本発明において、好適には、前記四輪駆動車両は、前記駆動力源と前記主駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機を備えている。この変速機は、常時噛み合う複数対の変速ギヤを2軸間に備える公知の同期噛合型平行2軸式変速機などの手動変速機、種々の自動変速機(遊星歯車式自動変速機、同期噛合型平行2軸式自動変速機、DCT、CVT等)などである。この自動変速機は、自動変速機単体、流体式伝動装置を有する自動変速機、或いは副変速機を有する自動変速機などにより構成される。前記トランスファは、この変速機の出力側回転部材に動力伝達可能に連結される。
また、好適には、前記四輪駆動車両は、前記駆動力伝達軸と前記クラッチとの間の動力伝達経路を断接する第2の断接機構を備えている。前記トランスファに設けられた前記断接機構、及び前記第2の断接機構は、二輪駆動走行中に作動させられることよって四輪駆動走行中に前記副駆動輪へ動力を伝達する所定の回転要素を回転停止させるディスコネクト機構である。前記所定の回転要素は、前記駆動力源から前記副駆動輪の間の動力伝達経路を構成する回転要素のうち、前記2つのディスコネクト機構で挟まれている回転要素が対応する。又、前記ディスコネクト機構が作動することで前記所定の回転要素が回転停止する状態は、前記ディスコネクト機構のディスコネクト状態である。尚、前記第2の断接機構が係合されていても、前記断接機構及び前記クラッチが解放されていれば、前記ディスコネクト状態と同様の状態を作り出すことができる。つまり、前記クラッチは、前記ディスコネクト機構の1つとして機能させられる。従って、前記四輪駆動車両は、前記第2の断接機構を備えなくても、2WD走行においてディスコネクト状態を成立させられる。
また、好適には、前記駆動力源は、例えば燃料の燃焼によって動力を発生する内燃機関等のガソリンエンジンやディーゼルエンジン等が好適に用いられるが、電動機等の他の原動機を単独で或いはエンジンと組み合わせて採用することもできる。
図1は、本発明が適用される四輪駆動車両10(以下、車両10という)の概略構成を説明する骨子図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン12、左右の前輪14L,14R(以下、特に区別しない場合には前輪14という)、左右の後輪16L,16R(以下、特に区別しない場合には後輪16という)、エンジン12と前輪14との間の動力伝達経路であるエンジン12の動力を前輪14に伝達する第1の動力伝達経路、エンジン12と後輪16との間の動力伝達経路であるエンジン12の動力を後輪16に伝達する第2の動力伝達経路などを備えている。
エンジン12は、例えばガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関であって、駆動力を発生する駆動力源である。前輪14は、二輪駆動走行状態(2WD走行状態)及び四輪駆動走行状態(4WD走行状態)のときに共に駆動輪となる主駆動輪である。後輪16は、2WD走行状態のときに従動輪となり且つ4WD走行状態のときに前記第2の動力伝達経路を介してエンジン12から動力が伝達される駆動輪となる副駆動輪である。従って、車両10は、FFベースの四輪駆動車両である。
前記第1の動力伝達経路は、変速機18、フロントデフ20、左右の前輪車軸22L,22R(以下、特に区別しない場合には前輪車軸22という)などを備えている。前記第2の動力伝達経路は、変速機18、エンジン12の動力を後輪16に分配する前後輪動力分配装置であるトランスファ24、ドリブンピニオン26、トランスファ24にて分配されたエンジン12の動力を後輪16へ伝達する駆動力伝達軸であるプロペラシャフト28、ドライブピニオン30、リヤ側クラッチ32、左右駆動力配分装置34、左右の後輪車軸36L,36R(以下、特に区別しない場合には後輪車軸36という)などを備えている。
変速機18は、エンジン12と前輪14との間の前記第1の動力伝達経路及びエンジン12と後輪16との間の前記第2の動力伝達経路のうちの共通する動力伝達経路の一部を構成し、エンジン12の動力を前輪14側や後輪16側へ伝達する。変速機18は、例えば変速比γ(=変速機入力回転速度Nin/変速機出力回転速度Nout)が異なる複数の変速段が選択的に成立させられる公知の遊星歯車式多段変速機、変速比γが無段階に連続的に変化させられる公知の無段変速機、或いは公知の同期噛合型平行2軸式変速機などである。
フロントデフ20は、ケース20cと、傘歯歯車からなる差動機構20dとを含んで構成されており、左右の前輪車軸22L,22Rに適宜差回転を与えつつ回転を伝達する公知のディファレンシャルギヤである。ケース20cにはリングギヤ20rが形成されており、そのリングギヤ20rは変速機18の出力回転部材である出力歯車18aと噛み合っている。従って、変速機18から出力される動力はリングギヤ20rに入力される。又、ケース20cには、後述する外周嵌合歯42と嵌合する内周嵌合歯38が形成されている。
トランスファ24は、前記第1の動力伝達経路の一部を構成する回転部材としてのフロントデフ20と並んで設けられて、そのフロントデフ20に連結されている。トランスファ24は、第1回転部材40を含んで構成されている。
第1回転部材40は、略円筒形状を有しており、その内周側を前輪車軸22Rが貫通している。第1回転部材40の軸方向の一方には、外周嵌合歯42が形成されている。第1回転部材40は、外周嵌合歯42が内周嵌合歯38と嵌合されることで、フロントデフ20のケース20cと一体的に回転する。又、第1回転部材40の軸方向の他方には、後輪16側にエンジン12の動力を伝達する為の、ドリブンピニオン26と噛み合うリングギヤ40rが形成されている。
リングギヤ40rと噛み合うドリブンピニオン26は、フロント側クラッチ44を介してプロペラシャフト28に接続され、そのプロペラシャフト28はドライブピニオン30に接続されている。
フロント側クラッチ44は、ドリブンピニオン26とプロペラシャフト28との間を選択的に断接する摩擦クラッチである。この摩擦クラッチは、例えば多板(或いは単板)の湿式(或いは乾式)のクラッチであり、油圧制御可能な或いは電気的(電磁的)に制御可能なフロント側アクチュエータ46によって、解放と係合とが切り替えられる。
フロント側クラッチ44が解放された状態では、ドリブンピニオン26とプロペラシャフト28との接続が遮断されているので、後輪16にはエンジン12の動力が伝達されない。一方、フロント側クラッチ44が係合されると、ドリブンピニオン26とプロペラシャフト28とが接続される。従って、第1回転部材40と伴にドリブンピニオン26が回転すると、プロペラシャフト28、及びドライブピニオン30が連れ回される。このように、フロント側クラッチ44は、プロペラシャフト28のエンジン12側に設けられた、フロントデフ20とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路を断接する断接機構である。
