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JP5912466B2 - 発光素子の駆動方法 - Google Patents
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JP5912466B2 - 発光素子の駆動方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子の駆動方法に関する。特に、有機エレクトロルミネッセンスを利用して発光する発光素子の駆動方法に関する。また、当該駆動方法によって駆動される発光素子を有する発光装置の駆動方法に関する。
近年、エレクトロルミネッセンス(Electro luminescence、以下、ELとも記す)を利用した発光素子の研究開発が盛んに行われている。これらの発光素子は一対の電極間に発光性の物質を含む層を挟んだ構成を有し、その一対の電極間に電圧を印加して、発光性の物質から発光を得るものである。
エレクトロルミネッセンスを利用した発光素子は、薄型軽量に作製できること、非常に応答速度が速いこと等が大きな特徴であり、利点である。このような自発光型の発光素子には様々な用途が考えられる。例えば、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高く、バックライトが不要である等の特徴は、当該発光素子がフラットパネルディスプレイに好適であると言える。
また、これらの発光素子は膜状に形成することが可能であるため、大きな面積を有する面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLED(Light Emitting Diode)に代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
エレクトロルミネッセンスを利用した発光素子は、発光性の物質が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって大別できる。有機化合物を発光性の物質に用いた発光素子の発光原理を説明する。まず、発光素子の一対の電極間に電圧を印加することにより、当該一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入される。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成後、基底状態に戻る際に発光する。
ところで、エレクトロルミネッセンスを利用した発光素子のEL層は非常に薄い。EL層が薄いため、発光素子の一対の電極間に導電性の異物が混入した場合、一対の電極は短絡し易い。短絡の発生は発光素子の破壊や、発熱による発光素子の劣化や、リーク電流による消費電力の増大等の不具合を招く。特許文献1では、短絡を生じた箇所(欠陥部)を検出し、当該箇所(欠陥部)にレーザ光を照射して絶縁化する方法及び装置が提案されている。
特開2002−260857号公報
発光素子の一対の電極の短絡は、当該発光素子の製造工程中のみならず当該発光素子の点灯中においても発生することがある。点灯中に一対の電極が短絡すると、当該箇所における発熱が促進され、当該発光素子の劣化の原因となる。また、当該発光素子が定電流駆動を行う場合、短絡した箇所に電流が集中するため当該発光素子の輝度が低下することになる。なお、特許文献1で開示される方法は、短絡した箇所を修繕する方法として有効な手段であるが、点灯中に発生した発光素子の一対の電極の短絡を修繕する手段として適用することは困難である。すなわち、当該発光素子又は当該発光素子を有する発光装置が市場に流通した後において、特許文献1で開示される方法を適用することは困難である。
上述した問題に鑑み、本発明の一態様は、発光素子の劣化を抑制することを目的の一とする。また、本発明の一態様は、点灯中に低下した発光素子の輝度を回復することを目的の一とする。また、本発明の一態様は、発光素子の一対の電極の短絡を修繕する簡便な方法を提供することを目的の一とする。なお、本発明の一態様は、上述した目的の少なくとも一を達成することを課題とする。
本発明の一態様の発光素子の駆動方法は、一対の電極が短絡した箇所に大電流を生じさせることで当該箇所を絶縁化することを要旨とする。
具体的には、本発明の一態様は、少なくとも一方が透光性を備えた一対の電極と、一対の電極に挟持された発光性の物質を含む層とを有する発光素子の駆動方法であって、発光素子に一定又は略一定の駆動電流を生じさせる第1の工程と、発光素子に印加される電圧の絶対値を経時的に増加させる第2の工程と、を有し、第1の工程において発光素子に印加される電圧が発光開始電圧以下となった場合に、第1の工程から第2の工程へと移行することを特徴とする発光素子の駆動方法である。
なお、本明細書において、発光開始電圧とは、当該発光素子の透光性を有する一対の電極の一方から1cd/mの光の放射が確認される電圧であることとする。
本発明の一態様の発光素子の駆動方法は、定電流駆動を行う第1の工程と、電圧の絶対値を経時的に増加させる第2の工程とを有する。なお、本発明の一態様の発光素子の駆動方法においては、当該発光素子に印加される電圧が発光開始電圧以下となった場合に一対の電極が短絡したものと擬制し、この条件を満たした場合に第1の工程から第2の工程へと移行する。これにより、第2の工程においては、一対の電極が短絡している箇所に大電流を生じさせることができる。したがって、大電流により生じる熱によって当該箇所における一対の電極の少なくとも一を溶融させた後蒸発させる又は昇華させることが可能である。その結果、当該箇所を絶縁化(一対の電極の短絡を修繕)することが可能である。すなわち、当該発光素子の劣化を抑制すること及び輝度を回復することが可能である。
