖線で示すように、ECU41は、減量弁25の開弁状態でフィードポンプ21の駆動電圧Vpをその可変範囲のうち中心電圧より上限電圧Vmax側に増大させるときには、減量弁25の開弁状態のままで駆動電圧Vpをさらに増大させると目標燃圧Pcに達する前に駆動電圧Vpが上限電圧Vmaxに達してしまい得るか否かを判定する。そして、駆動電圧Vpが特定電圧値Vbまで増大し、フィードポンプ21の駆動電圧Vpが上限電圧Vmaxに達してしまい得ると判定すると、減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替え制御を実行する。
減量弁25の閉弁状態では、減量弁25が開弁状態にあるときに比べて燃料噴射部15への供給燃圧Pfが相対的に増大するとともに、駆動電圧Vpの変化に対してデリバリーパイプ17に供給可能な燃料圧力Pの変化率が大きくなる。したがって、必要時に燃料噴射部15での燃料噴射量を十分に増大させることができる。
さらに、ECU41は、減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替え制御を実行する際には、まず、図5(a)に示すように、フィードポンプ21の吐出能力を低下させるよう駆動電圧Vpを下げる電圧切替えを実行する。そして、その駆動電圧Vpの切替え時点taから予め設定したディレイ時間Td1が経過した時点tbで、減量弁25の閉弁状態への切替えを要求する切替制御信号Vsの電圧切替え(例えば電圧OFFとする切替え)を実行し、その切替制御信号Vsを減量弁25に入力させるようになっている。ここでの駆動電圧Vpの切替え幅ΔV1(駆動電圧の可変幅)は、減量弁25の閉弁状態への切替えに伴う燃圧上昇(目標燃圧Pcからのずれ)に対し、これと相殺し得る程度の減圧方向の燃圧変化を生じさせるようにフィードポンプ21の吐出能力を低下させる差電圧値に設定される。
また、ECU41は、減量弁25の閉弁状態から開弁状態への切替え制御を実行する際には、まず、図5(b)に示すように、フィードポンプ21の吐出能力を上昇させるよう駆動電圧Vpを上げる電圧切替えを実行する。そして、ECU41は、その駆動電圧Vpの切替え時点taから予め設定したディレイ時間Td2が経過した時点tbで、減量弁25の開弁状態への切替えを要求する切替制御信号Vsの電圧切替え(例えば電圧ONとする切替え)を実行し、その切替制御信号Vsを減量弁25に入力させるようになっている。ここでの駆動電圧Vpの切替え幅ΔV2(駆動電圧の可変幅)は、減量弁25の開弁状態への切替えに伴う燃圧低下(目標燃圧Pcからのずれ)に対し、これと相殺し得る程度の昇圧方向の燃圧変化を生じさせるようにフィードポンプ21の吐出能力を増大させる差電圧値に設定される。
このように、制御機構40のECU41およびFPC42は、減量弁25の開閉状態を切り替える場合に、その切替えによる供給燃料圧力の増減方向に対してフィードポンプ21の吐出能力の変化による供給燃料圧力の増減方向が逆方向になるように、フィードポンプ21の駆動電圧Vpを予め変化させてから、減量弁25に切替制御信号を入力させるようになっている。
駆動電圧Vpの切替え時点taからディレイ時間Tdが経過した時点tbは、ECU41のタイマ機能で検出され得る。また、ディレイ時間Tdは、減量弁25の切替え方向に応じて、それぞれに最適な異なるディレイ時間Td1,Td2として設定されてもよいし、同一のディレイ時間Tdとして設定されてもよい。前者の場合、減量弁25の切替えに最適なディレイ時間Td1,Td2は、それぞれの切替え時における実燃圧Prの変動幅が最も小さくなる確率の高いディレイ時間として設定されるのがよい。
ここで、制御機構40のECU41およびFPC42は、フィードポンプ21の駆動電圧Vpを変化させてから予め設定されたディレイ時間Td1またはTd2が経過するときに、切替制御信号を減量弁25に入力させるようになっている。また、そのディレイ時間Td1またはTd2は、フィードポンプ21の吐出能力の変化に伴う供給燃料圧力の増減方向一方側(例えば増加側または減少側)への変化によって、減量弁25の開閉状態の切替えに伴う供給燃料の圧力の増減方向他方側(例えば減少側または増加側)への変化が抑制される時間範囲内に設定されている。さらに、減量弁25の開閉状態を切り替える場合の制御機構40によるフィードポンプ21の駆動電圧の可変幅V1,V2は、フィードポンプ21の吐出能力の変化に伴う供給燃料圧力の増減方向一方側への変化によって、減量弁25の開閉状態の切替えに伴う供給燃料圧力の増減方向他方側への変化が実質的に相殺されるような値に設定されている。