左右駆動力配分装置34は、リヤ側クラッチ32と後輪16との間に設けられ、リヤ側クラッチ32と後輪16との間でトルク伝達を行うと共に、左右の後輪16L,16Rの駆動力配分を変更する。左右駆動力配分装置34は、入力ギヤ60と、後輪16L側に設けられている第1カップリング62と、後輪16R側に設けられている第2カップリング64とを、含んで構成されている。入力ギヤ60は、第1カップリング62及び第2カップリング64へエンジン12の動力を伝達する共通の入力回転部材である。入力ギヤ60の外周には、リヤ側クラッチ32の一部を構成するクラッチ歯66が形成されている。第1カップリング62は、入力ギヤ60と後輪16Lとの間に設けられ、例えば湿式多板クラッチで構成される公知の電子制御カップリングである。第1カップリング62の伝達トルク(クラッチトルク)が制御されることで、後輪16Lに伝達される駆動力が制御される。具体的には、第1カップリング62の伝達トルクを制御する不図示の電磁ソレノイドに電流が供給されると、その電流値に比例した係合力で第1カップリング62が係合される。第1カップリング62の伝達トルクが増加するに従って後輪16Lに伝達される駆動力が増加する。第2カップリング64は、入力ギヤ60と後輪16Rとの間に設けられ、例えば湿式多板クラッチで構成される公知の電子制御カップリングである。第2カップリング64の伝達トルクが制御されることで、後輪16Rに伝達される駆動力が制御される。具体的には、第2カップリング64の伝達トルクを制御する不図示の電磁ソレノイドに電流が供給されると、その電流値に比例した係合力で第2カップリング64が係合される。第2カップリング64の伝達トルクが増加するに従って後輪16Rに伝達される駆動力が増加する。左右駆動力配分装置34は、第1カップリング62の伝達トルク及び第2カップリング64の伝達トルクを制御することで、左右の後輪16L,16Rのトルク配分を例えば0:100〜100:0の間で連続的に変更することができる。又、左右駆動力配分装置34は、第1カップリング62の伝達トルク及び第2カップリング64の伝達トルクを制御することで、前輪14と後輪16とのトルク配分を例えば100:0〜50:50の間で連続的に変更することができる。このように、第1カップリング62及び第2カップリング64は、プロペラシャフト28と左右の後輪16L,16Rとの間の各動力伝達経路に各々設けられた、伝達トルクを制御できる第1のクラッチ及び第2のクラッチである。
車両10は、更に、ドライブピニオン30とリヤ側クラッチ32との間に、動力伝達部材68を備えている。動力伝達部材68は、略円筒形状を有しており、その内周側を入力ギヤ60が配設される軸が貫通している。動力伝達部材68の軸方向の一方には、前輪14側から伝達されるエンジン12の動力を受け入れる為の、ドライブピニオン30と噛み合うリングギヤ68rが形成されている。又、動力伝達部材68の軸方向の他方には、リヤ側クラッチ32の一部を構成するクラッチ歯70が形成されている。
リヤ側クラッチ32は、動力伝達部材68と入力ギヤ60との間に設けられ、これらの間の動力伝達経路を選択的に断接するクラッチである。リヤ側クラッチ32は、クラッチ歯66とクラッチ歯70とスリーブ72と保持部材74とリヤ側アクチュエータ76とを含んで構成される、ドグクラッチ(すなわち噛合式クラッチ)である。スリーブ72は、略円筒形状を有しており、スリーブ72の内周側には、クラッチ歯66及びクラッチ歯70と噛合可能な内周歯78が形成されている。スリーブ72は、例えば電気的(電磁的)に制御可能なリヤ側アクチュエータ76によって軸方向に移動させられる。尚、リヤ側クラッチ32において、更に、シンクロナイザー(すなわち同期機構)が備えられていても構わない。
図1は、リヤ側クラッチ32が解放された状態を示している。この状態のように、内周歯78がクラッチ歯66及びクラッチ歯70と噛み合わない状態では、動力伝達部材68と入力ギヤ60との接続が遮断されるので、ドライブピニオン30と左右駆動力配分装置34との間の動力伝達経路が遮断され、左右駆動力配分装置34にはエンジン12の動力が伝達されない。一方、スリーブ72が移動させられてクラッチ歯66及びクラッチ歯70が共に内周歯78と噛み合うと、リヤ側クラッチ32が係合され、動力伝達部材68と入力ギヤ60とが接続される。従って、ドライブピニオン30にエンジン12の動力が伝達されると、左右駆動力配分装置34に動力が伝達される。このように、リヤ側クラッチ32は、プロペラシャフト28の後輪16側に設けられた、エンジン12と後輪16との間の動力伝達経路(特には、プロペラシャフト28と左右駆動力配分装置34との間の動力伝達経路)を断接する第2の断接機構である。
前述のように構成された車両10では、例えばフロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32が共に係合されると共に、第1カップリング62及び/又は第2カップリング64の伝達トルクが零よりも大きな値に制御されると、後輪16にも第1カップリング62及び/又は第2カップリング64の伝達トルクに応じた駆動力が伝達される。従って、前輪14及び後輪16共に動力が伝達されて4WD走行状態となる。この4WD走行状態においては、第1カップリング62及び/又は第2カップリング64の伝達トルクが制御されることで、前輪14と後輪16とのトルク配分、及び左右の後輪16L,16Rのトルク配分が必要に応じて調整される。
又、車両10では、例えばフロント側クラッチ44が解放されると、ドリブンピニオン26とプロペラシャフト28との連結が遮断される為、後輪16には動力が伝達されない。従って、前輪14のみが駆動する2WD走行状態となる。加えて、例えばリヤ側クラッチ32が解放されると、動力伝達部材68と左右駆動力配分装置34との連結が遮断される為、2WD走行中において、プロペラシャフト28から動力伝達部材68までの動力伝達経路を構成する各回転要素(プロペラシャフト28、ドライブピニオン30、動力伝達部材68等)には、エンジン12側からも後輪16側からも回転が伝達されない。従って、2WD走行中において、これらの各回転要素が回転停止し、前記各回転要素の連れ回りが防止され、走行抵抗が低減される。フロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32は、2WD走行中に解放させられることよって、4WD走行中に後輪16へ動力を伝達する所定の回転要素を回転停止させるディスコネクト機構である。この所定の回転要素は、エンジン12と後輪16との間の動力伝達経路を構成する回転要素のうち、フロント側クラッチ44とリヤ側クラッチ32とで挟まれている回転要素(すなわちプロペラシャフト28から動力伝達部材68までの動力伝達経路を構成する各回転要素)である。又、フロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32が解放されて前記各回転要素が回転停止する走行状態(すなわち、連れ回りが防止される2WD走行状態)は、前記所定の回転要素が回転停止するディスコネクト状態である。このディスコネクト状態での2WD走行を2WD_d走行と記載する。尚、この2WD_d走行では、第1カップリング62及び第2カップリング64も共に解放される。その為、リヤ側クラッチ32が係合されていても、フロント側クラッチ44と第1カップリング62及び第2カップリング64とが解放されていれば、前記ディスコネクト状態と同様の状態を作り出すことができる。
又、車両10では、フロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32が係合される一方で、第1カップリング62及び第2カップリング64の接続が共に遮断されると、入力ギヤ60と後輪16との連結が遮断される為、後輪16に動力は伝達されない。従って、前輪14のみが駆動する2WD走行状態となる。このような2WD走行状態では、フロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32は接続されている為、プロペラシャフト28から入力ギヤ60までの動力伝達経路を構成する各回転要素(プロペラシャフト28、ドライブピニオン30、動力伝達部材68、入力ギヤ60等)が連れ回される。その為、2WD走行状態であるもののプロペラシャフト28等が連れ回される分だけ燃費が低下する。しかしながら、2WD走行状態から4WD走行状態へ切り替える際には、第1カップリング62及び/又は第2カップリング64を接続するだけで済み、速やかな切替えが可能となる。
車両10は、フロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32の断接状態、乃至第1カップリング62及び/又は第2カップリング64の伝達トルクが車両走行状態に応じて制御されることで、2WD走行状態(2WD_d走行状態を含む)と4WD走行状態との間で切り替えられる。