また、本発明の一態様の発光素子の駆動方法は、当該発光素子に印加される電圧を制御することによって一対の電極の短絡を修繕することが可能である。したがって、特許文献1で開示される方法と比較して、簡便な方法によって一対の電極の短絡を修繕することが可能である。
(A)発光素子の構成例を示す図、(B)発光素子に印加される電圧の経時変化の一例を示す図、(C)発光素子に生じる電流の経時変化の一例を示す図、(D)短絡された発光素子の状態の一例を示す図、(E)絶縁化された発光素子の状態の一例を示す図。 発光素子の駆動方法例を示すフローチャート。 (A)、(B)発光素子の構成例を示す図。 (A)発光素子に印加される電圧の経時変化の一例を示す図、(B)発光素子に生じる電流の経時変化の一例を示す図。 発光素子の駆動方法例を示すフローチャート。 パッシブマトリクス型の発光装置の一例を示す図。 (A)、(B)発光装置の構成例を示す図。 (A)、(B)電子機器の一例を示す図。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
まず、本発明の一態様に係る発光素子及びその駆動方法について図1、2を参照して説明する。
<発光素子の構成例>
図1(A)は、発光素子の構成例を示す図である。図1(A)に示す発光素子は、陽極11と、陰極12と、陽極11及び陰極12に挟持される発光性の物質を含む層13とを有する。なお、陽極11及び陰極12の少なくとも一方は、透光性を有する。
陽極11と陰極12の間に、閾値電圧より高い電圧を印加すると、発光性の物質を含む層13に陽極11の側から正孔(ホール)が注入され、陰極12の側から電子が注入される。注入された電子と正孔は発光性の物質を含む層13において再結合し、当該発光物質が発光する。そして、透光性を有する陽極11及び陰極12の少なくとも一方から当該発光物質が発する光を放射する。
発光性の物質を含む層13は、少なくとも発光性の物質を含む発光層を備えていればよく、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えば正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。具体的には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層(ホールブロッキング層)、電子輸送層、電子注入層等が挙げられ、これらを陽極側から適宜積層して用いることができる。
<発光素子の駆動方法例>
図1(B)は、駆動時において発光素子に印加される電圧の経時変化を示す図であり、図1(C)は、当該駆動時において発光素子に生じる電流の経時変化を示す図である。以下、図1(B)、(C)を参照して本発明の一態様に係る発光素子の駆動方法の一例について説明する。
期間T1においては、発光素子に一定又は略一定の駆動電流を生じさせるよう電圧を制御する(定電流駆動)。当該駆動電流の値は、当該発光素子が放射する光の輝度に応じて適宜設定すればよい。すなわち、当該駆動電流は、少なくとも発光開始電圧が印加された際に発光素子に生じる電流よりも高くすればよい。この時、当該発光素子に印加される電圧は、発光開始電圧よりも高くなる。
なお、期間T1の初期においては、当該発光素子に印加される電圧が一時的に低下することがある。これは、駆動電流が生じることによって当該発光素子が発熱することに起因する。また、期間T1において発光素子に印加される電圧が経時的に増加することがある。これは、当該発光素子が経時的に劣化することに起因する。
ここで、図1(D)に示すように陽極11及び陰極12が短絡すると、発光素子に印加される電圧が発光開始電圧以下へと低下する。本発明の一態様の発光素子の駆動方法では、期間T1において発光素子に印加される電圧が発光開始電圧以下となった場合に期間T2へと移行する。
期間T2においては、発光素子に印加される電圧を経時的に増加させる。この時、当該発光素子に生じる電流も印加される電圧に比例して増加する。ここで発生する電流の経路は、一対の電極が短絡している箇所となる。そのため、当該箇所が局所的に発熱する。これにより、発光素子に印加される電圧を経時的に増加させたことによる熱によって、当該箇所における一対の電極の少なくとも一を溶融させた後蒸発させる又は昇華させることができる。例えば、図1(E)に示すように、当該箇所の陰極12を昇華させることができる。その結果、当該箇所が絶縁化される。
さらに、当該箇所が絶縁化した事に伴い発光素子に生じる電流が、期間T1における駆動電流(定電流駆動時の電流値)以下となる。本発明の一態様の発光素子の駆動方法では、期間T2において発光素子に生じる電流が駆動電流以下となった場合に期間T3へと移行する。
なお、図1(B)、(C)では、期間T2において発光素子に印加される電圧を線形に増加させる構成(単位時間当たりの電圧の変化量を一定とする構成)について示したが、当該電圧を非線形に増加させる構成(単位時間当たりの電圧の変化量を変動させる構成)とすることも可能である。
期間T3においては、期間T1と同様の定電流駆動を行う。
上述した本発明の一態様の発光素子の駆動方法の一例を図2に示すフローチャートを参照して説明する。