前述のように、制御機構40は、エンジン10の冷却水温が所定温度以上の高温となっている状態でエンジン10が運転されるとき、デリバリーパイプ17への供給燃圧Pfを前述の設定上限圧力より低圧の燃圧制御範囲(ここでは、300kPaから530kPaの燃圧範囲)内で変化させることができ、リリーフ弁24はエンジン10のこのような運転中は専ら閉弁状態を維持することになる。
また、ECU41は、各種センサ51〜55からのセンサ情報と、ROMやバックアップメモリ(以下、ROM等という)に予め格納された設定値やマップ情報等とに基づいて、エンジン10の運転中にその負荷状態を繰返し判定し、通常の部分負荷の運転状態においては目標燃圧を低圧側の目標燃圧値PLあるいはそれに近い燃圧に設定する。一方、ECU41は、エンジン10の高温再始動時や燃料カット状態からの復帰時、あるいは、エンジン10の停止直前等には、目標燃圧を高圧側の目標燃圧値PHあるいはそれに近い燃圧に設定するようになっている。そのため、ECU41のROM等に格納される設定値には、少なくとも制御機構40による燃圧制御範囲を規定する高圧側の目標燃圧値PHおよび低圧側の目標燃圧値PLの設定値が含まれ、ROM等に格納されるマップ情報には、運転負荷の判定とその判定結果に応じた燃圧制御のためのマップ等が含まれている。
また、FPC42は、フィードポンプ21が特定電圧値Vaに制御されるときには、フィードポンプ21から吐出される燃料のうち燃料噴射部15から噴射される燃料以外の余剰燃料(ポンプ吐出量と燃料噴射部15での燃料消費量の差分)を燃料タンク30内に還流させるように、減量弁25の開弁時間を制御するようになっている。
さらに、FPC42には、フィードポンプ21の内蔵モータの端子電圧を検出する電圧検出部や、フィードポンプ21の内蔵モータに流れる電流を検出する電流検出部が設けられている。そして、FPC42は、ECU41からの目標燃圧Pcと燃圧センサ51により検出される実燃圧Prとの偏差に応じて、フィードポンプ21の内蔵モータに印加する駆動電圧Vpを制御したり、異常診断のためのフィードポンプ21の内蔵モータの作動状態に応じた診断用信号(図1中のDiag信号)をECU41に供給したりすることができるようになっている。
このFPC42には、バッテリからの電源供給がなされるとともに、ECU41が通信可能に接続されている。また、FPC42には、フィードポンプ21の内蔵モータに印加する駆動電圧Vpまたはフィードポンプ21の内蔵モータへの供給エネルギを可変制御するための図示しないスイッチング素子等が内蔵されている。
次に、本実施形態における燃圧制御とそれによる作用について説明する。
上述のように構成された本実施形態においては、制御機構40により、車両およびエンジン10の運転状態とドライバからの要求操作入力等に応じて目標燃圧Pcが算出され、燃圧センサ51で検出される実燃圧Prを目標燃圧Pcに制御すべく、フィードポンプ21の駆動電圧Vpの可変制御が繰り返し実行されるとともに、必要時に減量弁25の切替え制御が実行される。
図2〜図4は、そのような燃圧制御のために実行される複数の制御プログラムを示している。なお、これらの処理は、エンジン10の運転中に予め設定されたそれぞれの制御周期で繰返し実行される。
図2に示す第1の制御プログラムでは、まず、エンジン10の運転状態やドライバからの要求操作入力に応じたエンジン10の所定時間当りの燃料消費量(要求されるフィードポンプ21の吐出能力でもよい)が、各種センサ51〜55等の検出情報やマップ情報等を基に算出される(ステップS11)。
次いで、要求される燃料消費量に対応する目標燃圧Pcが算出された後(ステップS12)、その目標燃圧Pcが減量弁25の開閉状態の切替えを要求する切替え燃圧Pth未満であるか否かが判別される(ステップS13)。
