JP5908459B2 - 半導体放熱板用Mo焼結部品およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents
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Description
上記半導体装置に組み込まれている半導体放熱板は、単に熱伝導率が高いことのみではなく、熱膨張差に起因する応力を低減するために、熱膨張率が半導体素子に近似していることや、十分な構造強度などが求められている。このような条件を満たす放熱板の具体例として、例えば、特開平11−307701号公報(特許文献1)には、Mo圧粉体に銅を溶浸したMo―Cu溶浸基板が開示されている。低熱膨張率材料であるMoと高熱伝導率材料であるCuを組み合わせることにより、低熱膨張であり、かつ放熱性に優れた放熱板を提供できている。
本発明は、このような技術課題に鑑みてなされたもので、放熱性が良好であり、かつ構造強度が高い半導体放熱板用Mo焼結部品およびそれを用いた半導体装置を提供するものである。
また、Mo焼結部品の表面粗さRaが5μm以下であることが好ましい。また、モリブデン焼結合金材は、Ni、Co、Feの少なくとも一種以上を金属元素換算で0.1〜3質量%含有していることが好ましい。また、モリブデン焼結合金材が密度90〜98%の焼結合金材であることが好ましい。また、銅がモリブデン結晶同士の隙間に充填されていることが好ましい。また、隣り合うモリブデン結晶同士の最も離れた距離が50μm以下であることが好ましい。
また、Mo焼結部品は、厚さが0.05〜1mmであり、直径が5〜70mmである円板状であることが好ましい。また、Mo焼結部品の熱膨張率が7〜14×10−6/℃であることが好ましい。また、Mo焼結部品の引っ張り強度が0.44GPa以上であることが好ましい。また、Mo焼結部品の比抵抗が5.3×10−6Ω・m以下であることが好ましい。
また、本発明に係る半導体装置は、上記本発明に係る半導体放熱板用Mo焼結部品を放熱板として用いて構成されたものである。
上記銅の含有量が10質量%未満または50質量%を超えると、熱膨張係数(熱膨張率)が7〜14×10−6/℃を外れる可能性が高い。
ここで上記半導体放熱板とは、半導体素子を搭載するための基板またはヒートシンク(放熱板)として使用するためのものである。図1に半導体放熱板を使用した構成部品の一例を示す。図1中、1は半導体放熱板用Mo焼結部品、2は絶縁膜(絶縁層)、3は半導体素子である。
図1では半導体放熱板用Mo部品1に絶縁層2を介して半導体素子3を搭載した例を示したが、半導体素子を搭載する基板を他の材料(例えば、セラミックス基板)で形成して、他の材料から成る基板の裏面にヒートシンクとして本発明の半導体放熱板用Mo部品を適用してもよい。なお、Mo部品は絶縁体ではないため、半導体素子を搭載する際は絶縁層2を介して接合を行う。
本実施形態に係る半導体放熱板用Mo焼結部品は、熱伝導率が160W/m・K以上と放熱性も良好であるため、半導体素子を搭載した場合においても優れた放熱性を示す。また、半導体素子はSi成分などで形成されている。半導体素子(Si系)の熱膨張係数は4〜7×10−6/℃程度であるので、Mo部品の熱膨張率は前述のように熱膨張率が7〜14×10−6/℃、さらには8〜11×10−6/℃であることが好ましい。このように半導体素子との熱膨張率を近似させることにより半導体素子との熱膨張差に起因する剥がれを防止することができる。
ここでモリブデン結晶の平均粒径が10μm未満と過小であると相対的に銅の割合が増加するので合金材の強度が低下する。一方、平均粒径が100μmを超えるように過大になると相対的に銅の割合が少なくなるので好ましくない。モリブデン合金材は焼結体であり、モリブデンと銅との存在割合(面積比)のばらつきが平均値の±10%以内である。モリブデンと銅の面積比のばらつきが少ないと、モリブデン合金材の特性ばらつきを抑制することができる。
また、Mo結晶と銅との面積比の測定は単位面積500μm×500μmを基準として測定するものとする。単位面積を500μm×500μmとしたのは、平均粒径の上限を100μmとしているので、その5倍程度の面積であれば測定誤差を低減することが可能であるためである。また、Mo結晶と銅との面積比の測定は、SEM写真またはEPMAの面分析により測定できる。