本発明の一態様の発光素子の駆動方法では、定電流駆動によって当該発光素子から光を放射させる。この時、当該定電流駆動時に当該発光素子に印加される電圧を測定する。そして、当該電圧測定によって得られた電圧値が発光開始電圧以下であるか否かによって、当該発光素子が定電流駆動を継続するか、又は定電流駆動から印加電圧を増加させる駆動へと移行するかが選択される。具体的には、当該電圧測定によって得られた電圧値が発光開始電圧以下であれば、印加電圧を増加させる駆動へと移行し、当該電圧値が発光開始電圧より高ければ、定電流駆動を継続する。なお、本発明の一態様の駆動方法においては、当該電圧測定を、定常的に行うこと、定期的に行うこと、又は不定期に行うことが可能である。ここで、当該電圧測定を不定期に行う場合の例としては、当該発光素子の利用者の操作によって当該発光素子に当該電圧測定を行わせることなどが挙げられる。この場合、当該利用者が当該発光素子の輝度低下を視認した場合に、当該発光素子に当該電圧測定を行わせることなどが可能である。
印加電圧を増加させる駆動へと移行した場合には、当該発光素子に生じる電流を測定する。そして、当該電流測定によって得られた電流値が駆動電流以下であるか否かによって、当該発光素子が印加電圧を増加させる駆動を継続するか、又は印加電圧を増加させる駆動から定電流駆動へと移行するかが選択される。具体的には、当該電流測定によって得られた電流値が駆動電流以下であれば、定電流駆動へと移行し、当該電流値が駆動電流より高ければ、印加電圧を増加させる駆動を継続する。なお、本発明の一態様の駆動方法においては、印加電圧を増加させる駆動への移行後に当該電流測定を、定常的に行うこと、定期的に行うこと、又は不定期に行うことが可能である。ここで、当該電流測定を不定期に行う場合の例としては、当該発光素子の利用者の操作によって当該発光素子に当該電流測定を行わせることなどが挙げられる。この場合、当該利用者が当該発光素子の輝度回復を視認した場合に、当該発光素子に当該電流測定を行わせることなどが可能である。
再度、定電流駆動を行う発光素子を継続して発光させるか否かは利用者が適宜選択することが可能である。
本発明の一態様の発光素子の駆動方法は、定電流駆動を行う工程と、印加電圧を増加させる駆動を行う工程とを有する。なお、前者の工程から後者の工程へ移行するか否かは、当該発光素子に印加される電圧値によって決められる。具体的には、当該発光素子に印加される電圧が発光開始電圧以下となった場合に一対の電極が短絡したものと擬制し、この条件を満たした場合に前者の工程から後者の工程へと移行する。これにより、印加電圧を増加させる駆動を行う工程においては、一対の電極が短絡している箇所に大電流を生じさせることができる。したがって、発光素子に印加される電圧を経時的に増加させたことによる熱によって、当該箇所における物質の少なくとも一を溶融させた後蒸発させる又は昇華させることが可能である。その結果、当該箇所を絶縁化(一対の電極の短絡を修繕)することが可能である。すなわち、当該発光素子の劣化を抑制すること及び輝度を回復することが可能である。
また、本発明の一態様の発光素子の駆動方法は、当該発光素子に印加される電圧を制御することによって一対の電極の短絡を修繕することが可能である。したがって、特許文献1で開示される方法と比較して、簡便な方法によって一対の電極の短絡を修繕することが可能である。
<変形例>
上述した発光素子及びその駆動方法は、本発明の一態様であり、上述した発光素子及びその駆動方法と異なる構成を有する発光素子の駆動方法も本発明には含まれる。以下、図3〜図5を参照して上述の発光素子及びその駆動方法の変形例について説明する。
(発光素子の変形例1)
図3(A)は、図1(A)に示した発光素子とは異なる構成を有する発光素子の構成例を示す図である。図3(A)に示す発光素子は、陽極11と陰極12の間に発光性の物質を含む層13が挟んで設けられている。さらに、陰極12と発光性の物質を含む層13との間には中間層14が設けられている。なお、図3(A)に示す発光素子が有する発光性の物質を含む層13には、図1(A)に示す発光素子が有する発光性の物質を含む層13と同様の構成が適用可能であり、詳細については、発光素子の構成例の記載を参酌できる。
中間層14は少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域以外の層と積層された構成であってもよい。例えば、電荷発生領域14c、電子リレー層14b、及び電子注入バッファー14aが陰極12側から順次積層された構造を適用することができる。
中間層14における電子と正孔の挙動について説明する。陽極11と陰極12の間に、閾値電圧より高い電圧を印加すると、電荷発生領域14cにおいて、正孔(ホール)と電子が発生し、正孔は陰極12へ移動し、電子は電子リレー層14bへ移動する。電子リレー層14bは電子輸送性が高く、電荷発生領域14cで生じた電子を電子注入バッファー14aに速やかに受け渡す。電子注入バッファー14aは発光性の物質を含む層13に電子を注入する障壁を緩和し、発光性の物質を含む層13への電子注入効率を高める。従って、電荷発生領域14cで発生した電子は、電子リレー層14bと電子注入バッファー14aを経て、発光性の物質を含む層13のLUMO準位に注入される。
また、電子リレー層14bは、電荷発生領域14cを構成する物質と電子注入バッファー14aを構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を防ぐことができる。
(発光素子の変形例2)