このとき、算出された目標燃圧Pcが切替え燃圧Pth未満であったならば(ステップS13でYESの場合)、次いで、駆動電圧Vpを目標燃圧Pcを得るのに必要な電圧値に変化させると、上限電圧Vmax側の特定電圧値Vbに達する(Vp=Vbとなってそれ以上電圧を大きくできない状態となる)ことになるか否かが判別される(ステップS14)。そして、駆動電圧Vpが特定電圧値Vbに達する場合には(ステップS14でYESの場合)、減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替え要求フラグがセットされる(ステップS15)。
一方、目標燃圧Pcが切替え燃圧Pth未満でなかったならば(ステップS13でNOの場合)、まず、目標燃圧Pcが切替え燃圧Pthであるか否かが判別される(ステップS16)。
このとき、目標燃圧Pcが切替え燃圧Pthであれば(ステップS16でYESの場合)、減量弁25の切替え制御中であるので、今回の処理を終了する。
目標燃圧Pcが切替え燃圧Pthでなければ(ステップS16でNOの場合)、次に、駆動電圧Vpを目標燃圧Pcを得るのに必要な電圧値に変化させると、下限電圧Vmin側の特定電圧値Vaに達する(Vp=Vaとなってそれ以上電圧を小さくできない状態となる)ことになるか否かが判別される(ステップS17)。そして、駆動電圧Vpが特定電圧値Vaに達する場合には(ステップS17でYESの場合)、減量弁25の閉弁状態から開弁状態への切替え要求フラグがセットされた後(ステップS18)、今回の処理を終了する。
他の場合、すなわち、目標燃圧Pcが切替え燃圧Pth未満であるが駆動電圧Vpが特定電圧値Vbに達しない場合や、目標燃圧Pcが切替え燃圧Pthを超えるが駆動電圧Vpが特定電圧値Vaに達しない場合には、減量弁25の切替えは必要でないことになり、切替え要求フラグがリセットされた後(ステップS19)、今回の処理が終了する。
ここで、切替え要求フラグがセットされるとは、切替え要求フラグが例えば1(またはON)に設定されることを意味し、切替え要求フラグがリセットされるとは、切替え要求フラグが0(またはOFF)に設定されることを意味する。
図3に示す第2の制御プログラムでは、まず、切替え要求フラグのセット状態か否かが判別され(ステップS21)、減量弁25の開閉状態の切替えが必要な切替え要求フラグのセット状態になっていれば(ステップS21でYESの場合)、次いで、減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替えが必要であるか否かが判別される(ステップS22)。
このとき、減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替えが必要であれば(ステップS22でYESの場合)、次いで、フィードポンプ21の吐出能力を所定量低下させるよう駆動電圧Vpを図5(a)に示す切替え幅ΔV1だけ減じる電圧可変制御が実行される(ステップS23)。
次いで、ECU41のタイマ機能により、駆動電圧Vpの切替え時点taから予め設定したディレイ時間Td、例えば減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替えに最適なディレイ時間Td1が経過するまで待機状態となる。そして、そのディレイ時間Td1が経過した時点tbで、減量弁25の閉弁状態への切替えを要求する切替制御信号Vsの電圧切替え(例えば電圧OFFとする切替え)が実行されることにより、減量弁25が開弁状態から閉弁状態に切り替えられる(ステップS24)。なお、駆動電圧Vpの切替え直後からディレイ時間Td1が経過するまで、ディレイ時間Td1が経過したか否かの判別処理を繰返し、その判別結果がYESとなった時点で切替制御信号Vsの電圧切替えを実行してもよいことはいうまでもない。
一方、ステップS22での判定結果がNOの場合、すなわち、減量弁25の閉弁状態から開弁状態への切替えが必要な場合であれば、その次のステップS25で、フィードポンプ21の吐出能力を所定量増大させるよう駆動電圧Vpを図5(b)に示す切替え幅ΔV2だけ増加させる電圧可変制御が実行される。次いで、ECU41のタイマ機能により、駆動電圧Vpの切替え時点taから予め設定したディレイ時間Td、例えば減量弁25の閉弁状態から開弁状態への切替えに最適なディレイ時間Td2が経過するまで待機状態となる。そして、ディレイ時間Td2が経過した時点tbで、減量弁25の開弁状態への切替えを要求する切替制御信号Vsの電圧切替え(例えば電圧ONとする切替え)が実行されることにより、減量弁25が閉弁状態から開弁状態に切り替えられる(ステップS26)。