車両10には、例えば第1カップリング62及び第2カップリング64の各伝達トルクを制御する車両10の制御装置を含む電子制御装置(ECU)100が備えられている。電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置100は、エンジン12の出力制御、車両10の駆動状態の切替制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や駆動状態制御用等に分けて構成される。電子制御装置100には、図1に示すように、各種センサ(例えば各種回転速度センサ80,82,84,86,88、アクセル開度センサ90、スロットル弁開度センサ92、Gセンサ94、ヨーレートセンサ96、ステアリングセンサ98など)による検出信号に基づく各種実際値(例えばエンジン回転速度Ne、変速機入力回転速度Nin、変速機出力回転速度Nout、プロペラシャフト回転速度Np、各車輪(すなわち前輪14L,14R、及び後輪16L,16R)の回転速度(各車輪速)Nwに対応する各車輪速Nwfl,Nwfr,Nwrl,Nwrr、アクセル開度θacc、スロットル弁開度θth、車両10の前後加速度Gx、車両10の左右加速度Gy、車両10の鉛直軸まわりの回転角速度であるヨーレートRyaw、ステアリングホイール99の操舵角θsw及び操舵方向など)が、それぞれ供給される。電子制御装置100からは、図1に示すように、例えばエンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、フロント側クラッチ44やリヤ側クラッチ32の状態を各々切り替える為の作動指令信号Sd、第1カップリング62や第2カップリング64のクラッチトルクを制御する為のトルク指令信号Scなどが、燃料噴射装置、点火装置、スロットルアクチュエータ等のエンジン制御装置、フロント側アクチュエータ46、リヤ側アクチュエータ76、第1カップリング62や第2カップリング64を各々駆動する各アクチュエータなどへそれぞれ出力される。尚、電子制御装置100は、各車輪速Nwに基づいて、各種実際値の1つとして、車両10の速度V(以下、車速Vという)を算出する。電子制御装置100は、例えば各車輪速Nwの平均車輪速を車速Vとする。
図2は、電子制御装置100による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図2において、電子制御装置100は、車両走行状態判定手段すなわち車両走行状態判定部102、4WD駆動力演算手段すなわち4WD駆動力演算部104、及びアクチュエータ出力指示手段すなわちアクチュエータ出力指示部106を備えている。
車両走行状態判定部102は、前記各種信号等の情報に基づいて車両10の最適な駆動状態(走行状態)を判断する。具体的には、車両走行状態判定部102は、アクセル開度θacc及び車速V等に基づいて、車両10の駆動力変化が予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された(すなわち予め定められた)駆動力変化閾値よりも小さい定常走行状態にあると判断した場合には、車両10の走行状態を、フロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32と第1カップリング62及び第2カップリング64とを解放して走行する2WD_d走行とするよう判定する。一方で、車両走行状態判定部102は、駆動力変化が前記駆動力変化閾値を超えていると判断した場合には、車両10の走行状態を、フロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32を係合し且つ第1カップリング62及び第2カップリング64を係合乃至スリップ係合して走行する4WD走行とするよう判定する。又、車両走行状態判定部102は、操舵角θsw、左右加速度Gy、及びヨーレートRyawの各絶対値が各々の旋回判定閾値θswth、Gyth、Ryawth以上となっているか否かに基づいて車両10が旋回中であるか否かを判断し、車両10が旋回中でないと判断した場合には、車両10の走行状態を、2WD_d走行とするよう判定する。又、車両走行状態判定部102は、各車輪速Nw或いは不図示のナビゲーションシステムからの情報等に基づいて路面が雪道などの低μ路であると判断した場合には、車両10の走行状態を、4WD走行とするよう判定する。又、車両走行状態判定部102は、各車輪速Nwに基づいて、各車輪間における回転速度差の何れかが所定回転差を超えたと判断した場合には、車両10の走行状態を、4WD走行とするよう判定する。前記旋回判定閾値θswth、Gyth、Ryawthは、例えば車両10が旋回中であることを判断する為の予め定められた判定値である。又、前記旋回判定閾値θswth、Gyth、Ryawthは、例えば一定値が予め定められても良いし、車速V等に基づいて変化する値として予め定められても良い。前記所定回転差は、例えば車両10の駆動状態を4WD走行状態とした方が良いことを判断する為の予め定められた4WD判定閾値である。又、前記所定回転差は、各車輪間において同じ値が予め定められても良いし、各車輪間毎に異なる値が予め定められても良い。尚、例えば運転者によって操作される公知の2WD/4WD切替スイッチが車両10に備えられている場合には、車両走行状態判定部102は、例えばその2WD/4WD切替スイッチの操作状態に基づいて、2WD走行とするか、4WD走行とするかを判定しても良い。
4WD駆動力演算部104は、前記各種信号等の情報に基づいて最適な前後輪の駆動力配分を算出する。具体的には、4WD駆動力演算部104は、エンジン回転速度Ne及びスロットル弁開度θth等に基づいてエンジントルクTeの推定値(推定エンジントルク)Tepを算出し、最大限の加速性能が確保されるように前後輪の駆動力配分を算出する。又、4WD駆動力演算部104は、スロットル弁開度θth、車速V、各車輪速Nwなどに基づいて、運転者の操作状況や車両10の駆動力変化が安定していると判定した場合には、後輪16への駆動力配分を低下させて、前輪駆動に近い状況にして燃費を向上させる。又、4WD駆動力演算部104は、低速での旋回時においてタイトブレーキング現象を防止する為、後輪16への駆動力配分を低下させる。尚、4WD駆動力演算部104は、車両走行状態判定部102により2WD_d走行状態とするよう判定された場合には、後輪16への駆動力配分を零とする。
アクチュエータ出力指示部106は、車両走行状態判定部102により判断された走行状態、及び4WD駆動力演算部104により算出された前後輪の駆動力配分となるように、フロント側クラッチ44の係合/解放を切り替えるフロント側アクチュエータ46、リヤ側クラッチ32の断接状態を切り替えるリヤ側アクチュエータ76、第1カップリング62の伝達トルクを制御する不図示の電磁ソレノイド、及び第2カップリング64の伝達トルクを制御する不図示の電磁ソレノイドに、各指令信号を出力する。具体的には、アクチュエータ出力指示部106は、車両走行状態判定部102により2WD_d走行状態とするよう判定された場合には、フロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32を解放すると共に第1カップリング62及び第2カップリング64の伝達トルクを零とする指令を、フロント側アクチュエータ46、リヤ側アクチュエータ76、及び上記各電磁ソレノイドにそれぞれ出力する。アクチュエータ出力指示部106は、車両走行状態判定部102により4WD走行状態とするよう判定された場合には、4WD駆動力演算部104により算出された前後輪の駆動力配分での4WD走行となるように、フロント側クラッチ44及びリヤ側クラッチ32を接続すると共に第1カップリング62及び第2カップリング64の伝達トルクを制御する指令を、フロント側アクチュエータ46、リヤ側アクチュエータ76、及び上記各電磁ソレノイドにそれぞれ出力する。