上記密度が90%未満の場合は、モリブデン合金材の強度が低下するおそれがある。一方、密度が98%を超えて高いと強度は十分であるが、製造コストの増大を招くおそれがある。そのため、密度は90〜98%が好ましい。さらに、密度は94〜97%の範囲が好ましい。
図2に本実施形態に係る半導体放熱板用Mo焼結部品の組織の一例を示す。図中、4はモリブデン結晶粒子、5は銅である。また、銅がモリブデン結晶同士の隙間に充填されていることが好ましい。また、モリブデン結晶の最大結晶粒径が平均粒径の2倍以下であることが好ましい。
また、モリブデン結晶の最大結晶粒径が平均粒径の2倍以下であることが好ましい。モリブデン結晶に平均粒径の2倍を超える粗大粒子があると、モリブデン結晶と銅の存在割合のばらつきが発生し易い。
なお、上記モリブデン結晶の平均粒径の測定方法は、拡大写真(SEM写真)を用い、そこに写る個々のモリブデン結晶の長径と短径とを求め、(長径+短径)/2により、その結晶粒子の粒径を求める。この作業を任意の100粒子に関する最大径を求め、その平均値を「平均粒径」とし、最も大きな「最大径」を「最大結晶粒径」とする。
また、隣り合うモリブデン結晶同士間の距離の中で最も離れた距離が50μm以下であることが好ましい。図5に本発明の半導体放熱板用Mo焼結部品の組織の他の一例を示した。図中、4aおよび4bは隣り合うモリブデン結晶粒子であり、5は銅である。
図5において、モリブデン結晶粒子4aの周囲にあるモリブデン結晶粒子の中で最も離れた距離にあるのはモリブデン結晶粒子4bである。モリブデン結晶粒子4aから最も離れたモリブデン結晶粒子4bに関し、その最短距離Dを「隣り合うモリブデン結晶同士の最も離れた距離」とする。本発明では、隣り合うモリブデン結晶同士の最も離れた距離が50μm以下とすることにより、部分的な熱膨張率のバラツキを低減し、強度を向上させ、部分的な比抵抗のバラツキを低減することができる。また、隣り合うモリブデン結晶同士の最も離れた距離は5〜20μmであることがより好ましい。
なお、「隣り合うモリブデン結晶同士の最も離れた距離」の測定方法は、単位面積500μm×500μmの拡大写真(SEM写真)を使って測定するものとする。
まず、原料粉末としてMo粉末と銅粉末とを用意し混合する。Mo粉末としては、平均粒径が1〜8μmであり、さらに好ましくは3〜5μmである原料粉末を使用する。平均粒径が8μmを超えると平均粒径の2倍以上の粗大粒子が形成され易い。また、Mo粉末の純度は99.9wt%以上のものであることが好ましい。
また、銅粉末の平均粒径は、10μm以下、さらには0.5〜5μmであることが好ましい。銅粉末の平均粒径が10μmを超えるとMo粒子間に銅粉末が入らない状態ができ易いため、好ましくない。また、銅粉末の純度も99.9wt%以上のものであることが好ましい。また、必要に応じ、Ni,Co,Feなどの第三成分を添加する場合は、第三成分の平均粒径も平均粒径10μm以下、さらに好ましくは0.5〜5μm以下とする。
次に、この造粒粉末(樹脂バインダと混合した原料粉末)を金型に詰めてプレス成形することにより、半導体放熱板用Mo焼結部品形状のMo成形体を得るプレス工程を行う。プレス圧力は3〜13ton/cm2(294〜1274MPa)が好ましい。プレス圧力が3ton/cm3未満では成形体の強度が不十分であり、13ton/cm2を超えて大きいと成形体の密度が高くなりすぎ金型に負荷が掛かり易い。
第一の焼成工程では、最終製品としてMo焼結体(半導体放熱板用Mo焼結部品)の緻密化を目的としたものではなく、酸化還元雰囲気中で焼成することにより、Mo焼結体表面の炭素を取り除くとともにMo焼結体が必要以上に酸化されるのを防止することを目的とした工程である。Mo焼結体が酸化されると銅がMo結晶粒子間に十分に充填されないおそれがある。
また、第一の焼成工程は、600℃から最高到達温度までを3〜7時間かけて昇温することが好ましい。第一の焼成工程は、昇温速度があまり早いと成形体中のバインダの消失や緻密化に不均一な個所がでて、密度が不均一な焼結体となるおそれがある。一方で7時間以上かけて昇温すれば不均一性は解消されるが、時間が掛かり過ぎて製造効率が低下する。