なお、最初の切替え要求フラグの判別ステップS21で、減量弁25の開閉状態の切替えが必要でない切替え要求フラグのリセット状態になっていれば(ステップS21でNOの場合)、以下に説明する図4に示す燃圧フィードバック制御に移行して(ステップS27)、今回の処理を終了する。
図4に示す第3の制御プログラムは、燃圧フィードバック制御を実行するものである。
この制御では、まず、燃圧センサ51からの検出信号に基づいて実燃圧Prが検出される(ステップS31)。
次いで、実燃圧Prと目標燃圧Pcとの偏差である燃圧誤差ΔPe(=Pc−Pr)が0[kPa]もしくは予め設定された0[kPa]を付近の不感帯領域内にあるか、あるいは、燃圧誤差ΔPeが有意の正または負の圧力値となるかが判断される(ステップS32)。
そして、燃圧誤差ΔPeが有意の正の圧力値(ΔPe>0[kPa])である場合は、フィードポンプ21の駆動電圧Vpを燃圧誤差ΔPeに応じて上昇させる電圧制御がなされ(ステップS33)、燃圧誤差ΔPeが有意の負の圧力値(ΔPe<0[kPa])である場合は、フィードポンプ21の駆動電圧Vpを燃圧誤差ΔPeに応じて低下させる電圧制御がなされる(ステップS34)。また、燃圧誤差ΔPeが0[kPa]もしくは予め設定された0[kPa]付近の不感帯領域内にある場合は、フィードポンプ21の駆動電圧Vpを保持する電圧制御がなされる(ステップS35)。
フィードポンプ21の駆動電圧Vpは、このように、燃圧誤差ΔPeを0[kPa]に近付け、デリバリーパイプ17内の実燃圧Prを目標燃圧Pcに追従させるようにフィードバック制御される。
以上のような制御が実行される本実施形態においては、減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替えの際には、図5(a)に示すように、先にフィードポンプ21の吐出能力を低下させるよう駆動電圧Vpが下げられてから、ディレイ時間Td1が経過するときに減量弁25の閉弁状態への切替制御信号Vsが減量弁25に入力される。したがって、減量弁25の切替え時に燃圧フィードバック制御だけでは実燃圧Prを目標燃圧Pcに迅速・的確に追従させることが困難な場合に、減量弁25の切替えの影響を先読みしたポンプ負荷の増減によって迅速に抑制する、フィードフォワード制御を加えるような切替え制御が可能となる。その結果、減量弁25の切替えに起因する実燃圧Prの上昇分ΔPswとフィードポンプ21の吐出能力低下側への切替えに起因する実燃圧Prの低下分ΔPmdとが互いに相殺され、減量弁25の開閉状態の切替えに伴う実燃圧Prの変化が有効に抑制されるような切替え制御が可能となる。
また、減量弁25の閉弁状態から開弁状態への切替えの際には、図5(b)に示すように、先にフィードポンプ21の吐出能力を上昇させるよう駆動電圧Vpが上げられた時点taからディレイ時間Td2が経過する時点tbに、減量弁25の開弁状態への切替制御信号Vsが減量弁25に入力される。したがって、フィードポンプ21の駆動電圧Vpを先に上げ、減量弁25の開弁状態への切替えにディレイをかけることで、前述の減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替えの際と同様に、減量弁25の切替えの影響を迅速に抑制するフィードフォワード制御を加えるような切替え制御が可能となる。その結果、減量弁25の切替えに起因する実燃圧Prの低下分ΔPswとフィードポンプ21の吐出能力上昇側への切替えに起因する実燃圧Prの増加分ΔPmdとが互いに相殺され、減量弁25の開閉状態の切替えに伴う実燃圧Prの変化が有効に抑制される。
このように、本実施形態においては、圧力制御弁の切替えに際して、フィードポンプ21の吐出能力の可変制御が先行して開始され、それより遅れて減量弁25の切替え制御が開始される。したがって、減量弁25の切替えに起因する燃料噴射部15への供給燃料圧力(実燃圧Pr)の変化に対して、フィードポンプ21の吐出能力の切替えに起因する実燃圧Prの変化に時間がかかったとしても、減量弁25の切替え制御による実燃圧Prの変化がフィードポンプ21の吐出能力の変化による逆方向の供給燃料圧力の変化によって実質的に相殺され、抑制される。