特に、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、先ず、アクチュエータ出力指示部106は、リヤ側クラッチ32を接続する指令をリヤ側アクチュエータ76に出力する。これは、動力伝達部材68及び入力ギヤ60が回転停止している状態、すなわち動力伝達部材68の回転速度と入力ギヤ60の回転速度とが略同期している状態で、リヤ側クラッチ32を接続する為である。その後、アクチュエータ出力指示部106は、第1カップリング62及び第2カップリング64に伝達トルクを略同時に発生させる指令を上記各電磁ソレノイドにそれぞれ出力して、第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングを係合に向けて制御する。これは、フロント側クラッチ44を接続する為に、回転停止中のプロペラシャフト28の回転速度を引き上げて、ドリブンピニオン26の回転速度とプロペラシャフト回転速度Npとの同期を図る為である。車両走行状態判定部102によりドリブンピニオン26の回転速度とプロペラシャフト回転速度Npとが略同期したと判定された後、アクチュエータ出力指示部106は、フロント側クラッチ44を接続する指令をフロント側アクチュエータ46に出力する。その後、アクチュエータ出力指示部106は、4WD駆動力演算部104により算出された前後輪の駆動力配分となるように、第1カップリング62及び第2カップリング64に伝達トルクを発生させる指令を上記各電磁ソレノイドにそれぞれ出力する。車両走行状態判定部102は、例えばドリブンピニオン26の回転速度とプロペラシャフト回転速度Npとの回転速度差の絶対値が同期判定閾値ΔNfcth以下となったか否かに基づいて、ドリブンピニオン26の回転速度とプロペラシャフト回転速度Npとが略同期したか否かを判定する。尚、ドリブンピニオン26の回転速度は、例えば不図示の回転速度センサによって直接的に検出された各回転速度であっても良いし、変速機出力回転速度Noutなどから換算された回転速度であっても良い。又、前記同期判定閾値ΔNfcthは、例えば回転速度差が大きいことに因るフロント側クラッチ44の耐久性低下等を考慮して予め定められている。上述した、2WD_d走行状態から4WD走行状態へ移行するときの一連の制御手順は、通常の4WD移行制御手順である。
ところで、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、4WD走行状態における各駆動輪14,16を速やかに車両走行状態に応じた駆動状態とすることが望ましい。特に、ステアリングホイール99の操舵時である場合、所望する旋回が実現できる駆動力を速やかに発生させたい。上述した通常の4WD移行制御手順では、先ず、第1カップリング62及び第2カップリング64に伝達トルクを略同時に発生させているが、これは略同期状態でフロント側クラッチ44を係合させる為であり、4WD駆動力演算部104により算出された前後輪の駆動力配分とするものではない。従って、略同期状態でフロント側クラッチ44を係合させることができるという利点はあるが、所望する駆動力を発生させることが遅くなる可能性がある。
そこで、電子制御装置100は、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、リヤ側クラッチ32を係合した後に、第1カップリング62及び第2カップリング64の両方の係合によるプロペラシャフト回転速度Npの引上げを行うことなく(すなわちフロント側クラッチ44自身の差回転速度の低減を行うことなく)、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御し、その後、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングに伝達トルクを発生させる。本実施例におけるフロント側クラッチ44は、摩擦クラッチであり、同期機構を備えないドグクラッチと違って、略同期状態としなくとも係合することが可能である。従って、フロント側クラッチ44を備える本実施例の車両10においては、上述したように、第1カップリング62及び第2カップリング64の係合によるプロペラシャフト回転速度Npの引上げを行うことなく、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御することが可能である。
上述したように、操舵時である場合には、操舵に応じた旋回が実現できる駆動力を速やかに発生させたい。つまり、後輪16の各々において発生させられる各駆動力によってヨーモーメントを速やかに発生させたい。従って、電子制御装置100は、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、操舵時でないときには、前記通常の4WD移行制御手順を実行する。一方で、電子制御装置100は、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、操舵時には、リヤ側クラッチ32を係合した後に、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御し、その後、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングに伝達トルクを発生させる。より好適には、発生しているアンダーステア或いはオーバーステアを抑制するヨーモーメントを速やかに発生させる為に、この操舵時には、電子制御装置100は、アンダーステア状態であるか或いはオーバーステア状態であるかを判断し、アンダーステア状態であるか或いはオーバーステア状態である場合に、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御した後に、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングに伝達トルクを発生させる。フロント側クラッチ44を係合に向けて制御した後に、両方のカップリング62,64に発生させる伝達トルクは、例えば操舵角θswに基づく車両旋回目標へ車両挙動を近づけるようにエンジン12の動力を後輪16へ伝達する伝達トルクである。従って、後輪16L,16Rの各々において発生させる各駆動力によって操舵角θswに応じたヨーモーメントを速やかに発生させることができる。尚、操舵時でないときには、前記通常の4WD移行制御手順に従って、4WD駆動力演算部104により算出された前後輪の駆動力配分となるように、両方のカップリング62,64に伝達トルクが発生させられるが、この伝達トルクは、略零近傍とされた操舵角θswの基づく伝達トルクと見ることもできる。従って、フロント側クラッチ44の係合後には、操舵角θswが略零となる操舵中でないときを含め、各駆動輪14,16に適切な駆動力が発生させられる。
より具体的には、電子制御装置100は、更に、車両挙動判定手段すなわち車両挙動判定部108、必要ヨーモーメント演算手段すなわち必要ヨーモーメント演算部110、及び伝達トルク演算手段すなわち伝達トルク演算部112を備えている。
車両走行状態判定部102は、例えばステアリングホイール99が操舵された車両10の操舵時であるか否かを判定する。具体的には、車両走行状態判定部102は、操舵角θswの絶対値が所定操舵角θswth2以上であるか否かに基づいて、車両10の操舵時であるか否かを判定する。前記所定操舵角θswth2は、例えば運転者が車両10を旋回させるようにステアリングホイール99を操舵したことを判断する為の予め定められた操舵判定閾値である。又、前記所定操舵角θswth2は、例えば一定値が予め定められても良いし、車速V等に基づいて変化する値として予め定められても良い。又、前記所定操舵角θswth2は、例えば前記旋回判定閾値θswthと同じ値が用いられても良い。