また、所定のガス流量があれば、除去された炭素成分(二酸化炭素、一酸化炭素)を気流と一緒に焼結炉外に排除できる。樹脂バインダは、熱を加えると炭素として残存する。残存した炭素は第一の焼成工程中に炭素成分(二酸化炭素や一酸化炭素)になるが、これら炭素成分は銅と反応し易いことから、気流の制御により新鮮なウエット水素ガスを供給できるようにする必要がある。
特に、焼成ボート(Moボート)上に複数個のMo成形体を並べて1バッチ200個以上の成形体を一度に焼成する場合は、ウエット水素ガス流量の調整は必要であり、そのときは焼成炉内のウエット水素ガス流量が2m3/H以上の箇所があるようにすることが好ましい。
第二の焼成工程は、最高到達温度を1200〜1600℃とし、最高到達温度での保持時間を1〜5時間とすることが好ましい。最高到達温度が1200℃未満では緻密化が十分に進行せず密度が90%未満になり易い。一方、最高到達温度が1600℃を超えると銅が流れ出し、密度が低下する。好ましくは1300〜1500℃の範囲である。
また、最高到達温度での保持時間が1時間未満ではMo焼結体の緻密化が不十分であり、5時間を超えると銅が溶け出るおそれがある。
また、第一の焼成工程から第二の焼成工程は、図4に示したような焼成容器7を用いることにより第一の焼成工程から第二の焼成工程への移動を連続的に実施することができるので量産性が向上する。
また、上記のように製造したMo焼結体(半導体放熱板用Mo焼結部品)は、必要に応じて、表面研磨加工を施すものとする。研磨加工は、バレル研磨やダイヤモンド砥石による研磨加工が挙げられる。
(実施例1〜5および比較例1)
平均粒径が3μmであり、純度が99.9wt%であるMo粉末と、平均粒径が5μmであり、純度が99.9%である銅粉末とを混合し、さらに樹脂バインダ(PVA)と混合して平均粒径が80〜120μmである造粒粉末を調製した。次に、この造粒粉末を3〜5ton/cm2のプレス圧力で金型成型してMo成形体を調製した。なお、MoとCuの組成比およびMo焼結体のサイズは表1に示した通りである。
次に図4に示すように、調製した400個のMo成形体6をMo製焼成ボート8上に2mm間隔で並べた。この焼成ボート8を、スペーサ(セパレータ)9を介して3段重ねて、Mo焼成容器7内に収容した。これをプッシュ式焼成炉に投入して表1に示す条件にて第一及び第二の焼成工程を実施した。なお、焼成工程は一旦、焼成炉内部に窒素ガスを充満させた後に、ウエット水素ガス気流を流す雰囲気中で実施した。また、600℃から最高到達温度までは3〜7時間かけて昇温して実施したものである。
その後、表面研磨加工を施して各実施例に係る半導体放熱板用Mo焼結部品を調製した。得られた半導体放熱板用Mo焼結部品は直径50mm×厚さ0.6mmで統一した。また、表面粗さRaは3μmで統一した。
一方、比較例1として、密度が90%であるMo焼結体を調製した後、Cuを溶浸する溶浸法により製造したMo焼結部品を用意した。
また、Mo結晶の平均粒径は、前述の拡大写真から求めた。具体的には、(長径+短径)÷2の計算式で個々のMo結晶粒子の粒径を求め、Mo結晶粒子の100個分の平均値を「平均粒径」とした。また、同様の拡大写真を用いてそこに写る最も大きな粒子の粒径と平均粒径の比を求めた。また、隣り合うモリブデン結晶同士の最も離れた距離は、前述の拡大写真から、そこに写るモリブデン結晶の中で隣り合うモリブデン結晶同士の最も離れたモリブデン結晶粒子同士の最短距離を求めた。また、密度は(アルキメデス法/理論密度)×100(%)により求めた。
さらに、熱膨張率、引っ張り強度、比抵抗、熱伝導率を求めた。ここで、Mo焼結部品の熱膨張率は25℃〜400℃までの体積膨張率で求めた。また、引っ張り強度はJIS−Z−2241に準拠する引張強さ(tensile strength)測定方法により求めた。さらに比抵抗はJIS−H−0505に準拠する体積抵抗率の測定方法にて求めた。また、熱伝導率はレーザーフラッシュ法により求めた。その結果を表2に示す。