そして、図5(a)および図5(b)にそれぞれ実線で示す燃圧Prのように、減量弁25の開閉状態の切替え方向に関係なく、減量弁25の切替えを伴う燃料供給状態の切替え時における供給燃圧Pfの変化を迅速・的確に抑制し、実燃圧Prの変化を十分に抑制することができる。したがって、例えば高圧側および低圧側の目標燃圧値PH,PLの間で目標燃圧Pcが切り替えられる場合でも、それに伴う実燃圧Prの変更時にオーバーシュートやアンダーシュート等が発生し難くなり、燃費(燃料消費率)や排気浄化性能が悪化したり、そのエンジン10を搭載した車両のドライバビリティが悪化したりすることを防止できる。
特に、本実施形態では、ディレイ時間Td1,Td2が、それぞれフィードポンプ21の吐出能力の変化に伴う供給実燃圧Prの増加方向または減少方向への変化によって、減量弁25の開閉状態の切替えに伴う供給実燃圧Prの減少方向または増加方向への変化が抑制される時間範囲内に設定されている。したがって、減量弁25の切替え制御による供給燃料圧力の変化が生じるときに、その変化を抑制するようにフィードポンプ21の吐出能力の変化による逆方向の供給燃料圧力の変化が生じることになる。
それに加えて、減量弁25の開閉状態を切り替える場合の制御機構40によるフィードポンプ21の駆動電圧の可変幅V1,V2は、フィードポンプ21の吐出能力の変化に伴う供給実燃圧Prの増加方向または減少方向への変化によって減量弁25の開閉状態の切替えに伴う供給実燃圧Prの減少方向または増加方向への変化が実質的に相殺される値に設定されている。これによって、減量弁25の切替え制御による実燃圧Prの変化が生じようとするときに、その変化がフィードポンプ21の吐出能力の変化による逆方向の燃圧変化によって相殺されることになり、燃料供給状態の切替え時における供給燃料圧力の不要な変化が的確に抑制されることになる。
ちなみに、フィードポンプ21の吐出能力を低下させるよう駆動電圧Vpの切替えと、それに対応する減量弁25の切替制御信号Vsの電圧切替えとを同一のタイミングで実行した場合の燃圧変化は、図7(a)および図7(b)に例示するように変動することになる。
図7(a)および図7(b)に示すように、減量弁25の開閉状態の切替えの際には、駆動電圧Vpの切替えとそれに対応する減量弁25の切替制御信号Vsの電圧切替えとを同一のタイミングで実行すると、減量弁25の切替えにより実燃圧Prが短時間のうちに急に変化し始めるが、フィードポンプ21の駆動電圧Vpの切替えに伴う吐出能力の切替えや燃圧フィードバック制御よる燃圧の変化には相対的に長い時間がかかることになる。したがって、減量弁25の閉弁状態への切替えの場合には実燃圧Prが一時的に増加し、減量弁25の開弁状態への切替えの場合には実燃圧Prが一時的に低下するような燃圧変動が生じ易いものとなる。
前述のように、本実施形態では、フィードポンプ21の駆動電圧Vpが電圧可変範囲のうち下限電圧Vmin側に制御されてフィードポンプ21の吐出圧が比較的低圧になった状態であっても、減量弁25の閉弁状態のままでは目標燃圧Pcに達する前に駆動電圧Vpが下限電圧Vminに達してしまい得る場合には、減量弁25の閉弁状態から開弁状態への切替え制御が実行される。したがって、減量弁25の開弁状態では、減量弁25が閉弁状態にあるときに比して燃料噴射部15への供給燃圧Pfが相対的に低下することで、燃料噴射部15での燃料噴射量制御をきめ細かく高精度に実行できることになる。
しかも、フィードポンプ21の駆動電圧Vpが電圧可変範囲のうち上限電圧Vmax側に制御されてフィードポンプ21の吐出量が比較的高流量になった状態であっても、減量弁25の開弁状態のままでは目標燃圧Pcに達する前に駆動電圧Vpが上限電圧Vmaxに達してしまい得る場合には、減量弁25の開弁状態から閉弁状態への切替え制御が実行される。したがって、減量弁25の閉弁状態では、減量弁25が開弁状態にあるときに比して燃料噴射部15への供給燃圧Pfおよび供給流量が相対的に増大するので、必要時に燃料噴射部15での燃料噴射量を十分に増大させることができる。
加えて、本実施形態では、減量弁25をその開弁時に絞り付きの還流通路26を開通・成立させる簡素な構成とすることができ、減量弁25の開弁状態では、フィードポンプ21から吐出される燃料がフィードポンプ21の吐出能力と絞り部25aにおける絞りの強さに応じた還流量でその一部を燃料タンク30内に還流させる。したがって、燃料噴射部15への供給燃圧Pfが、フィードポンプ21の吐出能力と絞り部25aにおける絞りの強さに応じて調整されることになる。