車両挙動判定部108は、例えば車両走行状態判定部102により車両10の操舵時であると判定された場合には、アンダーステア状態及びオーバーステア状態の何れかの車両挙動となっているか否かを判断する。具体的には、車両挙動判定部108は、次式(1)に示すような予め定められた演算式から、車速V、目標スタビリティファクタKhtgt、ホイールベース長L、操舵角θsw、ステアリングギヤ比nswに基づいて目標ヨーレートRyawtgtを算出する。車両挙動判定部108は、その目標ヨーレートRyawtgtが零以上のとき(Ryawtgt≧0のとき)に、実ヨーレートRyawに基づいて、次式(2)が成立したときはアンダーステア状態の車両挙動となっていると判定し、次式(3)が成立したときはオーバーステア状態の車両挙動となっていると判定する。一方で、車両挙動判定部108は、目標ヨーレートRyawtgtが零未満のとき(Ryawtgt<0のとき)に、実ヨーレートRyawに基づいて、次式(2)が成立したときはオーバーステア状態の車両挙動となっていると判定し、次式(3)が成立したときはアンダーステア状態の車両挙動となっていると判定する。前記目標スタビリティファクタKhtgtは、例えば車速Vに応じた車両10の曲がり易さの目標値であり、車両10毎に予め定められた適合値である。式(1)中における(θsw/nsw)の項は、車輪の切れ角(タイヤ切れ角)の値となる。
Ryawtgt=V/((1+Khtgt×V2)×L)×(θsw/nsw) …(1)
Ryawtgt−Ryaw ≧ 0 …(2)
Ryawtgt−Ryaw < 0 …(3)
必要ヨーモーメント演算部110は、車両挙動判定部108によりアンダーステア状態及びオーバーステア状態の何れかの車両挙動となっていると判断された場合には、目標ヨーレートRyawtgtとする為に必要なヨーモーメント量(必要ヨーモーメント量)Mreqを算出する。具体的には、必要ヨーモーメント演算部110は、例えば次式(4)に示すような予め定められたフィードバック制御式を用いて、実ヨーレートRyawを目標ヨーレートRyawtgtと一致させる為のフィードバック制御量である必要ヨーモーメント量Mreqを算出する。この式(4)において、ΔRyawは目標ヨーレートRyawtgtと実ヨーレートRyawとのヨーレート偏差(=Ryawtgt−Ryaw)、Kpは所定の比例係数、Kdは所定の微分係数、Kiは所定の積分係数である。
Mreq=Kp×ΔRyaw+Kd×(dΔRyaw/dt)+Ki×(∫ΔRyawdt) …(4)
伝達トルク演算部112は、車両挙動判定部108によりアンダーステア状態及びオーバーステア状態の何れかの車両挙動となっていると判断された場合には、最適な前後輪の駆動力配分としつつ必要ヨーモーメント量Mreqを得る為に必要な、第1カップリング62の伝達トルク(左クラッチトルク)Tcl及び第2カップリング64の伝達トルク(右クラッチトルク)Tcrを算出する。具体的には、次式(5)−(7)に示すような予め定められた所定の連立方程式から、最適な前後輪の駆動力配分としつつ必要ヨーモーメント量Mreqを得る為に必要な、左後輪16Lの駆動力(左後輪駆動力)Frl及び右後輪16Rの駆動力(右後輪駆動力)Frrを算出する為の、次式(8),(9)に示すような予め定められた演算式が導出される。伝達トルク演算部112は、その式(8),(9)に示すような演算式から導出された、次式(10),(11)に示すような予め定められた演算式から、車両トータル駆動力Fall、動的な前輪接地荷重分担比i、タイヤ動荷重半径rt、必要ヨーモーメント演算部110により算出された必要ヨーモーメント量Mreq、車両10のトレッド幅(左後輪16Lのタイヤ幅方向中心と右後輪16Rのタイヤ幅方向中心との間の長さ)Trに基づいて、左クラッチトルクTcl及び右クラッチトルクTcrを算出する。この式(5)−(7)において、Ffは前輪14L,14Rのトータル駆動力である。又、伝達トルク演算部112は、例えば次式(12)に示すような予め定められた演算式から、4WD駆動力演算部104により算出された推定エンジントルクTep、エンジン14から駆動輪までの動力伝達経路におけるトータルギヤ比itotal、タイヤ動荷重半径rtに基づいて、車両トータル駆動力Fallを算出する。又、伝達トルク演算部112は、例えば次式(13)に示すような予め定められた演算式から、静的な前輪接地荷重Fnf、静的な後輪接地荷重Fnr、車両10の重心高h、ホイールベース長L、前後加速度Gxに基づいて、動的な前輪接地荷重分担比iを算出する。
Ff+Frl+Frr=Fall …(5)
(Frl−Frr)×(Tr/2)=Mreq …(6)
Ff:(Frl+Frr)=i:(1−i) …(7)
Frl=Fall×(1−i)/2+Mreq/Tr …(8)
Frr=Fall×(1−i)/2−Mreq/Tr …(9)
Tcl=Frl×rt=Fall×(1−i)×rt/2+Mreq/Tr×rt …(10)
Tcr=Frr×rt=Fall×(1−i)×rt/2−Mreq/Tr×rt …(11)
Fall=(Tep×itotal)/rt …(12)
i=(Fnf−(h/L)×Gx)/(Fnf+Fnr) …(13)
アクチュエータ出力指示部106は、車両走行状態判定部102により4WD走行状態とするよう判定されたときに、車両走行状態判定部102により車両10の操舵時であると判定され、且つ車両挙動判定部108によりアンダーステア状態及びオーバーステア状態の何れかの車両挙動となっていると判断された場合には、リヤ側クラッチ32を接続する指令をリヤ側アクチュエータ76に出力した後、上述した通常の4WD移行制御手順に替えて、フロント側クラッチ44を接続する指令をフロント側アクチュエータ46に出力する。その後、アクチュエータ出力指示部106は、車両走行状態判定部102により入力ギヤ60の回転速度と後輪車軸36の回転速度とが略同期したと判定された後に、伝達トルク演算部112により算出された左クラッチトルクTcl及び右クラッチトルクTcrとなるように、第1カップリング62及び第2カップリング64に伝達トルクを発生させる指令を前記各電磁ソレノイドにそれぞれ出力する。つまり、アクチュエータ出力指示部106は、伝達トルク演算部112により算出された左右計算クラッチトルク(左クラッチトルクTcl及び右クラッチトルクTcr)通りの伝達トルクを100%発生する係合状態である100%係合となるように、第1カップリング62及び第2カップリング64を係合に向けて制御する。車両走行状態判定部102は、例えば入力ギヤ60の回転速度と左後輪車輪速Nwrlとの回転速度差の絶対値が同期判定閾値ΔNth以下となり、且つ入力ギヤ60の回転速度と右後輪車輪速Nwrrとの回転速度差の絶対値が同期判定閾値ΔNth以下となったか否かに基づいて、入力ギヤ60の回転速度と後輪車軸36の回転速度とが略同期したか否かを判定する。尚、入力ギヤ60の回転速度は、例えば不図示の回転速度センサによって直接的に検出された各回転速度であっても良いし、プロペラシャフト回転速度Npなどから換算された回転速度であっても良い。又、前記同期判定閾値ΔNthは、例えば回転速度差と伝達トルクとに基づく第1カップリング62及び第2カップリング64の各熱負荷が許容範囲となるような予め定められた回転速度差の上限値である。前記同期判定閾値ΔNthは、例えば第1カップリング62及び第2カップリング64に対して同一の値が用いられても良いし、或いは各々に対応した異なる値が用いられても良い。