図3(B)は、図1(A)及び図3(A)に示した発光素子とは異なる構成を有する発光素子の構成例を示す図である。図3(B)に示す発光素子は、陽極11と陰極12の間に発光性の物質を含む層13a、13bが2つ挟んで設けられている。さらに、発光性の物質を含む層13aと、発光性の物質を含む層13bとの間には中間層14が設けられている。なお、陽極11と陰極12に挟持される発光性の物質を含む層は二つに限定されない。すなわち、発光性の物質を含む層の間に中間層を挟んで、発光性の物質を含む層を陽極11と陰極12の間に三つ以上積層してもよい。なお、図3(B)に示す発光素子が有する発光性の物質を含む層13a、13bには、図1(A)に示す発光素子が有する発光性の物質を含む層13と同様の構成が適用可能である。また、図3(B)に示す発光素子が有する中間層14には、図3(A)に示す発光素子が有する中間層14と同様の構成が適用可能である。よって、これらの詳細については、発光素子の構成例、又は発光素子の変形例1の記載を参酌できる。
発光性の物質を含む層の間に設けられた中間層14における電子と正孔の挙動について説明する。陽極11と陰極12の間に、閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層14において正孔(ホール)と電子が発生し、正孔は陰極12側に設けられた発光性の物質を含む層13bへ移動し、電子は陽極11側に設けられた発光性の物質を含む層13aへ移動する。発光性の物質を含む層13bに注入された正孔は、陰極12側から注入された電子と再結合し、発光性の物質が発光する。また、発光性の物質を含む層13aに注入された電子は、陽極11側から注入された正孔と再結合し、発光性の物質が発光する。すなわち、中間層14において発生した正孔と電子は、それぞれ異なる発光性の物質を含む層において発光に至る。
なお、発光性の物質を含む層同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、発光性の物質を含む層同士を接して設けることができる。具体的には、発光性の物質を含む層の一方の面に電荷発生領域が形成されていると、当該電荷発生領域は中間層の電荷発生領域として機能するため、発光性の物質を含む層同士を接して設けることができる。
発光素子の構成例及び発光素子の変形例1、2は、互いに組み合わせることができる。例えば、発光素子の変形例2の陰極12と発光性の物質を含む層13bの間に中間層を設けることもできる。
(発光素子の駆動方法の変形例1)
図4(A)は、図1(C)とは異なる、駆動時において発光素子に印加される電圧の経時変化を示す図であり、図4(B)は、当該駆動時において発光素子に生じる電流の経時変化を示す図である。具体的には、図4(A)に示す駆動方法では、期間T2において発光素子に経時的に増加する逆方向バイアス電圧が印加される点が図1(B)に示す駆動方法と異なる。期間T2で逆方向バイアス電圧が印加される場合、発光素子が有する一対の電極が短絡した箇所のみに電流を生じさせることができる。すなわち、図1(B)に示す期間T2で順方向バイアス電圧が印加される場合は、発光素子が有する発光性の物質を含む層に高電流が生じ、当該発光素子の劣化が促進される可能性があるのに対し、逆方向バイアス電圧が印加される場合はその可能性がない。したがって、期間T2で逆方向バイアスを印加できる駆動方法は、期間T2における当該発光素子の劣化を抑制することができるため好ましい。ここで、「バイアス電圧」とは、駆動電圧以外の電圧を意味するものとする。
なお、図4(A)、(B)に示す逆方向バイアスを印加できる駆動方法においては、発光素子に生じる電流の絶対値が駆動電流よりも高い値から低い値へと変化した場合に、期間T2(発光素子に、経時的に増加する逆方向バイアス電圧を印加する工程)から期間T3(定電流駆動を行う工程)へと移行させることなどが可能である。ここで、当該発光素子に生じる電流の測定は、定常的に行うこと、定期的に行うこと、又は不定期に行うことが可能である。ただし、図4(A)、(B)に示す駆動方法では、一対の電極の短絡が修繕された場合であっても輝度が回復することはない。そのため、利用者が視覚によって当該修繕がなされたか否かを判断することは困難である。したがって、当該電流測定が利用者の操作によって行われる場合は、図1(B)、(C)に示す駆動方法(期間T2において、発光素子に経時的に増加する順方向バイアス電圧を印加する)が好ましい。
(発光素子の駆動方法の変形例2)
図5は、図2に示すフローチャートとは異なる発光素子の駆動方法を示すフローチャートである。具体的には、図5に示すフローチャートにおいては、印加電圧を増加させる駆動を行う工程から定電流駆動を行う工程への移行が利用者の操作によって制御される点が図2に示すフローチャートと異なる。本発明の一態様に係る発光素子の駆動方法においては、当該移行を利用者による操作のみに依存させることも可能である。
<発光素子の具体例>
次いで、上述した構成を備える光源に用いることができる具体的な材料について、陽極11、陰極12、発光性の物質を含む層13、電荷発生領域14c、電子リレー層14b、並びに電子注入バッファー14aの順に説明する。
(陽極11に用いることができる材料)
陽極11は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上が好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。
これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛膜は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム膜は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。