一方、溶浸法で製造した比較例1に係るMo焼結部品は、Mo焼結体の中心部には銅が充填されていない領域があり、密度は87%であった。そのため、熱膨張率、強度および熱伝導率は低下し、比抵抗値は大きくなっていた。また、予めMoのみで焼結体を構成していることから焼結温度を1700℃程度と高くしなければならないことから平均粒径の2倍以上の粗大粒子が形成されていた。
次に組成およびMo焼結体サイズを表3のように設定すると共に、表4の条件にしたがって各Mo焼結部品を製造した。製造した各実施例に係る半導体放熱板用Mo焼結部品について実施例1と同様の測定を行った。その結果を表5に示す。また、焼成工程は600℃から最高到達温度までの昇温を3〜7時間かけて実施したものである。また、得られたMo焼結部品を表面研磨して表面粗さを表3に示す数値にした。
実施例1〜13および比較例1に係る半導体放熱板用Mo焼結部品を使用して図1に示すような半導体装置を作製した。具体的には、半導体放熱板用Mo焼結部品1の表面に絶縁層2を介して半導体素子3を搭載した。次に、絶縁膜2上に半導体素子3を表6に示す個数配置し、ろう付け接合した。その後、半導体素子の耐熱サイクル試験を行った。すなわち、室温(25℃)から120℃に昇温し、しかる後に室温まで戻し、さらに−20℃まで冷却する熱サイクルを1サイクルとし、1000サイクル後に半導体装置の不具合(半導体素子の剥がれや位置ずれ)の有無を確認した。不具合が1個でも発生したものを「×」、全く発生しなかったものを「○」で表示した。その結果を下記表6に併せて示す。
2…絶縁膜(絶縁層)
3…半導体素子
4,4a,4b…モリブデン結晶粒子
5…銅
6…Mo成形体
7…焼成用容器
8…焼成ボート
9…セパレータ(スペーサ)
Claims (11)
- 銅を10〜50質量%含有するモリブデン合金材から成る半導体放熱板用Mo焼結部品において、上記モリブデン合金材のモリブデン結晶の平均粒径が10〜100μmであり、上記モリブデン結晶の最大結晶粒径が平均粒径の2倍以下であり、単位面積500μm×500μm当りのMo結晶の面積比のばらつきが平均値の±10%以内であることを特徴とする半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 半導体放熱板用Mo焼結部品の表面粗さRaが5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 前記モリブデン合金材は、Ni、Co、Feの少なくとも一種以上を金属元素換算で0.1〜3質量%含有していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 前記モリブデン合金材が密度90〜98%を有する焼結合金材であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 前記銅がモリブデン結晶同士の隙間に充填されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 隣り合うモリブデン結晶同士の距離のうち、最も離れた距離が50μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 半導体放熱板用Mo焼結部品は、厚さが0.05〜1mmであり、直径が5〜70mmである円板状であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 半導体放熱板用Mo焼結部品の熱膨張率が7〜14×10−6/℃であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 半導体放熱板用Mo焼結部品の引っ張り強度が0.44GPa以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 半導体放熱板用Mo焼結部品の比抵抗が5.3×10−6Ω・m以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の半導体放熱板用Mo焼結部品。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の半導体放熱板用Mo焼結部品を用いたことを特徴とする半導体装置。
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