図3は、電子制御装置100の制御作動の要部すなわち2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して速やかに4WD走行状態とする為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。図4は、図3のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例であって、左旋回を行う操舵時にアンダーステアが発生したときを想定したものである。尚、図3のフローチャートは、車両走行状態判定部102によって車両10の走行状態を4WD走行とするよう判定されたことで、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行制御を実行することを前提として開始される。又、4WD走行状態における各駆動輪を速やかに車両走行状態に応じた駆動状態とする為の制御作動でもある。
図3において、先ず、車両走行状態判定部102に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、例えばステアリングホイール99が操舵された車両10の操舵時であるか否かが判断される。このS10の判断が肯定される場合(図4のt1時点参照)は車両挙動判定部108に対応するS20において、例えば車両10がアンダーステア状態及びオーバーステア状態の何れかの車両挙動となっているか否かが判断される。このS20の判断が肯定される場合(図4のt2時点参照)は必要ヨーモーメント演算部110に対応するS30において、例えば前記式(4)に示すようなフィードバック制御式からヨーレート偏差ΔRyawに基づいて必要ヨーモーメント量Mreqが算出される。次いで、伝達トルク演算部112に対応するS40において、例えば前記式(10),(11)に示すような演算式から前記S30にて算出された必要ヨーモーメント量Mreq等に基づいて第1カップリング62における左クラッチトルクTcl及び第2カップリング64における右クラッチトルクTcrが算出される(図4のt2時点以降参照)。次いで、アクチュエータ出力指示部106に対応するS50において、例えばリヤ側クラッチ32を接続する指令がリヤ側アクチュエータ76に出力される(図4のt2時点参照)。次いで、アクチュエータ出力指示部106に対応するS60において、例えばフロント側クラッチ44を接続する指令がフロント側アクチュエータ46に出力される(図4のt3時点参照)。次いで、車両走行状態判定部102に対応するS70において、例えば入力ギヤ60の回転速度と左後輪車輪速Nwrlとの回転速度差の絶対値が同期判定閾値ΔNth以下となり、且つ入力ギヤ60の回転速度と右後輪車輪速Nwrrとの回転速度差の絶対値が同期判定閾値ΔNth以下となったか否かが判定される。このS70の判断が否定される場合はこのS70が繰り返し実行されるが、このS70の判断が肯定される場合(図4のt4時点参照)はアクチュエータ出力指示部106に対応するS80において、例えば上記S40にて算出された左クラッチトルクTcl及び右クラッチトルクTcrとなるように、第1カップリング62及び第2カップリング64に伝達トルクを発生させる指令が前記各電磁ソレノイドにそれぞれ出力される(図4のt4時点以降参照)。一方で、上記S10の判断及び上記S20の判断の何れか一方でも否定される場合は4WD駆動力演算部104及びアクチュエータ出力指示部106に対応するS90において、例えば前述した通常の4WD移行制御手順に従って2WD_d走行状態から4WD走行状態へ移行する、通常の4WD移行制御が実行される。通常の4WD移行制御とは異なる、上述したS30乃至S80における一連の4WD移行制御により、後輪16L,16Rの各々において発生させられる各駆動力によって、発生しているアンダーステア或いはオーバーステアを抑制する必要ヨーモーメント量Mreqを速やかに発生させることができる。
図4において、操舵判定がオンとされ(t1時点)、アンダーステア状態の判定がオンとされると(t2時点)、リヤ側クラッチ32の係合か開始され、そのリヤ側クラッチ32の係合後には、フロント側クラッチ44の係合が開始される(t3時点)。その後、入力ギヤ60の回転速度と後輪車軸36の回転速度との回転速度差(カップリング−D/S差回転速度)が同期判定閾値ΔNth以下とされると(t4時点)、第1カップリング62及び第2カップリング64が係合に向けて制御されて、必要ヨーモーメント量Mreqを得る為に必要な左クラッチトルクTcl及び右クラッチトルクTcrとなるように、第1カップリング62及び第2カップリング64に伝達トルクが発生させられる(t4時点以降)。ここでは、左旋回を行う操舵時におけるアンダーステア状態であるので、そのアンダーステア状態を抑制するように、右クラッチトルクTcrの方が左クラッチトルクTclよりも大きなトルクとされている。
上述のように、本実施例によれば、2WD_d走行状態から4WD走行状態へ移行する際には、第1カップリング62及び第2カップリング64の両方を係合に向けて制御することによるプロペラシャフト回転速度Npの引上げを行うことなく(すなわちフロント側クラッチ44自身の差回転速度の低減を行うことなく)、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御した後に、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングに伝達トルクを発生させるので、通常の4WD移行制御手順に従って4WD移行制御を実行する場合と比較して、第1カップリング62及び第2カップリング64の係合当初から車両走行状態に応じた適切な伝達トルクを、第1カップリング62及び第2カップリング64の両方に速やかに発生させられる。よって、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、4WD走行状態における各駆動輪14,16を速やかに車両走行状態に応じた駆動状態とすることができる。
また、本実施例によれば、フロント側クラッチ44は、摩擦クラッチであるので、2WD_d走行状態においてプロペラシャフト28が回転停止状態とされている為に、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御するときに、フロント側クラッチ44のプロペラシャフト28側の回転速度と、フロント側クラッチ44のエンジン12側の回転速度とにある程度の回転速度差が生じていても、フロント側クラッチ44を適切に係合することができる。
また、本実施例によれば、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、操舵時には、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御した後に、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングに伝達トルクを発生させるので、各駆動輪14,16には適切な駆動力が速やかに発生させられる。又、後輪16の各々において発生させられる各駆動力によってヨーモーメントを速やかに発生させることができる。
また、本実施例によれば、操舵時に、アンダーステア状態であるか或いはオーバーステア状態である場合には、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御した後に、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングに伝達トルクを発生させるので、後輪16の各々において発生させられる各駆動力によって、発生しているアンダーステア或いはオーバーステアを抑制するヨーモーメントを速やかに発生させることができる。