この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン等)、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の導電性ポリマーを用いても良い。
ただし、陽極11と接して電荷発生領域を設ける場合には、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極11に用いることができる。具体的には、仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることもできる。
(陰極12に用いることができる材料)
陰極12に接して電荷発生領域を、発光性の物質を含む層13との間に設ける場合、陰極12は仕事関数の大小に関わらず様々な導電性材料を用いることができる。
なお、陰極12および陽極11のうち少なくとも一方を、透光性を備えた導電膜を用いて形成する。透光性を備えた導電膜としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などを挙げることができる。また、光を透過する程度(好ましくは、5nm〜30nm程度)の金属薄膜を用いることもできる。
(発光性の物質を含む層13に用いることができる材料)
上述した発光性の物質を含む層13を構成する各層に用いることができる材料について、以下に具体例を示す。
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
なお、電荷発生領域を用いて正孔注入層を形成してもよい。正孔注入層に電荷発生領域を用いると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極11に用いることができるのは前述の通りである。
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等が挙げられる。その他、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)等のカルバゾール誘導体、等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
これ以外にも、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を正孔輸送層に用いることができる。
発光層は、発光物質を含む層である。発光物質としては、以下に示す蛍光性化合物を用いることができる。例えば、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、SD1(商品名;SFC Co., Ltd製)などが挙げられる。
また、発光物質としては、以下に示す燐光性化合物を用いることもできる。例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))、))、(ジピバロイルメタナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))などが挙げられる。
なお、これらの発光物質は、ホスト材料に分散させて用いるのが好ましい。ホスト材料としては、例えば、NPB(略称)、TPD(略称)、TCTA(略称)、TDATA(略称)、MTDATA(略称)、BSPB(略称)などの芳香族アミン化合物、PCzPCA1(略称)、PCzPCA2(略称)、PCzPCN1(略称)、CBP(略称)、TCPB(略称)、CzPA(略称)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)などのカルバゾール誘導体、PVK(略称)、PVTPA(略称)、PTPDMA(略称)、Poly−TPD(略称)などの高分子化合物を含む正孔輸送性の高い物質や、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体、さらに、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの電子輸送性の高い物質を用いることができる。
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、Alq(略称)、Almq(略称)、BeBq(略称)、BAlq(略称)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他Zn(BOX)(略称)、Zn(BTZ)(略称)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBD(略称)や、OXD−7(略称)、CO11(略称)、TAZ(略称)、BPhen(略称)、BCP(略称)、2−[4−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:DBTBIm−II)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層を二層以上積層したものを用いてもよい。
また、高分子化合物を用いることもできる。例えば、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)などを用いることができる。
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入性の高い物質としては、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物が挙げられる。また、電子輸送性を有する物質中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることもできる。この様な構造とすることにより、陰極12からの電子注入効率をより高めることができる。