特に、本実施形態では、下限電圧Vmin側の特定電圧値Vaに制御されるフィードポンプ21の吐出量に対して燃料噴射部15での燃料噴射量が少ない微小噴射量時には、減量弁25によって余剰燃料を燃料タンク30内に還流させることで、燃料噴射部15への燃料供給量を適量に制限しながら十分に低燃圧に調圧できる。したがって、燃料噴射部15での燃料噴射量が多くなる場合にフィードポンプ21の高吐出能力での作動を可能にしながらも、フィードポンプ21が下限電圧Vmin側で駆動される場合には、燃料噴射部15への供給燃料の流量および圧力を十分に低下させることができる。しかも、燃料噴射部15まで供給されて温度が上昇した燃料を燃料タンク30に還流させる必要をなくすこともできる。
また、本実施形態では、フィードポンプ21の駆動電圧Vpの下限電圧Vminが、燃料中の固形物の吸入によるフィードポンプ21の回転停止を防止可能な電圧値に設定されているので、ストレーナやフィルタ等を通過した異物がフィードポンプ21のポンプロータの駆動負荷を増加させるようなことがあったとしても、フィードポンプ21の回転停止が防止され、しかも、フィードポンプ21の消費電力は低く抑えられることになる。
さらに、本実施形態では、燃圧センサ51で検出される実燃圧Prを目標燃圧Pcに追従させるよう、フィードポンプ21の駆動電圧Vpの可変制御と、減量弁25の開閉状態の切替え制御とが実行される。したがって、フィードポンプ21の駆動電圧Vpの可変制御によりそのフィードポンプ21の吐出能力を制御するだけでなく、減量弁25の開閉状態の切替え制御によってもその供給燃料の圧力を変化させることができ、供給燃圧の可変範囲を十分に大きくすることができ、燃料噴射部15での燃料噴射量の制御範囲を十分に広くすることができる。
このように、本実施形態によれば、減量弁25を切り替える場合に、フィードポンプ21の吐出能力の可変制御を減量弁25の切替え制御より先行して開始させるようにしているので、減量弁25の切替え制御による供給燃圧Pfの変化を抑制するようにフィードポンプ21の吐出能力の変化による供給燃圧Pfの変化を好適なタイミングで生じさせることができる。その結果、燃料供給状態の切替え時等における燃料供給圧力の不要な変動を抑制することのできる燃料圧力制御装置を提供することができる。
なお、上述の一実施形態においては、エンジン10は、吸気ポート13内に燃料を噴射するポート噴射のみを行う内燃機関で構成したが、これに限らず、気筒11内の燃焼室12に直接に燃料を噴射する筒内噴射と、気筒に対応する吸気ポート内に燃料を噴射するポート噴射とを併用するデュアル噴射方式の内燃機関としてもよいし、筒内噴射のみを行う直噴式の内燃機関としてもよい。
また、上述の一実施形態においては、減量弁25がコイル25cの励磁時に開弁するものとしたが、非励磁時に開弁するものとしてもよいことは勿論である。減量弁25は、リリーフ弁24より十分に設定圧が小さく、低圧側の目標燃圧値PLでも開弁するリリーフ弁やプレッシャレギュレータと、そのような圧力制御弁の燃料配管22内への接続・遮断を切り替える弁とによって構成されてもよい。
また、上述の一実施形態においては、下限電圧Vmin側の特定電圧値Vaは下限電圧Vminより大きい電圧値として例示し、上限電圧Vmax側の特定電圧値Vbは上限電圧Vmaxより小さい電圧値として例示したが、下限電圧Vmin側の特定電圧値Vaが下限電圧Vminに等しい電圧値であってもよいし、上限電圧Vmax側の特定電圧値Vbが上限電圧Vmaxに等しい電圧値であってもよいことはいうまでもない。
さらに、供給燃圧Pの可変範囲中で1回のみ減量弁25の開閉状態を切り替えるものとしたが、減量度合いや絞り強さが異なる複数の減量弁(減圧弁等でもよい)を用いて、供給燃圧Pの可変範囲中で複数の減量弁の開閉状態を切り替えるようなことも可能である。
以上説明したように、本発明は、圧力制御弁の切替え制御による供給燃料圧力の変化が生じるときに、燃料ポンプの吐出能力の変化による供給燃料圧力の逆方向の変化を適時に生じさせることができる。その結果、燃料供給状態の切替え時等における燃料供給圧力の不要な変動を十分に抑制することができる。このような本発明は、車両に搭載される内燃機関に燃料を供給するシステム中でその燃料給送圧力を可変制御する燃料圧力制御装置全般に有用である。