また、本実施例によれば、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、操舵時でないときには、第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングを係合に向けて制御し、その後、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御し、その後、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングに伝達トルクを発生させるので、先ず、第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングが係合に向けて制御されるので、フロント側クラッチ44のプロペラシャフト28側の回転速度がフロント側クラッチ44のエンジン12側の回転速度に向けて上昇するように、回転停止中のプロペラシャフト28の回転速度を引き上げることができ、フロント側クラッチ44における差回転速度が抑制された状態でフロント側クラッチ44を係合することができる。加えて、フロント側クラッチ44の係合後には、各駆動輪14,16には適切な駆動力が発生させられる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。尚、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
前述の実施例1では、フロント側クラッチ44は、ドリブンピニオン26とプロペラシャフト28との間を選択的に断接する摩擦クラッチであった。これに限らず、フロント側クラッチ44は、フロントデフ20とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路を断接する摩擦クラッチであれば良い。又、プロペラシャフト28のエンジン12側に設けられた、フロントデフ20とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路を断接する断接機構として、摩擦クラッチとは別の断接機構がフロント側クラッチ44に替えて用いられても良い。この別の断接機構は、例えば同期機構付きのドグクラッチである。この同期機構付きのドグクラッチを用いた一例を以下に説明する。
図5は、本発明が適用される四輪駆動車両120(以下、車両120という)の概略構成を説明する骨子図であって、図1の車両10とは別の実施例である。図5において、車両120は、エンジン12と前輪14との間の動力伝達経路であるエンジン12の動力を前輪14に伝達する第1の動力伝達経路、エンジン12と後輪16との間の動力伝達経路であるエンジン12の動力を後輪16に伝達する第2の動力伝達経路などを備えている。前記第2の動力伝達経路は、変速機18、前後輪動力分配装置であるトランスファ122、ドリブンピニオン26、駆動力伝達軸であるプロペラシャフト28、ドライブピニオン30、リヤ側クラッチ32、左右駆動力配分装置34、後輪車軸36などを備えている。トランスファ122は、フロントデフ20と並んで設けられて、そのフロントデフ20に連結されている。トランスファ122は、第1回転部材124と、第2回転部材126と、フロント側クラッチ128とを含んで構成されている。
第1回転部材124は、略円筒形状を有しており、その内周側を前輪車軸22Rが貫通している。第1回転部材124の軸方向の一方には、外周嵌合歯42が形成されている。第1回転部材124は、外周嵌合歯42が内周嵌合歯38と嵌合されることで、フロントデフ20のケース20cと一体的に回転する。又、第1回転部材124の軸方向の他方には、フロント側クラッチ128の一部を構成するクラッチ歯130が形成されている。
第2回転部材126は、略円筒形状を有しており、その内周側を前輪車軸22R及び第1回転部材124が貫通している。第2回転部材126の軸方向の一方には、後輪16側にエンジン12の動力を伝達する為の、ドリブンピニオン26と噛み合うリングギヤ126rが形成されている。又、第2回転部材126の軸方向の他方には、フロント側クラッチ128の一部を構成するクラッチ歯132が形成されている。リングギヤ126rと噛み合うドリブンピニオン26は、プロペラシャフト28に接続され、更に、プロペラシャフト28を介してドライブピニオン30に接続されている。
フロント側クラッチ128は、第1回転部材124と第2回転部材126との間を選択的に断接するクラッチである。フロント側クラッチ128は、クラッチ歯130、クラッチ歯132、スリーブ134、保持部材136、スリーブ134と第2回転部材126との回転が非同期状態である時にはそのスリーブ134の第2回転部材126方向への移動を阻止するシンクロナイザリング138、及びフロント側アクチュエータ140などを含んで構成される、同期機構付きのドグクラッチ(すなわち噛合式クラッチ)である。スリーブ134は、略円筒形状を有しており、スリーブ134の内周側には、クラッチ歯130及びクラッチ歯132と噛合可能な内周歯142が形成されている。スリーブ134は、例えば電子制御装置100により電気的(電磁的)に制御可能なフロント側アクチュエータ140によって軸方向に移動させられる。シンクロナイザリング138は、スリーブ134の内周歯142とクラッチ歯132とを相互に噛み合わせる際にそれらを相互に同期させる同期装置(同期機構)である。
図5は、フロント側クラッチ128が解放された状態を示している。この状態では、第1回転部材124と第2回転部材126との接続が遮断されているので、後輪16にはエンジン12の動力が伝達されない。一方、スリーブ134が移動させられてクラッチ歯130及びクラッチ歯132が共に内周歯142と噛み合うと、フロント側クラッチ128が係合され、第1回転部材124と第2回転部材126とが接続される。従って、第1回転部材142が回転すると、第2回転部材126、ドリブンピニオン26、プロペラシャフト28、及びドライブピニオン30が連れ回される。このように、フロント側クラッチ128は、フロント側クラッチ44と同様に、プロペラシャフト28のエンジン12側に設けられた、フロントデフ20とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路を断接する断接機構である。又、フロント側クラッチ128は、フロント側クラッチ44と同様に、2WD走行中に解放させられることよって、4WD走行中に後輪16へ動力を伝達する所定の回転要素を回転停止させるディスコネクト機構である。又、フロント側クラッチ128は、第2回転部材126よりもエンジン12側に設けられているので、車両120における2WD_d走行では、車両10における2WD_d走行と比較して、更に、第2回転部材126やドリブンピニオン26などが回転停止させられ、一層走行抵抗が低減される。
このように構成された車両120では、車両10と同様に、電子制御装置100を備えており、図3のフローチャートに示すような、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して4WD走行状態における各駆動輪を速やかに車両走行状態に応じた駆動状態とする為の制御作動を実行することができる。