これらの層を適宜組み合わせて発光性の物質を含む層13を形成する方法としては、種々の方法(例えば、乾式法や湿式法等)を適宜選択することができる。例えば、用いる材料に応じて真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法などを選んで用いればよい。また、各層で異なる方法を用いて形成してもよい。
(電荷発生領域14cに用いることができる材料)
電荷発生領域14cは、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む領域である。なお、電荷発生領域14cは、同一膜中に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含有する場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層とアクセプター性物質を含む層とが積層されていても良い。但し、電荷発生領域を陰極12側に設ける積層構造の場合には、正孔輸送性の高い物質を含む層が陰極12と接する構造となり、電荷発生領域を陽極11側に設ける積層構造の場合には、アクセプター性物質を含む層が陽極11と接する構造となる。
なお、電荷発生領域14cにおいて、正孔輸送性の高い物質に対して質量比で、0.1以上4.0以下の比率でアクセプター性物質を添加することが好ましい。
電荷発生領域14cに用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。なお、酸化モリブデンは、吸湿性が低いという特徴を有している。
また、電荷発生領域14cに用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
(電子リレー層14bに用いることができる材料)
電子リレー層14bは、電荷発生領域14cにおいてアクセプター性物質がひき抜いた電子を速やかに受け取ることができる層である。従って、電子リレー層14bは、電子輸送性の高い物質を含む層であり、そのLUMO準位は、電荷発生領域14cにおけるアクセプター性物質のアクセプター準位と、発光性の物質を含む層13のLUMO準位との間に位置する。具体的には、およそ−5.0eV以上−3.0eV以下とするのが好ましい。
電子リレー層14bに用いる物質としては、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物が挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定な化合物であるため電子リレー層14bに用いる物質として好ましい。さらに、含窒素縮合芳香族化合物のうち、シアノ基やフルオロ基などの電子吸引基を有する化合物を用いることにより、電子リレー層14bにおける電子の受け取りがさらに容易になるため、好ましい。
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチルー3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシルー3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等が挙げられる。
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN))、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等が挙げられる。
その他にも、7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−1、4、5、8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を電子リレー層14bに用いることができる。
(電子注入バッファー14aに用いることができる材料)
電子注入バッファー14aは、電荷発生領域14cから発光性の物質を含む層13への電子の注入を容易にする層である。電子注入バッファー14aを電荷発生領域14cと発光性の物質を含む層13の間に設けることにより、両者の注入障壁を緩和することができる。
電子注入バッファー14aには、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
また、電子注入バッファー14aが、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した発光性の物質を含む層13の一部に形成することができる電子輸送層の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
以上のような材料を組み合わせることにより、発光素子を作製することができる。この発光素子からは、上述した発光物質からの発光が得られ、その発光色は発光物質の種類を変えることにより選択できる。また、発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、発光スペクトルの幅を拡げて、白色発光を得ることもできる。なお、白色発光を得る場合には、互いに補色となる発光色を呈する発光物質を用いればよい。具体的な補色の関係としては、青色と黄色、又は青緑色と赤色等が挙げられる。
<応用例>