上述のように、本実施例によれば、前述の実施例1と同様の効果が得られる。又、フロント側クラッチ128は、同期機構付きのドグクラッチであるので、2WD_d走行状態においてプロペラシャフト28が回転停止状態とされている為に、フロント側クラッチ128を係合に向けて制御するときに、フロント側クラッチ128のプロペラシャフト28側の回転速度と、フロント側クラッチ128のエンジン12側の回転速度とにある程度の回転速度差が生じていても、フロント側クラッチ128を適切に係合することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、アンダーステア状態及びオーバーステア状態の何れかの車両挙動となっているか否かを判断した。このような車両挙動は、必ずしも車両旋回中のときであるとは限らない。例えば、ステアリングホイール99が操舵されて操舵角θswが零でなくても、アンダーステアの発生によって、車両10が旋回中と判断されないような略直進状態とされている場合もある。従って、第1カップリング62及び第2カップリング64の両方を係合に向けて制御することによるフロント側クラッチ44,128自身の差回転速度の低減を行うことなくフロント側クラッチ44,128を係合に向けて制御した後に、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の両方に伝達トルクを発生させるという実施態様Aを実行する条件としては、車両10の操舵時であれば良く、車両10が旋回中であることは必ずしも必要ではない。又、操舵時にアンダーステア状態及びオーバーステア状態の何れかの車両挙動となっていなくても、前記通常の4WD移行制御手順に替えて、上記実施態様Aを実行しても良い。この場合、図3のフローチャートにおけるS20は必ずしも必要でない。又、そもそも上記実施態様A自体を、2WD_d走行状態から4WD走行状態へ移行するときの通常の4WD移行制御手順としても良い。この場合、図3のフローチャートにおけるS10は必ずしも必要でなく、2WD_d走行状態から4WD走行状態へ移行する際には、図3のフローチャートにおけるS30乃至S80が実行される。このような場合には、図3のフローチャートにおけるS90は必ずしも必要でない。
また、前述の実施例では、2WD_d走行状態から4WD走行状態へ移行する際には、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御した後に、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の両方のカップリングに伝達トルクを発生させたが、これに限らない。例えば、伝達トルク演算部112により算出された、左クラッチトルクTcl及び右クラッチトルクTcrによっては、第1カップリング62及び第2カップリング64の何れかのカップリングに伝達トルクを発生させる場合も想定される。その為、車両走行状態に基づいて第1カップリング62及び第2カップリング64の少なくとも一方のカップリングに伝達トルクを発生させることでも、本発明は実行される。このような場合でも、第1カップリング62及び第2カップリング64の少なくとも一方の係合当初から車両走行状態に応じた適切な伝達トルクを、その係合するカップリングに速やかに発生させられる。よって、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、速やかに車両走行状態に応じた4WD走行状態とすることができる。又、例えば、砂地などで、第1カップリング62及び第2カップリング64を速やかに完全係合する場合も想定される。この場合には、車両状態に応じた(例えば操舵角θswに応じた)左クラッチトルクTcl及び右クラッチトルクTcrに制御する必要はなく、できるだけ早くカップリングを繋ぎにいけば良い。その為、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、フロント側クラッチ44を係合に向けて制御した後に、第1カップリング62及び第2カップリング64の少なくとも一方のカップリングに伝達トルクを発生させることでも、本発明は実行される。このような場合でも、第1カップリング62及び第2カップリング64の少なくとも一方の係合当初から、その係合するカップリングに伝達トルクを速やかに発生させられる。よって、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行に際して、速やかに4WD走行状態とすることができる。
また、前述の実施例における図3のフローチャートは、2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行制御を実行することを前提として開始されたが、これに限らない。例えば、図3のフローチャートにおけるS10及びS20が共に肯定されたことを条件として2WD_d走行状態から4WD走行状態への移行を判断し、この条件で判断されたときの4WD走行状態への移行の際に、S30乃至S80が実行されるような態様であっても良い。このような場合にも、図3のフローチャートにおけるS90は必ずしも必要でない。
また、前述の実施例における図3のフローチャートにおいて、上述したようにS10やS20やS90は必ずしも必要でなかったり、又はS80の実行前までにS40の実行が完了しておれば良いなど、各ステップの実行順等は差し支えのない範囲で適宜変更することができる。
また、前述の実施例で示したように、車両10では、リヤ側クラッチ32が係合されていても、フロント側クラッチ44,128と第1カップリング62及び第2カップリング64とが解放されていれば、前記ディスコネクト状態と同様の状態を作り出すことができる。従って、車両10は、リヤ側クラッチ32を備えなくても、2WD_d走行状態を作り出すことができる。つまり、第1カップリング62及び第2カップリング64は、前記ディスコネクト機構として機能させられる。よって、リヤ側クラッチ32を備えていない車両10であっても、本発明は適用され得る。ところで、リヤ側クラッチ32を備えていない車両10では、2WD_d走行状態において、第1カップリング62及び第2カップリング64が解放された状態であってもカップリングを構成する湿式多板クラッチの引き摺りが生じる為に、所定の回転要素を完全に回転停止させることができない可能性がある。前記ディスコネクト機構は、所定の回転要素を回転停止させる機構であることが望ましいが、上述したような引き摺り等に因って回転が多少発生した状態としてしまう機構も含んでいる。尚、リヤ側クラッチ32を備えることは、このような引き摺り等に因る回転を防止するということでは、有用である。
また、前述の実施例では、第1カップリング62及び第2カップリング64は、電子制御カップリングであったが、これに限らない。例えば、第1カップリング62及び第2カップリング64は、公知の油圧式摩擦係合装置であっても良い。
また、前述の実施例では、リヤ側クラッチ32及びフロント側クラッチ128は、電磁ドグクラッチであったが、これに限らない。例えば、リヤ側クラッチ32及びフロント側クラッチ128は、スリーブを軸方向に移動させるシフトフォークを備え、電気制御可能な或いは油圧制御可能なアクチュエータによって、そのシフトフォークが駆動される形式のドグクラッチであっても良い。又、リヤ側クラッチ32及びフロント側クラッチ44,128は、回転要素間を断接する構成であれば適宜適用することができる。
また、前述の実施例では、車両10は、前輪14に常時動力が伝達され、後輪16が副駆動輪となる構造となっているが、これに限らない。例えば、車両10は、後輪16に常時動力が伝達され、前輪14が副駆動輪となる構造であっても構わない。例えば、車両10は、FRベースの四輪駆動車両であっても良い。
また、前述の実施例では、必要ヨーモーメント演算部110は、例えば前記式(4)に示すようなフィードバック制御式を用いて必要ヨーモーメント量Mreqを算出したが、これに限らない。例えば、フィードバック制御に替えて、フィードフォワード制御によって、ヨーレート偏差ΔRyawに基づく予め定められた必要ヨーモーメント量Mreqを算出しても良い。このような場合には、結果的に、フロント側クラッチ44,128を係合に向けて制御した後に、第1カップリング62及び第2カップリング64の両方に発生させる伝達トルクは、操舵角θswに基づく予め定められた伝達トルクとなる。このようにしても、操舵角θswが略零となる操舵中でないときを含め、各車輪14,16に適切な駆動力が発生させられる。又、特に、操舵時には、左右の後輪16L,16Rの各々において発生させる各駆動力によって操舵角θswに応じたヨーモーメントを発生させることができる。尚、フィードバック制御とフィードフォワード制御とを組み合わせることも可能である。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。