図6(A)は上述した発光素子がマトリクス状に配設されたパッシブマトリクス型の発光装置の斜視図を示す図である。また、図6(B)は、図6(A)の破線X−Yにおける断面図である。
図6において、基板951上の電極952と電極956の間には発光性の物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有するのが好ましい。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。
図6に示す発光装置においては、複数の発光素子の少なくとも一を上述した発光素子の駆動方法を用いて駆動することが可能である。これにより、発光素子の劣化を抑制すること及び輝度を回復することが可能である。また、簡便な方法によって電極952及び電極956の短絡を修繕することが可能である。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子の駆動方法によって駆動される発光素子を有する発光装置の一例について説明する。
図7(A)は、発光装置の構成例を示すブロック図である。図7(A)に示す発光装置は、発光素子100と、発光素子100に生じる電流又は印加される電圧を制御することが可能な電源回路101と、発光素子100に生じる電流又は印加される電圧を検出することが可能な検出回路102と、検出回路102によって検出された電流又は電圧の情報に応じて電源回路101の動作を制御する制御回路103と、を有する。
図7(A)に示す発光装置においては、発光素子100に生じる電流又は印加される電圧に応じて、電源回路101の動作が制御される。すなわち、電源回路101によって発光素子100をどのように駆動するかを発光素子100の状態に応じて適宜選択することが可能である。これにより、上述した発光素子の駆動方法によって駆動される発光素子を有する発光装置を実現することが可能である。
また、図7(B)に示すように検出回路102の動作も制御回路103によって制御される構成とすることも可能である。これにより、検出回路102において定期的又は不定期に発光素子100に生じる電流又は印加される電圧の検出を行うことも可能となる。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子の駆動方法によって駆動される発光素子を有する発光装置を備えた電子機器の一例について説明する。
図8(A)は、当該発光装置を備えた電気スタンドを示す図である。電気スタンドは、筐体1001と、照明部1003とを有している。そして、照明部1003として、当該発光装置が用いられている。
図8(B)は、当該発光装置を備えた室内用照明装置を示す図である。室内用照明装置は、筐体1004と、照明部1006とを有している。そして、照明部1006として、当該発光装置が用いられている。
11 陽極
12 陰極
13 発光性の物質を含む層
13a 発光性の物質を含む層
13b 発光性の物質を含む層
14 中間層
14a 電子注入バッファー
14b 電子リレー層
14c 電荷発生領域
100 発光素子
101 電源回路
102 検出回路
103 制御回路
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光性の物質を含む層
956 電極
1001 筐体
1003 照明部
1004 筐体
1006 照明部

Claims (3)

  1. 少なくとも一方が透光性を備えた一対の電極と、前記一対の電極に挟持された発光性の物質を含む層とを有する発光素子の駆動方法であって、
    前記発光素子に一定又は略一定の駆動電流を生じさせるように、前記発光素子の発光開始電圧よりも高い第1の電圧が前記発光素子に印加される第1の工程と、
    前記発光素子に印加される電圧を経時的に順方向バイアスに増加させる第2の工程と、を有し、
    前記第1の工程において前記発光素子に印加される電圧が前記発光開始電圧以下となった場合に、前記第1の工程から前記第2の工程へと移行し、
    前記第2の工程において前記発光素子に印加される電圧は、前記第1の電圧よりも低く、
    前記第2の工程において前記発光素子に生じる電流が、前記駆動電流以下となった場合に、前記第2の工程から前記第1の工程へと移行することを特徴とする発光素子の駆動方法。
  2. 少なくとも一方が透光性を備えた一対の電極と、前記一対の電極に挟持された発光性の物質を含む層とを有する複数の発光素子の駆動方法であって、
    前記複数の発光素子に一定又は略一定の駆動電流を生じさせるように、前記複数の発光素子の発光開始電圧よりも高い第1の電圧が前記複数の発光素子に印加される第1の工程と、
    前記複数の発光素子に印加される電圧を経時的に順方向バイアスに増加させる第2の工程と、を有し、
    前記第1の工程において前記複数の発光素子に印加される電圧が前記発光開始電圧以下となった場合に、前記第1の工程から前記第2の工程へと移行し、
    前記第2の工程において前記複数の発光素子に印加される電圧は、前記第1の電圧よりも低く、
    前記第2の工程において前記複数の発光素子に生じる電流が、前記駆動電流以下となった場合に、前記第2の工程から前記第1の工程へと移行することを特徴とする発光素子の駆動方法。
  3. 請求項2において、
    発光装置を有し、
    前記発光装置は、マトリクス状に配置された前記複数の発光素子を有することを特徴とする発光素子の駆動方法。
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